ヒップホップ・アルバム紹介

これは結構気に入りました。

お待たせいたしました。新譜紹介です。ただしヒップホップ(笑)。

P52タイラー・ザ・クリエイター『ウルフ』(2013年、Odd Future LLC/RED)です。Amazonサイトでジャズのアルバムを探していたら、なぜかこれが出てきました。この人は前から注目していたので買ってみることに。Amazonのカスタマーレビューも買う気にさせた一因。

この人の名を知ったのはジャズ喫茶「いーぐる」で開催されたヒップホップ関連の連続講演です。長谷川町蔵さんと大和田俊之さんの著書「文化系のためのヒップホップ入門」に関する回で、現代注目のヒップホップとしてこの人が紹介されました。私は独特な雰囲気のサウンドに惹かれてしまったのです。

アルバムを聴き始めてすぐに感じたのは現代の病んだ感じ。現代社会の歪が人間の心を病ませているのはアメリカも日本も同じなのかと思いました。特に若い世代は皆、こういう雰囲気を心の中に持っているのではないでしょうか? 共感できるフィーリングがあるんじゃないかと思います。結構ポップなサウンドなのにそういうものが醸し出される不気味さ。

Amazonのカスタマーレビューによると猟奇的なものらしいのですが、歌詞は分からなくてもサウンドからそういうことは伝わってきます。ブックレットには歌詞が全部書いてありますので、英語が得意な方は是非読んでみて下さい。英語が苦手な私が見た感じですが、たぶん英語が読めるだけではその意味するところは半分くらいしか分からないだろうということ。

ちなみにタイラー自筆の歌詞も掲載されていて、その小さくてかわいい字が意外です。その破天荒な行動から”アンファンテリブル”とか言われるこの人ですが、字だけ見ると小市民(笑)。小市民の中に実はこういう才能溢れるスターがいるという面白さ。

さすがにメジャーなヒップホップなだけあって、メロディーもリズムも特別難解なものはありません。かなり聴きやすいと思います。そこに現代のヒップホップに至る要素が網羅されているように思います。ドクター・ドレー的演劇要素、ティンバランドのような南部ビート、カニエ・ウェストのような内省的なもの、エリカ・バドゥのような歌、などなど。

これを聴いて改めて英語のイントネーションのカッコ良さに気付かされました。ラップというより詩の朗読のようなトラックもあり、タイラーの低音を効かせた流暢なラップはかなりの快感を生み出します。ちょっと大袈裟ですが、例えばフランク・シナトラやメル・トーメの歌に通じるカッコ良さが、このタイラーにも感じられる瞬間があります。シナトラの歌に感じる人の声の魅力はタイラーのラップにもあると思います。でもあくまでラップで歌ではありません。

こういうのを聴くとアメリカン・ポップスの歴史の重みを感じますし、ヒップホップにまで脈々と流れるエンターテインメントの精神からは、アメリカン・ポップスの懐の深さを感ぜずにはいられません。

現代のメジャー・ヒップホップがどういうものなのか知りたい人には是非聴いてほしい1枚。踊るのではなくて聴いて楽しむ音楽としてのヒップホップの先端がここに。

YouTubeにはご覧のとおりフル・アルバムが・・・!
さすがにこれは著作権侵害で削除されました。

アルバム名:『WOLF』
メンバー:Tyler, The Creator

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今日はヒップホップなど。

このところジャズよりポップスやロックについて書くことのほうが多いような気が(笑)。で、今日もジャズじゃないんですよね。ヒップホップです。そしていつものYouTube動画で記事を作ってしまおうという魂胆。

前から気になっていたこのグループ「デ・ラ・ソウル」。だって、「文化系のためのヒップホップ入門」(長谷川町蔵、大和田俊之著)のこのグループのアルバム紹介文が面白すぎるからです。アルバム『3 FEET HIGH AND RISING』の紹介文は以下のとおりです。

マッチョでバイオレントなペルソナが主流のこのジャンルで、ヘタレでオタクでナードなキャラを確立したニューヨークのトリオ。これまでヒップホップとは無縁だと思われていたカントリー・ミュージックやAORを縦横無尽にサンプリングしたトラックは初心者にも聴きやすく、キャッチーでカラフルな楽曲が続く。内向的で巧みな言葉遊びに満ちたリリックはラップの新たな可能性を提示した。

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”ヘタレでオタクでナードなキャラ”が気になってしかたがなかったのです。YouTubeを見ていてたまたま目についたこれが見事にその特徴を表していました。

”ヘタレでオタクでナードなキャラ”ってこれなのかと(笑)。ランDMCなんかのヒップホップの従来のキャラが現れ、俺たちはお前らとは違うアイデンティティなんだというのをラップしてるらしく、「なるほど。」と思いました。たぶん、”内向的で巧みな言葉遊びに満ちたリリック”なのだろうと思います。英語が苦手なので雰囲気からそう感じるだけですが(涙)。楽曲は正にキャッチーでカラフル。初心者にも聴きやすいでしょう。

でも一番気になったのはそのトラックなのです。聴いたことがあったからです。ヴィクター・ベイリーの『ザッツ・ライト!』収録曲と同じだったのです。

この曲が結構好きなだったのですぐに思い出しました。このアルバムについてはだいぶ前にブログに書いています。
やっぱヴィクター・ベイリー!
ベイリーのベースがカッコいいですよね。キーボードもベイリーが弾いてます。オマー・ハキムのドラムもタイトに決まっています。元ウェザー・リポート・コンビのチームワークは鉄壁。ギターはディーン・ブラウン。アジアン・カンフー調の曲だと思ったのですが、ではこの元ネタは?

曲名でYouTubeを検索したらすぐに分かりました。ファンカデリックの曲です。

Pファンク系の曲だったんですね。デ・ラ・ソウルはほとんどまんま使ってました。この曲は好きなテイストです。

デ・ラ・ソウル、ポップな感じはいいのですが、私の好みからするとちょっと軟弱過ぎるかも。もっとハードなほうが好みです。『3 FEET HIGH AND RISING』は世界的にヒットしたそうでそれは理解できます。今のところCDを買おうというところまでいかないな~。

こちらもデ・ラ・ソウル。「オズの魔法使い」の黒人版「ウィズ」を基に社会を風刺するような内容なのでしょうか?これも私的にはいまいち。

ここで強引な展開。「ウィズ」の映画版です。若き日のマイケル・ジャクソンがカカシ役で出ています。ドロシーはダイアナ・ロスです。ではマイケルの演技をご覧ください。

演技の方は微妙な感じなのですが歌はさすがに上手いですね。

というわけで、今日はデ・ラ・ソウル、ヴィクター・ベイリー、ファンカデリック、マイケルというあまり脈絡のないつながりでした。

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ヒップホップいきま~す!

時々あらわれるヒップホップのアルバム紹介です。
高尚なものばかり聴いていると飽きてきて、ポップなものが聴きたくなります。そんな時、最近はヒップホップを聴く機会が多くなりつつあります。

P11 N.W.A.『ストレイト・アウタ・コンプトン(コンプトンの無法者たち)』です。ギャングスタ・ラップです。私、結構ギャングスタ・ラップが好きになってしまいました(笑)。ポップなサウンドが好きなんですよね。ラップの内容とかよく分からないのが幸せなのかもしれません。

今回も2冊の本から紹介文を転載します。

「文化系のためのヒップホップ入門」では

「《ストレイト・アウタ・コンプトン》、《ファック・ザ・ポリス》、《ギャングスタ・ギャングスタ》とアルバムの冒頭に並ぶ怒涛の3曲によってギャングスタ・ラップはヒップホップの地図にはっきりと刻印された。ギャングの暴力を美化するかのような過激なリリックと重くファンキーなビートは郊外の白人ティーンに熱狂的に支持され、一切のラジオプレイなしに100万枚の売り上げを達成。」

「ブラックミュージック入門」では

「ギャングスタ・ラップ勃興ののろしともなったN.W.A.のファースト。ストリート犯罪をテーマとしたラップは既に同じロサンジェルスで活動していたアイス-Tも取り上げていたテーマだった。しかし、ギャングスタ・ラップが1990年代のヒップホップを代表するほど大きなブームとなったのは、このアルバムの登場によってだった。もともとN.W.A.のギャングスタ・ラップはストリート・ギャングの生態を戯画化したパロディなのだが、ドレーの痛快なサウンドとあいまって、マジなものとして全米で衝撃をもって迎えられていった。」

あとはYouTubeから音を聴いてもらいましょう。

《ストレイト・アウタ・コンプトン》
このサウンド、結局私はドクター・ドレーの音が好きなのです。
重くファンキーなビート、いいなぁ~。
PVにもご注目。マッポがなんだやっちまえみたいな~(笑)。
風景が田舎で長閑なところはNYとイメージが異なりますよね。

《ギャングスタ・ギャングスタ》
サウンドはドレーの『ザ・クロニック』に繋がるものです。
ラップの内容はかなりお下品なようです。ビッチとファック・・・。
これ、日本語で歌われたらとても聴けないかも(笑)?

《パレントル・ディスクレーション・イズ・アドヴァイスド》
これなんかはモロにジャズ/フュージョンです。
ラストにはピアノ・ソロまで出てきます。
ハービー・ハンコック風なのか?ジョー・サンプル風なのか?

《バール》
ヘビーなビートと”ピコピコ”かわいいテクノ音のブレンドが面白い。
ビッチズ・ラバーズ・ディックだって(笑)。
女性蔑視なんですよね~。m(_ _)m

《アイ・エイント・ザ・ワン》
これはポップなので好きです。”カーン”という効果音もいい感じ。
ラップは相変わらずで、お金大好きみたい(笑)。

と、5曲も貼ってしまいました。
アルバムを通して聴くとルーズなようでいて、個々に聴けば色々あって面白いです。

社会に反抗する若者の思いがこういうヒップホップに共感したのでしょう。
80年代、日本で尾崎豊が若者に熱狂的に支持されたのと似ているのではないでしょうか?
ただしそこに描かれている心情(社会情勢)はアメリカと日本ではだいぶ異なります。

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今日はヒップホップのお話です。

昨年、ジャズ喫茶「いーぐる」 で行われた中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会」5回に全て参加し、中山さん著「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」の出版記念パーティーにも参加し、更に中山さんとは別に行われた「ヒップホップ講座」3回にも参加し、ヒップホップという音楽の魅力に引き込まれてしまった私。

今私なりにヒップホップという音楽の魅力について分かってきたことがあるのでここに書いておきます。あくまでジャズ・リスナーの私なので、ヒップホップ・リスナーからすれば何を今更と思われるかもしれませんし、また勘違いも甚だしいというご意見もあろうかと思います。それでもここに書いておきたいという。困ったものです(笑)。メモ的な意味もあります。

ジャズファンの皆様。m(_ _)m

3点書きます。

1.ブレイクビーツの魅力

ブレイクビーツというのは、ある曲の中の一部分(気持ちが良いリズムブレイク)を取り出して、繰り返し使って曲を作るものです。これはダンスミュージックとしてのヒップホップにおいて、気持ち良いリズムブレイクでいくらでも長く踊りができるという目的から生じたようです。このブレイクビーツという概念、本来なら曲が次々進行していくのが気持ち良さなのに、進行しないことが気持ち良いという発想の転換があります。

私は最初ブレイクビーツという概念に全く気付かずヒップホップを聴いていました。「いーぐる」の「ヒップホップ講座」で何回かそれに触れられてやっと意味が理解できたというありさまです。でもそれに気付いてからは、なるほど確かに面白いということになりました。このように、説明してもらわないと気持ち良さの元が何なのか気付かないことってありますよね。分からなくても気持ち良いのですが、その根拠が分かればよりはっきり気持ち良くなってくるから面白いです。

このブレイクビーツ、どうやって作るかというと、最初は2台のレコードプレーヤーに同じレコードを乗せ、互い違いに繰り返しかけることで作り出していました。DJの技の見せ所です。次の曲はDJであるグランドマスター・フラッシュの技の凄さを示す曲なのですが、1分18秒あたりから出てくる「ダッ、ダッ、ダッ、ダカダッタッタッ、タッタッタッタラッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダカダッタッタッ~ラッ」という感じのベースラインが繰り返されえるのがブレイクビーツです。

ヒップホップにおいて当初DJが花形だったというのはこれを聴くとよく理解できます。だって、こんなことが出来るっなんてカッコ良すぎるじゃないですか。このトラックは全てがライブでやっているのではないようですが、これに近いことはできたそうです。最後のほうにラップが出てきます。このように場を盛り上げるのが当初のラップの目的でした。

さて、このブレイクビーツ、後にサンプラーという機械を誤用することで更に飛躍します。次の曲はそのサンプラーを極めたトラックメイカーのセッド・ジーが作ったトラックです。かなり凝ったことをやっています。

私、かなり気に入っています。カッコ良いでしょ。トラックの上で繰り広げられる4人のラッパーによる応酬を盛り上げています。

さて、ここで編集という行為が表に出てきます。レコードのある部分を切り出してサンプラーに記憶させて繰り返しや挿入を行い、時には音をイコライズして、そういう編集行為によって別物に作り変えます。当初私はヒップホップは編集によってトラックを作るのが凄いというように受け取っていたのですが、どうやらそうではなく、編集はあくまで手段であって、ブレイクビーツという発想が凄いのだということに気付きました。ちなみに「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」にはブレイクビーツという言葉が出てきません。

ここでちょっと話が飛躍します。マッドリブというトラックメイカー/プロデューサーがいます。非常に凝った編集をする人で、ジャズをサンプリングしていることから、中山康樹さんはジャズつながりでマッドリブにジャズの未来を見ているようです。この人、当初私も評価していたのですが、徐々にそうでもなくなってしまいました。なぜそうでもなくなったのか? それはブレイクビーツとしての気持ち良さが足りないからです。まっ、たぶんに個人的な好みかもしれませんがそういうことです。後藤雅洋さんはこの辺り、すぐに気付かれていたみたいです。さすが! ひょっとしたらマッドリブはブレイクビーツという目的を忘れ、編集が目的になてしまっているのかもしれません??

ヒップホップにおけるブレイクビーツは、モダンジャズにおけるアドリブに匹敵するものだと私は考えます。

2.ラップのメッセージ性が発する魅力

ラップは全てにメッセージ性があるわけではありませんし、ラップが持つメッセージ性がヒップホップの本質だとも思っていませんが、私はメッセージ性があるものにはある種の音楽的強度が備わっているように感じます。反骨精神が音楽に強度を与えているように思うのです。ラップのメッセージの内容は、黒人への人種差別のみでなく、黒人やヒスパニック系を直撃した貧困、つまり経済格差がその主な中身であり、貧困層に蔓延したクラックによる荒廃、その製造卸しに係ったりしたギャングの生活などもメッセージになっています。

メッセージ性を持ったラップという意味では、ハードコア・ヒップホップの最高峰と言われるこの人達に登場していただくしかないでしょう。パブリック・エナミーです。メディアや社会の不正とその正体を見破ろうとするラップの過激さは前代未聞だそうで、これほどまでに政治的なラップはそれまで存在しなかったとのことです。これは彼らのセカンドアルバムにして80年代ヒップホップの最高傑作の一つ。全曲そのままYouTubeにUPされていたのですが、削除されてしまってので1曲UPします。

「ジャズ・ヒップホップ学習会」にゲストとして招かれた大谷能生さんが、このアルバムの冒頭のサイレンの音を聴いて怖かったとかおっしゃっていました。この音楽的強度はメッセージ性と切り離せないように私は感じます。

次の曲は90年代ですが、ハードなビート上でストリートライフを冷徹に語りつくすものとのこと。モブ・ディープです。

この暗さとヤバイ匂い。最高です。「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」ではメセージ性(≒批評性)の中身をきちんと伝えていないところがあると思います。ラップは手法ということで、ヒップホップからラップを切り離してしまうことにも無理を感じます。まっ、「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」はジャズとヒップホップの定説を読み変えることに意義があるのでそれでも良いのですが、ここから入るとジャズとヒップホップの本質的な部分を見誤る可能性を秘めていることを指摘しておきます。

3.ドクター・ドレーの魅力

ドクター・ドレーはヒップホップのプロデューサーで、ギャングスタ・ラップという90年代のヒップホップを席巻したブームを作った人です。そのブームは結果的にアメリカや世界中でもヒップホップが広く聴かれるブームをもたらしたそうです。つまりヒップホップのメジャー化を語る時には外せない人。特にアルバム『ザ・クロニック』は最重要作。この人のサウンドはGファンクと呼ばれ、私はこのサンドがとても気に入っています。次の曲はそのアルバムの1曲目。

このアルバムについて「ヒップホップはアメリカを変えたか?」という本の中で次のように書かれています。

「このアルバムはブラックスプロイテーション、ドキュメンタリー・フィルム、70年代ホーム・コメディー、ストリートカルチャーなどの要素が複雑に組み込まれており、まさにドクター・ドレーの才能が全開になったギャングスタ・ラップの傑作だった。ドクター・ドレーは洗練されたポップス感覚やユーモアをギャングスタ・ラップにブレンドする、抜群の芸術的センスがあったのだ。」

上の1曲を聴けばそれは分かりますよね。ヒップホップ界にこういう人が現われたことに意味を感ぜずにはいられません。

ということで、ヒップホップという既に長い歴史を持つ音楽の魅力の一部を私なりに簡単に紹介してみました。もっと詳しく知りたい方はヒップホップの本を読んでみることをおススメします。以下の3冊は私が読んで参考にしているものです。上記の文章の中に一部引用しています。

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これは暗くて重いです!

今日はヒップホップ。たくさんは聴けないので有名どころをボチボチ聴いています。

ジャズ喫茶「いーぐる」で昨年開催された中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会」からヒップホップに興味を持つようになった私ですが、最初は聴きどころがよく分かりませんでした。「ジャズ・ヒップホップ学習会」は5回も行われたのに、その5回ではまだ雲をつかむような状態。ジャズとの関係からヒップホップを見ると、ヒップホップに正面から向き合えないという問題が内在していたようにも感じました。

その後、後藤さんの判断により追加されたヒップホップに特化した3回の「ヒップホップ講座」に参加して、やっとヒップホップというものが見えてきました。私にとってこの3回は非常に意味がありました。その間に読んだ「文化系のためのヒップホップ入門」(長谷川町蔵×大和田俊之)も大変参考になりました。そして少しずつ音源を聴いていくうちに、各講座で語られていた事の意味がまた見えてくるようになって今に至ります。

P181 モブ・ディープ『イン・フェイマス』(1995年、Loud/RCA)です。

これもいつものパターンで、「文化系のためのヒップホップ入門」の紹介文を転記します。

「ナズの成功は、クイーンズに再び人々の目を向けさせたが、それを利用してブレイクしたのがこのデュオ。ハードなビート上でストリートライフを冷徹に語りつくす本作でコアなリスナーの支持を獲得した。ゲストのナズ、レイクウォン、ゴーストフェイスらも好演。トラックは大半をメンバーのハヴォックが手掛けているが、3曲をQティップが手掛けお洒落さがいいアクセントになっている。」

これはAmzonのレビューを読んだら聴かずにいられなくなりました。「そんなにヤバイのか?」と。で聴いてみたら? その通りのヤバサでした。聴きだしてすぐに暗さや退廃感が溢れ出しました。確かに何度も聴くと気分が沈んできてしまいますが、ある意味くせにもなります。私ってこういう暗いのも好きです。昨日のザ・スクエアーとは対極にあるサウンドですよね。

この暗さが堪りません。気分がどんどん沈んでいきます(笑)。
《サーヴィヴァル・オブ・ザ・フィットネス》

PVを見ると「こういう世界なのか」とよく分かりますよね。
まっ、これはサウンドだけでもう十分想像はできますが。

《ショック・ワンズ・パートⅡ》
これはラップの歌詞が表示されますのでご注目。
う~む、何だかよく分からないです。

この世界、私には分かりかねますが、サウンドが持つ力には打たれます。

《テンパレチャーズ・ライジング》
これは明るい感じで、Qティップがトラックを作っている3曲中の1曲です。

長谷川さんが書いているとおり、お洒落さがいいアクセントになっています。
ベースの使いかたとかブレイクの具合がQティップのサウンドですね。
途中に入る女性ヴォーカルはエリカ・バドゥみたいです。

2曲にイントロとしてナレーションがあり、1曲はイントロが銃撃される場面。
これがその銃撃場面のイントロ付《クレイドル・トゥー・ザ・グレイヴ》

このヤバサはやっぱりカッコいいと言えるでしょう。

暗さとヤバサのカッコ良さが分かる人は必聴。

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黒いグルーヴならこれだ!

今日はヒップホップ、相変わらず楽しく聴いています(笑)。

P108_2 EPMD『ストリクトリー・ビジネス』(1988年、Fresh/Sleeping Bag)です。私が買ったのはスヌープ・ドッグのリマスター盤。

いつものとおり紹介文はこの2冊の本から。

まずは「文化系のためのヒップホップ」

ロング・アイランドから登場。ラッパーたるもの社会的なメッセージを訴えるべきとされていた当時の東海岸シーンで、「金が欲しい」と本音をラップ、全米規模の成功を得たデュオのデビュー作。ザップ等80年代ファンクをサンプリングしたレイドバックしたトラックに乗って、かったるそうにラップする姿が当時は新鮮だった。本作だけでなく、一時解散までの4枚のアルバムはすべて必聴だ。

そして「ブラック・ミュージック入門」

1988年にリリースされた当初、かなりの衝撃をもって迎えられたデビュー・アルバム。たとえば冒頭のタイトル曲などは「アイ・ショット・ザ・シェリフ」をネタに使っているのだが、これがボブ・マーリーを使わずにエリック・クラプトンのカヴァーのほうを使っているのがミソで、エリックのファンキーなリズム・カッティングがファンキーにヒップホップとして鳴るところがあまりにも新鮮だった。全編EPMDのこうしたセンスが冴えまくる内容で、90年代までものすごく大きな影響力を持った作品。ビートを外した感じのラップも当時の若手随一でひどく新鮮なものだった。

これはAmazonのレビューが秀逸で思わずそれに釣られて買ってしまいました。
「とにかく極太い黒~いファンクが聴きたいのならコレを聴け!
EPMDによって男を磨け!! 」

なんて書いてあるんだもん(笑)。

もう私からは付け足すことはありません。 黒いグルーヴを聴け!

YouTubeからペタッ。

ヴォコーダーの音、シンセベースのファンキーぶりは最高ですな。
私の中ではハービー・ハンコックの『マン・チャイルド』が鳴ってます。
途中に入るホーンはJB’sか何かでしょう。
かったるいラップが黒い。

次の《ユーアー・ア・カスタマー》を聴いて思いましたね。
マイルスの『ドゥー・バップ』。
こういう黒さがマイルス好みだったのでしょう。
かったるいラップとマイルスのトランペットがオーバー・ラップします。
下はフル・アルバム。40分から始まる曲がそれです。

そのマイルスの《ドゥー・バップ・ソング》。
”マイルスのはヒップホップになっていない” なんて意見も聴きましたが、
私も何となくそう思っていたのですが、
EPMDを聴いて、”いやっ、ちゃんとヒップホップをやってたんだ” と確信。
マイルスって、やっぱスゲーよ!

これなんかも面白いしカッコイイですよね。
《ムーン・リバー》って好きな曲です。
こういうサウンドが出てくる時点でヒップホップって凄いと思います。
当時のフュージョンなんて、このサウンドの足元にも及ばないです。

ヒップホップを聴くとどんどん色々見えてきます。
ジャズ聴くよりよっぽど面白かったりして(笑)。

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今日はヒップホップ

相変わらず少しずつヒップホップを聴き進めています。ということで、今日はこれ。

P94 ドクター・ドレー『ザ・クロニック』(1992年、Death Row)です。1992年と言えば、マイルス・デイビスの『ドゥー・バップ』が発売された年にしてマイルスが亡くなった翌年。このアルバムがヒップホップに革命をもたらしたそうで、マイルスの死を境にこういう現象が起きてくるところが面白いです。

はっきり言ってUs3なんか足元にも及ばないカッコ良さだと私は思います。サウンドが新しいんですよね。ヒップホップって面白いです。

今回も2冊の本から紹介文を乗せます。

まずは「文化系のためのヒップホップ入門」から

NWAの音楽面の中心人物が、西海岸だけでなくヒップホップ界全体に革命をもたらした初リーダー作。スローなビート、不穏さを強調したハーモニー、単音シンセのピーヒャラ音といった特徴を持った、いわゆる”Gファンク”は、全米に無数の追従者を生み出した。ラップ面では本人以上に当時無名だったスヌープ、ダズ、クラプトら若手が活躍、彼らのブレイクのきっかけとなったアルバムでもある。

続いて「ブラック・ミュージック入門」から

ドレーのファースト・ソロでヒップホップ史上最強の名盤のひとつ。N.W.A.のセカンドで確立したファンク・サウンドを磨き上げたこのアルバムのサウンドこそ、1990年代のギャングスタ・ラップやウエスト・コースト・ヒップホップを象徴する音となった。しかし、ラップの内容はストリート犯罪やギャングを露骨に描くものから離れ、そうした犯罪がはびこる地域で育つやさぐれた心情とでたらめな青春を描いたものになって、それもまた大きな共感を呼ぶことになった。スヌープ・ドッグを発掘し、この作品でデビューさせるなど、ドレーのセンスが冴えまくる作品。

私が気に入ったのは正にこのサウンドです。”Gファンク”! ファンク好きな私のハートに”ズキュン”ときました(笑)。英語が苦手な私には、幸か不幸か敬遠されるラップの内容がよく分からないだけに、サウンドだけを楽しめてしまいます。

こういうサウンドが出てきたというだけで、もうジャズ・フュージョンよりヒップホップが優れていると言ってもいいかもしれません。この頃(20年前)出たジャズ・ヒップホップのアルバムより、ヒップホップのほうが数段カッコいいじゃん!こういうのを聴いてしまうと、ジャズ・ヒップホップなんてどうでもよくて、素直にヒップホップを聴いたらいいんじゃないかというのが私の考え。

YouTubeから数曲UPします。

このGファンク、カッコ良過ぎると思いませんか? 私は激しく好きです。

これは文句なく面白いサウンドでしょ!

ジャズ度でいったらこれか?アコースティック・ベースやフルートの使い方◎

長谷川町蔵さんと大和田俊之さんがジャズ喫茶「いーぐる」でかけたのはこれ。
こういうドライブに向いた気持ち良いサウンドもあります。

にしてもカッコいいサウンドに溢れています。

気に入ったらYouTubeにUPされている全曲を聴いてほしいのですが、それだけじゃなくて是非アルバムを買って聴いてほしいところです。

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ジャズとヒップホップのクロスオーバー。

ジャズとヒップホップの合流時期を考えると色々面白いです。もう少し補足しておきます。

この頃のジャズ界の最重要トピックは何と言っても1991年の”マイルス・デイヴィスの死”です。この年結成されたUs3の「カンタループ」のヒットなんて、マイルスというタガが外れてしまった後の象徴的な出来事のような気がしてなりません。

マイルスが亡くなった1991年、ヒップホップ界に現れた名盤の話もしておかないといけないですよね。ア・トライブ・コールド・クエストの『ザ・ロウ・エンド・セオリー』です。ジャズのアコースティック・ベースをサンプリングしてサウンドを作っています。このアルバムではロン・カーターをゲストに招いています。

音楽性の高いサウンドを求めたのが彼らの特徴で、ジャズ的なフィーリングを自分たちのグルーヴとして打ち出して極めたと言うのですが、今のところ私にはいまいちその面白さが掴みきれていません。サウンドの例としてこの曲をあげておきます。

それまでジャズとヒップホップのクロスオーバーはじわじわと進んでいたんでしょうけれど、1991年はいよいよ顕在化してくる節目の年のようです。”マイルスの死”と重なったジャズ・ヒップホップの顕在化。歴史の妙と言わざるを得ません。

翌92年はマイルスの遺作『ドゥ・バップ』が出ます。

同年ブレッカー・ブラザーズが再結成。『リターン・オブ・ザ・ブレッカー・ブラザーズ』が出ます。中山康樹さん著「ジャズ・ヒップホップ・マイルス」に書いてあるこの動きは確かに速かったと思います。GRPレーベルから出ました。マイルスが亡くなった翌年にフュージョンの象徴的なグループが再結成してヒップホップをやったというのも興味深いことです。このアルバムの中でヒップホップをやっているのがこれ。私もリアルタイムでアルバムを買って聴いています。

翌年1993年には成功なのか失敗なのか?グレッグ・オズビーの『3-D・ライフスタイルズ』が出ます。これを聴いてもらえば分かるように、なかなか良くできていると思うんですよ。私は残念ながらこれをリアルタイムで聴いていません。

で、1994年、1995年へと続くわけです。

ジャズ/フュージョン界はそれなりにやっていたと思うんですよ。そこにUs3の《カンタループ》が来ちゃうわけです。これがヒットしておかしなことになっちゃったのです。私はUs3なんて聴く気がしませんでしたが、今にして思えば正解でした。

ブルーノート・レーベルも罪作りですよね~。Us3のファースト・アルバムはブルーノート・レーベルで一番売れたアルバムらしいですが、コマーシャリズムと結び付くとろくなことはないという例がここでも実証されたような気がするのですが??

マイルスが引退してフュージョンが暴走したのと同じように、マイルスが亡くなってジャズ・ヒップホップが迷走したというのは、面白い歴史の繰り返しだと思います。

勝手に一人で盛り上がってますが、ジャズ/ヒップホップって私の中では興味が尽きないテーマなのです。

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やっぱり今日もヒップホップ。m(_ _)m

ジャズについて書きたいことがない(涙)!
やっぱりヒップホップが面白い(笑)!

今日はYouTubeからこんなものを選んでみました。

1.JAY-Zの《Excuse Me Miss》ft. Pharrell

”キング・オブ・ニューヨーク”ことJAY-Zのラップにファレルの歌が絡みます。何が言いたいかというと、現代のR&B(今はブラック・ミュージックの中の非ラップ、歌ものを指す意味で用いられている)においてはラップと歌が違和感なく融合しているということです。こんなところからも分かるようにヒップホップはブラック・ミュージックのメイン・ストリームなのです。

そしてこのPV。”黒人エグゼクティブのラブ・アフェア”。やっぱりラッパー(メジャーなヒップホップ)はこういう世界への憧れがあるんでしょうね。この世界、日本で言えばITバブルの頃の”ホリエモン”か(笑)? さんざん遊んでおいて、「名前は?」夢から覚めて現実に、そして、声をかける・・・。いやっ、面白いです。

ロナルド・レーガンの政策によってアメリカ社会は貧富の差が拡大。黒人やヒスパニックに貧困が直撃。そこから薬(クラック)が蔓延。クラック製造売買に絡みギャング抗争も至る所に起き社会が荒廃。そんな社会現実の受け皿となったヒップホップ。ギャングスタ・ラップが全米ヒットにつながるのは自然な成り行きなのです。こういう背景を無視してヒップホップを語っても意味はないということは言っておきます。

そして今やヒップホップで成り上がるのが憧れとなったりしているのです。JAY-ZはレーベルのCEOでもあり、自身が上記PVのようなエグゼクティブなわけです。

2.DJ Krushの《Shin-Sekai》(feat Rino)

これは日本のDJクラッシュの曲。ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会」で、大谷能生さんがゲストの回にこの曲が入っているアルバム『MiLight-未来-』から、別曲(ラップなし)を後藤さんが好みだろうということでかけました。かけた曲はアブストラクトなものでジャズ・ファンにも違和感がないだろうという趣旨。

さて、この曲はなぜ取り上げたかというと、Rinoの日本語ラップが入っているからです。ラップというものがどういうものなのか理解しやすいからです。ラップの内容はいかにも日本的。現状に甘んじる若者の奮起したい願望。屈折した若者ですな~。トラックもラップによくマッチしています。社会性がモロに出ているヒップホップです。

ちなみに【日本語ラップ】でYouTubeを検索するとたくさんできてきて面白いですよ。これは日本のラップ・コンペなんでしょう。

これなんかはラップもトラックもいい出来だと思います。私のお気に入り。

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ごめんなさい!今日もヒップホップ(笑)。

ロバート・グラスパーへのインタビューがありました。
グラスパーの思い、ジャズの現状、「なるほどね~。」
必読 : http://bmr.jp/feature/detail/0000000150/index.php

さて、今日もヒップホップ・アルバムを紹介します。

P64 ウルトラマグネティック・MCズ『クリティカル・ビートダウン』(1988年、NEXT PLATEAU)です。

今回も参考書「文化系のためのヒップホップ入門」から紹介文を書きます。「BDPのファーストに大きく関与していたSP1200の名手セッド・ジーを含む、ブロンクス出身の4人組のファースト。JBズなど定番ネタを使いまくったブッといビートに乗って乱れ飛ぶ、4人のラップに興奮させられるアルバムだが、中でもドクター・オクタゴンをはじめとする様々な名義を使い分けて今なお精力的に活動を展開する怪人クール・キースのオフビートかつアブないラップが圧巻だ。」

このアルバムは、ジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演、原雅明さんとDJアズーロさんの「ヒップホップ・プロデューサーを聴く」の時にかかりました。その時かけたのは《エゴ・トリッピン’》。サンプリングを極めたセッド・ジーのプロダクションとのことでした。このアルバム全体をポール・Cが監修しているともおっしゃっていました。

今回私がこれを買ったのは上記2つの事項を踏まえてのこと。サンプリングを極めたセッド・ジーがJBズなど定番ネタを使いまくったブッといビートでトラックを作っているところに惹かれたからです。これっ、聴いて嵌りましたね。このビート最高です。サンプリングも多彩で面白いです。

ということでいつものYouTubeから。

《ウォッチ・ミー・ナウ》
アルバム冒頭の曲、ファットなビートが気持ち良いですよね。
JBズをつかっているだけあってファンキーです。
スクラッチも効果的。ギターのカッティングは正にファンク。
ラップが回されているけれど各人の差がいまいちよくわからず、
トラックのほうに耳がいってしまいます。

《イーズ・バック》
これも凝った作りです。
”ヒュ~、ヒュ~、ヒュ~”はパブリック・エナミーと似ています。
こちらはタイト系のビート。カッコいいな~。
間に挟まるリフがファンキーでやっぱりいい。

《クール・キース・ハウジング・シングス》
これはドラム・ビートの引きつり具合が最高。
”ウッ”が効いてます。
自然に体が揺れる気持ち良さ。
ラップのクール・キース、確かにカッコいい。

こんな具合で楽しいトラックに溢れてます。ボーナス・トラックも含めて21曲も入っているので、続けて聴くと少々飽きるきらいはあります。結構ポップなものも入っていて、トラックは好きなんだけれど、渋さでは前に紹介したブギー・ダウン・プロダクションズ(BDP)のほうが好きかも?

以降色々なものがサンプリングされ再構築、コラージュ・アートと化していきます。

さて、ここでヒップホップについてちょっと考察しておきます。

ヒップホップを解釈するのには村井康司さん著「ジャズの明日へ」を読んでおくと分かりやすいです。「ジャズの明日へ」は70年代、80年代のジャズをきちんと書いてある数少ない(ほとんど唯一?)良書です。ここに書いてあることがヒップホップにかなり当てはまるのが面白いところ。まあそれは当然で70年代、80年代のジャズの特徴は同時代のヒップホップの特徴でもあるわけです。

1.「脳」と「腰」の欲望に向けて
1968年以降に起きた「感覚の変容」のことで、「脳」と「腰」に直接訴えかけることで快楽的な変革が実現されるとのこと。ロックの世界では、電気楽器による音色の変化、大音量による感覚の麻痺、多重録音などのレコーディング技術を使った「生演奏の存在しない世界の構築、長時間にわたる反復で生じる時間感覚のよじれなどが脳に働きかけることによって実現され、聴いたとたんに否応なしに体が動いてしまう「腰=グルーヴ」の快感もまた、熱いくせになぜかクールな16ビートの反復を基調とした「ファンク・ミュージック」の誕生により世界に広まったとしています。
これってヒップホップの「ブレイクビーツ」と言ってもいいですよね。

2.「うまい」と「へた」、あるいはフュージョンとパンク
「技術の音楽」「技術の快感」「そのテクニックが目的であることの爽快感」というフュージョンと、粗い手触りをさらにワイルドにしたようなサウンドと、ミュージシャンたちのファッションや顔つき、レコードのアートワークや歌詞など、すべての面から発散される強烈な反権威の匂いによって、ロックシーンに鉄槌を下したパンク・ロックが、同時に起こっていたという話です。
これってヒップホップで言えば、猛烈にテクニカルなDJまたはサンプリングを極めるプロデューサー(トラック・メイカー)がフュージョン的であり、反権威というか反体制な歌詞とファッション/顔つきなどラッパーはパンク的であり、サウンドの粗さを求めたということなどを考えれば、フュージョンとパンクが黒人社会で融合したのが正にヒップホップとも言えるのではないかと思います。

3.「オマージュ」と「コラージュ」
ハル・ウィルナーの『セロニアス・モンクに捧ぐ』『アマルコルド』『星空に迷い込んだ男』などに見られる「コラージュ」と、キップ・ハンラハンの「脱ジャンル音楽」に見られる彼が愛してきた多様な音楽への「オマージュ」について書かれています。
これってヒップホップのサンプリングにおける「コラージュ」であり、多彩な音楽(80年代はファンクやロック、90年以降はジャズ)を「コラージュ」する基には、ファンクやロックやジャズへの「オマージュ」があるということだと思います。

以上の3点ですが、ヒップホップという音楽の特徴をかなり上手く説明できているのではないかと、「ジャズの明日へ」に着目したことに対して悦に入っている私(笑)。

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