ラジオ快楽ジャズ通信

ドルフィーのバスクラ、濃いテーマですよね~!

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」
「エリック・ドルフィー特集~バスクラリネット編」

詳細は 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。

今回で放送開始から1年経ちました。
おめでとうございます!
第1回目の放送は雲さんの緊張が手に取るようにわかり、
思わず正座して聴いていた私もドキドキでした(笑)。
1年経ちましたよ~。
感無量でございます。
今年最初の放送にゲスト出演させていただいたり、
放送では毎度色々教えていただいたりで、
感謝しています。

さて、本日の放送。
最初はディレクター嬢からドルフィーのプロフィール紹介がありました。
ディレクター嬢、優しい声ですよね~。いいです(笑)。

<書き忘れがありましたので追記します。9/28>
アルバム『ラスト・デイト』に入っているドルフィーの言葉
"When you hear music, after it's over, it's gone in the air.
You can never capture it again. "

をディレクター嬢が読んでくれました。
これがなかなか良かったのです。
きれいな声で読むとカッコいいんですよっ!

雲さんはジャズマンの中でドルフィーが一番好きだとか。
ドルフィー参加のアルバムはほとんどもっているとのこと。
ドルフィーはアルトサックス、フルート、バスクラリネットを演奏します。
チャーリー・パーカーをパワーアップしたアルト、優雅なフルート、
そしてもっとも生々しいのがバスクラです。
ドルフィーの本能に近く、最も適していた楽器なのではないかとのことです。
バスクラの特徴は高音の艶かしい美しさとドスの効いた攻撃力のある低音。

ちなみに、私が持っているアルトサックス奏者のリーダーアルバムの枚数では、
ペッパー、マクリーンに次ぐ3番目がドルフィーです。

最初はバスクラのインパクトのある低音を味わう曲。
『ラスト・デイト』から《エピストロフィー》

テーマ部、バスクラのちょっととぼけた感じがモンクの曲にマッチ。
ソロになると一転アグレッシブになります。
個性的なアドリブ・ラインはどこからくるんでしょう?
そのアドリブがバスクラによって更に際立つ感じです。
好き嫌いがわかれるんでしょうね~これ。
私は好きですよ、ドルフィーのバスクラ。
くるものがありますよねっ。
ミシャ・メンゲルベルグのピアノがまたユニーク。
ベースもドラムもなかなかやってくれます。
凄い人達ですよ。
(以降緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

6月2日録音って、それ私の誕生日です(笑)。
モンクのピアノを重く陰鬱にした感のじミシャのピアノが良いと雲さん。
ドルフィーはモンクとやりたかったが願い適わず。
モンクに影響を受けたミシャとの相性は抜群とのことです。
雲さんはこの曲の最初の”ブヒブヒ”にやられたんだとか(笑)。

冒頭はインパクトがあるものだったので、次はもう少し聴きやすいもの。
『アウト・ワード・バウンド』から《オン・グリーン・ドルフィン・ストリート》
こちらはテーマ部でのバスクラの高音の厚みがある伸びやかな音色が魅力です。
ハード・バップの枠組みを踏襲しつつも新しさを加えています。

いわゆるハード・バップ色の濃い演奏ですよねっ。
バスクラの斬新さとオーソドックスなハード・バップとの融合。
こういうところがドルフィーならではで面白いんです。
バスクラをちゃんと使いこなしてマッチさせているから凄い。
フレディ・ハバードのミュートもカッコいいです。
ジョージ・タッカーの”ツンツン”ベースも気持ち良し。

オリバー・ネルソン『ストレート・アヘッド』から《イメージズ》
バスクラがアンサンブルに溶け込み異様かつ音に色彩感覚をもたらしています。
アレンジの妙、音色の妙を聴きましょう。

確かに雲さんの言うとおりでテーマから独特な感じです。
ネルソンの曲が妖艶な曲なので合いますねっ。
妙にそそられる曲(笑)。
ネルソンとドルフィーのマッチング、なかなかやってくれます。
こういう曲を選曲する雲さん、さすが鋭いところを突いてきますね~。

同じような理由でこちらもドルフィーがサイドマンとして参加。
アンドリュー・ヒル『ポイント・オブ・デパーチャー』から《デディケーション》
前の曲よりもうちょっとセンチメンタルで叙情的。
ある意味グロテスクな感じもします。
ブルーノート・レーベルの精鋭揃いのアルバムです。

ヒルのクールに燃える世界。
ドルフィーのソロは曲にマッチしていますねっ。
ヒルのピアノ・ソロ、いや~っ、美しい!
ジョー・ヘンダーソンのテナー・ソロがこれまたクール!
新主流派の美的世界なんですよね~、これっ。
新主流派を寒々しいと言う某氏がいます。
私は氏の美的感覚を疑いつつあります(笑)。

曲が終わった後で雲さんは美しい良い曲だと言います。
ドルフィーのバスクラがアンサンブルに良い色づけをして、かつ存在感もあります。

ドルフィーのバスクラといえばこれ。
チャールズ・ミンガス『ミンガス・プレゼンツ・ミンガス』から《ホワット・ラブ》
ミンガスとの楽器と楽器の音の会話を聴く曲。
演出臭さがあるかもしれないけれど面白い。
ミンガスがベースで「行くなよ。」と言い、
ドルフィーがバスクラで「やだ、行くんだ行くんだ。」と言っている。
という人がいるんだとか(笑)。
スリリングで咆哮する生々しさも聴いて下さい。

私このアルバムのB面はあまり聴かなかったです(笑)。
確かにこの会話面白いかも?
なるほどそういう聴き方をすれば面白いんですね~。
今まではあまり面白いと思わなかったのでちょっと発見!

<アフター・アワーズ編>

『アウト・トゥ・ランチ』から《ハット・アンド・ベアード》をB.G.M.にしてトーク。
雲さんは《ハット・アンド・ベアード》のバスクラの最初の音にやられたとか。
1964年の録音です。新幹線が開通。東京オリンピックの年。私は1歳でした。
オリンピックの放送を見て私が「旗、旗。」と言って喜んだという話を
親から聞いたことがあります。
こんな年にこんな進んだ音楽が録音されたのは凄いという話。
確かにそう思います。

次回から「快楽ジャズ通信」は2年目に突入です。
雲さん。これからも面白い番組をよろしくお願いします!

<追伸>
雲さんのブログにコメントされている「おっちん」さん。
拙ブログもお読みいただいているとのこと、嬉しいです。
どうもありがとうございます。

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ダラー・ブランドと中村尚子さんのピアノに和む。

本日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」
「ダラー・ブランド(アブドゥーラ・イブラヒム)特集」。
ゲストはピアニストの中村尚子さんでした。

番組詳細は「快楽ジャズ通信」をご覧下さい。

最初に雲さんからダラー・ブランドの説明があります。
南アフリカ出身です。
”ダラー”があだ名だとは知りませんでした。
デューク・エリントンに見出されたそうです。
エリントンとの出会いも面白いエピソードでした。
雲さんはダラー・ブランドの伝記映画を見て彼を知ったとか。

ここで中村さ登場。
雲さんは中村さんのピアノを聴いて詩人だと思ったとか。
そして、ダラー・ブランドも同様に詩人だと感じる、
お2人とも土の匂いを感じると言います。
中村さんはそういう比較をされたこたことがないので驚いたと言いつつも、
ダラー・ブランドからの影響はあるんじゃないかと言っておりました。

中村さんは番組の後でかける『ウォーター・フロム・アンシェント・ウェル』を
聴いて、音を拾ったら分かりやすかったなんて話もあります。
ハーモニーが自然でゆったりした感じも好きとのことです。

まずは雲さんが一番好きな曲。
『グッド・ニュース・フロム・アフリカ』から《ナジカナズ・ベル》
ピアノとベースのデュオで、ハーモニーがきれいな曲です。
ある意味ゴズペルを感じさせます。
雲さんは朝目覚めに聴いていたらしいです。

最初のボイス部分はアフリカの大地を感じさせるものがあります。
曲が始まると穏やかで荘厳な感じになります。
ピアノとベースに2人の歌(ボイス)の掛け合いがのっかり、
静かな感じから徐々に盛り上がっていきます。
アフリカの大地に日が昇るような感じに聴こえますね~。
そういう意味では目覚めに聴くのにはよさそうです。
(以降緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

中村さんはこの曲を聴いて寂しい孤独な感じになったとか。
雲さんもこの感想には少々驚きぎみ(笑)。
私も雲さんの感想に近いので、この感想にはちょい驚きです。
で、中村さんはこの曲を好きになったとのこと。

次は中村さんの好きな曲。
『アフリカン・ピアノ』から《チンチャナ》
アルバム・ラストの曲。6/8拍子です。

この曲は私も好きなんですよ。
なぜかというと私の好きなエルビン・ジョーンズの『ミッドナイト・ウォーク』に
ブランドが参加してこの曲をやっているからです。
で、私の中ではブランドというとこの曲のイメージが強いのです。
聴いているうちに力が湧き上がってくる演奏です。
このアルバム全体が力強いんでえすけどね。

1人で40分ぐらいやっているデンマークのカフェ・モンマルトルでのソロ・ライブ。
中村さんは、「このアルバムの演奏は最後の方が良くなってくる。」
「時間とともに楽器がよく鳴って、ピアノと一体化してくる。」と言います。
出だしの曲は違和感があり、ピアノとの間に距離があるとも言います。
雲さんはこの曲が好きだそうです。
そのうちに凄い鳴りが良くなっていくとのこと。
中村さんもこのだんだん良くなる感じは体験したことがあるそうです。

雲さんからは「ゴスペル感覚を感じる。」「後半に向けての盛り上がり感は
レイ・ブライアントの『アローン・アット・モントルー』のソロに通じる。」
なんて話もあります。
中村さんは「人間のシンプルな力強さ。」とも言います。
中村さんは子供の頃同じフレーズをピアノでずーっと繰り返して
遊んでいたことがあったらしいです。
変なんだけどそれがやめられないんだとか。
雲さんも「それよく分かりますよ。」と、同じような体験を持っているそうです。

ここで全くの余談。
『アフリカン・ピアノ』のライナーノーツは岩浪洋三さんが書いているのですが、
アフリカ音楽とジャズの関係を民族音楽やヨーロッパ音楽の影響の話をからめ
とても上手く説明していることを再発見(笑)!

次はオリジナル曲ではない、他人の曲を演奏したものです。
『南アフリカのある村の分析』から《ラウンド・ミッドナイト》
ピアノのタッチの強いエリントンなどのハーレム系のピアノ。
こちらももデンマークのカフェモンマルトルでのライブ。

このアルバムは後藤雅洋さん著「ジャズ・オブ・パラダイス」で推薦されていて、
私はず~っと探していますがまだ見つかりません。
確かにオーソドックスなピアノ・スタイルで弾いていますね~。
なるほど、雲さんが言うとおりの演奏です。
個性が際立つ感じではありませんが、ちゃんと説得力はあります。
これっ、ベースのうなりもなかなか良いです。
後藤さんが推薦する理由がよくわかりました。
ほしいな~っ、このアルバム。

聴いたあと2人は「かなり変だ。」と言っています。
ベースもついていくのがやっとだなんて話も。

いよいよ中村さんの新譜。
『新緑の中に雨が降っている』からタイトル曲

雲さんは凄く気に入っているとか。
雲さんのイメージは山の中の寺で雨宿りをしている感じ。
中村さんによると八幡平での体験をもとにしているそうです。
雲さんのイメージはあながちはずれていないとのことでした。
雲さんは「古澤良治郎さんのドラムが良い感じで、
演奏全体からは日本の土の香が凄く感じられる。」と言います。

で、土の匂いの話から中村さんは「夕立降り始めの土の匂いが好き。」と
言います。
雲さんも「そうですよねっ。」と強くうなづいていましたが、
これには私も全く異論はありません。
あの匂いってイイですよねっ。

頭の中にイメージが広がるようなサウンドです。
ドラムは確かに不規則に落ちる雨音のよう。
素朴なんだけどハーモニーは洗練されているように感じました。
耽美的なんですけが、張り詰めた空気でなく優しさを感じました。
日本人として落着く響き?がイイ感じでした。

雲さんから中村さんへ質問。「間は天然か計算か?」
中村さんによると、リズムはずっと保ち続けているが、それで満たされて
いたとんだとか。
演奏しての成り行きということでしょうか?

最後は『ウォーター・フロム・アンシェント・ウェル』からタイトル曲
中村さんからは、抜いていっても引いていっても音がある話があります。
ピアノは弾いていなくても、ピアノのブランドがちゃんと存在するという話。
「弾くのも大事だけど、弾かないことも大事だと思う。」とも言います。

長閑で郷愁を感じるゴズペル風、ファーク風な曲ですね。
どことなく《明日に架ける橋》に似たメロディー・ラインの曲です。
バリトン・サックス、トロンボーン、テナー・サックス、フルートのソロも
雰囲気によくマッチしています。
ピアノはあまり聴こえてきませんね~。確かに。
土の匂いは感じますが洗練された音の雰囲気もあります。

お2人とも田舎が岩手県なので、感じが通じ合ったのかな?
なんてことを話して終了。

<アフター・アワーズ編>

雲さんがダラー・ブランドに触発されて作った曲。
曲というよりモチーフなんだそうです。
曲名は《神無月》

最初の方のフレーズはどことなく《エンジェル・アイズ》に似た感じでした。
雲さんのフレッドレス・ベースの上に中村さんが鍵盤ハーモニカで
イメージを膨らませながら音を弾いていきました。
雲さんのちょっと怪しげなベースライン(ミック・カーンを意識したとか)もイイです。
中盤あたりから中村さんがキモカワなハーモニーを弾いて盛り上がってきます。
で、途中でいきなりエレピが”ガツーン”ときたのでビックリしました。
楽しい演奏になっていました。

今日の放送を聴いて、
私のダラー・ブランド=『アフリカ・ピアノ』なイメージは払拭されました。
そして、中村さんの土の匂いを感じさせつつもアーシー過ぎないスマートな音使いは
ダラー・ブランドにも共通するのかなっ?と感じました。

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祝い!第50回。「高野 雲の快楽ジャズ通信」

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「キース・ジャレット特集」でした。
今回で50回目です。おめでとうございます!
そしてあと2回で番組開始から1年を迎えます。

番組詳細は 「快楽ジャズ通信」 を参照願います。

キースのプロフィールはディレクター嬢から説明があります。新趣向ですね。
B.G.M.は『ケルン・コンサート』《パート2c》です。

キース・ジャレットの特徴はまずうめきながら弾くところ(笑)。
音楽的にはメロディーが湧き出る自由で奔放なピアニスト。

最初はチャールス・ロイド『フォレスト・フラワー』から《サン・ライズ》
出だしのチャールス・ロイドの眠たげな気だるいサックスから
キースのソロに変わると日が昇るように世界がかわる感じになるところに注目。
リーダーを食ってしまうほどのピアノです。

私もこのアルバムは大好きです。
キースの瑞々しいメロディアスなソロは誰しも良さを認めるところでしょう。
私はロイドのコルトレーン・ライクなサックスも好きです。
(以降緑字は、曲を聴いての私の感想などです。)

次は人気ピアノ・トリオ。
スタンダーズの『スタンダーズVol.1』から《オール・ザ・シングズ・ユー・アー》
ジャズのスタンダードをキースが瑞々しく蘇らせるところに注目。
アイデアが次から次に湧き出て盛り上がるピアノです。
途中からディジョネットのドラムが煽り、エキサイティングになります。

これは私が最初に買ったキースのアルバム(CD)です。
確かに最初はうなり声が気になりました。
私が自分の部屋のオーディオで聴いていたら、
母がやってきて「あんたが「う~う~」言いながら聴いているのかと思った。」と
笑いながら言ったのを鮮明に記憶しています。
そのくらいのうなり声です(笑)。
溢れ出る美メロの数々は凄いものがあります。
これを聴いているとうなり声はどうでもよくなります。
この頃のキースには手が付けられない感じですよねっ。
私はライブも見ました。
その時の印象は想像以上に感じたブルース・フィーリングでした。

ここで雲さんの興味深いキース考。
「キースはなぜうなりながら中腰で腰をくねらせて弾くのか?」

”アイディアの嵐”のせいではないかと言う事でした。
アイディアが次から次から湧いてくる”アイディアの嵐”。
ピアノを早く弾かないとアイディアを出力するのが間に合わない。
膨大なアイディアを表現しきるためには、
うなりそして腰をくねらせながら演奏する必要があるのではないか
ということでした。

もう1つのキース考。
「キースは即興演奏が得意なのに、どうしてスタンダードを演奏するのか?」

それは自分のアイディアの放出の行き過ぎにたがを嵌めるためなのではないか
ということでした。

どちらもなるほどな~と思いました。

次はクラシックのキース。
ミカラ・ペトリ『バッハ:リコーダー・ソナタ集』から
《6つのリコーダー・ソナタ集 ソナタ ハ長調 BWV1033 II.Allegro》
ミカラ・ペトリのリコーダーのバックでキースがチェンバロを弾いています。
キースのうねりのある気持ちの良いグルーヴを聴いて下さい。

軽快で小気味良い演奏です。
リコーダーとチェンバロが気持ち良いですね~。

次はヨーロピアン・カルテット『マイ・ソング』からタイトル曲
北欧出身ヤン・ガルバレクの透明感あるサックスを聴きましょう。
このカルテットのアルバムはたくさんあるのですが、雲さんが好きな曲。

これ、実は私も好きなんですよ。
切なく甘くロマンティックな美メロが堪りません。
北欧ならではのクールで泣きのサックスが奏でるのが良いんです。
もちろんキースも美メロを全編に溢れさせています。
結構泣かせる演奏なんですよ(笑)。

次はピアノ・ソロ。
慢性疲労症候群から復帰した後に吹き込んだアルバム。
『メロディー・アット・ナイト、ウィズ・ユー』から《アイ・ラブズ・ユー・ポギー》
暗い内省的な部分もあり、きらびやかさはないがじわじわ染みる演奏。
淡々さの積み重ねが高い感動にいざないます。

私は後藤雅洋さんの著書でこれが推薦されていたので買いました。
キースのソロ作の中では私も好きなアルバムです。
聴いて、アルバム・タイトル通りの演奏だと思いました。
「あなたとともに、夜のメロディー」って感じなのです。
たまにはこういうのを聴いて心を落着けるのも良いものです。
私にはこれっ、それほど暗くは感じないんです。
落着いた静かな演奏という感じが強いのです。

ラストは対極的なピアノ・ソロ。
『フェイシング・ユー』から《イン・フロント》
世間的には『ケルン・コンサート』が有名なのですが、クサイのでこちら。
確かにケルンはセンチメンタルで甘すぎるんですよね(笑)。
こちらは躍動感があり、強いエモーションが感じられる曲です。

こちらは力強い演奏で聴き応えがあります。
ここでもメロディーが溢れ出てくる感じです。
雲さんが言うように躍動感がありますよねっ。

<アフター・アワーズ編>

デイレクター嬢とのまったりトーク。
雲さんは多彩なキースは1時間では足りないと言います。
多彩な顔をもつキース、雲さんはどの顔が好き?
スタンダーズがはずれがないので好きだそうです。
ソロも良いのですが全部には付き合いきれないとか。
もう1つの好きな顔は?
マイルス・グループに居た頃のオルガン・エレピを自己陶酔の境地で弾くキース。
マイルスの『アット・フィルモア』や『ライブ・イビル』もかけたかったとか。
そこでの神懸かったキースが好きだそうです。
ディレクター嬢は《アイ・ラブズ・ユー・ポギー》が良かったとか。
これまでに番組で紹介したジャジーなピアニストとは違うなんて話もありました。

今日のキース特集。
私の好きな曲がたくさんかかったので◎(笑)。
そして、リスナーにキースの魅力はよく伝わったのではないかと思いました。

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この時期のマイルスは私も大好きなんです。

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」
「第2期黄金のクインテット時代のマイルス」でした。
ゲストはジャズ・トランペッターの類家心平さん。

類家さんのプロフィール話は「You Play Jazz」のコチラをご覧下さい。
http://www.youplay-jazz.com/movies/view/600
面白い話ですよ。
見た目の印象とちょっと違って、類家さんの素朴で親しみ易い感じが伝わります。
私にジャズを指南してくれた従兄に似た雰囲気もあり、
私は類家さんが好きになりました。

番組の詳細は 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。

最初にマイルスの第1期黄金のクインテットと第2期の違いについて
類家さんから説明があります。

マイルスのトランペットはあまり変わっていません。
それ自体がまず凄いと言いつつ、
ビ・バップ特有のフレーズ、3連符などが減っていき、
それはディジー・ガレスピーから離れていくという意思だろうと推測しています。

まずは類家さんおすすめの曲。
新主流派の夜明け。サックスを探してバンドが揺れ動いていた時期の演奏。
このアルバムにはウエスト・コースでの録音とイースト・コースとでの録音が
入っているのですが、敢えてウエスト・コースとでの録音を選択。
『セブン・ステップス・トゥ・ヘブン』から《家へおいでよ》

これは新主流派時期のマイルスのミュートによるバラッドの名演です。
やっぱ、マイルスの歌心ってイイですね~。
この曲を選ぶあたりに類家さんの拘りを感じます。
(以降、緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

この頃はハード・バップ時代のメロディーを大事にする歌うマイルス。
これがマイルスの基本。色々なボーカリストから影響されています。
類家さんは「70年代色々やって、80年代はまた歌のマイルスが戻ってくる。」
なんて話もしています。確かにそうですよね。

いよいよ第2期黄金のクインテット時代のマイルス。
抽象化されていくマイルスです。
『ラウンド・アバウト・ミッド・ナイト』から《ラウンド・ミッドナイト》のテーマをかけ、
『プラグドニッケルのマイルス・デイビス』から同曲

このメンバーならではの新しい響きのバンド・サウンドが醸し出されています。
私はこの時期のマイルスも大好きです。

かなり変わっています。フリーに接近しています。
「ショーターをはじめ、フリーが好きな面々なので、マイルスがいない場面では
フリー寄りになる。」と類家さん。
類権さんは「バンドがその場でどう反応するかという方向になってきている。」
とも言っています。

雲さんが「ハンコックがどうにでもとれる和音を弾いている。」と言います。
類家さんは「ピアノのバッキングによって自分の演奏もかなり変わる。」と
言っています。
類家さんは続けて
「マイルスは強いので、マイルスの出した音にメンバーがつけるのが凄い。」
「マイルスのわざと外した音にもきっちりついていくメンバーが凄い。」
「マイルスの音の説得力が素晴しい。」
「それについていくメンバーの意気込みも凄い。」と言います。
類家さんがこの時期のマイルスをお気に入りというのが伝わってきました。

雲さんから類家さんに質問。
「ハンコックのような抽象的なバッキングと、ウィントン・ケリーのような
分かりやすいバッキングのとどっちが好きですか?」
類家さんはハンコックのような抽象的な方が好きだそうです。

「新しい音楽だぞっ」ていう感じがする曲。
『ESP』からタイトル曲

いかにもウェインなソロがまずイイですよね(笑)。
それに続くマイルスの抽象的なフレージングも私は好きです。
とにかくカッコいい感じがします。
ハンコックのフレッシュな響きの短いソロもイイ。

「マイルスのプレーがスピード感があって良い。トニーもカッコいい。」と雲さん。
「ある時から3連符がなくなるのはトニーのシャープなドラムのせいかも。」
なんて話もありました。なるほど~。

ショーター色が強くなる演奏。
『ネフェルティティ』から《フォール》
この曲のミュートとオープンの吹き分けの感想を聞きたい。

ミステリアスな雰囲気が漂う曲はショーターらしくてイイですよね。
私はこういう「美」をイメージさせるところが好きなんです。
クール&ビューティー。
最初しばらくミュートで吹いたあとソロはオープンでラストはまたミュートです。
後半のショーターのソロはイマジネイティブですよね。
この時期のマイルス・クインテットはやっぱカッコいい。

雲さんは「まったりしていていい感じ。サウンドがこのバンドにしか出せない。」と。
類家さんは「マイルスの曲が減ってメンバーの曲が多くなるのに、
マイルス・サウンドなのがこの時期のマイルス。」と続けます。
あれっ!ミュートとオープンの吹き分けの感想がないですね(笑)?
編集で消えちゃったのでしょうか?雲さん教えて下さ~い。

上記の件について雲さんのブログに真相がUPされました。
コチラ↓
http://kairaku-jazz.seesaa.net/article/127533683.html?reload=2009-09-08T00:05:43

どうやら曲をかけている間、類家さんとの話が盛り上がり、
雲さんは質問のことを忘れてしまったみたいです(笑)。
人間、誰しも忘れることはあります。しょうがないと思います。
でも、類家さんの感想を聞きたかったな~(笑)。

ラストは類家さんのアルバム『DISTORTED GRACE』から《SKID》
雲さんは突き刺すようなトランペットとリズムがカッコいいということで選曲。
アルバムタイトルと曲名の意味するところについて類家さんから説明がありました。

ベースだけの出だしからカッコいいぞな予感です。
今時のクラブ/ジャムバンド系サウンドです。
私この手のやつ結構好きですよ。
リズムは人力ドラムンベース。
雲さんが好きなのも分かるな~。
例のマーク・アイーサの『オファリング』系です。

<アフター・アワーズ編>

「類家さんのトランペットはストレートで直球的ですよね。」と雲さん。
類家さんは「もっとドロドロでありたい。」と意外な返事でした。

類家さんのミュートと雲さんのエレベでデュオです。
雲さんは類家さんのミュートが好きということで、《アイ・ラブ・ユー》をリクエスト。

スローで入って、途中からミディアム・テンポに。
リスムチェンジがなかなかお洒落です。
ミュートの音がいいですね。フレージングも比較的シンプルです。
類家さんのプレーからはマイルスに魅せられた感じが滲み出ていました。
良い演奏でした。

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行方さんのジャズ入門も強烈です。

選挙しっかり行ってきましたよ。
いや~っ、これほどまでに民主党が勝つとは思いませんでした。
ず~っと前から一度政権交代させたかったので私的にはグッドです。
今開票で盛り上がっていますが、私はいつものとおりラジオを聴いています。

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「ブルーノート1500番台の個性派たち」
ゲストはEMIミュージック・ジャパンのレコード・プロデューサーの行方均さん。
渋いテーマですね~。行方さんは2度目のゲストです。
番組の詳細は 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。

行方さんのジャズとの出会いとも言える1曲。
ビートルズをひととおり聴いた後に、これを聴いてビックリしたそうです。
雲さんもインパクトを感じ、聴きこんだ曲。
『ジ・アメイジング・バド・パウエル vol.1』から《ウン・ポコ・ローコ》

これについては何も言うことはありません。
ジャズ・ピアノ・トリオのバイブルでもあるわけですからねっ。
これ、買わないとと思っているのですが、
中古レコードでコンディションの良いやつがなかなか出ないんですよ(涙)。
(以降、緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

セロニアス・モンクの’変さ’を聴いてもらおうと思ったのですが、
まっとうすぎるということで、モンクと同様に変だけれど人気が出なかった人。
雲さんはムッツリ変と言っています(笑)。
行方さんは好きだそうです。
『ハービー・ニコルス・トリオ』から《ザ・ギグ》

ほんと、この人も変ですよね。
スインギーで重厚な響きが良いです。

実は行方さんがブルーノートに嵌った順にかけているんだとか(笑)。

次はJRモンテローズ。スタッカートの多い吹き方。スタイルのある人です。
『J.R.モンテローズ』から《ヴィー・ジェイ》

私もこの人は好きです。
「嵌る」要素を持った人だと思います。
私はフィリー・ジョーのドラムの躍動感も好きなんですよ~。
モンテローズではJARO盤の『ザ・メッセージ』も最高ですよね。

行方さんはこんな感じでブルーノートに嵌っていったとか。
呪術的にいざなう感じとか言っていました(笑)。

ケニー・ドーハムはジャズ・プロフェッツというバンドを作って売れませんでした。
バンド・メンバーだったJ.R.モンテローズが参加。
同じくメンバーだったドラムのアーサー・エッジヒルの参加が珍しい。
エッジヒルはシンバルの使い方が当時としては斬新。
トニー・ウィリアムスにも似たパルスのような叩き方です。
『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』から《メキシコ・シティ》

確かにドラムに注目すると行方さんが言うとおりでした。
ドーハム、モンテローズ、ケニー・バレル、ボビー・ティモンズ。
みんなイイです。
ジャズってやっぱこれだよな~な曲ですね。

雲さんから《テンパス・フュージット》のコード進行だという話があります。
ドーハムは曲作りも素晴しい人です。

行方さんは「個性でブルーノートを選ぶとみんなそうだ。」とも言います。

ここでジミー・スミス
このようにハモンド・オルガンを弾いた人はこの人の前にはいません。
そういう意味では超個性派の人です。
『ア・ニュー・サウンド・ア・ニュー・スター~ジミー・スミス・アット・ジ・オーガン Vol.1』
から《ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト》

スミスのオルガンがアグレッシブですね~。
ひきつり系の弾き方に揺さぶられます。
う~ん、確かに個性派だと思います。

この頃のスミスは音が襲い掛かってくると雲さんは言います。
行方さんはスミスを、ホーンのように弾くオルガンのハード・バッパー。
飼いならされない獣のようなと言っていました。
昔はジミー・スミスだけが毛嫌いされたこともあったという話がありました。

聴かず嫌いの人が多いアルバム。
ボーカル参加のバプス・ゴンザレスがジミー・スミスを発見したと
言っているんらしいです。
ベニー・グリーン『ソウル・スターリン』からタイトル曲

これ、最初のスキャット・ボーカルから臭いんですよ(笑)。
私も実はちょっと苦手なのです。

残念、途中にエンディング・トークが入ってしまいました。
今日は行方さんのトークがかなりのっていましたからね(笑)。

<アフター・アワーズ編>

雲さんはディレクター嬢から「ブルーノートの変り種」と聴いていたとか。
雲さんは3枚持ち込んで、うち2枚は行方さんと重なっていたとのこと。
1枚は番組でかけたハービー・ニコルス、もう1枚はサブー。
サブーをB.G.M.にトークです。
重ならなかったのはユタ・ヒップ/ズート・シムズです。
サブーがらみの興味深いトークを聞けました。

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ジャズボサ聴いて、気分は最高(笑)!

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「ジャズボサ特集」
詳細は 「快楽ジャズ通信」 を参照願います。

最初は『ゲッツ/ジルベルト』から《ソ・ダッソ・サンバ》
前半ジルベルトの歌の涼やかさと、後半ゲッツの熱いソロの対比を聴く曲。

なるほどそうきますか~(笑)。
普通なら《イパネマの娘》をかけるとことなんですけどね。
この曲のゲッツの熱いソロに注目するのがジャズ・ファン(笑)。
(以降、緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

まずは曲をかけて、聴けばわかる? 
う~ん、私分かりませんでした(涙)。
《リカード・ボサ・ノバ》のコード進行だったんですね。
ということで、ハンク・モブレー『ディッピン』から《リカード・ボサ・ノバ》
哀愁のメロディー。一時期ジャズ喫茶で流行った曲です。

私が買った最初のモブレーのレコードです。
これ、聴きまくりましたので懐かしい!
当時、モブレーよりリー・モーガンの輝かしいトランペットにグッときました。
ハロルド・メイバーンJr.のブロック・コードを生かした短いソロも素敵です。

雲さんは、この曲についての若い人の反応を知りたいそうです。
クールとダサさの境界線上にある曲なんじゃないかとのこと。
なるほどね~。確かに感想を聞いてみたくなりました。

テナーが続きます。
奄美の某CDショップ(サウンズ・パル)でコンスタントに売れている1枚。
チャーリー・ラウズ『ボサ・ノバ・バッカナル』から《バック・トゥ・ザ・トロピックス》
ラウズのちょっとスタッカートするまじめな吹奏が
バックのリズムに合わないようで合っています。

私はこのアルバムを持っていません。
この曲、タイトル通りのトロピカルな雰囲気が良いですね~。
ラウズの軽やかなテナーと、続くこれも軽やかなギターが快適です。
夏に聴きたいこの1枚決定!

まずは聴いてみて! 
これはジョー・ヘンダーソンの《ブルー・ボサ》ですな。
作曲はケニー・ドーハム。
アルバム『ページ・ワン』からでした。
テナーが3曲続いたので、編成を変えた演奏をお聴かせ。
ビブラフォン、ギター、ベースのトリオです。
ミルト・ジャクソン、ジョー・パス、レイ・ブラウン
『ビッグ・スリー』から《ブルー・ボサ》

なかなかクールで気持ちの良い演奏ですね。
漂うフワフワ感に気分が軽くなってきます。

次は変り種。雲さんの愛聴盤。
ニールス・ペデルセンサム・ジョーンズ
『ダブル・ベース』から《ア・ノーション》
白人vs黒人の水と油の組み合わせの妙。
メロディーのしんみりした感じが味わい深いです。
右がサム・ジョーンズ、左がニールス・ペデルセン。
バックのフィリップ・カテリーンのギターも良い味わい。
雨の日に聴くとマッチする曲。

これは渋いですね~。
いやっ~、雲さんの説明通りで、なかなか味わい深く良い演奏です。
このアルバムは買いたくなりました。
この2人はスティープルチェイス・レーベルのたくさんのアルバムに参加
していますよね。

テナーに戻ります。
デクスター・ゴードンと言えば、《カーニバルの朝》でしょうという声があるが、
雲さんはあんまり好きではないということで(笑)、
『ゲッティン・アラウンド』の中の別の曲です。
雲さんは、このアルバムのジャケットもお気に入り。
で、このアルバムから雲さん一押しの美容師という意味の《ル・クワフール》
楽しくてオセンチな感じの曲です。

そう言えば、私がブログでこのアルバムを取上げた時に、
この曲が好きだと雲さんからコメントをいただいていました(笑)。
この曲は私も大好きで、このアルバムの中では一番好きです。
ボサノバではありませんが、違和感はありませんでした。
今日はこの曲で〆なんて、私的にも気分は最高!

<アフター・アワーズ編>

キャノンボール・アダレイ『キャノンボールズ・ボサノバ』から《クラウズ(雲)》
をバックに、ジャズボサのお話。
ボサノバはクールネスが特徴です。
「西洋オペラ主義の反逆」と言われているんだとか。
オペラの熱唱に対する、ささやくつぶやくクールネスだそうです。
これは初めて聞いたのですが、面白い話でした。
他にも興味深いボサノバ話がありましたよ。

ボサのことに興味がある方は雲さんのブログに参考書が紹介されています。
ココ
http://kairaku-jazz.seesaa.net/article/126225175.html#comment

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熱い《キャラバン》でもクールなウィントン。

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「キャラバン特集」でした。
詳細は「快楽ジャズ通信」を参照願います。

最初にリスナーからのメール紹介。
モンドさんから。この番組の全ての放送を録音しているんだとか。
この番組はジャズ辞典だと言ってますね。確かにそうですね。
モンドさんはアルト・サックスを吹くらしいです。
私、モンドさんに完全に負けました。
録音はしていませんからねっ。

雲さんの《キャラバン》にまつわるお話から。
ベンチャーズ・バージョンをB.G.M.にして説明。
雲さんはこの曲を演奏した機会も多く、色々な思い出があるそうです。

ギターのゆがみっぷり、捩れに捩れまくるギター。
上原ひろみソニクブルーム『ビヨンド・スタンダード』から。

ここからきましたか~。
これはデビッド・フュージンスキーの変態ギターが特徴の曲。
雲さんが言うように上原ひろみというよりバンドのサウンドを聴くべきものです。
途中でラテン・タッチになるところなんか面白いと思います。
私はこのバンドのロック調とキメキメがツボです。
なのに、今度の上原ひろみのアルバムはピアノ・ソロなのです(涙)。
一発目がこれなので、私は気分爽快ですね~(笑)。
(以降緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

ここで改めて《キャラバン》の説明。

オリジナル・バージョンを聴きましょう。
デューク・エリントン楽団『1936-1937』から

これはこれで味わい深いです。

次は歌入りバージョン
ナットキング・コール『アフター・ミッドナイト』から。
カウンター的なファン・ティゾールのトロンボーンが怪しさを振りまきます。

これはラテン・タッチを強調した楽しいものですね。
コールの粋なボーカルも良いです。

まだまだ怪しさは続きます(笑)。
バイオリンが参加することによってオリエンタルな怪しさが増す。
エキゾッチックな雰囲気が増しています。
アフロ・キューバンを取り入れたディジー・ガレスピー『ザ・チャンプ』から。

確かにバイオリンがいい味を出しています。

今度は垢抜けた都会的な演奏。
ベタつくオリエンタルな感じがしないもの。
あっさりさらっと洗練されたバージョン。
マーカス・ロバーツのピアノがニューヨークの摩天楼を想像させます。
ウイントン・マルサリス『スタンダード・タイムVol.1』から

確かに洗練を感じさせますね。
リズムも処理もなかなか現代的なものです。
なかなかカッコいい演奏で私は好きです。
このアルバムのウイントンはやっぱり凄いと思います。

雲さん曰く。
「垢抜けているがジャズ・スピリッツは持っている。」
「オーバーブローイングしなくても聴かせてしまう。」

ピアノ・トリオならこれ。
デューク・エリントン
『マネー・ジャングル』から。

このアルバムの演奏はどれも濃いんですよね~。
エリントンのピアノの凄みが味わえます。
右手のいきなりの強打とか、左手の強烈な和音とか。
これは普通の人が真似してもここまで様にはなりません。
ミンガスのベース、ローチのドラム、全員強烈な主張をしています。
やっぱりジャズってとんでもない音楽です(笑)。

最後はアート・ブレイキー。
《キャラバン》はドラムの見せ場の曲でもあります。
それにふさわしいブレイキーのエネルギッシュなドラムが聴き所。
メンバーも充実したバージョン。
アート・ブレイキー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『キャラバン』から。

まっ、ジャズ・メッセンジャーズのやつは定番ですね。
特に何も言うことはありません。
ブレイキーのドラムにジャズを聴けってことです(笑)。
ハバード、ショーター、フラーのソロも良かったです。

今日はこの曲でエンディング。

<アフター・アワーズ編>

ディレクター嬢が「暑かったですね~。」なんていいます。
ディレクター嬢のお気に入りはウィントン・マルサリス。
クールなやつがお好きなようです。
『マネー・ジャングル』も良いとは言っていましたが。

久々の初見弾きのコーナーです。
ディレクター嬢のオルガン風キーボードと雲さんのベースでデュオ。
このコーナーは楽譜にどう表記されているかが分かって意外と面白いんですよ。
ジャズマンのテーマ合奏は少し編曲しているんだなというのが分かります。

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エレクトリック・マイルスはイイ!そして作家平野啓一郎さんの「マイルス愛」!

今日の「高野 雲の快楽ジャズ通信」「エレクトリック・マイルス特集」
ゲストは作家の 平野啓一郎 さん。

最初に雲さんからエレクトリック・マイルスの解説。
雲さんはちょっと興奮気味ですね(笑)。そして長~い。
平野さんからマイルスがなぜエレクトリック化したかの仮説があります。
You Play JAZZ?で配信されている収録風景をご覧下さい。
ココ
http://www.youplay-jazz.com/movies/view/568

バックに薄くマイシャがかかっていて、今回はなんかカッコイイです。

マイルスのソロのバックでハービー・ハンコックがピアノを弾かない演奏。
スペースを気にするマイルスが、ピアノのコードの塊がスペースを埋めて
しまうのを避け始めた頃の演奏。
『マイルス・スマイルズ』から《オービッツ》

この辺りから、硬いピアノの音をどうしようと思って、エレピを導入。
そのエレピの”ジワ~ッ”と広がる音を、平野さんは「リキッドな感じ」称しています。
雲さんが言うように、この表現が文学者ならではなのです。

この曲ではハービーのソロでさえ左手でコードを弾かず右手のみ。
平野さんはこういうところからも緊張感を感じる演奏だと言っています。

エレピのリキッドな感じを示す音源。
『イン・ア・サイレント・ウェイ』から《イッツ・アバウト・ザット・タイム》
途中フェード・アウト。

平野さんは、
「ピアノはシリアスで高級感がある。
音楽が変わっていくなかでそれが不要になっていく。
構造が明確になっていく。
リズムを細かくして音色を増やしていき、混沌へとつながる。」
と言っています。

平野さんは、流れで作品を見るのが好きだそうで、
それらを追って行くなかで何かを見つけていくのが好きだとか。

ここで、小説とのからみでマイルスの音楽を語ります。
You Play JAZZ?で配信されている収録風景をご覧下さい。
ココ
http://www.youplay-jazz.com/movies/view/568

平野さんは、冒頭で雲さんが言っていたのと同様に、
マイルスは知的好奇心を刺激するとも言っています。

エレピには攻撃な部分もあるということで、チックのエレピ
『ブラック・ビューティー』《パート1》
途中フェード・アウト。

かなりエグイ。
ロックが出てきて、でっかい会場でやったときのPAのでっかい音に影響。
そこではキーボードもこれくらいえぐくて攻撃的になる。
ピアノは上品になっちゃうから、アタック強くしても物足りなくなっちゃう。
なんて2人の会話があります。
You Play JAZZ?で配信されている収録風景をご覧下さい。
ココ
http://www.youplay-jazz.com/movies/view/568

ギターを導入する話。
ビッチェズ・ブリューはギターでカッティングはしていない。
ジミ・ヘンやJBからの影響もあり、リズムにギターを取り入れていく。
そういう演奏で平野さんオススメ。
《ブラック・サテン》のバリエーションで、スネアの”バシッ”が好きなこの曲。
『オンザ・コーナー』から《ワン・アンド・ワン》

平野さんは、「ロックとかファンクのビートを捻ったというより、
一から作ったんだろうと感じる。」と言います。
雲さんは、「打ち込みでは簡単にできるリズム・パターンを人力でやって、
ちょっとズレたりするのが面白い。」と言います。

雲さんは『パンゲア』よりどろどろなところが好きだという
『ダーク・メイガス』から《モジャ》
途中フェード・アウト。

平野さんは、
「ジャングルの中の混沌。ライブの尺が長くなって、時間感覚が変わっている。
これも麻薬の影響だろう。」
「ピンク・フロイドのシンセの演奏でも、餅みたいに時間が”ビローン”と伸びている。
これも麻薬の影響はあるだろう。」
と言っています。
「餅みたいに”ビローン”」なんて、面白い表現を使いますよね。
これをスピーカーの前で聴くときは気合を入れて聴かないといけないなんて話も。

ギターの話とマイルスに嵌った話。
『カインド・オブ・ブルー』でピンと来て、
アコースティックもエレクトリックも平行して聴いていたそうです。
You Play JAZZ?で配信されている収録風景をご覧下さい。
ココ
http://www.youplay-jazz.com/movies/view/568

ギターのジョン・マクラフリン入りオススメ。
『ジャック・ジョンソン』から《ライト・オフ》

新作『ドーン』の話。古平正義さんによる拘りぬいた装丁とのこと。
小説を読まない私なのですが、平野さんのホームページを見ていたら、
SF的な設定なようで、読んでみたくなりました。

今日は《ライト・オフ》でエンディングです。

<アフター・アワーズ編>

アコースティック・ピアノとエレクトリック・ピアノのニュアンスの違いを
ディレクター嬢のキーボードと雲さんのベースで実演。
『ソー・ホワット』の出だしのフレーズ。
よくわかりましたよ。

平野さんが「ベースの人はこのリフは弾きたいですよね。」なんて言います。
ここで雲さん持参のオリジナル・フレッドレス5弦ベースの話へ。
楽器をやるもの同志の会話です。
平野さんは今はギターを弾く暇がないそうで、
バンドをやるにしても、今は何の音楽をやりたいというのがないそうです。
またいつかやりたい音楽がみつかればバンドもやるかもとのことでした。
平野さんはマイケル・ジャクソンも好きということで、
話題は《ヒューマン・ネイチャー》へと。
マイルスの《ヒューマン・ネイチャー》は晩年テンポが速くなっているが、
平野さんは遅いほうが好きで、モントルー・ジャズ・フェスの頃が好き、
フォーリーが入ってからのやつはダメらしいです。
《タイム・アフター・タイム》はシンディー・ローパーよりマイルスの方が好きとのこと。
雲さんと意見が一致していました。

とりとめもない会話。楽しそうでしたよ(笑)。

「TALKIN’ ジャズ×文学」小川隆夫、平野啓一郎を読むと、
今回の放送で平野さんが語っていたことも出てきますので是非ご一読を。

今回の「エレクトリック・マイルス特集」は良かったですね~。
普通、『ブラック・ビューティー』『オン・ザ・コーナー』『ダーク・メイガス』
『ジャック・ジョンソン』なんてかかりませんよ(笑)。
マイルス好きな私としては平野さんのお話には頷けるものがありました。
そして、平野さんの語りからは「マイルス愛」が感じられて良かったです。

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きれいなお姉さん、山崎史子さんのヴィブラフォンに酔う!

今日は「高野 雲の快楽ジャズ通信」の再放送でした。
「ゲイリー・バートン特集」
ゲストはヴィブラフォン奏者の山﨑史子さんでした。
詳しくは 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。

多芸多才なバートンの魅力とは?
今日は山崎さんとお話しながら魅力を解明していきましょうとのこと。
山崎さんのバートン観は?
「スリリング。スピード感。音楽全体として楽しめる。」とのことでした。
バートンのフレーズを真似したいけれど、なかなか真似できないとのこと。
なぜなら、パッセージにスピードがありつつニュアンスがあるところや、
音の粒立ちと抑揚の両立などが難しいからだとか。
何度聴いてもバートンは自分の上にいるらしいです。
なかなか深いですね~。

まずは『クリスタル・サイレンス』から《セニョール・マウス》

チックとのデュオは相性が良いと思います。
どういうことかというと、音への美的アプローチが似ているのです。
2人の奏でる美の世界は好きです。
(以降、緑字は曲を聴いての私の感想などです。)

曲後、「いいですね~。ガハハッ!」なんて感じで凄く楽しそうです(笑)。
「ゲイリー・バートン愛!」と言ってますが、「ゲイリー・バートン命!」ですね(笑)。

山崎さんのこれはカッコイイな1枚。
山崎さんは変拍子が好きらしいです。
それは昔ロック・ドラマーになりたかったことにも関係があるみたいですね。
『ザ・ガーシュイン・コネクション』から《魅惑のリズム》

これはお洒落なフュージョンですね。
聴いていると気持ちがウキウキしてきます。
楽しいです。それにつきると思います。
GRPの音ですね。

デイブ・グルーシン(p)、ジョン・パティチ(b)、デイブ・ウェックル(ds)。
難しいリズムをさらりと演奏しています。
打楽器奏者の血が騒ぐとのことです。
このメンバーなら最もな感じです。

続いて雲さん選曲で、叩く要素が強いもの。
シロフォン(ザイロフォン)を演奏している曲です。
山崎さんがマリンバやヴィブラフォンとの違いを色々解説してくれました。
なるほど~。
雲さん曰くコミカルな曲。
クラリネットのエディー・ダニエルズゲイリー・バートンの双頭リーダー盤
『ベニー・ライズ・アゲイン』から《ノック・オン・ウッド》

小粋で楽しい演奏です。
この音で思い出しましたよ。
ドラムのジョン・ホレンベックも最近よく使っていますね。

マレット4本を駆使して、和音奏者としても凄いバートン。
山崎さんによると、マレットの開き方などが難しいとのこと。
グリップも3種類あるんだとか。

ゲイリー・バートンパット・メセニー『カルテット・ライブ』から《シンドローム》

この2人も相性が良いと思います。
私はこの2人の共演は
『ゲイリー・バートン・リユニオン』で愛聴しています。

雲さんは「メセニーとバックで叩くバートンの和音が溶け合っている。」と言い、
「テクニックはあるけれど、全体的にはマイルドな感じ。」と続けます。
確かにその通りでした。
山崎さんは「音色が柔らかいけれど粒がはっきりしている。」と言います。
「結構強く叩いているのにギラギラしない。」とも言います。
なるほどね~。

最後は山崎さん参加曲で、リズムの面白さとバリエーションが楽しめる曲。
はたけやま裕『ケオティック・プラネッツ』から《スピーク・ロウ》

揺らめくヴィブラフォンが良い感じですね~。
上に乗るバイオリンは寺井尚子を優しくした感じに聴こえます(笑)。
山崎さんのフレージングとかからはやっぱりバートンの匂いが感じられますね。
これを聴いただけでも”バートン命!”だというのがわかります(笑)。
なかなか凝ったアレンジだと思います。
気持ち良いフュージョン曲でリズムの面白さとバリエーションが楽しめました。

<アフター・アワーズ編>

山崎さんのヴィブラフォンと雲さんのベースでセッション。
《ドナドナ》の3拍子バージョン。楽しい演奏でした。
現場ではどのテイクを採用するかで色々あったようです(笑)。
と言うよりは、雲さんの中で葛藤があったらしいです。
顛末については 「快楽ジャズ通信」 をご覧下さい。雲さんコメントより。
tommyさんの昔の生録会の経験を生かしたマイク・セッティングで録音。
ヴァイブの音はクリアに録れていました。さすがです。

バートンにまつわる余談を少々。

私のバートン初体験は『ピクチャー・ディス(邦題:サウンド・オブ・ラブ)』です。
ジャズを聴きだしてしばらくした頃に買いました。
ヴァイブのレコードは確かこれが最初で、スティーブ・スワローのエレベも初体験。
だからこの2人の音はかなりしっかり頭に刻み込まれています。

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「快楽ジャズ通信」が見られます!

「高野 雲の快楽ジャズ通信」が見られます!
聴けるのではなく見られるのです。
なぜかって?
WEBマガジン型JAZZ動画番組配信サイト You Play JAZZ?
番組収録風景がUPされているからです。

ゲストは作家の平野啓一郎さんです。
テーマは「エレクトリック・マイルス」

私は小説を読まないので知らなかったのですが、平野さんって凄い方なんですよ。
平野啓一郎さんに興味がある方はウィキペディアで調べて下さいね。
最近新作「ドーン」が発売になりました。

で、番組映像はコチラ
http://www.youplay-jazz.com/movies/view/568

今回の雲さんは平野さんを迎えてちょっと気持ちが昂っていたみたい。
最初から雲さんの熱いトークが炸裂しています(笑)。
私もこのテーマには凄く興味があります。
先日書いたとおり、私のマイルス入門はエレクトリック・マイルスからですからね。

平野さんのしゃべりも結構熱がこもっていますね~。
「マイルスが好きなんだな~」っていうのが凄くよくわかります。
これはマイルス好きにはたまらない番組になっていると思いますよ。

番組が放送されるのは以下のとおり。

ミュージックバード THE JAZZチャンネル 8/8(日)、22:00~23:00
ミュージックバード cross cultureチャンネル 8/13(木)、23:00~24:00
コミュニティーFM 8/15(土)、20:00~20:55

凄く楽しみです。

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