オーディオ&アルバム紹介

マーカス・ミラーでオーディオ・チェック

どうもオーディオねたが増えてしまうので、アルバムを紹介をしておきましょう。とは言っても結局はオーディオがらみなのですが・・・。

P18 マーカス・ミラー 『サドゥンリー』(1983年、Werner Bros.)です。メンバーは、マーカス・ミラー(all instruments,lead and back vocal)、ゲスト:ラルフ・マクドナルド(per)、マイク・マイニエリ(vib)、デヴィッド・サンボーン(as)、バディ・ウィリアムス(ds)、ヨキ・ホートン(ds)、ハーヴィー・メイソン(ds)、ニッキ・モロー(ac-g)、ルーサー・ヴァンドロス(back-vo)、エボニー・ルイス(back-vo)、ストリングスなどです。これがマーカスのファーストアルバム。ラストの1曲以外でマーカスが歌っているという色物? このジャケットは何とも微妙な出来ですな~。安っぽい(笑)。故に80年代らしいのか?

基本的なコンセプトは今話題のロバート・グラスパーのアルバムと同じだと思います。歌ものにしてジャズ(マーカス)を多くの人に聴いてもらいたい(=セールスを期待したい)ということ。1980年前後、同様な理由でクルセイダースやリー・リトナーなどがアルバムにボーカルを入れていました。当時ボーカルを入れた方が好セールスにつながるというのがあったのです。これはジャズ畑のマーカスのアルバムなので当時はフュージョンと言っていましたが、今風に言えばR&Bアルバムです。

マーカスのボーカルは変な癖がなく意外と聴けます。まあ決して上手いとは言えませんが。マーカスのボーカルを聴いていると、当時絶大な人気を誇っていたマイケル・ジャクソンからの影響が感じ取れます。エピック/ソニーのマイケルに対抗して、ワーナーのマイケルにでもしようと目論んだのでしょうか? そんなわけないか(笑)。まあ失敗だったのでしょうね。これ以降マーカスはボーカル・アルバムを出していません。マーカス若気の至りとして貴重な記録。

何でも楽器ができて歌まで歌ってしまうマーカスは、当時風に言えば正に”新人類”ジャズマンだったのです。そんなマーカスを重用したマイルス、やはり時代を先取りする目を持っていたと言えるでしょう。このアルバムは当時先端の打ち込みを積極的に使っています。今では逆に打ち込まずに生演奏するのが先端のようです。見た目のそういう違いはありますが、ロバート・グラスパーが今やっていることは本質的な部分において、私に言わせれば過去にあったことの焼き直しのような気がするのです。

私はむしろデリック・ホッジが去年出したアルバム『リヴ・トゥディ』に、80年代マーカス・ミラー的な時代の先端を感じています。ホッジはこれまでのジャズマンとはもう考え方が違うのです。アルバムとしてはまとまりがないところもありますが、そこにはデリック・ホッジが現代に生きている証しのようなものが詰め込まれていると私は感じました。だからアルバム紹介の時、「デリック・ホッジは現代のマーカス・ミラーなのかもしれない。」と書いたのです。

アレッ、本題から反れているような。このレコードをオーディオ・チェックに使っているという話をしなければいけませんでした。アルバムを買ったのはリアルタイムではなく、80年代末か90年代に入ってからです。昔オーディオ誌の比較試聴記事でこのアルバムを使っていたのを思い出して買いました。私が持っているのはアメリカ盤。フュージョンの中古レコードなので安かったと思います。

どこをチェックに使うかというと、A面1曲目のスラッピングベースでしょう。低く唸るベースを力強く表現できるかどうかに尽きます。あとは色々な音が緻密に重ねられているので、それをきれいに整理して鳴らすことができるかどうかです。こういうサウンドを立体的に提示できるカートリッジは、80年代以降の高解像度なものでしょう。シュアーのM44Gあたりになるとのっぺりしてしまいがちです。

ちなみに、ラストのインスト曲《クッド・イット・ビー・ユー》はいかにも80年代なメローでアーバンな曲。よく歌うベースが素敵です。この曲、実はディジー・ガレスピーのフュージョン・アルバム『クローサー・トゥ・ザ・ソース』(1984年)の1曲目にも入っています。このアルバムではガレスピーがフュージョン時代のヒノテルみたいなトランペットを吹いているんです。ガレスピーすらこんなことをやってしまったのが80年代という時代。日本企画(エレクトリック・バード)なのは言うまでもありません。

ガレスピーのフュージョン・アルバムについてはこちらに書いています。
ゴールドCD~川島重行プロデューサー

ということで、新しいカートリッジで必ず聴いてみるのがこのレコード。A面ばかり聴いています。ジャズとしては箸にも棒にもかからないものかもしれませんが、私は何度も聴くうちに結構気に入ってしまっています(笑)。

アルバム名:『Suddenly』
メンバー:
Marcus Miller(all instruments,lead and back vocal)
etc

| | コメント (0) | トラックバック (0)

気に入ったカートリッジでレコードを聴くのは楽しい!

カートリッジMG-27Lに交換針A-1PHを付けたものがかなり気に入りました。細かいことをあれこれ気にせず音楽に浸れるからです。オーディオ的にどうこう考え込まずに音楽を楽しめるのが廉価なMM型カートリッジの良さかもしれませんね。

OTTOの純正シェルも悪くはないのですが、このカートリッジのデザインとはあまりマッチしていないように感じました。なので、ベスタクスのDJ向け安価ヘッドシェルに取付けることにしました。このヘッドシェル、安いけれど機能は十分です。

P11

キャラメルのようなカートリッジがこれではっきり主張するようになりました。この色とデザインが何だか妙に気に入っています。

ところでこのPH(ラインコンタクト)針、A'pisでは以前他のカートリッジにも展開していたようです。人気のあるカートリッジにこの針を用意。最近までシュアーのM44G(N-44GPH)、ビクターのZ-1S(DT-Z1SPH)、テクニクスのEPC-270C(EPS-270PH)などにはこの針があったようです。A'pisホームページのリストにはまだ乗っています。生産中止や取扱い中止なのは残念。とくにZ-1SにこのPH針を付けて聴いてみたかったです。

このカートリッジ、古いジャズから新しいフュージョンまでいけます。今夜はこんなの聴いて悦に入ってます。

P12 シェリー・マン&ヒズ・フレンズ『マイ・フェア・レディ』(1956年rec. CONTEMPORARY)です。メンバーは、シェリー・マン(ds)、アンドレ・プレヴィン(p)、リロイ・ヴィネガー(b)です。ステレオ盤で一応コンテンポラリー盤ですが、特にオリジナル盤という分類ではないので安く買えました。こんな盤でもコンテンポラリーのレコードは音が良いんですよね。低音から高音まで、とてもバランス良くクリヤに鳴ります。これぞハイファイ・サウンド。

P13 インナースリーブはこんな感じ。私はレコードをこれに直接入れません。なぜなら紙とレコードの摩擦で静電気を盛大に発生し、レコードにゴミが付着しまくるからです。外盤を買った時には速攻で内袋に入れ直します。ゴミが付着するとゴミが研磨剤のようになり、レコード針がレコード溝を削ります。レコードをノイズだらけにしないためには、まずはゴミの付着を防ぐことが大事。

さて、このアルバムの内容ですが、プレヴィンの重厚なピアノとマンの軽快なスインギン・ドラムとヴィネガーの小気味良いウォーキング・ベースの絶妙なコンビネーションが聴きどころです。特に重厚なピアノと軽快なドラムの対比具合が上手くマッチしています。

プレヴィンの重厚感は、まず左手の逞しいタッチによるところ大です。それに格調あるハーモニー選びがあいまっているような気がします。格調を感じさせるようなハーモニー選びというのは、その後プレヴィンがクラシックの指揮者になることを頷かせるのですが、私には坂本龍一のサウンドに感じるものとダブります。

重くなりがちなプレビンのピアノ、たぶんスタインウェイを弾いているんでしょうけれどベーゼンドルファを弾いているように聴こえます。ここに軽快に歌うようなマンのドラムが絡むからバランスが取れるのです。ベースのヴィネガーがグングン後押ししてくれるのも◎。

クラシックの指揮者になるプレヴィン、さすがにこういうミュージカルものの解釈は上手いですよね。アドリブでもメロディーの良さがそのまま出てきます。さりげないアレンジも良いです。で、重厚な弾き方なので、ミュージカルものが安直にならない。

プレヴィンのピアノ・トリオというと自信のアルバム『キング・サイズ!』がありますが、私は『マイ・フェア・レディー』の方が好きで、こっちの方がプレーヤーに乗る頻度は高いです。

P14 『キング・サイズ!』(1958年rec. CONTEMPORARY)はオリジナル盤を持っています。モノラル盤。メンバーは、アンドレ・プレヴィン(p)、レッド・ミッチェル(b)、フランキー・カップ(ds)です。このライオンジャケットがまた良いですよね。レコードサイズで見てこそ、その良さが出るのです。

コンテンポラリーのオリジナル盤には色々な種類があり、私はどれに価値があるのか良く分かりません。これは15年くらい前に買って、確か1万円くらいだったように記憶しています。モノラル盤のほうが中域に密度があり、濃厚で芯のある音を聴かせてくれます。こういう音を聴いてしまうと、オリジナル・モノラル盤の虜になってしまうのですよ。

お気に入りのカートリッジで好きなレコードを聴く。う~ん、贅沢やな~。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

こんなレコードを使ってカートリッジの音質を比較

2種類のカートリッジを比較したい場合どうしますか。私の場合、せっかくレコードプレーヤーが2台あるのですから、同じレコードを同時にかけて瞬時に切り替えて比較します。そうすれば差が分かりやすいですよね。プレーヤー自体の音質の差はありますが、カートリッジの音質の差に比べれば僅かなもの。

ということでこれを使おうと思いました。希少なダイレクト・カッティング・ディスクです。1枚持っていたのですが、渋谷のディスクユニオンで数百円で売っていたので、もう1枚確保しておこうと思って買いました。こういうレコードってあまり人気がないんですね。

P184

リー・リトナー&ジェントル・ソーツ『ジェントル・ソウツ』。以前このアルバムについて紹介しています。これです。⇒今日も思い出の曲

ということで音質比較を始めました。その時は確かシュアーのM97EDとオーディオテクニカのAT33LTDだったと思います。個体差だけでなくMMカートリッジとMCカートリッジの差も比較したかったのです。あれれっ?テンポが僅かに違います。

その時私はどちらかのプレーヤー(QL-7とDP-3000)の回転速度が違うのかと思い、回転数を可変できるDP-3000のほうを調整してみました。でも変わるのはテンポではなくて、ピッチ(音程)でした。そりゃそうだ。プレーヤーの回転数の可変ではピッチくらいしか変わらないのです。人間の耳はアナログですよ。ピッチは瞬時に切り替わっているのに、徐々に変化したように聴こえます。

で、悩みました。回転数がそんなに違うのかと・・・。実は!プレーヤーの回転数の違いではありませんでした。よく聴いてみるとテンポだけでなく、定位の具合や演奏そのものが違っていたのです。レコードをもう一度確認しましたよ。そうしたらレコード番号自体が違っているではありませんか!!「VIDC-1」と「VIDC-101」。

以前このアルバムを紹介した中で、CDには2種類のバージョン(テイク違い)があると書いていますが、実はレコードにも2種類あったのです。驚きました。

これでは比較がやりにくいです。演奏の違いの方が気になって音質の違いに集中できません。ならばこれを使うしかないですね。これもダイレクト・カッティング・ディスクで、1枚持っていたのですが、渋谷のディスクユニオンで上記のレコードと同じ時に確保したのです。当時この手のレコードを手放した人がいたのでしょう。

P185

リー・リトナー『オン・ザ・ライン』。これは発売された頃、オーディオ雑誌のオーディオ・チェック記事でよく使われていました。私はこの演奏が苦手。なぜかというとハービー・メイソンがリン・ドラム(エレクトリック・ドラム)を叩いているから。リン・ドラムって80年代の恥ずかしさの象徴のような気がします。頭の中にC・C・Bの《Romanticが止まらない》が鳴り響き。笠浩二の顔が浮かぶ・・・。結果安っぽい演奏に聴こえます。

演奏はそうであったとしても、カートリッジの音質の違いはよく分かります。只今使用中のパイオニアPC-200(針PN-400)とビクターMD-1016(楕円針)でも比較してみました。PC-200は余分な音がしませんが少し地味。MD-1016は余分な音が付加されているかもしれませんが闊達で明るい。楽しく聴けるのはMD-1016です。

結局この2個のカートリッジはリサイクルしてしまいました。この後たくさんのカートリッジを聴くうちに魅力がなくなってしまったからです。このクラスの音なら現行廉価カートリッジでも問題なく鳴ります。中古品にメリットがあるとすれば安く入手できることくらい。劣化については物によるので注意が必要です。

P186

こんなことして遊んでいます。オーディオ趣味はなかなか楽しい。ちなみに同じレコードを2枚持っているのは、私の千数百枚のレコードの中で上記2つのアルバムだけです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

これらのレコードが役立っています。

昨日は落札した交換針がジャンク品だったと分かりがっかり。その正体を暴いたレコードがこれら2枚です。ボブ・ジェームス&アール・クルーの『ワン・オン・ワン』とマリーンの『イッツ・マジック』

P182

どちらも当時CBSソニーが誇った「マスター・サウンド」のレコード。「マスター・サウンド」はレコード録音/製造技術を駆使した高音質盤です。トレースが厳しい箇所はそれぞれ一ヵ所ずつあります。『ワン・オン・ワン』はB面3曲目《ワインディング・リバー》の終盤バス(キック)ドラムの”ドンッ”、『イッツ・マジック』はA面1曲目《アイム・ソー・エキサイテッド》の冒頭バスドラムの”ドッ”。どちらもカートリッジの動きを見ていればよく分かるのですが、内側に数ミリ揺すられます。

実はしばらく前に、シュアーのN140HE(針)が《アイム・ソー・エキサイテッド》の冒頭をトレースできなくなり(針がはじかれて音溝1本ほど飛んでしまう)、てっきりダンパが硬化したせいだと思っていたのですが、よくよく針を観察したらカンチレバーのパイプが撚れて少し上に反りかえっていたのです。

これには思い当る節があって、アームをアームレストに固定したまま掃除用のタバコのフィルターを下から押し当てたというのがそれです。きっとその時カンチレバーが曲がってしまったのだろうと思います。嫌な感触があったんですよ。カンチレバーがベリリウムの極薄パイプなので、私が加えた力の前にはひとたまりもなかったということでしょう。

今回落札した純正交換針(PN-200)も同じ現象が起きたので、これはひょっとしてと思い、よくよく観察したら案の定カンチレバーが少し 反っていたというわけ。パイプは窪んでしまっていました。実は届いたケースの蓋を開ける時に、蓋が封止されていなかったので、未使用ではないだろうと疑っていたのです。更にキズ見で針をみたらカンチレバーの辺りに短い毛埃が2本ほど絡み付いていたので、少し使ったのかもしれないと思いました。

まあ、少しくらい使っていたとしても、落札価格は安かったので、問題なく音が出ればいいやと思っていました。しかし、上記のとおりの結果です。私はカンチレバーに力を加えるようなことはしていませんし、昨日掲載した比較写真(縮小前)をよく見ると、既に反っていることが分かりました。ということでジャンク品を掴まされたと判明。出品者が確信犯であるのか、素人故に見落としたのかは不明です。

改めて写真を撮りましたがやはりこれはひどい! でも上記の箇所以外はこれでも特に問題なく聴けてしまいます。バーチカル・アングルの狂いは音に出にくいのかもしれませんね。

P183_5

オークションなんてそんなものですよ。逆に良いものやレアなものを割安に入手できることもあるわけで、そこが面白いのです。オークション歴は15年くらいなので、リスクを避ける勘所は分かっているはずだったのですが、たまにはこういうこともあります。

これだけ愚痴をタラタラ書くなんて、私は相当あきらめが悪いやつです(笑)。

最後に、『ワン・オン・ワン』も『イッツ・マジック』も単にオーディオ・チェックというのではなく、内容が気に入っています。両アルバムとも既にブログで紹介しています。『イッツ・マジック』は廃盤のようですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

チェック・レコードとしても使っています。

またまたオーディオですけれど、アルバムも紹介します。

P173 デイヴ・グルーシン『ディスカヴァード・アゲイン!』(1976年rec. Sheffield Lab)です。メンバーは、デイヴ・グルーシン(p,el-p)、ロン・カーター(b)、リー・リトナー(g)、ハーヴィー・メイソン(ds)、ラリー・バンカー(vib,per)です。

昔ちょっと流行ったダイレクト・カッティング・ディスク。ライブ演奏しているものをそのままミキシングして、レコード・プレス用の原盤にカッティングしてしまうという、演奏者や録音/カッティング・エンジニアは失敗が許されない怖い録音方法。それ故あまりこの方法で録音したレコードはないです。一旦テープに録音してから編集するという作業が一切ないため鮮度の高い音がレコードに刻まれます。

このアルバムを制作した会社シェフィールド・ラボはこのダイレクト・カッティングを売りにしていた会社で、70年代にオーディオに嵌った人はこの会社をしらないとモグリです(笑)。高音質レコードと言えば、当時はデジタル・レコーディングのテラークとダイレクト・カッティングのシェフィールド・ラボが双璧でした。当時は円安もあってこういう輸入盤は高価だったはず。1ドル≒300円の時代ですから。今輸入盤が¥1,500だとしたら、当時は¥4,500!!

私のレコードは90年代に秋葉原のヤマギワかサトームセン(だと思う)で買った輸入盤です。なぜ90年代になって輸入されたのか? 確か当時、”アナログ再評価”みたいな風潮があったので、それに乗っかったのかもしれません。メースという会社が輸入しています。”~再評価”、もともと評価して価値を認めている人にとっては何とも陳腐に写ります。なのでクラブ・ミュージックからの”マイルス再評価”は、私にとっては陳腐以外の何者でもありません。

このレコード、何とも優しく柔らかい音です。このアルバムはCDにもなっていますが、本当の良さはレコードでないと絶対に分からないと思います。カッティング・レベルが高く音溝が複雑なため、上手くトレースできない場合もあるとのこと。そういう注意書きが書いてあります。

音の輪郭は強調されておらずとても自然。なのに音に芯があり密度感があります。ピアノとヴァイブラフォンの音に特にそれが顕著です。高音まで高いレベルで入っているというのですが全くうるさくないです。一聴では高音が適度に減衰しているようにすら感じられるから不思議。でもそれこそがアナログの良さなのです。MP3の気に障る高音とは大違い。

それから高音系パーカッションの音の粒立ちがとても良いです。トライアングルや鈴などの振動が辺りの空気に浸透していくような感じは何とも言えない心地良さ。シンバルもしなやかに響きます。決してヴィーナス・レコードのような派手な金物音ではありません(それはそれで面白いのですが)。バスドラム(キックドラム)の沈み込み具合はとても自然。ベースの弦のうなり具合も良いです。ただしロン・カータのピッチが不安定なベースがダメな人はダメでしょうね(笑)。

演奏の方はメンバーからも分かるようにフュージョン。ただし80年代のチャラチャラしたフュージョンではありません。ちょっと翳りがありウエットで落ち着いた感じのもの。この頃ってフロントが白人でもリズムが黒人なので、独特の黒さがありますよね。こういう黒さ漂う70年代のフュージョンって、私にとってはとても魅力的です。

というわけで、カートリッジを変えてこんなレコードを聴いて独り悦に入っているのです。

アルバム名:『DISCOVERED AGAIN!』
メンバー:
Dave Grusin(p, el-p)
Ron Carter(b)
Lee Ritenour(g)
Harvey Mason(ds)
Larry Bunker(vib, per)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カートリッジで遊んでいます。

はいはいっ、しつこくオーディオねたです(笑)。

今度はこんな風にしてみました。PC-200をオーディオテクニカのヘッドシェルに取付けて針を交換。交換した針は上位機種PC-400用のPN-400です。このシリーズは4種類あって、下からPC-200、PC-400、PS-600、PS-800、後ろの2機種は単体販売。針は互換性(基本的には上位互換でしょう)があります。

P170

この針はヤフオクに出ていた新古品。サウンド・ジュエル社のもので、ノブのデザインが大分簡略化されてます。色もPC-400に合わせたダークグリーンなのでちょっとミスマッチ。針の形状は接合型丸針ではなく接合型楕円針のようです。楕円なので高域特性は伸びているはずです。

この状態で聴くとだいぶ印象が変わりました。一言で言うとハイファイ傾向の再生音。このカートリッジはもともと爽やかな高音なのですが、より上質な感じになりました。この高音の特徴はサスペンション・ワイヤーによる一点支持の効果によるものではないかと思います。ヘッドシェルも共振が少ないしっかりしたものなので、変な付帯音が付きません。低音もしっかり出ます。

前の記事で紹介したMD-1016の屈託のない鳴りっぷり(JICO針の音とも言える)と比較するからよりそう感じられるのかもしれませんね。聴き方によっては面白みがないように感じられなくもないのですが、このクリーンでナチュラルな再生音は悪くありません。帯域バランスもとても良いです。

カートリッジの音質比較にはこの音源を使っています。鈴木勲の『ブルー・シティ』(TBM)。このレコードA面2曲目《(8番街)45丁目》。ちなみにこの曲はウディ・ショウの《スウィート・ラヴ・オブ・マイン》と全く同じ曲。好きな曲です。

P171

同アルバムのxrcd(高解像度CD)を持っているので、CDの方を基準にして同時にかけながら切換比較をします(音量は同じになるように手動調整)。もちろんカートリッジの音にはフォノイコライザーの音が含まれます。CDよりフォノイコライザーの方が高音寄りになっています。それを頭に入れた上でカートリッジの音の質感を聴き取ります。細かい音を聴き取るためにヘッドホンでモニタ。この聴き比べでも明らかになりましたが、PC-200(針PN-400)の音はハイファイです。

過去にシュアーV15系の音も何機種か同様な方法で聴き比べていますが、それらと比べてもそれほど劣るとは思えません。先日このカートリッジは繊細微妙な音は出ないなんて書きましたが、それなりに繊細な表現もできていました。廉価にもかかわらずPC-200は噂どおり良いカートリッジだと思います(その後色々なカートリッジを聴いてからの評価はこのクラスの標準的な音、特に良い音というほどではないと分かりました)。

さて、そうなるとMD-1016の方はどうしましょう。こちらはプレーヤーQL-7に取付けてビクター・コンビにセッティングにしてみました。

P172

このカートリッジは高音に艶がありますが同時に付帯音も感じます。共振しやすいヘッドシェルのキャラクターが含まれていると思います。それらひっくるめて余韻がありなかなか楽しい音で鳴ります。低音は若干緩めで暖かいです。アナログらしい音とでも言いましょうか。気楽に聴きくのならこちらでしょうね。

どちらかと言えば低音寄りなので、高音のキレをもう少し増すためにJICOの現行楕円針を発注済み。MD-1016が新品の針でどう鳴るのか楽しみです。

当面はこれら2個のカートリッジの個性の違いを楽しんでみたいと思っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

またまたオーディオ・チェック盤

これも当時オーディオ・チェックに最適ということで色々なところで使われたオーディオ・チェック盤です。

P114 『オルフ カルミナ・ブラーナ』(1984年rec. ドイツ・グラモフォン/ポリドール)です。演奏は、ジェイムス・レヴァイン指揮シカゴ交響楽団、ジューン・アンダーソン(ソプラノ)、フィリップ・クリーチ(テノール)、ベント・ヴァイクル(バリトン)、シカゴ交響合唱団、クレン・エリン児童合唱団です。私が持っているのは国内盤です。

これは大編成のオーケストラと大合唱団の全奏時の解像度/分解能を聴くアルバムです。解像度/分解能というのは、全部が一斉に鳴った時に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、金管群、木管群、打楽器、混成4部合唱の位置がきちんと分離して聴こえるかどうかということです。解像度が悪いとモヤモヤと全体的に鳴っているようにしか聴こえません。

最高の解像度ならば各楽器の人数や合唱団の各パートの人数が判別できます。ってのはちょっと大袈裟ですが、まあでも似たようなことをオーディオ評論家の皆さんはおっしゃいます。「このアンプはヴァイオリンの弦の一本一本が見えるようだ。」とか、「このCDプレーヤーは大音響の中で鳴るフルートの音がはっきり聴こえる。」とか(笑)。

ハイライトはやっぱり冒頭の大迫力全奏だと思います。実はこの部分、TVで効果音として時々使われるんですよ。ほとんどの人はこの曲が何か知らずに聴いているはずです。どういうシーンで使われるかというと、風雲急を告げるシーン、バックにこれが流れるといやが上にも切羽詰まった雰囲気が高まります。

これです。世界の小澤征爾の指揮でどうぞ。

ねっ、冒頭の部分だけは皆さん聴いたことがあるでしょ。これをオーディオで大音量で聴けば恐ろしく迫力があります。曲自体はなかなか面白いので飽きずに最後まで聴けてしまったりします。

このアルバムは当時のCDの優秀性を表す格好のものでした。レコードをカートリッジで再生するとオーケストラと大合唱団のフォルテシモを正確にトレースする事自体が難しくて、それではカートリッジのトレース能力チェックになってしまい、その後ろのオーディオ機器のチェックどころではなくなります。またレコード自体に収録できる音も、ダイナミックレンジの制限を受けているのは言うまでもありません。

CDでは一切その心配はなく、録音されている広いダイナミックレンジがそのまま出てくるので、後ろのオーディオ・チェックではそのダイナミックレンジをいかに殺さずに再現できるかチェックできるというわけです。デジタル録音がその広いダイナミックレンジに一役買っているというのもあります。

CD時代になってやっと、こういうクラシックに対応できるようになったというのが、当時のオーディオの売りで、オーディオ・メーカーは広いダイナミックレンジを競うようになります。しかしオーディオ業界のこういう思惑とは裏腹に、音質的なことはそっちのけで、その後CDは扱いやすさという点で普及してしまうことになります。それ以降は扱いやすさということのみが重要になり、音質そっちのけで進化した成れの果てが今のMP3プレーヤーというわけ。

TVで言えばアナログ放送とハイビジョン放送の違いということになります。映像のほうはやれ4KTVだとか言っているのに、どうも音声のほうはそういうことに拘わらない人が多いようです。SACDなんて一向に普及しませんからね。まあ私は4KTVにはかなり懐疑的です。

色々言ってますが、YouTubeを小型イヤホンで聴いても音楽はちゃんと楽しめますね。これで十分と言えば十分だったりして(笑)。まっ、オーディオなんてそんなものです。秋葉原の変遷を約30年間見てきた私ですが、オーディオ界の変遷を約40年間見てきた私からすれば、秋葉原の変遷なんてかわいいものですよ(笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ノンサッチ・レーベルのA級外盤

ノンサッチ・レーベルと言えば、ジャズ・ファンにとってはパット・メセニーやブラッド・メルドーやジョシュア・レッドマンが所属するレーベルということになると思います。しかし、私がこのレーベルと出会ったのは30年ほど前のことです。この辺のことについては前に何度か少し触れています。今日はもう少し詳しく書いてみます。

P111_2 私とノンサッチを出会わせてくれたのがこの本。故長岡鉄男さん著「長岡鉄男の外盤A級セレクション」です。長岡さんはご存知のとおりオーディオ評論家で、独自の視点から評論活動をしていて多くの支持者がいました。支持者の人達は後に長岡教徒なんて言われたりしました。私もそのはしくれです。

この本が出たのが1984年、私は21歳でした。アルバイトのおかげでオーディオも満足できるものが揃えられ、楽しいオーディオ・ライフを過ごしていた頃です。私は既にジャズにドップリ嵌っていたので、必ずしもオーディオのために音楽を聴いていたわけではありませんが、たまにはオーディオ用の音源を聴くこともありました。

そこにこの本が登場したのです。嵌りましたね。この本は隅から隅まで何度も読み返しました。そして「外盤がほしい!」となったわけですが、甲府在住の私が簡単に入手できるはずもなく、どうしようかと思っているところに、秋葉原の石丸電気にこの本の外盤を揃えたコーナーがあるというのを、オーディオ誌で掴むわけです。当時からマニアックな私ですから、「それならば秋葉原の石丸電気へ買いに行こう!」ということになったのです。

当時の私はお金はなかったけれど時間はあったわけで、秋葉原までは普通列車(各駅停車)に乗って3時間半くらいかけて行きました。私はこの時初めて秋葉原へ行ったのです。あれから約30年、秋葉原も変わりましたね。昨日ブログに書いたようにオーディオ関係は先細り、皆さん御承知のとおりで、今の秋葉原は「電気街」から「オタクの聖地」になったのです。NHKのTV番組「ブラタモリ」で、秋葉原は時代と共に変化し、今も変化し続ける街だと言っていましたが、それを目の当たりにしてきました。

話を戻しまして。石丸電気のこのコーナーは盛況でしたよ。さすがは東京だと思いましたね。結局石丸電気には3回ほど行って11枚の外盤を買いました。その中に今日の話題のノンサッチ盤が2枚あります。そのうちの1枚を今日紹介します。

P112_2

『中世のクリスマス』ジョエル・コーエン指揮、ボストン・カメラータ。ボストン美術館での録音。宗教音楽です。普通の人はこういうのは聴かないですよね。長岡さんは何でも聴く人だったので、上記の本には現代音楽を中心に、古楽、民族音楽、宗教音楽などがたくさん紹介されています。逆にジャズとかロックは数枚しかありません。

私はオーディオ的なら何でも聴こうと思っていたので、こういう音楽にそれほど抵抗感はありませんでした。それよりは本に記載された内容の良し悪しで買いました。この盤の表題は『「本物」を感じさせるリアルでナチュラルな録音は超A級』。”超A級”ですよ。あの長岡さんをして”超A級”ですから、とんでもない好録音盤なのです。

聴きどころの第1はホールエコー。その広がりは3次元的で広大な音場。第2は音像。極めてリアルでソリッドで自然なサイズを持っています。第3は移動感が極めてリアルでナチュラル。左から右へ、右から奥へと歌いながら静かに移動。第4はかなりのオフマイクのはずなのに直接音が鮮烈、強烈。特にベルの音は強烈無比。ということです。

オーディオでこんな音が聴けるんですよ。ただしきちんと再生できるオーディオ装置とリスニングルームは必要。私みたいにそれなりの装置で小音量で小部屋で聴いていたのではその何分の一くらいしか体感できません。演奏内容は結構面白くて、通して聴いても意外と飽きません。本物の良い音とは何なのか?何事においても本物の良さを知っていないとお話にならないように思います。

P113 ついでにもう1枚紹介しておきましょう。掲載されている数少ないジャズ/ロックの中から1枚。ピンク・フロイド『ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン(狂気)』。これは30年前に買ったわけではなく、8年くらい前に急にこの手の音楽が聴きたくなって買いました。私が持ているのは米ハーベスト/キャピトル盤の中古で、安価入手したはずです。たまたまお店で手にしたのがこれだったというだけ。今日この本を読んで気付いたのですが、長岡さんが聴いていたのもこの盤のようです。偶然の一致。

この盤の表題は『スピーカーのテストにも使われたピンク・フロイド頂点の作品』。このアルバムのA面冒頭に心臓の鼓動の音が入っていて、それがスピーカーのテストに使われたというわけ。長岡さんの解説によれば、「ふつうのパーカッションだと、低音と同時に中高音も出ているので、トゥイーター、スコーカーがしっかりしていれば、立上がりのよい音に聴こえる。ところが低音だけの合成ではウーファーの立上がりがもろに出てくるので、このレコードの再生は意外にむずかしい。」とのこと。そうなんですよね。

「長岡さんは音楽を聴かないで音を聴いている。」と言われたりしましたが、そんなことはなくて、このレコードについても以下のようなことが書いてあります。「おそらくピンク・フロイドの頂点の作品。その後の”アニマルズ”は曲、演奏、録音、3拍子揃った駄作だったし、”ザ・ウォール”が録音で買えるが、”ザ・ファイナル・カット”は効果音入りビートルズといった感じで、才能の枯渇を思わせる。」と。こういうことは音楽を聴いていないと書けないと思います。

これは録音がどうのこうのという感じで私は聴きません。何ともレイジーで退廃的な空気感に惹かれます。70年代前半の時代の音だと思います。ジャズっぽいサックスとか入っていたり、何となく黒さを感じさせるグルーヴもあり、ブルージーでもあり、ジャズ好きで70年代エレクトリック・マイルス好きな私の心をくすぐる要素が多々あります。

レコード・コレクターズ2007,6「70年代ベスト100」で、このアルバムは11位。アルバム評の最初にこんなことが書かれています。「プログレを代表する傑作には違いないが、これは絶対にサンタナ『キャラバンサライ』への返答。」と、これを書いているのは和久井光司さんです。なるほどと思います。まあ私はサンタナを一度も聴いたことがないので、中山康樹さんの本のマイルス~サンタナ繋がりの話や、「狂気」とエレクトリック・マイルスを聴いての推測。封じ込められている空気感なんですよね。

上記の2枚、「長岡鉄男の外盤A級セレクション」で紹介されている100枚中の、最初から2枚目が『中世のクリスマス』で、最後から2枚目が『狂気』です。面白いでしょ。

それにしてもまさかノンサッチからメセニーのアルバムが出るとは思いもしませんでした。世の中、想定していないことが色々起こりますよね。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

今日もクラシック

はいっ、今日もクラシックです。それも懐かしいアルバム。

P90 ベートーヴェン『交響曲 第5番「運命」』(1980年rec. Victor)です。演奏はロリス・チェクナボリアン指揮ロンドン交響楽団です。これは当時録音が良い盤としてオーディオ誌でしきりに紹介していました。オーディオ趣味邁進中だった当時の私としては当然押さえてしかるべきアルバム。

当時盛んに行われたデジタル録音ですね。ライナーノーツの裏にはデジタル録音の長所が書かれています。サウンド・ストリーム社製デジタル録音システムを使用しているとなっていますのでテラークと同じです。ビクター自慢の録音技術を披露した1枚。私は持っていませんが、当時オーディオ誌が絶賛したリムスキー・コルサコフの「交響組曲シェエラザード」の続編的位置づけがこの「運命」。

普通のクラシックファンならカラヤン指揮ベルリンフィルの「運命」なんでしょうけれど、オーディオファンとしてはこちら。ペーター・ギュルケの校訂による新しいスコアを用いた斬新な解釈の演奏とのことです。私はこれしか聴いていないので、どこがどう新しいのか不明。

運命というと第一楽章の”ジャジャジャジャ~ン、ジャジャジャジャ~ン”が超有名ですよね。クラシックファンでない人はほとんどここしか知らないでしょう(笑)。私なんかもここは耳タコなので、この感動的な出だしがちっとも面白くありません。続く第二楽章は静か目の演奏で、これら2楽章を収録したレコードA面は私にとってそれほど面白くありません。

私は第三楽章と第四楽章を収録したレコードB面が好きです。第三楽章はコントラバスから始まってチェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンと進む展開があり、その部分の視覚的効果がお気に入りです。で、一番好きなのが第四楽章、第三楽章と第四楽章は続けて演奏されます。私は第三楽章が終わり第四楽章が始まる部分が特に好きです。大地から力が湧き上がってくるような勇壮なフォルテがとにかく快感なのです。

悲壮な第一楽章とは違って、人生を謳歌するような第四楽章は聴いていて気分が高揚します。第九の第四楽章「歓喜の歌」に通じる感覚だと思います。オーディオ的にはオーケストラの全奏/強奏が快感です。特に金管群の破裂音は凄いです。出来るだけ大きい音で聴きたくなります。「運命」はオーケストラのマッシブな迫力を聴く音楽だと私は思っています。

オーディオ盤ということでもう1枚紹介しておきます。

P91_2 リヒャルト・シュトラウス『交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」』(1980年rec. CBS SONY)です。演奏はズービン・メータ指揮ニューヨーク・フィルハーモニックです。この特徴的なジャケットをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。でもクラシックファンでない人は「何それ?」だと思います。

分かりやすく言いましょう。映画「2001年宇宙の旅」の冒頭のあの曲です。”ジャ~ン、ジャ~ン、ジャ~~ン、ジャジャ~~ン、ダンドンダンドンダンドンダンドン”ってやつです(笑)。ここはオーケストラの全奏にパイプオルガンの超低音が被さっていて、その迫力がオーディオチェックに向いているというわけ。

オーディオファンなんか冒頭のこの1分ちょっとの部分しか聴いていないんじゃないでしょうか(笑)。私もその後の部分はあまり記憶に残っていません。とにかくこの冒頭なのです。演奏自体はなかなか良いようです。こちらはソニー自慢のデジタル録音。

ちなみに指揮者のズービン・メータはインド人で、ニューヨーク・フィルハーモニックの当時の音楽監督、その時ボストン交響楽団の音楽監督は小澤征爾だったわけで、アメリカの5大オーケストラの2つがアジア人の音楽監督だったというのは面白いですよね。

オーディオファンが持っているクラシックのアルバムってこんなものです(笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

今日はクラシック

今日はクラシックのアルバムを紹介します。珍しいですよね。

P89 『チャイコフスキー、メンデルスゾーン、ヴァイオリン協奏曲』(1981年rec. DECCA)です。演奏は、ヴァイオリン:チョン・キョンファ、シャルル・デュトワ指揮モントルー交響楽団です。私は普段基本的にクラシックは聴きません。比率からいくと全試聴時間の1%くらいがクラシックという感じです。なので、クラシックの演奏の良し悪しはよく分かりません。

ではなぜクラシックをたまに聴くかというと、オーディオ・チェックも兼ねてです。私のオーディオはジャズさえ良く鳴ればあとはどうでも良いとは思っていないので、たまにはクラシックも聴いてオーディオがまともかどうかチェックします。なので、オーディオ界隈では際物のジャズ喫茶「メグ」店主である寺島靖国さんの主張には同意しかねますね(笑)。

私のオーディオ感は基本的に何でも鳴らせるハイファイ調。ジャズも昔のものさえ良く鳴れば良いとは思っていないので、バド・パウエルからパット・メセニーまで、それぞれが程よく鳴るようにチューニングしているつもりです。ただし外せないオーディオの芯は”ガッツ”、これがないと困ります。腑抜けのオーディオはやっぱり許せません(笑)。

さて、このアルバムの話ですが、これはほとんど最初のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の第一楽章しか聴きません。クラシックを長く聴いているとだんだん眠くなってしまうからです(笑)。一度なぜクラシックがあまり好みではないか考えたことがあります。それはクラシックがビート・ミュージックではないからという結論でした。

私はビート・ミュージックが好きなのです。ビート・ミュージックが好きという括りでいけば、ジャズが好きというのは非常に収まりが良く、その流れでいけば私が最近ヒップホップが気に入っている理由もすんなり収まります。

話がちょっと横道に反れてしまいました。二つのヴァイオリン協奏曲のうちなぜチャイコフスキーが良いかというと、私はチャイコフスキーのロマンチックなメロディーが好きだからです。チャイコフスキーのメロディーが好きであることに気付いたのは今から30年くらい前の話。

当時オーディオ的な要請からクラシックのアルバムも聴いてみようと思い、話題の「1812年序曲」のアルバムを買ったら(有名なテラークのやつではなく、1969年録音のLONDON/キングの廉価盤でズービン・メータ指揮ロサンゼルス・フィル、当時読んでいたオーディオ雑誌で高橋さんという評論家が廉価盤のすすめみたいな記事を書いていてそれにも影響された)、B面が幻想序曲「ロメオとジュリエット」で、そのメロディーにやられてしまったのです。これはいつもの”胸キュン”メロディーってやつです(笑)。この曲は好きで良く聴きました。

そんなチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。チョン・キョンファが良いですね。このアルバムを買ったのは20年くらい前、当時真空管アンプ作りの材料集めでよく行っていた秋葉原、時々レコードとか買いに行っていた石丸電気で輸入盤が安く売っていることを知り、たまにはということでロックやクラシックのアルバムを買った中の1枚です。

チョン・キョンファは、私がオーディオ的な要請からジャズとクラシックのどちらかを真剣に聴こうと思っていた1982年頃、オーディオ雑誌でよく名前が挙げられていました。それを思い出して買ったのです。キョンファは中国人かと思っていたのですが、今日ウィキペディアを調べたら韓国人なんですね。情熱的なヴァイオリンを弾きます。

これを聴くと、クラシックってテクニックの音楽だということを痛感します。まずは圧倒的なテクニックがあって、その上で初めて自分の表現ができ、聴く人に感動を与えられるという、怖い世界だと思いますよ。ジャズにもそういう部分があって、自分には到底できないこととして憧れます。そして音楽家への尊敬(リスペクト)が芽生え、音楽を大切に聴こうという気持ちになります。

指揮者のシャルル・デュトワは日本のN饗で振ることも多々ある人で、この人指揮のN饗が大河ドラマのテーマ曲をやったりしたはずなので、日本にもなじみ深い指揮者のはずです。

クラシックもたまには良いですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)