ジャズ・アルバム紹介

明けましておめでとうございます!

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

今日の甲府盆地は快晴。
穏やかな元旦を迎えています。
富士山がこんな感じに見えます。

P14_20230101181701

いよいよ還暦です。
良い年にしたいです。

こんなレコードを聴いて過ごしています。

オスピー、『プリーズ・リクエスト』 A面

エルビン、『アース・ジョーンズ』 A面

ケニー・ホイーラー『ヌー・ハイ』 B面

ジョーヘン、『インナー・アージ』 B面

ウィントン・ケリー、『フル・ヴュー』 A面

サド・ジョーンズ、『ザ・マグニフィセント』 A面

JJ、『ブルー・トロンボーン』 A面

 

気ままな選曲です。

今年もレコードばかり聴きそうです。

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今日はこんなの聴きました。

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

のんびりした新年を迎えています。
おせち料理を食べて初詣にも行ってきました。
世の中なかなか大変だったりするのですが、
普通に新年を迎えていることに感謝です。

今日はこんなの聴きました。
私が聴いたのは全てレコード。

マイルス・デイビス『ソーサラー』
A面1曲目《プリンス・オブ・ダークネス》が大好きです。
オリジナル盤を持っています。

 

『バリー・ハリス・アット・ザ・ジャス・ワークショップ』
この人のグルーヴ感が好き。
OJC盤ですけれど、音に元気があって私は好きです。

 

ルネ・トーマ・クインテット『ギター・グルーヴ』
トーマのホットなグルーヴにJRモンテローズのサックスが花を添えます。
こちらもOJC盤。OJC盤は人気がないけれどざっくり「素」な音が良。

 

今年もジャスレコードを聴く1年になりそうです。

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追悼、チック・コリア。

ジャズピアニストのチック・コリアが2月9日に亡くなりました。
一昨日、夜ニュースを見ていたらそのニュースが流れ驚きました。
日本のニュースでその死を取り上げられるミュージシャンは多くなく、
ましてやジャズであることを考えると、チックの日本での知名度が分かります。
まずはご冥福をお祈りします。

私が追悼記事を書くジャズマンは多くないのですが、
ジャズを聴き始めてすぐに好きになった一人として触れずにおけません。

1枚アルバムを取り上げるとすれば私は『スリー・カルテッツ』。

P116

ジャズを聴き始めた頃にリアルタイムで買った1枚。
こういうカッコ良さを求めてジャズを聴こうと思ったので、
ヘビロテまではいかないけれど、プレーヤーの上には頻繁に乗りました。

何はともあれA面1曲目の《カルテットNO.1》がお薦め!
これを聴くとジャズを聴いている自分をカッコ良く思えます(笑)。
転調を繰り返す難解なテーマがカッコイイ!
その難解テーマをハードにブローするマイケルのテナーが圧巻。
これを聴いてグッとこないなら、あなたはジャズを聴かない方が良い。
腰の据わったガッド&ゴメスのグルーヴも◎。
そんなマイケルのブローに続き曲調一転して、
チックがかわいらしいメロディーを弾くところがまた良いのです。
難解なテーマじゃなかったっけ?
ゴメスが爪弾く高音寄りのベースソロは好き嫌いが分かれるとして、
それに続くチックのピアノソロが美しい!
スムーズに心地よいメロディーを紡いでいくところはまさにお家芸。
こういうところに参ってしまうのがチックのファンだと思います。
チックが弾くベーゼンドルファーの重厚なピアノ音は
アルバム全体を引き締め重厚にしています。

続く2曲目《カルテットNO.3》は1曲目のトーンを少し抑えた感じで、
チックが弾く美しいピアノがより分かるようになっています。
にしても曲名を《No.~》や《#~》にするのはチックならでは。
「手抜きせず意味がある曲名をつけろよっ!」と思います(笑)。

B面は《カルテットNO.2》。
PART1はデューク・エリントンに捧げています。
デュークの音楽の持つ深みある美しさが出たもの。
バラード調で入ってミディアムテンポに変わった後のチックのソロは
ここでも美しい! そして分かりやすい!
チックが持つポップな分かりやすさに私はひかれます。

PART2はジョン・コルトレーンに捧げています。
私はやっぱりこういうハードボイルドなジャズが好き。
チックのソロにはコルトレーン・カルテットのマッコイ・タイナー似の
フレーズがチラッと顔を出します。
コルトレーンのフレーズを研究したマイケルならではのソロがさく裂!
コルトレーンの手癖というかあのフレーズが聴かれます。
私はコルトレーンが好きなので、チックの”コルトレーンラブ”が良く分かります。
ガッドの力強いドラミングが演奏を”グイグイ”プッシュ。
気持ちイイッ、ガッドいいよねっ!

実はその後、CDを買ってしまいました。

P117

おまけの曲が4曲も入っていてそれが聴きたかったのです。
楽しみにしたその4曲なのですが・・・。
おまけの範囲を出ていません。
悪くはないけれど上記4曲と比較すると明らかに落ちます。
なおラストはチックが叩くドラムとマイケルのテナーのデュオという珍品。
リズム感に優れるチックが叩くドラムは上手いけれどちょっと単調。
オマケは蛇足という良い例かと。

でっ、一番の愛聴盤は何かというと『フレンズ』です。

P118

日本盤(ポリドール)なのでジャケットがスマーフ人形ではありません。
これもカルテットで、テナー以外は上記アルバムと同じメンバー。
ガッド大活躍の《サンバ・ソング》がお気に入り。

一時期チックの新譜はマンネリで聴く気が起きなかったのですが、
久しぶりに聴いてみようと思ったのは『ザ・ヴィジル』。
若手を起用していて、中でもマーカス・ギルモアのドラミングは圧巻。
ギルモア目当てで買ったところがあるけれど、大正解でした。
チックお得意のスパニッシュな演奏も良い出来です。

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このアルバムのこの曲が好き!

気楽に聴くジャズ。
アルバムの中でこの1曲が好きというのがあります。
今日はそんな曲とアルバムを紹介。

1.ミシェル・ペトルチアーニの『ミュージック』から
  《ルッキング・アップ》。

私の美メロのツボを押しまくって、”クゥ~ッ、たまらん!!”
全編に漂う切なさとペトルチアーニの力強いアドリブが好き。
生きる希望がじわじわ湧いてきて前向きな気持ちになります。
訳が分からないフレージングなれど、”グルーヴ最高!”な
アンソニーのエレべがカッコイイッ!

P112

2.ヤン・ラングレンの『スウェディシュ・スタンダーズ』から
  《風すさぶ草原の歌》5曲目

曲名はスウェーデン語なのですが、
寺島靖国さんの著書『JAZZはこの一曲から聴け!』にそう書かれています。
私には「風すさぶ」という風には聴こえません。
心地よい草原の風を受けながらスキップしている感じです。
6/8拍子に乗って軽やかにスイングするラングレンのピアノがGOOD!
上記本の「すいません! 一曲に絞れませんでした」の章にあり、
そのとおりの美曲が並んでいるアルバム。
ラングレンは美メロに流されず結構力強いタッチ。

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3.『ブロンボ! JBプロジェクト』から
  《歓喜の歌(Ode to Joy)》

年末定番、ベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章で歌われえるアレ。
クラシックのJAZZ化ですけれどクラシック臭皆無。
エレピの穏やかなイントロから始まり一転。
軽やかなグルーヴに乗って演奏が進みます。
心弾み、ウキウキな気分になること請け合いな演奏。
《マンボNo.5》のモッタリなグルーヴ感なんかも好きです。

P114

4.LTC+マーク・ターナーの『Hikmet』から
  《スパルタカス愛のテーマ》

切ない美メロに乗ってターナーが”ハラホレヒレハレ”と吹くサックスが良。
バックのLTCはユーロピアノトリオらしいちょっとクラシカルな感じで、
品よくターナーをフォローして行きます。
私はLTCよりはターナーの演奏を聴いてしまいます。
ターナーの良い面がいっぱい詰まったアルバム。
LTCの演奏も別に悪いわけではなくターナーと良くマッチしています。
小難しいところがないのが◎。
すいません! この1曲だけではありませんでした。
《スカイラーク》も最高! アレッこっちの方が好きかも?

P115

最近はオーディオメカいじりはあまりせず。
PCオーディオでJAZZを気ままに聴く時間が増えています。
なぜなら最近オーディオが満足いく音で鳴っているから。
Lo-DスピーカーHS-33Dの効果大です。

 

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こんなの聴いています。

正月に聴いているジャズアルバムを適当に紹介します。
これがブログタイトルにふさわしい記事なのですよね。

1.サム・リバース『PURPLE VIOLETS』

  フリー・ジャズをやっているけれど、
  難解でノイジーというようなものではありません。
  リバースのテナーには肩の力が抜けた
  ほんわかした雰囲気が漂っていてそれが好き。
  数曲に入るヴァイブラフォンとテナーの組み合わせがユニーク。
  こんな風に歳を重ねたリバースに出会えて感激です。

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2.デヴィッド・ゴードン『DOZEN A DAY』

  20年前くらいから数年間、
  寺島靖国さん推薦ピアノトリオはたくさん聴いたけれど、
  今手元に残っているアルバムはそれほど多くありません。
  これは比較的気に入っている1枚。
  オーソドックスなユーロ・ピアノ・トリオで、
  アップテンポの軽快な曲もあるけれど、
  全体的には落ち着いた雰囲気になっています。
  ピアノのタッチはクリアで粒立ちよくキラキラ。
  録音がクラシック的で残響が多く、
  非常にクリアに録られていることから、
  ホールの静かでクールな空気が感じられて気持ちが落ち着きます。
  私の超お気に入り曲ミシェル・ペトルチアーニ作《Looking Up》が 入っていて、
  テーマはほとんど原曲(ペトルチアーニの演奏)どおりで、
  アドリブが無理なくスムーズにメロディアスに紡がれていくところは白眉。
  アドリブの節回しが私のツボをグイグイ押して快感っ!

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3.ジョー・ヘンダーソン『RELAXIN' AT CAMARILLO』

  ジャズ喫茶「いーぐる」の連続講演「ジョーヘン特集」で
  原田和典さんが紹介してくれた1枚。
  そこで聴くまで未知で、取り上げられることが稀なアルバム。
  聴いて一発で気に入って後日即買い。
  ジョーヘンのうねるテナーを堪能できます。
  この手の演奏にはベストなチックの程良くクールなピアノに、
  パタパタしたアースキンのドラミングが快適。
  奇をてらったところはどこにもなく、
  ジョーヘンのテナーをじっくり味わうに尽きます。

P93 P94

ちなみに上記の音源は全てHDの中にあり、
ジャケット写真はCDを処分する時に撮ったものです。

 

 

 

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新年明けましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い致します。

今年最初に聴いたアルバムは、

ソニー・クラークの『クール・ストラッティン』。

P122

”クール・ストラッティン”する年にできたら良いな~。

もちろんレコードを聴いています。

カートリッジはシュアーML120HE、良い仕事をしてくれます。

P123

今年はレコードばかりでなくCDもたくさん聴くようにしたいです。

穏やかな1日でした。

初詣で引いたおみくじは「大吉」!

今年は良い年にしたいです。

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懐かしい響きの原因が分かりました。

ジャズ新譜紹介です。この人のギターには中毒性があって時々無性に聴きたくなってしまいます。今回の新譜や如何に。

P75ビル・フリゼール『ホエン・ユー・ウィッシュ・アポン・ア・スター』(2016年、OKeh-Records)です。メンバーは、ビル・フリゼール(electric and acoustic guitar)、ペトラ・ヘイデン(voice)、アイヴィン・カン(viola)、トーマス・モーガン(b)、ルディ・ロイストン(ds)です。フリゼールが人生の中で観たり聴いたりしてきたテレビや映画のシーンや音楽は、自分の音楽想像力の中に保存されているそうで、今回はそういう音楽をやっています。

カントリーミュージック系のビルフリ独特の世界が繰り広げられています。ジャズだからと言ってアドリブを聴かせるわけではないので、そういう独特の世界観を聴くべきものです。ギターが「ギロ~ン」と鳴っただけで、もうこの人の世界に引き込まれてしまうその個性は癖になります。独特の陰影感と倦怠感が漂い毒を匂わせる世界。

モーガンの深みのあるベース、ロイストンのどっしり安定したドラム、カントリーミュージックと言えばバイオリン(ここではヴィオラですが)の響きが必要で、そこにペトラ(チャーリー・ヘイデンの娘)の歌とヴォイスが彩を添え、5人で必要十分なサウンドを構築しています。なぜか1曲だけある自作曲《テイルズ・フロム・ザ・ファー・サイド》はアドリブを聴かせるもので、そこがジャズマンの証しなのでしょう。

私にとっては懐かしい古き佳きアメリカのサウンドに聴こえます。どうして懐かしく感じるのか不思議だったのですが、その原因が今回分かりました。曲名の中にあった《ボナンザ》を見てなるほどと思ったのです。私のようなアラフィフ(アラウンド・フィフティ)世代にはピンッと来るものがあるのではないでしょうか?

子供(小学生)の頃、テレビで「ボナンザ」を見ていたことを思い出したのです。私達は「テレビっ子」と言われた最初の世代なので、子供の頃とにかくテレビばかり見ていました。「テレビばかり見ていないで勉強しなさい。」とよく親に怒られたものです。今で言えばスマホばかり見ているのと大差ないように思います。

そんなテレビ、今では考えられないのですがたくさんアメリカのドラマが放送されていました。「ボナンザ」はそのひとつ。土曜半日で家に帰れば午後からはテレビタイムになるわけでして、その時間にやっていたように記憶しています。その時間帯にやっていた番組は他に「チャーリーズ・エンジェル」「バイオニック・ジェミー」「超音速攻撃ヘリ、エアーウルフ」「ナイトライダー」などがあります。

※再度思い出してみると、「ボナンザ」をやっていたのは日曜日の午後4時頃のような気がします。その枠では「スパイ大作戦」とかもやっていました。「ボナンザ」が終了した後「スパイ大作戦」になったのかも?

多感で影響を受けやすい子供の頃に見ていたのですから相当感化され、アメリカに親近感を感じていました。その昔戦争した敵国というイメージは見事にありませんでした。ちなみに私の両親は子供の頃戦争を体験しています。そんなアメリカのテレビドラマですが、私が最も印象に残っているのは「大草原の小さな家」です。こちらは土曜午後6時からNHKで放映。毎回見ていましたね。妹が好きで見ていたのを一緒に見ていました。

西部開拓時代のアメリカで貧しいながら逞しく生きていくインガルス一家の物語です。一家のために懸命に働く超真面目な父親。それを優しく支える温かい母親。このドラマを見た全ての人はそこに家族の理想像を見ていたはず。対照的に描かれるオルソン家の「かかあ天下」「わがままだけれど根は悪くない姉」「いたずら坊主な弟」の方に実は「あるある」と感じていた人も多いはず。今思えば対照的というより理想と現実を描いていたように思います。

まあそんなわけでして、アメリカに住んだことがないにも関わらず、テレビドラマに描かれていた今で言えば「バーチャルなアメリカ」が、実は今懐かしかったりするのです。

話がだいぶ反れてしまいました。懐かしさも漂うビルフリの独自世界に浸ってみるもの悪くないのではないでしょうか。

アルバム名:『When You Wish Upon a Star』
メンバー:
Bill Frisell(electric and acoustic guitar)
Petra Haden(voice)
Eyvind Kang(viola)
Thomas Morgan(b)
Rudy Royston(ds)

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上原ひろみの『SPARK』がとても気に入りました。

久しぶりのジャズ新譜紹介です。8ヵ月ぶり、クリス・ポッターの『イマジナリー・シィティーズ』以来だと思います。ジャズブログとしての使命をすっかり忘れ、オーディオにうつつをぬかしている私。ご容赦下さいませ。今回は思いっきり書いていますのでお付き合いのほどよろしく!

P72上原ひろみ・ザ・トリオ・プロジェクト『SPARK』(2015年rec. TELARC)、メンバーは、上原ひろみ(p,key)、アンソニー・ジャクソン(contrabass guitar)、サイモン・フィリップス(ds)です。このメンバーでの4作目、上原ひろみとしては10作目のアルバム。このメンバーで5年も活動し、アルバムを4枚も出すとは思いませんでした。メンバー一丸となってひろみワールドを繰り広げていて、私はこれまでで最高の出来栄えだと思います。

では1曲ずつ書いて行きましょう。まずはアルバムタイトル曲《スパーク》。いきなり度肝を抜くようなこはせず、これからどんなスパークを見せるのかもったいぶるように静かに始めます。オルゴールが鳴っているような出だしは物語の始まりに相応しいです。どちらかというと子供っぽい(悪ガキっぽい)演出が多い上原ですが、今回は大人の演出で成長を感じさせます。

で、サウンドエフェクトシンセを入れつついつものひろみ節が展開。好例の変拍子と繰り返しフレーズから入り、リズムを変えながら進んで行きます。リズムの変化に合わせて曲調も逐次変わって行き、演奏するのはかなり難しい曲だと思います。それを3人で一糸乱れずこなしていくのはこのグループのコンビネーションが如何に高いかを示しています。

PVでサイモンが言っていた、ひろみと私が色々やってそれをアンソニーがつなぎとめるというのを、この演奏で実感しました。演奏中2人は互いに微妙にリズムを乱す展開をしていて、アンソニーはその時々で2人のどちらのリズムに軸足を置いて演奏を安定して進めるか決めながらやっているのが感じ取れます。こういうリズムのインタープレイは高度でなかなか面白いです。

録音バランスは各アルバムで少しずつ違っていて、今回は前アルバムと同様アンソニーのベースが大き目なのに加え、上原の左手のピアノの低音とサイモンのバスドラムのレベルをこれまでより抑え気味になっています。おかげで上記のようなアンソニーの動きが良く聴き取れるようになっています。できれば低音が分離できる良いオーディオで聴いてほしいところです。

プログレ風ハードな曲の合間に挟まる優雅で美しいメロディーが気に入っています。美しいメロディーはピアノソロ(アドリブ)にも散在していて、やはり曲が良いとアドリブも聴いていて楽しいというのを再認識させてくれます。

2曲目《イン・ア・トランス》。お茶目なひろみ全開でアップテンポの楽しい曲。相変わらず複雑な拍子があるけれど、そんなものには目もくれず疾走して行く3人の演奏が痛快。タイトルのとおりだとすれば、上原がトランス状態になるとラテン・テイストが出るということになるのでしょうか。時々現れる上原のラテン・テイストが私は好きです。だって聴いていて体が自然と動く楽しさに溢れていますから。上原の凄さは速弾きとか目先のことではなく、こういうウキウキできるリズム感にあると思います。

無伴奏のドラムソロは多分この演奏で初めてフィーチャされたと思います。手数を多く叩くのが取り柄なサイモンのドラムだと思うようなところがあった私ですが、このドラムソロを聴いてそこにある音楽性に関心してしまいました。やっぱサイモンは凄いドラマーです。

3曲目《テイク・ミー・アウェイ》。前回のアルバムにもあったちょっと変わったリズム・フィギュアを叩くドラム。これを聴くと私はヨーロッパの現代ピアノトリオを感じます。メロディーもヨーロッパの東欧風なところがあります。間にはモロに日本情緒なメロディーもあって、アメリカの人が聴けばエスニックムード満載なのでしょう。サブタイトルの「どこか遠くへ」はヨーロッパのどこかなのでしょうか。

と思えば比較的ゆったりしたピアノソロは意外とファンキーで黒かったりします。ジャジーです。プログレ好きな上原ファンにこういう良さが分かってもらえるのか気になります。エスニックなテーマの中にファンキーなソロを入れるとか、一筋縄ではいかない上原の編曲の妙味が出た曲。

4曲目《ワンダーランド》。複雑なリズムのテーマは正にワンダーランド。どことなくチック・コリアのようなスパニッシュなメロディーも出てきて面白いです。上原のソロは途中から4ビートになっていて、私はこういう4ビートに乗ったアドリブに思わずニンマリしてしまいます。アンソニーとサイモンの4ビートはかなりイカシテいます。カッコイイッ!

5曲目《インダルジェンス》。正統派フュージョン調。大人っぽい都会の夜を感じさせるゆったりした曲。こういう曲が出て来ると妙に安心してしまう私です。何で安心するのかと思っていたのですが聴いていくうちに分かりました。ノリが黒いんですよね。上原のピアノソロももちろん黒くてファンキー。

上原のプログレ調が好きだといいながら、ジャズファンとしてはやはりこういう黒さに安堵してしまっていたという性に改めて気づいてしまいました。黒さがどうこう言いながら本人は意外と黒くないロバート・グラスパー(去年のトリオアルバムで実感)より、上原のこの演奏の方が余程黒いです。プログレの白さの中にこういう黒さを入れる上原、したたかです。

アンソニーの深く沈むベースは水を得た魚なのごとく活き活きとしています。真っ黒けなグルーヴ。サイモンのドラムもためが効いて良いグルーヴです。黒人云々ではなくジャズをやる人の共通言語としての黒さをこの3人の演奏に見ます。前アルバムの紹介記事で書いていたコテコテの崩し、その正体は黒さだったのだと今回理解。で、それをジャズファン以外の上原ファン(プログレ系ファンなど)がどう聴いたのか前回は気になっていたのです。

6曲目《ジレンマ》。プログレ系白い演奏に戻ります。複雑なリズムのスリリングな展開の間に挟まる情緒的メロディーの対比。言うまでもなくひろみ節。一本調子ではなく対比を上手く用いて曲をドラマチックに編曲する上原ならではの巧みな技です。アルバム全体の物語性は言うに及ばず、1曲の中にすら物語性がある上原の楽曲は素敵。表面上のテクニックの凄さは聴けばすぐに分かりますが、そのテクニックをテクニックとしてだけ聴かせていないところが、このプロジェクトの円熟味です。

サブタイトルの「進むべきか、戻るべきか。」は、「このプロジェクトは黒さに進むべきか、白さに戻るべきか。」なのか。それとも「上原ひろみはプログレの白さを進むべきか、ジャズの黒さに戻るべきか。」なのか。気になるところです。

7曲目《ワット・ウィル・ビー、ウィル・ビー》。これも黒いフュージョン調。白い演奏を黒い演奏で挟み込んだ上原の意図が気になります。ミディアムテンポで進んで腰に来ますね。この黒さは本物だっ! で、前アルバムになかったファニーな音のキーボードが再登場。上原のお茶目な面が本領発揮。でコテコテなピアノソロもチョロッと。

サブタイトル「運命の導くままに」がこの黒さだというところに、上原のジャズミュージシャンとしての本音/本質が見えて、私はジャズファンとして上原を支持してきたことに間違いがなかったと確信しました。黒さがジャズの本質ではないと言っている私ですが、やはり黒さを持っているジャズミュージシャンを信頼できてしまう私に気付いたりして苦笑いです。

8曲目《ウェイク・アップ・アンド・ドリーム》。静岡生まれの上原ならではの穏やかな気候と自然を感じさせるピアノ独奏曲。草原に吹く心地良く穏やかな風をイメージします。パット・メセニーにも通じるフォーキーな感じがあります。あちらはカントリーミュージックを感じさせますが、こちらは日本歌謡ですね(笑)。日本人として共感できます。

ラスト《オールズ・ウェル》。フラメンコ調手拍子で始まったと思ったら、シャッフルビートに乗ったR&B!! いやはや参りました。サブタイトルの「終わりよければすべてよし。」がR&Bだって言うんですから。このノリノリ演奏最高っす! ブルジーな節回し堪んね~っ! このアルバム唯一のベースソロ、アンソニーの発想は訳が分かんね~っ(笑)! 上原ひろみさん、あなたはジャズが心底分かっていらっしゃたのですね。

う~ん、正に「終わりよければすべてよし。」、私は大満足であります。白さと黒さと黄色(日本)の対比が鮮明になってきて、それらが上手い具合に共存しているところは正に現代ジャズ。それは3人の人種構成そのものですね。3つの色がこのアルバムの物語を上手く形作っています。こういう妙味が分かってこそ現代ジャズが分かるっていうものです。

まだ1年は始まったばかりですが、私の2016年年間ベスト1はこのアルバムになる可能性がかなり高いです。

アルバム名:『SPARK』
メンバー:
Hiromi(p, key)
Anthony Jackson(contrabass guitar)
Simon Phillips(ds)

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お久しぶりでございます(笑)。

今年に入って2度目の更新です。

元旦の更新後20日も沈黙してました。m(_ _)m

出ますねっ!いよいよ。2年ぶりの新作。

このトリオで4作もアルバムを作るなんて思ってもいませんでした。

上原ひろみの『スパーク』。

私は初回DVD付の普通のCDを予約しています。

私にはプラチナSHM-CDは不要。

高音質を求めるならハイレゾ音源を買います。

プロモションビデオがしっかりYouTubeにUPされていますね。

冒頭シンセでオーケストレーション風に弾くのは初のアプローチ。

これまでのシンセの使い方はお茶目な感じばかりだったので、

この大人っぽい使い方はちょっと新鮮です。

基本的にはこれまでと同様の路線。

この曲《SPARK》もひろみ節以外の何者でもありません。

変拍子がいかにもです。

プログレ風ハードなメロディーの間に挟まる情緒的なメロディーが好き。

このトリオで5年も活動しているんですね~。

色々な意見があるとは思いますが、

私は上原ひろみが現在最もグレイトな日本人ジャズミュージシャンだと思います。

聴くのがとても楽しみです。

今年はここから私のジャズが始まります。

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YouTubeで自分の喋りを聞く日が来るとは!

生きていると色々なことが起こります。

まさかYouTubeで自分の喋りを聞く日が来るとは思いませんでした。

高野雲さんラジオ番組「快楽ジャズ通信」に私がゲスト出演した時の放送。

2回あります。

1回目は「パット・メセニー特集」。

いくつか勘違いしたことを言ってますがご容赦願います。

2回目は「上原ひろみの魅力」。

メセニーにひろみちゃん。

大好きな2人について喋らせてくれた雲さんに感謝です。

恥ずかしながら貼っちゃいました。

m(_ _)m

よしなに。

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