ジャズ・アルバム紹介

カマシ・ワシントンについて思うこと

昨日ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた高野雲さんの著書『ビジネスマンのための(こっそり)ジャズ入門』の出版記念イヴェントに行ってきました。とてもたのしくジャズを聴くことができるもので行って良かったです。

実はジャズ喫茶「いーぐる」に行くのは3年半ぶりだったのです。ご無沙汰しっ放し! 超お久しぶりにマスター後藤雅洋さんやジャズ評論家&編集者村井康司さんをはじめ「いーぐる」常連さんとお話しをさせていただき楽しい一夜となりました。

最近拙ブログにジャズのことを書かない私なので、後藤さんから最近何を聴いているのかというご質問があり、現代ジャズシーンに疎くなっているという答えをしたことから、色々教えていただきました。そんな中でカマシ・ワシントンを聴くべきとのお話しがあり、ビルボード東京のインタビュー記事が非常に面白いというお話もありました。

このインタビュー記事は、久しぶりに「いーぐる」へ行くこともあり、数年間チェックしていなかった「いーぐる」ホームページの中の掲示板(いーぐる note 2010)を事前に読んだ時に気になっていたものでした。でっ、今日その記事を読んでみると。

以下がそのインタビュー記事
http://www.billboard-japan.com/special/detail/1735

後藤さんが掲示版に書かれているお薦め理由
・渋谷はジャズ門外漢と言いつつ、彼のコルトレーンを通したジャズ観は実に的確。
・柳樂の解説も、現代ジャズ・シーンの概略がわかる優れもの。
はそのとおりだと思いました。

さて私はというと、記事に貼られていたカマシのライブを見て分かってしまいました(笑)。これが貼られていたライブ動画。

この既視感は何? 90年前後に観たことがありますよ。当時日本で盛んに行われていた野外ジャズフェスティバルの一場面(笑)? カマシ・ワシントンってあの頃のデヴィッド・サンボーンの位置付けそのものじゃないですか? このライブ映像の頭の部分を観てはっきり確信しました。自分で言うもの何ですが私の直感は妙に鋭い(笑)!

そう思ってインタビュー記事を読み返すとこれが腑に落ちる。私は菊地成孔さんと同じ53歳。20代にあの時期を過ごした同世代の人には分かってもらえると思います。80年代リバイバルというのは拙ブログの2年くらい前の記事に何度か登場してきます。結局そういうことなのかと。インタビュー記事にあるカマシへの戸惑いって、80年代のジャズvsフュージョン論争と本質的な意味合いは変わらないと思います。

あーっ、スッキリした(笑)! カマシ=サンボーンと思って聴けば、当時からサンボーンが好きだった私は特に拒絶反応はおきません。当時からジャズ/フュージョンの両刀使いな私なのですから(笑)。そう言えば当時ジャズ派代表の後藤さんが初めて書いた本「ジャズ・オブ・パラダイス」でサンボーンを評価していたのが当時意外であったけれど、的を射た理由が書かれていて嬉しかった記憶があります。

そしてもう一度インタビュー記事を読んで気になったことを書いてみます。

「スピリチュアル」という言葉に対する理解が渋谷陽一さんの持っているものとジャズサイドの理解は少し異なっているのです。そこを柳楽さんが指摘できていなのが残念。まあ私も今上手く説明する言葉は浮かびません。結果コルトレーンを即興演奏(インプロビゼーション)の中心に置いてしまっているのが私に違和感を感じさせます。やはり即興演奏を語るならチャーリー・パーカーを中心に置かなければなりません。

パーカーを即興演奏の中心に据えれば、ヒートアップした中にあるクールあるいはドライな雰囲気というのは当然のこととして理解できます。即興演奏というものはメロディーを形成するコード(和音)の並び順に従って、そのコードの中にある音(3音や4音)を瞬時に選び出し、人の心に響くような新たなメロディーを作る行為が基本です。理知的に考えていなければできません。それがクールあるいはドライな雰囲気につながります。そこがジャズ最高のカッコ良さなのです。パーカーが凄い熱い演奏をしながら非常に淡々とした表情をしているのは知られたことです。

それからカマシがスピリチュアルだと言うけれど、コルトレーンにあったドロドロしたものは感じられずそこがポップスやロックなどからの影響だとするならば、それはその通りでそんな話は既に80年代に散々ありました。スタジオミュージシャンでもあったマイケル・ブレッカーに対する評価と言えば分かってもらえるでしょう。後藤さんはマイケルについても『ジャズ・オブ・パラダイス』で高評価しています。

記事の中にあるウィントン・マルサリスやジョニ・ミッチェルも当時の状況が懐かしいです。80年代のそれと現代のそれは違うという見方がある一方、私は当時のリバイバルの域を超えるものではないという直感が働いています。歴史は繰り返す。その直感が正しいのかどうかは何年も後に振り返った時に判断できるでしょう。

それでは90年のライブを観ていただきましょう。ライブアンダーザスカイから。

リズムはファンクなので、現代のヒップホップやテクノ経由のリズムとは異なるところはあるでしょうけれど、まあヒップホップはファンクなどのビートをサンプリングするところから始まっているので、それの発展形という形で理解すれば特に問題ないでしょう。それにしても今になって観ると当時は熱かったですね(笑)。

そう言えば昔こんな記事を書いています。
「はは~ん、なるほど。」と思いました。

すみません。出版記念イヴェントについては次週書きます。

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懐かしい響きの原因が分かりました。

ジャズ新譜紹介です。この人のギターには中毒性があって時々無性に聴きたくなってしまいます。今回の新譜や如何に。

P75ビル・フリゼール『ホエン・ユー・ウィッシュ・アポン・ア・スター』(2016年、OKeh-Records)です。メンバーは、ビル・フリゼール(electric and acoustic guitar)、ペトラ・ヘイデン(voice)、アイヴィン・カン(viola)、トーマス・モーガン(b)、ルディ・ロイストン(ds)です。フリゼールが人生の中で観たり聴いたりしてきたテレビや映画のシーンや音楽は、自分の音楽想像力の中に保存されているそうで、今回はそういう音楽をやっています。

カントリーミュージック系のビルフリ独特の世界が繰り広げられています。ジャズだからと言ってアドリブを聴かせるわけではないので、そういう独特の世界観を聴くべきものです。ギターが「ギロ~ン」と鳴っただけで、もうこの人の世界に引き込まれてしまうその個性は癖になります。独特の陰影感と倦怠感が漂い毒を匂わせる世界。

モーガンの深みのあるベース、ロイストンのどっしり安定したドラム、カントリーミュージックと言えばバイオリン(ここではヴィオラですが)の響きが必要で、そこにペトラ(チャーリー・ヘイデンの娘)の歌とヴォイスが彩を添え、5人で必要十分なサウンドを構築しています。なぜか1曲だけある自作曲《テイルズ・フロム・ザ・ファー・サイド》はアドリブを聴かせるもので、そこがジャズマンの証しなのでしょう。

私にとっては懐かしい古き佳きアメリカのサウンドに聴こえます。どうして懐かしく感じるのか不思議だったのですが、その原因が今回分かりました。曲名の中にあった《ボナンザ》を見てなるほどと思ったのです。私のようなアラフィフ(アラウンド・フィフティ)世代にはピンッと来るものがあるのではないでしょうか?

子供(小学生)の頃、テレビで「ボナンザ」を見ていたことを思い出したのです。私達は「テレビっ子」と言われた最初の世代なので、子供の頃とにかくテレビばかり見ていました。「テレビばかり見ていないで勉強しなさい。」とよく親に怒られたものです。今で言えばスマホばかり見ているのと大差ないように思います。

そんなテレビ、今では考えられないのですがたくさんアメリカのドラマが放送されていました。「ボナンザ」はそのひとつ。土曜半日で家に帰れば午後からはテレビタイムになるわけでして、その時間にやっていたように記憶しています。その時間帯にやっていた番組は他に「チャーリーズ・エンジェル」「バイオニック・ジェミー」「超音速攻撃ヘリ、エアーウルフ」「ナイトライダー」などがあります。

※再度思い出してみると、「ボナンザ」をやっていたのは日曜日の午後4時頃のような気がします。その枠では「スパイ大作戦」とかもやっていました。「ボナンザ」が終了した後「スパイ大作戦」になったのかも?

多感で影響を受けやすい子供の頃に見ていたのですから相当感化され、アメリカに親近感を感じていました。その昔戦争した敵国というイメージは見事にありませんでした。ちなみに私の両親は子供の頃戦争を体験しています。そんなアメリカのテレビドラマですが、私が最も印象に残っているのは「大草原の小さな家」です。こちらは土曜午後6時からNHKで放映。毎回見ていましたね。妹が好きで見ていたのを一緒に見ていました。

西部開拓時代のアメリカで貧しいながら逞しく生きていくインガルス一家の物語です。一家のために懸命に働く超真面目な父親。それを優しく支える温かい母親。このドラマを見た全ての人はそこに家族の理想像を見ていたはず。対照的に描かれるオルソン家の「かかあ天下」「わがままだけれど根は悪くない姉」「いたずら坊主な弟」の方に実は「あるある」と感じていた人も多いはず。今思えば対照的というより理想と現実を描いていたように思います。

まあそんなわけでして、アメリカに住んだことがないにも関わらず、テレビドラマに描かれていた今で言えば「バーチャルなアメリカ」が、実は今懐かしかったりするのです。

話がだいぶ反れてしまいました。懐かしさも漂うビルフリの独自世界に浸ってみるもの悪くないのではないでしょうか。

アルバム名:『When You Wish Upon a Star』
メンバー:
Bill Frisell(electric and acoustic guitar)
Petra Haden(voice)
Eyvind Kang(viola)
Thomas Morgan(b)
Rudy Royston(ds)

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上原ひろみの『SPARK』がとても気に入りました。

久しぶりのジャズ新譜紹介です。8ヵ月ぶり、クリス・ポッターの『イマジナリー・シィティーズ』以来だと思います。ジャズブログとしての使命をすっかり忘れ、オーディオにうつつをぬかしている私。ご容赦下さいませ。今回は思いっきり書いていますのでお付き合いのほどよろしく!

P72上原ひろみ・ザ・トリオ・プロジェクト『SPARK』(2015年rec. TELARC)、メンバーは、上原ひろみ(p,key)、アンソニー・ジャクソン(contrabass guitar)、サイモン・フィリップス(ds)です。このメンバーでの4作目、上原ひろみとしては10作目のアルバム。このメンバーで5年も活動し、アルバムを4枚も出すとは思いませんでした。メンバー一丸となってひろみワールドを繰り広げていて、私はこれまでで最高の出来栄えだと思います。

では1曲ずつ書いて行きましょう。まずはアルバムタイトル曲《スパーク》。いきなり度肝を抜くようなこはせず、これからどんなスパークを見せるのかもったいぶるように静かに始めます。オルゴールが鳴っているような出だしは物語の始まりに相応しいです。どちらかというと子供っぽい(悪ガキっぽい)演出が多い上原ですが、今回は大人の演出で成長を感じさせます。

で、サウンドエフェクトシンセを入れつついつものひろみ節が展開。好例の変拍子と繰り返しフレーズから入り、リズムを変えながら進んで行きます。リズムの変化に合わせて曲調も逐次変わって行き、演奏するのはかなり難しい曲だと思います。それを3人で一糸乱れずこなしていくのはこのグループのコンビネーションが如何に高いかを示しています。

PVでサイモンが言っていた、ひろみと私が色々やってそれをアンソニーがつなぎとめるというのを、この演奏で実感しました。演奏中2人は互いに微妙にリズムを乱す展開をしていて、アンソニーはその時々で2人のどちらのリズムに軸足を置いて演奏を安定して進めるか決めながらやっているのが感じ取れます。こういうリズムのインタープレイは高度でなかなか面白いです。

録音バランスは各アルバムで少しずつ違っていて、今回は前アルバムと同様アンソニーのベースが大き目なのに加え、上原の左手のピアノの低音とサイモンのバスドラムのレベルをこれまでより抑え気味になっています。おかげで上記のようなアンソニーの動きが良く聴き取れるようになっています。できれば低音が分離できる良いオーディオで聴いてほしいところです。

プログレ風ハードな曲の合間に挟まる優雅で美しいメロディーが気に入っています。美しいメロディーはピアノソロ(アドリブ)にも散在していて、やはり曲が良いとアドリブも聴いていて楽しいというのを再認識させてくれます。

2曲目《イン・ア・トランス》。お茶目なひろみ全開でアップテンポの楽しい曲。相変わらず複雑な拍子があるけれど、そんなものには目もくれず疾走して行く3人の演奏が痛快。タイトルのとおりだとすれば、上原がトランス状態になるとラテン・テイストが出るということになるのでしょうか。時々現れる上原のラテン・テイストが私は好きです。だって聴いていて体が自然と動く楽しさに溢れていますから。上原の凄さは速弾きとか目先のことではなく、こういうウキウキできるリズム感にあると思います。

無伴奏のドラムソロは多分この演奏で初めてフィーチャされたと思います。手数を多く叩くのが取り柄なサイモンのドラムだと思うようなところがあった私ですが、このドラムソロを聴いてそこにある音楽性に関心してしまいました。やっぱサイモンは凄いドラマーです。

3曲目《テイク・ミー・アウェイ》。前回のアルバムにもあったちょっと変わったリズム・フィギュアを叩くドラム。これを聴くと私はヨーロッパの現代ピアノトリオを感じます。メロディーもヨーロッパの東欧風なところがあります。間にはモロに日本情緒なメロディーもあって、アメリカの人が聴けばエスニックムード満載なのでしょう。サブタイトルの「どこか遠くへ」はヨーロッパのどこかなのでしょうか。

と思えば比較的ゆったりしたピアノソロは意外とファンキーで黒かったりします。ジャジーです。プログレ好きな上原ファンにこういう良さが分かってもらえるのか気になります。エスニックなテーマの中にファンキーなソロを入れるとか、一筋縄ではいかない上原の編曲の妙味が出た曲。

4曲目《ワンダーランド》。複雑なリズムのテーマは正にワンダーランド。どことなくチック・コリアのようなスパニッシュなメロディーも出てきて面白いです。上原のソロは途中から4ビートになっていて、私はこういう4ビートに乗ったアドリブに思わずニンマリしてしまいます。アンソニーとサイモンの4ビートはかなりイカシテいます。カッコイイッ!

5曲目《インダルジェンス》。正統派フュージョン調。大人っぽい都会の夜を感じさせるゆったりした曲。こういう曲が出て来ると妙に安心してしまう私です。何で安心するのかと思っていたのですが聴いていくうちに分かりました。ノリが黒いんですよね。上原のピアノソロももちろん黒くてファンキー。

上原のプログレ調が好きだといいながら、ジャズファンとしてはやはりこういう黒さに安堵してしまっていたという性に改めて気づいてしまいました。黒さがどうこう言いながら本人は意外と黒くないロバート・グラスパー(去年のトリオアルバムで実感)より、上原のこの演奏の方が余程黒いです。プログレの白さの中にこういう黒さを入れる上原、したたかです。

アンソニーの深く沈むベースは水を得た魚なのごとく活き活きとしています。真っ黒けなグルーヴ。サイモンのドラムもためが効いて良いグルーヴです。黒人云々ではなくジャズをやる人の共通言語としての黒さをこの3人の演奏に見ます。前アルバムの紹介記事で書いていたコテコテの崩し、その正体は黒さだったのだと今回理解。で、それをジャズファン以外の上原ファン(プログレ系ファンなど)がどう聴いたのか前回は気になっていたのです。

6曲目《ジレンマ》。プログレ系白い演奏に戻ります。複雑なリズムのスリリングな展開の間に挟まる情緒的メロディーの対比。言うまでもなくひろみ節。一本調子ではなく対比を上手く用いて曲をドラマチックに編曲する上原ならではの巧みな技です。アルバム全体の物語性は言うに及ばず、1曲の中にすら物語性がある上原の楽曲は素敵。表面上のテクニックの凄さは聴けばすぐに分かりますが、そのテクニックをテクニックとしてだけ聴かせていないところが、このプロジェクトの円熟味です。

サブタイトルの「進むべきか、戻るべきか。」は、「このプロジェクトは黒さに進むべきか、白さに戻るべきか。」なのか。それとも「上原ひろみはプログレの白さを進むべきか、ジャズの黒さに戻るべきか。」なのか。気になるところです。

7曲目《ワット・ウィル・ビー、ウィル・ビー》。これも黒いフュージョン調。白い演奏を黒い演奏で挟み込んだ上原の意図が気になります。ミディアムテンポで進んで腰に来ますね。この黒さは本物だっ! で、前アルバムになかったファニーな音のキーボードが再登場。上原のお茶目な面が本領発揮。でコテコテなピアノソロもチョロッと。

サブタイトル「運命の導くままに」がこの黒さだというところに、上原のジャズミュージシャンとしての本音/本質が見えて、私はジャズファンとして上原を支持してきたことに間違いがなかったと確信しました。黒さがジャズの本質ではないと言っている私ですが、やはり黒さを持っているジャズミュージシャンを信頼できてしまう私に気付いたりして苦笑いです。

8曲目《ウェイク・アップ・アンド・ドリーム》。静岡生まれの上原ならではの穏やかな気候と自然を感じさせるピアノ独奏曲。草原に吹く心地良く穏やかな風をイメージします。パット・メセニーにも通じるフォーキーな感じがあります。あちらはカントリーミュージックを感じさせますが、こちらは日本歌謡ですね(笑)。日本人として共感できます。

ラスト《オールズ・ウェル》。フラメンコ調手拍子で始まったと思ったら、シャッフルビートに乗ったR&B!! いやはや参りました。サブタイトルの「終わりよければすべてよし。」がR&Bだって言うんですから。このノリノリ演奏最高っす! ブルジーな節回し堪んね~っ! このアルバム唯一のベースソロ、アンソニーの発想は訳が分かんね~っ(笑)! 上原ひろみさん、あなたはジャズが心底分かっていらっしゃたのですね。

う~ん、正に「終わりよければすべてよし。」、私は大満足であります。白さと黒さと黄色(日本)の対比が鮮明になってきて、それらが上手い具合に共存しているところは正に現代ジャズ。それは3人の人種構成そのものですね。3つの色がこのアルバムの物語を上手く形作っています。こういう妙味が分かってこそ現代ジャズが分かるっていうものです。

まだ1年は始まったばかりですが、私の2016年年間ベスト1はこのアルバムになる可能性がかなり高いです。

アルバム名:『SPARK』
メンバー:
Hiromi(p, key)
Anthony Jackson(contrabass guitar)
Simon Phillips(ds)

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お久しぶりでございます(笑)。

今年に入って2度目の更新です。

元旦の更新後20日も沈黙してました。m(_ _)m

出ますねっ!いよいよ。2年ぶりの新作。

このトリオで4作もアルバムを作るなんて思ってもいませんでした。

上原ひろみの『スパーク』。

私は初回DVD付の普通のCDを予約しています。

私にはプラチナSHM-CDは不要。

高音質を求めるならハイレゾ音源を買います。

プロモションビデオがしっかりYouTubeにUPされていますね。

冒頭シンセでオーケストレーション風に弾くのは初のアプローチ。

これまでのシンセの使い方はお茶目な感じばかりだったので、

この大人っぽい使い方はちょっと新鮮です。

基本的にはこれまでと同様の路線。

この曲《SPARK》もひろみ節以外の何者でもありません。

変拍子がいかにもです。

プログレ風ハードなメロディーの間に挟まる情緒的なメロディーが好き。

このトリオで5年も活動しているんですね~。

色々な意見があるとは思いますが、

私は上原ひろみが現在最もグレイトな日本人ジャズミュージシャンだと思います。

聴くのがとても楽しみです。

今年はここから私のジャズが始まります。

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YouTubeで自分の喋りを聞く日が来るとは!

生きていると色々なことが起こります。

まさかYouTubeで自分の喋りを聞く日が来るとは思いませんでした。

高野雲さんラジオ番組「快楽ジャズ通信」に私がゲスト出演した時の放送。

2回あります。

1回目は「パット・メセニー特集」。

いくつか勘違いしたことを言ってますがご容赦願います。

2回目は「上原ひろみの魅力」。

メセニーにひろみちゃん。

大好きな2人について喋らせてくれた雲さんに感謝です。

恥ずかしながら貼っちゃいました。

m(_ _)m

よしなに。

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高野雲さんのラジオ番組「快楽ジャズ通信」がYouTubeにどっさり

ありゃりゃ、一昨日、昨日、今日って「東京JAZZ」だったんですね。すっかり忘れていました(笑)。

高野雲さん が私のブログにコメントをくれて初めて気付きました。以前衛星放送ラジオ「ミュージックバード」で雲さんがパーソナリティーを務めていた番組「快楽ジャズ通信」がYouTubeにたくさんアップされています。当時私はリスナーとしてこの番組の全放送(100回以上)を聴き、拙ブログにその内容を紹介しています。

著作権的には違法なんでしょうけれど(遠藤憲一に怒られそう、笑)、ここに貼ってしまいましょう。お許し下さいませ。雲さんからコメントをもらった回。

この放送からもう5年も経つんですね~。今となっては懐かしいです。

ちなみにこの放送を聴きながら書いたブログがこちら。
コルトレーンのバラード表現の解説に納得!

放送を録音して聴きなおしながらブログを書くのは面倒なので(用事があって聴けない時は録音しましたが)、放送を聴きながらパソコンに打ち込んでいました。なのでほんとうにかいつまんだ内容しか書けていません。聴き逃している部分もありますが、それでも要点は押さえてあると思います。書いていて楽しかったですよ。一発勝負のアドリブみたいな緊張感を持ちながらブログを書いていました。

ちなみに私がゲストとして出演した回(私、何ヵ所か間違ったことを言ってしまいました。ごめんなさい。)もアップされています。ミュージックバードは有料放送だったので聴いた人は少ないでしょう。この機会に(違法アップロードではありますが)こっそり聴いちゃいましょう。遠くないうちにIDが削除されてしまうと思います。

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この1曲がお気に入り

今年発売されたジャズアルバムの紹介をちっとも書く気が起きません(涙)。困ったもんです。ということで適当にお茶を濁しておきましょう。週1回の定期更新です。

昔からジャズボーカルをあまり聴かない私。ジャズはやはりインストが良いのです。そんな私もオーディオチェック用を兼ねて、ジャズというよりフュージョンボーカルを買ったりしました。そんな2枚を紹介します。

まずはマリーンのアルバム。CBSソニーのデジタル録音のマスターサウンドシリーズのレコードが聴きたくて買った『イッツ・マジック』。これがかなり気に入ったので続いて買ったのがこれです。いよいよ普及し始めるかといった頃のCD。

この頃はレコードの音量に合わせたくらいのカッティングレベルなので、今のCDと比較するとかなり音が小さいです。今のようにコンプレッサーで平均音圧を上げて収録していないのでちょっと音が弱いですが、こちらの方が素直だと思います。今のようなメリハリを効かせた音ではなく、まだまだ巷に溢れていたレコードのような意外と滑らかな音です。

P9マリーン『ルッキング・フォー・ラヴ』(1984年、CBSソニー)です。『イッツ・マジック』が日本のスタジオミュージシャンをバックに歌っていたのに対して、こちらはウエストコーストのスタジオミュージシャンを起用。プロデュースは伊藤八十八。音楽的なプロデュースはジェイ・グラスカ、ラリー・ウィリアムス、ロバート・クラフト。

マリーンのパンチの効いたハスキーボーカルがカッコイイです。日本のスタジオミュージシャンだと軽くなってしまいがちなグルーヴ。しかしこちらはあちらのミュージシャンだけあってグルーヴに粘りがあるように思います。ステディなリズムを刻んでいますが、ネイザン・イーストのエレベとジョン・ロビンソンのドラムがいい味出してますよ。

ブログのタイトルにあるお気に入りの1曲は《ロック・ステディ》。ミドルテンポで粘りのあるグルーヴ。メローで切なげなメロディーは私のお気に入りの定番。私の嫌いなレゲーのグルーヴを軽く伴っているにも関わらず、なぜかこれは気に入ってしまいました。ハモニカの雰囲気を出すシンセが切なさを演出。く~ぅ、堪らん(笑)。

この1曲だけでなく、他にもお気に入りの曲はあって、このアルバムそのものが好きです。You Tubeにアルバム1曲目の《クリーチャー・オブ・ザ・ナイト》がありましたので貼っておきます。

いい感じでしょ。

お次は笠井紀美子。ギル・エバンスとの共演アルバムがあったりして、この頃はもう重鎮の一人でした。

P10笠井紀美子『ニュー・パステル』(1984年、CBSソニー)です。誰のプロデュースなのかよく分かりませんが、笹路正則が全曲編曲して音楽的なプロデュースもしていると思います。もちろん笹路は全曲でキーボードも演奏。こちらはネイザン・イーストのエレベとリッキー・ローソンのドラムがいい感じです。

笹路と言えば、今ではスピッツやコブクロのプロデュースをしていると言った方が分かってもらえるでしょうね。ちなみにマリーンの『イッツ・マジック』は笹路の編曲。数年前にはオーディオ雑誌に記事を書いたりしていて驚きました。日本の音楽界で幅広く活躍している人です。

笠井はちょっと癖がある歌い方で、英語のイントネーションは独特な感じです。私は笠井の歌そのものは凄く好きというわけではありませんが、入っている曲などアルバムトータルの雰囲気は気に入っています。打ち込みリズムにテクノのフィーリングが入った《ユー・テイク・マイ・ブリース・アウェイ》では、ヒノテルがヒップなトランペットを披露していてなかなか面白いです。

で、私のお気に入りの1曲は《アルフィー》。もうこれは切ね~メロディーに尽きますね(笑)。これを聴いていると胸がキュンとなります。ショービズ的オーケストラアレンジも好きです。バート・バカラックの作曲でした。バカラックメロディーっていいですよね。

私が子供の頃、初めて我が家で買ったポータブルレコードプレーヤーのオマケで付いてきたEPの中に《サンホセへの道》がありました。お気に入りの曲でよく聴いたのですが、これもバカラックの作曲だったんですね。

この曲はバネッサ・ウィリアムス・バージョンを聴いていただきましょう。

これいいですね~。胸キュンしまくりです。

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昨日はコルトレーンの命日だったらしい

今年出たアルバムの紹介が溜まりに溜まっているのに半年が過ぎてしまいました(笑)。今年出たアルバムの紹介はまだクリポタの1枚のみ。いい加減紹介していかないといけないのですが・・・、今日も別件について書きます。

昨日はジョン・コルトレーンの命日だったらしいですね。まあ私は誰それの命日だから誰それを聴くとかしない人なので、単にそういうのがめんどくさいだけなんですが。何事も気まま思いつくままにやるのが好きなだけです。だから今回突然こんな記事を書いたりしております。急にこのアルバムについて書きたくなりました。

P191ジョン・コルトレーン『至上の愛』(1964年rec. Impulse)です。メンバーは、ジョン・コルトレーン(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)です。ジャズを聴き始めてしばらく経った頃、コルトレーンのアルバムとして聴いておかないとまずいだろうという事で買った1枚。今でもその時買ったレコードを聴いています。好きなアルバムです。

1曲目《パート1、承認》、これはエルヴィンのポリリズミックなドラミングが好きです。私、エルヴィンのドラミングが大好きなのですが、そんな中でもこの曲のグルーヴ感はエルヴィンにしか出せないエルヴィン節で、特に気に入っています。そんなグルーヴに乗って、コルトレーンのソロのバックでアクセントを付けるマッコイのピアノが好きです。和音の響きに独特の色気を感じます。この曲は後半のコーラスが何とも。男どもが「ラ~ヴ スプリン ラ~ヴ スプリン ラ~ヴ スプリン ア ラ~ヴ スプリン ~」とかまったり歌っているのを聴くと、「女性にこのアルバムはいいよ。」と薦め難くなります(笑)。

2曲目《パート2、決意》、私はこのアルバムの中でこの曲が一番好き。特に1曲目が終わってこの曲の始まるところがカッコイイと思います。この曲は《決意》というだけあって、聴いていると前向きな気持ちにさせてくれる曲想が良いのです。マッコイのピアノソロは典型的なマッコイ節で、このフレージングはワンパターンと言えばワンパターンなのですが、私は先に書いたようにこのフレージングの持つ色気が好き。続くコルトレーンのソロ、カッコイイですよね~。これも典型的なコルトレーン節だと思いますが、カッコイイとしか言いようがないです。これを聴いているとマイケル・ブレッカーがコルトレーンのフレージングを研究したくなった気持ちが分かるような気がします。

その数年後、この曲をカッコイイと思う人達がいたということを知る出来事が起こりました。マーク・ジョンソン・ベース・デザイアーズのファーストアルバムにこの曲が収録されていたのです。あの出だしと曲調がまんま再現されています。アルバム2曲目に入っている辺りにも意識したところがあると思います。「そうだよね~。カッコイイよね~。」と、ジョンソン、ジョンスコ、フリゼール、アースキンに大共感しました。80年代の新感覚ジャズをやる人達にも私と同じ感覚を持つ人達がいたんだと分かり、ジャズを聴いて良かったと思いました。

レコードなのでこの2曲でA面終了。1曲目のコーラスは何ともなのですが、2曲目が好きなのでどちらかと言えばA面を聴くことが多いこのアルバムです。次はレコードをひっくりかえしてB面へ。

3曲目《パート3、追求》、これはコルトレーンの怒涛のソロが最高。ソロで先行するのはマッコイのピアノなのですが、前座、露払いと言った感じ。続いてエルヴィンの煽り立てる高速4ビートに乗ってコルトレーンのソロが登場。前え前えと音を次から次へと並べて行きます。フリーキーなトーンを交えながら疾走するコルトレーン。こういうソロが聴きけるのがジャズの醍醐味なのです。コルトレーンってやっぱスゲーよ! エルヴィンの煽りに煽るドラミングがカッコイイ。で、急速調にソロが萎み、エルヴィンの短いソロに続くギャリソンの力強く素朴なベースソロは、あなたがバックで支えてくれていたことを改めて気づかせてくれます。

4曲目《パート4、賛美》、エルヴィンのマレットによるドラミングが荘厳さを漂わせるスピリチュアルなバラード曲です。私にとってのスピリチュアルなジャズの典型がここにあります。神の前に祈りを捧げるコルトレーン。その響きには日頃の反省が込められているようでもあり、このあたりがコルトレーンという人の本質を表しているような気がしてなりません。マッコイのピアノも重くのしかかり、重厚な感じは鬱陶しいくらいです(笑)。でもこの鬱陶しさがいいんですよね~。

ということで、私にとってはそれぞれに聴きどころがある4曲が詰まったこのアルバムが好きです。同じ頃『バラード』も買っていますが、私は圧倒的に『至上の愛』の方を聴いていました。ついでなので紹介しておきますか、これも。

P192ジョン・コルトレーン『バラード』(1961,2年rec. Impulse)です。メンバーは上記のアルバムと同じ。このアルバムも当時買ったレコードを今でも聴いています。タイトルどおりコルトレーンのバラード演奏を集めて収録したアルバム。当時からイケイケな私は、バラード演奏よりイケイケ演奏が好きで、自ずとこのアルバムを聴く機会は減りました。30年以上ジャズを聴いていますが、このアルバムは10数回くらいしか聴いていないと思います。

80年代、当時の「スイングジャーナル」誌には対決企画があり、「コルトレーンの本音は『至上の愛』か『バラード』か?」とかのタイトルで、それぞれのアルバムを支持するジャズ評論家などの記事が併記されていました。もちろん私は『至上の愛』支持派に納得。他には「ジェームズ・ブラッド・ウルマーは下手なのか上手いのか」とか、「アート・ペッパーの本質は前期か後期か」とか、「ジョージ・ウィンストンはジャズなのかジャスではないのか」とかあったように記憶しています。今思えば誌上ディベートと言ったところでしょうか。

そんなわけでこのアルバムは好きではないのですが、今は特に批判的にならず聴き通せます。イケイケばかりでは疲れますからね。たまにはこういうのをゆっくり聴くのも悪くないです。そんな私もこのアルバムの中に好きな曲が1曲ありました。アルバム中唯一のノリの良い曲《のるかそるか》です。この曲のエルヴィンのポリリズミックな躍動的ドラミングが好きなんですよね。オイオイそこなんかいっ(笑)!

今日聴いて良いと思ったのはB面最初の《アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー》。この曲の雰囲気が好き。このアルバムと言えば次の《ホワッツ・ニュー》が話題になることが多いと思いますが、私は特にこれがという演奏とは思えません。このアルバムの演奏ならば、曲の好き嫌いで判断すれば良いのではないでしょうか。

というわけで、気ままに綴らせてもらいました。

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クリポタらしさが出た良いアルバム

お待たせしました。やっと今回から今年発売になったアルバムの紹介です。やはり最初はこの人でしょう。アルバムが発売されてからもう半年くらい過ぎました。今年の初めはこんな予定ではなかったんですけどね。

P180クリス・ポッター・アンダーグラウンド・オーケストラ『イマジナリー・シティーズ』(2013年rec. ECM)です。メンバーは、クリス・ポッター(ts,ss,b-cl)、アダム・ロジャース(g)、クレイグ・テイボーン(p)、スティーヴ・ネルソン(vib,marimba)、フィマ・エフロン(bass guitar)、スコット・コリー(double bass)、ネイト・スミス(ds)、マーク・フェルドマン(vn)、ジョイス・ハマーン(vn)、ルイス・マーティン(va)、デヴィッド・イーガー(vc)です。ECMの2作目で今回はオーケストラと名乗った11人編成でやっています。新旧アンダーグラウンドのメンバーを中心に、ヴァイブ、ベース、ストリングスカルテットが加わった構成。

クリポタは過去に管のアンサンブルを入れた10人編成のアルバムを出しているので、こういう編成でアルバムを作るのはお手の物でしょう。ECMのレーベルカラーにも合っていると思います。クリポタのコンポーザーとしての実力が如何なく詰め込まれたアルバム。コンポジションに力が入っているのは当然ですが、インプロバイザーとしての魅力を失っていないのがクリポタの良さです。全曲クリポタが作曲していて分かりやすい良いメロディーの曲ばかり。リズムはほとんど8ビート。変に難解にしないところが好印象。

全曲を11人編成でやっているわけではなく、曲によっては演奏していないメンバーがいます。ソロをとるメンバーを曲によって適材適所に使い分けています。ツインベースの使い方が凝っていて、左にエフロンのエレクトリックベース、右にコリーのアコースティックベースを配置して、曲の場面(ソロなど)によってベースを弾く人を替えたりします。ストリングスカルテットは全曲で演奏していて要所に登場して彩を添えます。ストリングスが入ってクラシカルな雰囲気でありながら、スミスには躍動的なビートを叩かせていてそこが私好み。

1曲目《ラメント》はストリングス・カルテットだけで静かに始まる出だしが良いです。これから始まる「イマジナリー・シティーズ(仮想都市)」の物語に思いを馳せます。コリーのベースソロから入るところに意外性を感じさせ、続くクリポタのソロは堂々のインプロバイザーぶり。皆さんこれが聴きたいのですからクリポタは期待を裏切りませんね。この曲は次から始まる《イマジナリー・シティーズ》の組曲へのイントロ。

2曲目《イマジナリー・シティーズ1、コンパッション》はロジャースのギターがバッキングとソロで活躍。クリポタの落ち着いたソロが盛り上がってきたところでロジャースのギターソロへ。その勢いをつないで躍動するロジャースのギターソロがカッコいいです。クリポタのソロではコリー、ロジャースのソロではエフロンがベースを弾いていて、グルーヴを微妙に変えるベースの使い分けは上手いと思います。

3曲目《イマジナリー・シティーズ2、デュアリティーズ》はストリングスカルテットのピチカートから。この曲は最初のテーマ部で、左のエフロンと右のコリーが交代でベースを弾いていくところが面白く、ここにサブタイトルの「デュアリティーズ(二重元性)」を反映か? 8分の11拍子のグルーヴとマリンバのサウンドに、以前所属していたデイヴ・ホランドのバンドの雰囲気が被ります。クリポタの迫力あるテナーソロが最高。私はこういうソロが大好き! このソロの部分はロジャース、エフロン、スミスによる現行アンダーグラウンドなのでした。続くマリンバソロではコリーのベース。

4曲目《イマジナリー・シティーズ3、ディスインテグレーション》はテイボーンのピアノでフリーな雰囲気の始まり。ほとんどの部分で定型リズムはなく、クリポタはソプラノサックスでフリーな気分を高めます。クリポタのバックではテイボーンとロジャースが左右で自由に弾き、サブタイトルの「ディスインテグレーション(分解)」を演出。ストリングスの響きは現代音楽調。タイトルを分かりやすく編曲して聴かせるところに好感を持ちます。

5曲目《イマジナリー・シティーズ4、リビルディング》はドラムの躍動的な演奏から。サブタイトルの「リビルディング(再建築)」をイメージさせる前向きな感じの曲。そのイメージで躍動的なビートに乗って颯爽とテナーソロを繰り広げるクリポタがカッコいいです。それに続くロジャースのギターソロも快調に進みます。それぞれのソロでのテイボーンのアグレッシブなバッキングが良。この曲のヴァイブの音にメセニーのサウンド(オーケストリオンなど)を感じます。特に曲後半部で展開が変わるくだりのヴァイブの使い方はメセニー風。メセニーのグループに加わった影響がこんなところに出ているのかも? 曲自体にもメセニーの影響を感じたりして。

6曲目《ファイヤーフライ》はジャズ! 最初のメンバーの絡みがそれを表しています。スキップするようなビートにもそれを感じ、ここまで組曲でクラシカルな雰囲気があったのを気分チェンジする効果を狙ったように思います。エフロンのエレベソロから。クリポタのソロに続くヴァイブソロもアグレッシブでジャジーな匂い。私はやはりこういうジャズが好き。ストリングスも入っているけれど、ジャズを強く感じさせる辺りにクリポタの技があります。リズムとしては古いんでしょうけれど、スミスの躍動的で力強いビートには魅力がありますよね。

7曲目《シャドウ・セルフ》は一転。今度はストリングスカルテットをメインに据えた演奏。前半部はストリングスカルテットだけで進みます。それで終わらず後半部では全員が加って、クリポタがバスクラでソロをとる辺りが上手い。どこでバスクラを使うのかと思っていたファンに、なるほどと納得させるものがあります。

ラスト《スカイ》はタイトルどおりの広がりを感じさせる曲。テーマ部で伸びやかに朗々と歌うクリポタのテナーが良いです。そしてやっとテイボーンのピアノソロが登場。ここまで裏で支えてくれたテイボーンに長めのハイライトを当てます。今はアンダーグラウンドのメンバーから外れたテイボーンに最後に花を持たせ感謝する格好か? もちろんクリポタのテナーソロもあって最後まで抜かりなし。

聴きやすい曲ばかりで楽しく聴きとおせる仕上がりですが、クリポタ大活躍はもちろん、各メンバーにも要所で聴かせどころを用意して、よく聴くとなかなか凝った編曲になっているという充実ぶり。芸術性と大衆性のバランスが高度に取れていると思います。ダウンビート誌の読者投票でウェイン・ショーターを抜きテナー部門1位になったのは、パット・メセニー・グループに参加して知名度が上がっただけではないことが、このアルバムを聴けば分かります。

私は今のところ今年のベスト1にこのアルバムを上げたいです。

アルバム名:『Imaginary Cities』
メンバー:Underground Orchestra
Chris Potter(ts, ss, b-cl)
Adam Rogers(g)
Craig Taborn(p)
Steve Nelson(vib, marimba)
Fima Ephron(bass Guitar)
Scott Colley(double bass)
Nate Smith(ds)
Mark Feldman(vn)
Joyce Hammann(vn)
Lois Martin(va)
David Eggar(vc)

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たまにはおおらかな音を楽しんでみる。

またまた昨年出たアルバムの紹介です。

P179ステファノ・ボラーニ『ジョイ・イン・スパイト・オブ・エブリシング』(2013年rec. ECM)です。メンバーは、マーク・ターナー(ts)、ビル・フリゼール(g)、ステファノ・ボラーニ(p)、イェスパー・ボディルセン(b)、モーテン・ルンド(ds)です。私は初めてボラーニのアルバムを買いました。ボラーニのピアノよりはターナーのテナーにフリゼールのギターという組み合わせに興味を持ったのです。

フリゼールのギターが入って一捻りしたサウンドなのかと思ったら、捻りとかはなくおおらかな雰囲気のサウンドだったので、最初聴いた時は拍子抜けしてしまいました。聴きやすいサウンドです。しかし何度か聴くうちにしっかりした演奏であることが分かりました。ECMレーベルなのですからクオリティ的に抜かりないです。全曲ボラーニが作曲。アルバム全体としては色々な景色を想像させるもので、映画のサウンドトラックのような雰囲気があります。

1曲目《イージー・ヒーリング》はどことなくメキシコの匂いがするエスニック調でゆったり進みます。タイトルどおりヒーリング効果があるかも? 最近のターナーは自分のアルバムであれ他人のアルバムであれ堂々と自分のテナーを展開していて説得力があります。フリゼールは前述のとおりで独特の灰汁や暗さがないクリーンな感じ、それでも説得力はあります。リーダーのボラーニは粒立ちの良いタッチの安定感ある王道ピアノ。ボディルセン、ルンドのヨーロッパコンビは小気味良いビートです。

2曲目《ノー・ポプ・ノー・パーティ》はタイトルの響きにあるようなどことなくユーモアを感じさせる曲。ちょっとひっかかりがあるリズムに乗って楽しげに演奏が進みます。ターナーのソロのバックでアクセントを聴かせるボラーニのピアノが良い感じ。フリゼールのソロのバックでは初めあまりピアノを弾かず、途中から目立ってきてそのまま調子良くピアノソロへと入ります。ドラムとのバース交換もあって明るく楽しく。

3曲目《Alobar a Kudra》はエスニック薫るヨーロピアン・ピアノトリオ演奏。クラシカルな匂いがありながら意外と元気なピアノが鳴っています。ピアノのタッチや抑揚はどことなく上原ひろみに似ているところがあったりして、そう聴こえると曲の雰囲気も上原ひろみの曲との共通性が聴こえてきます。ボラーニはイタリア出身。ちょっと強引かもしれませんが、こんなところにイタリアと日本の親和性を感じたりして?

4曲目《Las Hortensias》はワンホーン・カルテットで静かなバラード演奏。ボディルセンの繊細なベースソロから。続いてクラシカルな匂いのするターナーのテナーがきれいに音を綴っていきます。この曲は完全にユーロジャズ。ターナーのテナーに対してカウンター的なメロディーを奏でるボラーニ―のピアノが良いです。ターナーはフェイドアウトしてそのまま繊細なピアノソロへと。

5曲目《Vale》はクインテットでECMらしい温度感低く暗めのバラード曲を丁寧に演奏。

6曲目《テディ》はボラーニとフリゼールのデュオ。2人の緻密なインタープレイが展開。フリゼールがジム・ホールのように聴こえます。フリゼールの灰汁のないギターは新鮮。このデュオ、楽しそうな雰囲気があって私はかなり気に入ってしまいました。

7曲目《Ismene》はギター・カルテットでちょっと可愛い感じの曲を愛しげに演奏。曲名は女の子の名前かも?フリゼールらしからぬ可愛らしい演奏が良いです。

8曲目《テイルズ・フロム・ザ・タイム・ループ》はクインテットで演奏。ドラマのテーマ曲のような曲です。この曲のフリゼールは少しいつもの感じが漂っています。ミステリー系恋愛ドラマのテーマ曲にしたら良い感じかも? で、そう感じる理由はボラーニのピアノに日本的歌謡要素を感じるからか?

ラスト《ジョイ・イン・スパイト・オブ・エブリシング》はピアノトリオ演奏。これまた上原ひろみの曲と似たような雰囲気です。快調に飛ばすピアノソロにも上原ひろみが被ります。ラストの歯切れの良いドラムソロも含めこの曲でのドラムは気持ち良いです。

最初聴いた時はつまらないと思ったのですが、何度が聴くうちにこういう雰囲気のアルバムも悪くないと思うようになりました。

アルバム名:『Joy In Spite Of Everything』
メンバー:
Mark Turner(ts)
Bill Frisell(g)
Stefano Bollani(p)
Jesper Bodilsen(b)
Morten Lund(ds)

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