ジャズ・アルバム紹介

これはハイブリッド・ジャズです。

先日、定期的にジャズ・ブログを巡回していると書きました。
今日は巡回中にアルバム評を読んで、
「これは聴きたい。」と思ったアルバムを紹介します。

「ジャズ批評」誌の「ブログ・ウォーキング」仲間すずっくさまが書いてました。
ココ
http://plaza.rakuten.co.jp/mysecretroom/diary/200910200000/

P177 アーロン・パークス『インビジブル・シネマ』(2008年rec. BLUE NOTE)です。メンバーは、アーロン・パークス(p,melotron,glockenspiel,key)、マイク・モレノ(g)、マット・ペンマン(b)、エリック・ハーランド(ds)です。

昨年の今頃発売したアルバムです。当時はそれほど買おうと思いませんでした。ジャケットのイメージから、内省的で暗いアルバムというイメージがあって、あまり聴く気になれなかったのです。

ところが今回、ブログを見ていたらすずっくさまが
「この不思議な世界は今の季節にかなり似合うな。。って、思った。」
と書かれていたので、聴いてみたくなったというわけです。

このアルバム。今風のハイブリッド・ジャズだと思いました。ジャズ以外の要素や感性が混ぜられています。4ビート、ブルージー、アドリブ一発という、いわゆるジャズ的な要素は薄いと思いますが、その分ロック、フォーク、ポップスなど他ジャンルの要素が上手い具合に融合されていると思います。

このアルバムの雰囲気は”暗い”とのご意見が多いのですが、私はあまり暗いとは感じません。多分もっと暗くて抽象的なものをたくさん聴いているからでしょう。う~ん、これから、もし私がこれは”暗い”と書いたら、とんでもなく暗い、つまり”暗黒”のアルバムということになってしまうのかも(笑)?

1曲目《トラヴェラーズ》はデジタルライクなリズムの曲です。上原ひろみのピアノ・ソロ・アルバムの1曲目《BQE》に近い匂いを感じます。ドラムとベースが上手い具合にデジタルってると思いますよ。最後のほうに出てくる抒情的なフレーズ。こういう抒情性と無機質なデジタルのハイブリッドは上原にもあるんです。ピアノ・トリオでの演奏。パークスは速いパッセージも楽々こなすテクニシャンで音も粒立ち良くクリア。窮屈さがなく開放的な(ちょっと荒い)のが良いです。

次の《ピースフル・ウォーリア》。これはもうパット・メセニーの東洋系フォークの世界です(笑)。こういう郷愁感のある曲は日本人好みだと思います。モレノのギターには、これはもうしょうがないんですけど、メセニーやカート・ローゼンウィンケルの影響を感じます。曲の展開もドラマチックで、4人が一体化して作り出すサウンド・スケープは魅力的です。

《ネメシス》は7拍子。モレノがカートのようなギターを弾くので、変拍子と相まって今時NYのサウンド。ちょっと内省的なメロディーが暗さを漂わせていますが、パークスもモレノも突き詰めない程良いテンションなので、ダークというよりはクールな感じです。グロッケンシュピールを使うあたりは、鬼才ドラマー、ジョン・ホレンベックに通じます。薄くキーボードも被せていてNYサウンドですね。これは。

《リドル・ミー・ディス》はロックなリズムで、バッド・プラスに通じる世界ですが、あそこまでの過剰性はありません。パークスもモレノも程良くポップな意識があるところに、私は開放的なものを感じます。NY系のともすると排他的な世界に陥っていないことに好感を持てます。《イントゥ・ザ・ラビリンス》はピアノ・ソロ。クラシカルな雰囲気漂うかわいらしい小品と言っておきましょう(笑)。これら2曲は3分弱の短い曲です。

《カルマ》はECM系のコンテンポラリー・ジャズです。これが一番いわゆるジャズにとどまっているかもしれません。ベース・ソロ、ピアノ・ソロ、ギター・ソロがアドリブを強く意識させるものになっています。他の曲はどこまで作曲でどこがアドリブか分かりにくいものやアドリブなしもありますからね。アップテンポの6/8拍子にのって、オシャレでビューティフルに演奏しています。

《ロードサイド・ディストラクション》は、今流行りのフォーク/ブルージーな曲。モレノのギターがスティールギターの響きを模しています。この曲はアドリブなしの短い曲です。《ハーベスティング・ダンス》はスパニッシュ/ジプシー系美メロ曲。こういう曲もNYを意識させますね。当然の如く変拍子。モレノが弾くフレーズはなんとなくアルディ・メオラに聴こえてきたりします。キメなんかはチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーの世界かも?

《プライス》はフォーク/ポップな世界。一歩間違えると暗めのリチャード・久レイダーマンのようでもあります(笑)。キャッチーで聴き易い曲になっています。ラスト《アフターグロウ》。ピアノ・ソロで静かにエンディングです。

全曲の説明を書きましたが、それはジャズの新しい世代観やジャズ以外のサウンドが詰まったアルバムだということを、わかってほしかったからです。色々なミュージシャンを引き合いに出していますが、だからと言ってパークスが真似をしているというわけではありません。色んな要素を取り入れた上で、ここにあるのは間違いなくパークスの世界です。ぼーっと聴いていると、まるで映画のサウンドトラックを聴いているように流れます。

最後になってしまいましたが、全曲パークス作曲です。この人、なかなかのコンポーザーだと思います。過去にはオーソドックスなピアノ・トリオを出しているようですが、私は今のコンテンポラリー路線にこの人の良さを感じます。今後にも注目。

これ、聴いて良かったです!

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今日は自慢話です。ご容赦下さい!

ちょっと前にジャズ友tommyさんから、持っているオリジナル盤の自慢が聞きたいというコメントをいただきました。
あまり自慢はしたくなはないのですが、今日は思い切って自慢しちゃいます(笑)。

今日のオリジナル盤は?

P173 ジ・アート・ファーマー・クインテット・フィーチャリング・
ジジ・グライス
『ホエン・ファーマー・メット・グライス』です。
言わずと知れた名盤です。
私がこんなオリジナル盤を持っていいてもいいのでしょうか?
これはまさに「猫に小判」です(笑)。

P174 裏ジャケを見て下さい。
赤いハンコが押してありますよね?
何々・・・、「DIG」modern jazz tea room!!
そうです。
これはあの伝説のジャズ喫茶「DIG」のレコードなのです!

実は私、これを買った時は、その意味がよくわかっていなかったのです。
「ジャケットにハンコが押してあるので、安めなんだろうな。」くらい。
知らないって怖いっ。
今はそのことが意味することは十分理解しているつもりなので、
これは私のお宝レコードなのです。

これを買ったのは今から10年くらい前。
先日のロリンズの『ニュークス・タイム』を買ったのと同じお店。
新宿の「コレクターズ」。
「DIG」の閉店とどうつながるのかは分かりませんが、
「DIG」のレコードを買い取って売っていたのだと思います?

P175 モノ、イエロー・ラベル、N.Y.C.、溝アリ、RVG手書き。
コンディション良。
お店でかなりかかったと思うのですが、
すり減っている感じはありません。
はっきり言って、こいつはイイ物です!
時代の空気と音が詰まっています。
これを何も勿体ぶらず、平気で聴いてしまう私(笑)。

一つだけ反省及び謝らなければならないことがあります。
レーベルには「DIG」の「耳たぶシール」が貼ってあったのですが、
それを剥がしてしまったのです。
その上、B面はシールを上手く剥がせずにレーベル面が一部剥げて・・・(涙)。
う~、なんという暴挙!
シールを剥がして少しでもレコードの価値を上げようという。
私って、なんと度量が小さい人間なんだろう。
セコイです!

私、最近はプレスティッジの録りっ放しの音が好きです。
同じヴァン・ゲルダー録音でもブルーノートはかなり作っていますよね。
もちろんそれはそれで良いし、私も好きですが、
私の中では、あまり加工していないプレスティッジの評価が上がっています。

オリジナル盤、いいよね~。
今日は私のお宝紹介でした(笑)。

<追伸>

P176 tommyさんからリクエストをいただいた
「耳たぶシール」は、コレです!
実は私、もう1枚「DIG」のレコードを持っています。
デニー・ザイトリン『ライブ・アット・ザ・トライデント』
これはYahoo!オークションで手にいれました。
このレコードは安いのでシールは貼ったままです(笑)。

これ「耳たぶ」ですよね? それとも「クエスチョン・マーク」?

私の質問に、tommyさんから答えが返って参りました。

これは、「お前は耳がいいか?」という禅問答シールですよ(笑)。
「この良さが、オマエに分かるか」ということだと思います。

上手いです。座布団3枚(笑)!

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今更ですが(笑)。

定期的に巡回しているジャズ・ブログがあります。
ジャズ友のブログもあれば、ROMっているだけのブログもあります。
私が巡回しているジャズ・ブログは皆さん(ブログ歴の)先輩です。
色々個性があって面白く読ませていただいています。

さて、今日取り上げるアルバムはちょっと凄いことになっています。
私が巡回するジャズ・ブログのほとんど皆さんが取り上げているからです。
そして皆さん良いと言っています。
私はこのアルバムをだいぶ前に入手していたのですが、
あと一歩”来る”ものがなくて、アルバム評を書きませんでした。
が、しかし、あまりに皆さんが良いと言うので最近また聴きなおしています。

ここで、「これ、全くダメですねっ!」と言えば面白いのですが、
やっぱり皆さんと同じくなかなか良いと思ってしまったのであります(笑)。

さて、そのアルバムとは?

P172 ジョー・マーティン『ノット・バイ・チャンス』(2009年rec. ANZIC RECORDS)です。メンバーは、ジョー・マーティン(b)、クリス・ポッター(ts,ss,b-cl)、ブラッド・メルドー(p)、マーカス・ギルモア(ds)です。もうお分かりだとは思いますが、クリポタ買いです(笑)。

クリポタとメルドーの共演に、NYダウンタウン系の有望株マーカス・ギルモアですからね。これは凄いでしょっ!私が知らないのは、むしろリーダーのジョー・マーティンでした。これだけのメンバーが集まって一体どんな凄まじい演奏になるのか、興味津々だったわけです。

ところがいざ聴いてみると、凄まじい演奏ではありませんでした。地味~で落ち着いた内容だったのです(笑)。まっ、クリポタ、メルドー共に現代最高レベルの人達ですから、演奏は当然のことながら第一級であるのは間違いありません。でも、私的に来なかった。ちょっと期待しすぎだったようです。

で、少し放っておいたんです(笑)。でも、最近皆さんがブログで取り上げて「良い、良い、良い・・・」と言うんで、聴きなおすことに。

最初に言いたいことは、マーティンのベースのことです。真ん中に座ってなかなか強靭なベースを弾いていることに気づきました。今まで、クリポタとメルドーに耳がいっていて、肝心のマーティンのベースを聴いていなかったのです。音が”ツンツン”でガッツがありますよ。この人!これは雲さん風に言えば、弦高を高くして、テンション高くして弾いている音だと思いました。昔のポール・チェンバースとかダグ・ワトキンスとかの音です。まあ、ちょっとふくよかさがないのは好みの分かれ目かも?

これが分かって急にマーティンを見直してしまったのです。フレージングは特にキャッチーなものはないので地味なのですが、ガッチリ地道に支えるベースも悪くはないです。そして意外や、演奏をリードしているのはこの地味なマーティンのベースなのではないかと思いました。この方、クリポタとメルドーを迎えるだけのことはありますよ。

ギルモアのドラムもマーティンに合わせて、そんなに派手なことはしないです。とは言え、そこは変拍子を難なくこなすだけあって、不穏なパルスを繰り出しつつ演奏をじわじわ盛り上げます。特にクリポタのソロのバックでは良い煽りをしていると思いました。

クリポタはもういつものスモーキー・サウンドで、現代的フレージングを披露していますので、クリポタ・ファンとしては安心して聴いていられます。ソプラノとバスクラも1曲づつ披露して、いい味を出していますね。いつもありがとうございます(笑)!

メルドーが地味なマーティンに付き合い過ぎているような気がします。もう少しキレてしまう演奏があってもいいんじゃないでしょうか?メルドーがキレてもマーティンは淡々と我が道を行き、ベースをスタディーに刻むのかもしれませんが、それを無視してキレたら、もっと面白いアルバムになったような気がするのですが・・・。って、これは私の勝手な妄想(笑)。

最後に地味な要因の一つは、ジャコの曲以外の全曲を作曲したマーティンの曲の地味さとアレンジの単調さに依るところ大と見ました。アレンジはもう少しサービス精神があってもいいんじゃないでしょうか?マーティンさん!

と、まあ、こんな感じで、今更ですが、アルバム評でした(笑)。

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ラルフ・ボウエンって懐かしい(笑)。

例によって、ディスクユニオン・ジャズ館ホームページの新譜を見ていたら、この人ラルフ・ボウエンの名前が目に入ってきました。でもやっぱりこれも安いHMVの通販で買いました(笑)。

P171 買ったのは『デェディケイテッド』(2008年rec.Posi-Tone)。メンバーは、ラルフ・ボウエン(ts)、アダム・ロジャース(g)、ジョン・パティトゥッチ(b)、アントニオ・サンチェス(ds)です。シーン・ジョーンズ(tp)が1曲のみ参加しています。

私の中ではラルフ・ボウエンというと、新生ブルーノート・レーベルが出来た時に、オーディションによって集められた新人によって結成されたグループOTB(アウト・オブ・ザ・ウルー)のメンバーだったということ。OTBにはケニー・ギャレット(as)やラルフ・ピーターソン(ds)がいました。

今から24年前1985年のことです。当時スイングジャーナル誌がウィントン・マルサリス一派のことを「新伝承派」と言ってもてはやしていました。私は「新伝承派」のことを思い出すたびに、日本のジャズ受容の恥部を晒した気がして、虚しくなると同時に呆れて笑ってしまいます。当時のスイングジャーナルの編集長って誰でしたっけ?

さて、本アルバムの話に戻ります。私の目当てはボウエンというよりは、他のメンバーでした。だって、最近絶好調のロジャーズに、パティトゥッチにサンチェスですよ。これは聴くしかないでしょう。で、ボウエンも最近急に録音したわけではなく、クリスクロス・レーベルに何枚か録音していたんですね。単に私にとって圏外の人だったようです。

話はまたちょっと横道にそれますが、クリスクロスに最近懐疑的な私なのです。中堅どころを積極的に録音するのは良いのですが、これが金太郎飴の如く似たような内容。レベルもオール80点という感じで、もうこの手のジャズに飽きがきてしまいました。だから最近はこのレーベルをほとんど買いません。ボウエンのこのアルバムもクリスクロスから出たら買わなかったかも?

やっと内容の話。ディスクユニオンの宣伝文句に「クールな王道コンテンポラリー・ジャズとしてお薦めいたします!」とありましたが、まさにその通りの内容でした。おしまい!

ではあまりにもかわいそうですよね(笑)。まずはボウエンのテナー、音色といいフレージングといいまさに今時の中堅テナーです。シーマス・ブレイクとかクリス・チークとかその手の人達と遜色ありません。で、これと言ってそこから抜け出す何かがないのも事実でありまして、そこがちょっと辛いところです。私はこういうテナーは好きですけどね。クリアーでパワフルな音もいいです。マイケル・ブレッカーの系譜だと思います。

前述の通りこの人も新伝承派なんですが、今となれば当時はジャズとして認めてもらえなかったマイケルの系譜なんですからね。当時のジャズ評論家も実はいい加減な人が多かったと今は思うわけです。というか、50、60年代的視点の評論家には既に80年代のジャズの本質は見えていなかったのです。当時からマイケルが好きだった私としては、ざまあみろという感じです(笑)。やばっ、今日はちょっと意見が過激です。

曲はすべてボウエンが書いています。王道ストレートなものばかりです。クールでモーダルな良い曲を書くと思います。

他のメンバーについて、ギターのロジャースはここでも絶好調ですね。私のこの人に対するイメージはもっとロック寄りだったのですが、そうではなく正統派ジャズ・ギターのほうが強いことがわかりました。シングル・トーンによる高速フレージング時の音の粒立ちもかなりのもので気持ち良いです。テナーのバックでは、コードやシングル・トーンにより手堅く演奏を支えています。

ドラムのサンチェスはこういうコンテンポラリーなビートを叩かせると本当に上手いと思います。この人の場合、凄い煽りをするとかキレがあるとか突出したものではなく、場を見極めて過不足ないリズムを繰り出すところに、職人的な上手さを感じます。一方、もはやかなりのベテランであるパティトゥッチが、ちょっと裏方サポートに徹しすぎているように感じます。もう少し積極的なからみもほしい気がしました。

トランペットのジョーンズが参加しているのは1曲だけですが、なかなかパワフルで落ち着いた吹奏。アルバムの雰囲気にマッチした良い演奏を聴かせてくれます。ラストの曲はボウエンのテナー・ソロ。これがなかなか渋い味わいのあるもので、なんとなくクラシックな曲調なのは個性的?

全6曲42分強というのは、今時のCDにしては収録時間が短いですが、曲数が多いだけのCDが多い昨今において、これはこれで良いものです。

クールな王道コンテンポラリー・ジャズ!聴いてみて下さい。

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ヴィジェイ・アイヤが気になって。

1か月程前、久々にヴィジェイ・アイヤのアルバム『リイマジニング』を聴きました。
聴いてその暗黒パワーに圧倒されたわけですが(笑)、
じゃあ最近のアルバムはどうなんだろう?
という気持ちが心の中にムクムクと湧いてきました。

暗黒パワーに圧倒された時のブログはコチラ↓
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-8f1f.html

ではということで、HMVへ注文!
2枚購入しましたので紹介しましょう。

P163 ヴィジェイ・アイヤ・トリオ『ヒストリシティ』2008,9年rec. ACT)です。メンバーは、ヴィジェイ・アイヤ(p)、ステファン・クランプ(b)、マーカス・ギルモア(ds)です。この3人、組んでから5年も経つのでコンビネーションは抜群です。しっかりアイヤの特異な音楽性を表現しています。この音楽がACTレーベルから出るなんてちょっと意外です。まあ、アーティスティックなものという括りではアリなのかと思います。

アイヤの特徴はその個性的な弾き方だと思います。右手でアルペジオ(分散和音)のように音群を弾き、その音群をずらしながらたたみ掛けるように次々と繰り出してきます。それが濃厚な味わいをもたらします。またアイヤはアンドリュー・ヒルに通じるものがあると言われますが、それは先の弾き方とダークなハーモニー感覚のせいではないかと、私は思います。そしてクラシックの匂いも感じますね。

ではここでアイヤについてまとめます。かなり安易(笑)!
ダークで濃厚=”暗黒パワー”なんです(笑)。

で、今回のアルバムですが、『リイマジニング』から比べるとかなり暗黒度は和らいでいます。それがトリオというフォーマットのせいなのか、はたまたアイヤが感じている世の中の不安が和らいだせいなのかはわかりません。聴き易いので喜び半分、いやっ、もっと暗黒が聴きたかったが半分です(笑)。

自作曲の他にアンドリュー・ヒル、ジュリアス・ヘンフィル、スティービー・ワンダーの曲などもやっています。ヒップホップ・ディーヴァM.I.A.(私は未知)の曲もあります。それらがまったく違和感なくアイヤの音楽となって表現されているのはさすがですね。

リズムは変拍子のオン・パレード。私はこの手の変拍子は数えたりしません。だって、私が演奏するわけじゃないんで拍子を分析してわかる必要はないわけです。それよりは変なリズムに体をまかせるほうが気持ちいいです。難解変拍子をものともしないクランプとギルモアは相当なテクニシャン。クランプがアルコ(弓弾き)をさりげなく織り交ぜるセンスにも関心しました。三位一体ここにありです。

例によって中低音濃厚な録音なので、たたみ掛け奏法&ダークなハーモニーと相まってマッシブなサウンドは聴き応え十分。全曲続けて聴くと胃もたれを起こしそうです(笑)。

そこらに転がっているピアノ・トリオに飽きた方は是非このトリオを聴いてみて下さい。

今日は大サービス!もう1枚紹介しちゃいましょう。

P164 ヴィジェイ・アイヤマイク・ラッド『スティル・ライフ・ウィズ・コメンテーター』(2006年rec. SAVOY JAZZ)です。こちらはアイヤとポエトリー・リーディングのマイク・ラッドとの共演アルバムです。2004年に出した『イン・ホワット・ランゲッジ?』の続編的なアルバムです。今やジャズの名門サボイ・レーベルからこんなのが出る時代なのです。

一昨年、ジャズ喫茶「いーぐる」の「NYダウンタウンを中心とした新譜特集」で聴いてから気になっていたのですが、買いそびれていた1枚です。

こちらは打ち込みも多用していて、ラップ、ヒップホップ、ファンクなどの要素が強いサウンドです。私はこういう打ち込みジャズも結構好きです。ただし、やっているのはアイヤですから、そこら辺に転がっているラップと一緒にしてもらっては困ります。上記のとおりのアイヤ・ワールドを基本に、ポップな要素を拡大したもので、一筋縄ではいきません。私は、これもアートだと思います。

面白いのは日本語のポエトリー・リーディングが入っていることです。上手い日本語なのですが、あちらに住む日本人なのか、日本語が上手いアメリカ人なのか、判別しにくいものがあります。真ん中あたりの曲まで聴き進んだら、いきなり日本語で喋り出すからビックリしましたよ。ジャパニーズ・イングリッシュを交えた今時のポップな詩が妙に心にひっかかります(笑)。この詩もラッドが作っているんだから面白い!それからオペラ歌手?が歌っている曲もあります。

こちらは難解なところは皆無で、楽しいアルバムに仕上がっています。
いわゆるジャズに拘らない方に推薦します。

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これ買ったの私だけですか?

今日の甲府は北風ピューピューで寒いです。
夜になってかなりの冷え込み。寒み~ぃ。

さて、今日紹介するのは少し前にディスクユニオンの視聴機で聴いて気に入った1枚です。これ、なぜか値段が高いんですよ。¥3,000以上しました。となると、ディスクユニオンで買う気にはならず、恒例HMVマルチバイ特価のお世話になるわけです(笑)。

P161 ロン・ホートン『イッツ・ア・ガジット・ワールド...』(2009年、Abeat For Jazz)です。メンバーは、ロン・ホートン(tp,flh)、アントニオ・ザンブリーニ(p)、ベン・アリソン(b)、トニー・モレノ(ds)です。ワン・ホーン・カルテットによる現代ハード・バップです。最近の私にしてはあまりひねりがないアルバムです。

まずは何よりストレートなトランペットが胸にグッときました。何の衒いもなく力強く男気溢れる吹奏は気持ちが良いです。裏ジャケにこの人の横顔が大きく映し出されているのですが、なかなかの面構えでボクサーのようです。この顔にしてこの音ありですね(笑)。一方、フリューゲルホーンは顔に似合わず意外と流暢です。

ピアノのアントニオ・ザンブリーニは初めて聴いたのですが、なかなか良いピアノを弾きますね。ミラノ出身らしいです。イタリアンらしいメロディアスなフレージングを流暢に紡ぎ出す様は魅惑的です。基本的には安定感抜群なプレイなんですが、トランペットのバックでは鋭い反応もしたりします。アブストラクトなプレイもありますが、無機質にならないのはイタリアンの血のなせる業か?要注目ピアニストだと思います。

ベースのベン・アリソンはNYダウンタウン系の人ですが、ここではオーソドックスなプレイに徹しています。ゆえにこの人の力強いベース・ワークがより分かりやすくなっていると思います。アリソンは見た目ハリウッド俳優のようなイケメンなので、こんなにガッツのあるベースを弾くようには見えないんですよね~。

ドラマーのトニー・モレノも初めて聴きました。パワー&レスポンス系ドラマー。最近のNY系のドラマーって、スピードとキレが凄いのにパワーも十分感じさせます。ジム・ブラック、ジェラルド・クリーバー、テッド・プア、タイシャン・ソーリーなどなど、いや~っ、ドラム大好きの私にとっては層が厚くて嬉しい限りであります。

9曲中ホートンが3曲、ザンブリーニが4曲を作曲。ポール・モチアンとアンドリュー・ヒルの曲を1曲ずつ取り上げています。これらが違和感なく聴こえますので、曲の方向性は分かっていただけるのではないかと思います。なかなか佳曲揃いですよ。総じて耳当たりは良いと思うのですが、最近の私はNYダウンタウンのかなり抽象的なものも聴いていますから、美メロ系ばかり聴いている人にとっては、難しく聴こえるものもあるかもしれません。

私が紹介するのはいつもの如く知名度はありませんが、これは良いアルバムだと思いました。視聴機買いははずすこともありますが、今回は正解だったようです。ホートンはフレッシュ・サウンド・ニュー・タレントから2枚アルバムを出しているので、遡って聴いてみようかという気持ちになっています。

さて、ここで面白い話を一つ。

HMVオンラインでこのアルバムを検索して、ユーザー同時購入商品のところを見て下さい。それを見た私はちょっとビックリ!だって、私が過去に購入したアルバムがぞろぞろと出てきたからです。これって、このアルバムを買ったのは私だけってことですか?う~ん、こんなの初めての体験です。ユーザー同時購入商品のアルゴリズムはどうなっているんだろう??

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ビル・フリゼールを再認識させられた1枚

ジャズ喫茶「いーぐる」のマスター後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」には色々お世話になりました。この本に掲載されたアルバムを全部蒐集しようとしていたことで、tommyさんや雲さんに知り会えたわけですし、全部蒐集できた時には後藤さんにもお祝いしていただきました。で、そこからジャズ批評誌での後藤さんとの対談記事やブログ・ウォーキングへの掲載へと話が進んでいったわけです。なので、この本には足を向けて寝られません(笑)。

その上、ここに掲載されたアルバムを蒐集してみて、90年代や2000年代の要注意な人達にも出会えたわけです。ありがたや。ありがたや(笑)。そんな要注意人物の一人が今日紹介するビル・フリゼール。それまでフリゼールといえば、ベーシスト・マーク・ジョンソンのグループ・ベース・デザイアーズのメンバーだった人くらいの認識しかなかったのです(汗)。

P159 本に掲載されているフリゼールのアルバムは『ブルース・ドリーム』(1999年rec. NONESUCH)です。メンバーは、ビル・フリゼール(eg,ag,loops)、グレッグ・レイツ(pedal steel,lap steel,national steel guitar,mandolin,他)、ロン・マイルス(tp)、ビリー・ドリュース(as)、デヴィッド・ピルチ(b)、ケニー・ウォルセン(ds)、カーティス・フォルクス(tb)です。

レーベルがノンサッチというのも驚きでした。ノンサッチと言えば、その昔オーディオ評論家の長岡鉄男さんが書いた「外盤A級セレクション」でお世話になった現代音楽のレーベルです。ジャズをやっていたのは予想外でした。パット・メセニーがこのレーベルに移籍したのは皆さんご承知の通りです。クリエイティブはギタリストがレーベルの好み?

さてアルバムの内容ですが、ジャケットが内容をよく現していると思うわけです。アメリカの片田舎のガソリン・スタンドはアメリカン・フォーク系ジャズを意識させますし、写真のモノ・トーンは3管を配した淡いニュアンスのサウンドを意識させます。

今やフリゼールのアイコンとなってしまったこのアメリカン・フォーク系ジャズを決定づけるのは、ペダル・スティールが参加しているからなんですが、フリゼールのギターも同系の音ですし、曲だってアメリカン・フォーク調なのです。後藤さんが本に書いていますが「懐かしいような。もの悲しいような不思議な気分にさせられる音楽。」です。私はアメリカン・フォークに興味があったわけではないのですが、フリゼールがやると妙に心に入り込んでくるから不思議です。

1曲目《ブルース・ドリーム》からもうフリゼールの世界としか言いようのない強烈な個性を放っています。ロン・マイルスのトランペットがフォーキーな世界にマッチしているところも不思議です。

で、私は2曲目《ロン・カーター》にやられてしまいました。まずはベースが繰り返す単純なリフが気持ちイイの根源。その上にノイジーなトランペットとフリゼールのカッティングが漂えばもう気分は浮遊して夢見心地。かぶさる3管によるアンサンブルはギル・エバンス的な淡いサウンド効果を生んでいると思います。こっちのほうが”ドリーム”な感じなのですが、なんでタイトルは”ロン・カーター”なの?ベースのリフがロンに似ているわけでもないんですよ。

3曲目《プリティー・フラワーワー・メイド・フォー・ブルーミング》は、もろアメリカン・フォークというか”ウエスタン”な雰囲気。ガンマンが馬に乗って夕陽の荒野を行く感じとでもいいましょうか?「シェーン・カム・バーック!」という私の貧相なイメージ(笑)。4曲目《プリティー・スターズ・ワー・メイド・トゥ・シャイン》も同じく”ウエスタン”。こちらは陽気に長閑な荒野を闊歩して行く感じです。

「いーぐる」では以上の4曲をかけるようです。その後も同様なイメージが続き、全18曲。アメリカン・フォーキーなビル・フリゼールを聴いてみようかな?と思うあなたには、まずこのアルバムをおすすめしたいと思います。

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現代ヨーロピアン・ハードバップの最高峰?

最初にオリオン座流星群の話。
先週はオリオン座流星群が見られるというので、
星空を何度かしばらくの間眺めていました。
月曜日の夜には5個くらい見ました。
あとは日に1個くらい。
よく流れ星が見える間に3個お願いをすると願いがかなうなんて言いますよね。
これ、はっきり言って無理です。
見えるのってほんの1秒くらいなんです。
とても3個も願いは言えません(笑)。

さて、今日紹介するのは、ディスクユニオンの紹介に「現代ヨーロピアン・ハードバップの最高峰の演奏と言って過言なし。」と書いてあった1枚。その言葉に吊られて迷わず買ってしまいました(笑)。

P158 イェンス・ウィンター『コンコルド』(2006年rec. STUNT RECORDS)。メンバーは、イェンス・ウィンター(tp,flh)、トーマス・フランク(ts)、アントニオ・ファラオ(p)、パレ・ダニエルソン(b)、ディアン・テルジック(ds)です。ジャケ写のイメージはメイナード・ファーガソンなので、ポップな演奏をしていそうですがさにあらず(笑)。曲は全曲ウィンターのオリジナル。

こいつら結構やってくれますよ。イメージは新主流派の頃のマイルス・デイビス・クインテットをソフトにした感じとでも言いましょうか?とは言っても、硬派なハード・バップ演奏であることは確かです。

ウィンターのトランペットはちょっぴりかすれた音で、クールかつまじめにフレーズを積み重ねていくタイプ。どちらかと言えば地味なタイプだと思います。フランクのテナーにはやっぱりショターやコルトレーンの影はありますね。これは今時しょうがないとして、派手さはありませんがしっかりとプレイするので、ウィンターにはよく合っています。

アントニオ・ファラオがやっぱり冴えていますね。イタリアンにしては暗めの演奏をするのですがそれがいいわけでして、重厚で尖がっていつつも美味しいフレーズが散りばめられていたりするところが私は好きです。ダニエルソンのベースはベテランの貫録!テルジックのドラムは全体のバランスを配慮した上で過不足ないビートを刻みます。

1曲目《コンコルド》はいきなりハードに飛ばします。マイルス・クインテット系のダークでクールな曲はカッコ良く、つかみはO.K.ですね(笑)。2曲目《UBATUBA》はミディアム・テンポのラテン曲。憂いを帯びたメロディーが素敵です。3曲目の《オーガスト》はフリューゲルホーンに持ち替えてのバラード演奏。タイトルの「8月」というよりは9月のイメージで、叙情的な演奏です。

4曲目《シュープリーム・ラブ》って、コルトレーンの《ラブ・シュープリーム》を逆にしただけですよね(笑)。タイトル通りスピリチュアルに始まりますが、途中からはテンポ・アップして、コンテンポラリーな曲調になります。ファラオのピアノが甘くクールに決めてくれます。5曲目《アブストラクト・カラーズ》は、タイトル通りアブストラクトでマイルス・クインテット的な演奏です。こういう硬派な曲と演奏が私は好きなんですよ。ジャズのビューティーを感じます。

6曲目《オネスティー》はフリューゲルホーンに持ち替えてのバラード。タイトル通り「まじめ」な美メロ曲です(笑)。ウィンターも美しいですが、ファラオが文句なく美しいのであります。ラスト《ペキュリア・ウォーク》はトランペット、ベース、ドラムのトリオです。アップ・テンポの4ビートにのったカッコいい演奏。さらりとやってのけますがキレはなかなかですよ。

このアルバム、最高峰とまでは言いませんが、かなり聴きごたえのあるアルバムだと思います。知名度がないのは少々残念。

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渋いユーロジャズ。

一時期しきりにユーロジャズと言っていましたが、最近は言わなくなりましたね。
どうしてなんだろう?ユーロジャズ・ブームの終焉?
最近はユーロとまとめずに、国の名前で呼ぶようになっただけかもしれませんね。
今はイタリアのジャズが人気のようですが、私はそれほど聴いていません。
ヘソ曲がりなので、流行のものは聴かないんです(笑)。

私が数年のブランクをはさんでジャズをかなり聴くようになったのは2000年頃。
今日はその頃に買ったアルバムを紹介します。

P150 エッカード・ワイト・カルテット『スタンダード・ムーズ』(2000年rec. organic music)です。メンバーは、エッカード・ワイト(ts)、マーティン・シュラック(p)、トーマス・スタベナウ(b)、ギド・メイ(ds)です。当時ピアノ・トリオとともに流行っていたワン・ホーン・カルテット。

当時もそうですが、今だにたくさんのワン・ホーン・カルテットやピアノ・トリオが輸入されていて、そのほとんどが忘れ去られる存在。だから、MOONKSのように、そういった中から良いものを紹介して聴き継いでもらいたいという人達がいるのは充分理解できます。でもねっ、その「良い」の基準が多分に個人的もしくは狭いエリアなうえ、価値観の多様化があるので、なかなか難しいところなんですよ。

さて、話をこのアルバムに戻しますが、万人に向けて「良い」と言えるとは思っていません。個人的に気に入っているのです。私のブログを読んで下さり共感を持って下さる方に気に入っていただければ、私としては嬉しいです。でも、既にこのアルバムは入手困難かもしれませんね。まっ、私は「これは聴くべきレア盤だ」とは間違っても言いませんよ(笑)。

ジャケ写を見て「こいつジャズやれるの?」と思うかもしれませんが、結構やってくれますよ(笑)。アルバム・タイトルが『スタンダード・ムーズ』なので、スタンダードを演奏していそうですが、スタンダードは一切やっていません。全曲ワイトが作曲していますが、これがなかなか良い曲揃いです。そして難解さは全くありませんのでご安心下さい。

ちょっと擦れてスモーキーなテナーの音が良い感じです。ジョー・ヘンダーソンから灰汁を取り去った感じなのがいかにもヨーロッパです(笑)。フレージングは現代的なんですが、マイケル・ブレッカーみたいに垢抜けすぎていないのが良いですね。ジャケ写のご本人同様で垢抜けてはいません(笑)。よく見るとワイトはどこにでもいそうなサラリーマン風です。

このアルバム、要は通好みの渋いマイナー・テナーの典型みたいなものです(笑)。バックのピアノ・トリオもまさに通好みの渋いマイナー系、奇を衒うようなところは皆無です。私の勝手な思い込みかもしれませんが、ドイツ(レーベル)の真面目さみたいなものが漂っていてるのも私好み。話がちょっと逸れますが、それに引替えイタリアってちょっと軽薄なんですよね(笑)。

このアルバムを聴いた時は、なるほどこういうジャズが今世間(2000年頃)で受けているのかと納得したもんです。メジャーなアメリカ系のジャズにはない魅力を持っているよな~と思いました。

このアルバム、どこかで見かけることがあったら買ってやって下さいねっ。

明日は「甲府JAZZストリート」を見にいきます。
ジャズ喫茶「いーぐる」の新譜特集には行けません(涙)。

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たまにはソフト路線もなきゃだめですか?

ジャズ友 tommyさん がブログで
「おひとりさまジャズ」(10月限定)なるキャンペーンを始めました。
女性にオススメのジャズ・アルバムを紹介する企画です。
これは暗に私へのアドバイスも含んでいるんだろうと勝手に受け取りました(笑)。
なにしろ私は昨日の「オン・ザー・コーナー」のようなマニア向けのジャズばかりを
紹介していますからね。
「これではイカン!女性にも目を向けなさい!」ということなのでは?

それでは私もということで、女性向けジャズ・アルバムを紹介しましょう!
と思ったのでありますが、いつもがいつもなだけに思いつかないのです(涙)。
う~ん、どうしたものでしょう・・・。
そうだっ!これいってみましょう。

P149 アート・ファーマー『処女航海』(1983年rec.日本コロンビア)です。ウィズ・ストリングスと言いまして、バックに小編成のストリングスが入ります。

これ、メンバーが凄いんです。リーダーのアート・ファーマーは「趣味の良いトランペッター」と言わており、軽やかでリリカルなトランペットを吹く人です。でもここで吹いているのはフリューゲルホーン。トランペットを一回り大きくしたような楽器で、シルキータッチのソフトで包み込むような音を出します。この音を聴くだけでもウットリしますよ。

ピアノとエレクトリック・ピアノを弾くのは佐藤允彦です。知る人ぞ知る日本屈指の知性派ジャズマン。お洒落で知的なピアノが心地良いんですよ。この佐藤がストリングスの編曲と指揮をしているんですから、ストリングスの響きはそりゃーもうエレガントそのものです。

ベースのロン・カーターは、CMにも登場するダンディーなベーシストです。もちろんベース・プレイもダンディー。最後にドラマーのジャック・ディジョネットは、ピアノも一流に弾きこなすこれまた知性派なのです。

どうですか皆さん?趣味が良くて知性派でダンディーなジャズマンがここには揃っているんですよ。奏でられるサウンドは悪いはずがありません。このアルバムでジャズのお洒落でエレガントな面を堪能して下さい。

やっている曲も《ニカの夢》《ルビー・マイ・ディア》《ブルー・ボッサ》《グッド・バイ・ポーク・バイ・ハット》《ブルー・イン・グリーン》《処女航海》《ナイーマ》と、有名なジャズマンのオリジナル曲ばかりで、いわば「モダン・ジャズ・スタンダード」です。

貴女も絶対に1曲、いや数曲は気に入るはずです。気に入った曲が入っているアルバムを探して聴くも良し、気に入った曲を作曲したジャズマンのアルバムを聴くも良し、このアルバムから貴女のジャズが広がってゆくこと間違いなしです。

そうそう、これを言っておかないと。
決して売れ線狙いのお気楽ジャズ・アルバムではありません。
高いクオリティーを持っています。
深まる秋、まさに今聴くのにもピッタリなジャズです。
このアルバム聴いてみて下さい!

私もやればできるでしょ?(笑)

あちゃ~っ!tommyさんからダメ出しされてしまいました(涙)。
興味がある方はコメント欄を見て下さいませ。

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こんなものが入っていました!

中古のレコードやCDを買うと思わぬものに出くわす時があります。
今日はおととい買った中古レコードの話です。

P147 マイルス・デイビス『オン・ザ・コーナー』(1972年rec. CBSソニー)です。メンバーは、マイルス・デイビス(tp)、カルロス・ガーネット(ss,ts)、ハロルド・ウィリアムス(key)、ハービー・ハンコック(key)、デビッド・クリーメン(g)、コリン・ウォルコット(sitar)、マイケル・ヘンダーソン(el-b)、ジャック・ディジョネット(ds)、ビリー・ハート(ds)、ジェイムス・ムトゥーメ(per)、バダル・ロイ(tabla)です。

メンバーを見て、ハービーとコリン・ウォルコットが参加していたことを再認識。ハービーってこの時期はマイルスとレコーディングしていないという思い込みがありました。シタールはカリル・バラクリシュナだとばかり思っていました。ハロルド・ウィリアムスとデビッド・グリーン、それ誰ですか?って感じです(笑)。実際にはもっとたくさんのメンバーが参加したテープを編集しているのですが、当時は上記メンバーしかわからなかったということですね。

もちろんこのアルバムは持っています。最初はCDを持っていたのですが、オリジナル盤のレコードがほしくなり、探している過程でうっかりバーコード付きの80年代くらいの再発米盤を買ってしまいました。これが録音レベルが低く、何とも覇気のない音だったので不満を持っていました。今回見つけたのは日本盤なのですが、音質はこれの方がましなんじゃないかという期待と共に、二つ折りジャケットだったので買ってしまいました。値段は¥840。当然不人気盤です(笑)。ビニールで包んであるのも値落ちの理由。

これもライナーノーツは岩浪洋三さんが書いています。当時のCBSソニーのマイルス系フュージョン・アルバムはほとんど岩浪さんが書いているんですよ。当時はこの手の音楽をジャズと認めていないジャズ評論家ばかりだったので、なんでも書いた岩浪さんに依頼がいったのでしょう。「ぼくは近作の中では「イン・ア・サイレント・ウエイ」、「ビッチェズ・ブリュー」にひってきするジャズ界の重要なマイルスの作品だどとおもう。」と〆ているのですが、今読むと何かむなしく響くのは私だけでしょうか?

P148前述のとおりジャケットには丁寧にビニール・カバーがかけられていました。よく見ると左のチケットが入っていたんです。1973年(チケットの裏に48・4・11四谷税務署の印有)のマイルス来日時のコンサート・チケットです。当時の¥4,000はかなり高かったんでしょうね~?このチケットを見てちょっと気になることがあります。

1973年のマイルスの来日コンサートって、中山康樹さん著「マイルスを聴け!」によると、6/19日の初日がラジオで放送され、翌6/20がテレビ放映されたとあります。両方ともブート盤が出ています。で、中山さんは初日のステージからマイルスの”追っかけ”がスタートしたと書いています。このチケットは6/22です。ということは3日以上厚生年金ホールでやったということですよね?当時は一ヶ所でそんなに何回もやったんですね~。

チケットには「九重奏団」って書いてありますから、チケットを印刷した頃にはメンバーが9人いたことになります。でも来日時は7人になっていました。まっ、それは「マイルスを聴け!」の4/13と5/1のブート盤が10人だったことからもわかります。マイルスに首を切られたメンバーは、ロニー・リストン・スミス(key)、カリル・バラクリシュナ(sitar)、バダル・ロイ(tabla)。ある意味余分な人達だったわけです。

この73年来日時のメンバーと楽器構成はその後ちょっと変更はありますが、75年の引退まで続くわけですから、来日時はこの時期のターニング・ポイントだったということになります。そこに遭遇した中山さんにも運命的なものを感じます。

このレコードを持っていた方も、まさにそれを体験した方だったわけです。感動したんでしょうね。だからジャケットにビニール・カバーをかけて、チケットを入れて大事に持っていたんですよ、きっと。そんな大事なレコードだったのに、どういう事情かは分かりませんが、多分本人ではなくて親族か誰かがこのレコードを売りに出したということなのでしょう。

と、このレコードを手にして私は歴史を感じたわけです。大袈裟な(笑)!
私の元に来て良かったですよね?
こうしてチケットがネットを通して陽の目を見たんですから、幸せですよ(笑)!

*

tommyさんからコメントをいただきました。

貴重なチケットを手に入れましたね。「On the Corner」に入っていたのが、すごくイイ!
1973年というと、オイラが東京に来て1年目です。「6・22」のステンシル・デザイン文字が時代を感じます(笑)。
オイラもレコードにチケットやサインを入れる癖があって、前にソニー・ロリンズの直筆サインをMacotoが見つけて驚いていました(笑)。
このマイルスの二度目の来日公演の初日の1973年6月19日が火曜日なんですよ。ですから22日は金曜日(東京公演最終日)のチケットなんです。来日ライブが、平日火曜日初日なんてビックリ。
当時3〜4回公演は普通で、昼夜2ステージの3日間なんていうのもありました。
これは航空運賃が、今と比べるとスゴク高かったからです。ニューヨーク、東京間のエコノミークラスの往復料金が70万円〜以上だったと思います。かなりの数をやらないと招聘元もペイできなかった。
今は、ブルーノート東京出演のためにミュージシャンが来る事を考えると、8,000円くらいでライブが観れるのは幸せな状況なんですね(笑)。
そのチケットはお宝です。額縁に入れておきましょう(笑)。

「On the Corner」に入っていたっていうの、イイですよね。
なるほど、レコードにチケットを入れておくのも良いかもしれません。
73年のマイルスのコンサートは6/19~6/22の4回だったということですね。
火曜日初日は確かに驚きです。
なるほど、航空運賃がらみの理由があったんですね。
確かにブルーノート東京で簡単に見られるようになったのは幸せです。
でも、そのせいでありがたみがなくなってしまったかも?
73年マイルス東京公演最終日チケットは大切に保管しておきます。
額縁に入れるんですか~?wobbly

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これ買った人いますか?

久ぶりの台風上陸。皆さんは大丈夫でしたか?
山梨県内はおかげさまさで大きな被害はなかったみたいです。
今朝かなり雨が降りましたが、風は思ったより強くありませんでした。

さて、今日は新企画「これ買った人いますか?」です(笑)。
これまでも、日本でいったい何人が買ったのか知りたいようなマイナー・アルバムを
紹介してきましたが、その手のアルバム紹介に名前を付けてみました。

P141 今日紹介するのはウィル・セレーンラッド『バランス』(2007年rec. Beezwax Records)です。メンバーは、ウィル・セレーンラッド(g)、アブラハム・バートン(ts,ss)、北川潔(b)、ビクター・ルイス(ds)です。

ディスクユニオン通販の¥1,000均一セールで買いました。売れ残りに近い状況でしたが、メンバーを見て購入。リーダー意外はなかなかの布陣だと思いませんか?リーダーのギタリストは全然知らない人なので、こういうのって買いずらいですよね。でも「¥1,000ならいいかっ?」って感じです。安く買ったので「当り」だと結構うれしいものです。

9曲中7曲はセレーンラッドが作曲。1曲は北川が、1曲はルイスが作曲しています。こういうのはコンテンポラリー・バップというんでしょうか?8ビートの曲が多いです。アルバム全体のイメージは落着いた感じでモノトーン系。アルバムジャケットの白黒写真のイメージだと思います。

1曲目《バランス》は、ミディアム・テンポの4ビート。ブルージーでほのかな哀愁が漂う洒落た曲です。強靭なベースとしなやかなグルーブのドラムにのって、まずはバートンがテナーで熱いソロをとります。バートンのテナーはしっかり腰が据わっていて、噛み締めるように音をつづっていき、大人の味わい。徐々に盛り上がる構成も良いです。続くセレーンラッドのギターも落着いたもの。現代コンテンポラリー系ですが、フレージングとかは比較的オーソドックスです。

アブラハム・バートンは、後藤雅洋さん著「ジャズ・レーベル完全入門」で知りました。本に掲載されていた『レフト・アローン』(1994年rec. enja)では、マクリーン系の熱いアルト・サックスを吹いていました。この演奏は結構好きだったのですが、今回はテナーとソプラノを吹いており、かなり成長して落着いた感じです。もう13年も経っているので、当たり前と言われればそうかもしれません。いいサックス奏者になったと思います。

2曲目《ダブル・ダウン》はアップ・テンポの4ビート。軽快なビートに乗ってのギター・ソロとテナー・ソロはともに熱いです。3曲目《テル・ミー・ホワイ》は北川の曲。哀愁漂う甘すぎないメロディーは、まるでメセニーの曲のよう。そう感じるのはギターの奏でるハーモニーがメセニー風だったりするからかも知れませんけどね。北川って良い曲を書くんですね~。知りませんでした。北川のベース・ソロもフィーチャされていて良い感じですよ。

4曲目《スタブス》はスロー・テンポのブルージーな曲。今度はジョンスコ風。セレーンラッドはジョンスコみたいです。とは言ってもジョンスコほどアクは強くないのでご安心を。コンテンポラリー系のギタリストって、多かれ少なかれメセニーやジョンスコの影響を受けているのはもうしょうがないのですよ。バートンのテナー・ソロ、いいです。ブルージーな曲は得意みたいです。

こんな感じで落着いた渋めのトーンの曲が続いていきます。ルイスの曲《イッツ・ビーン・ア・ロング・タイム》も上手く馴染んでいます。で、私的にはバートンの好演に強く惹かれるものがあります。このギター&サックス・カルテットは渋いですね~。派手さはないけれど各人のしっかりした技量と感性によって、音楽をきちんと聴かせています。

こういうジャズを皆さんに聴いてほしいと思う私であります。

もしこのアルバムを買った人がいましたら、コメント下さい(笑)。
「こんなアルバムつまらない。」という感想でも結構ですので是非コメントを!

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暗黒パワーに圧倒される!

今日はネクラな凄いアルバムを紹介します。
台風が接近してる今にピッタリです(笑)。

P140 ヴィジェイ・アイヤ『リイマジニング』(2005年、savoy jazz)です。メンバーは、ヴィジェイ・アイヤ(p)、ルドレシュ・マハンサッパ(as)、ステファン・クランプ(b)、マーカス・ギルモア(ds)です。名前が読みにくいんですが、アイヤはインド移民の息子なんだそうです。M-BASE系の人でもあります。アルトのマハンサッパがこれまた難しい読み方なのですが、この人もインド系で数学者らしいです。マーカス・ギルモアはご存知のとおりロイ・ヘインズの孫。

このアルバムを知ったのは私がジャズ喫茶「いーぐる」に行くようになってしばらく経った頃です。当時、マスターの後藤さんは、NYダウンタウンに毎年行っている益子さんに同行して、NYのライブの現状を視察したてきたあとでした。私もNYダウンタウンのジャズに興味を持ち始めた頃で、この手のジャズがどういうものか知りたくてこのアルバムを買ったのです。

これね~、1曲目《レボリューション》から凄いことになっています。流麗なピアノが一瞬聴こえてくるんですがすぐに変拍子に突入し、浮遊感というか不安感を掻き立てるようなメロディーをダークでブリブリな音色のアルトが奏でていきます。これを聴いていると、それこそいっきに不安感が心に広がります(笑)。一言でいうと”ネクラ”サウンド!よくもまあ、こんな”ネクラ”曲を作ってくれたもんです。

2曲目《イネルティア》も暗~いメロディーをピアノで重々しく弾いていきます。この曲はピアノ・トリオ。ベースもドラムも暗いピアノにさらに重さを増し、3人でスピリチュアルに深く沈んでいくが如くの演奏はなかなか凄いです。3曲目《ソング・フォー・ミッドウッド》は東洋風メロディー。インド系といえるのかな?やっぱり暗いです。どんどん深みへ陥れられていく~(笑)。

7曲目《イクスペリエンス》なんかは、ピアノのアルペジオにのって、サックスが救急車のサイレン”ピーポー、ピーポー、ピーポー”のようなメロディーを吹くんですから、それこそもう入院したい気分になってきます(笑)。ピアノのメロディーは暗いですが、結構美メロ?もう7曲目くらいまで聴くと、ちょっとした明るい音が美メロに聴こえてきますよ(笑)。

10曲目《イマジン》はピアノ・ソロ演奏。ここまで続けて聴いたあなたは、もう完全にダーク・サイドに入っていますからお忘れなく(笑)。で、頑張って聴いたんだから、最後はジョン・レノンの《イマジン》で心を安らかにして下さいというご褒美!と思ったあなたは甘いです。思いっきり暗く、それこそ不安を煽るようなメロディーで弾きます。リハーモナイズしているのかな?最後の最後に奈落の底へ陥れてくれます。感謝っ!

とにかく全編暗いんですがやたらとパワーがあります。ベースとバスドラを強めに録音しているせいもあるのですが、演奏そのものからも暗~い熱気が滲み出てくるんです。これはスターウォーズのダース・ベーダーがダーク・サイドから物凄いフォースを発している感じ。ここまで暗黒パワーを発散していると逆に気持ちいいですよ。暗黒パワーに酔いしれましょう!そしてね~、よく聴くと”暗黒美”を感じるようになります(笑)。

ネクラだけれど何か凄いアルバムなのです。
このアルバム。確かその年のジャズ喫茶「いーぐる」年末ベスト盤大会で
後藤さんがかけたんじゃなかったかな?
これっ!勇気がある人は絶対聴くべきです(笑)!

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センスが良く、味わいもある。

とうとう2009年度下半期に突入。
夜はかなり涼しくなってきました。

今日も新譜紹介。とは言っても私の場合はちょっと遅れてます(笑)。

P135 ナタリー・ロリエ『モーメンツ・ド・エタニティ』(2009年rec. De Werf)です。メンバーは、ナタリー・ロリエ(p)、フィリップ・アーツ(b)、ヨス・ヴァン・シャイク(ds)、バート・ヨリス(tp)、ストリングス・カルテットです。トランペットのヨリスが全面サポート。9曲中7曲はヨリスがアレンジしています。残る2曲はロリエがアレンジ。

ナタリー・ロリエはベルギーの女性ピアニストです。1990年に初リーダー作を出しているので、世代的には大西順子と同じということになると思います。ロリエはモード系の美しく良い曲を書きます。このアルバムでも全曲ロリエが作曲。ピアノはキース系ヨーロピアン・ピアノです。

ロリエのアルバムは1枚だけ持っていました。どういう経緯で入手したのかは忘れました。入手後しばらく経ってから読んだ杉田宏樹さん著「ヨーロッパのJAZZレーベル」で、ベルギーのイグルー・レーベルのトップでこの人を紹介していました。今回のアルバムはトランペットとストリングス・カルテットの参加に興味を持ったので買いました。

1曲目《400ミリオン・イヤーズ・アゴー》。予想に反してアップテンポのコンテンポラリーな曲が飛び出してきたのでニンマリ。もっとクラシカルなのかと思っていたのですが、良い方向に予想を裏切られました。ヨリスのトランペットが”元気ハツラツ!オロナミンC”で気持ち良いことこのうえなし。いきなりのオヤジ・ギャグ、ご容赦(笑)。続くロリエのピアノ・ソロも快調そのもの。ストリングスもなかなかのスピード感。これはロリエのアレンジです。つかみはO.K.!

2曲目のタイトル曲は一転、スローで落着いた美メロで始まります。しばらく経つとドラムのマレットにのって、荘厳でスピリチュアルな曲調へと。ヨリスのトランペットがファットな音で全体を包み込むようにソロをとります。続くロリエのソロも丁寧に音を紡いでいきます。荘厳かつスピリチュアルでクラシカルな響きにうっとりします。

3曲目《ネイジ》はミディアム・テンポのワルツ曲。私が聴く前に持ったイメージはこれに一番近いかなっ。モーダルなんだけど冷たくならず、美メロなんだけど甘くなり過ぎない、ヨリスのファットな音から醸し出されるほのかな暖かさ、私、このくらいの温度感はかなり好きです。聴いていると気分は癒されつつ、前向きな気持ちになってくるのが良いところです。ストリングス・カルテットだけになる場面は、モーツアルトの宮廷音楽風響きも感じられます。ヨリスのアレンジなのですが、なかなかやりますねっ、この人。

4曲目《メモリー・ド・0》は、スロー・バラードで結構甘~い曲。映画の主題歌的な曲です。ヨーロッパ美メロピアノ・トリオにストリングスが優しく淡い色を付け加えます。ヨリスのトランペットが甘~く語りかけ、続くベース・ソロも曲想に沿った落着いたもの。この曲はちょっと砂糖過多な感じもしますが、演奏は安易なB.G.M.にはなっていないと思います。じっくり聴きたい曲です。

こんな感じで緩急織り交ぜモーダルな美メロ曲が次々と現れます。甘さは適度に抑えられているし、ほのかな暖かさが感じられるし、私的にはかなりお気に入りのサウンドです。このアルバムを一言で言うとすれば「センスが良い。」ですね。そして正に今、深まる秋に聴くアルバムとしては最適だと思います。必聴!

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結構ヤバイけれど洗練されていたりもします。

アクセスカウンターを控えめに表示しているのですが、
今日、100,000アクセスをオーバーしました。
自分のアドレスのフィルターしかかけていませんので、あくまで目安です。
2年経つ前になんとか大台にのったのは嬉しいです。
アクセスして下さった皆様に感謝致します。

最近は比較的新譜を紹介していますが、今日もいきます。
で、私が紹介するのはやっぱりちょっと捻くれ者なのです(笑)。

P134 マルク・デュクレ『LE SENS DE LA MARCHE』(2007,2003年rec. ILLUSIONS/澤野工房)です。メンバーは、マルク・デュクレ(g)、ブルーノ・シェヴィヨン(b,electronics)、エリック・エシャンパーレ(ds)、ANTONIN RAYON(p,rhodes,clavinet)、PAUL BROUSSEAU(clavinet,sampler)、TOM GAREIL(vib,marimba)、MATTHIEU METZGER(as,ss)、HUGUES MAYOT(ts,bs)、VANN LECOLLAIRE(cl,fl)、PASCAL GACHET(tp,bugle,bass-tp)、JEAN LUCAS(tb)です。

カタカナ表記の3人はトリオでの録音もあります。このギター・トリオに8人加わった11人編成のバンド。初めて聞く名前ばかりですが、それぞれの実力はなかなかのものと聴きました。2ヶ所でのライブ録音を収録しています。これはミュージックバードで聴いて気に入ったので購入しました。

澤野からマルク・デュクレのアルバムが出たのは意外です。ピアノ・トリオだけでなく、こういうものも出していく方針なのでしょうか?マルク・デュクレのギター・トリオを2枚持っていますが、いづれも自主制作盤でディスクユニオンに少量しか入荷しなかったことを考えると、澤野から出してくれるのはありがたいです。

フランスの鬼才ギタリスト・マルク・デュクレですから、そのサウンドは一筋縄ではいかないです。フリーな場面も少しはありますが、基本的には定型メロディーもリズムもありますので聴きやすいと思います。自由度を大きくしつつも、曲の構成はしっかりできているように感じました。ヤバイところが私好みなのですが、怪しくなり過ぎずに洗練を感じさせるところは、さすがフランスですね。

ある局面ではメンバー全員がパーツとなって自由なサウンド空間を構築したり、ある局面ではホーンが熱いソロをとり、ホーンやキーボードがアンサンブルをかぶせたり、またある局面ではキーボードとサンプリングがスペイシーな空間を作り出したりと、長めの曲のなかで様々な局面が次々と展開していき聴くものを飽きさせません。

デュクレはギンギンのギターソロを取る場面が数箇所ありますが、基本はサウンド全体を陰になり日向になりリードしていきます。全曲デュクレ作曲なので当たり前かもしれませんが、デュクレのサウンド・カラーに統一されています。まあ、いくらデュクレの作曲だといっても、メンバーが勝ってにやりだしたらサウンド・カラーはおかしくなってしまうわけで、メンバーがしっかりしていると同時に、デュクレの強いリーダー・シップが感じられて、そこが魅力です。

こういう自由で開放的なサウンドを聴くのは、こちらも感性が開かれる感じがして気持ちが良いものです。最近私はこの手の自由なサウンドか、アングラ系の捻くれサウンドを好んで聴いています。最近の人がやるオーソドックスなフォーマットの演奏を聴いていても何か歯ごたえがないんですよ。そんなのを聴くくらいなら、やっぱり50、60年代の元となったものを聴いたほうが良いと思ってしまいます。

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ヘビー・メタル・ジャズ!

ブレッカー・ブラザーズのアルバムに『ヘビー・メタル・ビ・バップ』というのがあります。
で、今日紹介するのは私が勝手に命名した”ヘビー・メタル・ジャズ”!
アドリブは短いのがいいとか、ジャズは曲で聴くとか、
現代ピアノ・トリオがいいとか、美人ジャケットがいいとか、
そんなことを言っている人達を椅子に縛りつけて大音量で聴かせたい1枚(笑)。

P129 TIFT『スメル・ザ・ディファレンス』(2008年rec. Skirl Rscords)です。メンバーは、TIFT:ヒルマー・イェンソン(g)、アンドリュー・ディアンジェロ(as,b-cl)、ジム・ブラック(ds)、ゲスト:クリス・スピード(ts,cl)、ピーター・エバンス(tp)、ジョエル・ハミルトン(electronics)です。分かる人には分かる危険なメンツであります。イェンソンとジムとクリスはALASNoAXISのメンバーですねっ。

ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた益子博之さんの「2009年上半期ニューヨーク・ダウンタウンを中心とした新譜特集」で知った1枚です。ケースは上下の白い部分も含めた大きさになっています。CDラックに入りませ~ん。ケースのサイズからして、反体制(笑)。

出だしからいきなりヘビメタです(笑)。ギターとドラムがロックしています。この人達ならではの変拍子も炸裂!2曲目の《フォース》を聴いて「アレレッ!」と思いました。クリス・ポッターの『ウルトラハング』の中のカッコいい曲《ランプレス》に似た曲です。当然ゲイリー・トーマスの《バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー》にも似ています。TIFTはギター、サックス、ドラムのベース・レス。クリポタのアンダーグラウンドもベース・レス。この人達の共通性は興味深いです。

TIFTのほうが更に捻くれているところが◎。前半部は上記のとおりのファンク/ロックな曲調でディアンジェロが快調に吹きまくるのですが、トランペットのソロに入ったところでテンポを落とし、ジム・ブラックの複雑リズムが炸裂します。曲もときに混沌としてフリーに突入する部分があり、ズリュズリュなトランペットの咆哮もありで、怪しさは最高!

《ピットゥルズ》がまた最高なんですよっ!いかにもヘビメタ。スペイシーな出だしの後、ギンギンのギターと何拍子だかさっぱりわからないカッコいいドラムに乗って、サックスがリフを繰り返すのを聴いただけで、「オオ~ッ」と叫びたくなります(笑)。「いーぐる」の新譜特集ではこの曲をかけました。音量大きめのリクエストなんかは、さすが益子さんです。やってくれます!

リフが終わると過激なギター・ソロに突入するのですが、これが「デス」なんですよ(笑)!デスメタルの「デス」ねっ!途中からは複雑リズムへ突入し、ギーターのソロが終わると、サックスがフリーキーな咆哮をかますという展開。最後は最初と同じリフに戻って終了。カタルシス(笑)!

《クリッパー》は、最初ロックなリズムにのってサックスがアブストラクトなテーマーを合奏するのですが、しばらくすると何かを吸引するかのごとき「キュルキュル」というキモカワなサウンド・エフェクトをバックにバスクラとクラリネットが合奏するクラシカルな曲調になります。そしてまたロックのリズムに戻り、変拍子にのってギターをバックにサックスの合奏。う~ん、もう色々な要素が混じって何が何だかわかりません。

《クロンディク》は最初はロックなのですが、途中からフリー・ジャズに突入し、ディアンジェロとスピードが気持ち良さそうに「ブリブリ」とサックスを応酬します。でまたロックに戻って終了。《フリンバゲイスト》は、間を生かして3管の音が飛び交う幽玄な出だし。途中からはやっぱりロックへ(笑)。凝ったアレンジの3管の合奏がカッコいい。この曲においてはサックスやトランペットのアドリブ的合奏はジャズ的。

まっ、とにかくカタルシスとカッコいい演奏満載です。
できるだけ大音量でお聴きすることをオススメいたします。
これも私的今年のベスト5入りは間違いないです。
TIFT最高っ!

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これは文句なくカッコいいでしょっ!

今日はお彼岸の中日。妹夫妻と一緒に家や親戚のお墓参りをしてきました。

最近「アンダーグラウンド」という響きに弱い自分がいます。ニューヨーク・アンダーグラウンドのジャズをたくさん聴くようになって、自分の中では「アンダーグラウンド=怪しくカッコいいサウンド」という式が成り立っています。今日の1枚はシカゴ・アンダーグラウンド。いや~っ、とにかくカッコいい。私的には間違いなく本年ベスト5以内にランキングされることでしょう。そのアルバムとは?

P128 ロブ・マスレク・クインテット『サウンド・イズ』(2009年、Delmark Records)です。メンバーは、ロブ・マズレク(cor,syn,p)、ジョン・ヘーンドン(ds,per,tenori-on)、マシュー・ラックス(bass guitar)、ジョシュ・エイブラムス(acoustic bass,p)、ジェイソン・アダシーウィッツ(vib)です。

マズレクは「シカゴ・アンダーグラウンド・デュオ/トリオ」のメンバーです。ドラマーのヘーンドンはシカゴ音響派「TORTOISE」のメンバーです。そのヘーンドンはヤマハの新感覚楽器「TENORI-ON」 http://www.yamaha.co.jp/tenori-on/index.html も演奏しています。こう書くと分かる人には分かってもらえると思いますが、何か怪しい(笑)!ワクワクかつ胸騒ぎがしますよねっ。

1曲目《アズ・イフ・エンジェル・フェル・フロム・ザ・スカイ》が始まった瞬間に「こりゃ、やばいっ!」と思わずニンマリ。風というか機械音というか?怪しげな電子音の上にフワりとヴァイブラフォンの音が漂います。そこにパーカッションがからんできて異様な空間が生まれます。これぞアンダーグラウンドです。これぞシカゴ音響派です。コルネットは吹いていないですね。最初の部分を聴いただけで、”ビビッ”ときてしまいました。

2曲目《ザ・アースクイック・ツリー》は、ヴァイブの浮遊感のある抽象的な音と躍動的なドラム&ベースの上で、マズレクのファットでダークな音のコルネットが力強いメロディーを歌い上げる曲です。シカゴの怪しいクラブで夜な夜な繰り広げられる音。トランスしちゃってるかも(笑)?聴いているうちにこちらもそういう気分になってきます。

3曲目《ドラゴン・キティーズ》は、パーカッションとベースのアルコ&ピチカートが活躍するフリー・ジャズ。多彩なパーカッションが怪しく煌めき舞い踊る中、マズレクがコルネットでズリズリとしたフレーズを吹いては消える曲です。拍手も効果的に使われています。音が空間を埋め尽くしているのが私好みです。

というような感じでアバンギャルドな演奏が続いていきます。全曲マズレクのオリジナル曲で、面白い曲名をイメージさせるようなサウンドが繰り広げられています。コルネットのバックのサウンドは曲によって異なり、ヴァイブが主役だったり、パーカションが主役だったり、ツイン・ベースが主役だったりと色々で楽しめます。ロックン・ロールもあります(笑)。

とにかく次々と濃厚にして暑苦しい演奏が押し寄せくるので、聴くほどに頭の中がウニウニ状態になっていきます(笑)。そして今日もシカゴの熱い夜は更けていくのです。

コルネット1本でとくに難しいことをやっているわけではありませんが、
その一音一音からは熱気と意思が滲み出ています。
ロブ・マズレク恐るべし!
世間ではほとんど話題にならないアルバムですが、これは超イチオシであります!
文句なくカッコいいです。絶対聴くべしっ!

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クリポタはやっぱりいいね~!

今日のニュースで甲府の町にイノシシが出没して警察と県職員がイノシシを捕獲するために大捕物をしたというのがありました。イノシシは捕獲されたということです。体重約40kgの子供のメスのイノシシなんだそうです。こんな話今まで聞いたことがありません。これも地球温暖化の影響なのでしょうかね~?

私は現代最高テナーはトニー・マラビークリス・ポッターだと思っているのですが、今日はクリス・ポッター参加のアルバム紹介。クリス・ポッター略してクリポタは、ポスト・マイケルブレッカー筆頭格でもあります。世間的な知名度は今一という話もありますが、少なくともジャズ・ブロガーでこの人を知らない人はいないと思います。

P121 これはクリポタ・リーダーの新譜というわけではないのですが、最近発売されたデイブ・ホランド・スペシャル・カルテット『ザ・モンタレー・カルテット:ライブ・アット・ザ・2007・モンタレー・ジャズ・フェスティバル』(2007年rec. Monterrey Jazz Festival Records)を紹介します。メンバーは、デイブ・ホランド(b)、ゴンサロ・ルバルカバ(p)、クリス・ポッター(ts)、エリック・ハーランド(ds)です。

メンバーが強力ですよね。ジャズ・フェスならではという感じです。録音は2007年9月なのでもう2年経ちますが古さは感じません。収録曲は8曲で、メンバーそれぞれが2曲づつ提供しています。曲はメンバーの個性は感じられますが、全体を通しての統一感は保たれています。

演奏については説明不要。このメンバーですから悪いはずがありません。クリポタが良いのは言うに及ばず、ルバルカバのピアノもなかなかキレています。この人、私は久々に聴いたのですが、良いですね。ホランドのベースは文句なしに安定感抜群で、ハーランドのドラミングもエキサイティングでキレています。こんなメンバーのライブは一度見てみたいものです。

先日のジャズ喫茶訪問の際に寄った新宿ディスクユニオン・ジャズ館でもこのCDをかけていました。超イチオシ・アイテムということです。私はHMVの3枚OFFを利用して予約して購入しました。すずっくさんのブログに中年音楽狂さんからのアルバム情報があったからです。ブログ仲間の情報って速いですね~。私なんかはいつも一歩遅れています(涙)。

同ルートでジョー・マーティンの新譜『ノット・バイ・チャンス』にクリポタが参加しているというのも得ましたので、しっかり予約しておきました。こちらは連休中に届きます。ブラッド・メルドーも参加しているので、もう少し硬派なものになりそうで楽しみです。

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こんなB級盤も持っています(笑)。

アルバム蒐集にも色々なマイ・ブームというのがあります。
新譜(ヨーロッバ、マイナー・ピアノ・トリオ)はCD、50、60年代アメリカものはオリジナル、70年代後半と80年代のB級盤は安い中古LPという買い方をしていた時期がありました。今日はそんな頃にかった1枚を紹介します。

P114 ビル・パーキンス『リメンブランス・オブ・ディノス』(1986年rec. INTERPLAY RECORDS)です。メンバーは、ビル・パーキンス(ts)、ジョン・ティラバッソ(ds)、アラン・ブロードベント(p)、パター・スミス(b)、ジーン・チェリコ(b)です。ベースは曲によって、スミスとチェリコが弾き分けています。レコーディング・ライブです。これってB級盤ですよねっ?

これは上記の区分の3番目に該当しました。ビル・パーキンスっていうと、50年代のウエスト・コースト・ジャズの人というイメージしかないと思いますが、80年代にもちゃんと演奏していたんです。なぜこのレコードを買ったかと言うと、多分ピアノのアラン・ブロードベントが参加していたからです。多分というのは、当時安物中古LPをたくさん買っていたので、買った時の記憶があまりないからです(笑)。

で、このアルバム。ビル・パーキンスはジャケ写のとおりのご老人です。なので、キャリアによって得られたテナーの味わいを聴くということになります。でも、曲によっては結構バリバリ吹いていたりもします。なかなか聴き応えがありますよ。ピアノのブロードベントは澤野工房からアルバムが出たり、レア盤になっていたりと今は有名ですよね。ここでは及第点は与えられるプレイだとは思いますが、凄く良いというほどでもないと思います。

結構頑張っちゃっているのが、ドラムのティラバッソ。メンバーの記述でも2番目ですから、音楽的には重要なポジションにいると思います。要所要所で軽快な煽をして演奏を盛り上げるのが上手いと思います。ベースはチェリコが良いですね。力強いベースで演奏をグイグイ推進させていくのが心地良いです。

私はこのアルバムのA面が気にいっています。エキゾチックなメロディーのシダー・ウォルトン作《ボリビア》で始まるのが特にいいんです。まずはアップ・テンポでグイグイと迫ってきます。これを聴くと気分はウキウキ(笑)。続く《オールド・デビル・ムーン》も快調に流し、ワルツ《サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム》でちょっと一息つきます。ラストは《イスラエル》。ミディアム・テンポで哀愁を漂わせつつマイナー・ムードを満喫して終了。いい流れだと思いませんか?

このアルバム、寺島靖国さん著「辛口!JAZZ名盤1001」の中に掲載されています。「第2章、この1曲で聴かせる名曲・名演盤(1970~)」に分類されています。この1曲は《イスラエル》。寺島さんらしいじゃあありませんか(笑)?

更にこれ、中野新橋のジャス喫茶「ジニアス」でもかかったことがあります。ジャズ喫茶に似合う1枚なんですよね~。かかったのはもちろんA面です。ジャズ喫茶で聴くと、自宅で聴くのとは一味違って、良く聴こえてくるんです。これが!ジャズ喫茶通いの醍醐味ここにありって感じです。

「ジニアス」へ行きたくなってきたゾ~ッ!

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ちょっとワルなトランペッター!

ジェームス・カーターのライブで見た時はいまひとつだったのですが、CDを聴いたらなかなかいいんじゃないかと思ったこの人。トランペッターのコーリー・ウィルクスってちょっとワルなやつでした。そんなウィルクスのアルバムを紹介します。

P113 コーリー・ウィルクス&アブストラクト・パルス『クリーズ・フロム・ザ・ゲットー』(2008年rec. PI RECORDINGS)です。メンバーは、コーリー・ウィルクス(tp,flh)、ケヴィン・ネイバーズ(ts)、スコット・ヘッセ(g)、ジュニアス・ポール(b)、イサイア・スペンサー(ds)、ジュマン・テイラー(tap dance)です。メンバーも聞いたことがない人ばかりですね。タップ・ダンサーもいます。

ディスクユニオンの新譜紹介でチェックしていたのですが、ネット通販では入荷までに時間がかかりそうだったので、入手することを躊躇していました。そしたらジェームス・カーターのライブで売っていたので、迷わず買った1枚です。これを聴いて最初に思ったのは街のストリート・ギャング。ちょっとワルなやつらのカッコいいストリート・ミュージックです。

1曲目《ファースト・マインド》、ミディアム・テンポでワルなやつらが冷やかしながら街を歩く雰囲気が漂ってきます。こりゃっ、ちょっと危ないね~(笑)。ソロはギターのヘッセから、こいつがアバンギャルドしています。とはいっても過激さはあまりなく小ワルなイメージ。バンド・サウンドにはマッチしていますね。カッティングによるバッキングもなかなかイイ味を出しています。こいつ注目ギターだと思います。

ウィルクスのトランペットは、ダークなトーンで熱く語りかけてきます。テクニックを駆使するタイプではありません。それがこの前見たライブでは今一だった要因のようです。一音一音しっかりと、ワルカッコいいフレージングを積み重ねて吹いていきます。続くテナーのネイバーズも野太いトーンで熱くブローします。派手さはないけれど味があるテナーで、ウィルクスとのサウンド・マッチングは凄く良いと思います。良いテナーですよ。

続く《アブストラクト#1》はフリーの演奏ですが、難解という感じではありません。黒人街でワルが集まって、ストリートでアバンギャルドにジャムっちゃう感じとでもいいましょうか。タップ・ダンサーがタップを踊っているので、余計そんな感じに聴こえてきます。なかなかカッコいい演奏です。

3曲目《シック JJ》のウィルクスのソロはどことなくヒノテルにも似ているようにも聴こえます。そして4ビートに変わって出てくるネイバースのテナーはデイブ・リーブマンな感じかも?途中にはさむ低音”ヴォー”がなかなか盛り上げてくれますよ。こう聴いてくると80年代のヒノテル/リーブマン/ジョンスコ系の熱いジャズと言えるのかもしれません。で、そこにちょっとけだるさも漂っています。

4曲目《レヴィテーション》はウィルクスがハーマン・ミュートで甘いバラードを聴かせてくれます。ライブで見た時と同様、ウィルクスのハーマン・ミュートでのプレイはイイですね~。とても浸透力のある音で歌心のあるメロディーを奏でてくれます。

ベースとドラムは目立つところはありませんが、フロントの雰囲気にマッチした力強いリズムをしっかり刻んでいます。なかなか渋い仕事をしていると思いますよ。

こんな感じで演奏が続いていきますが、最初に言っとおり、ちょっとワルなやつらのカッコいいストリート・ミュージックです。バンド名の「アブストラクト・パルス」もなかなかカッコいいと思いませんか?このバンドのライブを見てみたいものです。

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上原ひろみの新譜を買ったよっ!

上原ひろみの新譜『プレイス・トゥ・ビー』を買いました!
発売後すぐに新譜を買ったことってあったかな~?
ウェザー・リポートの『プロセッション』?
う~んなかったような気がします。
甲府のCDショップ「サンリン」で買いました。
地元の商業に少しは貢献しないとまずいでしょ(笑)。

P112 こちらは英語ライナーノーツとは別の日本語ライナーノーツの写真です。完全にアイドルCDのジャケット(笑)。これもかわいいことは認めますが、やっぱり元のジャケットの鍵盤と戯れている方がセンスは良いと思います。でもこのジャケットが示すとおり、お堅いジャズオジサン達は相手にしていませんねっ(笑)。

内容は上原ひろみの魅力満載でした。新譜がソロ・アルバムだと聞いてちょっと懐疑的だったのですが、聴き始めたらそんな心配は吹っ飛んでいきましたよ。一気に通して聴いてしまいました。これが上原ひろみの音楽だと思います。余計なものがないからわかりやすいです。

ジャスと呼ぶには抵抗を感じる部分もあると思います。でもはっきり言わせてもらいます。そんなのどうでも良いことです。上原ひろみサウンドはこれなんです。ジャスだ!ジャズじゃない!とか言っている人は聴かなくてよしっ。キッパリ!

アルバム評は、スイングジャーナル9月号の新譜レビューで中川ヨウさんと村井康司さんが書いているものをご覧下さい(笑)。「豊かな表現力」に尽きるかと思います。

私は気に入りました。この人の音楽性の高さも再認識。いいです!
ジャズに変な拘りを持たない若い人に是非聴いてほしいです。
まっ、言わなくても聴くとは思いますが(笑)。

クラシックも出すテラークのこと、録音は当然のことながら良いです。
ピアノの音が余すところなく収録されています。低音の響きに要注目!

余談ですが、弾いているピアノはこの人のスポンサーでもあるYAMAHAです。

そうそう、ボーナス・トラックの矢野顕子の歌もイイです。

そして、おまけのDVDを見て思い知らされました。
やっぱりテラークの上原ひろみの待遇は凄いです。
レーベルのスター扱いだと思います。

映像では、上原ひろみが感極まって泣いて《プレイス・トゥ・ビー》を弾いています!
ちょっとクサい演出だと思いますが、この辺りはアメリカ感覚そのものです(笑)。
インタビューもアルバム曲の収録風景のハイライトをはさみながらでカッコいい。
《BQE》を弾いているところを見てブッ飛んで下さい(笑)。
このDVDは完全にアメリカのショービジネス感覚ですねっ。

日本のチマチマしたジャズ業界の売り方(失礼)とは次元が違います。
いや~っ、ここまでやっていると気持ち良いです。
マイナー感ばかりが持てはやされる今のジャズ状況において、
メジャー感で売る上原ひろみに私は期待しています。
ジャズを若い人へ解放するのはこういうところからだと思うのです。

東京JAZZの上原ひろみ、盛り上がっているんでしょうね~。

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メセニー&マイケルのカッコいい演奏!

今、YouTubeにはたくさんのジャズ動画がありますよね。
でも、私はあまり見ないんです。
というのも、私の古いノートパソコンはメモリーが少ないので、
画像が途切れ途切れになっちゃうからです。
もうかったるくて、とても見る気になりません(涙)。

で、今日は他人のブログでYouTube動画を紹介しちゃおうというわけ(笑)。
ジャズ友の じゃこのめ さんがブログで、
パット・メセニーマイケル・ブレッカーの共演動画を紹介しています。
私のベタなコメントまで紹介して下さっていますが(汗)。
ココ
http://jaco-no-me.blogzine.jp/blog/2009/09/james_1dce.html?cid=22742931#comment-22742931

メセニーのトリオ(b;クリスチャン・マクブライド、ds:アントニオ・サンチェス)に
マイケルが加わっての演奏だと思います。
曲は《ジェイムス》《ソング・フォー・ビルバオ》
両曲ともに私の好きな曲です。
いや~っ、カッコいいじゃありませんか。
じゃこのめさん、良い動画を紹介していただきありがとうございます。

画質も凄く良いのですが・・・、
おかげで?私のパソコンでは画像だけでなく音声まで途切れ途切れに!
ガビ~ン!(なんじゃそりゃっ)
皆さんは動画をお楽しみ下さ~い。

う~ん、ほんとにもうパソコン買い替えないとダメかも。

ちょっと余談ですが、
じゃこのめさんは先週末大好きなクリスチャン・マクブライドに会って、
気分は天に舞い上がったみたいです(笑)。

ついでにマイケル・ブレッカーのリーダー・アルバムを1枚紹介。

P108 じゃこのめさんも紹介していますが、《ソング・フォー・ビルバオ》収録アルバムの『テイルズ・フロム・ザ・ハドソン』(1996年rec. IMPULSE!)です。メンバーは、マイケル・ブレッカー(ts)、パット・メセニー(g)、ジャック・デジョネット(ds)、デイブ・ホランド(b)、ジョーイ・カルデラッツォ(p)、ゲスト:マッコイ・タイナー(p)、ドン・アライアス(per)です。いや~っ、豪華メンバーですね~。新旧ジャズ/フュージョン・スターの共演でございます。

私はこのアルバムがマイケル3枚目のリーダー・アルバムだと思い込んでいたのですが、今ライナーノーツを読んだら4枚目でした。3枚目の『ナウ・ユー・シー・イット』(GRP)は持っていません。買わねばなるまい。

このアルバム、マイケルの実力が遺憾なく発揮されていることは、誰しも認めざるを得ないのではないでしょうか?このアルバムが世に出た瞬間、マイケルのことをフュージョンの人だとか言って嫌っていた連中は無視していいことがハッキリしたのです(笑)。あ~スッキリしたっ!

このアルバムは後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」でも紹介されています。「いーぐる」でかける曲というのがまた渋い!2、3、4曲です。アルバム全部をかけたのでは飽きるので、LP片面20分(この長は私も人間の生理にマッチしていると思います)を目安にCDもかけるんだそうです。

後藤さんは同著で2曲目の《ミッドナイト・ヴォヤージ》を評して、「これ聴いてもブレッカーを認めない連中は明らかに時代錯誤!」と書いています。あ~スッキリしたっ!

3曲目《ソング・フォー・ビルバオ》を評して、「ひゅんひゅん音を延ばしたメセニーのシンセ・ギターのキモチ良さったらもういうことナシ。こういうふうに、音一発で聴いている人間をノックアウトしちゃうのがジャズなんだから、エレクトリックがどうのこうのなんて言っている連中は、まったくジャズがわかっていないことをバクロしている。」と書いています。あ~スッキリしたっ!

あ~っ、やっぱ、後藤さんはいいこと言いますよね~。私、尊敬しています(笑)。

で、私は5曲目の《アフリカン・スカイズ》が好きなのです。この曲は先に出たブレッカー・ブラザーズ『アウト・オブ・ザ・ループ』に収録されていたのを聴いて好きになっていました。だからマイケルが自分のアルバムにも入れたことを私は喜びました。この曲のドライブ感が好きなんです。グイグイ突き進んでいきます。タイトルどおりでアフリカンな躍動感満載であります。

ピアノはあのマッコイ・タイナー、まずはソロで先行して重厚に畳み掛けるマッコイ節炸裂でございます(笑)。続くマイケルが盛り上がらないはずはありません。高速メカニカル・フレーズをかましつつ、でっかいスケールで咆哮する様が圧巻です。文句あっかー。文句があるやつは出て来いっ(笑)!あ~スッキリしたっ!

私なら3、4、5曲をかけますね。

ホランドの重厚ベース、デジョネットのキレキレ・ドラミング、カルデラッツォのやっぱりキレキレ・ピアノ。3曲目と5曲目で盛り上げるアフリカン・パーカッションのアライアス。メンバーも最高です。上記以外にも重厚な曲、キレキレ曲など満載。

と、このようにマイケル・ファンを熱狂させるのがこのアルバムなのです。

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マシュー・シップって知っていますか?

今日は、これまでに何度も登場している後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」から1枚紹介しましょう。

「ジャズ選曲指南」はバップ定番ものからヨーロッパもの最近のものまで、ジャズ喫茶「いーぐる」で日頃かかっているアルバムを紹介した楽しい本なのです。ジャズ喫茶という空間でかかる定番からマニアックなアルバムまでを知ることができると同時に、ジャズ喫茶選曲の秘密に迫れるというのがミソ。でもこの本、今一売れ行きがかんばしくないとか(涙)。皆さん。買いましょう!

P106 で、今日の1枚はマシュー・シップ『ヌー・バップ』(2002年、ThirstyEar)です。メンバーは、マシュー・シップ(p)、ウィリアム・パーカー(b)、ダニエル・カーター(ss,fl)、ギレルモ・E・ブラウン(ds)、FLAM(syn,programming)です。つまり強面フリー・テナー奏者デビッド・S・ウェア・カルテットのリスム隊(ピアノ・トリオ)による演奏です。

でも、これが単なるフリー・ピアノ・トリオではないから面白いんですよ。このアルバムのサウンドを一言で言ってしまうと、フリー系ピアノ・トリオ・ミーツ・ヒップ・ホップ/ジャム・バンドです。バックにFLAMがプログラミングしたスクラッチ/ヒップ・ホップ・エフェクト音が流れ、その上でフリー/スピリチュアルなピアノ・トリオが哀愁感漂うマイナー・メロディーを演奏するというハイブリッドなもの。そして、難解でないところが良いんですよ。

シップのピアノは強靭そのものです。ちょっと誇張気味に言えば、デューク・エリントンの『マネー・ジャングル』に通じる凄みを感じさせるピアノを弾いています。1曲だけあるピアノ・ソロ曲を聴いていると、力こぶしを作りたくなりますよ(笑)。パーカーのアコースティック・ベースも力強いですね。タイトル曲《ヌー・バップ》のベースのうなりなんて気持ち良いことこのうえなし、頭がクラクラします(笑)。

ブラウンのドラムが粗い音で8ビートを刻むのですが、これがジャム・バンド風サウンドを印象付けます。ファンク系緩めの8ビートは腰にきますね。数曲に参加するカーターのソプラノとフルートがちょっと怪しげでファンキーさを上手く演出しているのも好ましいものです。全体を通して感じられるのは、クラブのちょっとダルで蒸し暑い空気感。この雰囲気、私は好きです。

強面フリー・ピアノ・トリオがヒップ・ホップとファンクを取り入れることによって、上手い具合に聴きやすくなっていると思います。若者には受けるサウンドになっていると思いますよ。かといって決して安易さは感じられないのがこの人達。デビッド・S・ウェアをサポートする人達って、やっぱ只者じゃないです。カッコいい!

こういうアルバムを選曲する「いーぐる」の後藤さんもカッコいい!

明日は甲府「桜座」にやってくる大西順子ピアノ・トリオを見にいきま~す!

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1000円セールで未知のジャズを探求する(笑)?

今日、高野 雲さん がご自信のブログで、拙ブログのことを紹介して下さっています。
どうもありがとうございます。
私は雲さんのことをブログの師匠だと思っています。
わけもわからずにブログを始めてちょうど半年たった頃、
ジャズ友tommyさんがらみで、雲さんと知り合いになりました。
私は雲さんからブログの効用などを教えていただいたと思っています。
今もチビチビ更新を続けられているのは、雲さんとの出会いがあったからです。
感謝!
また、tommyさんからも色々なインスピレーションをいただいているから、
ブログが楽しくやれているんだと思います。
感謝!

さて、今日の御題。

先日、「ディスクユニオンの通販限定1000円均一セール」のことを書きました。そして、かなりマニアックなものが販売されるということも書きました。このマニアックなものの中から私がどういうものを買っているのかを今日は紹介しちゃいます。

このセールではピアノ・トリオとか女性ボーカルものはすぐに売れてしまいます。私はいつもセールに気付くのが遅いので、この手のものは買えません。でも全然問題なし。だって、私は人が買わなそうなやつを買うからです。つまり売れ残りを買うのです(笑)。でも単なる売れ残りではありませんよ。未知のジャズを買うのです。てっ、ちょっと大袈裟に言ってますが(笑)。

一応メンバーを見て、なんか怪しげなことをやっていそうなのを買います。それは私の未知への憧れ、想像力を掻き立ててくれそうなやつです。当然ハズレを掴むリスクはありますよ。でも1000円だから許せちゃう。

P105 で、この1枚。クローズ・イレイズ『スポート・ロックス』(2005年rec. JAZZAWAY RECORDS)です。メンバーは、クリスチャン・ウォルームレッド(syn,wurlitzer)、インゲブリクト・ホーケル・フラーテン(b,electronics)、パー・オドバール・ヨハンセン(ds,key)です。ドラムとシンセ/キーボードだけってのがヤバイでしょ(笑)。肝はアトミックのベーシストにして、フリー・ジャズでも活躍するインゲブリクト・ホーケル・フラーテンの参加です。ノルウェーの新し系レーベルJAZZAWAYってのも注目ポイント。

いきなりノイジーなシンセ音から入ります。「おっヤバっ!」そこにドシャメシャ系ロックドラムが乱入すると一気に気分が高揚してきますね。「なかなか面白いっ!未知の音じゃっ!」(笑)。切れの良いビートが暴れる中、時間的にも空間的にも程好い間のノイズ系シンセ音が飛び交って演奏が進みます。フリー・インプロビゼーションですが、一応曲想としての体をなしているのが私好み。アルバムタイトルどおり、スポーツ&ロックしていますよ(笑)。

続くスローナンバーは、イマジネイティブなシンセ音が飛び交う曲。前曲でフラーテンはベースを弾いていませんでしたが、ここではエレベを弾いています。エレベの奏でるノスタルジーな旋律が良い味を出していますね。荘厳にしてスペイシーな世界を作り上げていると思います。続く曲はアップテンポのドラムとピコピコ、ギュインギュイ、ンシンセ音でテクノ系のサウンド。でもどことなくウェザー・リポートの雰囲気が漂っています。面白い!

こんな感じのサウンドなので、これをジャズと言うことに抵抗がある方はたくさんいると思います。でも、私はそんなの一切関係なし。未知との遭遇、想像力を掻き立ててくれれば良いのです。このアルバムは当りでしょ!

こんなのを輸入するディスクユニオンはエライ!
そしてこれを買った私はもっとエライ!
このアルバムを持っている人は日本に10人以上いるのだろうか(笑)?
これぞレア盤。へっ、へっ、へっ、どうだ参ったか!

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マイナー・ピアノ・トリオがマイ・ブームだった頃もある。

世界陸上を見て思ったのですが、最近は美人女子選手が多いですよね~。
女子棒高跳びと走り高飛びを見ていたら、美人が多くてビックリ!
無駄な肉のない長身スマートな体にキリリとした顔立ちの選手が多いんですよ。
跳んでいるときの体の美しさといい、腹筋の美しさといい、良い!
と言いつつ、私は短距離の福島千里がマイ・ブームなのです(笑)。
200mも予選落ちか~(涙)。

さて、今日の話題。
長い間ジャズを聴き続けていると色々なマイ・ブームがやってきます。今のマイ・ブームは皆さんご存知のとおりニューヨーク・ダウンタウンなのですが、今から8年くらい前にはマイナー・ピアノ・トリオだったのです。マイナー・ピアノ・トリオに嵌るきっかけになった1枚を紹介します。

P104 ザ・ピート・ジョリー・トリオ『”ジェムズ”』(1990年、Holt Recordings)です。メンバーは、ピート・ジョリー(p)、チャック・バーゴファー(b)、リック・マルティニス(ds)です。一応レア盤扱いで、中古はそれなりの値段になっていると思います。

当時は真空管アンプ製作に嵌っていたので、秋葉原へパーツを買いに行っていました。住んでいた茨城から車で常磐道をとばして行っていたので、秋葉原で用事を済ませた後は、御茶ノ水のディスクユニオン・ジャズ館に寄ってから帰ったものです。駐車違反の取り締まりが甘かった頃なので、明大前の通りに路駐していましたが、取り締まられたことは一度もありませんでした(笑)。

その御茶ノ水ユニオンでこの1枚に出会いました。寺島靖国さん著「新しいJAZZを聴け!」が出るちょっと前だったと思います。確かお店のポップ(宣伝文)を見て買いました。メジャーどころのジャズに興味を失っていた頃で、”ジャズ通”を気どってみたかったということもあると思います(笑)。それと、私はなんだかんだ言って世の中の流行が気になる人なのです。

当時、ピート・ジョリーは安いオリジナル盤を1枚持っていただけで、それほど気になる存在ではありませんでした。で、この『”ジェムズ”』ですが、まさにマイナー/B級の味そのものです。特に新しいことはやっていませんし、凄みや冴えがあるわけでもありません。ひたすらスインギーに楽しく快適に演奏しているところが聴き所。好きな曲《イフ・アイ・ワー・ア・ベル》《アイ・ヒア・ア・ラプソディー》は最高です。

凄い演奏に出会いたいという気持ちの他に、どうということはないジャジーな演奏を好む部分って誰にでもありますよね。どこにでもあるラーメン屋のラーメンやチャーハンやギョウザが美味しいと感じるようなものです。だからと言って、いつもラーメン、チャーハン、ギョウザってのも困りものだと思いますが・・・。でも最近はそれで良いって人もたくさん居るわけで、どうなのかな~。よくわかりません(笑)。

この1枚から始まって、「新しいJAZZを聴け!」に感化され、
色々なマイナー・ピアノ・トリオを買いましたよ。

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あのベニー・モウピンが・・・。

世界陸上見てますが、ウサイン・ボルトの9秒58は凄いですね~。

今日のお題はベニー・モウピン。この人はマイルスの『ビッチェズ・ブリュー』やヘッド・ハンターズで怪しげなバス・クラリネットを吹いていた人というイメージが強いと思います。最近はどんなことをやっているのか気になっていました。

で、昨年出たアルバム。買おうと思っていたのですが買いそびれてしまい、ネットでも納期がかかりそうだったので、どうしようかと思っていました。そしたら、先月新宿ディスクユニオンジャズ館で見かけました。試聴もできたので聴いてみることに。想像していたものとちょっと違いました。もっと怪しげなのかと思っていのに、意外とまともで落着いた曲調のものが多かったのです。悩んだ結果購入することにしました。

P100ザ・ベニー・モウピン・カルテット『アーリー・リフレクションズ』(2007年rec. Cryptogramophone)です。メンバーは、ベニー・モウピン(b-cl,ts,ss,alto-fl)、マイケル・トカイ(p)、マイケル・バランスキ(b)、ルカス・ジラ(ds,per)、ハニア・コワニーク・リブカ(vo)です。内ジャケットの夕景写真がきれいだったので掲載します。

P101全曲モウピンが作曲。ミドル&スロー・テンポの曲ばかりです。どことなく現代音楽の響きを感じさせる曲もありますが、落着いた感じでメロディーと間を生かした味わい深いジャズが展開されています。ジャケット写真の夕景に似合う音楽という感じです。自然の風景とそういうものを見た時の郷愁感を強く感じさせます。

P102モウピンの吹くバスクラ、テナー、ソプラノ、アルト・フルートそれぞれに良い味を出していると思います。それぞれの楽器をきちんと鳴らしているところも良いですね。でも、おどろおどろしい怪しげなバスクラがないのはちょっと残念。トカイのピアノが美しい音でモウピンの描く世界を生かすサポートをしており、注目ポイントではないかと思います。ベースがなかなか力強くリズムを支え、ドラムは繊細なリズムで音を散りばめてゆきます。

女性ボーカルというかボイスが参加する曲が2曲あり、イマジネイティブで深い世界を展開しています。もう何曲かこういう曲があっても良かったような感じです。ソプラノ・サックスでコルトレーンの『マイ・フェイバリット・シングス』を思わせるような熱いジャズを繰り広げる曲もあります。とは言っても、コルトレーンのような怒涛の熱くさではなく、熱いながらも歯止めはかかっています(笑)。私はこういうのが結構好きです。

試聴時にはちょっとためらいましたが、買って正解だったと思います。聴きこむほどに味わいが増してくるなかなか良いアルバムでした。ベニー・モウピン、見直しました。ちょっと地味で売れ線ではないと思いますが、こういうジャズを多くの人に聴いてほしいです。

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好メンバーなのだけれど・・・

今日は普通の新譜紹介です。メンバーが良いので買ったのですが・・・。

P99 ジョン・サーマン『ブリュースターズ・ルースター』(2007年rec. ECM)です。メンバーは、ジョン・サーマン(bs,ss)、ジョン・アバークロンビー(g)、ドリュー・グレス(b)、ジャック・デジョネット(ds)です。このメンバーなかなか良いと思いますよね。何かやってくれているんじゃないかと結構期待していました。

どうもこう、あんまり来ないんですよね~。このメンバーですからクオリティーは高いんですけど・・・。まず言っておかねば、最近には珍しく録音レベルが低くて、20年くらい前のCDって感じです。最初いつものボリューム位置で聴いていたら、なんとも弱々しい音なんでちょっとビックリしました。ボリュームを上げてやっとまともに聴けるようになりました。最初にいきなりつまずいたのが災いしたのでしょうか?

全曲サーマンが作曲しています。ヨーロッパ系の曲で品はあるんですが、結構流れてしまって耳に残らない感じです。最近アクが強いジャズをたくさん聴いているので、この手の耳なじみの良い曲に鈍感なのかもしれません。

サーマンのソプラノはなかなか美しいのですが、バリトンがおとなし目に感じます。録音レベルが低いのが影響しているようないないような?全曲とは言いませんが、もっとバリバリ吹く曲もあって良いのではないかと思いました。1曲だけフリー系の曲があるのですが、そこでもはじけてはいません。サーマンも枯れてきて味で聴かせるようになったのかも?でもちょっと深みが不足気味に思えるような・・・。

アバークロンビーも手堅い演奏だとは思いますが、どうも味気ない感じです。もっとひねりがほしいよ~。まっ、これは単に私の個人的な思いなので、それをアバークロンビーに要求してもしょうがないんですが。デジョネットはやるべきところでは、しっかりやっていますが、全体的に勢いよりまとまり重視な作風なので、それを逸脱はしていません。さすがは職人デジョネットです。

今回一番健闘しているのは、ベースのドリュー・グレスなのではないかと思いました。ニューヨーク・アンダー・グラウンド方面では有名なベーシストです。で、今回がECMデビューらしいです。これからもっとメジャーな存在になって活躍してほしいですね~。豪腕にして手堅いベーシストだと思います。

これを聴いて思ったのは、最近のECMってメジャー・レーベルであるが故に、質はある程度高いレベルに揃えられていて、ハズレもないかわりに大当たりもないということです。どうやら今の私はマイナー・レーベルの危険なやつを聴くことに楽しみを見出しているようです。

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爽やかゲイリー・バートン!

世間は酒井典子の話題で持ちきりですね。
山梨県の身延町に居る可能性があるとかで、地方ニュースでも取上げています。
まっ、のりピー、自業自得でしょうね。
一方、大原麗子さんが亡くなられたのは悲しいことです。
いい女優さんだったのに・・・。

今日は初めて買ったヴァイブラフォン奏者のアルバムを紹介します。
昨日「高野 雲の快楽ジャズ通信」で特集したゲイリー・バートンです。

P96 『ピクチャー・ディス(放題:サウンド・オブ・ラブ』(1982年rec. ECM)です。メンバーは、ゲイリー・バートン(biv)、ジム・オドグレン(as)、スティーブ・スワロー(el-b)、マイク・ハイマン(ds)です。これはジャケットがひどいですね(笑)。デザインセンスを疑います。ECMらしさもないですよね。

確か私が買った初めてのECMでもあったと思います。2枚目がジャック・デジョネット・スペシャル・エディション『インフレーション・ブルース』。私は当時からECMにあまり興味はなかったです。今考えると、当時はジャズに対して黒さを求めていたところもあったので、ECMはそこから外れていたんだと思います。未だにECMにはあまり思い入れはありません。

まだジャズを聴き始めてしばらくしてのことだったので、色々なタイプのジャズに接したいということで、ヴァイブのゲイリー・バートンを買ったんだと思います。このアルバムの印象は爽やかに尽きるんじゃないかと思います。バートンのヴァイブのクリアな音といい、メロディーといい爽やかです。やっていることはかなりジャズよりのフュージョン。

アルトのオドグレンも爽やかです。渡辺貞夫とかのフュージョン・アルトの系譜だと思います。もちろん芯には渡辺と同じでジャズがありますから、単なるフュージョン・サックスとは一線を画します。で、一番のポイントはというとスワローのエレクトリック・ベースではないかと思います。スワロー独特の音に嵌ると癖になりますよね。

そして、バートンのヴァイブとスワローのベースのマッチングが素晴しいんです。この2人の音への美的アプローチの一致がなせる技だと思います。お互いに着かず離れず、主張しつつ解け合う感じが気持ち良いです。

収録曲は、マイケル・ギブスが1曲、チックが1曲、カーラ・ブレイが1曲、ミンガスが1曲、オドグレンが2曲と、色々な人の曲を取上げています。曲想の統一感はとれていますよ。私はこのアルバムの中のチック作曲ワルツ》が好きなのですが、この曲が私のワルツ(3拍子)好きのきっかけかもしれません。そして私はチックの曲が結構好きなんです。

このアルバム、今は忘れ去られてしまいました(涙)。でも、今聴いたほうがむしろしっくりくるくらいの内容だと思います。今で言うところのコンテンポラリー・バップ・アルバム。ジョー・ロック(vib)辺りのアルバムよりは、レベルは上だと私は思いますよ。

もう1枚紹介します。

P80 ゲイリー・バートン&フレンズ『リユニオン』(1989年rec.GRP)です。メンバーは、ゲイリー・バートン(vib,marimba)、パット・メセニー(g)、マイケル・フォアマン(p,key)、ウィル・リー(b)、ピーター・アースキン(ds,per)です。

このアルバムは既にブログで紹介済みですが、再度登場願いました(笑)。バートンとメセニーの共演がポイントですね。”リユニオン=再会”セッションなのです。メセニーはバートンのバンドに入ったことがきっかけでジャズ界に入るわけですから、バートンとメセニーは師弟関係なのです。

で、再会セッションの結果はというと、良いにきまっているじゃないですか。この2人も音への美的アプローチの一致が感じられますね。まあ、師弟なので当たり前なのかもしれませんが。メセニー好きな私にはとにかく気持ちの良い演奏が並んでいます。ウィル・リー&アースキンのリズムも文句なくグッド!柔軟にグルーヴするアースキンってイイよね~。

収録曲は、ポロ・オルティが3曲、マイケル・フォアマンが2曲、ヴィンス・メンドーサが2曲、メセニーが3曲、、ポール・メイヤーズが1曲の系11曲。私はやっぱりメセニーの曲が好きなのですが、コンポーザー/アレンジャーのメンドーサの曲も捨てがたいです。この人の都会的で洗練された哀愁を感じるメロディーはイイですよ~。メンドーサはコンテンポラリー系ジャズを好む人にはよく知られた人なのですが、今一人気がありません。残念!

で、ミハーな私が声を大にして言いたいことは?
《ジェイムス》に次ぐメセニーの美メロ曲《チーフ》が入っていることです!
簡単な4小節フレーズで転調を繰り返すだけなのですが、これが最高なのです。転調好きな私だから良いだけなのかも(笑)?メセニーのギターの音色に最高にマッチしますね~。もちろんバートンにも似合います。う~ん、最高っ!そしてグレイト!
でも、でもです。曲が短いのです。バートンのソロは2コーラスなのにメセニーのソロはたった1コーラス(涙)。
聴いて下さい!

ところで今日初めて気が付いたのですが、遅っ!
バートンはあまり作曲しないんですね~。

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tommyさんから夏休みの課題を出されてしまった!

いや~っ、参った!
ジャズ友tommyさんから夏休みの課題を出されてしまいました。
その課題とは?
「体験的!3枚でジャズ入門」
以下参照。
http://ameblo.jp/tommy-tdo/entry-10310830165.html#cbox

期限はお盆前くらいとのこと。
普通の私ならやるのは期限ぎりぎり。
自分を追い込んでからやるタイプなのですが、今回はさっさと片付けます(笑)。

tommyさんはウェス・モンゴメリーからジャズ入門したそうです。
で、私はピアノでジャズ入門になるんじゃないかとのこと。
えっ? ピアノからジャズ入門ですか?
「喝っ!」
ピアノからジャズに入門するのはジャズに癒しを求めるオジサンだけにしてくれっ!

ジャズはトランペットから入るのが正しいのだっ!
そう、マイルス・デイビスから入門するのが正しい。
アレッ?それって中山康樹さんの専売特許ですか?
「マイルスからはじめるJAZZ入門」だっ!
アレッ?そのタイトルは我が後藤雅洋さんの本なのでは?

しょうがないじゃないですか。
私だってマイルスが一番好きなのだから。
ご存知ですか?拙ブログの第1回目はライブ・レポートなのですが、
第2回目は私のジャズ観宣言も込めて、マイルスの『パンゲア』紹介です。
どうだっ!参ったか(笑)?

ここで最初に買ったジャズ・レコードの話にちょっと触れておきましょう。
やっぱりトランペッターのアルバムなのですが、日野皓正。
『ダブル・レインボー』です。
このアルバムは菊地雅章とのコラボレーションで『ススト』の続編みたいなもの。
結構強敵ですよ。このアルバム。
後日改めて買った経緯とこのアルバムの紹介をしたいと思います。

さて、本題「体験的!3枚でジャズ入門」=「マイルスの3枚でジャズ入門!」

P2 1枚目はこれっ!『パンゲア』

上記『ダブル・レインボー』を買った時にもらったチラシ、CBSソニーの廉価盤「ビッグ・ジャズ・フュージョン23」の中の1枚。チラシにかいてあるコメントを読んで、選びに選んで買いました。他にウェザー・リポートの『スウィート・ナイター』とハービー・ハンコックの『マン・チャイルド』も一緒に買いました。フュージョンにも興味があったので、そのルーツとなると紹介されていたこれらのアルバムを買ったのです。今考えると3枚とも「黒い」ぞっ(笑)!

『パンゲア』を聴いてカルチャー・ショックを受けました(笑)。ここに展開されている世界にノック・アウトされたのです。第一印象は「ジャズってよくわからないけれど、とんでもない音楽だ。」ってこと。何か凄く切羽詰った危ないことをやるのが最高のジャズだって、この時にわかったのです。で、こういうのは今までに聴いたことがなかったので、「よし、この世界をもっと深く知ろう。」となったわけです。

だから当時の私はジャズに癒しを求めるなんてことは全然考えもしなかったのです。そんな私がジャズに求めている一番重要なことは、常人には及ばない世界を感じたいってこと。それを実現する手段の1つとして、アドリブが重要な要素であると捉えています。アコースティック/エレクトリックとか4ビート/8(ロック)ビートとか、いわゆるフォーマットはどうでも良いことなのです。

今になって考えると、これって私にとっては凄く良かったと思うのです。もしジャズに癒しを求めていたらジャズはこれほど長く聴かなかったと思います。なぜなら、癒しなら他の音楽にいくらでもあるからです。とは言っても、今はほとんどジャズしか聴かないので、音楽に癒しを求めたい時は癒され系のジャズを聴きますよ。

ちなみに、ちょっとジャズに期待し過ぎたことがしばらく後で分かることになりました。『パンゲア』レベルの「凄み」って、そんなに多くはなかったということです。最初はジャズにはこのレベルのものがゴロゴロしているのだと思っていました(笑)。

私が飽きずに新しいジャズや未知のジャズを聴き続ける理由?
それは常人には及ばない世界を探し続けているからかもしれません。
カッコつけすぎっ!自分に酔ってる(笑)?
tommyさん。私にとってのジャズ。何となく分かったような気がします。

ジャズ入門1枚目。
マイルスの『パンゲア』にジャズの凄みを聴けっ!

P163 2枚目はこれっ!『ソーサラー』

『パンゲア』を聴いてぶっ飛んだ私、ならば「それ以前のアコースティックなマイルスも聴かねばっ。」と思ったのです。レコード屋「サンリン」のレコード棚を見て、当時の¥1,800円廉価盤シリーズのたすき(帯)のコメントを片っ端から読んで買った1枚です。

言っておかなければならないことがありました。私は当時からオーディオが趣味だったのですが、それまでロック・ポップスを聴いていたので、良い音質のレコードがなかなかないという悩みがありました。だからそれを解消するためにオーディオ雑誌にのっているクラシックやジャズのレコードを聴こうとなったのです。クラシックも何枚か買いましたよ。でも『パンゲア』にやられてしまってから、ジャズにドップリ、ついでに音質が悪くても良くなってしまいました(笑)。

話は戻って『ソーサラー』。これも音質は悪いです。トニーのシンバルがやたらシャカシャカ強く聴こえて、ベースとバスドラは軽くて薄いのです。でもそんなことを跳ね返す魅力がありました。クールで美しくてカッコいいのです。ジャズって「クール&ビューティーな音楽」でもあったんだと分かりました。『パンゲア』の危険で熱いのとは対極です。とにかくマイルスのトランペットが美しいんですよ。いやっ、ウェイン・ショーターのテナーもハービー・ハンコックのピアノもロン・カーターのベースもトニー・ウィリアムスのドラムも美しい!

ここにあるクール&ビューティーな世界は新鮮でした。響きが瑞々しい。これもそれまでに聴いたことはなかったと思います。とにかく文句なくカッコ良く感じられたのです。でもねっ!ここにあるのはカッコ良さだけではないのです。深いものがあるのですよ。こいつら何でこんな深遠は世界を描き出せるのかと思いましたよ。もちろん凄味もあります。ちなみに、ビューティーとは単なる美メロではありませんので、お間違えなきよう。

余談ですが、私はこのアルバムA面1曲目《プリンス・オブ・ダークネス》が時々発作的に頭の中で鳴り響くことがあるのですが(笑)、後藤雅洋さんがお店で選曲に困った時にこのメロディーが鳴り出すというのを「ジャズ選曲指南」に書いていたので笑ってしまいました。

ジャズ入門2枚目。
マイルスの『ソーサラー』にジャズのクール&ビューティーを聴けっ!

P90 3枚目はこれっ!『カインド・オブ・ブルー』

『ソーサラー』を聴いて「クール&ビューティー」の元は何なのかと思ったのです。それはどうやら「モード」とかというものらしいのです。では「モード」の元祖を聴きいてみようということで、更に時代を遡り『カインド・オブ・ブルー』。いわゆる歴史的名盤ですね。

ここまで戻ってきてやっと、皆さんが抱くいわゆるジャズのイメージに近づきました。はっきり言ってこれは古さを感じました。昔のジャズだなって。1つの完成された世界ではあることはわかりましたが、上記2枚に比べると何か物足りない感じがしました。まっ、それはしょうがない話なのです。ここにあるものはマイルスのコアに近い部分なのですから。

これに色々なものを付け加え、改良を加え、磨き上げて行った結果が『ソーサラー』であり『パンゲア』なのです。これら2枚のほうが内包するものが多く、感じ取ろうとすれば色々なものが感じられるのは当たり前の話なのです。ここには、マイルスの「進化」とか言うと抵抗があると思うので、敢えて違う言い方をしますが、マイルスの進んできた道のりが感じられるはずです。

そして、『カインド・オブ・ブルー』にはジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイ、ビル・エバンス、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバースの名前がありますから、この人達をたどってジャズを聴き広げていくという楽しみがあるのは、言うまでもありません。

ジャズ入門3枚目。
マイルスの『カインド・オブ・ブルー』にジャズのコア(核)を聴けっ!

とまあ勝手な、ホントに私的な、「体験的!3枚でジャズ入門」でした。
誰もこんなアホなジャズ入門はしないと思いますが、
この結果が今のマニアックな私であることも事実。
コアでマニアックな”ジャズ者”になりたいなら、
「これくらいのジャズ入門をしてみやがれ!」ってことです(笑)。

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今、クリポタ聴かなきゃやばいでしょ!

クリポタって知ってますよね?
そうです。現代最強テナー奏者の1人、クリス・ポッターのことです。
今、この人聴かなきゃジャズ・ファンとは言えません!
いきなり強気発言(笑)。

P89 新譜出ましたね。クリス・ポッター・アンダーグラウンド『ウルトラハング』(2009年、artistShare)です。メンバーは、クリス・ポッター(ts,b-cl)、クレイグ・テイボーン(Rhodes)、アダム・ロジャース(g)、ネイト・スミス(ds)です。このメンバーでの3作目。

今回はArtistShareから出たので、入手に手間取る方もいるんでしょうね。私はこの前のジャズ・ミーティングの時に吉祥寺のディスクユニオンで買いました。普通の輸入盤より高めなのは、このレーベルなのでしょうがありません。ホームページにアクセスすれば特典があるのですが、英語が苦手な私には宝の持ち腐れってやつです(笑)。

このアルバムは、ウェブ・マガジンcom-post「注目作クロスレビュー」
お題なのでコチラをご覧下さい。
http://com-post.jp/index.php?itemid=333

さて、前回は同メンバーによるライブ盤『フォロウ・ザ・レッド・ライン』だったのですが、今回はスタジオ録音。やっぱりと言えばやっぱり、ライブの勢いはありません。とは言え、上記クロスレビューでも皆さんが指摘していますが、グループとしてのまとまりはこちらのほうが上だと思います。

益子さんのクロスレビューによると、このグループには「ベースレスでファンクは可能か?」というクリポタの課題設定があるとのこと。で、聴いてみると、テイボーンがローズでベースライン的なものを弾いているので、ベースレスはあまり意識せずに済みます。

この編成、ちょっと考えるとオルガン・カルテット(オルガン、サックス、ギター、ドラム)の現代版と考えられなくもないのです。その昔ジミー・スミスもオルガン・カルテットでファンキーな演奏をしていました。クリポタのこのバンドもファンクってことでは、ジャズの伝統につながっているわけです。とは言っても、ファンキー/ファンクの質が全然違いますが。

ここでのファンクって、私はマイルス~M-BASE(ブルックリン派)の延長上に位置するものだと思っています。このアルバムの3曲目《rumples》を聴いて思ったのです。この曲どこかで聴いたことがあるような曲だと。思い出しましたよ。ゲイリー・トーマス『バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー』の初っ端タイトル曲、それです。ギターのジョンスコがゲスト参加しています。デニチェンのドラムがキレキレでカッコイイ。《バイ・エニー・ミーンズ・ネセサリー》を聴いた後に《rumples》を聴くと、ロジャースのギターが何となくジョンスコに聴こえてきます。コレホント(笑)!影響関係が垣間見られます。

私はこの手のファンクが大好きなので、クリポタのグループがやっている音楽にかなり好意的です。でも一番の魅力はクリポタの現代的なラインでの強靭なブローにあることは言うまでもありません。クリポタさん、バス・クラリネットもイイ味出していますね~。テイボーンのワイルドなローズ(ソロ少な目が残念)、ロジャースのロック&ブルースなギター、スミスの安定したファンク・グルーヴ、カッコイイです。

クロスレビューで原田さんが「楽曲の中では3曲目(上記《rumples》ねっ!)と7曲目が断然いい。」と言っているけれど、私も同じことを思いました。それから4曲目ボブ・ディランの《イット・エイント・ミー・ベイブ》をバスクラでやるって発想。これって、マイケル・ムーア『宝石と双眼鏡~ボブ・ディランの音楽』と同じなんじゃないですか?

何か最近は色々なものがつながって見えるようになってきたような?

Suzuckさまが素敵な本アルバム評を書いていますので、是非↓
http://plaza.rakuten.co.jp/mysecretroom/diary/200908020000/#comment

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分かる人には面白い?

これ聴いていて思わずニンマリしてしまいました。
分かる人には面白いんじゃないかと思うのですがいかがでしょう?

花と水 Music 花と水

アーティスト:菊地成孔 南博
販売元:ewe records
発売日:2009/03/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

菊地成孔(ss,ts)南博(p)のデュオでタイトルが『花と水』だから、一体どんなことをやっているのだろうと興味がありました。アルバムの構成は、ショター、マイルス、ミンガス、バッハなどの曲の間に、イントロのような小品が入ったものになっています。椎名林檎のアレンジもしている斉藤ネコアレンジのストリングスが加わった曲もあります。

で、聴き始めてしばらくすると「あれっ?」となったのです。聴き進んで8曲目の《オレンジ色は彼女の色》を聴いて「なるほど!」と思いましたね。菊地さん。多分自分の好きなアルバムの好きな曲を取り上げて、その世界を再現しているんだと思います。

そのアルバムを挙げていきましょう。
《フォール》 : マイルスの『ネフェルティティ』の同曲。
《ブルー・イン・グリーン》 : マイルスの『カインド・オブ・ブルー』の同曲。
《オレンジ色は彼女の色》 : ギル・エバンスの
 『ライブ・アット・ザ・パブリック・シアター、ニューヨーク1980 vol.2』の同曲。
《ラッシュ・ライフ》 : ジョン・コルトレーンの同アルバムの同曲。
《ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング》 : ビル・エバンスの同アルバムの同曲。
といった具合です。

私はクラシックに詳しくないのでよくわかりませんが、
バッハの《チェンバロ協奏曲 第五番 ヘ短調 第二楽章: ラルゴ》にも、元ネタがあるんじゃないかと思っています。

それにしても、2人だけでそれぞれの世界をよく再現していると思うのです。フレーズとかをコピーしているわけではないんですよ。醸し出している雰囲気が元ネタを聴いているような気分にさせてくれるのです。このお2人、さすがによく研究していると思います。

さて、上記の曲と小品以外に菊地さん作の《花と水》があるのですが、これが何と言いましょうか、耳に残らないんですよ。ここに現代のジャズ・ミュージシャンが抱える問題があるのではないかと思ってしまうのです。

スイングジャーナル6月号の「解明!ジャズ素朴な疑問コーナー」、「ジャズの歴史を知ろう」(77) 90年代にデビューした二人のスターって?(2)の中で、村井康司さんが以下のようなことを書いています。
「さまざまな先人たちの「個性」を学び、それらをある種の抽象化作業を行って統合する。ということがウイントンやロバーノやジョシュアの方法だとしたら、彼らの音楽がどこか冷静な感触を帯びてしまうのは当然のことだと言えましょう。」

これって、菊地さん作《花と水》にも同じことが言えるんじゃないかと思うのです。その冷静(クールで抽象的)な感触が、ジャズ・ジャイアンツの再現の中において、《花と水》の印象を薄くしてしまっていて、だから耳に残らないのではないかと?

このアルバムを聴いて色々考えさせられた私なのですが、これは私のジャズ病(笑)。普通に聴けば、キレイな音色のソプラノ&テナー・サックスと落着いて粒立ちの良い音のピアノによる、心地良く聴き応えのあるデュオ・アルバムになっていると思います。

菊地さんが『花と水』考を書いていたりするのですが、例によって、「純日本人ではない日本人による華/茶道」とか、YMOがどうのとか、ジャポニズムの欠如がどうのとか、ユースカルチャーにおける虚勢がどうのとか、訳が分からない面白文となっています(笑)。

*****

雲さんからコメントをいただきました。どうもです。

このアルバムに関する菊地さんのインタビューにあったのですね。
http://openers.jp/culture/lounge_interview/kikuchi01.html

読むと、このアルバムはカヴァーと即興で構成されているとのこと。

つまり、上記で私が元ネタを示した曲が、カヴァー。
イントロのような小品が、即興。

カヴァーだから、元ネタ曲の雰囲気に沿って演奏しているんですね~。なぁんだ!
いかにもわかったようなことを書いた私が恥ずかしい。

選曲基準は、テーマ「ジャズ・ジャポネズム」。
単に菊地さんが好きな曲を選んだと、私は思ったのですが・・・(笑)。

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まだまだ元気です!

最近高齢の方がお元気なのを目にする機会が多いですよね。

私のジャズ友に70歳を越える方がいらっしゃるのですが、中年の私なんかより精力的にジャズを聴いているし、ライブやイベントに積極的に参加しているのでビックリしてしまいます。

ジャズメンも同様で、高齢にもかかわらずまだまだ元気で、若手を育てている人がいます。今日紹介するのはそんな一人、ドラマーのロイ・ヘインズです。ヘインズは、ビ・バップ期にはチャーリー・パーカーと共演し、ジョン・コルトレーンやチック・コリアなどと共に、多くのジャズ名盤を残してきている名ドラマー。ヘインズもそうですが、過去にはアート・ブレイキー、最近ではポール・モチアンなど、ドラマーが自分のグループに若手を起用してビシビシしごくのって、ジャズ界にとっては重要なのかも。

P80そんなヘインズの『ホェアーズ』(2006年rec. DREYFUS JAZZ)。81歳になろうという御大のライブ・アルバムです。若手アルトサックスのジャリール・ショウ、ラテン・ジャズ出身のピアニストであるロバート・ロドリゲス、ベースのジョン・サリバンと組んだ自己のカルテットで、楽しく熱気溢れる演奏を繰り広げています。

1曲目コルトレーンの《ミスター.P.C.からアクセル全開。ヘインズは“パンパン”のスネア、“シャキシャキ”のシンバル、“ドスドス”のバスドラで煽りに煽ります。何なのでしょう?この奔放さは。きっとこれもジャズとして受け継ぐべきものの一つ。アルトのショウもクールにプレーすることなどなく、ブリブリと吹きまくります。続くピアノのロドリゲスもラテンの陽気さでピアノをガンガン弾きまくります。最後はベースとヘインズのかけあい、これもガッツに溢れていますね。会場からは始終“ヒューヒュー”と声援が飛び交って良い雰囲気。

選曲も長いジャズ歴を物語るように多彩です。パーカー、モンク、ジョーヘン、チック、メセニーの美メロ曲《ジェイムス》など、これなんかは自己のアルバム『テ・ヴ!』でメセニーと共演したことによるものでしょう。若い感性もどんどん取り込んでしまうヘインズには脱帽ですね。

このアルバムを聴いて、皆さんもヘインズからパワーと元気をもらいませんか?

というわけで本日は終了!

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この2枚を皆さんに問う?

今日の最高気温は37℃!
私の住んでいる山梨県甲府市は日本一気温が高かったのです。
年に何回か日本一暑い日があるんですよ。
暑くて嫌なんだけど、日本一っていうのがなんか誇らしい(笑)?

今日はこの2枚を皆さんに問う(笑)?

P78 まずは、スティーブ・リーマン『オン・ミーニング』(2007年rec. PI RECORDINGS)です。メンバーは、スティーブ・リーマン(as)、ジョナサン・フィンレイソン(tp)、クリス・ディングマン(vib)、ドリュー・グレス(b)、タイション・ソーリー(ds)です。全45分の短さが潔し。

実はこれ、昨日紹介したリーマンの『トラヴェイル,トランスフォーメーション,アンド・フロー』を買おうと思っていたのに、しばらく前に勘違いして買ってしまった去年のアルバムです。このメンバーはリーマンのレギュラー・クインテット。『トラヴェイル,~』は、このメンバーにテナーとトロンボーンとチューバを加えて、音に厚みを増したりサウンドに変化をつけたりしているというわけ。

このクインテットの楽器構成。まさにエリック・ドルフィー『アウト・トゥ・ランチ』です。個性的なアルト奏者がリーダーであること、ヴァイブがサウンドに独特のクールさをもたらしていること、片やトニー・ウィリアムス、片やタイション・ソーリーという切れ味鋭いドラマーがいること、アドリブも含め全体のサウンドを意識した楽曲、と何やら共通項が見えてくるのが興味深いです。

リーマンは、ジャッキー・マクリーンとアンソニー・ブラクストンに師事した経験があるのだとか、感情的なマクリーンと理知的なブラクストンに師事したとは面白いではありませんか。両極を知っておこうということだったのかもしれません。そういう経験をした上で、今のジャズを演奏するリーマン。要注意アルトだと思いませんか?

私はこのアルバムも昨日紹介したアルバムも、どこか心惹かれるところがあるのです。パッと聴いただけでは、捉え方が難しそうなこのアルバム。色々な人に聴いてもらって、感想を聞きたいものです。

P79 次は、アイヴィン・オプスヴィーク『オーバーシーズⅢ』(2007年rec. loyal label)です。メンバーは、ジェイコブ・サックス(p,falrisa org,celeste,wurlizer,rhodes)、トニー・マラビー(ts)、ケニー・ウォールセン(ds,cymbals,gongs,timpani)、ラリー・キャンベル(pedal steel guitar)、ジェフ・デイビス(vib,xylophone)、アイヴィン・オプスヴィーク(b,tack piano)です。

これは、ジャズ喫茶「いーぐる」の「2008年上半期の新譜特集」で紹介された1枚なのですが、ず~っと日本販売しなくて、ようやく先月ディスクユニオンの店頭に並んだものです。『オーバーシーズ』『オーバーシーズⅡ』はフレッシュ・サウンド・ニュー・タレントから出たので入手しやすかったのですが、今回はマイナー・レーベルなので、輸入に時間がかかったのでしょう。

「これがジャズ?」って言う人いるでしょうね。1曲目は、レイジーな8ビートにのって、ロック系で使われるエレピ:ウーリツァで長閑なメロディーを弾き、それにペダル・スティールがからむ展開です。途中から入るマラビー(また出ました、笑)のテナーが何とかジャズの雰囲気を感じさせるくらいです。テナーもアドリブではなくて作曲されたものを吹いている感じです。中盤ヴァイブやシンセの効果音が少々出てくるのですが、あくまで味付け程度。

2曲目はスペイシーで荘厳な楽曲。ティンパニーがバックに薄く鳴り、エレピとテナーがフレーズの断片を丁寧に重ねていくのは、まさに映画のサウンドトラックです。3曲目はペダル・スティールのハワイアン?のようなトロピカルなメロディーから入るフォーク・カントリー調。ジェイコブのイマジネイティブなエレピ・ソロとマラビーのスケール大きいテナー・ソロが楽しめます。

4曲目は静かで乙女チックなかわいい感じから、ちょっと不安をはさみ、だんだん勇壮になり”決意”から落着いていくみたいな展開(笑)のサウンドトラック。5曲目はオルガンが活躍するロック・ナンバー。ここではマラビーの痛快爆裂サックスが聴けるのですが、曲が4分少々と短いのが何とも残念。これはロックでしょっ。魂こもってます(笑)。

6曲目はまた荘厳&スペイシーなサウンドトラック。そしてラスト7曲目はカントリー・ロック&サウンドトラックの長尺曲。いわゆる”ジャズ”ではないんですよね。やっぱりこれ。ポスト・ロック系ファンにオススメという声も。でもです。ここにある表現はかなり深いものだと感じるのです。

もう1つ言っておかねば、エンジニアのヘンリー・ハーシュはレニー・クラビッツなんかも担当する人で、60年代アナログサウンドを狙っているらしいです。乾いた粗い感じの肌触りのサウンドはロックっぽくてなかなか心地良いです。

私、別にジャズじゃなくても良いんですよね。面白ければ。これも色々な人に聴いてもらって、感想を聞きたいものです。

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今日は軽くいっときましょう。

昨日はちょっとお堅いことも書いたので、今日は軽くいきます。
この前の吉祥寺ジャズ・ミーティングの時にプレゼントされたレコードの話です。

P65ウェス・モンゴメリー『ストレッチング・アウト・ライブ・イン65』(1965年rec. 海賊盤)です。このレコードは後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」に掲載されていた1枚。私がこの本掲載アルバムの完全蒐集をした際には、入手に苦労しました。ただし私が入手したのは同内容のCD。実はレコードがほしかったんですよね~。

当時 tommyさん も完全蒐集を目指していたので、当然これを入手していたのですが、さすがはtommyさん、きっちりレコードを探していました。私が完全蒐集した時、tommyさんにはレコードを聴く環境がなかったので(今はレコード・プレーヤーが5台もあり、それらをどう整理するか悩んでいるようです。笑)、そのうちレコード好きな私にプレゼントしてくれるということになっていました。

そして、先月のジャズ・ミーティングの時にいただきました。ほんと、嬉しいですね~、プレゼントされるのって。ジャケット、盤ともにピカピカなんで余計感激しています。tommyさんどうもありがとうございました。やっぱりレコードで聴くと格別なものがあります。ムフフッ!

「ジャズ選曲指南」によると、このアルバムはマニア編ということになります。ウェスのアルバムは数あれど、ジャズ喫茶ならではの”ヒネリ玉”として、これをかけるんだとか。耳の良いファンは「いつもとちょっと違うぞ」と、飾ってあるジャケットを確かめに近寄ってくるらしいです。きっとこの瞬間がジャズ喫茶のオヤジにとっての喜びの瞬間なんでしょうね(笑)。

P66 こちらは同内容のCD。『ザ・インクレディブル・ジャズ・ギター・オブ・ウェス・モンゴメリー』です。このCDが同内容だということは「いーぐる」常連の八田真行さんから教えていただいたという経緯があります。ただしこちらには1965年のドイツ・ハンブルグでのライブも入っています。

私としてはそのドイツ・ライブが不満でした。演奏内容のことではありません。これを買った時に既に持っていたGAMBITレーベルの『ライブ・イン・ベルギー1965』にもそのドイツ・ライブが収録されているたからです。重複した内容のものを持つのって、私としては何か気分が悪いんですよね(笑)。

今回『ストレッチング・アウト~』をいただいたので、こちらのCDは売り払おうかと思っていたのですが、そうせずに、今度は私がこれを誰かにプレゼントしたいと思います。ほしい方いますか?ジャズ友の皆さん、メール下されば次回会う時にでもプレゼント致します。

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ボブ・バーグいってみよう!

ボブ・バーグって知ってますか?
復帰後マイルス・バンドの2代目サックス奏者です。
マイルス・バンド加入&脱退後は結構人気がありました。
マイケル・ブレッカーと人気を2分していた観もあります。
でも、2002年に51歳の若さで交通事故死。
惜しい人を亡くしました。

P63 さてそんなボブ・バーグのリーダー作を紹介します。『ショート・ストーリー(邦題:ボブ・バーグ短編集)』(1987年rec. DENON)です。メンバーは、ボブ・バーグ(ts,ss)、ドン・グロルニック(org,syn,p)、ピーター・アースキン(ds,per)、ウィル・リー(b,per)、マイク・スターン(g)、ボビー・キルゴア(programming、key)、ジェフ・アンドリュース(b)1曲のみ、デヴィッド・サンボーン(as)1曲のみ、です。

このCD、当時のDENON(デンオン)のPCM録音シリーズの1枚で、¥3,300です。当時のCDは高かったけど、新録音はCDしか出ていなかったので買うしかありませんでした。今やHQCDですらこんな値段はしませんから良い時代だと思います。なのにレンタル&i-podですからね~。CDを売る方にとっては厳しい世の中です。

マイルス・バンド脱退後に初めて出しました。それまでに2枚のリーダー作があるのですが、知る人ぞ知るというレベルだと思います。この人遅咲きです。一方で最初のレコーディングはホレス・シルバー・バンドの1974年ですから、サイドマンとしてのレコーディングはたくさんあります。

シダー・ウォルトンのリーダー作にもたくさん参加していて、ジャズ喫茶に行くようになってわかったのですが、結構色々なジャズ喫茶で、バーグ参加のウォルトンのヨーロッパ盤をかけています。ジャズ喫茶ではマイルス・バンドに参加するより前にその名は知られていたみたいです。

バーグはマイケル・ブレッカーと同じで、コルトレーン影響下のサックス奏者です。この2人、結構似たようなフレージングですよね。ブレッカーの初リーダー作が同年に出たので余計比較されることになってしまいました。でも、ブレッカーよりバーグのほうがバップ寄りなのは皆さんご存知のとおり。ブレッカーが早くからフュージョン路線だったのに対し、バーグはその頃ウォルトのところでバップやっていましたからね。

さて、このアルバムのお話。1曲目『フライデイ・ナイト・アット・ザ・キャデラック・クラブ』(バーグ作)からノリノリです。グロルニックの弾くオルガンが結構ファンキーです。バーグのソロはブレッカーにも通じるメカニカルなフレージングなのですが、この人の場合は温度感がブレッカーより断然高いのがグッド。そしてアースキン&リーのシャッフル・リズムが心地良いです。

2曲目のバラード『ワーズ』(スターン作)は、バーグがいい味出してます。この人、アップ・テンポでのハードな演奏のイメージがありますが、バラードもなかなかいけてるんですよ。3曲目『スネークス』(バーグ作)では、やっとマイキー(マイク・スターン)のソロが出てきます。イエ~イッ(笑)!バーグとマイキーはその後双頭バンドをやることになりますから相性は良いのです。

『カリンバ』(バーグ作)には、サンボーンも参加していますので泣きのアルトも楽しめます。2人のサックス対決、なかなか好勝負ですね~。この曲はで出しが小節の途中から入っているので、バーグが吹き出してやっと正しい小節の区切り目がわかります。でっ、私が一番好きなのは『ザ・サーチ』(スターン作)。スケールが大きい感じが良いのです。バーグが朗々と吹くテナーを聴いていると、イメージが遥か大空へ広がる感じです。タイトル「探求」ですからね~。何となく「スタートレック」な感じも(笑)?

バーグの熱くて鬱陶しいテナー、これからの暑い夏にいかがですか(笑)?

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この双子は只者じゃない!

昨日ちょっと出ていたやつらのアルバムを紹介しておきましょう。

P61 まずは、ムタン・リユニオン・カルテット『レッド・ムーン』(2003年rec. nocturne)です。メンバーはフランソワ・ムタン(b)、ルイ・ムタン(ds)、バティスト・トロティニョン(p)、リック・マギッツア(ts)です。フランソワ&ルイのムタン兄弟は双子です。

兄弟でベースとドラムをやるって、なんかカッコ良いと思いませんか?1人がピアノとかホーンをやるならありがちだと思うのですが、2人そろって裏方リズムっていうのが粋です(笑)。

こいつらかなりヤバイです。まずフランソワのベースが強靭の一言に尽きます。ヨーロッパのベーシストだけあってテクニックは凄いのですが、テクニックに走らずにブリンブリンとベースを掻きむしります。真中にドンと居座るベース音を聴いていると惚れ惚れします。

ルイのドラムはレスポンスとフレキシビリティ重視。リスムを細分化しつつ強靭なベースに柔軟にからんでいきます。どちらかと言えば軽いかもしれませんが、しっかり地に足がついたリズムで安定感は抜群です。

この2人のコンビネーションが作り出すリズムは、重くも軽くもなく丁度いい按配でドライヴ感に溢れています。そんなリズムにからむピアノがトロティニョン。この人のアルバム『FRUID』はピアノ・トリオ・ファンの間で結構人気がありますよね。ヨーロッパ系のクラシックも心得たうえでの、現代的なハーモニー・センスでスマートなピアノを弾く人です。

テナーのマーギッツアは、マイケル・ブレッカーに通じる現代コルトレーン系サックス奏者です。ゴリゴリはないので物足りないかもしれませんが、スマートなフレージングでの落着いたプレーはこのバンドにとてもよくマッチしています。

このアルバムはほぼムタン兄弟が作曲しています。トロティニョンやマーギッツアだって良い曲を作るのにここでは一切演奏していません。そのムタン兄弟の曲がかなりカッコイイのです。コンテンポラリー・ジャズの理想系かも?甘い美メロでもなく、難解なアブストラクトでもなく、ブルージーでもなく、都会的でフランスのエスプリ(また出た、笑)に溢れた曲だと思います。私は好きだな~、こういうの。特に《テイキング・オフ》でのリズムが変化したところのメロディーなんかは、く~うっ、たまらん!です(笑)。

このアルバム、一言でいうなら新主流派の温度感をもう少し高くして甘さをまぶした感じです。私はお気に入りです。

P62 ついでにもう1枚。同じくムタン・リユニオン・カルテットの『サムシング・ライク・ナウ』(2005年rec. nocturne)です。メンバーは、フランソワ・ムタン(b)、ルイ・ムタン(ds)、ピエール・ド・ベスマン(p,rhodes)、リック・マギッツア(ts)です。ピアノがベスマンにチェンジしましたが、内容的には上記アルバムとほとんど同じです。んっ、でも温度感は更に上昇。

このアルバムも1曲を除いてムタン兄弟が作曲していて、相変わらず私好みの曲満載です(笑)。除いた1曲はなんとチャーリー・パーカーの曲で、《コンファーメーション》から始まる《バーズ・メドレー》。それもムタン兄弟のベース&ドラムのデュオ。このデュオがまたユニークな演奏なのです。なかなかのセンスだと思います。

最後に、ジャケット写真を見て下さい。パリの街?を並んで歩いているのがムタン兄弟。ハンサムぅ~&不良してます。この2人がやっているんだからカッコイイに決まっているじゃないですか?えっ、皆さん!ムタン兄弟恐るべし(笑)!

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FSNTの一発屋?

昨日はココログniftyのシステム障害が発生したので、昨夜は書き込みができませんでした。もしシステム障害でブログの内容が消去されてしまったら復活できるのでしょうかね~。ログをとっているわけではないので、それっきりになります。まあ、ブログは書く行為に意味があるので、書いたものにそれほど執着心はありません(笑)。とは言ったものの、もし消えてしまったらやっぱり寂しい。

さて、今日はフレッシュ・サウンド・ニュー・タレント(FSNT)のお話。このレーベルはとにかくたくさんの人にレコーディングの機会を与える素晴しいレーベルなのですが、それゆえ1発屋も少なくないのです。実際のところ、現地で他のレーベルにアルバムを録音しているかもしれないのですが、それは往々にして弱小レーベルだったりするので、日本に輸入されるかどうかは未知です。となると、日本ではFSNTの一発屋となってしまうわけです(笑)。

P60 これもそんな1枚?ミシェル・フェルバーバウム『スウィート・ソルト』(2005年rec. FSNT)です。タイトル「甘い塩」って何?Amazonで購入できます。私はいつものディスクユニオン・アウトレット買い(笑)。メンバーは、ミシェル・フェルバーバウム(g)、ピエール・ド・ベスマン(p,rhodes)、ダリル・ホール(b)、カール・ジャヌスカ(ds)です。

フェルバーバウムは1990年からパリで活躍するさ才人ギタリストだそうです。この人のギターは色々なギタリストからの影響を感じさせます。メセニー、ジョンスコ、マイク・スターンなどなど、コンテンポラリー・ギタリストの種々の要素が混じってこの人のサウンドになっているのです。ついでに言うと、カート・ローゼンウィンケルから灰汁味を除いた感じとでもいいましょうか?

このアルバムではフェルバーバウムが全曲作曲しています。都会的な洗練と適度な哀愁があり、お洒落でクールな曲想になっています。この感じが「甘い塩」なのかも?考えすぎかもしれませんが、フランスのエスプリが漂うのです。こういう曲にピッタリなのが、ベスマンのピアノですね。

ベスマンは「プリズム」というお洒落で硬派なピアノ・トリオを組んでいたんですよ。このピアノ・トリオ、凄く瑞々しくて新感覚。ベース、ドラムが一体となっての疾走感はカッコイイので是非聴いて見て下さい。アルバムを4枚出したようですが、1作目は入手困難?それから「ムタン・リユニオン・カルテット」の2代目ピアニストでもありますね。

この2人、フェルバーバウムとベスマンが組めば、硬派なコンテンポラリー・ジャズの一丁上がりです。難解なところはありませんのでご心配なく。どちらかと言えばポップです。ポップなんだけど、安易なフュージョンとは一線を画しているところが、こいつらフランス人のエスプリのなせる技なのではないかと思います。

同じ時期に、フェルバーバウムが参加したベスマンの『Oui』という兄弟盤?がありますので、よろしければどうぞ(笑)。ちなみに私は未聴です。

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のんびりほんわかトロンボーン。

いつもの如くディスクユニオンジャズ館の新譜紹介を見て買いたくなった1枚。

P59 ベニー・パウエル『ネクステップ』(2007年rec. origin-records)です。メンバーは、ベニー・パウエル(tb)、TK・ブルー(as,ss,fl)、後藤小百合(p)、エシート・オコーン・エシート(b)、ビリー・ハート(ds)です。

どうしてこれが買いたくなったのだろう?内容が渋いとか書いてあったんだっけ?もう1年くらい前のことなので忘れてしまいました(笑)。ジャケット写真がなかなかカッコ良かったからかな~。

ベニー・パウエルはカウント・ベイシー・オーケストラにいたトロンボーン奏者です。ネットを検索したら《エイプリル・イン・パリ》のブリッジ部分を演奏しているとか書いてありました。でも一般的にそれほど知られていない人ですよね。ベテランです。

このアルバムにはミディアム&スローのテンポの曲しか入っていません。パウエルさんはひたすらのんびり&ほんわか味わい深いトロンボーンを吹いています。このアルバムにガッツみたいなものを期待してはいけません。味わい深いトロンボーンをボーッと聴くのが最高です(笑)。

日本人女性ピアニスト後藤が長閑でトロピカルな良い曲を書いています。こういう曲調にパウエルのトロンボーンがベスト・マッチなんですよ。熱い夏の午後、庭にサマー・チェアーを出して聴くのが良いかも?

後藤さんはニューヨーク在住。2006年のピアノ・トリオ・アルバム『フラッシュバック』は結構人気盤みたいです。オーソドックスで堅実なピアノを弾きます。日本では知られていなくてもあちらで活躍している人って結構いますよね。内ジャケの写真を見ると良妻賢母な感じの女性です。

サックスのTK・ブルーも数曲提供していますが、こちらはトラディショナル&ブルージーな曲です。こういう曲でのパウエルは手堅くまとまっています。これはこれで良いです。ビリー・ハートがこういう大人し目のアルバムで叩いているのは結構珍しいと思いませんか?

とにかく渋いアルバム。これに尽きます。

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マイク・スターンのこれ知ってますか?

今日はマイク・スターンをいってみましょう。
tommy さんが日曜日に渋谷のヤマハでマイク・スターン&クリス・ミンドーキーのミニ・ライブを見たということをブログに書いていたので、私も便乗して書いてみようということです(笑)。私はマイク・スターンが好きなのに、まだブログで取り上げていなかったんだよね~。

P54 それでどのアルバムを紹介しようかと思ったのですが、一筋縄ではいかないのが私(笑)。これですよ。スティーヴ・スレイグル~マイク・スターン『ハイ・スタンダーズ』(1982年rec. ポリドール)です。メンバーは、スティーヴ・スレイグル(as)、マイク・スターン(g)、テッド・ソーンダース(p)、ハーヴィー・シュワルツ(b)、ヴィクター・ルイス(ds)です。

当時スレイグルはカーラ・ブレイのバンドで活躍中であり、スターンはマイルス・グループで活躍中でした。このアルバムのプロデュースはカーラ・ブレイ。自分のところのスレイグルの初リーダー・アルバムを作るにあたって、異色なスターンを組み合わせたんだろうと思います。この辺りのセンスがカーラならではです。

スレイグルはバップの伝統を色濃く残しつつ、8ビートもこなす柔軟性を持ち合わせた人です。音がギュッと詰まっていてなかなか良いです。フィルッズ系かな~と言うと、思い浮かぶのは悪しきリッチー・コールなのですが(笑)、テクニックで吹き倒す感じではないし、エンターテインメント性はリッチーほどありません。意外とオーソドックスに吹きます。でも今一華がないんだよな~この人(笑)。

さて、今日の主役はスターンのほうです(笑)。スターンはもともとロックから入って、バークリー音楽院でパット・メセニーに師事してジャズに来た人。このアルバム録音当時までの流れは、ブラッド・スエット&ティアーズ⇒タイガー大越(tp)のタイガーズ・バグ(フュージョン)⇒ビリー・コブハム・グループ⇒マイルス・バンド。ロック~フュージョンしてますよね~。

私がスターンを知ったのはジャズを聴き始めてすぐに買った『ウィー・ウォント・マイルス』。そこでのギンギンのロック・ギターが好きでした。私が好きになった最初のジャズ・ギタリストです。次に好きになったのはマイルス・バンドの後釜ジョン・スコフィールド。その次がパット・メセニー。私が正当派ジャズ・ギターの良さを知るのはもっと後なのでした。

そんなスターンが、このアルバムではタイトルどおりにスタンダード曲をいくつか取り上げて、4ビートでジャズを弾いています。とは言ってもスターンのこと、スターン節は随所に登場します。この人が繰り出す早いパッセージでのフレーズのドライヴ感が私は好きなのです。でもこれってメセニーにも共通していますね。さすがは師弟です。これを辿るとパット・マルティーノやタル・ファーロウへと行き着くようです。そして、これが私を捉えるポイントだということが改めて分かりました。

このアルバム全体のサウンドは、フュージョンを通ったうえでのバップにつきると思います。ベースのシュワルツにしても、ドラムのルイスにしてもフュージョンもやる人達ですから、何とも軽やかでポップ・ロックのニュアンスを含む演奏になっています。そこにカーラの選曲を含めたポップなセンスが見え隠れするところが◎。「バップ命!」な頭が硬い人には敬遠されるでしょうが、ほおっておきましょう(笑)。

私はA面ラスト《モーメンツ・ノティス》とB面ラスト《スピーク・ロウ》のアップ・テンポでの軽やかにしてグルーヴィーな演奏が大好きです。

余談ですが、数年前からスレイグルはギターのデイヴ・ストライカー(g)との双頭バンドで何枚もアルバムを出していますよね。これって、初リーダー作の本アルバムでのスターンとの共演のエコーではないかと思うのですが、どうでしょう?

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今日も新譜!

今日も新譜紹介といきましょう。予約していたのになかなか出荷されなくてやきもきしたいたのですが、先週無事手元に届きました。

P48 トニー・マラビー『パロマ・レシオ』(2008年rec. NEW WORLD RECORDS)です。メンバーはトニー・マラビー(ts)、ベン・モンダー(g)、アイヴィン・オプスヴィーク(b)、ナシート・ウェイツ(ds)です。ベースは『トーン・コレクター』で、ドラムは『タマリンド』で共演しています。そこに最近ますます活躍著しいベン・モンダーが加わっているのだから堪りません!

モノクロのジャケット写真がなかなかお洒落だと思いませんか?おかっぱ(まことちゃん)ヘアー(笑)と片方だけ見える大きくてピュアな目、これだけの情報なのですが、この女性に惚れてしまいそうです(笑)。

前作『ウォーブルペック』では色々新しい試みをやっていたのですが、本作はフリー・ジャズの括りで良いと思います。マラビーならではの触覚的な音響も含めた斬新なフレージングが最早確固としたものになっています。それにからむモンダーのギターにしても音響・空間系+ロック魂で確固としたものです。オプスヴィークとウェイツのからみも重厚にして俊敏なレスポンスで安定していてかつ快調そのもの。

彼らの演奏を聴いたことがある人にとっては、安心して聴いていられるものになっていると思います。それゆえ物足りなさを感じる人がいたとしても不思議はなさそうです。私にとってこのアルバムは現代の高レベル・フリー・ジャスの1つの形として充分満足できるものです。そして発散しているパワーもなかなかのものだと思います。ところでマラビーはこのアルバムでテナーに専念していますが、ソプラノを使わなかった理由が気になりますね~。

私の感想は適当ですが、com-post の新譜レビューで益子博之さんが本アルバムについてきちんとレビューしていますので、是非ご覧下さい。

買う新婦が益子さんと被ってしまう傾向が多々ありますが、私の最近の興味がNYダウンタウン系なので、しょうがないですよね。

ジャズ喫茶「いーぐる」の去年の連続講演で益子さんが紹介していたアイヴィン・オプスヴィークの『オーバーシーズⅢ』がやっと輸入されたようなので買わねば。ディスクユニオンの店頭在庫はまだあるのかな~?

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哀愁のギタリスト、ディエゴ・バーバー。

今日も新譜紹介です。今日紹介するのは東京へ行った時、帰りの電車までの時間調整のために寄った新宿タワーレコードで試聴して買った1枚。

ところで、タワーレコードの試聴機は音がひどいです。っていうか試聴機はどこも音がひどいです。オーディオをやっている人にとっては非常に気になるはずです。何がひどいかって言えば、音のバランス。低音をやたら強調してあります。ブーミーな低音にマスクされて解像度が劣悪です。そして高音もシャキシャキでいわゆる「ドンシャリ」。これでは演奏のニュアンスなんてわかったものではありません。だから家に帰って聴いてみたら薄っぺらな演奏だったなんてのが多々あります。試聴機の厚化粧音に見事にごまかされているわけです。

それでも聴かずに買うよりは試聴してから買ったほうがハズレは少ないわけで、試聴機の音の特徴さえわかっていれば、脳内でイコライズして聴けば良いのです。まっとうなオーディオの音を知らない若者は、実はひどいオーディオに騙されて聴いているのではないかと、最近思い始めています。そして、私が言うような細かいニュアンスなんかは、実は最初から聴き取れていない可能性もあるのです。

余談はこのくらいにして。

P47 今日紹介するのはディエゴ・バーバー『カリマ』(2008年rec. Sunnyside Communications)です。メンバーは、ディエゴ・バーバー(g)、マーク・ターナー(ts)、ラリー・グレナディア(b)、ジェフ・バラード(ds)です。凄いでしょ。リーダーはよく知らない人なのですが、共演者はFLYです。ターナーが抜けてギター・トリオでの演奏もあります。

バーバーは全編アコースティック・ギターを弾いています。ヨーロッパのクラシック系のギタリストですね。どんなギターかといえば?一言で言うなら哀愁のギタリスト。スパニッシュ系のメロディーで甘く柔らかく語りかけてくれます。一調フュージョンです。非常に聴きやすく難しいところはありませんが、アール・クルー的な軽薄感はありません。

バックのグレナディア、バラードとのコンビネーションもなかなか良いです。バーバーが弾く柔軟で陰影感のあるギターと非常によく絡んでいると思います。そこへターナーのクール・ビューティーな歌心のテナーが入ってくるあたりは気持ち良いことこのうえなしです。FLYが共演ということで内省的と思う方がいるかもしれませんが、そうではないのでご安心下さい。

ターナーと言えば昨年指を切断する事故に遭い、再起が危ぶまれていましが大丈夫だったようですね。ちなみに、このレコーディングはその事故に遭う前のものです。

ラストに収録されている《エアー》は、20分に及ぶ映画のサウンドトラックのような曲です。緩急に富んだ落着いた曲調で、タイトルの「空気、大気、空」に象徴されるように、どこかの風景というか天候の移り変わりがイメージできるものです。そのイメージはジャケットの写真に近い感じがします。

ここにあるのは、聴いていて心に安らぎや落ち着きを与えてくれる音楽です。

com-post新譜レビューに、益子博之さんがこのCDのレビューを書いていますので、是非読んでみて下さい。

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そろそろ新譜紹介

そろそろ新譜でも紹介しましょう。これなんか私が紹介しないと誰も紹介しないかもしれない1枚。ディスクユニオン界隈のマニアには結構人気があるんですけどね~。発売(輸入)からそろそろ1ヶ月経っています。ディスクユニオンに在庫はあるのかな~?

P44_2 『ザ・コア・アンド・モアvol.1 ザ・アート・オブ・ノー・リターン』(2009年、Moserobie)です。ザ・コアというグループにモアというゲストが参加して録音したアルバムです。メンバーは、ザ・コア:ヨルゲン・マシセン(ts,cl)、アーレン・スレッテヴォレ(p)、スタイナル・ラクネス(b)、エスペン・オールベルグ(ds)、モア:ヴィダ・ヨハンセン(bs,b-cl)、ヨナス・クルハマー(ts)、マグナス・ブロー(tp)です。なんて読みにくい名前ばかりなのだろう(笑)。

ザ・コアーは熱いスピリットを持ったノルウェーのスピリチュアル・ジャズ・グループです。ゲストの1人、テナーのクルハマーはモズロビー・レーベルのオーナー。マグナス・ブローはご存知のとおりアトミックのトランペッターです。ここまでの簡単な説明でも熱いジャズが聴こえてきそうですよね。

このアルバム熱いです。ザ・コアーのリーダー、ドラマーのオルベルグはエルビンの如き熱いリズムを叩き出します。ただしエルビンのようなウネリというよりは、現代ドラマー共通のロックな匂いのするものかな。ピアノのスレッテヴォレは明らかにマッコイ・タイナーの影響下にあるピアニスト。ベースのラクネスも負けじとベースをかきむしりますからリズムは熱々です。

そのリズムの上でホーン陣が熱いソロを繰り広げるわけです。全体の印象はもちろん熱いのですが、ただそれだけというわけではなく、曲そのものはホーン・アンサンブルを要所に挟んだり緩急織り交ぜて構成はしっかりできています。間に挟まれるバラード部を聴けば、こいつらが単なる勢いまかせではやっていないことは明白です。ソロのレベルも全員が高いものを持っていると思います。ちなみに、このアルバムには長尺の4曲が収録されていて、曲名は《No.1》《No.2》《No.3》《No.4》というそっけないものです。

ついでにザ・コアのアルバムを2枚紹介しておきましょう。

P45 こちらはファースト・アルバムの『ヴィジョン』(2004年rec. Jazzaway Records)。メンバーは、サックスがシュティル・メステル(ts,ss)で、ピアノ、ベース、ドラムは上記のアルバムと一緒です。このアルバムの1曲目は《ファラオ》。きっとファラオ・サンダースのことです。

コルトレーン・カルテットの如きスピリチュアル・ジャズを恥ずかしげもなくかましています(笑)。他に《ザイール》なんていう曲があり、笑ってしまうくらい熱い!コルトレーンの《マイ・フィバリット・シングス》の如く、メステルのソプラノ・サックスがうねりまくります。

P46 こちらはセカンド・アルバムの『ブルー・スカイ』(2005年rec. Jazzaway Records/ボンバ・レコード)。1作目のザ・コアのメンバーに、ニルス・オラフ・ヨハンセン (g)のロックなギターがフィーチャされ、コンテンポラリーな要素も取り入れています。少しロック&ポップになっていますね。そのせいなのかどうかわよくわかりませんが、ボンバ・レコードから日本盤が出ました。

私の持っているのはその日本盤。日本盤と言えばボーナス・トラックの存在。前作で特にスピリチュアル度の高かった曲《ファラオ》と《ザイール》の2006年ライブ録音が追加収録されています。激熱注意(笑)!

この後、2枚組みライブCDが2008年末に出たのですが、熱さに耐え切れそうにもないので敬遠してしまいました(笑)。元気があるときにでも買うことにしましょう。それから2007年録音盤『オフィス・エッセンシャルズ』も最近ジャズランド・レーベルから出ています。こちらはディスクユニオン新宿店に在庫があると思います。

スピリチュアルでストレート・アヘッドなジャズを現代に問うザ・コア、聴いてパワーをもらいましょう。ってまたしても鬱陶しいジャズの押し売り。ご容赦!

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ジョー・ロバーノが分かる?

昨日はジョー・ロバーノの新作を聴いて分かったようなことを書きましたが、実は私、ロバーノのリーダー・アルバムを聴くのは、この新作が初めてです。私が持っているアルバムは、彼がサイドマンとして参加している2枚だけだと思います。今日はそのうちの1枚を紹介します。

P32 アンディ・ラバーン『ファースト・タンゴ・イン・ニューヨーク』(1993年rec. MUSIDISC)です。メンバーは、アンディ・ラバーン(p)、スティーブ・ラスピーナ(b)、ジョー・ロバーノ(ts,ss)、ビル・スチュワート(ds)です。ロバーノさんがクレジットの3番目扱いです(笑)。もう15年も前の録音ですからねっ。

どうしてこのCDを持っているかというと、寺島靖国さん著「新しいJAZZを聴け!」に掲載されていたからです。この本を読んだおかげで、当時流行のというか、この本で寺島さんが推薦していたピアノ・トリオをたくさん買う羽目になってしまいました(笑)。寺島さんはこの本の中で、このアルバムのことを「分からない人ジョー・ロバーノがニコニコとたちまち分かってしまう」と書いています。寺島さんらしい表現だと思いますよ(笑)。

トップの曲は《あなたと夜と音楽と》です。寺島さんが「アドリブに美味しいメロディーが出るので有名な曲」と上記の本の中で言っています。その曲をロバーノが、「これロバーノ?」という感じで、スラスラとそして結構熱く吹いているのだから驚きです。音も結構芯が感じられます。一体どうしたことなのでしょう(笑)?ロバーノ嫌いな保守派のジャズ・ファンに聴いてもらいたいです。

私は《マイ・メランコリー・ベイビー》が好きです。美メロの佳曲で、ミディアム・テンポでのロバーノの吹奏が快適このうえなし。この人のフレージングって実はスムーズなんですよ。途中に軽くはさむ高音引き攣りフレーズもとてもスマート。こんなに快適でいいんですか?いいんです(笑)。黙ってこの曲を聴かせたらロバーノだとはわからないんじゃないかと思います。

ラバーンのピアノは分かりやすいメロディーでスインギーにして軽快、深みはあまり感じられませんが肩肘張らずに気持ちよく聴けると思います。ビル・スチュのドラムは今更説明不要だと思いますが、この人ならではの俊敏なリズムが全編で聴けます。ラバーン作曲の適度にコンテンポラリーな2曲では、ロバーノがソプラノ・サックスを吹いていますが、これもまた軽やかです。う~ん、捻ったロバーノ節は封印されちゃっているみたいですね~。

寺島さん推薦恐るべし!

ちなみに私が持っているもう1枚のロバーノ参加アルバムはジョン・スコのやつです。

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ジョー・ロバーノ先生の実践指導

ジョー・ロバーノって皆さん今一その良さがわからないと言うんですが、それは私も同感です。なのにアメリカでは絶大な人気があるそうで、どうしてなんだという議論も絶えません。ライブを見ればわかるという方も多々います。

さて、そんなジョー・ロバーノ・アス・ファイヴの新作『フォーク・アート』(2008年rec. BLUE NOTE)を買ってみました。ジョシュアの『コンパス』とマラビーの『パロマ・レシオ』と一緒にHMVのマルチバイ特価にて注文。『コンパス』は私の中ではまだ中途半端なままです(笑)。『パロマ・レシオ』は予約だったのに発売予定日を過ぎても発送される気配なしです(涙)。

P31 メンバーは、ジョー・ロバーノ(ts,straight as,taragato,al-cl,aulochrome,gongs)、ジェームズ・ワイドマン(p)、エスペランサ・スポルディング(b)、オーティス・ブラウンⅢ(ds,per)、フランシスコ・メラ(ds,per)です。ロバーノ以下はロバーノ学校の生徒かと思ったのですが、ピアノのワイドマンはM-BASEの人で活動歴は長いようです。

ジョー・ロバーノのテナーは相変わらずでした。フニョフニョした音にやっぱり抵抗感があるんですよね~。この音が大好きだっていう人がいるのでしょうか(笑)?フレージングは特徴がないんだけど、何か新しい雰囲気でそんなに悪くないと思いました。そんなロバーノさんいついて、スイングジャーナル6月号「解明!ジャズ素朴な疑問、90年代にデビューした二人のスターって?(2)」で村井康司さんがうまく説明していますので、ご一読をオススメしておきます。

本作を聴いて思った事と言えば、「ジョー・ロバーノ先生による若手の実践指導をレコーディングしちゃいました。」です(笑)。ピアノのワイドマンは若手ではないということがわかったので、もう一度聴きなおしてみると?ワイドマンが副担任みたいな位置づけだということがわかりました。ワイドマンのピアノは素朴な土の匂いを感じさせるもので、要所を押さえてなかなか聴かせるプレイをしています。そしてワイドマンが曲構成の重要な役割をしていることは間違いありません。ロバーノ先生、優秀な副担任を得てよかったですね(笑)。

と言うことで、生徒はドラムとベースの3人なのです。特にドラム2人に指導している感じです。ドラムが2人いるので、それを生かした何かをやるのかと思ったらそうでもありませんでした。前半の曲なんかは数コーラスを1人が叩きもう1人はお休みで順番に叩かせていますし、曲によってどちらかのドラマーをフィーチュアしています。これって1人ずつを指導するのは面倒だから、2人まとめて指導しましょうの世界です(笑)。2人のドラマーはかなり頑張っています。

そしてもう1人の生徒ベースのエスペランサは新入生という感じで、周りを伺いながらおっかなびっくり演奏しているように感じます。ロバーノ先生もなかなか厳しいんですよ(笑)。きちんとベース・ソロをやらせてもらえたのはたしか1曲だけ?でも後半のフリー系の曲では結構健闘しています。エスペランサさん、歌うアイドル・ベーシストに甘んじる気はないようです。ロバーノ先生に鍛えてもらおうという根性が気に入りました。

最後にロバーノのについて少し書いておきます。全曲作曲していますが、なんでこんな曲を作るの?というのもあります。でもこれは今まで述べたとおり、実践指導用の教材でもあるわけですから、私みたいに楽器をやらない人には曲の良さがわからないんだと思います(笑)。今回私はバラードでのロバーノのプレイには惹かれるるものがありました。なかなか味のあるプレイをしていると思いましたよ。

サックスの多重録音のような演奏があったので、なんだろと思っていたら、ネットで調べたところソプラノ・サックスを2本くっつけたようなaulochromeという楽器とのことです。とうとうロバーノはローランド・カークばりの1人サックス・アンサンブルにも手を出してしまっていたのでした。さすがは「テナー・サックスの歴史」の集積です(笑)。

という訳で本作、色々な人のブログを見てみるとやっぱり評価はあまり芳しくないようですが、私は上記のような妄想によって楽しく聴いているのです(笑)。

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超マニアック・ネタ!

とうとう山梨県にも新型インフルエンザの患者が出てしまいました。
まあ今のところ特に騒ぐようなこともなく皆さん通常通りの生活を送っています。

さて、今日の話題。「世の中には色々な人がいるもんだな~。」というお話し。こんなグループがいたのか?と思えば、こんなCDを輸入して販売するディスクユニオンも凄いし、これを買った私も私だってことです(笑)。

P30 キューカンバー『ノー・スラムバー』(2004年、Bergland Productions)です。メンバーは、Tor Yttredal(ts,ss,cl)、Stale Storlokken(key)、Mattis Kleppen(b)、Kenneth Kapstad(ds)、Trond Kopperud(ds)です。ドラムは曲によって入れ替わります。

このグループ名とアルバム名にピンときたあなたは凄い!実はウェザー・リポートのアルバム『ミステリアス・トラヴェラーに収録されている《キューカムバー・スラムバー》から取っているのです。

なんでこのアルバムを買ったかというと、ディスクユニオンの新譜チラシ(最近は紙代節約のためか発行していない)にこのアルバムが記載されていて、名前から分かるとおりウェザー・リポートをリスペクトしてウェザーを意識した演奏をしていると書いてあったからです。ウェザー大好きな私は、これは買わねばなるまいと思いましたよ(笑)。

メンバーは全く未知でした。で、今見ればキー・ボードのストーレ・ストーレッケンは北欧ノルウェーのグループ:スーパーサイレントのメンバーで、昨年エレファント9というグループでアルバム『ドゥドゥヴードゥ』を出した人です。この『ドゥドゥヴードゥ』ではザビヌルの曲を取り上げたり、演奏もザビヌル調なものを見せていました。そのウェザー(ザビヌル)愛をもろに出しているのがキューカンバーなのです。

このグループがやっているのは、ウェザー・リポートがマイルスの影響下のもとファンク化を推進していた時期のサウンドです。このファンク化によってウェザーの初代ベーシストのミロスラフ・ヴィトウスが離脱してしまったのは有名な話。その後釜はファンク・ベースを弾くアルフォンソ・ジョンソンです。この頃のサウンドが北欧のクラブ系の人達にリスペクトされるのはわかる気がします。

面白いのはウェザー・リポートの曲はやっていないこと、全曲メンバーのオリジナルです。にも係わらずサウンドは当時のウェザー。ストーレッケンはザビヌルの痙攣弾きとかフレージングとかよく研究していると思います。サックスはさすがにショーターには迫りきれていませんが、こればかりはしょうがありません。ここに展開される今時のウェザー、私は面白いと思います。そしてかなり気に入っています。

P29 そしてこちらは、上記アルバムの前作です。後にディスクユニオン御茶ノ水ジャズ館のアウトレットの中に見つけて即買いしました。キューカンバー・スラムバー(最初のグループ名)の『ニュー・カムバー』(2001年、Bergland Productions)です。メンバーは、上記からKenneth Kapstad(ds)が抜けた4人です。ジャケットが面白い。キューカムバー=きゅうりで顔パック。こちらの1作目の方がすっきりしたサウンドになっています。

ザビヌルが存命のうちに、北欧ノルウェーでウェザー・リポートの魂が復活していたというのは興味深いことです。もう一度言いますが、これを輸入販売したディスクユニオンはエライし、2枚買った私はもっとエライ(笑)!

もしもこのブログを読んだ方で、これらのアルバムを持っている方がいらしたら、是非コメントを入れて下さい。ひょっとしたらウェザー・リポート愛好会を発足するかもしれません(笑)?

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リリー・マルレーンがお気に入り。

今日の1枚はなぜ買ったのか記憶にない1枚です。数年前、ヨーロッパのジャズCDが注目されているということに気付いた私が慌てて色々買ったなかの1枚です。当時はたいして考えずに買っていたので購入時の記憶はほとんどありません。たぶんディスクユニオンのポップを読んで買ったのではないかと思います。

P24 ラース・ドゥップラー『パリンドローム』(1999年rec. JazzHouseMusic)です。メンバーは、ラース・ドゥップラー(p)、フランク・サッケンハイム(ts,ss)、ダニエル・スピール(b)、ベノ・グリューセンカンプ(ds)です。カタカナ読みは不正確です。ジャケットの色合いが結構好きです。

ドイツのワンホーン・カルテットもので、正統派なジャズが演奏されています。私にはドイツのイメージとして”お堅い”というのがあるのですが、そのイメージの演奏だと思います。メンバー全員の技術や音楽性は高いもので、オリジナル曲を手抜きなくきっちりと聴かせてくれます。中にはフリーな演奏に突入する場面もありますがそれは極わずかで、全体としては難解なイメージはありません。

ドゥップラーがほとんどの曲を作曲していて、1曲のみサッケンハイムが作曲しています。どの曲も適度な甘さを持った良い曲だと思いますが、演奏のほうは曲の甘さには流されないものです。そしてオリジナル曲以外にただ1曲《リリー・マルレーン》が入っているのです。

この曲のメロディーはとても切なくて美しいのですが、それを生かしつつ逞しい演奏となっています。最初の入りはスローでピアノが美しいです。途中からミディアム・テンポに変わって、テナー・サックスのカルテット演奏になります。そしてテナーソロはこの美メロを力強くスケール大きく吹いていきます。続くピアノ・ソロとベース・ソロも力強いです。

私ってどうやら切なく美しい曲を逞しく演奏するのが好きなようです。聴いているうちに明日への希望が湧くというか、励まされる感じがするんですよ(笑)。

もう1つ気付いたことがあります。ヨーロッパのジャズにおけるイタリア・ジャズについてです。最近雑誌とかではやたらとイタリア・ジャズが取り上げられて持てはやされるのですが、私的にはどうもピンと来ないんですよね。そんなに良いのかな?って感じです。どうも胸には響いて来ないのです。私はフランスや北欧に魅力を感じています。

イタリアのジャズメンで良いと思う人は、エンリコ・ピエラヌンツィとエンリコ・ラヴァは別格として、あとは最近話題のファブリツィオ・ボッソと最近話題にならないアントニオ・ファラオくらいかな~。イディア6も保守的な手堅さが良いのでしょうがそれだけ。その若者版がハイ・ファイブ。まあ、あくまで個人的な感想です。

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こんなメンバーでやっていたのね。

今日もまたジャズサイト com-post「80年代のジャズ100CD」の1枚を紹介しましょう。う~ん、最近このネタばっかり(苦笑)。

P23 アリルド・アンデルセン『モルデ・コンサート』(1981年rec. ECM)です。メンバーは、アリルド・アンデルセン(b)、ビル・フリゼール(g)、ジョン・テイラー(p)、アルフォンス・ムザーン(ds)です。私は80年代のアンデルセンなんてノー・チェックだったので、興味が湧いて買いました。

このメンバーが顔を揃えているのってちょっと異色ですよね。ノルウェーのアンデルセン、イギリスのテイラー、アメリカのビルフリとムザーン。ECMならではとも言えるのでしょう。サウンドは当時の硬派フュージョン路線。ステップスとかに近いです。ライブ録音です。

ビルフリがギンギンのロック・ギターを弾いているのが良いところです。もちろんこの人ならではの空間系、浮遊系もありますが、ここではストレートなロック系の演奏が多いです。アンデルセンのベースはピックアップでのブヨブヨな音なので好き嫌いはわかれるところでしょう。でも高速4ビートでのドライヴ感はかなりの迫力です。そして強烈な弓弾きのソロもかましてくれます(笑)。

ムザーンは細かいシンバルワークを駆使して容赦なくガンガン叩いていますね。気持ち良いです。テイラーも強力なリズムに煽られてかなりガンガン弾いていますが、この人の弾くフレーズはいつでも美しさを持っています。最近の静謐系からはちょっと想像できないくらいのはじけぶりが楽しいです。

このCDは再発盤なので、4曲追加収録されています。収録時間はかなり長いものになっていますが、そこまでやる必要があるのかはちょっと疑問。でもまあ、ガッツのある演奏が多いので、聴いていてスカッとすることは間違いないでしょう。

このCD、メンバーの誰かに引っかかるのなら買いだと思います。

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特に意味もなくウェザー・リポート!

ジャズを聴き始めた頃のアイドル、ウェザー・リポートの1枚を紹介します。
どうしてウェザーなのか?特に意味はありません(笑)。

P22 私の好きなウェザーのアルバムの上位にいます。『テイル・スピニン(邦題:幻祭夜話)』(1975年rec. CBSソニー)。メンバーは,ジョー・ザビヌル(p,key)、ウェイン・ショーター(ts,ss)、アルフォンソ・ジョンソン(b)、レオン・チャンクラー(ds)、アリリオ・リマ(per)です。

人気盤『ミステリアス・トラベラー』と『ブラック・マーケット』に挟まれて、このアルバムはあまり人気がないのだとか。《バディアの楼閣》が入っているんですけどね。なぜ私が好きかというと、レコードA面の華やかで楽しい3曲が好きなのです。

A面1曲目ザビヌル作《緑衣の老人の舞踊》はかなりキャッチーだと思います。ここまでのアルバムの中で1番キャッチーでポップな曲だと思います。『スイート・ナイター』から始まったリズミックなアプローチも洗練されてきた感じです。そこにはレオン・チャンクラーのマシンガンの如き歯切れの良いドラミングがものを言っていることは間違いありません。濃さ控えめのアルフォンソ・ジョンソンのファンク・ベースもグッド・マッチ。そんな曲でウェインのソプラノ・サックスが華麗に舞い踊るのが素敵なのです。

実はこのアルバムのA面はウェザーのアルバムの中では珍しく、ショター全開なのです。ウェザーのショーターを聴きたいなら、特にソプラノ・サックスを聴きたいなら絶対このアルバムを聴かないといけません。A面3曲目ザビヌル作《股間からの光景》も1曲目と同様にソプラノ・サックスが最高。こちらのほうがよりリズミックで、次々とリズムやメロディーが展開していく様は痛快です。

真中に挟まれた2曲目ショーター作《ルシタノスの賑わい》は、ミステリアスで「セツネー」の良い曲だと思います。そして、ショーターの泣きのテナーが聴けるところが最大のポイントですね。泣きのテナーと言ってもこの人のは豪快。例の低音一発「ヴォーッ」も入っています(笑)。このスケールの大きいテナーを聴けばショーターってやっぱスゲーと思うはずです。ショーターに負けじと弾くザビヌルのアコースティック・ピアノが聴けるのも高ポイントなのです。

どうです。ウェザー通ならわかる上記の数々はかなりポイント高いでしょ?A面に関して言えば、大ヒットした自作『ブラック・マーケット』よりポップだと思います。お~っ、何かかなり力が入っている自分にビックリ(笑)!

B面1曲目《バディアの楼閣》はザビヌルが生涯に渡って愛し再演する曲です。この初演。実はショーターが入っていないという事実を知っていました?そしてザビヌルといえばコレのボコーダーを使わずに歌っていることを知っていました?実は今日久々に聴いてそれを知った自分も驚いています(笑)。

B面2曲目《凍りついた炎》はこれまたリズミックな曲。ザビヌルがシンセサイザー・ショーをこれだけやっているのも珍しいのでは?ハービー・ハンコック並です(笑)。後半にやっとショーターが登場。ここでもソプラノ・サックスをかなり吹いてくれます。このアルバム、ザビヌルとショーターのソロが満載だたんですね。まあ、ここにはビトウスもジャコもいないんだからこの2人が頑張るしかないわけで、そこがこのアルバムのポイントでもあるわけです。

ラスト《5つの短い物語》はザビヌルとショーター(ts)のデュオです!スタジオ録音でのデュオってこの曲だけじゃなかったでしたっけ?
(注)『ミステリアス・トラヴェラー』の《ブラックソーン・ローズ》もザビヌル、ショーターのデュオでした。

どうです。聴きたくなったでしょ?そう思ったあなた、迷わず聴いて下さい!

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ちょっと冒険してみました。

ディスクユニオンのアウトレットを時々利用します。買いたかったものが格安で入手できる場合があるからです。そして安いのを良いことに、参加メンバーと曲目を見て、ちょっと冒険して中身不明なものを買うことがあります。

P21 今日の1枚はそんな1枚です。ヨハネス・エンダース『ドーム』(2007年rec. Intuition)です。メンバーは、ヨハネス・エンダース(ts,b-cl,alto-fl,electoronics,phillicord Organ)、ニルス・ペッター・モルヴェル(tp)、ユリ・ワンゲンハイム(b-cl)、ラルフ・シュミッド(church org)、サム・シュラミンガー(dohol,tombak,electoronics)、ジョン・ホレンベック(ds,per)です。リーダーは知らない人だったのですが、ニルス・ペッター・モルヴェルとジョン・ホレンベックがいたので買いました。この2人がいるとなると何かやってくれそうでしょ?

さて、どんなアルバムなのかと思って聴き始めると、いきなり何やら荘厳な響きの曲が始まったのでビックリ。モルヴェルの切なく広がるトランペット・ソロが気持ちよいです。後で調べたら、エンダースがヨーロッパの宗教音楽にインスパイアされて作ったのだとか。なるほど荘厳な響きはそういう流れなのかと納得です。

バシリカ風教会でチャーチ・オルガンを使って録音しています。曲はヨーロッパの宗教音楽の雰囲気を基調にしつつ、モルヴェルが参加しているせいか、ジャズランド・レーベル的北欧の匂いも濃厚です。映画のサウンド・トラックのような想像力を掻き立てる音楽が次々と流れていきます。

面白いのはトラックによっては、プログレ~ミニマル・ミュージック的なものがあり、これはあきらかにホレンベックのやっている音楽からの影響が感じられます。そして中には打ち込みリズムを使ったもろモルヴェルな曲もあります(笑)。そういうものが一連の荘厳な響きに違和感なく混入されているのがなかなか素敵です。

どちらかというとモルヴェルのトランペットが目立つのですが、リーダーのエンダースはリード奏者で、クラシカルな響きやサブ・トーンを生かしたテナーをしっとり吹いています。バス・クラリネットも吹きますが、ここでも荘厳な感じを引き出していて、こういう使い方もあるのかという感じです。このアルバムでエンダースはリード奏者よりはコンポジションに力を入れています。

ホレンベックのやっていることも相変わらず凄いですね。例によってグロッケン・シュピールを効果的に使ったり、行進の時の大太鼓のような効果を出したり、打ち込みリスムにニュアンスを加えたりと、荘厳な雰囲気に力強い躍動感をさりげなく混入させるセンスはこの人ならではだと思います。

このアルバム、いわゆるジャズからは外れているのですが、こういうものもジャズに許容してしまうところにジャズの面白さを感じています。このアルバムは入手困難かもしれませんが、是非聴いてもらいたい1枚なのです。

それからもうひとつ、Intuition(インチュイション)というドイツのレーベルはなかなかコアな作品が多いので要注目だと思います。近いところではジム・ベアードの『レヴォリューションズ』、アーサー・ブライスがまるでデヴィッド・サンボーンなジョーイ・バロンの『ダウン・ホーム』、ロルフ・キューンのアルバムなんかがあります。

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やっと買いまいた。コレ!

ず~っと、心にひっかかっていたのに買わなかったアルバム。
とうとう買ってしまいましたよ。happy01

P17 そのアルバムとは? クラウス・オガーマン/マイケル・ブレッカー『シティスケープ』(1982年rec. Warner Bros)です。メンバーは、マイケル・ブレッカー(ts)、ウォーレン・バーンハート(key)、スティーブ・ガッド(ds)、エディ・ゴメス/マーカス・ミラー(b)、ジョン・トロペイ/バジー・フェイトン(g)、ポーリーニョ・ダ・コスタ(per)、ストリングス・オーケストラです。

後藤雅洋さん著「ジャズ・オブ・パラダイス」で見てから、もう21年が経ってしまいました。coldsweats02 なぜ今回買う気になったのかと言えば、ジャズ・サイト com-post「80年代のジャズ100CD」の1位がこのアルバムだったからです。
コレが1位?wobbly イイんですsign01

ここまで言われちゃ買うしかないでしょう。
それでどうだったのかと言えば?◎でした。happy01

「ジャズ・オブ・パラダイス」に以下のことが書かれています。
そのまま引用させていただきます。

「思うに、マイケル・ブレッカーはコルトレーンの音楽を研究したが、彼の過剰な精神性には少々へきえきしたのではなかろうか。だから、ブレッカーは自分の演奏に心情を移入することには少し用心深くなったのだろう。あるいは単に彼の美意識がむき出しの自己主張を嫌っただけなのかもしれないが、ともかく表れた音楽はよく言えばクール、悪く言えば無機的だった。しかしおもしろいことに、そういった突っぱりが時々ポロッと外れて、彼の意外な情緒性が顔を出すことがある。このアルバムなどはクラウス・オガーマンの都会的なリリシズムがブレッカーの資質にあったのか、思いのほかロマンチックな面を見せている。」

そのとおりだと思いました。shine

曲はまさに都会的なお洒落なもので、バックのサウンドもクールなフュージョンになっています。その上でソロをとるブレッカーはと言えば、ホットな思いがヒシヒシと感じられます。もちろんいつものメカニカルなブレッカー節も炸裂していてファンは喜ぶのですが、いや~っ、ブレッカーさん聴かせてくれます。lovely ここでのソロは間違いなくブレッカーのアルバムの中でも上位に入りますsign03

《ナイトウィングス》の後半はあの『スリー・カルテッツ』を彷彿とさせる場面も登場。だって、ピアノがチックからバーンハートに変わっただけですから。ガッドのブラシが良いのです。バーンハートは後にステップス・アヘッドに参加することになります。

このアルバムが80年代の1位ですか? それで良いのです。punch

今更ながら、ブレッカーが亡くなってしまったことが残念でなりません。crying

今日は絵文字をたくさん使ってみました。happy01 いかがでしょう?

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これも普通は買わないでしょうね?

これも普通は買わないでしょうね~。でも私は買いました(笑)。

P16 ノア・プレミンガー・グループ『ドライ・ブリッジ・ロード』(2007年rec. NOWT RECORDS)。メンバーはノア・プレミンガー(ts)、ラス・ジョンソン(tp)、ベン・モンダー(g)、フランク・キンブロー(p)、ジョン・エイベア(b)、テッド・プア(ds)です。ディスクユニオンジャズ館のホームページをチェックして買った1枚。

リーダーのプレミンガーはNYブルックリンで活躍中のサックス奏者だということですが、全然知らない人です。じゃあなぜ買ったのかと言えば、ますNYブルックリンで活躍というところとです。ジャズ喫茶「いーぐる」で最近のNYダウンタウンのジャズを知ってから、私がこの方面のジャズに嵌っているのはご存知のとおり。次にテッド・プア&ベン・モンダーという名前があったからです。私は2人のプレーに惚れてしまっているのです。

内容は私の予想どおりの感じでした。括りで言えばまさにNYダウンタウンの最近のジャズです。聴いたことがある人にはそれで分かってもらえると思うのですが、聴いたことがない人に説明するのはなかなか難しいですね。

メロディー的にはちょっとアブストラクトな感じでユダヤの哀愁が薫り浮遊感があると言えば良いでしょうか?ほとんどプレミンガーが作曲しています。デイブ・ダグラスの曲が1曲、リー・コニッツ/ウォーン・マーシュの曲も1曲ありますが、これら2曲から想像できるイメージと言ったほうがわかりやすいかも?曲は構成がしっかりしていて、アドリブ一発を回すだけというのとは異なります。あくまで全体の構成があってその中にアドリブが納まっている感じです。そして「寸止め感」、行きそうで行かない感じもあります。

プレミンガーのテナーサックスの音はちょっと擦れた感じでモブレイ系と言ったら良いのでしょうか?音だけで言ったら結構好きな人がいると思います。フレージングは派手さはなく落着いていて地に足がついたもの。熱い曲でもブリブリは吹かず熱さを秘めつつ抑制されたソロをとります。オーソドックスなバラード演奏も入っていますが、これがかなりホロッとさせてくれたりします。この人なかなかの実力だと思います。

でも私が一番気に入ったのは、プアのドラミング。プアはシンプルなドラム・セットからフレキシブルなリズムを作り出します。これまでの4ビート、8ビートのドラミングには納まりきらない叩き方で、複雑と言えば複雑ですが決してテクニカルという感じにはなりません。フレキシブルなのです。演奏のグルーヴを自在にコントロールして、ジワジワと遠赤外の如く熱気を送り込みます。プアのドラムには要注目!

ベン・モンダーの弾くギターは今時のサウンドです。カート・ローゼンウィンケルにも近いですが、より柔軟な感じですね。このアルバムにはオーソドックスな4ビートの曲があり、そこでモンダーがオーソドックスなジャズ・ギターを弾いているのが興味深いです。ラストの曲ではギンギン泣きのロック・ギターを弾いていて、珍しいように思うのですがこれがカッコイイ。

トランペットのラス・ジョンソンは数曲参加していて、メランコリックで熱いソロをとります。アビシャイ・コーエンに近い雰囲気を持っています。私は良いトランペッターだと思いました。そしてピアノとベースもきちんとプレーをしていますのでご安心下さい。

このアルバムに参加している全然知らない人達も結構やってくれますね~。
NYダウンタウンはやっぱり層が厚いです。

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これカッコイイので是非!

中身が分からなければまず買わないだろうという1枚を紹介します。

P15 ロス・ドラドス&クォン・ヴー『インセンディオ』(2008年、Intolerancia)です。メンバーは、ロス・ドラドス:デミアン・ガルヴェス(el-g,effector)、カルロス・マルドナド(b,electronics,effector)、ダニエル・ズロニク(ts,effector)、ロドリゴ・バーボサ(ds)、DJラヨ(turntable)&クォン・ヴー(tp)です。カタカナ表記は参考程度とお考え下さい。

私はこのアルバムをジャズ喫茶「いーぐる」の「2008年下半期新譜特集」で知りました。普通こんなアルバムは気付かないと思います。メディアにのるようなものではありませんからね。ディスクユニオンではクォン・ヴーの仕切りのところにあります。タワーレコードにもありました。値段は安いです。

ロス・ドラドスはメキシコのジャム・バンドだそうですが誰も知りませんよね?でもヴーとやっているだけのことはあって、こいつらなかなかやってくれます。サウンドはヴーのアルバムと共通したところがあります。だからいつものヴーの「ズリュズリュー」なトランペットが全開で、ヴーのファンはこれ必聴ねっ!

全編メランコリックなメロディーとジャム・バンド系の荒いサウンドが融合したホットな演奏を繰り広げます。DJなんかにちょっとレトロ感が漂うのも良い味付け。私が思うメキシコという国や気候のイメージにピッタリのサウンド。ジャケットはマッチをイメージしているのですが、ここにある音もマッチのように熱いです。

私、こういうちょっとやばくて熱いジャズが結構好きなんですよね(笑)。

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う~ん、困った、いやっ、ちょっと待てよ!

上原ひろみを応援している私としては、新譜が出ると知ってから首を長~くして発売を待っていました。皆さんご存知のとおり、ネットにはかなり前からスタンリー・クラーク、上原ひろみ、レニー・ホワイトのトリオで録音したという情報が流れていたからです。

P185_2 その新譜はザ・スタンリー・クラーク・トリオ・ウィズ・ひろみ&レニー・ホワイト『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』(2008年rec. HEADS UP)です。メンバーは改めて書きませんが、上原はアコースティック・ピアノに専念し、スタンリーもアコースティック・ベース(1曲のみエレクトリック・ベース)を弾いています。日本先行発売となっていますが、輸入盤に日本の解説を付けただけです。

早速聴いてみました。う~ん、これは困ったぞ。全編丁々発止のやりとりを期待していたのに、ちょっと地味なアルバムに仕上がっているではありませんか?「やっぱり、上原とスタンリー&レニーでは音楽性が違うから、共演しても何も生まれないんだな~。」なんて思いました。他のブログでの評判を読んでみると、「期待し過ぎてはいけない、これはスタンリーのリーダー作。」というようなことが書いてあります。「そうだよね~。」なんて思いつつ、もう一度聴いてみると、もう少し見えてくるものがありました。

いやっ、ちょっと待てよ!ひろみちゃん(急にちゃん付け、笑)なかなかやるんじゃないの?アップ・テンポの曲よりスロー・テンポの曲《さくらさくら》《シシリアン・ブルー》(上原作)、スタンリーとのデュオ《サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム》《グローバル・トゥウィーク》にそれを感じました。

じっくり聴けば、上原ならではの感性で慎重に音を選んでいるのがわかります。しなやかで美しいのですが、内省的な響きがあり繊細。これってNYアンダーグラウンドの人達と通じる現代性だと思います。そしてリズム、スタンリー&レニーは少々軽くて落着かないのですが、それを上原がしっかり落着かせているのです。間の使い方が上手いのです。いや~、なかなかスケールが大きいです。これまで上原に抱いていたイメージが変わりました。

一方、アップ・テンポの曲《3・ロング・ノーツ》(スタンリー作)《アイソトープ》《ソーラー》《ブレイン・トレーニング》(上原作)などになると、上原の遊び心が溢れているように感じます。時折カワイイ・フレーズが飛び出してくるのですが、ひろみちゃんは何とも楽しそうなのです(笑)。なのに、スタンリー&レニーは終始ノリがスクエアー、この辺りに発想の違いと歳の差を痛感します。

《アイソトープ》で上原がとんでもないことをやっているので言っておかねば、右手で高音のアルペジオのようなフレーズを弾きつつ、左手で低音のメロディーを弾いています。この人の頭の中は一体どうなっているんじゃー(笑)。これが演奏の流れの中で自然に出てくるのだから凄いです。

スタンリーのアルバムなのに上原のことばかり書いていますね。もちろんスタンリーはリーダーとしてソロが多いし、きっちりキャリアなりのプレーをしていますが、私としては当たり前の粋を越えるものは感じられません。

レニーははっきり言ってあまり面白くはないです。ドラムのスタイルが古いのです。ラストのレニー作《エルズ・バップ》(ボーナス・トラック)なんか、上原がちょっとチック・コリアしていて笑えます。今となっては古いスタイルの演奏ですね。これにレニーの今のポジションが象徴されているように思います。

今回初めて、上原はサイドマンとしてアルバム全体にかかわったというのに、実に堂々と大御所2人と渡り合っていますね。スタンリーとのデュオを聴いているとどっちが先輩なのかわからないような場面もあります。このアルバムを聴いて上原の魅力を再発見できた感じがします。

オーディオ的には音がドンシャリ気味なのがちょっと気になるところです。

ところでひろみちゃんて若いと思っていたのに、ライナーノーツによると1979年生まれ。ということは今年30歳ですよ。童顔なので20代前半だと思っていました。
ひろみちゃん呼ばわりしたこと、お許し下さい(笑)。

じゃこのめ さんからコメントをいただきました。情報ありがとうございます。 >

ボーナス・トラックの《エルズ・バップ》は20年以上前にレニー・ホワイトの『Griffith Park Collection』でチックが弾いています。その他の共演はフレディー・ハバード、ジョーヘン、スタンリー、ということで、敢えてこの曲を彼女にやらせたんだと思います。

今回のジャケットの元写真、HMVのホームページに出ていました。
http://www.hmv.co.jp/news/article/904070077/

『グリフィス・パーク・コレクション』は私も持っていました。最近は聴いていないのですっかり忘れていましたよ。なるほどそういうことかと思いました。聴き比べてみると面白いですよ。

ジャケットの元写真、当初の『ジャズ・イン・ザ・ガーデン』のイメージはこれなのでしょうね。スタンリーが《さくらさくら》を凄く気に入ったので、ジャケットが桜の花との合成写真になったようですね。(SJ誌より)

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今月のジャズ批評にも私のブログがのっていま~す。

おかげさまで、「ジャス批評2009年5月号No.149」ブログ・ウォーキングにも、私のブログがのっていま~す。興味のある方は是非「ジャズ批評」を買って見て下さ~い。って、私のブログを見て下さっている皆さんに言ってもしょうがないのかな(笑)?

ちなみに、次の2009年7月号No.150は「150号記念特別号(仮)」とのことで、ブログ・ウォーキングはお休みで~す。

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さて、ブログ・ウォーキングの話。

今回は雲さん「快楽ジャズ通信」松本茜さんのライブレポートで2ページになったこともあり、「My Secret Room」Suzuckさんの隣に私のブログが並んで紹介されることになりました。そう言えばブログの先輩にまだ挨拶していませんでした(笑)。

この機会に挨拶しておかねば!

P179 My Secret Roomを覗いてみると、お~、私の好きなエルビンの『エルビン・ジョーンズ・ライブ・アット・ザ・ライトハウス』(1972年rec. BLUE NOTE)が紹介されているではありませんか!これまでもブログを拝見させていただいていたのですが、私の抱くSuzuckさんのイメージとはちょっと違うような・・・。

メンバーは、エルビン・ジョーンズ(ds)、ジーン・パーラー(b)、デイブ・リーブマン(ts,ss,fl)、スティーブ・グロスマン(ts)です。このメンバーですから、暑苦しいジャズが展開されていることは言うまでもありません(笑)。コルトレーンに傾倒し、マイルスのジャズ・ファンク時代に貢献した2人のサックス奏者の共演であります。ソプラノとフルートの演奏をしているので左がリーブマン、右がグロスマンなのでしょう。エルビンの誕生日の録音なのでしょうか?side3頭に「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー、ハッピー・バースデー・ディア・エルビン」という歌が入ります。

私が持っているのはオリジナル盤です。それにしてもジャケットの絵が強烈です。

P180_3 このレコードは2枚組みなので見開きジャケットです。裏と表はご覧のとおり、ライトハウス=灯台は良いのですが、魚が空を飛んでいますよ(笑)。そしてバックは暗雲が垂れ込め大雨が降り雷も一筋見えます。空飛ぶ魚はまるで魚貝図鑑のような構図で並んでいるではありませんか。う~ん、凄い!

P181_3 そしてジャケット内側だって負けていません。海は荒れ狂い、船は難破しそうです。魚が3匹飛んでいて、波間からエルビンがまるで海坊主の如く姿を現してくるではありませんか!このぶっ飛びデザインが堪りません(笑)。この絵を誰が書いたのか、ジャケットに表記がないのが残念です。

Suzuckさんがご自身のブログのコメント欄に、「エルビンが大海をのうねりを作り出す海の神様トリトンさまのようでっす。(笑)」と書いているのが、言い得て妙!演奏のことはもちろんですが、内ジャケのデザインをも表現しているものだと思います。

今日は演奏内容よりもジャケットの話になってしまいました(笑)。

Suzuckさん。いっきです。どうかひとつよろしくお願い致します。

トラックバック&リンクもはらせていただきました。

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トホホな感じ?

今日はトホホなクラブ・ジャズ。

昨年のゴールデン・ウィークには渋谷のレコード屋巡りをして、その時のことはブログにも書きました。あれからもう1年が経とうとしています。

あるお店に行った時、クラーク・ボラーン・ビッグ・バンドの話題から、店主が「これは結構人気がある」と言って見せてくれた1枚のレコードがありました。クラブ・ジャズの人達が探しているらしいのです。値段は聞きませんでしたがレア盤なのできっと高いと思います。もちろん私はその方面にそれほど興味はないので買いませんでした。

しばらくするとそのレコードが再発となったのです。ディスクユニオンでもしきりに名盤とか言って宣伝していました。でも私は結局買わずじまい。先日、吉祥寺のディスクユニオンでその中古盤を見つけました。10%OFFもあったので買いました。

P175 クラーク・ボラーン・セクステット『ミュージック・フォー・ザ・スモール・アワーズ』(1967年rec. SCHEMA/Iearward)です。メンバーは、サヒブ・シハブ(fl,vo)、フランシー・ボラーン(p)、サディ(vib,bongos)、ジミー・ウッド(b,vo)、ジョー・ハリス(per)、ケニー・クラーク(ds)です。

A面、B面5曲ずつ収録されていて、2,4曲目にヴォーカルが入っています。ヴォーカルはシハブが1曲、ウッドが3曲。なんとも緩~い演奏が続きます。この緩さ、ラウンジな感じというのでしょうか?クラブ・ジャズでうけているというのもわかります。一言で言うなら「トホホ」な感じなのです。聴いていると体中の力が抜けていきます(笑)。

ウィントン・ケリーの《ケリー・ブルー》の出だし、ベースの「プウーン、プウーン、プウーン、プウーン、プウーン」、続くフルートの「フッフ、フッフ、フッフ、フッ、・・・」、ここを聴いただけで力が抜けていきますよね。あの感じが全編に溢れています(笑)。

どうもイケイケドンドン派の私としては歯がゆいものがあります。こんなのをレア盤として高値で買わなくて良かったです。まあ色々な好みがありますからこれはこれでO.K.脱力感を味わいたい時の1枚としておきましょう(笑)。

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ジョージ・アダムスが結構好きでした。

今日は昨日ちょろっと話題にしたジョージ・アダムスの話です。

その前にちらっと、com-postプレゼンツ「80年代の100CD」の話。

当時話題だった「新伝承派」のアルバムは、ウィントンとブランフォード以外1枚もありませんね~。スイングジャーナル誌上では盛んにキャンペーンを行っていました。しかし私はウィントンのサウンドの肌触りに違和感があったこともあり、あまりピンときませんでした。今じゃ「新伝承派」ってそれなあに?って感じですよね。かの中山康樹さんがスイングジャーナル編集長の頃の恥ずかしい過去(笑)?

それでもテレンス・ブランチャードとドナルド・ハリソン『ニューヨーク・セカンド・ライン』ジャズ・メッセンジャーズ『ライブ・アット・スウィート・ベイジル』は持っています。後者はキングのジャズ・レーベル:パドル・ホイールから出ています。今日久しぶりに開けたらビックリ!何と「ゴールドCD、当時高品質CDとして出回った金蒸着のCDです。今のHQCDの走りですな。効果のほどは?

同企画でギル・エバンス&マンディー・ナイト・オーケストラ『ライブ・アット・スイート・ベイジル』もかなりの人気だったと思います。そしてパドル・ホイールと言えばマンハッタン・ジャズ・クインテット(MJQ)ですよ。当時は支持する派としない派で物議をかもしました。MJQの『マンハッタン・ジャズ・クインテット』『枯葉』は今でも一応持っています。自分への戒めとしてです(笑)。

選考座談会でも話題になったハービー・ハンコック『フューチャー・ショック』は話題性もあって聴きましたが、それほど良いとは思いませんでした。テクノに対するNYアンダーグランドからの回答?私はY.M.O.の方が好きでした。それにマイルスの『パンゲア』を聴いちゃったあとではね~。ピート・コージーがゲスト参加しているトラックもあるんですけどね。暴れ方が全然弱い(笑)。

まあ衝撃度はそれなりにありましたよ。楽器:ターンテーブルってどういうこと?えっ、スクラッチってレコードを逆さに回すの!プレーヤーはテクニクス。メイド・イン・ジャパン!マテリアルのビル・ラズウェルとマイケル・バインホーンってこういうことがやりたかったのか~、ふ~んっていう感じでしたね(笑)。

前置きが長くなってしまいました。ジョージ・アダムスの話をするんでした。

P172 ますはこれ『メタモルフォシス』(1983年rec. Timless)。メンバーは、ジョージ・アダムス(ts,fl)、ドン・ピューレン(p)、キャメロン・ブラウン(b)、ダニー・リッチモンド(ds)です。ミンガス・バンドにいた人達が作ったバンドです。

アダムスのテナーが好き嫌いをわけるでしょうね。めちゃくちゃ暑苦しい。ノッて来ると白目を剥いてブリブリかますんだからたまりません(笑)。逆にそこに嵌ると最高ということになります。そしてバンド全体から発せられる温度がかなり高いのがこのバンドの特徴です。

A面1曲目の《ミンガス・メタモルフォシス》はまさに上記のとおりです。曲の構成も緩急に富んでいます。途中ピューレンがかますクラスター奏法(手を握って鍵盤の上をクルクル転がす奏法)がエキセントリック。アダムスのソロ後半、ドラムとのバトルが壮絶です。リッチモンドが煽る煽る、でもアダムスはそれ以上にブリブリブリブリ!え~な~っ(笑)。続くブラウンのベース・ソロ、そしてドラムとの4バースと、熱い熱い!さらにドラマティックな構成は続いていきます。ふ~っ。

A面2曲目《サンバ・フォー・ナウ》は一転トロピカルな曲。アダムスがフルートを吹きます。息継ぎの音がやたら気になるのですが、アーシーな感じとおおらかな感じが漂い安心感があるのが良いのです。テナーの過激さはどこへやらって感じです。ピューレンのメロディアスでロマンチックな感じのソロも良いですね。とにかくこのA面が好きでよく聴きました。

B面はモンクに捧げた曲、トラッドを編曲した曲、このバンド特有の暑苦しくも軽やかな曲が入っています。今日久しぶりで聴いたけどやっぱり良いのです。私って意外とイケイケ・コテコテ系も好きなんです(笑)。

P173 実はこのバンドのライブを見に行きました。茨城に住んでいた頃なので、東海村(動燃の臨界事故を覚えていますか?)のホールで見ました。でもライブの記憶がほとんど残っていません(涙)。

ライブ後にサイン会があるっていうんで、当時話題になっていた『ナイチンゲール』を買ってサインをもらいました。生まれて初めてジャズマンにもらったサインです。

P174 何を考えていたんでしょうね。CDケースの裏面にサインをもらってしまいました(涙)。普通表のスリーブにサインしてもらいますよね。そのくらい動揺していたのです(笑)。アダムスのサインはというと、ご覧のとおりのそっけなさ(涙)。今となっては貴重な体験でした。

メンバーと曲目はご覧のとおり、バラード集です。なのに私はミディアム・テンポで演奏される《ムーン・リバー》が一番好きなのです。

80年代の体験を語りだすときりがないんです。

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最近買った新譜を紹介。

ミュージックバードの公開録音の時に買ったCDあと2枚を紹介します。

P158_2まずはデヴィッド・ビニー『サード・オケイジョン』(2008年rec. beenknee music)です。メンバーは、デヴィッド・ビニー(as)、クレイグ・テイボーン(p)、スコット・コリー(b)、ブライアン・ブレイド(ds)、+ブラス・セクション4名です。ニューヨークの精鋭揃いです。このメンバーを見たら買わないわけにはいきません。

デヴィッド・ビニーは現代注目アルト奏者なので追いかけています。注目アルト奏者としてはミゲル・セノーンもいます。余談ですが、ビニーは背が低くて顔がナイナイの岡村似なんで笑ってしまいます。

このアルバムは全曲ビニー作曲のオリジナルで、構成もしっかりしていて丁寧に繊細に作られています。メロディーはアブストラクトとメランコリックの絶妙なブレンドといった感じです。淡々としていつつもじわじわ心に沁みてきます。淡い色合いのブラス・セクションが時々加えられていて、これが曲に深みを与えています。ブラスの使い方はハービー・ハンコックの『スピーク・ライク・ア・チャイルド』的ですね。

最初ゆっくり始まって途中から熱をおび、ビニーが燃え上がってくるとブレイドがドラムで絶妙な煽りを加える曲構成が多いです。テイボーンはアコースティック・ピアノに徹していて、過激な演奏というのではなく、内に炎を燃やしつつじわりじわりと音を重ねていくような重厚なプレーです。ビニーが抜けたピアノ・トリオの演奏もかなりクオリティーが高いです。

全体を通して聴くと、明るいわけではありませんが、だからと言って憂鬱な暗さはないと思います。淡い色合いの落着いた感じで、その中にじわじわ燃えるソロがちりばめられています。じっくり音に向かい合えば、充実感を味わえる作品になっているのではないかと思いますよ。でもこういうのは今、一部の人にしか受けないんですよね(涙)。

P159_2 次はメルビン・ギブス・エレヴェイテッド・エンティティ『アンシェンツ・スピーク』(2009年、Archetext Music BMI)です。メンバーはメルビン・ギブス(b,key,programing)、キーボード:クレイグ・テイボーン、ジョン・メデスキー他、ギター:ピート・コージー他、ボーカル、パーカッション、ドラム、ラップ、ホーンズと多数参加しています。

なんでこのアルバムを買ったかといえば、上記のメンバーを見て怪しいと思ったからです(笑)。特に怪しかったのはピート・コージー。マイルス引退前のバンドで過激なギターを弾いていたその人です。残念ながらコージーは数曲しか参加していませんでした。

1曲目。いきなりアフリカン・パーカッションにのって、アフリカンなボーカルが聴こえてきます。こりゃ期待どおりの怪しさです。そこヘヴィーなビートが被さりさらにラップまで飛び出します。ヤバいですぅ。これ、ジャズじゃないです。クゥ~ッ、たまらんです(笑)!

なかにはアラブなボーカルナンバーもあります。ドラムン・ベースな打ち込みリズムが麻薬的。その上でピート・コージーが過激でブルージーなソロをとっていて、ニンマリさせてくれます。比較的普通のラップ・ナンバーもあります。

これを聴いているとかなり危険なクラブが似合いそうな感じがします。真っ暗な中、怪しげな煙がそこここから立ち上り、お相撲さんのような体格のブラザーがサングラスをかけて、ソファーに体をドップリ沈めているようなとでも言いましょうか?ハリウッド映画の見過ぎかな(笑)?

このアルバムを聴いていると、クラブ・ジャズなんてかわいいもんだよなと思えてきます(笑)。クラブはクラブでももっと危険です。取扱い注意!

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お店でかかっていたのを聴いて買い!

昨日の続きです。新宿のディスクユニオン・ジャズ館でお目当ての新譜を探している時、お店の中でかかっていたのを聴いて買いました。

P150 ジェフ・”テイン”・ワッツ『ワッツ』(2008年rec. Dark Key Music)です。このCDはtommyさんもしばらく前にブログで紹介していましたね。メンバーは、ジェフ・ワッツ(ds)、テレンス・ブランチャード(tp)、ブランフォード・マルサリス(ts,ss)、クリスチャン・マクブライド(b)、1曲のみゲスト:ローレンス・フィールズ(p)です。

アートワークは日本人Miho Morita、オレンジ基調の色彩がなかなか良いと思います。ジャケット内側の鮮やかな色使いも惹かれるものがありますね。ジャケットの温度感は中身の温度感と一致しているんじゃないでしょうか。

さて、お店でかかっていたのは《Katrina James》《Owed...》。どうやらこの選曲に上手いことやられた感ありです(笑)。《Katrina James》はブランチャードのトランペットとブランフォードのテナーの熱い掛け合いがカッコよく、《Owed...》は一転ブランフォードのソプラノとピアノがリリカルで優しいメロディーを奏でていたからです。こんな感じのバランスでアルバム全体が作られているなら買いだと思いました。

ところが通して聴いてみると、ピアノが入った曲は上記の1曲のみ、あとは2ホーン、または1ホーンのピアノレス・カルテット、トリオなんですよ。そして前半は普通のアレンジになっているのですが、後半は台詞ありの曲とか、掛け声が入ったドラム・ソロ中心の曲とかになってしまいます。私としてはもう少し普通のアレンジの曲で通してほしかったのになあ。

なぜかというと、ブランチャードとブランフォードが良いソロをとっているからです。ブランチャードは久々に聴いたけれどやっぱりジャズ王道で良いし、ブランフォードだって前回の自己のアルバムみたいに力みまくってなくて、良い塩梅でバリバリやているじゃありませんか。イタリアなども良いのですが、やっぱりこういうニューヨークの音は出ないんですよね。

ちょっとスモーキーな音に録っているのも良くて、それによってライブ・ハウスやジャズ喫茶の雰囲気が醸し出されているのがグッド!ワッツはとにかく溌剌とプレーしてフロントを煽ります。とても楽しそうに叩いている感じがも伝わってきますよね。マクブライドも負けじと力強く弾いていますよ。う~ん、ニューヨークの熱いジャズは良いです。敢えて言えば、落着いた曲をもう2曲くらい入れてほしかった。

ところでこのCD何で値段が\3,000以上するのでしょう?年度末セール10%OFFがなかったら買わなかったと思います。でも買っておいて良かったです。ネットを調べて見たらAmazonは取扱い中止で、HMVは入荷にかなりの日数を要します。輸入盤は配給事情が悪いものがあるから要注意ですね。

今日から「高野 雲の快楽ジャズ通信」が、ミュージックバードのcross culture(11ch-1)チャンネルで23:00~24:00に放送されます。
今までは日曜日に聴けない場合は録音していたのですが、これからは木曜日の再放送が聴けるのでめんどうがなくなります。

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お店のポップを見て思わず買い!

日曜日、ミュージックバードの公開録音に行く前に、新宿のディスクユニオン・ジャズ館で新譜CDなどを買いました。極最近の気分は中古レコードよりは新譜CDに向いています。年度末セールなので輸入盤は3枚買うと10%OFFですしね。

毎度毎度言いますが、ディスクユニオンのサイトで新譜をチェックしておきました。売れ筋のCDなら、お店に入ってすぐの陳列棚を探せば良いのでしょうが、どうも私が買いたいものは売れ筋じゃないみたいなので、探すのが大変だったりします。

フリー・ジャズの棚もすぐに探します。その後、北欧系の棚とか探してから、楽器ごとの棚を探すという感じで、1時間近く狭いお店の中を行ったり来たり、ちょっと挙動不審かもしれませんね(笑)。

さて何を買ったかというと、チェックしていったものは、デヴィッド・ビニー(as)『サード・オケイジョン』(ビニー久々の新譜で、凄いメンバーの1枚)と、メルヴィン・ギブス(b)『アンシェンツ・スピーク』(ピート・コージーやメデスキー参加のエスニック・ラップ・ジャズ)です。内容についてはそのうち紹介します。

P149 今日紹介するのはアトレ・ニーモ/インゲブリクト・ホーケル・フラーテン/ホーコン・ミューセット・ヨハンセン『コンプリート・コミュニオン』(2006年rec. BOLAGE)です。これはお店のポップ(宣伝の札)を読んで、思わず買ってしまいました(笑)。ジャケットの緑色とあずき色と白色の組合わせもいい感じだと思います。

なんと言ってもメンバーが凄いです。アトレ・ニーモ(ts)、ホーコン・ミューセット・ヨハンセン(ds)はノルウェーのグループ「モティーフ」のメンバーで、インゲブリクト・ホーケル・フラーテン(b)は言わずと知れた「アトミック」のベーシストです。アトミックは相変わらず若者を中心に人気なのですが、モティーフは最近話題になりませんね。どうしているのでしょう?

タイトルからピンときたあなたは偉い!そうです。ドン・チェリー同タイトルアルバムの再演です。ポップにもありましたが、別に元のアルバムを聴く必要はありません。王道サックス・トリオの演奏に浸れば良いのです。時にはフリーキーな咆哮もありますが、フリーというよりはバップの範疇です。

強靭なベースと手数の多いドラムの上で、どことなく余裕を感じさせるおおらかなテナーのアドリブが気持ち良いです。リズムはクラブ・ジャズやジャム・バンド経由のラウド感を持っていて現代的。ドラムは手数が多い割には上手い按配の音密度になていてうるさくなく、ベースも強靭な割にはテナーを脅かすわけではないです。テナーを包み込む感じかな。テナーも俺が俺がという感じではないですが、きっちり存在感はあります。

3者のバランスがとても良いのがこのサックス・トリオのポイントだと思います。3人の技量が上手くバランスしていて良いのです。そして、忘れてはいけなにのがドン・チェリーの作った曲なのでしょうね。曲を生かしたからこそ、おおらかで広がりもあるサウンドが展開されているのではないかと思います。この雰囲気が私のお気に入りです。

さっき書いたようにお店の中をうろうろしていたのですが、この日はかかっていたCDに’ピンッ’ときてしまいました。そのCDは明日紹介します。

今日はエイプリル・フールなのですが、「うそ」はありませんのでご安心を(笑)!

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これいっときますか。

昨日は鼻水で大変なことになっていたのですが、今日はなぜか特に問題はありません。アレルギーってなんだかよくわかりません。一応ひと安心です。

P124 さて、今日はこのアルバムを紹介しておきましょう。私が追っかけている数少ない人の中の1人ジム・ブラックAlasNoAxis『ハウスプラント』(2008年rec. WINTER & WINTER)です。メンバーは、クリス・スピード(ts)、ヒルマー・ジェンソン(g)、スクリ・スベリソン(b)、ジム・ブラック(ds)です。

今回のアートワークはアルバム『スプレイ』と同様に奈良美智の絵になっています。今回の絵、以前の作風とは変わってきていますね~。

ちょっと話は横道にそれます。奈良さんがNYの地下鉄の駅に落書きをしたとかで2月末に逮捕された事件。皆さんはご存知ですか?私は昨日知ったのですが、この件に対してご自身のブログに意見を書いています。絵のイメージから奈良さんてもっとやんちゃな人かと思ったのですが、そうではないことがわかりました。
ブログ:http://harappa-h.org/modules/xeblog/?action_xeblog_index=1&cat_id=4

話は戻って、今回のアルバム。前作以上にポップ度がUPしています。即興要素もさらに減っています。こうなるとイメージ的にはボーカルのいないロックです。テナーで歌を歌っている感じなのです。ますますいわゆるジャズから離れていってしまってます。こうなると最早普通のジャズ・ファンに無理して薦めるものではない気がします。

メロディーもこのグループ独特なもので、フォーク・ロック系のメロディーと言えば良いのかな~。このグループを聴いたことがある人にとっては、これまでの流れに沿ったものであることはわかるはずです。それにしても似たような曲が多いので、初めてこのアルバムを聴く人は全部同じ曲に聴こえるのかも(笑)。

う~ん、今回はどうも今一インパクトが・・・、私自身このグループのサウンドに慣れたのかな~。でも穏やかな感じはしますよね。胸に迫ってくる何かが少し減少したようで、イケイケ路線の私としてはちょっと残念。とはいえ、グループとしての熟成が進んだということで、ここはひとつじっくり聴いてみることにしましょう。

’com-post’で益子さんがこのアルバムのレビューを書いていますので、そちらも参照願います。http://com-post.jp/index.php?itemid=220

P125 残念なことが1つあります。WINTER & WINTERのパッケージはこれまでプラスチックを使わないものだったのに、今回CDホルダー部分がとうとうプラスチックになってしまいました。不況の波はここまで押し寄せているのでしょうか?

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このメンバーに”ピン!”ときたら。

このメンバーを見て”ピン!”ときたら、迷わず買いでしょう。

P120 アンジェリカ・サンチェス『ライフ・ビトウィーン』(2007年rec. clean feed)です。メンバーは、アンジェリカ・サンチェス(p,wurlitzer el-p)、マルク・デュクレ(el-g)、トニー・マラビー(ts)、ドリュー・グレス(b)、トム・レイニー(ds)です。そしてclean feedレーベルは、ここ数年次々とフリー系の問題作を作り続ける重要レーベルですよね。

アンジェリカ・サンチェスなんて知らない人なのに、なんでこんなに凄いメンバーが集結しているのでしょうか。なんとアンジェリカはトニー・マラビーの奥さんなのです。なるほど、ニューヨーク・ダウンタウンの精鋭メンバーが集結しているわけです。もちろんこのメンバーなのですからハズレはあり得ませんよ。

全曲アンジェリカ作曲なのですが、分かりやすい美メロ曲はありません。まあ、このメンバーを見て買う人は美メロなんて考えていないと思いますが(笑)。でも私はなかなか良い曲だと思います。特にマラビーの特徴を生かす曲になっているところが、奥さんらしいところだと思います(笑)。弾いているエレピがローズではなくウーリー(ウーリッツァ・エレクトリック・ピアノ)というのが曲者ですよね。

マラビーは何度も紹介しているのですが、この人はアドリブ一発もできる人なのに、それを越えたところで、触覚的な音を使ったニュアンス溢れるプレーをするのが素晴しいと思っています。こういうのは新感覚としか言いようがないのです。

ここには更にマルク・デュクレというアバンギャルド・ギタリストも参加しています。デュクレはあのティム・バーンのところで尖がったギターを弾いている人です。ここでも充分アグレッシブかつニュアンス溢れるプレーをしています。

そしてドラムはトム・レイニーです。この人を知った頃、私はそのギクシャクしたリズムにどうもなじめなかったのですが、今やこの人が入っていると買いたくなってしまうのだから、人の感覚なんて変わるものです。レイニーの多様に変化する複雑なリズムは演奏の重要な位置を占めています。

ベースのドリュー・グレスは他のメンバーからすると目立ちませんが、レイニーの複雑なリズムにさりげなくぴったり寄り添って演奏をドライヴさせています。

最後になってしまったのですが、リーダーのアンジェリカはピアノもウーリーもまろやかでコクがある音です。そんな音でマラビーを包み込むように慈しむようにプレーしている感じがします。そして悪ガキ達を優しく見守る母のような存在で演奏全体を包んでいる感じもするのです。

このアルバムは単なるフリー・インプロビゼーションではなく、ある程度曲の枠組みができていて、その中で自由なプレーをしています。マラビーとデュクレが目立つのは当たり前なのですが、決して尖がり性ばかりではなく、アルバム全体を通すと不思議な優しさや深みのある作品になっています。

やんちゃなメンバーを集めておいて、しっかり自分の音楽にまとめあげてしまうアンジェリカ、実はなかなかしたたかな奥さんなのではないかと思ってしまいます(笑)。

じっくり味わえるアルバムになっていると思いますがいかがでしょう?

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こういうのは素直に良いと思います。

ジャズ喫茶「ジニアス」で聴いて気に入ったアルバムを紹介します。その時のことはブログに書いていますので、「ジャズ喫茶訪問」のカテゴリーをクリックして見て下さい。

「disclandJARO」の3月の通販リストにのっていたので購入しました。ファンタジー盤で「VAN GELDER」刻印入りです。値段は高くないです。このアルバムもJAROの店主から「これ良いよね。」の一言をもらいましたよ。

P119 ジーン・アモンズドド・マーマローサ『ジャグ&ドド』(1962年rec. Prestige)です。メンバーは、ジーン・アモンズ(ts)、ドド・マーマローサ(p)、サム・ジョーンズ(b)、マーシャル・トンプソン(ds)です。これは2枚組みのアルバムなんですが、半分はアモンズ抜きのマーマローサのピアノ・トリオで演奏しています。

「ジニアス」で聴いた時は全曲にアモンズが入っていたので、ワンホーン・カルテットのアルバムだとばかり思っていましたが、マーマローサのピアノ・トリオも聴けるのは、これはこれで良いと思います。

特にここがどうとかいうアルバムではなく、ジャズを普通にジャジーに演奏しているのが良いところです。安心してジャズを聴けますね。スローな曲でちょこっと泣き節が入ったアモンズのテナーも味わい深いし、マーマローサのピアノも「ああジャズだよなあ」という節でスインギーに心地良く演奏しています。マーマローサといえば『ドドズ・バック』が有名ですが、それと同質のピアノ・トリオがここでも聴けるのはうれしいところです。

こういうアルバムがジャズ喫茶という空間に合うんですよね。こういうのが聴けるからジャズ喫茶通いはやめられません。「いーぐる」の後藤さんが言う「ジャズ喫茶に通奏低音のように響かせるハード・バップ」としても相応しいアルバムなんじゃないかと思います。入門者に聴かせるのにも良いんじゃないかな。

新しいジャズを聴いてほしいなんて言っている私ですが、こういうアルバムを聴くと「やっぱりジャズの基本はこういうのを味わうことだよね。」となってしまいます(笑)。そういえばベースがサム・ジョーンズですから、渋谷「JBS」のマルカム(通称)もこれは持っているかもしれませんね。

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これは渋い1枚です。

3月ということで、渋谷の「disclandJARO」http://music.geocities.jp/disclandjaro/ から通販リストが送られてきました。この通販リスト、かなりの枚数が記載されています。ただし、このリストにはリーダー名、アルバム名、レーベル名、品番、コンディション、金額しか書いてありませんので、初心者には向かないでしょうね。もちろんジャケット写真もありませんから、記載されたデーターからアルバムがわからないとまずいわけです。

さて、そのリストにはオリジナル盤だけでなくヨーロッパ盤や日本盤や再発盤も載っています。実は日本盤なんかは安めに価格設定されているのです。私は結構この日本盤を買っています。今日紹介するのはその中の1枚です。

P118 ウォルト・ディッカーソン『トゥ・マイ・クイーン』(1962年rec. Prestige)です。メンバーは、ウォルト・ディッカーソン(vib)、アンドリュー・ヒル(p)、ジョージ・タッカー(b)、アンドリュー・シリル(ds)です。これなかなか渋いメンバーだと思いませんか?

このアルバムは油井正一さんの「ベスト・レコード・コレクション・ジャズ」でチェックしていたアルバムです。この本には大変お世話になっております(笑)。1986年に出た文庫本で、もうかなり傷んでいるのですが未だに参考にしています。

いつもJAROには電話で在庫確認をするのですが、店主にこのアルバムを言ったら、「これは良いアルバムなんだけど人気がないんだよね。」と返事が返ってきました。実はオリジナル盤もリストに載っていて店主に勧められたのですが、私は聴いたことがなかったので、とりあえず日本盤を入手することにしました。

ここで紹介するとオリジナル盤の方を買われてしまうかも?まあ、それはそれで良しとしましょう。お金がある方はオリジナル盤をどうぞ(笑)。

内容について。

ライナーノーツによると、当時のディッカーソンはコルトレーンの”シーツ・オブ・サウンド”をヴァイブを通して表現しようとしていて、硬質なトーンによる音の奔流を思わせる斬新な奏法は”メタリック・コルトレーン”と呼ばれていたとか。なんか小難しそうですよね?A面は長尺のタイトル曲のみ、ますます不安になってきます(笑)。

早速A面タイトル曲に針を落とすと、ヴァイブとベースの幻想的な語らいから始まります。この部分からその独特な世界にグット引き込まれていってしまいました。それがしばらく続くとドラムのブラシとピアノが入ってきて、ドラムのドロドロとした連打から少しテンポ・アップして演奏が熱を帯びてきます。ここで”メタリック・コルトレーン”を感じさせるソロとなります。全体の感じは新主流派なんですけど、クールさ控えめで少し湿気と甘さをはらんだメロディーがなんとも心地良いです。

ヒルのピアノがこのイメージにまたピッタリなんですよね。クールなんですが微妙な甘さがあり音がキラキラとしています。ソロなんかビューティフル!の一言に尽きます。名演だと思います。タッカーのベースが無駄を排した音数と力強いトーンで作り上げるサウンドの骨格がまた良いんですよね。ベース・ソロも惚れ惚れするものです。それからシリルが繰り出すブラシの爆ぜ具合や、タムのロールを上手く使って演奏を盛り上げる様も渋すぎです。

4人が一体となって作り上げる美しくも切ない愛の世界。聴いて下さい!
ちなみにこの曲はディカーソンの最愛の妻エリザベスに捧げられたものです。

B面《ハウ・ディープ・イズ・ジ・オーシャン》はA面の独特な世界よりは馴染み安い演奏になっています。B面のもう1曲《ゴット・プレス・ザ・チャイルド》は、ベースのアルコとヴァイブのデュオで、これも独特の深みのある演奏になっていますね。私にはヨーロッパのジャズが持つ独特の憂い感みたいなものが、このアルバムからもなぜか感じられます。

ライナーによるとこのアルバムがディッカーソンの最高傑作らしいのですが、頷けます。JAROの店主が言っていたとおり、良いアルバムです。さすがわかっていらっしゃる!

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これってジャズ?

ジャンルとかに分類されにくい音楽ってありますよね。今日紹介するアルバムなんて正にそれ。メンバーがジャズマンなのでジャズ売り場で販売されていますが、奏でられている音楽はジャズでは括りきれないものです。

P100 このアルバム『refuge trio』(2008年rec. WINTER&WINTER)は、東京四谷のジャズ喫茶「いーぐる」で行われた「NYダウンタウンを中心とした2008年下半期の新譜特集」で知りました。なかなか面白かったのですぐに入手したのですが、私の期待を裏切らないアルバムでした。

メンバーは、NYダウンタウンで注目されているボイス・パフォーマーのテオ・ブレックマン、新世代オルガン・ピアノ奏者として注目されているゲイリー・ヴェルサーチ、ジャズ以外の多様な要素を渾然一体としたクラウディア・クインテットのリーダーでドラマーの鬼才ジョン・ホレンベックの3人です。

1曲目はいきなりブレックマンが無伴奏でジョニ・ミッチェルの歌を歌います。この声がふわりとした優しいもので聴くものを包み込んでくれます。2曲目はビブラフォンとアコーディオンまたはグロッケンシュピールとピアノをバックに、ブレックマンが優しく歌ったりボイスを発したりして、メルヘンチックで荘厳な雰囲気を作ります。3曲目はパーカッションの乱舞とボイスとピアノの短いフレーズのからみから入り、徐々に曲が構成されてからは、ドラムン・ベースのようなリズムとボイスの上で、ヴェルサーチがピアノとオルガンでカッコイイソロをとります。リズムがスムーズに流れずにちょっと引っかかりがあるのはNYダウンタウン系の特徴の1つでもあります。

このような感じで、室内楽、エスニック音楽、ミニマル・ミュージック、アンビエントなど、ジャズ以外の要素が入った無国籍ナチュラル志向音楽を3人が奏でていきます。ではジャズは関係ないのかというとそうではなく、曲順でいうと真中に、ジャズの偉大なコンポーザー、オーネット・コールマンとセロニアス・モンクの曲を1曲ずつ入れていて、それぞれ曲の個性を生かしつつもアルバム全体の雰囲気に違和感なく溶け込ませているのです。3人の中には間違いなくジャズ・スピリットがあります。

こういうイマジネイティヴで繊細かつ深みのある音楽に浸るのも悪くないと思いますよ。

話は変わって、今日のPCMジャズ喫茶はガッツプロの笠井隆さんがゲストでした。バイヤーから見た今のジャズ受容についての興味深い話が聴けました。

面白かったことを2つほど。

寺島さんがクオシモード《さよならブルース》と元となったホレス・シルバーの同曲を続けてかけて、出演者に感想を聴いていました。クオシモードといえば、ジャズ批評誌で後藤さんと私が対談した中にも出てきます。

聴いたあとに笠井さんが上手いことを言っていました。「音楽(ジャズ)ファンとしては、ホレス・シルバーのほうが良いです。」と、私も正にそのとおりだと思いました。岩浪さんは曲想をちゃんと掴んでいないからクオシモードはダメだと言い、長澤さんは「新規性」があるからクオシモードが良いと言っていました。当の寺島さんはというと、古いものではなく(クラブ・ジャス・ファンが聴く)こういう新しいものを聴かなきゃジャズが廃れてしまうと言ってました。

レギュラーの3人は予想通りのコメントなので笑ってしまいましたよ。あとホレス・シルバーの方は各ソロが長く冗長に感じられると言っていましたが、それは私も感じました。それにしても寺島さんは、クオシモードは「新しい」と言うだけで、「どこがどのように良いのか」ちゃんと言わないところが辛いところだと思いましたね。

私の意見は、ホレス・シルバービールに対する、クオシモード発泡酒です。この意見はある方の意見をちょっと拝借させていただきました(笑)。味わいには決定的な差があると私は感じます。

もう1つ面白かったのは、笠井さんが銀座山野楽器辺りに集うピアノ・トリオ・ファンは、ジャズを部屋のインテリアとして聴いている人が少なくないと言っていたことです。そういう人達に寺島さんが最近言っている管モノを聴かせるのは難しいとも言っていました。なるほどインテリアね~。それはそれで別に良いんですよ。私は無理にこういう方達をジャズ・ファンにしなくても良いと思うようになりました(笑)。

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こいつら結構ヤバイと思います。

ディスクユニオンのアウトレットにはかなりお世話になっています。メンバーとか曲名をしっかり確認して買うのですが、当りもあればハズレもありです。あとは新譜チェックしていたやつが見つかれば買うという感じです。今日の紹介するやつは当りでした。

P117 『トルビョルン・ゼッターベルグ・ホット・ファイブ』(2002年、MOSEROBIE MUSIC PRODUCTION)です。メンバーは、トルビョルン・ゼッターベルグ(b)、パー・”テキサス”・ヨハンソン(ts,cl,bcl)、ヨナス・クラマー(ts,bs)、トルビョルン・グルツ(p)、ダニエル・フレドリクソン(ds)です。う~ん、北欧の人達は難しい名前なので困ってしまいます(笑)。

こいつらの出す音の肌触りって粗い感じがします。パンキッシュと言うのかな~、ATOMICにも通じるあの感じです。ただ演奏についてはATOMICよりは構成要素が大きいです。疾走するリズムの上でマルチ・リード奏者2人がフリーキーに咆哮する短い曲で始まるのですが、これがスカッと気持ち良いですね。結構ヤバイ出だしです(笑)。

続く曲は一転ミディアム・テンポのオーソドックスな曲で、曲調はモーダルではあるものの甘くはない美メロ要素が入っています。ヨハンソンの自由なクラリネット・ソロとグルツの軽快にしてしっかりしたタッチのソロが意外とまともで聴かせます。

3曲目は疾走するリズムの上でバリトン・サックスとバス・クラリネットという低音楽器が粋なソロを掛け合う曲です。この辺りが真面目なのか不真面目なのかわからなくて面白いし、私は好きです。最初と最後に馬のいななきみたいな音を出すのが愉快さを増していますね。構成は面白いですがここでも演奏は至ってまともですよ。

4曲目は物悲しい感じのしっとりした曲で、ヨハンソンがクラリネットを吹いているのですが、曲とのマッチングがとても良いと思います。クラマーのバリトン・サックスがテーマ部でアンサンブルをするのですが、これもマッチングが良いです。グルツの新鮮なピアノがここでも良い味を出しています。

こんな感じで進んでいくのですが、オーソドックスな構成で曲もメロディアスなのにも係わらず、出てくる音の肌触りは上記のとおり粗くて、演奏はまともなのにパンキッシュな感じが漂っているという、なんと伝えて良いのか、ちょっと他には例がない独特の良い味を出しているバンドなんです。不良っぽいと言えば良いのかな~?

このバンドの2作目『fortjanar mer uppmarksamhet』も同じ雰囲気のアルバムになっていてオススメだと思います。メンバーはピアノだけがルードヴィッヒ・ベルゲに交代しています。その後はこのバンドを解散?して、ゼッターベルグがリーダーとなった『KRISSVIT』が2005年に出ました。ピアノレスでホーン陣のアンサンブルを加えた作品になっています。この路線で2007年にもアルバムを出しましたが未チェックです。

今夜の甲府盆地は夜霧に包まれていて幻想的な感じですよー。

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スペシャル・エディションって覚えていますか?

私が最初に聴いたチコ・フリーマンといえばこのアルバム。
1年くらい前に拙ブログで紹介していますが再登場です。
最近手抜きが多い(笑)?

P96 ジャック・デジョネット・スペシャル・エディション『インフレーション・ブルース』(1982年rec. ECM)。メンバーは、ジャック・デジョネット(ds,p,clavinet,vo)、ジョン・パーセル(as,bs,a-fl,piccolo-fl,a-cl)、チコ・フリーマン(ts,ss,b-cl)、ルーファス・リード(b)、バイキダ・キャロル(tp)です。

ジャズを聴き始めてまだそれ程経っていない頃に買ったアルバムです。デジョネットのドラムのキレ味には当時ホントにビックリしました。ジャズ・ドラマーって凄いんだな~と思いましたよ。このアルバムでも1曲だけピアノを弾いています。タイトル曲ではクラヴィネットを弾いて小粋な歌まで歌っちゃうんだから困ったものです(笑)。

フリー寄りの曲もあったりで近寄りがたい部分もあったのですが、不思議と惹かれるものがあり、当時は結構愛調していたのです。フリー系の演奏の間に、和み調の《エボニー》と、デジョネットが歌うレゲエの《インフレーション・ブルース》があったから、なんとか聴けたのかもしれません。フロントの3管がそれぞれ頑張っているのも忘れてはいけません。

スペシャル・エディションは5作目まで聴きましたが、3作目のこれが一番気に入っています。曲想もバラエティーに富んでいて、単に硬派な演奏だけじゃなくて、先ほどあげたような肩の力を抜いたような演奏もあるところが良いと思っています。でも実のところは最初に聴いたから良いのかもしれませんが・・・。

今聴いても新鮮に響くのが不思議です。
デジョネットの音楽性ってやっぱり凄いと思います。
ジャケットのポートレートもカッコイイでしょ(笑)。

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これ持っていました。

この前のジャズ喫茶「いーぐる」での「2008年下半期新譜特集」終了後。打上げに参加させていただいた時のことです。

喫茶の営業形態に戻って最初にかかったのは、ケニー・ドーハム『ショート・ストーリー』でした。このアルバムについては1年くらい前に拙ブログでも紹介しています。タイトル曲におけるドーハムの気迫のこもったトランペットとテテ・モントリューの凄いソロは聴いておくべきものだと思います。

次にかかったのは?冒頭セロニアス・モンクの曲をカッコ良く演奏していたので、良いな~と思ってジャケットを見るとチコ・フリーマンがサックスとともに写っていました。聴き進むとフリーのような曲もあったりして、「へ~ェ、チコ・フリーマンもなかなかやるじゃない。」と思いジャケットを目に焼き付けておきました。その時はタイトルまでは確認しませんでした。

その次はブラッド・メルドー『アート・オブ・ザ・トリオ・4』でした。こんな感じで時代や編成が異なるアルバムを並べて、飽きさせずに聴かせるのが「いーぐる」選曲です。

P116 さて、家に帰ってから「あのチコのアルバムってもしや?」と思いレコード棚を調べてみると、アレッ!私も持っているじゃあありませんか。

『トラディション・イン・トランジション(邦題:輪廻学)』(1982年、ELEKTRA musician)です。メンバーは、チコ・フリーマン(ts,fl,b-cl)、ウォレス・ルーニー(tp)、クライド・クライナー(p)、セシル・マクビー(b)、ジャック・デジョネット(ds,p)、ビリー・ハート(ds)です。これも80年代のカッコイイ1枚です。

こういう事ってあるんですよね~。ジャズ喫茶で聴いてあらためてその良さがわかるってこと。ジャズ喫茶という空間だからこそ成せる技っていうんでしょうか。

A面1曲目はモンクの《ジャッキーング》でした。ここでモンクばりのカッコイイ・ピアノを弾いているのはなんとデジョネットです。デジョネットはピアノも上手いということはよく知られていますよね。ただしピアノを弾くのはこの1曲のみです。チコとルーニーのフレージングがいかにも新鮮に響きます。新主流派的なものを更に新しくした感じとでも言いましょうか。

油井正一さんの「ジャズ・ベスト・レコード・コレクション」でもこのアルバムを推薦しているのですが、「最近(1980年初頭)は伝統を見直そうとする姿勢の作品が増えてきて、冒頭のモンクの曲がそれを象徴している。他のチコのオリジナル曲もモンクに触発されたもので、タイトル『過渡期の中の伝統(日本語訳)』にふさわしい。」と言っています。

あれから四半世紀。未だに同じようなことをやっているミュージシャンもたくさんいますよね。そしてこの手のやつを、新しい今のジャズだと言う人達もいるのですから笑えます。

この手のことをやる筆頭が当時のウィントン・マルサリスだったこと、未だにこの手のジャズこそを良しとする風潮が続いていることを考えると、ウィントンがジャズを伝統の中に葬ってしまったというのはあながち間違っていないようにも感じる今日この頃です。あっ、戯言ですから軽く聞き流して下さいね(笑)。

2曲目《フリー・アソシエーション》はピアノレス・カルテット。マクビーの強靭なベースとデジョネットのパルスが作り出す速い4ビートにのって、チコとルーニーが熱い掛け合いを行うクールな曲です。デジョネットの力強く切れ味抜群のドラム・ソロも披露されます。

3曲目《ミス・ストーリー》は、ちょっとミステリアスで悲しく美しいスローのテーマ部の後にカリプソ調の軽快なサビが付くという面白い曲です。スローバラードにおけるチコのテナーが切ない感じをたたえているのが良いです。この感じはチコのアルバム『スピリット・センシティヴ』にもつながります。

A面ラスト《トーキン’・トラッシュ》は一番モンクの作風に近い曲です。チコのバス・クラリネットとルーニーのミュートが怪しく迫ります。おどろおどろしい曲なんですけど、ドロドロせずにクールなのが、当時の新感覚を感じさせます。

てな訳でこのアルバム、今聴いてもまったく違和感はありません。

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ジャズ喫茶のオヤジならではのアルバム

ジャズのアルバムをたくさん聴いてきたんですが、未知の良いアルバムはまだまだたくさんありますね。70年代から80年代にはなかなか注目されることはなかったのですが、今聴いてみると、巷に溢れるバップ・アルバムを越えるものはたくさんあります。

それだけ今巷に溢れるジャズのレベルが落ちたと言えばそれまでなのですが、当時のアルバムも知らずに今のやつが凄いんだというような風潮があるのがちょっと虚しく思えてきます。最近のジャズを応援したいのですが、70年代中頃から80年代にさんざんやりつくされたフォーマットの新盤を聴くのも何か違う感じがして、結局私は当時のものを探し出して聴くほうに興味が湧いてしまいます。でもレア盤とかではないですよ。

P115 今日紹介するのはサム・ノート『エントランス!』(1975年rec. XANADU)です。メンバーは、サム・ノート(tp)、バリー・ハリス(p)、ルロイ・ヴィネガー(b)、レニー・マクブラウン(ds)です。ザナドゥ・レーベルってっこの手の渋いアルバムがいっぱいありますよね。

このアルバムはジャズ喫茶「いーぐる」マスター後藤さん著「ジャズ・レーベル完全入門」で知りました。この手のアルバムはジャズ喫茶マスターでないと選べないと思います。当時はフュージョン・ブームの真っ只中。こういうバップ・アルバムは正統派ジャズ喫茶という空間でしか注目されなかったのではないかと思います。

サム・ノートのファースト・アルバムとのことです。トランペットのワンホーン・アルバムでしっかりした内容です。A面1曲目《ファッツ・フラッツ》。ノートはアップ・テンポで快調にバリバリ飛ばし、ハイ・ノートもストレスはなく、陽性で元気なソロは快適そのものです。ヴィネガーのちょっと緩めの音のウォーキング・ベースもブンブン・ブンブンとドライヴ感抜群。ハリスのピアノがマニアの心をくすぐります(笑)。

続く《ラバー・マン》。バラードにおいてもしかっり説得力のあるソロをとってくれます。ハリスのピアノはさすがの貫禄を持って哀愁感満点のソロをとっていますね。この演奏においてはマクブラウンのブラシによるサポートが上手い具合に嵌っています。

B面1曲目《ノスタルジア》。ミドル・テンポで街を闊歩するかの如くの演奏が気持ち良いです。よく晴れた日にこれを聴きながら郊外の街並みをウォーキングしたら最高なんじゃないかな。衒いのないシンプルにして言い切っているトランペットのソロに、気分はウキウキしてきます。こういう曲でのハリスはまさに水を得た魚の如く生き生きとソロをとりますね。そしてそして、ヴィネガーのウォーキング・ベースは文句のつけようがありません(笑)。

別に世間で話題になったわけではないし、レア盤というものでもない。でも聴くとその良さが滲み出てくるようなスルメ的アルバム。実はこういうアルバムに出会うことが一番楽しかったりするから困ったものです(笑)。

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プログレ・トリオ?

これもディスクユニオンのアウトレット¥800なのですが、なかなか良いと思いました。やっぱりアウトレット補充日の初日に行くと良いものが入手できる確立が高くなりますね。東京に住んでいる人が羨ましい~。

P110 フォーマット・ア’・トロア『-PIRATE-』(2006年rec. altrisuoni)です。メンバーは、PATRICK DUFRESNE(ds,rythm box,syn)、FABIEN SEVILLA(b,effects)、ALEXIS GFELLER(p,rhodes,org,syn)です。スイスの新感覚ピアノ・トリオで、メランコリックな美メロが随所で聴けます。

アコースティック・ピアノを弾く曲では、バッド・プラスから過激さを少し引いて、ポップさをまぶした感じです。軽いエフェクター音の処理はなかなかの良いセンスだと思います。ラウドで荒い音とかはバッド・プラスの2番煎じと言われれば、まあそのとおりだと思いますが、悪くはないと思います。

オルガンや歪んだローズを弾いた曲なんかはプログレッシブ・ロック(プログレ)していますね。私はプログレはあまり聴いたことがなかったのですが、一昨年あたりからキング・クリムゾンとかピンク・フロイドとかの有名アルバムを聴いてみて、結構好きなサウンドであることが分かりました。まあその手のやつは古さを感じますが、それもまた良しです。

リズム・ボックスをバックにローズを弾いた曲とかは、ジャズランド~クラブ・ジャズの臭いも感じたりしてこれも面白いですね。オーソドックスなヨーロッパ・ピアノ・トリオ的な演奏もあったりします。レトロから今時までいろいろな要素を混ぜた割には、アルバム全体が統一した雰囲気で違和感なく仕上がっているのが良いところです。

このアルバム、ディスクユニオンの2007 JAZZ ULTIMATE COLLECTION GOLDEN WEEK SELECTでピック・アップされていたのですが、今入手できるのかどうかよくわかりません。これは日本で何枚売れたのかな~(笑)。もし見つけたら聴いてほしい1枚です。
マイナー盤ばかり紹介してすみません!

話は変わって「ジャズ批評」3月号

「ジャズオーディオ座談会 東京編」という記事があり、寺島靖国さん、三上剛志さん、後藤誠一さん、山本博道さんが話しをしているのですが、「ジャズオーディオ」擁護の後藤さんと反「ジャズオーディオ」の三上さんが参加しているのが面白いです。2人のスタンスは「ジャズ批評」読者なら知っていると思います(笑)。これは寺島さんが取り持っているから実現したのでしょうね。

なるほどね。話の中には「ジャズオーディオ」という言葉は出てきません。でもサブ・タイトルには「ジャズオーディオは文化だ」なんて書いてあります(笑)。内容はというと、ジャズ演奏の中身と音のつながりの話は少なくて、相変わらずシンバルの高音だの低音だのって話ばかり、結局「ジャズオーディオ」って、ジャズのCDをソースに使っただけのオーディオ論なんですよね~。

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1980年「ジャズ・ディスク大賞」の’銀賞’!

今日は好き嫌いが分かれるだろう1枚を紹介しましょう。

P107 ギル・エバンス『ライブ・アット・ザ・パブリック・シアター(ニューヨーク1980)』(1980年rec. TRIO RECORDS)です。メンバーは、ギル・エバンス(el-p)、菊地雅章(key)、ピート・レヴィン(key)、ティム・ランダース(el-b)、ビリー・コブハム(ds)、アリリオ・リマ(per)、アーサー・ブライス(as,ss)、ハミエット・ブルーイェット(bs,a-fl)、ジョン・クラーク(hor)、ルー・ソロフ(tp)、ジョン・ファディス(tp)、ハンニバル・マーヴィン・ピーターソン(tp)、ジョージ・ルイス(tb)、デイヴ・バージェロン(tb,tuba)です。いや~っ、凄いメンバーです。

このアルバム、スイングジャーナル誌「ジャズ・ディスク大賞」1980年’銀賞’です。こんな商業セールスにつながらない芸術的アルバムでも昔は受賞していたのです。今じゃあ考えられません。このアルバムは、当時あまり演奏活動をしていなかった菊地雅章がプロデュースして、セールスはあまり期待できないギルのオーケストラを、日本のオーディオ・メーカーの「トリオ(現:ケンウッド)」が録音したというものです。ちなみに菊地は翌年問題作『ススト』を出します。

当時のオーディオ・メーカーはオーディオ・ブームで稼いでいたとは言え、商業的な理由から大手レコード会社が録音しないようなギルのオーケストラのライブをはるばるアメリカまで録音しい行ったのだから凄い。そして、この音楽の価値や録音された意義を認めて「ジャズ・ディスク大賞」の’銀賞’にした評論家も偉いと思いませんか?あれから30年弱、世の中は完全に経済原則に牛耳られ、芸術・文化的なものは肩身が狭いような感じがします。

まあ前置きはこのくらいでやめておきましょう!