ジャズ・アルバム紹介

フリージャズも聴きたくなります。

ここのところ急に寒くなりましたね。冬らしい感じです。

フリージャズのファンって、意外といますよね。ディスクユニオン新宿ジャズ館には結構広めのフリージャズ・コーナーがあるのですが、お店に行くと必ずフリージャズ・コーナーを見ている人がいます。そういう私もフリージャズの新譜は一応チェックする1人です。

フリージャズ好きな人って昔からあまり減っていないのかもしれません。そういう人は前衛&アート志向の人なのではないかと思います。娯楽&癒し志向のジャズ・ファンが増減しても、フリージャズ・ファンは多くありませんが一定数安定存在しているように感じます。

私はフリージャズ・ファンとまではいきませんが、フリージャズも聴くようにしています。フリージャズは難解だからと敬遠する人がいると思いますが、意外と普通に聴けるものもあるんですよ。硬派バップのちょっと先です。最近あまりにも軟派バップものが多いので、この硬派バップまで切り捨てられてしまうのが、なんとも悔しい(笑)。

まあ、フリージャズもそれこそ”ピンキリ”で、比較的分かりやすいものもあれば難解というか不毛なものもあります。私も聴いているのが苦痛になるようなフリージャズは嫌いです。でも、バップを基調としつつ、フォーマットにとらわれないという意味でのフリージャズは面白いと感じます。聴く方の意識をちょっとばかりフリーにすれば楽しめると思うんですよね。

今日紹介するのは、そんな1枚。

P8 ザ・フレーム・カルテット『35mm』(2009年rec. Okkadisc)です。メンバーは、ティム・ダイシー(ds)、フレッド・ロンバーグ・ホルム(cell,electronics)、ネイト・マクブライド(ac-b,el-b,electronics)、ケン・ヴァンダーマーク(ts,B♭-cl)です。シカゴ系の人達です。

シカゴのフリージャズは、AACM(Association for the Advancement of Creative Musicians:創造的音楽家の進歩のための協会)なんかがあるように、黒人のコミューニティにおいて育まれてきた歴史があります。こういう環境下で演奏されるフリージャズは、どこか身近に感じられるような気がしますし、フリーな空気感が醸し出されています。

このアルバムではエレクトロニクスも使用していますが、必要最小限のサウンド・エフェクト程度。基本はアコースティックなサウンドで、ヴァンダーマークの豪放なテナーとロンバーグ・ホルムのノイジーなチェロが主役を演じます。チェロはノイジーですが時に美アート、決して耳触りというほどではなく心地良いと思いますよ(笑)。ダイシーのドラムとマクブライドのベースも力強いビートを叩き出し、フロントを支え鼓舞。ロック・ビートとフリー・ビートの間を行き来しつつ曲が進行していきます。

10分以上の曲が5曲収録されていて、それぞれ、ペーター・ブロッツマン/ハン・ベニンク/フレッド・ヴァン・ホフ、エンニオ・モリコーネ、メルス・カニンガム、ジミー・ライオンズ、スティーブ・レイシーの5組のための演奏となっています。残念ながら私にはそれぞれの人と曲の関連性みたいなものは分かりません。まあ、特に意識しなくても聴くことに支障はないとは思います。

フレーム・カルテットの”フレーム”はカメラの枠のことのようで、アルバムタイトル『35mm』はカメラのフィルムのサイズですよね。上記にあげた人達の音楽をカメラのフレームでフィルムに写し撮るような意味合いがあるのかもしれませんが、これも特に意識する必要はないと思います(笑)。

このアルバムを聴いて、4人のヤンチャで奔放素朴なアートを楽しんでください。

明日はジャズ喫茶「いーぐる」の「持ち寄り2009ベスト盤大会」&忘年会へ行く予定です。

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スレッギルのオーガニック・ミュージック!

今年の漢字は「新」に決まったようですが、世の中不景気一色で「新」な感じはあまりないですね~。自民党から民主党へ政権交代したんですけど、政界に「新風」を吹き込むとまではいってないですよね。政治の世界って結局混沌としているように感じます。

P200 まっ、それはさておき、今日紹介するのはヘンリー・スレッギル・ズォイド『ディス・ブリングスズ・アス・トゥVol.1』(2008年rec. PI RECORDINGS)です。なんなんでしょ。この味もそっけもないジャケットは(涙)。メンバーは、ヘンリー・スレッギル(fl,as)、リバティ・エルーマン(g)、ジョシュ・デヴィラ(tb,tuba)、ツトム・タケイシ(b)、エリオット・ハンベルト・カヴィー(ds)です。

この人、昔は”スレッギル”とカタカナ表記していまいたが、”スレッジル”と表記する方もいますね。外来語のカタカナ表記は難しいです。8年ぶりの新作らしいです。私にとってのスレッギルは「AIR(エアー)」というサックス・トリオに参加していたということ、私がジャズを聴き始めた年に『シカゴ・ブレイクダウン’82』を出して、当時はスイングジャーナル誌でも結構取り上げていた記憶があります。当然私はまだこの手のジャズを聴くレベルではありませんでした。今聴くとなかなかクリエイティブで面白いサウンドだと思います。

さて、本アルバムの話。一言で言うと一筋縄ではいかないサウンド。「いーぐる」周辺では有名なアルバム『トゥ・マッチ・シュガー・フォー・ア・ダイム』をシンプルにした編成&サウンドです。そのアルバムいついては前に書いていますので、以下を参照願います。
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_991b.html

1曲目《ホワイト・ウェンズデー・オフ・ザ・ウォール》は、音の隙間が多めのフリー・インプロビゼーション。音の空間配列や音のニュアンスを意識的に聴かせるような演奏です。スレッギルはフルートを吹いています。

2曲目《トゥ・アンダーテイク・マイ・コーナーズ・オープン》は、ミディアム・バウンスのフレキシブルなファンク・ビートに乗って、デヴィラのトロンボーンやエルーマンのギターがじんわり熱いソロを展開し、最後にスレッギルも雰囲気を維持してソロをとります。この微妙によじれたサウンドが個性的です。

3曲目《チェアマスター》は、デヴィラのチューバーが低音パルスのベース・ラインで演奏をリードする曲です。ギターとベースは自由に動き回っています。浮遊感を感じるよじれたリズムの上で、アグレッシブなスレッギルのフルートが舞い踊り、エルーマンの抽象的なよじれたギター・ソロが続きます。タケイシはアコースティック・ベースを弾いています。私はこの人はエレクトリック・ベースの人だと思っていました。

4曲目《アフター・サム・タイム》では、やっとスレッギルのアルト・サックスが登場。これもよじれサウンドです。リズムとかサウンドは前曲と同じですが、スレッギルがアルトを吹くとアグレッシブさが増してきます。エルーマンの現代的で個性的なギター・ソロが続きます。

5曲目《サプ》は、ドラムのソロから入ります。パワーで押すという感じではなく、ニュアンス&広がりを意識したものです。アップテンポのファンク・ビートに変わり、他の楽器が入ってくる瞬間がカッコいいです。この曲もチューバーがベース・ラインを吹きます。チューバー・ベースって、ちょっと緩い感じがして気持ちいいんですよね。で、リズムがとても軽くなります。ここでもスレッギルのエキサイト・アルトとエルーマンのよじれギターが炸裂。

6曲目《ミラー・ミラー・ザ・ヴァーブ》は、最初と同じでフリー・インプロビゼーション。スレッギルはアルト。これも空間系の隙間が多い演奏です。1曲目よりこちらのほうが激しい演奏になっています。

ちなみに、全曲をスレッギルが作曲しています。前半3曲がフルートで、後半3曲がアルト・サックスという構成でした。全6曲39分5秒。最近にしては収録時間がかなり短いです。潔さを感じます。収録時間がだらだら長いものよりは好きです。

これらのサウンドをなんと説明したらいいんでしょうか?よじれていますが決して威圧感はなく、ちょっとユーモラスで浮遊感があり、身を任せるとかなり気持ちが良いサウンドです。スレッギルが達したブラック・ミュージックというのは、オーガニック・ミュージックなのではないかと感じました。

自然派の人は一度聴いてみてやって下さい!

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エルダー弾きまくり!

スイングジャーナル誌では3.5星。
あ~っ、この良さがわからないとは・・・。
まっ、いいか(笑)。

P199 エルダー『バーチュー(美徳)』(2008年rec. Maserworks Jazz)。メンバーは、エルダー・ジャンギロフ(p,key)、アルマンド・ゴラ(el-b)、ルドビック・アフォンソ(ds)、ゲスト:ニコラス・ペイトン(tp)、ジョシュア・レッドマン(ss,ts)、フェリペ・ラモグリア(ts,ss)、アシュレイ・ブアラウン(vo)です。これは日本盤も出ていますが、私は安い輸入盤を買いました。

この人はとにかくピアノを弾きまくり弾き倒します(笑)。私はこの人にはマッコイ・タイナーと同質のもの見ます。前作『リ・イマジネーション』については、以前ブログにUPしました。http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_b2b1.html

路線的には前作を踏襲していますが、今回は基本にエレクトリック・ベースのピアノ(キーボード)・トリオ。数曲にサックスやトランペットがゲスト参加しています。エレベ・ピアノ・トリオと言えば上原ひろみですが、音楽性は同質でキメが多用されていてプログレ的。とは言え上原よりはエルダーのほうがもう少し甘く情感がこもった感じです。かなり暑苦しいサウンドでまさにマッコイのよう。

バラード系の演奏はベタなコードなのでしょうか?甘くねちっこ過ぎる感じがしなくもありませんが、それが癖になると言えば癖になると思います。私にはそれが”あんこ”の甘さのように感じます。”あんこ”好きにはたまらないのですが、”あんこ”の甘さが嫌いと言う人が結構いるのも事実(笑)。私、バニラアイス(エレクトリック)+あんこ(甘いサウンド)が大好きなのですが(笑)、この人の演奏には似たものを感じています。

スイングジャーナルの評に書かれているとおり、「非4ビートのハード・フュージョン的演奏(シンセソロもあり)」で、「ジャズ・ビヨンド傾向曲はすでに才ある先達が30年前に提出していたものの域を脱していないのは残念。」と書かれているのは、確かに言えるかもしれません。中にはチック・コリアがエレクトリック・バンドでやっていたような演奏があったりしますからね(笑)。でも、新しい今時のハーモニー感覚やリズム感覚も感じられます。

私は、才ある先達が50年くらい前に提出した4ビートのバップの域を脱していない、今そこらじゅうに溢れているジャズよりは、エルダーのやっているジャズを高く買います(笑)。

バニラアイス+あんこが好きな人は必聴(笑)!

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今日は怪しげな1枚。

ヴァンフォーレ甲府、J1昇格ならず。ほんの後1歩及ばず。
来年はJ2の3年目となるのですが大丈夫なんでしょうか・・・。
スポンサーは付いてくれるのでしょうか?かなり厳しい年になるかも?

P194 さて、今日紹介するのは怪しげな1枚。セックス・モブ『ミーツ・メデスキ、ライブ・イン・ウィリサウ2006』(2006年rec. Thirsty Ear)です。メンバーは、セックス・モブ:ケニー・ウォルセン(ds,per)、トニー・シェル(b)、スティーヴン・バーンスタイン(slide tp)、ブリガン・クラウス(as)、ゲスト:ジョン・メデスキ(org)です。録音は3年前でライブ・レコーディング。

このグループについてはジャズ批評誌の「トランペット最前線2005」で知りました。トランペッターのバーンスタインをdoubt musicの沼田さんが紹介していて、このグループのことも書かれていました。

当時の私はジャズの聴き方を暗中模索中。寺島靖国さん推薦マイナー・ピアノ・トリオ系聴きの呪縛を離れて少し経った頃。この号で紹介されていたトランペッターは半分以上知りませんでした。その後かなりチェックして、今ではほぼ全員わかります。で、今そのジャズ批評を読みなおしたら、四谷派とMOONKSメンバーが一緒に書いたんですね。こういう時代もあったのかー。フムフム(笑)。

セックス・モブについては、前アルバム『セクソティカ』をブログで紹介しています。
コチラ⇒http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_cafe.html

セックス・モブはジャム・バンド系のジャズです。いや~っ、実に怪しいサウンドを作りだしています。基本アコースティックですが、フロントの2人、バーンスタインとクラウスが粗くダーティーなサウンドで吠え唸るのが良いです。心に”グリグリ”食い込んできますよ。ベースとドラムもラフで強靭なリズムを繰り出して盛り上げます。

ゲストのジョン・メデスキは、ご存じメデスキー/マーチン/ウッドのキーボーディスト。バンドのサウンドに全く違和感なく溶け込んでいて、とてもゲストとは思えなません。ここではメデスキのオルガンも含めてのサウンドが構築されています。粗いサウンドにクリーミーなオルガンが入ることによって、上手い具合にサウンドを繋いでいます。個々の食材の味を繋ぎによって一体化しつつ、個々の食材の味わいも失われないような料理とでもいいましょうか?

まあ、その味はモスバーガーのようなファースト・フード。それがセックス・モブの良さですね。私は時々ファースト・フードが無性に食べたくなりますが、ジャズにも同じような欲求が出て、それを満たしてくれるのがセックス・モブのようなジャム・バンドだったりします。

曲は3部の組曲からなり、それぞれが起伏に富んだ構成になっていて、かなり練り上げられているのではないかと思います。ただ、演奏は至って自由奔放なものになっていますので、最初から最後までノリノリで楽しめます。最後の組曲は頭のところで、007の「ゴールドフィンガー」のテーマーが出てくるんですが、それをもってこのバンドの音楽性はだいたい想像していただけるのではないかと思います。

ファースト・フードな”セックス・モブ”、美味しいですよ。
ライブも見てみたいものです。

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今日も極楽アルバムで行きましょう!

紹介したい新譜もあるのですが、今日も定番にします。極楽盤!

P192 ミルト・ジャクソン・アンド・ウェス・モンゴメリーの『バグス・ミーツ・ウェス』(1961年rec. Riverside)です。メンバーは、ミルト・ジャクソン(vib)、ウェス・モンゴメリー(g)、ウィントン・ケリー(p)、サム・ジョーンズ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)です。このメンバー、どうですか?これぞハードバップです。それぞれが名手。文句あるやつは出てこい(笑)!

P193 へっへっへっ、これはオリジナル盤です。これも最初はOJCのCDでしたが、ディスクユニオンの廃盤セールでオリジナル盤を買いました。リバーサイドなのでオリジナル盤としては安価です。モノ、溝あり、コンディション:B+。結構重量もあります。私はリバーサイドのさりげない素直な録音も好きです。ヴァン・ゲルダーのガッツや、コンテンポラリーのHiFiとは違う味わいを持っています。

これを購入したきっかけは油井正一さん著「ベスト・レコード・コレクション・ジャズ」でチェックしたからです。で、これは後藤雅洋さん著「ジャズ選曲指南」の「入門編1」にも取り上げられていますよ。

これ、A面最初の《S.K.J.》のテーマをミルトとウェスがユニゾンでゆったり奏でるのを聴いただけで極楽モードです。ミルトのまろやかなヴァイブとウェスの太く温かいトーンがからみあい何ともグルーヴィー!これぞジャズのグルーヴなのです。ケリーの”コロコロ”と転がるピアノ、サム・ジョーンズのプリプリなガット弦、フィリージョーのブラシ、文句ありませんがな(笑)。

続く《ステイブルメイツ》はアップテンポ。フィリージョーが爆ぜまくります。スネアの”パーン”が最高ですね。サム・ジョーンズのウォーキング・ベースも”ズンズン”と淀みなく煽り。こうなるとウェスとミルトは当然の如く張り切っちゃうわけです(笑)。とは言え、肩の力は抜けていて何とも快適。私、ベニー・ゴルソンのこの曲が好きです。

で、バラード《ステアウェイ・トゥ・ザ・スターズ(星へのきざはし)》。ミルトのヴァイブが主役のこの曲。くつろぎのバラードを聴くうちに、気持ちがほぐれてきます。これってヒーリング効果?A面ラストはブルース《ブルー・ローズ》で〆。ズンズン、ズンズンと街を闊歩するような演奏に、ほぐれた気持ちがポカポカしてきます。

B面は割愛しますが、フィリージョーがかなり頑張っています。良いです。
よ~しっ、明日も頑張るぞ(笑)。

最後に、オリジナル盤はやっぱり音が良いのでした。ゴメンねっ(笑)!

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バリー・ハリスに癒されていた時もあったんです。

とうとう12月ですね~。今年もあと1カ月か~。
今年は年明けの「快楽ジャズ通信」へのゲスト出演から始まり、
ジャズ批評誌での「いーぐる」後藤雅洋さんとの対談と続いていったのですが、
その後はだんだん落ち着いて、今は平々凡々な日々(笑)。
1年を総括するにはまだ早いかなっ?
で、結局毎年1年の総括などしない私なのでありました(笑)。

さて、たまにはベタなアルバムのことでも書いておきましょう。

P191 バリー・ハリス『アット・ザ・ジャズ・ワークショップ』(1960年rec. Riverside)です。メンバーは、バリー・ハリス(p)、サム・ジョーンズ(b)、ルイス・ヘイズ(ds)です。言わずと知れた名盤でしょう。

今から15年くらい前、会社の仕事が凄く忙しかった頃、帰ってきてはこれを聴いて癒されていた時期がありました(笑)。何しろ今みたいに欧州癒しピアノ・トリオなんて知らなかった頃ですからねっ。

持っていたのはOJCの安い輸入CD。OJCが輸入されたばかりの頃は確か\1,500くらいで、売っていました。東京によく出張していたので、お茶の水の「セカンドハンズ」(今はない)に寄って買っていました。安いのを良いことに、持っていなかった定番ジャズアルバム、例えばロリンズの『サキコロ』なんかもOJC盤を買いました(笑)。当時はレコードとCDを合わせて300枚くらいしか持っていなかったんです。

皆さんはOJC盤CDの音をバカにしているかもしれませんが、素直で意外と高音/低音もちゃんと出ていたりするんですよ。夜小さい音でかけてもそれなりにバランス良い音で聴けたので、TVをボーッと見ながら、このCDをながら聴きしていたんです。

バリー・ハリスのピアノに目覚めたのは、学生時代に甲府のジャズ喫茶「アローン」で聴いた『プレイズ・タッド・ダメロン』。ジャズ喫茶という空間にマッチした演奏に一発で参ってしましい、その後すぐに「サンリン」へ行って買いました。その時のことはブログにUP済みです。
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_956c.html

私が特に好きなのは、エキゾチックな曲でのハリスです。このアルバムで言えば《スター・アイズ》《ロリータ》。哀愁漂うフレーズが指先からコロコロと紡ぎだされるところに、ウットリしてしまうというわけ。あまり甘くなりすぎず渋さが漂っているところがまたイイんですよねっ。もちろんバップ・チューンも良いです。

で、サム・ジョーンズのベースが、”ブンブン”とメロディアズでとても気持ち良いのです。この音、tommyさんのブログにUPされていたtommyさんとベースの先生の会話を読んで知ったのですが、ガット弦によるものだったのです。いや~っ、いいです。ルイス・ヘイズのスネアの爆ぜ具合と、ハイハットの”シャキシャキ”、シンバルの”チンチキ”もなかなか気持ち良いです。

こういうオーソドックスなバップ・ピアノ・トリオはいくら聴いても聴き飽きない、噛めば噛むほど味が出る良さがあります。愛聴盤の1枚。

ちなみに、今持っているのはレコードです。6年くらい前に、60年代まではレコードにすることに決めて買い換えました。結局OJC盤(笑)。渋谷のレコード屋さん「discland JARO」の通販カタログにオリジナル盤が載っていたこともありました。でもやっぱり高いのでした。OJC盤でいいやっ(笑)。

私、新譜だけを聴いているわけではありませんよ。
やっぱり、こういう定番を聴ききつつ新譜も聴く。
バランス感覚は必要だと思います。

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ジャズが幸せな時代1974年?

これだけ円高だとCDはもっと安くなるのでしょうか?
いずれ還元セールはやるんでしょうね。
HMVのマルチバイ特価も当分の間は継続しそうな感じ?
輸出への打撃を考えずに、輸入CDを安く買えると喜ぶ私(笑)。

さて、今日の話題は?
ジャズ友tommyさんのブログ:Tommy's Jazz Caf'e
面白い記事がUPされています。

本棚から古い雑誌が見つかったそうです。
ジャズピープル発行の「ジャズ」1974年8月号
なんてベタで工夫のない雑誌名なんでしょう(笑)。
tommyさんはとても懐かしいとのことです。
デューク・エリントンが亡くなった年だそうです!

1974年、私は11歳。少し前に書いた井上陽水を聴いていた頃です。
「森永チョコベー」が売っていた頃で「ベェーシール」も集めていたはず?

tommyさんはジャズを聴き、学校帰りに新宿御苑近くの輸入盤専門レコード店に
いつも寄っていたんだそうです。う~ん、青春ですね~。
そのレコード屋さんの広告も載せています。
雑誌の目次も載せています。時代を感じさせます。

編集長のコンセプトで、ジャズ喫茶にもフレンドリーだったみたいです。
「いーぐる」の後藤さん、「メグ」の寺島さん、「ジニアス」の鈴木さんが
レビューを書いているらしいです。読みたい!

続きもあるそうなので、当時を懐かしむ人は乞うご期待!

1974年かー。
その年に出たアルバムでも紹介をしておきましょう。

P188_2 ヤン・ガルバレク:キース・ジャレット・カルテット『ビロンギング』(1974年rec. ECM)です。メンバーは、ヤン・ガルバレク(ts,ss)、キース・ジャレット(p)、パレ・ダニエルソン(b)、ヨン・クリステンセン(ds)です。これ、今では誰しもキースのアルバムと言っていますが、名前はガルバレクが先にきているし、どうやら双頭コンボとして出したみたいです。ライナーノーツは?またまた岩波洋三さんです(笑)!当時キースはインパルスとECMの二股をかけていたんですね。インパルスの『生と死の幻想』も同年録音。さすがはキースです!

久々に聴きましたが、やっぱりキースはいいですね。キースの美意識に溢れる1枚です。北欧のメンバーと組んでいるので、いかにもヨーロピアンなサウンドかというと、もちろんヨーロピアンなものはあるのですが、ゴスペルなものもあります。そこにはアメリカの大地の匂いを感じます。

コルトレーン派のガルバレク、独特のメタリックでねちっこい音が耳に残ります。キースはコルトレーン派のチャールス・ロイドと名演を残しているのは御存じの通り、この手のサックスとはマッチングが良いのです。ここで妄想をすると・・・、キースのスタンダーズ・トリオにマイケル・ブレッカーが加わったカルテットが実現していたなら、面白いことになっていたのかもしれません。キースとマイケルってどこかで共演していましたっけ?

ゴスペル調のタイトル曲で、ガルバレクがガトー・バルビエリに聴こえたりする部分があるのは当然だと思うのですが、《ザ・ワインドアップ》ではソプラノサックスを吹いていて、途中フリー寄りになる部分では、オーネット・コールマンの『ゴールデン・サークル』のように聴こえてくる瞬間があるのは、私の気のせいでしょうか?

ダニエルソンの強靭なベースが気持ち良いですね。クリステンセンのドラムだってなかなかキレているじゃあありませんか。今のユーロ・ジャズ。このアルバムと同レベルのものがどれだけあるんでしょう?昔のこういうのを聴いちゃうと、今のECMの乱造ぎみなのにも疑問を抱いてしまったりします(涙)。

P189 ついでにもう1枚。キース・ジャレット『マイ・ソング』(1977年rec. ECM)です。『ビロンギング』と同メンバーなので、私は『ビロンギング』の翌年にこのアルバムが出たのだと思い込んでいましたが、3年後だったんですね。

こちらは何て言ったって、タイトル曲が良いんです。甘く切なくロマンティックな美メロにメロメロです(笑)。頭の《クウェスター》も好きです。このレコードはA面の出来が特に良いように感じる私です。

「高野 雲の快楽ジャズ通信」の栄えある50回目が「キース・ジャレット特集」
その時の私のレポートは:
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-672c.html

《マイ・ソング》も当然かかりました。雲さんも好きな曲だそうです。
My Secret Roomのすずっくさまも好きな曲の5曲に入れたことがあるとか。

私が持っているのは、どちらも日本盤レコード。
『マイ・ソング』は最初CDを持っていたのですが、レコードに買い替えました。
『ビロンギング』がレコードだったので、統一したくなったんです(笑)。
レコードっていいよね~(笑)。

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ドラマーによる現代音楽的ジャズ。

やっぱりアメリカのジャズは凄いと思います。
今日これから紹介するようなジャズ・アルバムを作って流通させるんですから。
で、それらを輸入して売る人達もエライし、買った私もエライ(笑)!
前にも同じことを言ったような気がします(笑)。

これらのアルバムはジャズ喫茶「いーぐる」で行われた益子博之さんの「NYダウンタウンを中心とした2009年第3四半期新譜特集」で知りました。残念ながら今回私は当日用事があって参加できなかったのですが、後日「いーぐる」のdiaryにリストが掲載されたので、それを見て知りました。

P186 まずはジョン・ホレンベック・ラージ・アンサンブル『エターナル・インタールード』(2009年rec. Sunnyside)です。メンバーは、ジョン・ホレンベック(ds,composition)、ゲイリー・ベルサーチ(p,org,key)、テオ・ブレックマン(voice)、トニー・マラビー(ts,ss)、エラリー・エスケリン(ts)、アラン・フィーバー(tb)、デイヴ・バルー(tp)、ケルミト・ドリスコル(ac-b,el-b)、他。サックス/トロンボーン/トランペット各数名、マレット・パーカッション、指揮者からなるオーケストラです。

リーダーのジョン・ホレンベックはドラマーであり、クローディア・クインテット他自己のいくつかのグループを持って活動するだけでなく、このアルバムに参加しているトニー・マラビーとの「cello trio」、ゲイリー・バルサーチ、テオ・ブレックマンとの「refuge trio」などのグループに参加したりと、とにかく活動は多岐にわたり、それぞれが創造的であるという、とんでもない人です。そして要注意人物であります。

「cello trio」「refuge trio」については、前にブログの書いています。
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/2008-e87e.html
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-87ef.html

このアルバム、ホレンベックが全曲を作曲し編曲しているのですが、凝った曲でかなりの完成度を示しています。やっていることはジャズの単なるビッグ・バンドではありません。ギル・エバンスから連なる練られたアレンジの中にソロを有機的に溶け込ませたものになっていて、マリア・シュナイダー(ギルの弟子)、守屋純子などの現代ジャズ・オーケストラのひとつと言えます。

そのサウンドからは、現代音楽的なものも感じますね。で、ホレンベックの一つの特徴というのが、マレット・パーカッション:ヴァイブラホンやマリンバの使用。サウンドにフワリとした柔らかさをもたらしています。テオ・ブレックマンのヴォイスも効果的に使われています。緻密で凝ったアレンジなんですけど、それを極度に意識させるような張り詰めた感じになっていないところもホレンベックの上手さ。

マラビーやエスケリンの期待を裏切らないソロが入っていて、ファンならばニンマリな場面も出てきます。ベルサーチのピアノ、オルガンもセンスが良いですね。タイトル曲は19分にも及ぶ壮大な音楽絵巻。こういうアーティスティックなオーケストラ作品を作るホレンベックは凄いとしか言いようがありません。

P187 次もドラマーのアルバム。タイション・ソーリー『公案』(2009年rec. 482Music)です。メンバーはトッド・ニューフェルド(el-g,ac-g)、トーマス。モーガン(b,ac-g)、タイション・ソーリー(ds,cymbals)です。タイション・ソーリーは、アルトサックスのスティーブ・リーマンのグループなどでとんでもなくキレキレのドラムを叩く人です。凄く巨体らしくて、ライブで見るとこの人のせいで周りの温度が数度上昇するなんて話も聞きます(笑)。

スティーブ・リーマンのアルバムについては、前にブログに書いています。
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/2009-ny-988c.html
http://ikki-ikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-756b.html

エレキ・ギターとベースとドラムなので、ロック・トリオを期待する方もいらっしゃるでしょうが、これが現代音楽的なのです。かなりの部分が作曲されているようです。そして、音と音の隙間が多い演奏になっています。タイトルの「公案」からわかると思うのですが、日本テイストが漂っています。

場合によってはギターの音が、琵琶の音に聴こえてきます(笑)。《トゥ・ギターズ》という曲が正にそれ。奏でるフレーズが琵琶なんです。左右のギターがまるで禅問答をしている感じなのには参りました(笑)。ソーリーはドラムを叩いていないので、作曲しただけってことになります。どうしてなのっ?おせーて(笑)。

私は武満徹をそれほど聴いたわけではありませんが、そっち方面の世界に通じるんじゃないかと思います。瞑想的で墨絵の如き淡々とした演奏が多いです。これは”わびさび”の世界ですね。このアルバムを聴いていると心が次第に落ち着いてきます。

ロック・ギンギンのアバンギャルドを想像して聴いたので、すっかり肩すかしを食らわされてしまいました。で、本来ならこんなのジャズじゃない、つまらないということになりそうなのですが、これがどうして結構嵌まってしまう世界なのでした。日本テイストが良いのかな~。これからは、たまにはこのアルバムを聴いて瞑想することにします(笑)。

これらを気に入った私ってエライと思いませんか(笑)?

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今日はDENON PCM録音。

まず最初に、最近楽しく見ている番組があります。
NHK総合の木曜夜10:00からやっている「ブラタモリ」です。
http://www.nhk.or.jp/buratamori/
「アド街ック天国」のNHK版みたいな番組です。
NHKなので宣伝要素はなく街の歴史的なことが中心。
タモリと久保田アナが街を見て歩く番組です。

今日は秋葉原でした。
タモリなので、メイド喫茶とかフィギュア系はなし。
電子部品中心だったので面白かったですよ。
ラジオ・センター内の「内田ラジオ」の内田さんが出ていました。
私はこのお店で、真空管やパーツを何度か買ったことがあります。

さて、今日の本題。

最近DENONのPCM録音ジャズがHQCDで再発されました。
http://diskunion.net/jazz/ct/news/article/1/10776
20タイトルです。
ボブ・バーグだけじゃなくてイリアーヌの初リーダー・アルバムも
録音していたとは知りませんでした。
HQCDなのが私的には気に入らないのですが、¥2,100なら許す(笑)。

DENON PCMというと、ジャズ友間で話題になったりしていました。
まずは、マッコイ・タイナー『ダブル・トリオズ』
納浩一がこのアルバムでのマーカス・ミラーが凄いと言ったとか。
tommyさんはオークションで入手しました。

tommyさんは、DENON PCMのレコードを集めたいと仰っていたはず?
ソニー・スティット『ヴァーモントの月』での、トニー・ウィリアムスが良いと
仰っていました。
実はそのレコード、今私がお借りしています(笑)。
ソニー・スティットがイイんですよ。

私はDENON PCMのCDは3枚持っています。
まずはボブ・バーグ『ボブ・バーグ短編集』『イン・ザ・シャドウズ』
前者はリアル・タイムで買いました。
このアルバムは以前ブログにUP済。
雲さんと《フライデイ・ナイト・アット・ザ・キャディラック・クラブ》が良いと
盛り上がったりしました。

で、もう1枚がピーター・アースキン『トランジション』(1986年rec.)です。
P182私はリアル・タイムで買いました。
これは今回再発されませんでしたね。
だって、ジャケットがこれですよ!
この毛むくじゃらの人はアースキンその人です。
これをジャケ写にするセンス???
アート・ディレクターHaruo Koguchiさん。あなたって人は。
これは再発できないでしょ(笑)。
このキモイ写真。今回大き目にしておきましたので、クリックしてご堪能下さい。

メンバーは、ピーター・アースキン(ds,el-per,synなど)、ジョン・アバークロンビー(g-syn,g)、マーク・ジョンソン(b)、ジョー・ロバーノ(ts,ss)、ボブ・ミンツァ(ts)、ケニー・ワーナー(p,syn)、ドン・グロルニック(syn)、ペーター・ゴードン(french horn)です。現在も第一線で活躍する凄いメンバーが集結していると思いませんか?ドン・グロルニックが亡くなってしまったのは非常に残念。

プロデュースはアースキン自身で、コ・プロデューサーのヴィンス・メンドーサが5曲提供し、アレンジでも大活躍しています。アースキンは3曲(1曲は演劇用組曲)、ケニー・ワーナーが1曲書いています。

このアルバムは、コンテンポラリーから出た初リーダー・アルバム『ピーター・アースキン』に続く2枚目のリーダー・アルバムです。アースキンはウェザー・リポートやステップス(アヘッド)のドラマーでしたから、ここでのサウンドもエレクトリックとアコースティックをうまく混ぜたコンテンポラリーなもの。

今となっては誰でも知っていると思いますが、アースキンは力で押すようなところはなく、非常に柔軟で繊細かつ自由な空気を感じさせるところが、私は気に入っています。《組曲:シェイクスピア作「リチャード2世」より》なんかは、スマートでドラマチックな作りになっていて、これはメンドーサのアレンジだと思うのですが、良い出来だと思います。各人のソロも良い出来ですね。

後半のメンドーサの曲を聴いて、この人はセンスが良い人だな~と、私は思ったのですが、それは皆さんも同じだったようで、これをきっかけに多くのミュージシャンにメンドーサーの曲が提供されるようになりました。

《ライオン・アンド・タイガー・アンド・ベアーズ》なんか、ドラム・ソロにメンドーサーのシーケンシャルなシンセサイザーのトゥッティ・セクションが被さって刺激的です。バラード《救いの手》は儚くも美しい曲で、ジョー・ザビヌルに捧げた曲というだけあって、ウェザーの《お前のしるし》に似た曲調。甘くなりすぎないメロディーがイイです。

アースキンの曲では、当時のフィリピン大統領コラソン・アキノ氏に捧げられた《コラソン》が私は好きです。南国の長閑でゆったりした感じの曲想が良く、スティール・ドラムを模したシンセが良い味を加味しています。ジョー・ロバーノがフュージョンしているこれは、結構珍しいんじゃないでしょうか?

ジャケットは最悪ですが、中身は良いと思いますので、中古盤でも見つけたら拾ってあげて下さい。

DENON PCMの再発CD。マッコイのやつ買おうかな~?

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これはハイブリッド・ジャズです。

先日、定期的にジャズ・ブログを巡回していると書きました。
今日は巡回中にアルバム評を読んで、
「これは聴きたい。」と思ったアルバムを紹介します。

「ジャズ批評」誌の「ブログ・ウォーキング」仲間すずっくさまが書いてました。
ココ
http://plaza.rakuten.co.jp/mysecretroom/diary/200910200000/

P177 アーロン・パークス『インビジブル・シネマ』(2008年rec. BLUE NOTE)です。メンバーは、アーロン・パークス(p,melotron,glockenspiel,key)、マイク・モレノ(g)、マット・ペンマン(b)、エリック・ハーランド(ds)です。

昨年の今頃発売したアルバムです。当時はそれほど買おうと思いませんでした。ジャケットのイメージから、内省的で暗いアルバムというイメージがあって、あまり聴く気になれなかったのです。

ところが今回、ブログを見ていたらすずっくさまが
「この不思議な世界は今の季節にかなり似合うな。。って、思った。」
と書かれていたので、聴いてみたくなったというわけです。

このアルバム。今風のハイブリッド・ジャズだと思いました。ジャズ以外の要素や感性が混ぜられています。4ビート、ブルージー、アドリブ一発という、いわゆるジャズ的な要素は薄いと思いますが、その分ロック、フォーク、ポップスなど他ジャンルの要素が上手い具合に融合されていると思います。

このアルバムの雰囲気は”暗い”とのご意見が多いのですが、私はあまり暗いとは感じません。多分もっと暗くて抽象的なものをたくさん聴いているからでしょう。う~ん、これから、もし私がこれは”暗い”と書いたら、とんでもなく暗い、つまり”暗黒”のアルバムということになってしまうのかも(笑)?

1曲目《トラヴェラーズ》はデジタルライクなリズムの曲です。上原ひろみのピアノ・ソロ・アルバムの1曲目《BQE》に近い匂いを感じます。ドラムとベースが上手い具合にデジタルってると思いますよ。最後のほうに出てくる抒情的なフレーズ。こういう抒情性と無機質なデジタルのハイブリッドは上原にもあるんです。ピアノ・トリオでの演奏。パークスは速いパッセージも楽々こなすテクニシャンで音も粒立ち良くクリア。窮屈さがなく開放的な(ちょっと荒い)のが良いです。

次の《ピースフル・ウォーリア》。これはもうパット・メセニーの東洋系フォークの世界です(笑)。こういう郷愁感のある曲は日本人好みだと思います。モレノのギターには、これはもうしょうがないんですけど、メセニーやカート・ローゼンウィンケルの影響を感じます。曲の展開もドラマチックで、4人が一体化して作り出すサウンド・スケープは魅力的です。

《ネメシス》は7拍子。モレノがカートのようなギターを弾くので、変拍子と相まって今時NYのサウンド。ちょっと内省的なメロディーが暗さを漂わせていますが、パークスもモレノも突き詰めない程良いテンションなので、ダークというよりはクールな感じです。グロッケンシュピールを使うあたりは、鬼才ドラマー、ジョン・ホレンベックに通じます。薄くキーボードも被せていてNYサウンドですね。これは。

《リドル・ミー・ディス》はロックなリズムで、バッド・プラスに通じる世界ですが、あそこまでの過剰性はありません。パークスもモレノも程良くポップな意識があるところに、私は開放的なものを感じます。NY系のともすると排他的な世界に陥っていないことに好感を持てます。《イントゥ・ザ・ラビリンス》はピアノ・ソロ。クラシカルな雰囲気漂うかわいらしい小品と言っておきましょう(笑)。これら2曲は3分弱の短い曲です。

《カルマ》はECM系のコンテンポラリー・ジャズです。これが一番いわゆるジャズにとどまっているかもしれません。ベース・ソロ、ピアノ・ソロ、ギター・ソロがアドリブを強く意識させるものになっています。他の曲はどこまで作曲でどこがアドリブか分かりにくいものやアドリブなしもありますからね。アップテンポの6/8拍子にのって、オシャレでビューティフルに演奏しています。

《ロードサイド・ディストラクション》は、今流行りのフォーク/ブルージーな曲。モレノのギターがスティールギターの響きを模しています。この曲はアドリブなしの短い曲です。《ハーベスティング・ダンス》はスパニッシュ/ジプシー系美メロ曲。こういう曲もNYを意識させますね。当然の如く変拍子。モレノが弾くフレーズはなんとなくアルディ・メオラに聴こえてきたりします。キメなんかはチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーの世界かも?

《プライス》はフォーク/ポップな世界。一歩間違えると暗めのリチャード・久レイダーマンのようでもあります(笑)。キャッチーで聴き易い曲になっています。ラスト《アフターグロウ》。ピアノ・ソロで静かにエンディングです。

全曲の説明を書きましたが、それはジャズの新しい世代観やジャズ以外のサウンドが詰まったアルバムだということを、わかってほしかったからです。色々なミュージシャンを引き合いに出していますが、だからと言ってパークスが真似をしているというわけではありません。色んな要素を取り入れた上で、ここにあるのは間違いなくパークスの世界です。ぼーっと聴いていると、まるで映画のサウンドトラックを聴いているように流れます。

最後になってしまいましたが、全曲パークス作曲です。この人、なかなかのコンポーザーだと思います。過去にはオーソドックスなピアノ・トリオを出しているようですが、私は今のコンテンポラリー路線にこの人の良さを感じます。今後にも注目。

これ、聴いて良かったです!

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