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2023年8月

レコードプレーヤー探訪 FR-D55

自作レコードプレーヤーのプラッターを交換して
イメチェンしてみようかと思い落札しました。
サンスイのFR-D55です。ヤフオク¥500也。
中身を見たかったということもありますが目的は上記のとおり。

ダストカバーなし。
ダストカバーなしで梱包がいい加減だと、
輸送中にトーンアームレストやトーンアームそのものが
破損する危険大。
私は直して使う気はなかったので破損してもO.K.でした。
今回は壊れずに届きました。
プラッターが黒色なので精悍な感じです。

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フルオートでかつ選曲機能付き。
クォーツロックはなし。

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この頃流行りのローマスストレートトーンアーム。
華奢なので私は嫌いです。

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支持部のこの形は結構好きです。
オーディオクラフトのワンポイントサポートみたい。
これはワンポイントサポートではありませんが。

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カートリッジの前方に何やら怪しげなものが付いています。
曲間の無音部分を検出するセンサーです。

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ネットで拾ったマニュアルには下図のような説明が記されています。
このセンサーによって、
「驚異のコンピューター自動選曲システム」が可能に。
当時レコードでこういうことをやりたい人がいたんですよね。
まあ数年後にはCDが出ていとも簡単に実現。
そういう人達に支持されて、「あっ」という間にレコードを駆逐。

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底板はプラスチックで脚直付け。

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リブが入っていますが薄くて強度不足。

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コンピュータ自動選曲なので、
トーンアーム制御の大きな基板(左側)があります。
右の大きな基板は電源系で部品実装少なくスカスカ。

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トーンアームの駆動部はコンパクトですが複雑なもの。
専用モーターで駆動するサンスイ独自の構造。

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コンピューター自動選曲はマイコンで行います。
コンピューターI/F用のトランジスタがずらりと並んでいます。

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マイコンには「Sansui」の印字がありますが、
マニュアル記載の型式から言ってNEC製です。
この4ビットシングルチップマイコンは、
当時他のオーディオ機器にも使われています。

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それより気になるのがモーター。
サンスイお得意の20極30スロットモーターです。
オンキョーのレコードプレーヤーもこのモーター。

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これはFG付でクォーツロックなし。

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この基板だけで回転制御しています。
IC化されているので部品数は少ないです。
トランジスタだらけのDENONとは大違い。
この頃まで生き残ったモーターだけのことはあります。

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コイルの上にある円盤部分がFG。
この精密な造りには惚れてしまいます。
コイルの外側が塗装されたものは初めてみました。

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このモーターのバリエーションについて整理します。
下記機種は全て入手して確認しています。

オンキョー PX-55F: FG付、クォーツロック、マグネット大
OTTO TP-Q7: FG付、クォーツロック、マグネット小
サンスイ FR-D4、FR-D3: FGなし、クォーツロックなし
サンスイ FR-D55: FG付、クォーツロックなし
サンスイ FR-Q5: 磁気記録検出FG、クォーツロックなし

※FR-Q5は後日紹介します。

ニーズに合わせて色々作っていたことが分かりました。
このモーターについてここまで調べたのは私だけでしょうw。
CD時代まで生き残ったシンプル20極30スロットモーター。

ところで、
このプラッターを使ってイメチェンしようと思ったのですが、
ご覧のとおりの肉薄ペラペラプラッターでガッカリ。
これでは使う気が起きません。

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モーター以外はガレキになってしまいました。
ごめんなさい。

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レコードプレーヤー探訪 SR-F45

何でこれを買ったのかよく覚えていません。
ハードオフのジャンク品、オーレックスのSR-F45です。
廉価フルオート機。
外観はご覧の通りのボロ。

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廉価品ならではの使いやすさ考慮?
レバー式の操作スイッチが特徴です。
個人的には操作しやすいとは思いませんが。

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モーターから駆動力を得てトーンアームを動かすタイプ。
極普通のトーンアームです。

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底板が鉄板なのは珍しいです。
軽いプラスチックキャビネットなので、
ハウリング対策の重量増が目的でしょう。
脚は普通のもので底板直付け。

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底板がモーター周辺の機構と干渉しないようにくりぬかれ、
そこだけプラスチックになっています。
何か中途半端な構造です。

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底板を開けてビックリ!
モーターはLo-Dのユニトルクモーターです。
東芝さん節操ないですね~。
日立のモーターを使うなんて。
安く作るためには何でもありか。
キャビネット外周は比較的厚みがありしっかりしているほう。

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フルオート機構は複雑なメカ式ですが、
鉄板に覆われて機構部分は見えません。

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これがユニトルクモーター。

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以前紹介したLo-DのHT-352のモーターと比較してみましょう。
ちなみにHT-352はガレキ行で今は写真しか残っていません。
これがそれでベース鉄板はクロメート処理されています。
上記モーターは亜鉛メッキのみなのでより安いのでしょう。
東芝さんケチるよね~w。

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モーターに貼ってある銘板を見比べます。
左:オーレックス、右:Lo-D。
さすがにオーレックスには日立モートルマークがありません。
どちらも製造している(MFR)のはJAPAN SERVO(J.S.)です。
ユニトルクモーターは日立設計で、製造は日本サーボだったんですね。
今回銘板をきちんと見てそれが分かりました。

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亜鉛メッキだけの鉄板は安っぽいですよね。
形状はユニトルクモーターそのもの。

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ローター磁石は幅が広いので磁力は強いはず。
軸受がしっかりしているのは、無骨な日立モーターの証か。

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モーターを横から見て比較します。
左:Lo-D、右:オーレックス。
ローターの磁石と鉄板の接着の仕方はオーレックスの方がきれい。
多分オーレックスの方が新しいので、
作り方などは改善されたということなのでしょう。
オート動作用のギヤの位置と形状が異なっているのは、
それぞれのレコードプレーヤー用にカスタマイズされているから。

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プリント基板も比較します。
左:Lo-D、右:オーレックス。
Lo-Dには日立モートルマークあり。
ここも両方にJAPAN SERVOと書いてあります。
基板製造は日本サーボなのでしょう。
基板型式はTDK-T5VとTDK-T12Vです。
普通数字が大きい方が新しいので、
オーレックスの方が新しく設計された基板です。
基板外形も簡単になり、こういうところも安くする工夫。

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今回は更に分解してみました。
プリント基板の上にあるのはホール素子です。
ホール素子の取付け角が独特。
コイルは独特形状でこれこそがユニトルクモーターの独自性。

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これだけ薄くて巻き数が少ないので、
コイルが発生する電磁気力は弱いことになります。
つまりトルクは弱いということ。
このコイルのエッジワイズ巻は難しいと思います。
日本サーボで製造しているにしても、
コイルの製法は日立が特許をとっていそうな気がします。

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回転制御基板がこちら。
JRCのデュアルオペアンプ4558Dでコイル駆動用トランジスタを
ドライブしていると思います。

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プラッターはユニトルクモーターにしては外周が厚く、
慣性質量は大きいものになっています。
内側にリムがあるのでベルトドライブと共用だと思います。
トルクが少ないモーターで、
プラッターの慣性質量(力が加わらなくても回り続けようとする効果)を
使ってトーンアームを駆動しやすくするのでしょうけれど。
Lo-Dならばこういう使い方はしないでしょうね。
オーレックスのいい加減さが出ているように思います。
このプラッターは外周がほんの少し高いので、
そこにかかる径のゴムマットは使いたくないです。

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何もしなくてもモーターはスムーズに回っていたのですが、
メンテナンスということで軸と軸受を掃除して
テクニクスのオイルを入れたら回転が不安定になりました。
どうやらもっとサラサラのオイルでないとダメみたい。
ミシン油を入れようかと思いましたが、
特にこのモーターが好きというわけではないので、
分解しておしまいということになりました。

ユニトルクモーターの考察ができたので、
私的には収穫がありました。

余談ですが。

日本サーボは日本電産サーボの元となった会社です。
日本電産サーボは最近ニデックアドバンスドモーターと改名。
川口春奈さん出演のTVCMが流れています。
裏方の会社なのにTVCMする必要があるのかと思いましたが、
新入社員を集めるためなのでしょう。
裏方製品を作る技術系会社は人気がないでしょうから。
TVCMやってる会社ということで知名度が上がれば人も集まる。
でも今時の若者はTV見るのかな~?

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