レコードプレーヤー探訪 SL-D30PMK2
モーターが見たくて落札しました。
テクニクスのSL-D30PMK2です。
レコードがメインの時代、
テクニクス最後のモーターが多分これだからです。
ダストカバーはありません。
当時の流行りの一つ、ローマスストレートトーンアーム。
カートリッジはT4Pタイプを直接取り付けられます。
テクニクスが開発した画期的なジャケットサイズレコートプレーヤー。
それ用のカートリッジをT4Pタイプと言います。
メカ式のレコードサイズ検出機構付き。
プラッターを外すと、扁平プレーヤーのステーターが現れます。
こういう形状のモーターだと、
加工に融通が利くプラスチックキャビネットしかありませんね。
外周の折り返しパターンは回転周波数発生器(FG)。
表面に付いていたヒュミシールは汚いので拭き取りました。
テクニクスの伝統でローターはプラッター裏に取付け。
外周部が薄いので慣性質量は小さいです。
軽量ペラペラなプラッター。
円盤磁石は油か何かで汚れていたのでエタノールで拭きました。
テクニクス最後期のモーターが扁平型と知ったのは昨年。
ネット検索していて見つけました。
このレコードプレーヤーが発売した当時、
私はジャケットサイズプレーヤーに興味はなかったし、
モーターにも興味はなかったので、最近まで知らずにきたのです。
ジャケットサイズプレーヤーも初期は例のモーターでしたが、
途中からこっちになっていたんですね。
扁平モーターのほうが薄型レコードプレーヤーに実装しやすいですから、
当然と言えば当然の流れなのでしょう。
そういうモーターを通常のレコードプレーヤーにも使っていたということ。
SL-Q202、SL-Q300、SL-Q303、SL-QD3、SL-QD33、SL-QX300も
このモーターでしょう。
トーンアームのベースはキャビネット一体のプラスチックですが、
可動部分はしっかり金属でできています。
バランスウェイトはテクニクス特有の構造。
脚は底板に直付けです。
音声出力はRCA端子でGND端子付き。
底板は薄めのプラスチックで強度はそこそこ。
トーンアームメカにかなり注油したんでしょうね。
その下部に油がかなり垂れています。
フルオートプレーヤーなので複雑なメカがあります。
モーターは制御基板も含めコンパクトな仕上がりです。
キャビネットは薄いプラスチックで剛性はなさそう。
テクニクスは電子制御によるトーンアーム駆動や
トーンアームのダンピングには消極的でした。
ジャケットサイズプレーヤーのリニアトラッキングは電子制御ですが。
鉄板とプラスチック部品が混然一体化されているのは当時の新技術。
モーター軸からトーンアーム駆動力を得るためのギヤがあり、
モーター軸受は華奢なものになってしまっています。
トーンアームの駆動メカが一体化したまま外せます。
モーター全体像と実装状態がこれ。
さすがテクニクス、モーター制御のIC化が進み、
クォーツロック制御とモーター駆動の2個のICと、
10個ほどの部品でモーターを制御しています。
これなら安く組み立てられるでしょう。
このプリント基板の裏側にモーター駆動コイルが貼り付けられています。
電気配線(ハーネス)もこんなに簡略化。
製造コストを抑えることが大事な時代ならではのアセンブリ。
いつものパターンでモーターを外して回して遊んでます。
きちんとクォーツロックします。
駆動コイルが見たくて更にモーターを分解。
とにかくパーツは少なくて作りやすそうになっています。
薄い鉄板ですけれど、プレス成型によって形状効果で剛性は確保しています。
プラッターが軽いから必要十分なのでしょうけれど、
軸受がこれではちょっとねーっ。
テクニクス特有のコイル形状です。
コイルを2個にしてトルクを増やしているとか。
2相全波駆動方式と言うらしいです。
これってスロットに巻いていたコイルを平面化しただけじゃないの?
コイルが重なるところのみに絶縁シートを入れてショート防止。
このケチケチ設計はさすがテクニクス。
時代を象徴するような合理化設計モーターにある意味感動っ!
いかに安く作るか。それがこのモーターの使命!
がしかし、正直に言ってしまえば、
このモーターのレコードプレーヤーは使う気になれません。
ピュアオーディオではなくカジュアルオーディオ用です。
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