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2022年8月

レコードプレーヤー再構築

ジャンクから部品を取ってレコードプレーヤーを再構築しました。
今回はこれまでと少し違った方法をとっています。
かなり前から構想はあったのですがなかなか実行できませんでした。

今回の方法は古いレコードプレーヤーの枠だけ使う方法です。
ヤフオクの画面を眺めてサイズ感や形や相場を確認して決めたのがこれ。
SONYのPS2350です。もちろんジャンク。
本当は木目調が良かったのですが落札価格が高いのでパス。

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昔のオートプレーヤーはメカ部が鉄板で構成され、
それを木枠にはめ込む構造のものが多々ありました。
この構造、実はかなり堅牢です。
アーム部やゴムマットがPS-3700と類似しています。
同世代の下位機種がこれらなのでしょう。

「オーディオの足跡」を参照。
SONY PS-2350の仕様 ソニー (audio-heritage.jp)

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底板はプラスチック製。
右手前が四角形の凸になっていますがその下には何もありません。
このレコードプレーヤーには不要です。
他のレコードプレーヤーと部品を共有しているのでしょう。

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脚は枠の方にしっかり固定されていて高さ調整可能。
SONYのレコードプレーヤーは廉価品含めほぼこの構造。
脚の重要性をよく理解していてそれが徹底されています。
薄いプラスチック底板に脚を直付けするメーカーが多いのに。
ただしプラッターの軸受構造がひ弱で、これは壊れていました。
このレコードプレーヤーを再生して使う気なら軸受の良否は要確認。
ベルトドライブ方式のモーターは意外と立派。

まあしかし、修理してまで使いたくなるようなものではありません。

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枠しか使わないのでメカ部を取り外します。
ネジを数本外せばメカの鉄板は抜けます。
メカを載せていたつば部分に板をはめ込んで再構築します。

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枠部分は意外と厚みがあり、かなりしっかりしています。

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二つ前の記事で紹介したPX-55Fのモーターを並べて位置確認。
制御基板が大きくて心配でしたが何とか入ります。
モーターやトーンアームを載せる板は、
ホームセンターで売っているMDF材9mm厚です。
つば部の上に5mm厚の木片を入れて高さ調整しています。

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モーターのローターが当たるのでその部分は角穴を開け、
上に板(MDF材6mm厚)を貼り付けてモーターを取付けます。
強度的にはこれで問題ないレベルだと思います。
ネット検索をするとMDF材ならではの特徴あることが分かります。
今回使ってみて私は加工しやすいと思いました。

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部品を上に載せて細かい位置の最終確認。
トーンアームはビクターJL-B31から取り外したもの。

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MDF材は塗料が染みこんでしまうので、
つるつる仕上げにするには工夫が必要です。
私はこのような仕上がりの方がむしろ良いと思います。
色ムラもそのままです。
木ネジだと抜ける可能性があるということなので、
各パーツはネジで固定しました。

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トーンアーム取付け部とモーター取付け部の間、
制御基板の下には補強板を貼り付けてあります。
全体的に小ぶりなのでキャビネット強度はあると思います。

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トーンアーム取付け部。
ここにはシールドケースを被せます。

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電源ON LEDと回転数切替スイッチはサブ基板から配線しました。
制御基板は軽いので木ネジで取付けています。

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モーターは太いスタッドを介して取付けています。
電源トランスはゴムで浮かせて、重いけれど木ネジ取付けにしました。
木ネジを締めた感触では特に問題ないと思います。

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底板との干渉はなく収まりました。

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プラッターはKP-F500からとったものです。
その後KP-M350のものに交換しています。
ストロボ照射部のプラスチックはDD-1000から外したものです。

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レトロでシックな仕上がりだと思います。
意外と上手くいったので常用機となりました。

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今はこのくらいの大きさのレコードプレーヤーで十分。
満足です!

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レコードプレーヤー探訪 KP-F500

レコードプレーヤー自作記事の前にもう1台紹介しておきます。
トリオ KP-F500
ハードオフジャンクで500円。
中身が見たかっただけので使えなくてもO.K.
ダストカバーなし。

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キャビネットはNewARCB材 でしっかりしています。
トーンアーム支持部分が華奢な作りになってます。

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脚は底板に直付けで高さ調整不可。

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脚はゴムカップで劣化すると底板が当たってしまい、
脚が効かなくなります。

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底板は薄めのプラスチックで強度はあまりありません。

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フルオート機なのでアーム制御基板が大きいです。
モーターは小型になっています。
キャビネットは硬質樹脂で厚みがあり、強度も重量もあります。

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トーンアームは専用モーター駆動なのでメカは比較的シンプル。

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トーンアーム制御はロジックICで回路を組んでいるのでICがたくさん並んでいます。
1層基板なのでジャンパー線も多数あります。
電子制御故の安全設計ができるのは電子制御の強み。

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モーターはJAPAN SERVO(日本サーボ)製。
現日本電産サーボにつながる会社です。
KP-R404のモーターも同じ物ではないかと思います。

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小型の扁平モーター。
電源トランスは大きめなのでトルクはそこそこあります。

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ローターを外してビックリ。
パイオニアのSHローター方式と同じで支点が軸の上にあります。
軸が細くて頼りないですが、
モーターベースにしっかり固定されていて、
何よりプラッター自体がそれほど重くないので強度的には問題ないのでしょう。

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コイル4個で駆動する扁平モーターの標準形です。
コイルが小型なので高トルクをうたうほどではないでしょう。

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前の記事のPX-55Fのモーターと比較してみました。
サイズは同じくらいです。
プラッター勘合部に互換性があるので、
20極30スロットモーターも日本サーボ製かもしれません。

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プラッターは外周部に厚みを持たせて慣性質量をかせぐトリオ方式を踏襲。
KP-M350のプラッターとほぼ同じ形に見えますが、
外周部の厚みはこちらの方が少し薄くて重さも減っています。
扁平モーターならではの磁力による軸受への荷重増と
細い軸への配慮と思われます。
左:KP-F500  右:KP-M350

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プラッターのみ残して、他はガレキになりました。
常用しようと思うレコードプレーヤーではないので修理はなし。

この頃の中低価格レコードプレーヤーを詳しく紹介している人はいないし、
今ジャンク品は安く入手できるので、
物が入手できるうちに記録を残しておこうと思って記事を書いています。

いよいよ次はこれを紹介します。
ジャンク再利用ですがこれまでとは異なる作り方にしました。

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お待ちください。

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レコードプレーヤー探訪 PX-55F

お久ぶりです。
生きていますw。
半年以上ブログを放置していました。
書く気が起きませんでした。
読者の皆さんごめんなさい。

ネタ収集は怠っていなかったので、
ネタはそれなりにあります。

本日も凝りずにいつものやつです。

お題はオンキョーのPX-55F
こいつのモーターが見たかったのです。
サンスイFR-D4がらみでネット検索していたら、
同じようなモーターを使っていることが分かったからです。
オンキョーは最後までこの手のモーターを使っていた驚き。
この機種は扁平モーターだと思ったのに。

ハードオフジャンクで1000円。
脚が1個なくてヘッドシェルもなし。
モーターが見たいだけなので他はどうでも良し。

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大きなプラッターです。
この時期流行りの軽量ストレートアーム。

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このレコードプレーヤーの売りはフロートベース構造。
モーターとトーンアームを強固に連結ということなのですが・・・。

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ベースとアームパイプは金属なのに、
そこをつなぐ可動支点部分がプラスチックなのです。
材質が分かるように角をニッパーで切り落としてみました。
写真の色や質感からもプラスチックだということは分かるでしょう。

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トーンアームの可動支点部分がこれでは意味がありません。
後で紹介しますがモーターの軸受保持部分もプラスチックです。
強固に連結すべきはプラッターとカートリッジであり、
それによって変換ロスを減らすわけでして、
その間にプラスチックが2か所介在するのではいやはや。
このちぐはぐな設計は何?

こんなところをわざわざネジの形にしなくても良いのに。
当時のオーディオデザインのメカニカル傾倒ぶりが分かります。

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フロートベースは私に言わせればギミックです。
こういう設計をした当時のエンジニアの気持ちは如何に。

脚もただ大きいだけの見た目重視。
脚の固定ネジは細く高さ調整もできません。
こういう設計は嫌いです。

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底板は薄めで軽量。

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コンピュータ制御フルオートなので制御基板は大きいです。
モーターは小型だけれど電源トランスは大きめなので、
トルクはそこそこあると思います。
キャビネットの剛性はあまり高くないです。

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専用モーターによるフルオートなので、
トーンアーム駆動メカは比較的シンプルです。

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制御基板の真ん中に鎮座するマイコン。

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東芝の汎用4ビットマイコンを使っています。
この頃になるとメカの組み立て工数を抑え、
専用ICを作る膨大なコストを抑える目的で、
汎用マイコン+制御ソフトということになります。
トータルとしてはこの組み合わせの製造コストが一番安いでしょう。

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モーターがこれ。
以前紹介したサンスイFR-D4の物と似てるでしょ。

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クォーツロックなので水晶振動子が付いています。

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20極30スロットモーターです。
30スロットにそそられますw。

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軸受部分上部に回転周波数発生器があり、
こういう細かい作りには関心させられます。
日本の精密な物作りは素晴らしい。
ただし軸受を保持する部分がプラスチックなのが残念。

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FR-D4のモーターと比較します。
どこのメーカー製か分かりませんが、
同じメーカーで製造したものと思われます。

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大径プラッターは外周を厚くして慣性質量を確保しています。
20極30スロットモーターに大慣性質量は、
初期のトリオ(現ケンウッド)と同じ設計方針。
外周下面にストロボパターンがあります。

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ギミックのフロートベース。

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保持する3点サスペンションが硬めなので、
ハウリングに対してはどこまで効果があるか疑問。

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軸受はプラスチック保持だけれどモーターは結構気に入ってます。
モーターと制御基板を外して動作確認。
制御基板にモーター制御機能の一部があるようなので、
不要な部分が多いにしてもそのまま使っています。

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プラッターとモーター軸の勘合部分はトリオのプラッターと互換性あり。
プラッターはトリオのKP-F500のものです。
ストロボスコープのLED点滅は50Hz 33回転と一緒です。
なのでこんなことができます。
プラッターはこちらの方が軽いので、
早くロックがかかります。

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実はこの後このモーターとプラッターで
レコードプレーヤーを自作しています。
次回の記事はそれです。

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乞うご期待!!

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