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レコードプレーヤー探訪 PS-33 PS-313

SONYのクリスタルロックモーターでレコードプレーヤーを
再構築するために入手したものを解説します。

前に紹介しているPS-X6やPS-X50は
プラッター形状が特殊(PS-X6)だったり、
ストロボがプラッター淵の下部(PS-X50)だったりと、
普通のキャビネットで使うには不便だったので、
別なものにしました。

まずはヤフオクでジャンク落札したPS-33
大型プラッター搭載のオートリターン機。
しっかりしたものだけれどトーンアームの高さ調整なしが
私にとってはN.G.。

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トーンアームメカ駆動のギヤはプラッター側に付いています。
キャビネットはSONYお得意のSBMC材なので強度あり。

P1_20220123133601

底板はプラスチックで薄いけれど、
脚はキャビネットに取付けているので問題なし。

P2_20220123133601

オートリターン機ですけれどメカも洗練されてきて、
すっきりしています。

P3_20220123133601

モーター制御基板も小型化されてきました。
クリスタルロックOFFもできます。

P4_20220123135701

オートリターンメカのパーツも減っていて、
これなら壊れにくいでしょう。

P5_20220123135701

モーターは扁平型でベースが鉄板1枚なのは少し不満ですが、
強度不足ということではないので良しとします。

P6_20220123135701

モーターの基本的な構造はPS-X~のものと同じです。
軸はこちらの方が太いのにプラッターは軽量になっています。
このバージョンのみコイルの巻き枠につばがあります。

P8_20220123140301

プラッター側にメカ駆動ギヤがあり約1kg強と軽量。
外周を厚くして慣性モーメントを稼いでもいません。

P7_20220123140301

基本的にSONYは一貫してこの方式を採用しています。
扁平型のモーターは鉄のベースにローターマグネットが強く引き付けられ、
プラッターの重さ以上に軸受に荷重がかかっています。
なので、プラッターを重くすると摩耗が問題になるのです。

それを嫌ってTRIO/KENWOODは扁平モーターを採用してから、
プラッターを2.6kgから1.9kgまで軽量化したり、
油圧で荷重を受けるDLモーターを開発したりと対策をしています。
そういう理由で、
扁平モーターのものに2.6kgのプラッターを載せるのは、
エンジニアリング的に言えば愚の骨頂。

またVictorはベースとローターの位置を逆転させ、
その吸引力を浮力として利用したモーターに切り替えました。
そうして浮力の分プラッターを重くしています。

もう一つ軽量プラッターにする理由があると思います。
マグネディスクサーボ方式は高い周波数で回転数を検出して、
回転変動への反応を速くしているのが特徴。
その特徴を生かすためにはプラッターが軽量で
慣性モーメントは少ない方が良いとも言えます。

同じような回転制御方式のDENONのプラッターが
軽量で慣性モーメントも少ないのは同様の理由と思われます。

モーターがACかDCかの違いはありますが、
トルク変動が少ないモーターに磁気パルス速度検出という組み合わせ、
回転制御方式で言えばSONYとDENONは近いです。

最終的にACモーターからDCモーターに切り替えたDENONは
SONY方式になってしまったわけで、
来るCD時代も見据えたレコードプレーヤーに関してのエンジニアリングは
SONYに先見の明があったと言えるでしょう。

話は戻りまして、
ターンテーブル関連部分を残して他は処分。
必要なものだけで動作確認。

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こちらはPS-33のモーター制御基板にPS-X50のモーターをつなぎ、
PS-X50のプラッターを回して遊んでいるところです。
プラッターはこちらの方がかなり重いです。

P9_20220123140301

まだ続きます。

PS-33のプラッター形状が気に入らず、
ハードオフでジャンクのPS-313(550円)を入手しました。
ダストカバーなし。
クリスタルロックはありません。
ゴムシートとトーンアームのバランスウェイトは外した写真。

P203_20220123145301

廉価品なので底板は安物。
脚はご覧のとおりで欠損あり。
脚はキャビネットに取付けています。

P10_20220123145301

上記PS-33に類似の中身でオートリターン機。
型式が2桁から3桁になったので後継シリーズと思われます。
SBMCキャビネットは同じ鋳型の小変更版で作っているようです。
プラッターが軽いのでモーターのトルクもいらず、
小型電源トランスの採用となっています。

P11_20220123145301

クリスタルロックがないのでモーター制御基板は小型で、
部品数も少ないです。

P12_20220123145301

オートリターンメカはPS-33とほぼ同じですが、
金属部品をプラスチックに変えたり部品数を減らしたりと、
地道にコストダウンを進めています。
エンジニアの皆さんお疲れ様。

P13_20220123145301

モーターも少し変更。
ベース部のディンプル加工は強度UPのため?
線がモーターの片側からのみ出ていて基板との接続はコネクタへ。
組み立て工数をしっかり減らしています。
物作りは原価低減の時代へ突入。
量産品は薄利多売なのでとにかく少しでも安く作りたい。

P14_20220123151501

ホール素子が変更になって取付け位置も変更。
基板が小型になりここでもコストダウン。
コイル巻き枠は内側のみ。

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プラッターはこちらも軽量で外周部は厚くしていません。
外側の形状は異なるのに内側はPS-33と同じ。
ということは外側の斜めカット分軽量。

P15_20220123151501

ここでPS-X~のモーターと比較をしてみます。
PS-X~のモーター再登場。
ここから色々コストダウンするわけです。

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ローターの軸は逆に太くなり、
単にコストダウンするのではなく、
強化すべきは強化するといったところでしょうか。
プラッターが軽い分トルクは不要なのでしょう。
コイルも巻き数が減っています。

P18_20220123151501

P19_20220123151501

同メーカーの世代違い機種を見るのは面白いですね。
エンジニアリングの歴史が刻まれています。

こちらはプラッターとモーター以外は処分。

取った部品を違うキャビネットに移植して再構築。
それが前の記事のレコードプレーヤー。

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少し上の方に書いてあるように、
DENONとSONYのレコードプレーヤーは最後には
同じところにたどり着いたわけでして、
この再構築レコードプレーヤーも実は正当派なのですw。

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コメント

いつも楽しくかつ興味深く拝見しています。貴重な技術情報有難う御座います。

これだけの機種のプレーヤーを探訪し、内部分析して整備されている方は他に居ないでしょう。機械弄りが好きと言っても、凄い努力と執念だと思います。プレーヤーを整備したい方にはこの上なく貴重な情報なので、これからも楽しみにしています。

私のTHORENS TD126Mk3は現在整備途上(モーターのサーボ巻線断線修理・注油、可変抵抗・基板コネクタ洗浄、スピンドル注油まで終了、アーム関係はこれから)、Aurex SR-410は現用(ノーメンテ)でカートリッジ収納庫としても活躍中、同SR-370も鳴り出しました(全電解コン交換、可変抵抗洗浄、アーム接点洗浄・注油、モーター注油は方法が分からず未実施)。

さて、お聴きの音楽ジャンルと現在お使いの機器から、機会が有れば聴いて貰いたいな思う機種がありますので紹介します。

アンプ:SANSUI AU-D907F
以前整備されていたD607Fの上級機で、メインアンプ部のドライブ回路が凄いです。フィードフォワードだけでなく、やれる事は全部やった感が強いです。電源もシンプルな回路ながら6系統独立です。その音色は豊かで力の有る低域、滑らかかつ明瞭な中域、清々しく伸び上品な高域。鋭利な分析的な音では無いですが、割と広いジャンルの音楽を愉しませてくれます。EQも凝っていますがぺるけ氏のEQをお使いなら、LINE入力(TUNER, AUX, TapeMonitor1&2)での運用でしょうか。半田クラックが無ければ一般的な整備で事足りて安定です(やるなら基板上の電解コンをUTSJとUTWXZに交換)。ジャンクなら安めに入手できます。

スピーカー:SANSUI LM-033
Rogers PM510がメインの私ですが意外にもLM-033は良いです。適度な締まりと十分な低域、明瞭で元気な中域、自然な高域で、ツイーターの背圧をホーンで逃がす構造の為か音場の広がりが良いんです。ウーハーエッジの硬化は例のブレーキフィールドで治ります(ボイスコイルタッチは治せずユニット交換しました)。JBL LE20のようなコーンツイーターも佳いもんだなと気付かさせてくれた機種です。少し小型のLM-022もあり低域の量感以外は同様の様です。
http://trivia-various.blogspot.com/2018/12/audio-sansui-lm033-lm022.html

長文失礼しました。

投稿: 寂夜 | 2022年2月 2日 (水) 12時13分

寂夜さん

ブログを長期放置しており大変申し訳ありませんでした。
長文コメントどうもありがとうございます。
同好の士として非常にうれしいコメントです。
お互いオーディオ愛を貫いていきましょう。

十数年前ボロボロのジャンクAU-D907Fを入手して修理をあきらめたことがあります。
その時は確か凝ったフォノEQの音が聴きたくて入手したのだと思います。
今となってはもうその手の大型アンプに興味はないです。
大きな音で聴ける環境にはないのでパワーはいらないからです。
長年やって分かったのですが、小音量で聴く限り、アンプは適度な電源が載っていれば十分です。

スピーカーについては高音がキンコンカンコン鳴る方が好きなので、折角ご紹介いただいたスピーカーは若干私の好みに合わないかもしれません。
確かサンスイはJBLスピーカーの輸入代理もやっていたので、初期はJBL的な鳴りっぷりのスピーカーを作っていたと記憶します。そこは好感が持てます。
ただスピーカーも20機種以上聴きましたが、私としてはツイーターはハードドームが断然良いです。

拙ブログをお読みいただきどうもありがとうございます。
引き続きよろしくお願いします。

投稿: いっき | 2022年8月11日 (木) 15時32分

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