レコードプレーヤー探訪 PS-33 PS-313
SONYのクリスタルロックモーターでレコードプレーヤーを
再構築するために入手したものを解説します。
前に紹介しているPS-X6やPS-X50は
プラッター形状が特殊(PS-X6)だったり、
ストロボがプラッター淵の下部(PS-X50)だったりと、
普通のキャビネットで使うには不便だったので、
別なものにしました。
まずはヤフオクでジャンク落札したPS-33。
大型プラッター搭載のオートリターン機。
しっかりしたものだけれどトーンアームの高さ調整なしが
私にとってはN.G.。
トーンアームメカ駆動のギヤはプラッター側に付いています。
キャビネットはSONYお得意のSBMC材なので強度あり。
底板はプラスチックで薄いけれど、
脚はキャビネットに取付けているので問題なし。
オートリターン機ですけれどメカも洗練されてきて、
すっきりしています。
モーター制御基板も小型化されてきました。
クリスタルロックOFFもできます。
オートリターンメカのパーツも減っていて、
これなら壊れにくいでしょう。
モーターは扁平型でベースが鉄板1枚なのは少し不満ですが、
強度不足ということではないので良しとします。
モーターの基本的な構造はPS-X~のものと同じです。
軸はこちらの方が太いのにプラッターは軽量になっています。
このバージョンのみコイルの巻き枠につばがあります。
プラッター側にメカ駆動ギヤがあり約1kg強と軽量。
外周を厚くして慣性モーメントを稼いでもいません。
基本的にSONYは一貫してこの方式を採用しています。
扁平型のモーターは鉄のベースにローターマグネットが強く引き付けられ、
プラッターの重さ以上に軸受に荷重がかかっています。
なので、プラッターを重くすると摩耗が問題になるのです。
それを嫌ってTRIO/KENWOODは扁平モーターを採用してから、
プラッターを2.6kgから1.9kgまで軽量化したり、
油圧で荷重を受けるDLモーターを開発したりと対策をしています。
そういう理由で、
扁平モーターのものに2.6kgのプラッターを載せるのは、
エンジニアリング的に言えば愚の骨頂。
またVictorはベースとローターの位置を逆転させ、
その吸引力を浮力として利用したモーターに切り替えました。
そうして浮力の分プラッターを重くしています。
もう一つ軽量プラッターにする理由があると思います。
マグネディスクサーボ方式は高い周波数で回転数を検出して、
回転変動への反応を速くしているのが特徴。
その特徴を生かすためにはプラッターが軽量で
慣性モーメントは少ない方が良いとも言えます。
同じような回転制御方式のDENONのプラッターが
軽量で慣性モーメントも少ないのは同様の理由と思われます。
モーターがACかDCかの違いはありますが、
トルク変動が少ないモーターに磁気パルス速度検出という組み合わせ、
回転制御方式で言えばSONYとDENONは近いです。
最終的にACモーターからDCモーターに切り替えたDENONは
SONY方式になってしまったわけで、
来るCD時代も見据えたレコードプレーヤーに関してのエンジニアリングは
SONYに先見の明があったと言えるでしょう。
話は戻りまして、
ターンテーブル関連部分を残して他は処分。
必要なものだけで動作確認。
こちらはPS-33のモーター制御基板にPS-X50のモーターをつなぎ、
PS-X50のプラッターを回して遊んでいるところです。
プラッターはこちらの方がかなり重いです。
まだ続きます。
PS-33のプラッター形状が気に入らず、
ハードオフでジャンクのPS-313(550円)を入手しました。
ダストカバーなし。
クリスタルロックはありません。
ゴムシートとトーンアームのバランスウェイトは外した写真。
廉価品なので底板は安物。
脚はご覧のとおりで欠損あり。
脚はキャビネットに取付けています。
上記PS-33に類似の中身でオートリターン機。
型式が2桁から3桁になったので後継シリーズと思われます。
SBMCキャビネットは同じ鋳型の小変更版で作っているようです。
プラッターが軽いのでモーターのトルクもいらず、
小型電源トランスの採用となっています。
クリスタルロックがないのでモーター制御基板は小型で、
部品数も少ないです。
オートリターンメカはPS-33とほぼ同じですが、
金属部品をプラスチックに変えたり部品数を減らしたりと、
地道にコストダウンを進めています。
エンジニアの皆さんお疲れ様。
モーターも少し変更。
ベース部のディンプル加工は強度UPのため?
線がモーターの片側からのみ出ていて基板との接続はコネクタへ。
組み立て工数をしっかり減らしています。
物作りは原価低減の時代へ突入。
量産品は薄利多売なのでとにかく少しでも安く作りたい。
ホール素子が変更になって取付け位置も変更。
基板が小型になりここでもコストダウン。
コイル巻き枠は内側のみ。
プラッターはこちらも軽量で外周部は厚くしていません。
外側の形状は異なるのに内側はPS-33と同じ。
ということは外側の斜めカット分軽量。
ここでPS-X~のモーターと比較をしてみます。
PS-X~のモーター再登場。
ここから色々コストダウンするわけです。
ローターの軸は逆に太くなり、
単にコストダウンするのではなく、
強化すべきは強化するといったところでしょうか。
プラッターが軽い分トルクは不要なのでしょう。
コイルも巻き数が減っています。
同メーカーの世代違い機種を見るのは面白いですね。
エンジニアリングの歴史が刻まれています。
こちらはプラッターとモーター以外は処分。
取った部品を違うキャビネットに移植して再構築。
それが前の記事のレコードプレーヤー。
少し上の方に書いてあるように、
DENONとSONYのレコードプレーヤーは最後には
同じところにたどり着いたわけでして、
この再構築レコードプレーヤーも実は正当派なのですw。
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