« 懐かしのレコードプレーヤー | トップページ | レコードプレーヤー探訪 FR-D4 »

レコードプレーヤー探訪 SL-2000

1年半ぶりのレコードプレーヤー探訪です。
今回のお題はテクニクスのSL-2000

昔、甲府市の岡島百貨店の家電売り場で、
このプレーヤーのストロボスコープを眺めて楽しんだ記憶があります。
テクニクスの安いシスコンとして展示されていました。
アンプSU-2400のレベルメーターの振れを眺めるのも好きでした。

まあそれもありますが、モーターの詳細が気になっての入手です。
ハードオフジャンク¥1,100。
あくまで中身の確認レベルなのでとにかく安く入手したかった。
大したプレーヤーではないのになぜかヤフオクではそこそこ人気があり高値推移。
何がいいんだろう?

アームフォルダーが折れていて脚が1個ないのでジャンク。
軽く拭いてこの状態なので状態としては悪くありません。
ハードオフジャンクの常でダストカバー傷だらけというのが多々ありますが、
これはそうなる前に確保できたようです。

P164_20211205191901

付属ゴムシートは厚みがそこそこあります。
それを外すと。

P165_20211205191901

プラッターを外すと半分がかなり盛り上がっています。
あまりない作りです。その理由は後程。

P166_20211205191901

トーンアームは水平回転軸に少しがたつきあり。
アームベースはダイカストの大型◎。
これで高さ調整ができたら文句なかったのですが、
そういう人向けのプレーヤーではないですね。
アームリフターはゆっくり降下します。
EPアダプターの金文字が良いかも?

P167_20211205191901

このモーターの詳細が知りたかったのです。
当時たくさんのプレーヤーに実装されたモーターです。
この上のSL-1900からはテクニクス専用モーターになります。

P168_20211205191901

ひっくり返すと底板が木製であることが分かります。

P169_20211205192001

この底板は厚さ18mmで重量級。
キャビネットが薄くても底板取付けネジが16本と多いので、
キャビネット全体の強度UPに貢献していると思われます。

P170_20211205192001

キャビネットが薄いプラスチックで軽いので、
底板を重くしてハウリング対策をしているのです。
底板が重い樹脂になっているものもありますが、
効果は同じでハウリング対策のための重量増。

この厚い底板を薄いキャビネットに収めるために、
邪魔な電源基板とトランスを、
プラッター下のデッドスペースに入れているのです。
なかなか良い案だと思います。
マニュアル機なので中身はスカスカ。

P171_20211205192001

回転数切替スイッチ、回転数調整ボリューム、ネオンランプなど。

P172_20211205192001

モーターと電源回路。
トランスは防振対策なしのキャビネット直付け。

P173_20211205192001

銘板には松下電器と書いてありますがOEM品でしょう。

P174_20211205192001

このモーターはさんざん見ているけれどなんで気になるかって?
それはこのモーター駆動ICが見たかったのです。
進化最終形? モーター駆動ICは松下製かも?
これにより信頼性は数段上がっているはず。

P175_20211205192101

ネット検索で同型モーターはたくさん出てきますが、
IC実装はSL-2000しか出てきません。
モーターの磁気回路は他と一緒。

P176_20211205192101

プラッターは軽量で1kg。
外周部も厚くないので慣性モーメントは大きくありません。

P177_20211205192101

ヤフオクではSL-2000が高トルクモーターとか書いている人がいますが、
上記のとおりでそのモーターではありませんよ。

さあて、モーターは回転するけれど、
この頃のDDモーターの問題点がやっぱり気になります。
回転数変動に大きく関わるのが回転数調整ボリュームであることは周知のとおり、
ですが直列に入る回転数切替スイッチの接触不良も大問題。

ボリュームの方は接点復活剤で対策可能。
スライドスイッチも横の隙間から接点復活剤が入れられますが、
私はスイッチを分解して接点クリーニングしました。

P178_20211205192101

常用している33回転側は接触しているのでまだ良いですが、
普段使わず接触していない45回転側は接触不良がひどいです。
SL-2000を入手した人は要注意!
スイッチON後回転が安定するまでストロボが右往左往しますがご愛敬。

価格なりのプレーヤーではありますが、
難しいことを言わなければこれはこれでありかも?
ただし回転数問題に対してはメンテナンス必須。

P194_20211229151501

しばらく様子を見ましたが、
IC化したからと言って回転安定度(ドリフトなど)が向上した感じはなく、
回転安定度についてはいまひとつという感じがぬぐえません。
このモーターで慣性モーメントが少ない軽量プラッターはN.G.。

ただしこのモーターのFGサーボバージョンは安定度がましな感じです。
PL-1250、PD131、SL-55などに搭載されています。

DD初期、このモーターを多くのメーカーが採用したにもかかわらず、
長く使ったメーカーはなかったわけで、
「とりあえずDDプレーヤーを作って時流に乗っかろう。」
に重宝されただけのモーターと私は理解しました。

テクニクスはDD最下位機種(SL-2000)とSL-55のみに
このモーターを採用したという割り切りぶりでした。

今後私はこのモーターの同族を載せたレコードプレーヤーを
使用することはないと思います。

SL-2000も定価¥29,800なりというのが私の結論。

|

« 懐かしのレコードプレーヤー | トップページ | レコードプレーヤー探訪 FR-D4 »

レコードプレーヤー探訪」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 懐かしのレコードプレーヤー | トップページ | レコードプレーヤー探訪 FR-D4 »