レコードプレーヤー探訪 QL-F5
使う気にはなれなかったけれど、実態調査は行っていた物が続きます。
ビクターのQL-F5、付いていたカートリッジか何かが欲しくて落札したジャンク。
全体的に状態は悪く、回転はロックがかかったりかからなかったりでした。
これはオイルダンプトーンアームが売り。
ビクターの上位機種は電子制御アームを搭載してダンピング(Q)を制御したいたので、
お金をかけられない下位機種にもというのがこのオイルダンプだろうと思います。
ハイコンプライアンスMM型カートリッジ全盛の末期、
トーンアームの共振周波数Qが下がってトレースが不安定になるのを防ぐのがこの機能。
しかしこのクラスのレコードプレーヤーを使う人は、
そんなハイコンプライアンスの高価なカートリッジを使うとは思えず、
人寄せのギミックだと私は思う次第です。
メーカーの人も分かっていただろうけれど売るためにはね~。
差別化が必要です!
筐体は薄いプラスチックで強度はありません。
脚は底板に直付けで高さ調整不可。
テクニクスの下位機種にも見られた厚くて重めの底板です。
これに関しては評価できるところもあるけれど、
カタログの重量を重く(筐体はしっかりしているように)見せるための
偽装という見方もできます。
筐体と底板の違い → 複合素材、物は言いようです(笑)。
と書きましたが、ハウリング対策のための重量増加でしょう。
再度言いますが、筐体は薄いプラスチック。
複雑なフルオートメカです。
回転制御はIC3個にトランジスタ1個。
日本の半導体開発は当時絶好調!
ある程度数もさばけたので、設計費はかかっても、
組み立て費(人件費)を減らせるカスタムIC化の方がメリットはあったのでしょう。
モーターと制御回路は一体型(配線不要)で製造コストは相当安いでしょう。
信頼性向上と言うけれど・・・。
電源トランスは筐体に直付けで防振対策なし。
このメカを組み立てるだけでも相当な工数。
ここに費用がかかるので、廉価品では他が疎かになってしまうのです。
モーターは製造コストが安い扁平型。
コアレス、スロットレスでトルク変動が少ないから採用というけれど、
安く作れるということの方が重要だろうというのは明白。
オート機能の駆動力を得るギヤを取り付けるためには、
軸受け部の強度を多少犠牲にせざるを得ないという選択。
こういう構造の軸受はテクニクスやパイオニアの中級機にも多々あります。
オート機能のギヤがなくてもそうなっていたりするのは、
たくさん作って量産効果でコストを落とすため。
ダブルサーボのクォーツロックなので、
プラッターの外周を厚くして慣性質量を稼ぐようなことはしていません。
アルミの量は減らせるし、強度低めのモーターとキャビネットへの負担も減るし、
安く作るための努力は惜しみません(笑)。
音質に拘るのではなく、ギミックで物を売る。
オーディオ機器にも色々な方向性があるのです。
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