レコードプレーヤー探訪 DD-100
珍品レコードプレーヤーをヤフオクで落札しました。
TOAのDD-100です。
TOAって構内放送機器とか作っているメーカーでしたっけ?
どんなものなのか気になって落札してしまいました。
この出品者も梱包がいい加減で、エアキャップシートに段ボール巻のみ。
1000円落札なのでそれもやむなしと言えばやむなしではあるけれど。
プラッターが中で外れていましたが大事には至っていませんでした。
このレコードプレーヤー、外観からして安物であることは確かです。
汚れはそれほどではありませんでした。
いきなりがっかりしたのはトーンアームがガタガタだったこと。(勘違いでした)
これまで経験した中の最悪レベルのひとつです。
そのトーンアームはベース部から始まって軸回りもプラスチック製。
(これも勘違いで、アルミ削り出しでした)
これでは耐久性がないのは当たり前です。
きれいなのはプラスチックで錆びないから。(アルミでも錆びていなかった)
※がたつきだと勘違いしたのはその構造にありました。
内容詳細については次の記事を参照願います。
回転は最初安定調整できなかったけれどしばらく回していると安定しました。
長い間動かしていなかったので軸オイルが固着していたのでしょう。
ただし回転調整ボリュームは速い方ぎりぎりくらいで調整できる状態です。
脚は薄めの底板に取付けられています。
底板を外してビックリ! モーターは扁平型でした。
私は扁平型モーターが嫌いなのでなおがっかり。
マニュアルプレーヤーなので中身はスカスカ。
外周は薄めの板ですけれど底板を固定する部分は補強されているのでまあ良し。
トーンアームの出力ケーブル接続部はほんの気持ち程度のシールド板付き。
回転制御基板はシンプルです。
コイル駆動トランジスタも小型のもの。
モーターに貼ってあるシールに「FUJIYA AUDIO CO.」と書いてあります。
扁平型モーターは基盤が薄い鉄板なのがN.G.だと思います。
私としては重いプラッターを支えるには強度不足な気がします。
この機種は鉄のアングルでキャビネットに固定しているので、
ボスで固定しているものよりは強度的にはましです。
電源トランスが防振取付けになっていないのは安物ならでは。
モーターのカバー、手前左にはネジの締め過ぎによる亀裂があります。
ネジロックは外れていないので製造時の締め付けトルクが強く、
プラスチックの経年劣化でヒビが入ってしまったのでしょう。
それにしてもちゃちなモーターです。
カバーを外す時に亀裂部が欠けてしまいました。
単なるカバーかと思ったのですが違いました。
回転数検出部があります。
上下に互い違いの検出片が見えます。
ここで磁界を検出して回転数に変換するようです。
このタイプは初めて見ました。
モーターのローターは下部が駆動磁石で上部が速度検出磁石です。
左側に欠けたカバーの一部が落ちています。
ローター部のシャフトが短いです。
これではスリコギ運動しやすいでしょうし摩擦抵抗も大きいはず。
ステーターコイルはスロットレスでコアレスです。
軸受け部も強度不足感アリアリ。
コイルは4つで偏った配列。
う~ん、いかにも低コストモーターという感じです。
これだけシンプルだと量産性は良さそうです。
トルク変動が少ないことよりは低コスト製造できることが
こういうモーター開発の本当の意図のように思えてなりません。
レコードプレーヤーのモーターならこの程度で十分だろうという割り切り。
ローター磁石とステーターコイルの隙間が大きいです。
後で分かるのですがこういったことにもよるのか回転トルクが弱いです。
このモーターと回転数制御基板は
ネットのどこかで見たことがあったような気がしたので調べました。
LUXMANのPD272、PD277と同系統でした。
そちらはプラッターが重いので軸受けが強化されているようです。
LUXMANは機種により色々なモーターを使っていて支離滅裂です。
モーターを自社開発していないからしょうがないにしても、
価格帯や発売年によりコロコロ変えるのはいかがなものか。
モーターを分解したのは中身を見たかったこともありますが、
軸に再注油したかかったからです。
オイルの経年劣化で摩擦抵抗が増えていると思ったからです。
最初テクニクスのメンテ用オイルを使ったらこれが大失敗。
回転数は大揺れで安定しません。
最初は何が起こったのか分かりませんでしたが、
よく考えてみるとこれは粘度が高すぎるのだろうということになりました。
そこで次はミシン油に変更。
ましにはなったけれどまだ揺れがあります。
結局それはプラッターを付けたり外したりしたら治ってしまいました。
軸受け底に当たりによる窪みがあったので上手く嵌らず摩擦が増えたかも?
そしてしばらく回しているとなじんできたのか回転はより安定しました。
それからレコードスタビライザーAT618(600g)を乗せると、
明らかに回転数が落ちます。
それは再調整すれば良いのですが、
重いゴムシートに変えてスタビライザーを乗せると回転が安定しません。
これは明らかにトルク不足による挙動でしょう。
こんなDD-100ですが一応清掃してそこそこきれいになりました。
ガタガタのトーンアームで聴いてみることに。
がたつきではないことがその後分かりました。
私には特に違和感は感じられず普通に聴けます。
(普通に聴けたのはトーンアームにがたつきはなかったからでしょう。)
普段トーンアームのがたつきにうるさい私ですが、
音云々よりも精神衛生上の問題という気がします。
モーターのトルク不足が音に出るわけでもなく。
製品としての体裁は保っていると思います。
オーディオ的に評論すると廉価品なりでしょうかね。
ちなみに乗せあるレコードスタビライザーはゴム製の軽量なもの。
センタースピンドルとの摩擦抵抗でレコードを押さえるタイプです。
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