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2017年10月

レコードプレーヤー探訪 DD-100

珍品レコードプレーヤーをヤフオクで落札しました。
TOAのDD-100です。
TOAって構内放送機器とか作っているメーカーでしたっけ?

どんなものなのか気になって落札してしまいました。
この出品者も梱包がいい加減で、エアキャップシートに段ボール巻のみ。
1000円落札なのでそれもやむなしと言えばやむなしではあるけれど。
プラッターが中で外れていましたが大事には至っていませんでした。

このレコードプレーヤー、外観からして安物であることは確かです。
汚れはそれほどではありませんでした。

P69

いきなりがっかりしたのはトーンアームがガタガタだったこと。(勘違いでした)
これまで経験した中の最悪レベルのひとつです。
そのトーンアームはベース部から始まって軸回りもプラスチック製。
(これも勘違いで、アルミ削り出しでした)
これでは耐久性がないのは当たり前です。
きれいなのはプラスチックで錆びないから。(アルミでも錆びていなかった)

※がたつきだと勘違いしたのはその構造にありました。
  内容詳細については次の記事を参照願います。

P84

回転は最初安定調整できなかったけれどしばらく回していると安定しました。
長い間動かしていなかったので軸オイルが固着していたのでしょう。
ただし回転調整ボリュームは速い方ぎりぎりくらいで調整できる状態です。

脚は薄めの底板に取付けられています。

P70

底板を外してビックリ! モーターは扁平型でした。
私は扁平型モーターが嫌いなのでなおがっかり。
マニュアルプレーヤーなので中身はスカスカ。
外周は薄めの板ですけれど底板を固定する部分は補強されているのでまあ良し。

P71_2

トーンアームの出力ケーブル接続部はほんの気持ち程度のシールド板付き。

P72

回転制御基板はシンプルです。
コイル駆動トランジスタも小型のもの。

P73

モーターに貼ってあるシールに「FUJIYA AUDIO CO.」と書いてあります。
扁平型モーターは基盤が薄い鉄板なのがN.G.だと思います。
私としては重いプラッターを支えるには強度不足な気がします。
この機種は鉄のアングルでキャビネットに固定しているので、
ボスで固定しているものよりは強度的にはましです。
電源トランスが防振取付けになっていないのは安物ならでは。

P74

モーターのカバー、手前左にはネジの締め過ぎによる亀裂があります。
ネジロックは外れていないので製造時の締め付けトルクが強く、
プラスチックの経年劣化でヒビが入ってしまったのでしょう。
それにしてもちゃちなモーターです。

P75

カバーを外す時に亀裂部が欠けてしまいました。
単なるカバーかと思ったのですが違いました。
回転数検出部があります。

P76

上下に互い違いの検出片が見えます。
ここで磁界を検出して回転数に変換するようです。
このタイプは初めて見ました。

P77

モーターのローターは下部が駆動磁石で上部が速度検出磁石です。
左側に欠けたカバーの一部が落ちています。

P78

ローター部のシャフトが短いです。
これではスリコギ運動しやすいでしょうし摩擦抵抗も大きいはず。

P79

ステーターコイルはスロットレスでコアレスです。
軸受け部も強度不足感アリアリ。
コイルは4つで偏った配列。

P80_2

う~ん、いかにも低コストモーターという感じです。
これだけシンプルだと量産性は良さそうです。
トルク変動が少ないことよりは低コスト製造できることが
こういうモーター開発の本当の意図のように思えてなりません。
レコードプレーヤーのモーターならこの程度で十分だろうという割り切り。

ローター磁石とステーターコイルの隙間が大きいです。
後で分かるのですがこういったことにもよるのか回転トルクが弱いです。

P81

このモーターと回転数制御基板は
ネットのどこかで見たことがあったような気がしたので調べました。

LUXMANのPD272、PD277と同系統でした。
そちらはプラッターが重いので軸受けが強化されているようです。
LUXMANは機種により色々なモーターを使っていて支離滅裂です。
モーターを自社開発していないからしょうがないにしても、
価格帯や発売年によりコロコロ変えるのはいかがなものか。

モーターを分解したのは中身を見たかったこともありますが、
軸に再注油したかかったからです。
オイルの経年劣化で摩擦抵抗が増えていると思ったからです。

最初テクニクスのメンテ用オイルを使ったらこれが大失敗。
回転数は大揺れで安定しません。
最初は何が起こったのか分かりませんでしたが、
よく考えてみるとこれは粘度が高すぎるのだろうということになりました。

そこで次はミシン油に変更。
ましにはなったけれどまだ揺れがあります。
結局それはプラッターを付けたり外したりしたら治ってしまいました。
軸受け底に当たりによる窪みがあったので上手く嵌らず摩擦が増えたかも?
そしてしばらく回しているとなじんできたのか回転はより安定しました。

それからレコードスタビライザーAT618(600g)を乗せると、
明らかに回転数が落ちます。
それは再調整すれば良いのですが、
重いゴムシートに変えてスタビライザーを乗せると回転が安定しません。
これは明らかにトルク不足による挙動でしょう。

こんなDD-100ですが一応清掃してそこそこきれいになりました。

P82

ガタガタのトーンアームで聴いてみることに。
がたつきではないことがその後分かりました。

P83

私には特に違和感は感じられず普通に聴けます。
(普通に聴けたのはトーンアームにがたつきはなかったからでしょう。)
普段トーンアームのがたつきにうるさい私ですが、
音云々よりも精神衛生上の問題という気がします。
モーターのトルク不足が音に出るわけでもなく。

製品としての体裁は保っていると思います。
オーディオ的に評論すると廉価品なりでしょうかね。

ちなみに乗せあるレコードスタビライザーはゴム製の軽量なもの。
センタースピンドルとの摩擦抵抗でレコードを押さえるタイプです。

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レコードプレーヤー探訪 JL-B41Ⅱ

以前から気になっていたレコードプレーヤーがあります。
ビクターのJL-B41Ⅱです。
モーター部分はJL-B41と共通でトーンアームだけが
ニュー・ジンバル・サポート方式になっている(と思っていた)もの。
私はこの方式のトーンアームにベタ惚れなので使ってみたかったのです。
最近入手したJL-B31が好印象だったのでなおさら使ってみたくなりました。

JL-B31で気に入ったのはそのモーターです。
ACサーボモーターの滑らかな回転に惚れました。
で、JL-B41Ⅱを入手してモーター部分をJL-B31のものに変えてしまおうかと、
頭の中には妄想が浮かんでいました。

早速行動に移しました。
ヤフオクで(私にとっては)少々高いけれどそこそこのものを入手。
針折れですがシュアーのカートリッジ付きだったので、
これをリサイクルすれば落札価格ぐらいにはなるかも?
さていきなりこの写真からですが、アレッ?!と思ったのです。

P57

そうなんですよ底板を開けてビックリ。
モーター部分はJL-B31と同じACサーボモーターだったのです。
左がJL-B31で右が今回のJL-B41Ⅱ。

P58

トーンアームの長さが異なるので幅と奥行きは異なり、
それに合わせて若干補強なども入っていますが、
モーター部分は制御回路も含めほぼ同じものです。
おかげでモーターを乗せ換える手間が省けました。
JL-B41はDCサーボモーターだったけれど仕様変更したようです。

さてここでもう一つのことに気付きました。
以前入手したJL-B61(ターンテーブルTT-61)の写真を見て分かったのです。
そうなんですよ。TT-61も同じACサーボモーターなのです。
左がJL-B41Ⅱで右がTT-61。

P59

TT-61はスイッチの構成が異なるのでそれ用の基板が1枚追加されていますが、
モーターと回転制御回路の基板はほぼ同じです。
ちなみにモーター部分を上から見たものでも同じだと分かります。
左がJL-B31で右がTT-61。

P60

JL-B31、JL-B41Ⅱ、JL-B61(TT-61)は同じACサーボモーターの兄弟機です。
JL-B41ⅡとTT-61はネット上にも情報があまりないので気付きませんでした。
このモーターが気に入ったということであればJL-B61がベストですね。

さて入手したJL-B41Ⅱですが、残念なことにトーンアームのアーム部分が緩く、
ヘッドシェルを取付けようとするとアーム自体が回転してしまう始末。
このトーンアームに期待していたのにがっかりです。
そこで今使っているJL-B61用のトーンアームをこちらに付け替えることに。
まずは出力コードの配線を外します。

P61

これが意外とやっかいなことに。
配線を外せばトーンアームは上に抜けると思ったんですが、
でっぱりがあって上には抜けません。
ということでトーンアームを分解。

数年後、そのでっぱりが単なるC形状の金具であることが判明。
その金具を引き抜けばアームは上に抜けます。

P62

左の写真のマイナスネジがつぶれていて回らず、
しょうがないので金ノコで溝を切りなおし、
CRCをたっぷり吹きかけてやっと外しました。

ところがトーンアームは抜けず、更に分解して外すことにしました。
結果を先に言いますが、右の写真のように90度の角度にもう一つネジがあり、
こちらも外せばトーンアームをバラバラに分解しなくても抜けます。

バラバラに分解したついでに各部の構造を紹介しておきます。
インサイドフォースキャンセラーは巻きバネの反発力を利用。
真鍮を使いしっかり取付けられています。

P63

こちらは水平回転部分の上下にあるスラスト軸受け。
いずれもリジッドに取付けられていて、
こういうところがガタの少なさにつながっていると実感しました。
大した荷重がかかるわけでもないのにガッチリ作りすぎ。素晴らしい!
各パーツもしっかり金属です。
再度組み立てる気はなかったのでこじって傷がついたりしています。

P64_2

トーンアームをやっと外してJL-B61用のトーンアームを取付け。
同じビクターのトーンアームなのでパイプサイズは同じです。
トーンアーム周辺はすっきりしました。

P65

トーンアームにアームケーブルを接続するために底板に穴をあけました。
インシュレーターは底板に取り付けられています。

P66

お掃除したらそこそこきれいになりました。
写真では分かりませんが細かいサビやダストカバーに傷がります。
オーディオラックに据え付け当面これを使うつもりです。

P67_2

ちなみに最初は回転数調整ボリュームを目いっぱい回しても
回転を調整しきれなかったので、制御基板の半固定抵抗を最調整しました。
相変わらずの滑らか回転で、
ストップを押した後プラッターは1分くらい回転してから停止します。

P68

これはなかなか良いです。
トーンアームのベース部はアルミダイキャストの操作パネルと一体化で強固。
トーンアームに異常がなければそのままで十分だと思います。
上位機種のJL-B61ならなお良いと思いますが私はこれで十分。

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