スピーカー交換をめぐるドタバタ
前から気になっていたスピーカーを入手できました。ケンウッドのLS-11ESです。今使っているDS-200Zもかなり気に入っているのですが、低音は出るものボンつき気味なので気になっていました。そこでウーファーの口径がもう少し大きくて低音が出そうなスピーカーということでLS-11ESを選択。オーディオ評論家の故長岡鉄男さんが推薦していた機種と思っていましたが、推薦していたのはこれじゃなくて後継機LS-11EXの方でした。長岡さんが推薦しようがしまいが私が聴いて気に入ればそれで良し。
動作品だけれど汚れているのでジャンクというもの。競ることもなく5000円でした。ヤフオクで根強い人気があるこの機種としては安めでしょう。音が良ければ汚れは気にならないと思っての落札です。届いた物を見るとユニットのフランジの片側がかなり汚れていました。あまりに汚かったのですぐに清掃。上の写真は清掃後で、各ユニットの外側の腐食がその痕跡。どうしてこういう汚れ方なのか考えたら、スピーカーを横にして置いていたためと分かりました。要は上を向いている面にタバコのヤニと湿気によるペースト状の物が堆積していたのです。本体部分は清掃してあったのできれいでした。
早速セッティングして視聴です。このくらいの大きさの方が見栄えが良いですね。肝心の音ですが、まずDS-200Zより低音が良く出ます。バランス上中高域が控えめに聴こえます。なかなか良い感じかな~。
ここで話はちょっとそれます。スピーカーやアンプの音を確認する時にいつも使うCDを紹介。マーク・イズベルの『ジャズ・インフルーエンス』です。4曲目のタイトル曲を最初に聴きます。シンバルの金属音の出具合、ベースよりバスドラムが目立つ緩み加減の低音の出方、粒立ち良く鳴るピアノとギター、そして中央にフワリと定位するアルトサックスの佇まいでチェックします。ドラムが左右いっぱいに定位していたりして独特な音場を構成。決して優秀録音盤というわけではありませんが、私にはチェックしやすい音になっています。
話は戻りましてLS-11ESの音。う~む、高音が弱いですね~。きれいで繊細な高音で質は悪くないと思うのですが・・・。裏に付いている高音用アッテネーターを目いっぱいにしてみました。少し聴こえやすくなるのですが、それでも存在感が希薄に感じます。この状態で1日ほど色々聴いて自分の耳が慣れることを期待しました。ですがどうもしっくりきません。ツイーター近くに耳を近づけるとかなり鳴っています。なのにスピーカーから2mほど離れたリスニングポジションで聴くと高音が届かないのです。高音の浸透力がないように感じます。これはダメですね。
ということでDS-200Zに戻しました。DS-200Zの高音はLS-11ESよりしなやかで、ツイーター近くではそれほど鳴っていなくても、リスニングポジションではきちんと高音が聴こえます。DS-200Zのツイーターって優秀ですね~。ハードドームなのにこういう温かみがある高音は素晴らしい。ダイヤトーンのスピーカーの優秀性がこういうところに出ているのだろうと思います。低音も私にとっては必要充分で、中音を中心に元気に温かみを持って鳴る音はとても心地良いです。
今回はLS-11ESがすっかり疎ましくなり、ヤフオクでリサイクルするのも面倒になってしまい、早速ハードオフで売却することにしました。どうせ安くしか買い取ってくれないことは分かっていますが良いんです。案の定の3000円。送料を含めた落札価格の半分にもなりませんでした。まあいいやっ。
しかしここで思わぬ展開になります。ハードオフで査定を待っている間に前から気になっていたスピーカーが30%OFFになっていることを発見したのです。気になっていたスピーカーはパイオニアのS-101。これは長岡さんが推薦していたスピーカーです。5400円(税込み)で意外ときれいだったので、何度かハードオフに行く度に買って帰ろうと思いました。30%OFFなら3780円(税込み)。 これなら音が悪くても大したダメージはありません。お持ち帰り決定!
ユニットのフランジが少し錆びていますが、発売から30年以上経つのでこのくらいなら良い方です。ウーファーのエッジも劣化による脆さはなく、指で押しても弾力性はあります。黒色で精悍なデザイン。セッティングして聴いてみました。
聴いてビックリの良い音です。低音はDS-200Zよりウーファーの口径が少し大きい分良く出ます。バスレフダクトが裏にあるので、DS-200Zのようにダクトから中低音まで出て低音が緩み加減になる(そこが良さでもあるのですが)ことはありません。重心が下がってベースとバスドラムの分離が良好です。LS-11ESほど低音が出ないので中音が引っ込むところまではいきません。ビックリしたのは高音。繊細で超微粒子です。DS-200Zとは品位が違います。ちょっと細身でクール、この音なら誰にでもハイファイと言い切れます。凄く気に入りました。3780円のスピーカーがこの音を出していると思うと笑が止まりません。LS-11ESの落胆の反動もあって気分は最高っ!
さて、ちょっと余談です。私はこの本『開拓者 長岡鉄男』で機器の推薦文をチェックしています。雑誌『FM fan』に長年連載されていた「ダイナミックテスト」の後年15年分からのピックアップが掲載されている本です。今回S-101の推薦文を読んで改めて関心しました。今回私が聴いた印象そのものだと思ったからです。LS-11EXの推薦文にあったLS-11ESとの差も今回私が気に入らなかった理由を表しているとも言えます。長岡さんのオーディオ評論家としての耳は私にとって信頼に足るものです。
ネット上ではS-101の高音が硬いと書かれていたりします。そうかもしれませんがそれはこのスピーカーからきちんと低音を引き出していないせいかもしれません。私のセッティングでは低音がきちんと出ているので、良く出る高音が意外と耳障りにならず聴こえるのではないかと思います。コンクリートどぶ板の上にタオックの鋳鉄スピーカースタンドを載せ、スピーカーの上からは鉛のインゴットで押さえるという、片側総重量30Kg以上の効果が低音の出方に貢献していると思います。
ということでドタバタしましたが一件落着。プアオーディオライフは楽しいです。
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コメント
こんばんは。とても面白い記事でした。私が最初に買った単品オーディオは、ダイアトーンの2wayスピーカーでしたが、結構いい音で鳴っていました。その次がソニーの平面ハニカムウーハーのもので、比重がとても大きく、音もパワフルなものでした。最後がタンノイのインパルス12で30年近く使っています。
写真で気になったのはアンプが二系統あるのでしょうか?また赤いマークの機器は何なのかということです。よろしければお教えください。
投稿: サンセバスチャン | 2017年5月 3日 (水) 23時05分
サンセバスチャンさん
こんにちは。
サンセバスチャンさんのスピーカー遍歴、なかなか振れ幅が大きいですね。
私もタンノイはSystem8MkⅡを5年くらい、StirlingTWWを10年くらい、メインスピーカーとして使ってその良さを認識しています。
平面スピーカーはテクニクスSB-6をサブスピーカーとしてしばらく使いましたが、いかにも日本的な優秀ハイファイ音で何の不満もなく、ここで終わりにすればオーディオライフも安泰なのにと思えるものでした(笑)。
今はSB-3Aを聴きたくてウズウズしています。
メインスピーカーは今回で10代目くらいです。サブスピーカーも含めて30台くらいのスピーカーをこれまで聴きました。
最下段に2台あるアンプの1台は控えです。
今は左の方を使って鳴らしています。
赤色の電源スイッチのアンプは自作プリアンです。
なので最下段のプリメインアンプはメインアンプの部分だけ使っています。
メインアンプも本当は自作したいのですが手ごろな回路がネット上になく、やむなく既製品をメンテナンスして使っています。
ファオノイコライザーはチューナーの上に載っているものでこちらも自作。
プリアンプ、フォノイコライザー、それからヘッドホンアンプはネット上では有名なペルケさんの回路を採用しています。
虚飾がなく素直な音でとても気に入っていて、他のものに変える気が全く起きません。
投稿: いっき | 2017年5月 4日 (木) 11時25分
タンノイインパルスに替えたころは、598戦争の末期でした。そろそろ流れが変わり、ヤマハのNS1とか海外製品の影響を受けた小型で高品位のもの、パイオニアからはトールボーイのものが出ました。
お店ではパイオニアの9500DVを薦められましたが気にいらず、国産はみんな硬いのでタンノイになりました。ハーベスやスペンドールは地元では聴けなかった。結局アンプ、スピーカーケーブル、スピーカーが海外製品です。CDプレーヤーは結局どれも気に入りませんでした。
投稿: サンセバスチャン | 2017年5月 4日 (木) 20時25分
サンセバスチャンさん
こんばんは。
タンノイインパルスに変えたのはその頃でしたか。
私が社会人になった頃です。
会社の寮に入るので一旦JBLの小型スピーカー213PRO(地元オーディオショップの薦めで購入)にしましたが、しばらくしてそれでは不満になりダイヤトーンのDS-66EX(当時雑誌の記事で長岡さんが高評価していたのが購入理由、コーラルDX-THREEⅡとどちらにするかかなり悩みました)に変えました。
確かに国産のスピーカーは硬い音なんでしょう。
私はそういう音が好きなので逆に海外製の柔らかい音のスピーカーには全く興味がありませんでした。
そしてその頃にはもう新譜は全てCDを購入して楽しんでいました。
投稿: いっき | 2017年5月 4日 (木) 23時04分
こんばんわ、私も評判が気になってケンウッドのLS-11EXを手に入れたのですが、低音は良く鳴る反面中音域があいまいで女性ボーカルが遠く成ってしまいストレスを感じました。箱の前後左右に補強の魂柱を入れたり、スコーカーのバックキャビティを補強(プラスチックケースの後ろに大型ボルト用の円形の鉄板を貼り付け、後方の角から支持棒で圧迫)しました。
EXはESより板厚を増やして補強していますが、更に強固になって中低音は締ってスッキリしましたが、中高音の遠ざかった感じは変わりませんでした。
そこで、ネットワークの定数を調べたところ、全て12db/octなのに極性は全て正相でした。
振動板の位置が一致していないので極性で調整しているようですが、中音と高音はほぼ同位置なので、逆相にすると同時にクロスオーバーも調整しました。中高音の遠く成る現象は改善しました。だいぶ歌手が前に出てきました。ダイヤトーンのDS-1,000Z程前に出てきませんが、ダイヤトーンは中音が出過ぎと云う人もいるので、まあ普通のレベルに成ったということでしょう。
でも、低音が中音に被っている感じが不満だったので、低音と中音のクロスを500~600Hzに下げて極性も逆相にしました。結局、中音が逆相でウーハーとツイーターが正相に成りました。
結果は低音が良く出るのに中高音も張り出して良く鳴る様になりました。なお、バスレフダクトを延長して共振を50Hz程度に下げて70Hzの出過ぎを弱めてスッキリしました。この帯域は聴感的には感度が良く聴こえるのですが、部屋の定在波周波数と重なるので出過ぎに成ります。ほとんどの小型スピーカーのバスレフは70Hz辺りを共振させるので籠ってしまいます。これを下げると70Hzのレベルが下がって50~60Hzが出てきます。本当は箱の下にもう一つ箱を追加して穴で繋いで容積を増やしてバスレフ共振を30H~40Hzにすると重低音が再生できるようになります。スピーカー台の代わりに箱を付けるのはどうでしょうか。LS-11EXはこの辺にして、肝心のPIONNER S-101です。
これも、最近手に入れましたので調整等したいと思っています。
インナーバッフルが前面バッフルより強度が有る様には見えませんので、直角三角定規の様な補強を側板とインナーバッフルに施して、バッフルよりも強度をUPしようと思います。 高音はバッフルについているのでBOX全体の中央辺りの前後を魂柱で繋いでバッフルの振動を抑えます。 通常の箱でもこの辺りの前後と左右に魂柱を入れると箱の振動が半分以下になります。
箱の側面と裏板は良く鳴るので効果が大きいです。
もう一つ気が付いた点があります。 S-101のウーハーはダンパーの後ろに通気孔が有ります。最新のユニットのフレームと同じです。
B&Wのスコーカーで有名な技術ですが、P社はS-RS77P-LRでも使っていて、中低音がスッキリ良く鳴ります。
投稿: N.Yasuda | 2021年6月22日 (火) 01時12分
N.Yasudaさん
返事がとても遅くなりごめんなさい。
スピーカー改造楽しそうですね。
私はスピーカー改造に興味が湧かないので、
そのまま使っています。
ダメなら交換というのを繰り返しています。
気に入れば1年以上使います。
お互いこれからも好きなことをやってオーディオを満喫しましょうね。
コメントありがとうございました。
投稿: いっき | 2021年8月14日 (土) 10時28分