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カマシ・ワシントンについて思うこと

昨日ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた高野雲さんの著書『ビジネスマンのための(こっそり)ジャズ入門』の出版記念イヴェントに行ってきました。とてもたのしくジャズを聴くことができるもので行って良かったです。

実はジャズ喫茶「いーぐる」に行くのは3年半ぶりだったのです。ご無沙汰しっ放し! 超お久しぶりにマスター後藤雅洋さんやジャズ評論家&編集者村井康司さんをはじめ「いーぐる」常連さんとお話しをさせていただき楽しい一夜となりました。

最近拙ブログにジャズのことを書かない私なので、後藤さんから最近何を聴いているのかというご質問があり、現代ジャズシーンに疎くなっているという答えをしたことから、色々教えていただきました。そんな中でカマシ・ワシントンを聴くべきとのお話しがあり、ビルボード東京のインタビュー記事が非常に面白いというお話もありました。

このインタビュー記事は、久しぶりに「いーぐる」へ行くこともあり、数年間チェックしていなかった「いーぐる」ホームページの中の掲示板(いーぐる note 2010)を事前に読んだ時に気になっていたものでした。でっ、今日その記事を読んでみると。

以下がそのインタビュー記事
http://www.billboard-japan.com/special/detail/1735

後藤さんが掲示版に書かれているお薦め理由
・渋谷はジャズ門外漢と言いつつ、彼のコルトレーンを通したジャズ観は実に的確。
・柳樂の解説も、現代ジャズ・シーンの概略がわかる優れもの。
はそのとおりだと思いました。

さて私はというと、記事に貼られていたカマシのライブを見て分かってしまいました(笑)。これが貼られていたライブ動画。

この既視感は何? 90年前後に観たことがありますよ。当時日本で盛んに行われていた野外ジャズフェスティバルの一場面(笑)? カマシ・ワシントンってあの頃のデヴィッド・サンボーンの位置付けそのものじゃないですか? このライブ映像の頭の部分を観てはっきり確信しました。自分で言うもの何ですが私の直感は妙に鋭い(笑)!

そう思ってインタビュー記事を読み返すとこれが腑に落ちる。私は菊地成孔さんと同じ53歳。20代にあの時期を過ごした同世代の人には分かってもらえると思います。80年代リバイバルというのは拙ブログの2年くらい前の記事に何度か登場してきます。結局そういうことなのかと。インタビュー記事にあるカマシへの戸惑いって、80年代のジャズvsフュージョン論争と本質的な意味合いは変わらないと思います。

あーっ、スッキリした(笑)! カマシ=サンボーンと思って聴けば、当時からサンボーンが好きだった私は特に拒絶反応はおきません。当時からジャズ/フュージョンの両刀使いな私なのですから(笑)。そう言えば当時ジャズ派代表の後藤さんが初めて書いた本「ジャズ・オブ・パラダイス」でサンボーンを評価していたのが当時意外であったけれど、的を射た理由が書かれていて嬉しかった記憶があります。

そしてもう一度インタビュー記事を読んで気になったことを書いてみます。

「スピリチュアル」という言葉に対する理解が渋谷陽一さんの持っているものとジャズサイドの理解は少し異なっているのです。そこを柳楽さんが指摘できていなのが残念。まあ私も今上手く説明する言葉は浮かびません。結果コルトレーンを即興演奏(インプロビゼーション)の中心に置いてしまっているのが私に違和感を感じさせます。やはり即興演奏を語るならチャーリー・パーカーを中心に置かなければなりません。

パーカーを即興演奏の中心に据えれば、ヒートアップした中にあるクールあるいはドライな雰囲気というのは当然のこととして理解できます。即興演奏というものはメロディーを形成するコード(和音)の並び順に従って、そのコードの中にある音(3音や4音)を瞬時に選び出し、人の心に響くような新たなメロディーを作る行為が基本です。理知的に考えていなければできません。それがクールあるいはドライな雰囲気につながります。そこがジャズ最高のカッコ良さなのです。パーカーが凄い熱い演奏をしながら非常に淡々とした表情をしているのは知られたことです。

それからカマシがスピリチュアルだと言うけれど、コルトレーンにあったドロドロしたものは感じられずそこがポップスやロックなどからの影響だとするならば、それはその通りでそんな話は既に80年代に散々ありました。スタジオミュージシャンでもあったマイケル・ブレッカーに対する評価と言えば分かってもらえるでしょう。後藤さんはマイケルについても『ジャズ・オブ・パラダイス』で高評価しています。

記事の中にあるウィントン・マルサリスやジョニ・ミッチェルも当時の状況が懐かしいです。80年代のそれと現代のそれは違うという見方がある一方、私は当時のリバイバルの域を超えるものではないという直感が働いています。歴史は繰り返す。その直感が正しいのかどうかは何年も後に振り返った時に判断できるでしょう。

それでは90年のライブを観ていただきましょう。ライブアンダーザスカイから。

リズムはファンクなので、現代のヒップホップやテクノ経由のリズムとは異なるところはあるでしょうけれど、まあヒップホップはファンクなどのビートをサンプリングするところから始まっているので、それの発展形という形で理解すれば特に問題ないでしょう。それにしても今になって観ると当時は熱かったですね(笑)。

そう言えば昔こんな記事を書いています。
「はは~ん、なるほど。」と思いました。

すみません。出版記念イヴェントについては次週書きます。

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コメント

いっきさん。お久しぶり!!

オレはカマシ・ワシントンはファラオ・サンダースだろって思って聴きました。
ん〜、ライトなファラオって感じだと思うけど。
ライブで聴くといいだろうなぁ。そのアルバムはお腹いっぱいになり過ぎましたw。

投稿: tommy | 2016年11月13日 (日) 20時54分

tommyさん
こんばんは。お久しぶりです。
サウンド面ではライトなファラオという感じなのでしょうね。
私は取り巻く状況を含めてサンボーンだと思ったのです。
お腹いっぱい聴いたとは(笑)。
私はこれから聴いてみます。

投稿: いっき | 2016年11月13日 (日) 22時03分

聴く人が「ファラオやサンボーンに似ている」って思うってことはオリジナリティがないつーことじゃないの?
まぁ、それ程のジャズミュージシャンじゃないってことだよね?(笑)

投稿: tommy | 2016年11月14日 (月) 19時51分

tommyさん
こんばんは。
そういったご指摘もあり得るとは思います。
ちなみに私がサンボーンに似ているといっているのは、ブログに書いているように位置づけですよ。

投稿: いっき | 2016年11月14日 (月) 21時51分

分かる分かる。時代の空気感のことだよね。
そう云えば、
今年の東京ジャズで聴いたハービー・ハンコックのライブ(久々にショルダーキーボード弾いてたぞ)は、いっきさんがチョイスした2本の映像をミックスしたような音楽だったよ。サックスはテラス・マーティン(LAコネクション、カマシのお友だち)、女性ヴォーカルはレイラ・ハサウエイ。
ハービーはテラスのプロデュースで近々新作を出すそうです。テラスはサンボーンにもっと似てると思うよ。

投稿: tommy | 2016年11月15日 (火) 07時58分

tommyさん
こんばんは。
時代の空気感というよりはジャズファンの受け止め方だと思います。
そしてそこにあるジャズマンとジャズファンの関係性は80年代にもあったということです。
東京ジャズは最近私の意識に上りません(笑)。
今年誰が来たのか知りません。
ハービーがショルダーキーボードを弾いていましたか。
80年代リバイバルまっさかりですね。
サンボーンって物凄く多くのアルトサックス奏者に影響を与えているはずで、どこかしら似ている人は数知れずだと思います。
ハービーの新作ですか・・・。
残念ながら興味が湧きません。
m(_ _)m

投稿: いっき | 2016年11月15日 (火) 22時47分

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