トーンアームを交換しました。
思いがけずトーンアームを入手できてしまいました。というのは競り負けてしまった物が繰り上げ落札となったからです。最高額入札者から連絡がなかったとのことで次点の私に声がかかりました。これまでは繰り上げ落札は受けたことがなかったのですが、今回はお受けすることにしました。落札したのはビクターのUA-7045、なかなかの人気物です。
写真の状態は薄汚れていたのを清掃した後のもの。まあまあ美品の部類でしょう。アームコードなしの出品でしたので送料も含めて¥15,000少々。人気があるのでこれくらいはやむをえません。落札してからアームコード(他メーカー品)がみつかったとのことで同梱されてきました。アームコードはごく普通のものですが、それでもヤフオクでは¥3,000くらいにはなりますから結構お買い得だったのではないかと思います。
このトーンアームはベース部にお金がかかっています。チャッキングロックのような構造でアーム本体を固定することができます。下列真ん中にあるパーツでアーム本体を固定しているようです。上列左の巨大なロックナットは只者ではありません。
上記5つのパーツを組み合わせると実に豪華なアームベースになります。
オーディオ評論家の故長岡鉄男さんがこのトーンアームを高く評価していたというのがこのトーンアームの人気の理由。そのあたりのことを長岡さんの著書『長岡鉄男の日本オーディオ史②』から抜粋してみましょう。
本文: 「ビクターUA-7045(\25,000)はベースががっちりして力強い高級感のある35cmアームである。ニュージンバルサポート、チャッキングロック式ヘッド・コネクター。特徴はないがハイCP機だ。しかしあまり売れなかった。ブランドのせいだろう。アームの専業ソーカー(誤植で、正しくは”メーカー”)から出ていればベストセラーになったはずだ。」
挿絵の注釈: 「ビクターUA7082、7045 みごとな仕上げ、巨大なロックナット(写真では見えない)も含めて実に豪華だが安すぎて売れなかった。」
世の中では最後の「安すぎて売れなかった。」が独り歩きしているようですが、全文から分かるように安すぎるのは豪華なベース部やヘリコイド式高さ調整(上記文章の中にはなし)などの機能を含めてのことであるのは明白。何を言いたいかというと、そういう機能がついていないレコードプレーヤー付属のトーンアームを含めて「長岡氏推薦の良いトーンアーム」と括ってしまうのは「ちょっと違うでしょ。」ということ。
アームベースが太いのでレコードプレーヤーの取付け穴を広げました。糸鋸ややすりを使って地道に作業。ベースのフランジ部があまり広くないので、徐々に広げてピタリと収まる程度の穴にしました。ターンテーブル中心から230mmの位置に取付け穴の中心がくるようにします。インサイドフォースキャンセラーの関係からの位置制限もあるようですが、そこはあまり気にぜずQL-5と同じくらいの位置にあれば良しとしました。
そしてこのトーンアームお決まりのバランスウェイトの垂れ下がり。つなぎ目のゴムが劣化して収縮軟化してしまうのが原因です。平ワッシャを半分に切って入れてみましたが焼け石に水か。ここの修理を試みた痕跡があり、バランスウェイト側のシャフトの裏側にあるイモネジがなくなっていました。なくても機能的には問題ないようなのでそのまま使うことにします。
黒い目盛り付きのダイヤルがヘリコイド式高さ調整機構。演奏中でもここを回して高さ調整できるのは良いのですが、ダイヤル固定機能がないので”がっちり”に拘る人には向かないと思います。私はそういう拘りはないので問題ありません。
実にメカニカルでカッコイイですよね~、ほれぼれ(笑)。
ガタつきは全くないのに高感度で、バランス調整時はアームが上下に振れてなかなか静止しません。ニュージンバルサポート方式、私はこの1点でこのトーンアームが好きです。アームリフターはゆっくり降りてくれるのでメンテナンスする必要はありません。今後速く降下するようになったら粘度#100000のグリスを使います。
ターンテーブルDP-2000、トーンアームUA-7045、キャビネットDK-77、大袈裟になる一歩手前のこの組合せが気に入っています。私のメインレコードプレーヤーはこれで完成。アームコードはもう少し高級なものにしたいので、オヤイデ電気の自作キットを狙っています。
またこんなものを入手してしまいました。人気がないので安く落札できました。良いカートリッジなのにね~っ。オルトフォンの520。振動系は現行2M Blueと同等のはず。無垢ダイヤの楕円針です。今でもヨドバシでこの後継機520MkⅡの交換針が買えます。
本体だけだったのでヘッドシェルとシェルリードは手持ちの物を使いました。以前入手した530MkⅡが白文字だったのに対してこちらは金文字。高級感はありますが読みにくいです。
オルトフォンの音が好きな私なので実に心地よく聴こえます。
カートリッジが増えすぎたので、オルトフォンVMS20EMkⅡ、530MkⅡ、520、シュアーVSTⅢ、ML120HEとお気に入り日本製以外はリサイクルします。うんっ、それでも10個くらい手元に残ってしまいますね(笑)。
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コメント
お久しぶりです、不知火もなれでございます。
UA-7045を導入なされたのですね。
私も現用中ですが、私が入手した時は元箱、欠品無しで2万オーバーでした(汗) フォノケーブルだけはSAECでしたが、今ではmogamiの線材を使った自作品に置き換えてます。
ウェイトの前後の位置と針圧調整の回しの位置で音が変わるので、結構遊べるアームですねw
ps.ご存知かもしれませんが、テクニカのVM型カートリッジが一新されます。型番の「AT」がなくなり、「VM」に変わります。
長年「AT」の型番で慣れ親しんだので、「VM」の型番にはちょっと違和感があります。
投稿: 不知火もなれ | 2016年10月23日 (日) 20時44分
こんばんは。
カートリッジまた増えてしまったのですね。
最近は写真も撮りませんが、以前ライカのレンズを10本以上持っていました。撮りくらべとかすると、やはりライカのレンズらしさは共通しつつも違いがあります。
カートリッジと違うところは、レンズの場合性能が良ければ作品のポテンシャルとなることです。カートリッジは再生音によって更に何かが生み出されるわけではありませんから、せいぜい音楽にあわせて三本あればいいし、MCカートリッジも不要だと思います。
最近、MCトランスを外して、MMカートリッジをダイレクトにつないでいるので、ノイズが減りました。
一時期、シスコンやフルオートプレーヤーに針が交換できるMCが付属していました。
使っていないMCカートリッジがあるので困ってしまいます。
投稿: サンセバスチャン | 2016年10月23日 (日) 23時22分
不知火もなれさん
こんばんは。お久しぶりです。
不知火もなれさんもUA-7045を使用していらしたんですね。
元箱、欠品無しで2万オーバーならお買い得だと思います。
私はそこまでの音の違いが分からないので、メカ的な安定性という意味で、ウェイトが付いているサヤ部分ができるだけ後ろに飛び出さないように調整しています。
テクニカのVM型カートリッジのラインナップが一新されるのは知りませんでした。ホームページを見てビックリ!!
基本単なる目先の新しさを狙った感はありますが、お家の事情は透かして見ることができて、なるほどなあと思いました。
投稿: いっき | 2016年10月23日 (日) 23時37分
サンセバスチャンさん
こんばんは。
カメラの趣味いいですね~。
カートリッジの場合も性能が良ければ音楽のポテンシャルとなると思うのは私だけですか?
レコードに入っている音を忠実に再現できればできるほど音楽への理解が深まるので、カートリッジの性能は非常に重要だと思います。
安物カートリッジでは音楽の上っ面しか分かりませんよ。
分解能は絶対に必要で、それがないと音楽の細部は聴き取れないです。
そういう意味では性能が良いカートリッジが1個あれば十分な気がします。
音楽によってカートリッジを変える必要性は私にはありません。
私の場合カートリッジが多くなったのは、単にそれぞれ良さがあって(音とは限らない)手放せないだけです。浮気性なのです(笑)。
針交換ができるMC型には昔から全く興味はないです。
同様に高出力MC型にも全く興味はありません。
使っていないMCカートリッジがあるならヤフオクでリサイクルしたら良いのではないでしょうか。
面倒ならオーディオ専門店やハードオフに持っていく手もあると思います。
投稿: いっき | 2016年10月23日 (日) 23時53分