ML120HEの比較試聴結果を報告します。
お盆休み前に入手したシュアーML120HEの比較試聴をしましたので報告します。最近は比較試聴をしなくても音の傾向は分かるのですが、念のために比較視聴をして、できるだけ正確に音色を(自分なりではありますが)お伝えしたいと思っています。
比較試聴の方法は、2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のレコードプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替しながら比較する方法です。比較の相手は私のリファレンスZ-1E。レコードプレーヤーはデンオンDP-1200とデンオンDP-2000モーター/DP-2500トーンアーム/DP-77キャビネットです。
左 : ビクター Z-1E(針:アーピス現行楕円針DT-Z1E)
右 : シュアー ML120HE(針:純正N120HE)
出力はML120HEの方が小さいです。いつものように音量を合わせながら比較しています。なるほどやはりシュアーは上級機も明るく元気な音です。Z-1Eの鳴り方に似ています。でもそこは無垢ダイヤならではの澄んだ高音でZ-1E接合ダイヤの濁りはありません。こうなると高音が大人しくなりそうなのですが、高音は良く出て上記のとおり元気に聴こえます。低音も良く出て極僅かに中音が引っ込み加減かも?一方空間は静かになっていて無駄な音が出ておらず上級機を感じさせます。明るく元気な持ち味を維持しつつ、上級機なりの音質を盛り込むのはシュアーならではのような気がします。
松田聖子のサ行はハイパーエリプティカル針の効用で優秀。ボーカルの繊細な部分をきちんと表現します。トレース性能はもちろん優秀で、ダイナミックスタビライザーなし針圧1gでチェックレコードを難なくトレース。トラッカビリティ(トラッキング・アビリティの造語)という言葉まで作ったシュアーなので当然と言えば当然の結果。
ちなみにネット上にはV15TypeⅣの振動系(ML120HEも同じ)はダンパーゴムが硬化しやすいという情報がありました。実は私、10数年くらい前に当時持っていたV15TypeⅣ(秋葉原ハイファイ堂で中古品を25000円くらいで買った物)をある日使おうとしたらゴムが硬化していて、突然レコードの上を針がスーッと流れてしまうようになったのを経験しています。その時は代替針としてJICOのHE針を買いました。
私としてはダンパーゴムの硬化には思い当たる節があるのでその後注意しています。思い当たる節というのは、カートリッジを逆さまに置いてスタイラスをクリーニングした時に、アルコール分を含むクリーニング液が微量ながらカンチレバーを伝わってダンパーゴムにかかって、そのために硬化したのではないかということです。明確な根拠はないのですが、それ以降カートリッジを逆さに置いてクリーニング液を使うことはしていません。
今回改めてML120HEの音を確認したわけですが、明るく元気な音が好きな私としては、シュアーカートリッジの音は好みだと再認識しました。私はこういう音がMM型カートリッジのスタンダード(標準)なのではないかと思っています。ML120HEは前回入手したVSTⅢのような独特な高音ではないのでこちらの方が好きです。スタイラスがダメになるまで聴いてあげようと思います。当然手元に残しておくということです。
15年ほど前、秋葉原にあった平方電気でML120HEとML140HEの針を買った後で再訪問した時、店長の中村さんに良い音でしたと報告したのですが、私がML140HLの方が良いと言ったら、中村さんはML120HEの方が良いと言っていました。その時私はそうだと思わなかったのですが、今になってML120HEとVSTⅢ(ML140HEに近い)を聴いてみてなるほどと納得した次第。さすがだと思います。
(注)平方電気は既に閉店していて秋葉原にお店はありません。
と書いたのですが、たきじんさんからコメントをいただきました。
現在別な場所で「サウンズ・ナカムラ」というお店をやっているそうです。
今度秋葉原へ行ったら寄ってみようと思います。
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