DP-790のメンテナンス
安値落札したレコードプレーヤーDP-790のメンテナンスが終了していますので報告します。デンオンのこの手のシリーズの最安値製品だけあって各所でコストカットしていますが、要所は押さえているなかなか良いレコードプレーヤーだと思います。
そこそこきれいに見えますが、かなりタバコのヤニコーティングされていました(笑)。
底板を外してみるとこんな具合。
大きなトランスがありません。モーターはトランスを介さずにAC100Vで直接駆動しているようです。そのため底板には注意事項が書いてあります。「感電防止のためこの底板は取り外さないで下さい。」要注意です。コストカットはこのような形でされています。
回転数制御回路は御覧のように簡略化されています。
IC1個にトランジスタ7個しかありません。制御回路の電源用に小型のトランスが付いています。 (注)これとかDP-1200、1600などのDENONの簡略化された回転数制御回路は安定性に少々問題があるように思います。
※その後の調べで、この小型のトランスは回転数検出ヘッドの絶縁トランスであることが分かりました。 20180729
磁気ヘッドが回路に直結していると電源トランスレスなので漏電したらやばいでしょ。感電対策です。
回転数がズレていて回転数調整ボリュームのセンターでは合いませんでしたが、たぶん裏面のボリュームを再調整すればセンターで合わせられたと思います。なので例のトランジスタが故障しているわけではありませんが安いトランジスタなので交換しました。
トランジスタ5個を交換しておしまい。楽ちんです。
こちらは回転数調整用ボリューム。
表にあるものと裏にあるものは直列接続されているので、表にあるものをセンターにしておいて裏のボリュームで33回転に調整しました。裏のボリュームは底板の穴から少し出ているので底板を外さずに調整できます。感電の心配はありません。
ちなみにストロボランプはコストカットのため付いていませんので、ゴムシートの上に乗っているストロボパターンを蛍光灯の光の下で見て縞模様が停止するように調整します。
またコストカットという意味では、トーンアームのアームレストとインサイドフォースキャンセラーを構成する部分がプラスチック製になっています。DP-2500のトーンアームなどはこういう部分も金属でできているので、上級機と比較すれば明らかにコストカットなのです。
ヤフオクではこのトーンアームだけ外して(送料が安くなる)、高値で売りさばこうとする人が多数います(笑)。現物を見れば分かりますが、レコードプレーヤー付属の普通のトーンアームの域を出ていない物なので期待しない方が良いと思います。中古品に1万円以上出すヤツはバカ。DP-50Mのトーンアームも同じようなものでしょう。アームコードが付属していないなら5千円が限界。
ちなみにトーンアームを外したDP-790はヤフオクではほとんど値が付かないのでゴミと化します。入札する方も分かっているので、トーンアームを外して売るせこい人達の残り物には手を出しません。トーンアームだけ外して売る人はゴミを増やす悪人です(笑)。
タバコのヤニをじっくり清掃してメンテナンス終了。ダストカバーには傷が多いですがそれ以外はなかなか良い状態だと思います。
白木調キャビネットにブラウン系の色調でまとめたデンオンのこの頃のデザインは好きです。音を聴いて思うのですが、音楽を楽しむのにこれ以上何が必要なのでしょうか?十分まともな音です。しかし一方でオーディオが趣味の人にとっては物足りない物であることも事実。質素で遊び心が感じられないところが私的にはマイナス要因です。
ヤフオクで安く入手できるので、掃除して(できればメンテして)使えばお得なレコードプレーヤーと言えるのではないかと思います。ストロボランプがないのはやっぱり使い勝手が悪いので、それが我慢できる実用品好きな人にはおすすめ!
最近はすっかり悟ってしまたので、普段着的な気楽に楽しめるオーディオに良さを感じています。暮らしの中にあるオーディオはそんなものだと思います。
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コメント
こんにちは。
白木のプレーヤー、良いセンスですね。
80年代になると白木の仕上げはなくなっていきました。
最近プレーヤーもカートリッジもそこそこのもので十分だと思うようになりました。DP790はちょうど良いバランスですね。
3700との違いは感じられますか。
投稿: サンセバスチャン | 2016年6月19日 (日) 15時05分
3700じゃなくて2500だったのですね。デンオンは種類が多いですね。
投稿: サンセバスチャン | 2016年6月19日 (日) 15時08分
サンセバスチャンさん
こんばんは。
白木のプレーヤーは良いですよね。
DENONとYAMAHAが代表格でしょう。
確かに80年代にはなくなっていきましたね。
DP-790はギリギリのラインだと思います。
これ以下になると安かろう悪かろうになってしまう気がします。
DP-2500とは比較していないので違いはよく分かりません。
投稿: いっき | 2016年6月19日 (日) 21時59分
白木じゃなく、栓(ウコギ科の落葉広葉樹)のイメージなのだけれど。
これが大変よく出来た仕上げだけれど、ビニールなんです。
真実を知ってしまうと、半ばがっかりするが。
デンオンは、それ以前は「本物の木」仕上げだった。
ところが、それが経時変化で暗くなり、汚れがつき、汚く見えてしまう。
それを気にして、劣化しにくい「ビニール仕上げ」にしたのだと想像する。
いずれにしても、中身が空洞の「なんちゃって将棋盤」DP-500Mより100倍マシだ。
投稿: suomi | 2018年5月 1日 (火) 22時03分
ところで、この記事はずいぶん「辛い」と思う。
好意的ではあるけれど、もっと客観的に見て欲しいと感じる部分はある。私とは異なる受取方の部分もある。それはそれで結構なのだけれど。
私のブログに、当時のレビューを交えてノートを書いた。私の記事は稚拙だが、それは笑って下さい。当時のテスターは、DP-790の本質をちゃんと見抜いている。
オーディオピープル vol.9 DP-790 テスト
http://vinyl1c.blogspot.jp/2017/12/dp790-test-audiopeople-vol9.html
トランスが小型なのは、減圧してあるからこのサイズで充分、ということ。DP-1000とは思想が違う。「感電に気をつけろ」は、メーカーとしては当然の記載だ。
トーン・アームの記述が、ずいぶん辛い。アームレストやインサイドフォース・キャンセラー部分がプラなのは、本質とは何の関係もない。ベアリングブラケットやカウンターウェイトの仕上げを見ればわかるとおり、本質部分は手抜きのない、「良い」アーム。共振周波数の設定等、基本的な部分はDA-305の流れを受け継いでいて、ちゃんと作られている。
このアームが、ヤフオクで1万超えでやりとりされるのは不愉快な気はする。それは、rb_cafe等の商売の問題。普及価格でアームを入手したい、というニーズに応える製品が無く、それにぴったりなのがこのアーム、と言うことです。
投稿: suomi | 2018年5月 1日 (火) 22時18分
suomiさん
こんばんは。
コメントありがとうございます。
返事が遅れてごめんなさい。
「白木」は誤解を招きそうなので「白木調」とでも修正しておきます。
「ビニールシート」ってコストダウンだと思うのですが?
DP-500Mに対してやけに辛口ですね~。
私のDP-790に対する「辛口」の反対の姿勢が感じられますw。
この記事が「辛い」のはあえてそうしているからです。
その理由はご想像にお任せします。
その他ご指摘の件に対する再説明はしません。
物事のとらえ方が違うということが良く分かりました。
それはそれで結構ということなのでは?
ありがとうございました。
投稿: いっき | 2018年5月 4日 (金) 22時10分