しばらく前にオーレックスC-550ⅡのヘッドシェルをジュエルトーンMg-704Jに交換しました。これまで使っていたヘッドシェルが少し軽かったのでトーンアームにマッチするように重くしたのです。ところがこれがどうもしっくりこない。というのはMg-704Jの材質マグネシウムの高音寄りの響き(木の机の上に落とすと”カラン”と鳴る)がC-550Ⅱの音に乗って、高音が耳障りになってしまったからです。
ということでヘッドシェルを交換することにしました。8月に売り出された新顔、オーディオテクニカのAT-HS10です。黒色なのでBK。定価4400円をヨドバシの通販で少し安く購入しました。とうとうオーディオテクニカがアルミ製軽量ヘッドシェルを販売。新製品レコードプレーヤーがテクニクスOEM系ばかりの昨今、重いヘッドシェルではバランスが取れませんからね。
何で今こんなレトロで武骨なデザインになるのか良く分かりません。今やこの程度のヘッドシェルでも4400円になってしまいます。それだけ需要が少ないということでしょう。メイド・イン・チャイナ、ご時世です。
仕上げの程はまあまあ。コネクタの端子(ピン)が金メッキされていません。トホホ。アルミ製で約10gということなのでご覧のとおりかなり穴があいています。カートリッジと接触する部分もスカスカで、M44Gを取付けたら後ろ半分くらいが浮いてしまうことでしょう。意外と肉厚なので剛性は問題なさそうです。デザインどおりのしっかり感は出ています。
注意しなければならないことがあります。ご覧のとおりカートリッジの取付け面が低いので、トーンアームの水平をとるにはトーンアームをかなり上げないといけません。
これはもうテクニクスOEM系レコードプレーヤー対応でしょうね。オーディオテクニカも海外ではそういうレコードプレーヤーを自社ブランドで売っているようです。そのトーンアームはどうやらオルトフォン・コンコルドの高い背丈に合うようになっていて、オーディオテクニカをはじめ日本の標準的な高さのカートリッジの場合、ヘッドシェルとカートリッジの間にスペーサーを入れて水平をとらなければならなかったらしいからです。
カートリッジ取付けネジが2種類入っていて、長い方はM44G用でしょう。C-550Ⅱも長い取付けネジが必要なので好都合でした。オーディオテクニカもようやく現状(世の情勢)に合わせたVM型カートリッジ用ヘッドシェルを売り出したということになります。
オーディオテクニカのホームページの新製品ニュースは以下。
https://www.audio-technica.co.jp/release/release_detail.php?releaseId=126
11月からはこのヘッドシェルに今までのカートリッジを取付けて販売します。
https://www.audio-technica.co.jp/atj/series.php?seriesId=101050002
これまで一番安かったAT100Eも値上げによって高くなってしまったので、更に安い入門モデルAT95Eを投入。世界規模で出来るだけ数を売って安くしているのでしょう。価格相当のちゃちな作りはしょうがないですね。
https://www.audio-technica.co.jp/atj/show_model.php?modelId=2781
トーンアームを上げる面倒くささはあるものの、音は落ち着いたしレトロなデザインも悪くはなく、結構気に入っています。
このヘッドシェルを使っている人はまだあまりいないでしょうね。この時期にいち早く使用感を書いている私って、意外と時代の先端を行ってます(笑)。
こちらも交換しました。AT120Eaのヘッドシェルです。オーディオテクニカでデザインを統一しようとして入手したAT-LS12が少し重すぎたからです。重いが故にカートリッジのハイコンプライアンスとの関係でトーンアームのf0(最低共振周波数)が下がり、少し波打ったレコードでカートリッジがフラフラしてトレースが不安定になります。フラフラするだけなら精神的な不安だけなのでしょうけれど、実際に問題が発生しました。
CBSソニーのマスターサウンドシリーズで、以前バスドラ1発で針飛びを起こすことがあると報告したマリーン『イッツ・マジック』A面冒頭とボブ・ジェームス&アール・クルー『ワン・オン・ワン』のB面ラスト曲の終盤で、針飛びを起こしてしまいました。針圧を上限ギリギリにしても改善しませんでした。これまでは見た目の不安感だけだと思っていたのに実害があることが分かり、もうこの状態での使用はできないということになりました。
ということでデザインは同じで軽量なAT-MS9に交換しました。これはマグネシウム製なのですが、厚みがあるのとゴムでダンピングしていることにより、高音の響きはあまり感じません。
写真はATN100Eを付けていますが、AT-LS12での針飛びはATN100Eでも起こりました。これまでAT100Eに組み合わせて売っていたヘッドシェル(約13g)では同じことが起こるのではないかと思います。なので上記のとおり約10gのヘッドシェルを売り出したのは正解。
レコード再生はこういうところをきちんとやらないといけないので、そこが面白さであり奥深さでもあります。今はレコードのちょっとしたブームが起きているのに、まともな指南書はあまりないようですし指南できる人もほとんどいないようなので、レコードの良さを引き出せずに聴いていると思うと本当に残念です。
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