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昨日はコルトレーンの命日だったらしい

今年出たアルバムの紹介が溜まりに溜まっているのに半年が過ぎてしまいました(笑)。今年出たアルバムの紹介はまだクリポタの1枚のみ。いい加減紹介していかないといけないのですが・・・、今日も別件について書きます。

昨日はジョン・コルトレーンの命日だったらしいですね。まあ私は誰それの命日だから誰それを聴くとかしない人なので、単にそういうのがめんどくさいだけなんですが。何事も気まま思いつくままにやるのが好きなだけです。だから今回突然こんな記事を書いたりしております。急にこのアルバムについて書きたくなりました。

P191ジョン・コルトレーン『至上の愛』(1964年rec. Impulse)です。メンバーは、ジョン・コルトレーン(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)です。ジャズを聴き始めてしばらく経った頃、コルトレーンのアルバムとして聴いておかないとまずいだろうという事で買った1枚。今でもその時買ったレコードを聴いています。好きなアルバムです。

1曲目《パート1、承認》、これはエルヴィンのポリリズミックなドラミングが好きです。私、エルヴィンのドラミングが大好きなのですが、そんな中でもこの曲のグルーヴ感はエルヴィンにしか出せないエルヴィン節で、特に気に入っています。そんなグルーヴに乗って、コルトレーンのソロのバックでアクセントを付けるマッコイのピアノが好きです。和音の響きに独特の色気を感じます。この曲は後半のコーラスが何とも。男どもが「ラ~ヴ スプリン ラ~ヴ スプリン ラ~ヴ スプリン ア ラ~ヴ スプリン ~」とかまったり歌っているのを聴くと、「女性にこのアルバムはいいよ。」と薦め難くなります(笑)。

2曲目《パート2、決意》、私はこのアルバムの中でこの曲が一番好き。特に1曲目が終わってこの曲の始まるところがカッコイイと思います。この曲は《決意》というだけあって、聴いていると前向きな気持ちにさせてくれる曲想が良いのです。マッコイのピアノソロは典型的なマッコイ節で、このフレージングはワンパターンと言えばワンパターンなのですが、私は先に書いたようにこのフレージングの持つ色気が好き。続くコルトレーンのソロ、カッコイイですよね~。これも典型的なコルトレーン節だと思いますが、カッコイイとしか言いようがないです。これを聴いているとマイケル・ブレッカーがコルトレーンのフレージングを研究したくなった気持ちが分かるような気がします。

その数年後、この曲をカッコイイと思う人達がいたということを知る出来事が起こりました。マーク・ジョンソン・ベース・デザイアーズのファーストアルバムにこの曲が収録されていたのです。あの出だしと曲調がまんま再現されています。アルバム2曲目に入っている辺りにも意識したところがあると思います。「そうだよね~。カッコイイよね~。」と、ジョンソン、ジョンスコ、フリゼール、アースキンに大共感しました。80年代の新感覚ジャズをやる人達にも私と同じ感覚を持つ人達がいたんだと分かり、ジャズを聴いて良かったと思いました。

レコードなのでこの2曲でA面終了。1曲目のコーラスは何ともなのですが、2曲目が好きなのでどちらかと言えばA面を聴くことが多いこのアルバムです。次はレコードをひっくりかえしてB面へ。

3曲目《パート3、追求》、これはコルトレーンの怒涛のソロが最高。ソロで先行するのはマッコイのピアノなのですが、前座、露払いと言った感じ。続いてエルヴィンの煽り立てる高速4ビートに乗ってコルトレーンのソロが登場。前え前えと音を次から次へと並べて行きます。フリーキーなトーンを交えながら疾走するコルトレーン。こういうソロが聴きけるのがジャズの醍醐味なのです。コルトレーンってやっぱスゲーよ! エルヴィンの煽りに煽るドラミングがカッコイイ。で、急速調にソロが萎み、エルヴィンの短いソロに続くギャリソンの力強く素朴なベースソロは、あなたがバックで支えてくれていたことを改めて気づかせてくれます。

4曲目《パート4、賛美》、エルヴィンのマレットによるドラミングが荘厳さを漂わせるスピリチュアルなバラード曲です。私にとってのスピリチュアルなジャズの典型がここにあります。神の前に祈りを捧げるコルトレーン。その響きには日頃の反省が込められているようでもあり、このあたりがコルトレーンという人の本質を表しているような気がしてなりません。マッコイのピアノも重くのしかかり、重厚な感じは鬱陶しいくらいです(笑)。でもこの鬱陶しさがいいんですよね~。

ということで、私にとってはそれぞれに聴きどころがある4曲が詰まったこのアルバムが好きです。同じ頃『バラード』も買っていますが、私は圧倒的に『至上の愛』の方を聴いていました。ついでなので紹介しておきますか、これも。

P192ジョン・コルトレーン『バラード』(1961,2年rec. Impulse)です。メンバーは上記のアルバムと同じ。このアルバムも当時買ったレコードを今でも聴いています。タイトルどおりコルトレーンのバラード演奏を集めて収録したアルバム。当時からイケイケな私は、バラード演奏よりイケイケ演奏が好きで、自ずとこのアルバムを聴く機会は減りました。30年以上ジャズを聴いていますが、このアルバムは10数回くらいしか聴いていないと思います。

80年代、当時の「スイングジャーナル」誌には対決企画があり、「コルトレーンの本音は『至上の愛』か『バラード』か?」とかのタイトルで、それぞれのアルバムを支持するジャズ評論家などの記事が併記されていました。もちろん私は『至上の愛』支持派に納得。他には「ジェームズ・ブラッド・ウルマーは下手なのか上手いのか」とか、「アート・ペッパーの本質は前期か後期か」とか、「ジョージ・ウィンストンはジャズなのかジャスではないのか」とかあったように記憶しています。今思えば誌上ディベートと言ったところでしょうか。

そんなわけでこのアルバムは好きではないのですが、今は特に批判的にならず聴き通せます。イケイケばかりでは疲れますからね。たまにはこういうのをゆっくり聴くのも悪くないです。そんな私もこのアルバムの中に好きな曲が1曲ありました。アルバム中唯一のノリの良い曲《のるかそるか》です。この曲のエルヴィンのポリリズミックな躍動的ドラミングが好きなんですよね。オイオイそこなんかいっ(笑)!

今日聴いて良いと思ったのはB面最初の《アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー》。この曲の雰囲気が好き。このアルバムと言えば次の《ホワッツ・ニュー》が話題になることが多いと思いますが、私は特にこれがという演奏とは思えません。このアルバムの演奏ならば、曲の好き嫌いで判断すれば良いのではないでしょうか。

というわけで、気ままに綴らせてもらいました。

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