追悼オーネット・コールマン
6/11、オーネット・コールマンが85歳で亡くなりました。数年前「東京JAZZ」に来るはずだったのが体調不良でキャンセルになり、再来日したいと語っていたのは実現しないことになってしまいました。本当に残念です。ご冥福をお祈り致します。
昨夜、追悼の意味でオーネットのレコードを聴こうとしたら、フルオートレコードプレーヤーPL-380のアームリフターとアームが動かなくなりました。しばらく前から動作音が大きくなっていたのでメンテしようかと思っていた矢先の出来事。仕方がないので昨夜は手動で聴きました。
今日になって原因を調べようとレコードプレーヤーを分解してみると、アームリフターとアームを駆動するゴムベルトが切れていました。1年少々前に交換したばかりなのにおかしいと思ったのですが、どうやら駆動ギヤに挿した油が悪さをしたようです。ギヤ音が大きかったので多めに挿した油が飛散してゴムベルトにもかかってしまったらしいです。ゴムに油が付くと劣化しますから。
予備のゴムベルトを買ってあったのでそれと交換。不要な油はもう飛び散らないでしょうからゴムベルトを交換すれば当分大丈夫でしょう。
このレコードプレーヤーの分解組み立ては何度もやって要領を得ているので、ゴムベルトの交換に要した時間は30分くらいです。
アームリフターとアームは問題なく動作するようになりました。アームの動作はスムースで静かです。フルオートの楽ちんさに慣れてしまうと手動には戻れませんね。必要にして十分な音質を備えたレコードプレーヤーです。
さて、本題に入ります。昨夜聴いたオーネットのレコードは『オブ・ヒューマン・フィーリングス』。ジャズを聴き始めてしばらくした頃リアルタイムで買いました。
当時愛読(大学図書館の雑誌コーナーにあったのをただ読み)していた「スイングジャーナル」誌で、年間優秀アルバムとしてジャス評論家の青木和富さんらが上げていたので買おうと思ったように記憶しています。最初に買ったオーネットのアルバムがこれ。過去の「ジャズ来るべきもの」とかよりは現行の音が聴きたかったのです。
最初にこれを聴いた時、オーネットの調子っぱずれのアルトにまずはビックリ。バックのリズム陣と合っているようないないような・・・。何ともむず痒い気分なのでした。それでもファンキーなリズムが気に入ったので度々聴くことに。不思議ですね。そのうちオーネットのアルトが心地良くなってしまったのですから。
ジャマラデイーン・タクマのグルービーなエレクトリック・ベースを中心に乗りの良いリズムを繰り出すリズム陣。その上で何とも気ままに音を紡ぐオーネットの爽快なアルトが快感に変わります。この快感が一度分かってしまえば、このアルバムに詰まっているジャズが楽しくてしょうがなくなります。
2ギター、1ベース、2ドラムの「プライム・タイム・バンド」。私はこのバンドが大好きです。残念ながら私は観に行っていませんが、1986年のライブ・アンダー・ザ・スカイにプライム・タイム・バンドを引き連れて出演しています。その時の映像がこれ。
カッコイイですよね。上記アルバムでは使っていないバイオリンとトランペットもユニークで良い味を出しています。バイオリンは左利きポジション。でもやっぱり私はオーネットのアルトサックスが好き。観客に混じってヒノテルが興味深げに観ていますね。
上記アルバムを買った後、次作の『ヴァージン・ビューティー』はもちろん買いました。しかしその次の『トーン・ダイヤリング』はリアルタイムで買っていません。当時仕事が忙し過ぎてジャズどころではなかったのです。車で夜な夜な峠を攻めたりするのが趣味になっていたというものあります(笑)。その後聴いた『トーン・ダイヤリング』はヒップホップにも挑戦している楽しいアルバムとして気に入っています。
そして今日レコードプレーヤーを修理して聴いたのが『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマンVol.1』。
最初に買ったのは輸入盤CDです。出張で東京に寄った際、確か御茶ノ水駅の上のところにあった「セカンドハンズ」で買いました。OJC盤と並んでブルーノートも安かったので、聴きたかった昔のジャズを数枚ずつまとめて何度か買っていました。
今持っているのはレコード。50年代と60年代は出来るだけレコードを持っていようと思い、10年くらい前に買い換えました。これは東芝が輸入して売り始めた頃のリバティ盤。野口久光さんが書いたライナーノーツが入っていて、今読むと当時のジャズの状況が分かって貴重です。
これは仕事に疲れて帰ってから時々聴いていました。仕事に疲れて帰ってから聴くのはピアノ・トリオみたいな考え方がありますが、私は必ずしもそうではないと思っています。ほんと、ストレートアヘッドで爽快なサックス・トリオが聴けます。ノリノリな1曲目を聴いていると元気がもらえますよ。
フリー・ジャスなのですが前記事のトニー・マラビーと同様、全くのフリー・インプロビゼーションではないので、定型リズムがあってメロディーや展開が追えるので聴き難さは意外とありません。ここでも爽快感溢れかつ力強いアルトサックスが鳴っていて、それをサポートする活気あるリズム陣は上記プライム・タイム・バンドと同じ構図。私は特にチャールズ・モフェットの闊達なドラミングが好きです。
このアルバムは録音が良いです。ライブ録音なのにとてもクリヤな音が捉えられています。ますはオーネットの爽快なアルトの音色が良いですね。それから何と言ってもドラムの音が良く、シンバルの金属感、爆ぜるスネア、重量感あるバスドラはオーディオマニアに受けるはずです。
快調に疾走する《フェイセス・アンド・プレイセス》と楽しい感じを伴ったワルツの《ヨーロピアン・エコーズ》が入ったA面を私は愛聴しています。
オーネット・コールマン、楽しい音楽を遺してくれてありがとう。合掌。
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