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2015年6月

クリポタらしさが出た良いアルバム

お待たせしました。やっと今回から今年発売になったアルバムの紹介です。やはり最初はこの人でしょう。アルバムが発売されてからもう半年くらい過ぎました。今年の初めはこんな予定ではなかったんですけどね。

P180クリス・ポッター・アンダーグラウンド・オーケストラ『イマジナリー・シティーズ』(2013年rec. ECM)です。メンバーは、クリス・ポッター(ts,ss,b-cl)、アダム・ロジャース(g)、クレイグ・テイボーン(p)、スティーヴ・ネルソン(vib,marimba)、フィマ・エフロン(bass guitar)、スコット・コリー(double bass)、ネイト・スミス(ds)、マーク・フェルドマン(vn)、ジョイス・ハマーン(vn)、ルイス・マーティン(va)、デヴィッド・イーガー(vc)です。ECMの2作目で今回はオーケストラと名乗った11人編成でやっています。新旧アンダーグラウンドのメンバーを中心に、ヴァイブ、ベース、ストリングスカルテットが加わった構成。

クリポタは過去に管のアンサンブルを入れた10人編成のアルバムを出しているので、こういう編成でアルバムを作るのはお手の物でしょう。ECMのレーベルカラーにも合っていると思います。クリポタのコンポーザーとしての実力が如何なく詰め込まれたアルバム。コンポジションに力が入っているのは当然ですが、インプロバイザーとしての魅力を失っていないのがクリポタの良さです。全曲クリポタが作曲していて分かりやすい良いメロディーの曲ばかり。リズムはほとんど8ビート。変に難解にしないところが好印象。

全曲を11人編成でやっているわけではなく、曲によっては演奏していないメンバーがいます。ソロをとるメンバーを曲によって適材適所に使い分けています。ツインベースの使い方が凝っていて、左にエフロンのエレクトリックベース、右にコリーのアコースティックベースを配置して、曲の場面(ソロなど)によってベースを弾く人を替えたりします。ストリングスカルテットは全曲で演奏していて要所に登場して彩を添えます。ストリングスが入ってクラシカルな雰囲気でありながら、スミスには躍動的なビートを叩かせていてそこが私好み。

1曲目《ラメント》はストリングス・カルテットだけで静かに始まる出だしが良いです。これから始まる「イマジナリー・シティーズ(仮想都市)」の物語に思いを馳せます。コリーのベースソロから入るところに意外性を感じさせ、続くクリポタのソロは堂々のインプロバイザーぶり。皆さんこれが聴きたいのですからクリポタは期待を裏切りませんね。この曲は次から始まる《イマジナリー・シティーズ》の組曲へのイントロ。

2曲目《イマジナリー・シティーズ1、コンパッション》はロジャースのギターがバッキングとソロで活躍。クリポタの落ち着いたソロが盛り上がってきたところでロジャースのギターソロへ。その勢いをつないで躍動するロジャースのギターソロがカッコいいです。クリポタのソロではコリー、ロジャースのソロではエフロンがベースを弾いていて、グルーヴを微妙に変えるベースの使い分けは上手いと思います。

3曲目《イマジナリー・シティーズ2、デュアリティーズ》はストリングスカルテットのピチカートから。この曲は最初のテーマ部で、左のエフロンと右のコリーが交代でベースを弾いていくところが面白く、ここにサブタイトルの「デュアリティーズ(二重元性)」を反映か? 8分の11拍子のグルーヴとマリンバのサウンドに、以前所属していたデイヴ・ホランドのバンドの雰囲気が被ります。クリポタの迫力あるテナーソロが最高。私はこういうソロが大好き! このソロの部分はロジャース、エフロン、スミスによる現行アンダーグラウンドなのでした。続くマリンバソロではコリーのベース。

4曲目《イマジナリー・シティーズ3、ディスインテグレーション》はテイボーンのピアノでフリーな雰囲気の始まり。ほとんどの部分で定型リズムはなく、クリポタはソプラノサックスでフリーな気分を高めます。クリポタのバックではテイボーンとロジャースが左右で自由に弾き、サブタイトルの「ディスインテグレーション(分解)」を演出。ストリングスの響きは現代音楽調。タイトルを分かりやすく編曲して聴かせるところに好感を持ちます。

5曲目《イマジナリー・シティーズ4、リビルディング》はドラムの躍動的な演奏から。サブタイトルの「リビルディング(再建築)」をイメージさせる前向きな感じの曲。そのイメージで躍動的なビートに乗って颯爽とテナーソロを繰り広げるクリポタがカッコいいです。それに続くロジャースのギターソロも快調に進みます。それぞれのソロでのテイボーンのアグレッシブなバッキングが良。この曲のヴァイブの音にメセニーのサウンド(オーケストリオンなど)を感じます。特に曲後半部で展開が変わるくだりのヴァイブの使い方はメセニー風。メセニーのグループに加わった影響がこんなところに出ているのかも? 曲自体にもメセニーの影響を感じたりして。

6曲目《ファイヤーフライ》はジャズ! 最初のメンバーの絡みがそれを表しています。スキップするようなビートにもそれを感じ、ここまで組曲でクラシカルな雰囲気があったのを気分チェンジする効果を狙ったように思います。エフロンのエレベソロから。クリポタのソロに続くヴァイブソロもアグレッシブでジャジーな匂い。私はやはりこういうジャズが好き。ストリングスも入っているけれど、ジャズを強く感じさせる辺りにクリポタの技があります。リズムとしては古いんでしょうけれど、スミスの躍動的で力強いビートには魅力がありますよね。

7曲目《シャドウ・セルフ》は一転。今度はストリングスカルテットをメインに据えた演奏。前半部はストリングスカルテットだけで進みます。それで終わらず後半部では全員が加って、クリポタがバスクラでソロをとる辺りが上手い。どこでバスクラを使うのかと思っていたファンに、なるほどと納得させるものがあります。

ラスト《スカイ》はタイトルどおりの広がりを感じさせる曲。テーマ部で伸びやかに朗々と歌うクリポタのテナーが良いです。そしてやっとテイボーンのピアノソロが登場。ここまで裏で支えてくれたテイボーンに長めのハイライトを当てます。今はアンダーグラウンドのメンバーから外れたテイボーンに最後に花を持たせ感謝する格好か? もちろんクリポタのテナーソロもあって最後まで抜かりなし。

聴きやすい曲ばかりで楽しく聴きとおせる仕上がりですが、クリポタ大活躍はもちろん、各メンバーにも要所で聴かせどころを用意して、よく聴くとなかなか凝った編曲になっているという充実ぶり。芸術性と大衆性のバランスが高度に取れていると思います。ダウンビート誌の読者投票でウェイン・ショーターを抜きテナー部門1位になったのは、パット・メセニー・グループに参加して知名度が上がっただけではないことが、このアルバムを聴けば分かります。

私は今のところ今年のベスト1にこのアルバムを上げたいです。

アルバム名:『Imaginary Cities』
メンバー:Underground Orchestra
Chris Potter(ts, ss, b-cl)
Adam Rogers(g)
Craig Taborn(p)
Steve Nelson(vib, marimba)
Fima Ephron(bass Guitar)
Scott Colley(double bass)
Nate Smith(ds)
Mark Feldman(vn)
Joyce Hammann(vn)
Lois Martin(va)
David Eggar(vc)

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たまにはおおらかな音を楽しんでみる。

またまた昨年出たアルバムの紹介です。

P179ステファノ・ボラーニ『ジョイ・イン・スパイト・オブ・エブリシング』(2013年rec. ECM)です。メンバーは、マーク・ターナー(ts)、ビル・フリゼール(g)、ステファノ・ボラーニ(p)、イェスパー・ボディルセン(b)、モーテン・ルンド(ds)です。私は初めてボラーニのアルバムを買いました。ボラーニのピアノよりはターナーのテナーにフリゼールのギターという組み合わせに興味を持ったのです。

フリゼールのギターが入って一捻りしたサウンドなのかと思ったら、捻りとかはなくおおらかな雰囲気のサウンドだったので、最初聴いた時は拍子抜けしてしまいました。聴きやすいサウンドです。しかし何度か聴くうちにしっかりした演奏であることが分かりました。ECMレーベルなのですからクオリティ的に抜かりないです。全曲ボラーニが作曲。アルバム全体としては色々な景色を想像させるもので、映画のサウンドトラックのような雰囲気があります。

1曲目《イージー・ヒーリング》はどことなくメキシコの匂いがするエスニック調でゆったり進みます。タイトルどおりヒーリング効果があるかも? 最近のターナーは自分のアルバムであれ他人のアルバムであれ堂々と自分のテナーを展開していて説得力があります。フリゼールは前述のとおりで独特の灰汁や暗さがないクリーンな感じ、それでも説得力はあります。リーダーのボラーニは粒立ちの良いタッチの安定感ある王道ピアノ。ボディルセン、ルンドのヨーロッパコンビは小気味良いビートです。

2曲目《ノー・ポプ・ノー・パーティ》はタイトルの響きにあるようなどことなくユーモアを感じさせる曲。ちょっとひっかかりがあるリズムに乗って楽しげに演奏が進みます。ターナーのソロのバックでアクセントを聴かせるボラーニのピアノが良い感じ。フリゼールのソロのバックでは初めあまりピアノを弾かず、途中から目立ってきてそのまま調子良くピアノソロへと入ります。ドラムとのバース交換もあって明るく楽しく。

3曲目《Alobar a Kudra》はエスニック薫るヨーロピアン・ピアノトリオ演奏。クラシカルな匂いがありながら意外と元気なピアノが鳴っています。ピアノのタッチや抑揚はどことなく上原ひろみに似ているところがあったりして、そう聴こえると曲の雰囲気も上原ひろみの曲との共通性が聴こえてきます。ボラーニはイタリア出身。ちょっと強引かもしれませんが、こんなところにイタリアと日本の親和性を感じたりして?

4曲目《Las Hortensias》はワンホーン・カルテットで静かなバラード演奏。ボディルセンの繊細なベースソロから。続いてクラシカルな匂いのするターナーのテナーがきれいに音を綴っていきます。この曲は完全にユーロジャズ。ターナーのテナーに対してカウンター的なメロディーを奏でるボラーニ―のピアノが良いです。ターナーはフェイドアウトしてそのまま繊細なピアノソロへと。

5曲目《Vale》はクインテットでECMらしい温度感低く暗めのバラード曲を丁寧に演奏。

6曲目《テディ》はボラーニとフリゼールのデュオ。2人の緻密なインタープレイが展開。フリゼールがジム・ホールのように聴こえます。フリゼールの灰汁のないギターは新鮮。このデュオ、楽しそうな雰囲気があって私はかなり気に入ってしまいました。

7曲目《Ismene》はギター・カルテットでちょっと可愛い感じの曲を愛しげに演奏。曲名は女の子の名前かも?フリゼールらしからぬ可愛らしい演奏が良いです。

8曲目《テイルズ・フロム・ザ・タイム・ループ》はクインテットで演奏。ドラマのテーマ曲のような曲です。この曲のフリゼールは少しいつもの感じが漂っています。ミステリー系恋愛ドラマのテーマ曲にしたら良い感じかも? で、そう感じる理由はボラーニのピアノに日本的歌謡要素を感じるからか?

ラスト《ジョイ・イン・スパイト・オブ・エブリシング》はピアノトリオ演奏。これまた上原ひろみの曲と似たような雰囲気です。快調に飛ばすピアノソロにも上原ひろみが被ります。ラストの歯切れの良いドラムソロも含めこの曲でのドラムは気持ち良いです。

最初聴いた時はつまらないと思ったのですが、何度が聴くうちにこういう雰囲気のアルバムも悪くないと思うようになりました。

アルバム名:『Joy In Spite Of Everything』
メンバー:
Mark Turner(ts)
Bill Frisell(g)
Stefano Bollani(p)
Jesper Bodilsen(b)
Morten Lund(ds)

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軽やかで伸びやかなサウンド

今更な感じ大ですが、昨年出たアルバムを紹介します。

P178ジェームズ・ファーム『シティ・フォーク』(2014年rec. NONESUCH)です。メンバーは、ジョシュア・レッドマン(ts,ss)、アーロン・パークス(p,el-p,syn)、マット・ペンマン(b)、エリック・ハーランド(ds)です。このグループの2作目。1作目が気に入ったのでこれも迷わず買いました。このグループらしい演奏をしています。

4ビートに乗ってテーマを合奏した後にアドリブを回すというのではなく、フュージョンを経由した後のコンテンポラリージャズ。非4ビートのリズムに乗って、アレンジにも凝りながら様々な展開の曲をグループ一体となって表現していきます。全体的にはサウンド(雰囲気)を聴かせる方向ですが、各人の技量を反映させたしっかりしたアドリブをしているので聴き応えがあります。

タイトルのとおりフォーキーなサウンドで統一されています。曲はジョシュアが3曲、パークスが3曲、ペンマンが3曲、ハーランドが1曲提供。統一されたイメージの曲が並んでいて、誰が作曲しているかをブラインドで言い当てるのは難しいでしょう。どの曲も良いメロディーを持っていて軽やかで伸びやかな雰囲気です。難解な曲は1曲もありません。

そんな曲群の中で、クリーンで伸びやかに歌うジョシュアのサックス、美しくもアーティスティックなメロディーを紡ぐパークスのピアノ、堅実に弾きながら攻めるところは攻める骨格のしっかりしたペンマンのベース、躍動的なビートを繰り出すパワフルなハーランドのドラムが、それぞれ見せ場を作りながら一体感のある演奏をしています。

各メンバーの技量とセンスがとても揃っているのがこのグループ。一応ジョシュアがリーダー格なのでしょうが、音楽的には特に誰が主導するというのではなく、対等にアイディアを出しあって演奏しているように聴こえます。サラッと聴き流してしまえば心地良いジャズかもしれませんが、きちんと聴いて行けばしっかりしたジャズをやっているのはすぐに分かります。

皆良い曲なのですが、私はジョシュアの《ミスター・E》が特に気に入っています。テーマーの明るく前にグイグイ進んで行く感じの微哀愁メロディーが大好き。緩急交えながらの展開も私好み。で、良いメロディーのテーマに沿って進むパークスとジョシュアのアドリブがやっぱり最高となるわけです。聴いていると元気がみなぎってきます。そしてゆったりした美メロのワルツ《ファーム》へと続く展開がまた良いです。

私は軽やかで伸びやかなサウンドのこのアルバムが気に入っています。

アルバム名:『City Folk』
メンバー:James Farm
Joshua Redman(ts, ss)
Aaron Parks(p, el-p, syn)
Matt Penman(b)
Eric Harland(ds)

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追悼オーネット・コールマン

6/11、オーネット・コールマンが85歳で亡くなりました。数年前「東京JAZZ」に来るはずだったのが体調不良でキャンセルになり、再来日したいと語っていたのは実現しないことになってしまいました。本当に残念です。ご冥福をお祈り致します。

昨夜、追悼の意味でオーネットのレコードを聴こうとしたら、フルオートレコードプレーヤーPL-380のアームリフターとアームが動かなくなりました。しばらく前から動作音が大きくなっていたのでメンテしようかと思っていた矢先の出来事。仕方がないので昨夜は手動で聴きました。

今日になって原因を調べようとレコードプレーヤーを分解してみると、アームリフターとアームを駆動するゴムベルトが切れていました。1年少々前に交換したばかりなのにおかしいと思ったのですが、どうやら駆動ギヤに挿した油が悪さをしたようです。ギヤ音が大きかったので多めに挿した油が飛散してゴムベルトにもかかってしまったらしいです。ゴムに油が付くと劣化しますから。

予備のゴムベルトを買ってあったのでそれと交換。不要な油はもう飛び散らないでしょうからゴムベルトを交換すれば当分大丈夫でしょう。

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このレコードプレーヤーの分解組み立ては何度もやって要領を得ているので、ゴムベルトの交換に要した時間は30分くらいです。

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アームリフターとアームは問題なく動作するようになりました。アームの動作はスムースで静かです。フルオートの楽ちんさに慣れてしまうと手動には戻れませんね。必要にして十分な音質を備えたレコードプレーヤーです。

さて、本題に入ります。昨夜聴いたオーネットのレコードは『オブ・ヒューマン・フィーリングス』。ジャズを聴き始めてしばらくした頃リアルタイムで買いました。

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当時愛読(大学図書館の雑誌コーナーにあったのをただ読み)していた「スイングジャーナル」誌で、年間優秀アルバムとしてジャス評論家の青木和富さんらが上げていたので買おうと思ったように記憶しています。最初に買ったオーネットのアルバムがこれ。過去の「ジャズ来るべきもの」とかよりは現行の音が聴きたかったのです。

最初にこれを聴いた時、オーネットの調子っぱずれのアルトにまずはビックリ。バックのリズム陣と合っているようないないような・・・。何ともむず痒い気分なのでした。それでもファンキーなリズムが気に入ったので度々聴くことに。不思議ですね。そのうちオーネットのアルトが心地良くなってしまったのですから。

ジャマラデイーン・タクマのグルービーなエレクトリック・ベースを中心に乗りの良いリズムを繰り出すリズム陣。その上で何とも気ままに音を紡ぐオーネットの爽快なアルトが快感に変わります。この快感が一度分かってしまえば、このアルバムに詰まっているジャズが楽しくてしょうがなくなります。

2ギター、1ベース、2ドラムの「プライム・タイム・バンド」。私はこのバンドが大好きです。残念ながら私は観に行っていませんが、1986年のライブ・アンダー・ザ・スカイにプライム・タイム・バンドを引き連れて出演しています。その時の映像がこれ。

カッコイイですよね。上記アルバムでは使っていないバイオリンとトランペットもユニークで良い味を出しています。バイオリンは左利きポジション。でもやっぱり私はオーネットのアルトサックスが好き。観客に混じってヒノテルが興味深げに観ていますね。

上記アルバムを買った後、次作の『ヴァージン・ビューティー』はもちろん買いました。しかしその次の『トーン・ダイヤリング』はリアルタイムで買っていません。当時仕事が忙し過ぎてジャズどころではなかったのです。車で夜な夜な峠を攻めたりするのが趣味になっていたというものあります(笑)。その後聴いた『トーン・ダイヤリング』はヒップホップにも挑戦している楽しいアルバムとして気に入っています。

そして今日レコードプレーヤーを修理して聴いたのが『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマンVol.1』

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最初に買ったのは輸入盤CDです。出張で東京に寄った際、確か御茶ノ水駅の上のところにあった「セカンドハンズ」で買いました。OJC盤と並んでブルーノートも安かったので、聴きたかった昔のジャズを数枚ずつまとめて何度か買っていました。

今持っているのはレコード。50年代と60年代は出来るだけレコードを持っていようと思い、10年くらい前に買い換えました。これは東芝が輸入して売り始めた頃のリバティ盤。野口久光さんが書いたライナーノーツが入っていて、今読むと当時のジャズの状況が分かって貴重です。

これは仕事に疲れて帰ってから時々聴いていました。仕事に疲れて帰ってから聴くのはピアノ・トリオみたいな考え方がありますが、私は必ずしもそうではないと思っています。ほんと、ストレートアヘッドで爽快なサックス・トリオが聴けます。ノリノリな1曲目を聴いていると元気がもらえますよ。

フリー・ジャスなのですが前記事のトニー・マラビーと同様、全くのフリー・インプロビゼーションではないので、定型リズムがあってメロディーや展開が追えるので聴き難さは意外とありません。ここでも爽快感溢れかつ力強いアルトサックスが鳴っていて、それをサポートする活気あるリズム陣は上記プライム・タイム・バンドと同じ構図。私は特にチャールズ・モフェットの闊達なドラミングが好きです。

このアルバムは録音が良いです。ライブ録音なのにとてもクリヤな音が捉えられています。ますはオーネットの爽快なアルトの音色が良いですね。それから何と言ってもドラムの音が良く、シンバルの金属感、爆ぜるスネア、重量感あるバスドラはオーディオマニアに受けるはずです。

快調に疾走する《フェイセス・アンド・プレイセス》と楽しい感じを伴ったワルツの《ヨーロピアン・エコーズ》が入ったA面を私は愛聴しています。

オーネット・コールマン、楽しい音楽を遺してくれてありがとう。合掌。

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じっくり聴きたいフリージャズ。

久しぶりのジャズアルバム紹介です。何か月ぶりでしたっけ? 新譜と呼ぶにはもう遅すぎるアルバムばかりなので、”ジャズアルバム紹介”ということで書いていきます。10枚くらい溜まっています。トニー・マラビーからいってみましょう。昨年出たアルバムですが今年に入ってから買いました。マラビーの新譜はフォローするようにしています。

P173トニー・マラビー・タマリンド『SOMOS AGUA』(2013年rec. clean feed)です。メンバーは、トニー・マラビー(ss,ts)、ウィリアム・パーカー(b)、ナシート・ウェイツ(ds)です。タマリンドと名乗るグループの3作目でサックストリオによるフリージャズ。

1作目が気に入ったので2作目も買いました。それはトランペッターのワダダ・レオスミスが加わったカルテットによるライブ録音アルバムで、私にはどこか散漫な演奏に聴こえてしまったので、聴く機会はほとんどなく結局売ってしまいました。今回は1作目と同じトリオなので大丈夫だろうと思って購入。

想像どおりの演奏が展開されていました。フリージャズとは言っても、全くのフリーインプロビゼーションというわけではないので、メロディーや展開を感じながら聴いていくことができます。マラビーらしい爆発もありますが、全体的には繊細な部分が多く、3人の緻密なインタープレイを聴けるアルバムになっていると思います。

マラビーはいつものらしいフレージングを繰り広げ、そこにどっしり絡んでいくパーカーのベースが演奏に安定感を与えます。私はそんなパーカーのベースが好きで、このトリオを気に入っている理由の多くはそこにあります。ベースが頑張っちゃってアルコ(弓弾き)”ギーギー”とかやり出すのは苦手な私です。

ウェイツのドラムは”ドシャメシャ”にやる(そういうのも好きですが)わけではなく、全体的なバランスを考慮しつつ、機敏に必要十分な音数で反応していきます。フリージャズとは言いながら、バランスや秩序を重視する方向でやっているところが、このトリオを好きな理由です。マラビーの秩序と自由のバランス感覚には共感できるところが多いです。

クリポタと並んで好きなサックス奏者がこのマラビーなのですが、パット・メセニーのグループに加わったクリポタが一挙にメジャーな存在になったのに対し、マラビーは相変わらずニューヨークのアンダーグラウンド的存在。まあ私は知名度だけで聴くわけではないので、これからもマラビーを聴いていきます。今年ギターとのデュオアルバムが出たのでチェックしないといけないですね。

このアルバムはじっくり腰を据えて聴いてほしいです。

アルバム名:『SOMOS AGUA』
メンバー:
Tonny Malaby(ss, ts)
William Parker(b)
Nasheet Waits(ds)

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