本当は2M Blueの方が聴きたいのですが、2M Redも聴いてみたくなりヤフオクにて手頃な価格のものを落札。50時間ほど使用したらしいです。箱こそありませんがきれいな物。スタイラスカバーも付いていました。

特別色ヘッドシェルに取付けられたオルトフォン95周年記念500台限定セット。ワインレッドのヘッドシェルは少し派手ですがそれほど悪くありません。取付けビスに噛ましてあるプラスチックワッシャが大きいのが難。せっかくモダンなデザインなのですからワッシャにも気を配ってほしかったです。

写真のとおり発電機構が入ったシールドケース部はコンコルド系と共通の物です。コンパクトな発電系に対してベース部分とスタイラスノブがやたら大きくなっています。まあこれは機能美ではなく外観美を重視したデザイン故でしょう。スタイラスノブが先細りで掴み辛く、針交換がやり辛いという意見がありますが全くそのとおりでした。これも機能美より外観美重視の結果。まあそれでも実際に使用してみるとなかなか良いデザインなので私は気に入りました。
比較試聴の結果は如何に? 2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のレコードプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。比較の相手はリファレンスZ-1E。
左 : ビクター Z-1E(針:アーピス現行楕円針DT-Z1E)
右 : オルトフォン 2M Red(針:純正現行楕円針2M Red)

出力レベルは両者ほぼ同じなのでフォノイコライザーの入力セレクタだけ操作して比較できます。これは聴いて少し驚きました。聴き始めてしばらくは音の違いが分からなかったからです。でも1曲目の途中から違いが見えてきました。2M Redの方がほんの少し高音が強いです。帯域バランスがほんの少し違う以外は、明るく元気でカラッとした音色は共通。些細な違いを言うと、Z-1Eにほのかな色気を感じます。
これまでZ-1E(アーピス現行針)をリファレンスとしてきた私としては、このクラス(接合ダイヤにアルミパイプ゚カンチレバー)のオルトフォンカートリッジの音作りに我が意を得たりという気分です。先日報告したとおりM44-7とも共通の音色であり、カートリッジ老舗2メーカーの音作りに大いに共感できます。またCDのメリハリが効いた音も好きな私としては、こういう現代的な音のカートリッジに魅力を感じます。
松田聖子のサ行はまあまあ良好で、こういう音作りが元気の良さに繋がっているのだと思います。チェックレコードのトレースは大振幅の方で少し悪いです。これまでConcord 20とOmegaを聴いて、それぞれ経年劣化と廉価品故にトレース能力が良くないと思っていました。しかし今回2M Redを聴いて、オルトフォンのミディアムコンプライアンスのものはトレース性能を程々に設計しているのだろうと解釈しました。物理性能より音を重視する辺りが日本メーカーとの差なのでしょうね。あっ、でもオーディオテクニカのAT100Eもトレース性能はあまり良くなかったですね。
ついでにシュアーM44-7と比較試聴しました。

予想どおりで音色的には共通で、帯域バランスは低音寄りのM44-7と高音寄りの2M Redということになります。M44-7の比較試聴の時に書いたとおり私の好きな音色。どちらの方が好きかと聞かれれば、高音がしっかり出る2M Redと答えます。
Omegaを聴いた時、これより少し上のランクの音を聴きたければビクターZ-1Eを聴けば良いと書きました。今回2M Redを聴いてそのとおりだったのだと納得。これまでの流れでは、Z-1Eがあれば2M Redはいらないということになってしまいますよね。でもデザインが気に入ったので手元に置いておこうと思います。
2M Blueの交換針を買ってこれに付けて楽しむこともできるでしょう。2M Blueは本体の「2m」印字の色が異なるので中身も異なるという意見があります。でも仕様を見る限りインピーダンスとインダクタンスが同じなので、私は中身(発電コイル)は同じで印字の色だけ変えているものと考えます。針は互換性があるとの表記もありますしね。
2M Redの交換針は高いですね。実売価格約8000円ですから。この価格を出せばM44-7やAT100Eの本体が買えてしまいます。2M Redの交換針価格は明らかにデザイン料。まあそれも趣味の世界ならアリ。実質を取るならZ-1Eに限らず国産の昔のカートリッジをヤフオクで入手して、アーピス針またはJICO針を付ければ良いでしょう。
う~む、AT100Eの音が気になってきました。確か同じような音作りだった気がします。ここで再度AT100Eの比較試聴をした方が良いかも? 交換針ATN100Eを買って、今あるAT120Eaの本体に取付けて聴いてみるという手がありますよね。
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