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この人もブルーノートのフュージョン路線?

作年出たジャズアルバム紹介の3枚目です。

P46ジェイソン・モラン『オール・ライズ』(2014年、Blue Note)です。メンバーは、レオン・トーマス(tp,vo)、ジョシュ・ローズマン(tb)、ステフェン・リーマン(sax)、ジェイソン・モラン(p,wurlitzer,rhodes)、タラス・マーティン(b)、チャールズ・ヘインズ(ds,vo)、ナシート・ウェイツ(ds)、ミシェル・ンデゲオチェロ(vo)、リサ・E.・ハリス(vo)です。サブタイトルが”ファッツ・ウォーラーのための楽しい哀歌”となっていて、ウォーラーへのトリビュート作とのこと。プロデュースはドン・ウォズとミシェル・ンデゲオチェロ。

モランと言うとチャールズ・ロイドのバンドでピアノを弾く硬派ピアニストというイメージ。ロイドのECMアルバムの空気感にフィットしているので、次に出るアルバムはECMからピアノトリオでも良いのではないかと思っていました。しかし所属するブルーノートからこのアルバムが出て、ロバート・グラスパー系フュージョン(商業)路線だったので少し驚きました。商業路線というのはセールスを期待している(ジャズファン以外にも広く聴いてもらいたい)という意味です。故にキャッチーで分かりやすいジャズ。曲はウォーラー、モラン、その他作です。

短い冒頭のイントロはスクラッチノイズと編集ボイスから、続く曲は女性ボーカル(ンデゲオチェロ)入りでビート/サウンドはグラスパーの『ブラック・レディオ』類似。ドラムのビートはタイミングとか溜めとかクリス・デイヴに似ています。デイヴのドラミングは今時ビートのテンプレートなのでしょう。3曲目も女性ボーカル入りなのですが、サウンドとビートはちょっと違っていて、モランらしくもっと古い時代のジャングルミュージック?のような感じです。

4曲目はインスト曲でストライドピアノ風演奏(ウォーラーを意識しているのでしょう)はモランらしいです。5曲目はフランク・シナトラのような洒脱な男性ボーカル曲。6曲目は女性ボーカル入りで楽しいジャンプナンバー。フリー系ピアノソロはモランらしいです。7曲目も女性ボーカル入り、ウォーラーの《ハニーサックル・ローズ》が、エスペランサ・スポルディングの『ラジオ・ミュージック・ソサイエティ』収録曲のようなお洒落なナンバーに変身。この曲が一番気に入ったかも?

8曲目は80年代フュージョン風女性ボーカルバラード曲。洗練された都会の夜が似合います。9曲目はピアノとエレピのソロ。10曲目は古き佳きアメリカを感じさせるストライドピアノ風ソロでサウンドエフェクトが薄く被さります。11曲目はウォーラーの《ジターバグ・ワルツ》で、心地良いインストナンバーに変身。モランのピアノが美しい。サックスソロがね~、ケニー・Gに聴こえてきたりして(笑)。12曲目はストライドピアノ風演奏のピアノトリオ。こういう演奏は以前のアルバム『セイム・マザー』ではプリズン(監獄)ミュージックと言っていたと思います。

アルバムを通して聴くと、グラスパー系フュージョン(ブラコン)路線とモラン流エンターテインメントジャズ(古き佳き時代のもの)の複合アルバムであることが分かります。全体としてはフュージョン路線と受け取れる感じもしますが、モランとしては自分の路線も含めてダンスミュージックという括りでやっているのではないしょうか。ライナーノーツに ”ファッツ・ウォーラーに委任されたハーレム・ステージのための楽しい哀歌” とあるように、このアルバムを聴いているとお客さんが踊ったりしながらステージを楽しむハーレムの劇場が頭の中に浮かんできます。

ホーン陣はバックアンサンブル要員でほとんどソロなし。ボーカルとモランのピアノが主役の演奏ばかりです。今時ビートのドラムがヘインズで、ストライドピアノ風の曲でドラムを叩いているのがウェイツか? ブルーノートのフュージョン路線とは言えそこはモラン、しっかり自分の主張を入れています。私は楽しく聴けました。

アルバム名:『All Rise』
メンバー:
Leron Thomas(tp, vo)
Josh Roseman(tb)
Stephen Lehman(sax)
Jason Moran(p, wurlitzer, rhodes)
Tarus Mateen(b)
Charles Haynes(ds, vo)
Nasheet Waits(ds)
Meshell Ndegeocello(vo)
Lisa E. Harris(vo)

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