« マーク・ターナーらしいサウンド | トップページ | この人もブルーノートのフュージョン路線? »

ダヴィ・ヴィレージェスの新譜や如何に

作年出たジャズアルバム紹介の2枚目です。

P45ダヴィ・ヴィレージェス『Mboko』(2013年rec. ECM)です。メンバーは、ダヴィ・ヴィレージェス(p)、トーマス・モーガン(b)、ロバート・ハースト(b)、マーカス・ギルモア(ds)、ロマン・ディアス(biankomeko,vo)です。ヴィレージェスのECM初リーダーアルバム。最近色々な人のアルバムに顔を出しています。私は別のレーベルから出た前リーダーアルバムも聴いたのですが、実は昨年のCD整理の際に処分してしまいました(汗)。この人の音楽性からすればECMへの移籍は順当だと思います。

ピアノトリオを基本にベースがもう1人加わりパーカッションが加わる編成。曲によって編成が多少変わります。Biankomekoは4つの民族音楽系ドラムの総称のようです。パーカッションのディアスは前作にも参加していました。アドリブを基本としたジャズをやっていますが、現代音楽のような響きもあります。隙間多めで空間性を重視したピアノを弾く曲とミディアムテンポで逞しいピアノを弾く曲に大別できます。

全曲ヴィレージェスが作曲。ライナーノーツの冒頭に ”ピアノ、2ベース、ドラムセット、Biankomeko Abakuaのための神聖な音楽” とあるので、出身国キューバ―の音楽を元により原始的な神に繋がる音楽をやっているのかもしれません。パーカッション(コンガのような音)の響きにはアフリカの匂いがします。ちなみに前作はキューバ民話を題材にしたコンセプトアルバムでした。

1曲目は非常に静かに始まるので、スピーカーで音量控えめで聴いているとなかなか音が聴こえてきません。最初聴いた時はアンプの調子がおかしいのかと思いました。空間性を重視した隙間多めの曲。2曲目も似た調子です。多分左でベースを弾いているのがモーガンで、やたら深みのある分厚い音を出していて心地良過ぎ。凄い存在感のベース。この人は本当に良いベーシストになりました。右のハーストはちょっと控えめに弾いているように感じます。

3曲目はミディアムテンポでヴィレージェスのピアノが逞しいです。アルバム全体的にはクールなECMサウンドながら、この曲はかなり熱い演奏。ここにも参加のギルモアはパーカッションと上手く調和したドラムで演奏を盛り上げます。4曲目はパーカッションが抜け2ベースのピアノカルテット。ドラムが柔軟に音を散りばめ、左右ではベースが上手く絡みあい、その上でヴィレージェスがガッチリしつつ美しさもあるピアノを弾きます。この躍動感が好き。ベースはその音と発想からモーガンの方が勝っているように私には聴こえます。

5曲目はボレロ風の曲で美しいピアノが聴きどころ。ディアスの掛け声は懐かしいマドロ・バドレーナ風か。6曲目は勇ましい感じの曲でこれはモロにジャズ。ヴィレージェスの気を衒わない正統派なアドリブが良いです。ベースはたぶんモーガン1人が弾いています。4ビートのウォーキングベースも顔を覗かせて、こういう演奏がやっぱり好き。7曲目は静かな詩情溢れる曲をピアノソロで始めます。途中からテンポアップしてユーロ系ピアノトリオへ。かすかにうなり声が聴こえます。モーガンのベースソロが素敵ですね~。

8曲目はギルモアの人力ドラムンベースから入り左右でベースが掛け合い、しばらくして真打ピアノが登場。パーカッションも加わりリズミックな展開。ピアノは隙間多めです。ハーストのアルコが入るとフリージャズ。このガツンと弾く感じはセシル・テイラーばり? ECMにしてはこれもかなり熱い演奏。ギルモアの人力ドラムンベースはやはり上手い。9曲目は美しい響きを持つスロー/ミディアムテンポの曲だけれどリズミックなビートもあります。ラストはピアノとパーカッションで現代音楽風40秒。

ECMクールネスサウンドのようで意外と熱い演奏が展開。ヴィレージェスのとてもクリヤでガッチリしつつ美しいピアノが聴きどころ。各曲はエスニックとか美メロとかキャッチーとか浮遊感とか無機質とか一言で特徴を言い表せません。なのでサラッと聴き流すと良さが掴み難いように思います。じっくり聴けばヴィレージェス、モーガン、ギルモアの演奏がキラリと輝きを放っているのが分かるでしょう。

アルバム名:『Mboko』
メンバー:
David Virelles(p)
Thomas Morgan(b)
Robert Hurst(b)
Marcus Gilmore(ds)
Roman Diaz(biankomeko,vo)

|

« マーク・ターナーらしいサウンド | トップページ | この人もブルーノートのフュージョン路線? »

ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

Criss Cross作品でサイド参加作をこのアルバムの直前に聴いているのですが、イメージががらりと変わっていて、ビックリしました。キューバ音楽(?)の感じもありながら才気あふれる演奏だったと思います。残念ながら彼の前のリーダー作を聴いていないので、いつか機会があれば聴いてみたいと思います。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2015年1月10日 (土) 14時40分

910さん
こんばんは。
最近ヴィレージェスは色々なアルバムに参加していますよね。
色々な演奏に対応できる柔軟性を持っているように思います。
でももう少し個性を発揮して聴き手をガッチリ掴んでほしい気もしています。
前作はそれほど面白くなかったかな~。
TBありがとうございます。

投稿: いっき | 2015年1月10日 (土) 18時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ダヴィ・ヴィレージェスの新譜や如何に:

» Mboko/David Virelles [ジャズCDの個人ページBlog(含むECM)]
ECMレーベル新譜聴き3日目。David Virellesは、つい先日紹介したC [続きを読む]

受信: 2015年1月10日 (土) 14時36分

« マーク・ターナーらしいサウンド | トップページ | この人もブルーノートのフュージョン路線? »