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ナチュラルな音が魅力です。

針を入手したカートリッジMG-40Xの比較試聴をしました。2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のレコードプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。比較の相手はリファレンスZ-1E。

左 : ビクター Z-1E(針:アーピス現行楕円針DT-Z1E)
右 : 三洋OTTO MG-40X(針:純正特殊楕円(シバタ)針ST-40DX)

P15

MG-40Xは出力がかなり小さいです。仕様の出力電圧2mVはその数値どおり。ヘッドホンで大き目の音量で聴くと、自作真空管式フォノイコライザーのバルブノイズが無音時には少し気になります。ただし音楽が鳴り出せば気にならないです。もっとSN比が良いフォノイコライザーがほしいところです。

音量を同等にしながら聴くとMG-40Xはナチュラルな音です。これと比較するとZ-1Eは少々派手メイクのように聴こえます。MG-40Xはあくまでナチュラルメイク。Z-1Eのメリハリを適度に抑えた感じがMG-40Xです。高音は上まで伸びていますがきめ細やかで大人しめに聴こえます。この繊細で爽やかに鳴る品の良い高音は廉価カートリッジには出せないでしょう。無垢シバタ針と軽量振動系の効果がここに出ていると思います。

高音の品位が中音域まで続きつつしっかり鳴って低音も意外と出ています。高音が張り出さないのでバランスの関係で低音が出るように聴こえるのでしょう。ナチュラルですけれど味気ないわけではなく、程よい厚みと旨味も持ち合わせているように思います。基本的には落ち着いた音。廉価品やDJ向けの元気が売りの音とは好対照で違いが分かる大人向きの音かも?

70年代前半の少々ガサツなレコードプレーヤーでこのカートリッジの魅力が引き出せたとは到底思えません。まあ当時とすれば4チャンネルカットされたレコードを再生できることに意味があったのでしょう。

松田聖子のサ行はきれいに鳴ります。女性ボーカルの微妙なニュアンス表現は得意だと思います。チェックレコードは問題なくトレース。シバタ針だからクリティカルというようなことはなく、基本事項を押さえてセットすれば特に支障なく鳴るのではないかと思います。

シバタ針はほこりを掻き出すというような話も耳にしますが、私が持っているレコードを20面ほど聴いた限りでは針先にほこりが溜まるようなことはありませんでした。私はレコードのコンディションには気を使っていて、溝にほこりが付着しないように静電気などにも注意しているからかもしれません。シバタ針がほこりを掻き出すような環境で聴いている人に果たしてシバタ針の魅力が分かるのか?私は疑問に思います。

今回初めてシバタ(4チャンネル用)針を聴いて、抱いていた懸念事項:神経質であるとか高音がシャリつくとかは特に感じませんでした。まあカートリッジ自体の個性もあるでしょうから一概には言えないんでしょうね。シャリつくという意味ではオーディオテクニカAT150Eの方が余程シャリつきました。それにしても40年くらい前の物が今も問題なく使えるのは凄いと思います。

出力が小さいところはありますが音質に関しては結構気に入りました。MG-40Xは違いが分かる大人向きのナチュラルカートリッジだと思います。これをお読みの皆さんは、比較的入手が容易なエクセルのES-70S(JICO:JR-45C、A'pis:AP-25D)や三洋OTTOのMG-25Lに、JICOかA'pisのシバタ(4チャンネル)針ST-40DXを付けたらどう鳴るのか試してみるのも一興かと思います。価格からするとA'pisの方は接合ダイヤのシバタ針かも?

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