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Concorde 20 の音が好きです!

先日入手したオルトフォンのConcorde(コンコルド)20、これは好きな音です。さすがはオルトフォン、音ではなくて音楽を奏でてくれます。

オルトフォンのカートリッジが聴いてみたい気持ちが高まる中、これがヤフオクに出てきました。同時に現行品2M Blueもリーズナブルな価格で出ていて(出品者は異なる)、どちらにするか迷いました。ネット検索すると2M Blueの悪い評判があったり、昔のオルトフォンの音は出ないという指摘もあり、それならばということでConcorde 20の方を選択。まずは昔の音を押さえておこうということです。少々競りましたが使用しての確認をしていないということで高額にはなりませんでした。物は写真を見て大丈夫であろうと判断。

Concordeシリーズは当時その奇抜なデザインに驚きました。コンサバティブだと思っていた老舗オルトフォンからまさかこんな未来的なデザインのカートリッジが出るとは思いませんでしたからね。前に書いたとおり私はVMS-20E MKⅡから国産MC型カートリッジへ行ったので、Concordeをリアルタイムで使うことはありませんでした。

10年位前、当時愛読していたラジオ技術誌にカートリッジ解説の連載記事があり、それを読んだ私はリアルタイムで聴けなかった気になるカートリッジを片っ端から入手したことがありました。その時はConcorde STDを入手。でもあまり真剣に聴かなかったので音は覚えていません。エンパイア、ピカリング、エラック、ADCなどの有名どころは全て持っていたけれど、結局シュアーを残して他はリサイクルしてしまいました。

ConcordeシリーズはオルトフォンVMS型(MI型)カートリッジの最終系(完成形)なので、オルトフォンのMM型系を確認するにはここを押さえておけば十分でしょう。CDが世の中に現れ、普通のオーディオファンが新品レコードを買って楽しんでいた最後の時代のカートリッジ。私はここがMM型カートリッジの頂点だったのだろうと思っています。Concorde 10、20、30とある中の真ん中のランクというのも系列の音を押さえるのに好都合。

Concorde 20は当時のローマス(軽量)化の流れを反映しているので重量はたった6.5gです。普通のカートリッジ自体の重量と同じくらい。なのでトーンアームのバランスウェイトはかなり軽量なものでないとバランスがとれません。私はヘッドシェル接続コネクタのすぐ後ろに鉛の錘を巻いてバランスをとっています。カートリッジがハイコンプライアンスの場合、トーンアームの可動部を重くするとf0(最低共振周波数)が下がり、反りのあるレコードではカートリッジがフラフラして不安定になるのですが、Concorde 20は標準的なコンプライアンスなのでそれはありません。

スタイラス(針先)はファインライン。オルトフォンのラインコンタクト系針です。Concorde 20はアルミのような材質の金属円柱ベースの上にダイヤの円錐が乗っている構造。ダイヤ円錐自体は大きいので普通の接合ダイヤとは性格が異なると思います。コンプライアンスは高くないので振動系をそれほど軽量化していないのだと思います。100倍顕微鏡でダイヤを見ると特殊なカットはしていないように見えるのですが・・・? ネットを検索すると、オルトフォンの場合ファインラインと名乗りながら色々な形状のダイヤが存在するようです。当然それぞれの音は微妙に異なるでしょう。

P20_2

高さが意外と高いので、私が持っている標準的なカートリッジ用のセッティングからトーンアームをかなり上げないと水平がとれません。PL-380はトーンアームとアームリフターとアームレストをそれぞれ別に高さ調整しないといけないのでかなり面倒。1台はこれ専用にしてしまおうかと考えています。オーバーハングは調整できないけれど、私はあまり気にしていないのでO.K.。

さて音質や如何に? いつもの比較試聴をしてみました。2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のレコードプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。比較の相手はリファレンスZ-1E。

左 : ビクター Z-1E(針:アーピス現行楕円針DT-Z1E)
右 : オルトフォン Concorde 20(針:純正ファインライン針Stylus 20)

P21

出力はZ-1Eより少し小さいです。この2つはかなり近い鳴り方。Concorde 20は明るくて元気な音です。決して安くないカートリッジなのでこの音は意外でした。そうは言ってもZ-1Eが持つ高音の雑味(私は接合針共通の傾向だと思っている)はなく、このあたりはファインライン針の効果だと思います。普通の高音はZ-1Eより少し静かで、その上はZ-1Eよりはっきり出ているのに耳障りではありません。低音は良く出ます。そして何と言っても良いのが中音の潤いと厚み。これが音を音楽として響かせます。全体的には少し柔らかい(プラスチックボディのため?)のが何とも心地良いです。

トレース能力は優秀という程ではないように思いますが必要十分。チェックレコードのトレースはビビりません。松田聖子のサ行は素直。ここにもファインライン針の効果は出ているように思います。

こんな細見の外見に似合わず豊かな音です。解像度とかを意識させない音です。そんなことは聴いているうちにどうでも良くなります。聴いていて楽しい。これにつきます。Concorde 20は私にとって凄く良い音です。すっかり気に入ってしまいました。たぶん現行2M blueではこういう音は出ないんでしょうね。

P22

このデザイン、嫌いではないけれどやはり落ち着きません。今ではDJ用カートリッジとしてこのデザインがすっかり定着してしまいました。トーンアームに巻いたバランス用の錘が格好悪いけれどやむを得ません。

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コメント

こんばんわ、不知火もなれでございますw

おぉ、「ELAC」のカートリッジもお使いだったんですね! 「ELAC」のSPファンとしてはカートリッジも使いたいんですが、チャンスに巡り会えません(汗)

私は「Concorde」のLMタイプ「LM-20H」を使いましたが、FusionやPOPSを聴くにはいいカートリッジだと思いますw
更に上の「LM-30H」だとスタイラスチップが無垢針になるためか、今度はより素直な聴き疲れのないサウンドになりましたw
現行の「Concorde」も使ったことありますが、絶対に「20、30」系の質感は出てきませんww

ちなみに「10、20、30」の交換針はまだ入手可能だったりします! でも本国のサイトからの通販になるので、英語力が必須です。なので私は諦めました(爆) 

http://ortofon.com/hifi/products/replacement-styli/stylus-20

投稿: 不知火もなれ | 2014年12月13日 (土) 18時37分

不知火もなれさん
こんばんば。
ELACのSTS-455Eを持っていましたが、これだけは他と違って濃厚な音だったことを記憶しています。
ちょっと垢抜けない音で私はあまり好きではなかったです。
LM-20HとLM-30H、やはりハイコンプライアンスなカートリッジはフュージョン、ポップスということになるんでしょうね。
また無垢針だと素直な音になるというのは分かります。
やはり現行のConcordeでは「20、30」系の音が出ませんか。
今のオルトフォンはMM型で振動系にマグネットを持っていますから根本的に違うんでしょう。
今でも「10、20、30」の交換針を入手できるんですね。
仕様は異なるようですが入手して聴いてみたいです。
でも私も英語力不足なので・・・(涙)

投稿: いっき | 2014年12月13日 (土) 20時16分

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