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こういうジャズが好きです。

アントニオ・サンチェスの新譜紹介です。この人のアルバムはセカンドアルバムからフォローしています。今回は面白い趣向のアルバムで4作目です。

P186_2アントニオ・サンチェス『スリー・タイムズ・スリー』(2014年rec. CAM JAZZ)です。メンバーは、アントニオ・サンチェス(ds)、ブラッド・メルドー(p)、マット・ブリューワー(ac-b)、ジョン・スコフィールド(g)、クリスチャン・マクブライド(el-b,ac-b)、ジョー・ロバーノ(ts)、ジョン・パティトゥッチ(ac-b)です。アルバムタイトルどおりで、メンバーを変えて3組のトリオ演奏が収録されています。余談ですが、マッコイ・タイナーのアルバムに『4×4』というのがありまして、同様の趣向で4組のカルテット演奏が収録されています。

さて、本アルバムはメルドーのトリオ、ジョンスコのトリオ、ロバーノのトリオの演奏が3曲ずつという、3に拘った構成になっています。3曲の内訳はジャスマン・オリジナル1曲にサンチェス作の2曲。この曲構成がなかなか面白いです。CD2枚組。

まずはメルドーのトリオから。1曲目はマイルスの《ナーディス》。この曲の持つ美的感覚とメルドーの美意識が見事にマッチ。普通とはちょっと違う、メルドーならではの演奏が展開していきます。この1曲を聴いただけで私はこのアルバムが気に入ってしまいました。2曲目はサンチェスの《コンステレーションズ》。これを最初に聴いた時、メルドーの曲だと思ったくらいメルドー節。サンチェスの作曲才能は侮れません。これぞメルドー・トリオといった演奏です。3曲目も同様の演奏。ブリューワーのベースは21世紀型のアート・ベース。このトリオ演奏は21世紀型ジャズの模範みたいなものです。

続いてジョンスコのトリオ。1曲目はショーターの《フォール》。この浮遊感のある曲を21世紀型浮遊感とはちょっと異なるジョンスコ節で演奏。とは言っても21世紀へとつながる浮遊感は既にジョンスコの80年代から始まっていたと気付くでしょう。2曲目はサンチェスの《ノックス・アンド・クラニーズ》。これがやはりジョンスコの曲に聴こえます。相手にピッタリの曲が書けるサンチェスってさすがですよね。3曲目もジョンスコ節全開。マクブライドのベースは他の2人より大きい音で入っています。ファットなベースが心地よいです。こういうブルージーなグルーヴはマクブライドに弾かせるのが◎。

ラストはロバーノのトリオ。こちらはサンチェス作《リヴァイアサン》から。私はロバーノをあまり聴いていないので、この曲がロバーノにマッチしているのかよく分かりません。ただロバーノは気持ちよさそうに吹いています。相変わらずの”フガフガ”テナーに、喉が詰まったようなフリークトーン。苦手です。でもこれがロバーノの個性。2曲目もロバーノらしいバラード。ラストはモンクの《アイ・ミーン・ユー》。いきなりのフリークトーンでスタート。テンポを自在に変えながら演奏が進みます。こういう自由な演奏こそがジャズの良さ。パティトゥッチは職人ベーシスト。ロバーノのちょっと引っ込み加減のテナーに主張を合わせてジャジーなベースを弾いています。

そうそう、リーダーのサンチェスに触れておかないとまずいですよね。手数が多すぎるとか同じようなグルーヴだとか色々なご意見があるでしょうが、私はダイナミックと繊細が両立しつつドラマチックな流れを作るサンチェスのドラミングが好きですし良いと思います。ドラミングでこの人と分かる個性も評価しています。こういう企画性のあるアルバムをきちんと作れるプロデュース力も含め、現代屈指のドラマーであることは間違いないと思います。

メルドー・トリオの美意識から始まって、ロバーノ・トリオの自由な演奏で終わるまで、ジャズの魅力がいっぱい詰まった好アルバムです。推薦!!

最後にちょっと。ジャケット内にそれぞれのトリオメンバーのポートレートがあります。ニューヨークの街角でサンチェスを真ん中に挟んで3人並んでパチリ。これがとても格好良く撮れていて、CAM JAZZレーベルのアートセンスの良さを感じます。このレーベルのアルバムってそういうセンスに溢れているので好きです。

アルバム名:『Three Times Three』
メンバー:
Antonio Sanchez(ds)
Brad Mehldau(p)
Matt Brewer(ac-b)
John Scofield(g)
Christian McBride(el-b, ac-b)
Joe Lovano(ts)
John Patitucci(ac-b)

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コメント

これだけのメンバーを呼べるのもスゴいと思いますが、あえて贅沢に競演して3x3で演奏しているのも、そしてCD2枚組になってもあえて出しているのも、CamJazzの中では別格の扱いなのかな、と思います。アイデアも演奏もいいし、今年出会った中ではかなりのアルバムでした。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2014年10月25日 (土) 14時12分

910さん

こんばんは。
確かに豪華なメンバーの贅沢な構成の録音ですね。
まあサンチェスは今や売れっ子ドラマーですからこれくらいは当然だとも思います。
Cam Jazzの看板アーティスト扱いなのでしょう。
内容が良いですよね。
どの演奏にも力が入っていて出来が良いと思います。
私も今年のアルバムで上位にランクできます。
TBありがとうございます。

投稿: いっき | 2014年10月25日 (土) 19時49分

こんばんは。
3・3・3とこだわったアルバム、サンチェスさまのアルバム、、
さすがの人選で演奏でよかったです。
全部よかったんだけど(笑) 今年のトップか?って言われると、わたしは微妙かもしれません。
でも、すっごくよかったとおもいます!
とらばしました♪

投稿: Suzuck | 2014年11月 5日 (水) 19時57分

Suzuckさま

こんばんは。
お久しぶりです。

>3・3・3とこだわったアルバム、サンチェスさまのアルバム、、

面白い趣向ですよね。

>さすがの人選で演奏でよかったです。

これだけのメンバーを揃えられるのはサンチェスならではでしょうね。

>全部よかったんだけど(笑) 今年のトップか?って言われると、わたしは微妙かもしれません。

私もトップとは思いませんが上位ではあると思います。
私の場合、今年はメセニーとひろみちゃんがいますからね(笑)。

>でも、すっごくよかったとおもいます!

それは確かだと思います。

>とらばしました♪

トラバありがとうございます。

投稿: いっき | 2014年11月 5日 (水) 22時14分

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