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トム・ハレルの新譜は安心して聴けます。

ジャズブログを名乗っていながら、もう1ヶ月あまりジャズの事を書いていないのでそろそろ書きます。トム・ハレルの新譜紹介です。ハレルの新譜は買ったり買わなかったり。昨年のアルバムはどう間違えてこういうことになったのか謎のままですが、Amazonで新品を21円で買えました(笑)。

P183_2トム・ハレル『トリップ』(2014年rec. HIGHNOTE RECORDINGS)です。メンバーは、トム・ハレル(tp,flh)、マーク・ターナー(ts)、ウゴナ・オケグォ(b)、アダム・クルーズ(ds)です。今回はマーク・ターナーとのピアノレス・カルテットということなので聴いてみたいと思いました。ECMから出たマーク・ターナーの新譜が同じ編成(メンバーは異なる)ということで比較する楽しみもありました。

硬派な演奏ですが聴くのに緊張を強いられるような内容にはなっていません。これもひとえにハレルの作る曲があまり抽象的ではなく、メロディーを口ずさめるようなものだからだろうと思います。当然メロディーに沿ったアドリブなのでアドリブ内容が素直に聴きとれます。途中に挟まる組曲の存在がそれをよく表しています。全12曲ハレルが作曲。

3曲目から8曲目は組曲《ザ・アドベンチャー・オブ・ア・クイクサティク・キャラクター》なので編曲を重視しているところがあり、アドリブ一発で聴かせるわけではないのが聴きやすさにつながっていると思います。この組曲タイトル《ドンキホーテ的性格のキャラクターの冒険》のとおりの雰囲気は、時にスリリングな事もありながら聴く人をゆったりした旅心地にさせてくれる良さがあります。ただ逆にアドリブ一発の緊張感を聴きたい派にはちょっと緩い内容に感じられるかもしれません。

ハレルはいつものハレルで特に奇をてらうこともなく、安定したトランペット/フリューゲルホーンを聴かせてくれるので安心して聴いていられます。意外性のある人選のターナー、これが実に上手い具合にハレルと絡んでくれています。いつものターナーらしいクールな雰囲気でターナー節のフレージングをしていながら、ハレルとの温度感/距離感を絶妙に融和させているのはさすがだと思います。最近のターナーの充実ぶりには関心しきり。この2人が奏でる厚みのある暖かいアンサンブルは心地よいです。

話はちょっとそれますが、ターナー自身のECM新譜の方はレーベルカラーに沿った緊張感を感じさせるものになっていて、これはこれでまた良さがありました。ECM的低体温症が苦手な人にはダメかもしれませんけれど。詳しくは後ほど。

オケグォのベースが全編に渡って効いています。冒頭の曲から分かるとおり”グゥオン・グゥオン”響いて力強いです。この人は名前の持つ響きがそのまんまベース音になっているようで面白いです。クルーズは8ビートから4ビートまで、ジャズビートを安定して供給。凄くパワフルとか、切れ味鋭いとか、新しいビート感覚とかはありませんが、このカルテットにマッチしたグルーヴを出しています。

ハレルの意図の下にメンバーが一体となって、安定感のあるジャズを聴かせてくれる好アルバムだと思います。ピアノがいないジャズは苦手だけれど、そういうのも聴いてみたいと思っているようなジャズ初心者には是非お薦めしたいです。

アルバム名:『TRIP』
メンバー:
Tom Harrell(tp, flh)
Mark Turner(ts)
Ugonna Okegwo(b)
Adam Cruz(ds)

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