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清涼感を運んでくるギターはこの時期に心地良い。

ジャズ新譜紹介です。とは言ってもタイミングとしてはかなり遅くなってしまいました。微妙に買うタイミングを逸していたのです。でも今の時期にこれを聴くと良い感じです。

P138ウォルフガング・ムースピール『ドリフトウッド』(2013年rec. ECM)です。メンバーは、ウォルフガング・ムースピール(g)、ラリー・グレナディア(b)、ブライアン・ブレイド(ds)です。ムースピールという人は私にとってマストというほどの人ではありませんが、このメンバーですからやっぱり聴いておかなければまずいと思って購入しました。ムースピールとブレイドは8年前にデュオアルバムを出しています。私はこれが結構気に入っていたので、今回はこの2人にベースのグレナディアが加わってどんなサウンドを出してくるのか楽しみでした。

2人のデュオアルバムは以前紹介しています。
ホーンやピアノに飽きるとギターが聴きたくなる。
懐かしいことも書いていますね。そんなこともありました。

ムースピールのギターはロックよりはフォークな感じ。清涼感のあるクリーンなギター音は、ECM特有のクールな温度感のサウンドと相まって、盛夏の暑い時に聴くと涼やかな微風を運んできてくれます。ムースピールは誰かに似ているというギターではありませんが、強いて言えばアルペジオ演奏にはベン・モンダーとの類似性を感じます。基本的には心地良いメロディーのフォーキーな曲をやっています。その中にECMならではの空間を生かしたインプロ重視曲が数曲。心地良いメロディーのフォーキーな曲は上に紹介したデュオアルバムのサウンドと共通です。緊張を強いるようなサウンドではないのでゆっくり聴けます。

全8曲中7曲をムースピールが作曲。タイトル曲《ドリフトウッド》だけはメンバー3人の共作で、たぶんフリー・インプロビゼーションだろうと思います。アルバムの最初と最後に配置されている《ジョセフ》と《ボッサ・フォー・マイケル・ブレッカー》は、ジョー・ザヴィヌルとマイケル・ブレッカーに捧げられているのでしょう。ムースピールはオーストリア出身なのでザヴィヌルは同郷の大先輩ですね。ムースピールのサウンドに流れる牧歌的なものにはザヴィヌルとの共通性が感じられます。

フォーキーなギターと書きましたが、結構盛り上がる場面もあってロッキーな部分も顔を覗かせます。そういう盛り上がる部分ではブレイドのダイナミックなドラミングがとても効いています。こういうドラミングをさせるとブレイドは上手いですよね。逆に静かな曲ではグレナディアのアートなベースが効いています。音を巧みに選んでムースピールに寄り添っていきます。アルコ(弓弾き)も良い感じです。《Lichtzelle》だけはベースの音が聴こえないので、ムースピールとブレイドのデュオなのでしょう。多重録音でギターやパーカッションによるサウンドエフェクトがあります。

ムースピールってギターマニアなんですね。アルバムジャケット内のライブ写真を見てそう思いました。ギター3本に足元にはエフェクターがびっしりですから。このメンバーのライブは観てみたいです。

P139

お盆が過ぎて残暑から秋へ。このアルバムは今の時期にピッタリだと思います。

アルバム名:『Driftwood』
メンバー:
Wolfgang Muthspiel(g)
Larry Grenadier(b)
Brian Blade(ds)

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