この人の新譜もついつい買ってしまいます。
ジャズ新譜紹介です。新譜が出ると気になってついつい買ってしまうのがこの人。かと言って全リーダー作をフォローしているわけではありません。
デヴィッド・ビニーの『ANACAPA』(2014年rec. Criss Cross)です。メンバーは、デヴィッド・ビニー(as,ts,ss,vocals,syn,b)、ウェイン・クランツ(g)、アダム・ロジャース(guitars)、ジョン・エスクリート(p,rhodes)、マット・ブリューワー(el-b)、オベッド・カルヴェール(ds)、ダン・ワイス(ds,tabla)、セルジオ・クラコウスキ(pendeiro)、ルイス・コール(vo)、ニーナ・ジージャー?(vo)です。今回はかなりコンテンポラリーな内容になっています。ロック色も出ていてそれは2人のギタリストからだいたい察しがつくと思います。
ビニーがこういうジャズもやることは知っていますが、自身のアルバムはここ数年アコースティック路線だったと思うので、ちょっと異色で新鮮に響きました。メンバーが多いので曲によって入れ替わっているのかと思ったら、ツインギターのツインドラムです。特にツインドラムによってマッシブな迫力が生まれているのが良いです。主要面子は過去に何度か共演歴がある人達なので、演奏はビニーの意向が上手く反映されていると思います。
(ツインギター、ツインドラムと言うことで、オーネット・コールマンのプライム・タイム・バンドを思い出しました。ピアノ/エレピはいませでしたが。意識しているのかも?)
全10曲をビニーが作曲。どれも比較的分かりやすいメロディーでベタなロックまであり、リズムもシンプルな8ビートが多めなので、ポップな仕上がりになっています。前作が難しい方向に振っていた(メンバーがクレイグ・テイボーンp、アイヴィン・オプスヴィークb、タイション・ソーリーdsですから)のとは方向転換。今回はビニー特有の暗さもあまり感じられず、私は今作の方が気に入りました。聴いていて楽しいですからね。
冒頭とラストはたぶんビニーだけによる打ち込みと多重録音による演奏だと思います。特に冒頭ではアルトサックスはかなり薄めにミキシング。両方とも2分弱の曲なのでイントロとエンディングのテーマ曲といった塩梅。これがテクノ系のかなりポップな曲なので最初から「オヤッ」となり、「なるほどこうきますか。」と思いました。
ビニーのバリバリなソロはもちろんありますが、曲によってはビニーのソロより楽想を聴かせる方向。展開がドラマチックな曲もあります。ソロを全員で単純に回すこともなく、曲によってソロをとる人が異なります。ドラムも常に2人が叩いているわけではなく、途中からどちらかだけが叩いたりと工夫。サックスを多重録音したり、コーラスが入ったり、ノリノリなファンクあり、フリー・ジャズあり、タブラを入れてエスニック色を出したりと色々あって楽しいです。
ツインギターとツインドラムの配置。ギターは左がクランツで右がロジャースだと思うのですがどうでしょう。ロック色が強いクランツとアバンギャルド色も見せるロジャースという判定。ドラムは左がカルヴェールで右がワイス。こちらはタブラを叩いているのが右から聴こえるということで判定。(他のサイトで全く逆だという意見を発見。本当かいな?) エスクリートは曲によってピアノとエレピを使い分けます。この人は器用にこなすけれどどうも心に残らないです。ブリューワーは始終安定したエレベで、ソロはなかなか美しいです。
私の好きなサウンドが鳴っています。ビニーのアルトも快調で気に入りました。
トレードマークの青剃りがヒゲもじゃになっていてビックリ!
今後はコンテンポラリー&ヒゲもじゃ路線で行くのか(笑)?
David Binney(as, ts, ss, vo, syn, b)
Wayne Krantz(b)
Adam Rogers(g)
John Escreet(p, rhodes)
Matt Brewer(el-b)
Obed Calvaire(ds)
Dan Weiss(ds, tabla)
Sergio Krakowski(pandeiro)
Louis Cole(vo)
Nina Geiger(vo)
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コメント
いつも向かって右側のスピーカーからさらに横で聴いているので、2ギター、2ドラムというのを全然意識しないで聴いてましたが、改めてスピーカーのど真ん中で聴いて、なるほどと思いましたです。
バックの時は2ギター、2ドラムの時ともうまく統制がとれているようで、雰囲気を出しつつバタついた感じがあまりないのがスゴいと思いました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2014年7月 5日 (土) 14時36分
910さん
こんばんは。
私も最初に聴き流した時は2ギター、2ドラムに気付きませんでした。
おっしゃるとおりで、そのくらい左右のドラムは上手く統制がとれています。
ギターも強く主張しているわけではないので、バックに回った時は注意して聴かないとよく分かりません。
ソロも結構似たアプローチしてますしね。
私はこのアルバムの方向性が気に入ったので今後も続けてほしいと思いました。
TBありがとうございます。
投稿: いっき | 2014年7月 5日 (土) 19時30分