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オーソドックスなジャズですが良いです。

問題作『コンパス』以来、ジョシュア・レッドマンの新譜を追いかけることにしています。

P118ジョシュア・レッドマン『トリオズ・ライヴ』(2009年,2013年rec. NONSUCH)です。メンバーは、ジョシュア・レッドマン(ts,ss)、マット・ペンマン(b)1,5-7、リューベン・ロジャース(b)2-4、グレゴリー・ハッチンソン(ds)です。何の仕掛けもないオーソドックスなサックス・トリオ。”ジャズはアドリブだっ!”の世界です。これぞ白熱ジャズ・ライヴ!

この人は”気合が足りない”とか”頭先行の優等生”とか未だに色々言われ続けていますが、本作を聴いくといい加減そういうレッテルは剥がしてあげても良いのではないかと思います。気合の入った良い演奏をしていますから。ただ優等生の匂いが全くないというわけではなく、やはりそつが無いところがあります。

スタンダード2曲、モンクの1曲、ツェッペリンの1曲、ジョシュアの3曲の全7曲が収録されています。スタンダード2曲をアップテンポとバラードできっちりこなし、”オリジナル曲も良いでしょ”と現代感覚を聴かせ、多分影響を受けているミュージシャンとしてセロニアス・モンクとレッド・ツェッペリンをジョシュア流にやるという流れは、いかにもジョシュアらしいではありませんか。

1曲目《モリタート(マック・ザ・ナイフ》のラストの方で、ガーシュインの《ラプソディー・イン・ブルー》とエリントンの《ロッキン・イン・リズム》が引用されるあたりに、ジョシュアの優等生ぶりが反映されているように思います。演奏はガッツに溢れて良いですよ。会場の盛り上がりも上手くミキシングされていて、聴いていてとても楽しくなります。2曲目《ネヴァー・レット・ミー・ゴー》は腰の据わったバラード演奏。じっくりと味わい深く聴かせてくれます。

3曲目から《ソウル・ダンス》《アクト・ナチュラル》《マントラ》と続くジョシュアのオリジナル曲はモーダルでありつつ良い曲でもあり、決して難解なことをやろうとはしていないことが分かります。魅力的な曲があってこそ良いアドリブもあるということだろうと思います。3曲中の2曲がソプラノ・サックスというのが興味深いです。スタンダード他ではテナー奏者としての実力をしっかり見せ、オリジナル曲でソプラノ奏者としてのクールな魅力を加味するという戦略か?

モンクの《トゥリンクル・ティンクル》、ツェッペリンの《ジ・オーシャン》はそれぞれの曲の個性が生かされた演奏。モンクにツェッペリンという選曲も優等生かな? モンクはモンク、個性的です。《ジ・オーシャン》はバルブの開閉音も混ぜた無伴奏からスタート。ノリノリな8ビートに乗ってアドリブを繰り広げるジョシュアがカッコイイ! 3人が一丸となって楽しそうに演奏しています。会場のお客さんも掛け声を入れたりしてノリノリ。ライヴの興奮を残しつつ1時間弱のライヴが終了します。

ジョシュアはサックスの鳴りが良いし、手癖を感じさせないアドリブのフレージングセンスは良いし、ガッツはあるし、とても良いと思います。ただ個性という部分でちょっと弱いような気もします。ベースは2009年の録音がペンマンで2013年の録音がロジャース。2人とも逞しい音で支えています。何曲かでとるソロも力強くて良いです。ハッチンソンは強靭なバネと粘りのグルーヴ。瞬発力を爆発させる煽りもあって良い感じです。

録音がまた良くて、ライヴならではの空気感を出しつつ個々の音が被らずクリヤです。左にサックス、真ん中にベース、右にドラムという定位が安定しています。さすがはノンサッチの録音技術と言うべきでしょうか。2009年の録音と2013年の録音が同じように録れています。知らなければ1夜か連続2夜のライブ録音から選曲されているように聴こえます。

楽しいジャズライヴを体験できる好アルバムです。お薦め!

アルバム名:『TRIOS LIVE』
メンバー:
Joshua Redman(ts, ss)
Mat Penman(b) 1,5-7
Reuben Rogers(b) 2-4
Gregory Hutchinson

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コメント

サックス・トリオと言うと、あまりポピュラーではないにしても、ある程度の数が出てますが、聴かせてしまえるアルバムとなると、あまり多くないかもしれないですね。このアルバム、その編成の中でもかなり安心して聴いていられる1枚になりました。やはり安定感がありますね。バックのメンバーもいいし、2つの録音時期の時差を感じさせないし、お気に入りのアルバムです。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2014年7月18日 (金) 08時40分

910さん

こんばんは。
確かにサックス・トリオで聴かせるにはそれなりの実力がいりますよね。
ジョシュアにはこれくらいやってもらわないと困ります。
はい、安心して楽しく聴けました。
バックとのまとまりも良好。
録音の良さも相まって充実したライヴアルバムだと思います。
TBありがとうございました。

投稿: いっき | 2014年7月18日 (金) 22時42分

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つい先日はジョシュア・レッドマンの過去盤聴きをやっていましたが、これは新譜です。 [続きを読む]

受信: 2014年7月18日 (金) 08時37分

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