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2014年6月

オーディオでいろいろ遊んでいます。

私のサブのレコードプレーヤーPL-380は快調に動作しています。
でも気になる事があったので解消することにしました。

気になることとはアームレストの破損とダストカバーの汚れ/傷です。
この2個を何とか安く手に入れようと、ヤフオクでジャンク品を狙っていました。
で、PL-380をお安くゲットできました。
回転しないというもので脚が1個ありません。
案の定私以外誰も入札しませんでした。
500円也。送料を含めて2000円。

下の写真は掃除して既にアームレストとダストカバーを交換した後のものです。
アームレストは折れていたのを補修したものが付いています。
ダストカバーは曇りが多めで塗料か何かの微小滴が付着しています。

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回転しないはずでしたが、
トーンアームを動かすと回転してクォーツロックがかかります。
まあいつものことですね。
トーンアームが動作しないのでばらしてみると、駆動用ベルトが伸びていました。
ベルトを交換すればトーンアームは動作します。
ということで一応動作品です。

トーンアームには僅かにガタがあります。
回転数切替スイッチが入った(33回転の)ままです。
脚が1個ないため懸架できず実使用には問題あり。
モーターとトーンアームと制御基板だけ補修部品としてとっておくか?
それともジャンク品としてリサイクルするか?

本体だけなら500円でも高いのですが、カートリッジPC-200が付いていました。
これを売りさばいて元を取ろうという魂胆だったのです。
いや~っ、我ながらセコ過ぎます(笑)!

PC-200は針が付いていて音も問題なく出ました。
クリーニングするとかなりきれいです。
ヘッドシェルには傷がありません。
交換針のノブが少々色褪せていますがそれほど気になりません。

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どうです。きれいでしょ。
このカートリッジ、以前入手したものはナガオカの交換針が付いていて、
後から入手した純正針は未使用のはずがカンチレバー曲がりという始末。

今回は純正針の音が聴けました。
特にこれでなければということはないですが、廉価品としては十分な音です。
特に高音質とまで言う程のカートリッジではありませんので念のため。

私は音云々よりこのデザインが好きなんですよね。
でも売りさばきました。
何と、2800円で売れました!
良いカートリッジだと宣伝しているサイトのおかげです。
あれ、過大広告だよね~。
元を取るどころか儲かりましたよ(笑)。

使用してる方はこのような状態になりました。

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写真ではよく分かりませんがダストカバーの透明度はこちらのほうが上です。
カートリッジ交換の際、アームがしっかりアームレストに固定できます。

というわけで、気になっていたことが解消されて儲かったというハッピーエンド!
いつもこういう訳にはいきません。
痛い目にもたくさんあいました。
それがヤフオクなのです。

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アンプのスピーカー保護リレーを交換しました。

最近入手したオンキョーのA-705DCのスピーカー保護リレーを交換しました。
基板実装用リレーソケットを使って現行品パワーリレーを実装。
ネット通販を検索してみると、
松下のリレーが今まで使ってきたオムロンのリレーより安く入手できることを発見。
オムロンの半額以下で入手可能です。
松下ならではのローコスト化なのだろうと思います。
特に拘りはないので安い松下のリレーをセレクト。
底板が外せるようになっているので簡単に交換できました。

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一応スピーカー切換スイッチもクリーニングしましたが、
実装されたままクリーニングしたので見える側しかクリーニングしていません。
電源ON後しばらく左チャンネルの音が低い現象はあっさり解消。
リレーが新しくなったおかげで音もクリヤになったようです。
やはり接点が汚れていると音が曇ってしまいますね。

プリアンプ部をもう一度確認したらボリュームの接触不良ではなく、
プリアンプの出力が右だけ小さくなってしまっていました。
パワーアンプと切り離してオシロスコープで出力波形を見ると問題なく出ています。
自作プリアンプで受けてからパワーアンプに入れると問題なく音が出ます。
パワーアンプの入力抵抗(プリアンプの負荷)が小さくて上手くドライブできない?
へたったトランジスタを手持ちの新品と交換しよてみようかな?
まっ、プリアンプの方はまたそのうち修理することにします。
パワーアンプとしての使用なので必須ではないですからね。

フォノイコライザーも確認しました。
フォノイコライザーは問題なく動作しています。
フォノイコライザの出力をレックアウトから出力させて試聴。
テープダビングスイッチの機能が一般的なものと異なるようで、
ダビングをONにしないとソースの音が出力されないです。
スイッチの名称が”レック - ダビング”となっているのはそういうことなのでしょう。
中点の表記も”ソース”ではなく”オフ”となっていますから。
最初は全く音が出ないのでフォノイコライザーが壊れているのかと思いました。

このアンプ、私にとっては十分良い音です。
良い買い物をしたと思います。
リレー交換以外は急いでメンテナンスせず当面このまま使用します。
フロントパネルがきれいなので眺めていて楽しいです。
品の良いデザインが気に入っています。

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1次リーグ3試合を簡単に振り返っておきます。

今回のワールドカップ、日本の3試合について敗因を振り返ります。

細かいことを言い出すと本質的なものが分かりにくくなると思うので、

私が考える主たる敗因を簡潔に記します。

各選手の好調、不調云々ではありません。

<対コートジボワール戦>

高温多湿な気候にやられました。

雨が降った重いピッチと蒸し暑さにより日本のパスサッカーは封じられました。

コートジボワールの戦い方に天候が見方したのです。

<対ギリシャ戦>

1人退場になったギリシャの引き分け狙いの堅い守りを崩せませんでした。

ガチガチに引いた相手を崩すアイデアが日本には足りませんでした。

<対コロンビア戦>

後がなくなった日本、気持ちばかりが空回りした挙句の決定力不足です。

以上

あまり複雑に考えず、それぞれの対応策を考えることが次につながると思います。

ガンバレ日本!

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サッカー日本代表お疲れ様!

サッカーワールドカップ、残念ながら日本は1次リーグで敗退してしまいましたね。

勝ちなし、たったの2ゴール、リーグ最下位・・・

恐れていたドイツ大会の流れと同じになってしまいました。

お手本にしたパスサッカーのスペイン

本田、長友が所属するセリエAのイタリア

香川が所属するプレミアリーグのイングランド

も1次リーグ敗退ですから、ワールドカップは難しいのです。

ただコロンビア戦を観て感じたのは

日本の永遠の課題 ”決定力不足” です。

今回の結果は素直に受け止めなければならないでしょう。

お疲れ様でした!サッカー日本代表。

はいっ、私は今後もサッカー日本代表を応援していきます。

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今度はプリメインアンプを入手

廉価MM型カートリッジ探究は一段落。今度はプリメインアンプに興味が移り・・・、落札してしまいました。オンキョーのIntegra A-705DCです。通電確認のみの現状品。一度競っただけで2200円也。送料も比較的安かったのでお買い得だったのではないかと思います。

到着して動作確認するとパワーアンプ部は問題なく動作しました。シメシメ。プリアンプ部の方はCDを入力してみると右チャンネルの音量が小さいです。ボリュームは右チャンネルだけガリが出て、回した感触は所々ゾリゾリ。多分ボリューム不良による音量アンバランスと推定。プリアンプ回路はまともに動作しているのではないかと思います。フォノイコライザー部は未確認。私の使用目的はパワーアンプなのでパワーアンプ部が動作すればO.K.

その後の確認でアッテネーターに接触不良があることが判明。プリアンプ部とフォノイコライザー部は問題なく動作しています。

ボンネットを開けて内部を見ると、埃が薄ら堆積しているのみで保管状態は良かったようです。電源トランスはそこそこ大きくてソニーTA-F222ESAとほぼ同じサイズ。電源のブロック型電解コンデンサは19000μFの大型のものが2本。比較的ゆったりした実装なので抜けが良い音が出そうです。半固定抵抗が1個だけ異なっていたり、ラッピング配線に半田がもられているところがあったりして、少し手が入っているようですがそれはかなり前のことのようです。

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ネット検索すると、パワートランジスタは名石と言われるサンケン2SA747/2SC1116が載ったものがあるとのことでした。少し期待していたのですがこれには標準の東芝2SB681/2SD551が載っていました。まあこれもメサ型(三重拡散)トランジスタなので悪くはないと思います。シングルプッシュプル増幅です。

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パワーアンプ基板は1枚にまとめられています。DCアンプということで電解コンデンサは各チャンネル3個ずつしかありません。トランジスタはたくさん使われていて回路的にはなかなか凝ったもののようです。初段はデュアルFETμPA63H。これは現在入手できるのか?これが壊れたらやっかいです。デュアルトランジスタ2SA798も1個ありますのでやはり入手難か? スピーカー保護リレーはDC12V仕様。上の空間に余裕があるので現行パワーリレーと基板実装用ソケットが使えます。この基板の底板部分が開けられますのでメンテナンスはやりやすいです。

*μPA63Hと2SA798は若松通商の通販で買えることが分かりました。

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リヤパネルの入出力端子も比較的きれいです。入出力端子は無水エタノールでクリーニングしただけで終了。プリとメインを分離できるのでメインインから入力してパワーアンプとして使います。

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スピーカー端子はネジ止め式。私はアンプの入れ替えが簡単に行えるようにバナナプラグを使用しているのでこれでは不便です。早速いつものようにA系統だけバナナプラグが挿せる端子に交換しました。アルミ板を介して本体に取付けています。スピーカー端子周辺には余裕があるので交換作業はとてもやりやすかったです。

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フロントパネルは中古品の常でタバコのヤニでかなり汚れていました。いつものようにマジックリンを使って掃除するとシルク印刷が溶け出してしまいます。慌ててマジックリンの使用を中止。シルクが消えるまでに至らなかったのは幸いでした。水だけでヤニは落とせました。各ノブはマジックリンで洗浄。クリーニングが済むとかなりきれいです。傷はほとんどありません。梨地仕上げの淡いシャンペンゴールド色はなかなかの高級感です。電源ランプが控え目に緑色に光るのがお洒落。つまみが多過ぎるのはいまいちか。

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しばらく鳴らしているとかなり発熱することが分かりました。ボンネットを開けてアイドリング電流を測定してみると80mAくらい流れています。これでは多すぎるので再調整して30mAくらいにしました。半固定抵抗の接触不良はなくスムーズに調整可能でアイドリング電流は安定しています。出力オフセットを測定すると少し多いようだったのでこちらも再調整。半固定抵抗の接触不良はないのですが調整はかなりクリティカルです。

電源ONからしばらくは左チャンネルの音量が少し低いようで、たぶんスピーカー保護リレーの接触不良による症状なのでしょう。これまで体験してきた小音量で接触不良が起こる現象とは少し異なるようですが、スピーカー保護リレーは新品に交換します。スピーカー切換スイッチも清掃しておきましょう。

なかなか良い音です。低音の量感が豊で高音がきれいに出て中音に潤いがあります。最近使っていたTA-F222ESAの高解像度の音から比べるとちょっと解像度は落ちるかもしれませんが、私にはこちらの方が心地良いです。なかなかの美音だと思います。実は私の自作プリアンプでTA-F222ESAを鳴らすと、高音が神経質な感じになってしまってちょっと不満でした。このアンプではそれがないので良いです。

オンキョーのA-705DCはそれ程話題にならなかったアンプですが(この後のスーパーサーボA-8XXシリーズが人気になりオンキョーアンプの顔になります)、今の私のシステムにはよくマッチするのでとても気に入りました。ネット検索してみると、このアンプを使っている人はあまりいないようです。私は捻くれ者なので人と違うものを使うのが快感(笑)。パワーアンプはこれとビクターJA-S75の2台体制に落ち着きそうです。

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これは渋カッコいいです!

サッカーワールドカップ、前々回ドイツ大会のような一次リーグ敗退にならないでほしいです。ここまでの流れが似ているんですよね。はっきり言って私はかなりモヤモヤしてます。リーグ最終戦、コロンビアには勝つべし! ガンバレ日本!

ジャズ新譜紹介です。このメンバーを見て即決。

P98ジョナサン・ブレイク『ゴーン,バット・ノット・フォアゴットン』(2014年rec. Criss Cross)です。メンバーは、ジョナサン・ブレイク(ds)、クリス・ポッター(ts,alto-fl)、マーク・ターナー(ts,ss)、ベン・ストリート(b)です。クリポタとターナーをフロントに据えたピアノ・レス・カルテット。クリポター vs ターナーのテナー対決でっせ。これは聴かなきゃまずいでしょ。

ブレイクの前アルバムは現代性を帯びたジャズでしたが、今回はクリスクロスのレーベルカラーに沿ったストレートアヘッドなジャズです。やっている曲はブレイクの曲が2曲だけであとはジャズマン・オリジナルなど。クリポタとターナーの曲が1曲もありません。この選曲はある意味新鮮。こういう土俵でクリポタとターナーを対決させるということは、2人のインプロバイザー(即興演奏家)としての資質が露わになるということです。面白い!

取り上げているジャズマン・オリジナルが独特、エディ・ハリス、シダー・ウォルトン、ジム・ホール、チャールズ・ファンブロー、ポール・モチアン、マル・グリューミラー、トゥルーデ・ピッツ、ニール・ヘフティってどこまでマニアックなんでしょ(笑)。ブレイクの趣味なんでしょうかね? ジャズ通を唸らせるものがあります。私はニンマリしっぱなし。

モモさんからコメントをいただいて選曲の理由が分かりました。近年亡くなった方達への追悼アルバムで、この選曲なのだそうです。なるほどと思いました。だからアルバムタイトルがこれなんでしょうね。「逝ってしまった。しかし忘れてしまったりしない。」とでも訳せば良いのでしょうか? ブレイクのジャズ愛が伝わってきて、聴こえ方も変わってきます。モモさん、教えて下さりありがとうございます。2人のサックスが激闘しないのは、この追悼の意図があるからなのでしょう。

全く仕掛けがないわけではありません。曲によって色々な工夫があります。1曲づつだけですが、クリポタだけがフルート、ターナーだけがソプラノ・サックスに持ち替えます。アンサンブルを主体に聴かせる曲があります。ドラム・ソロを主体にした曲があります。ソロの順序も様々でテナー・ソロの間にベース・ソロが入る曲があります。ドラム・ソロをやる曲は半数以下なのでブレイクがやたらと前面に出るわけではありません。あくまで主役はクリポタとターナー。

少し前にシーマス・ブレイクとクリス・チークの2テナーのアルバムを紹介しましたが、あちらがメロディー主体のソロ対決だったのに対し、こちらはインプロ主体のソロ対決。ということで、より硬派な内容です。8ビートあり、4ビートあり、アップテンポあり、バラードあり、ブルースあり、様々なシチュエーションが用意されています。はてさて2人の対決や如何に。

クリポタとターナーはそれぞれ個性があるので、初心者には無理としてもクリポタとターナーをそれなりに聴きこんでいる人には違いがよく分かるはずです。向かって左側で吹いているのがクリポタで右側で吹いているのがターナー。今回こうやって聴き比べてみると、武骨でホットでオーソドックスなのがクリポタで、しなやかでクールでモダンなのがターナーだということが分かりました。大きく違うわけではないのですが、敢えて分かりやすく対比するとそういうことになります。

今回の対決、どちらに軍配が上がるかと言えば引き分けです。両者現代ジャズの中でしっかり地位を固めているだけのことはあります。堂々と横綱相撲を披露して、聴衆を沸かせてくれています。両者の良さはよく出ていると思います。私はと言えば、クリポタの方が好きです。クリポタの男気あるテナーはカッコいいっしょ!

忘れてはいけませんね。ブレイクとストリートのガッチリしたジャズグルーヴがあるから2人のテナーが映えるのです。ドラムとベースのグルーヴがぐらついていたら、2人のテナー対決を楽しむどころの話ではありません。ブレイクのドラミングは小手先の技云々ではない、ぶっとくてパワフルなグルーヴが良いです。

現代ジャズの何たらとか、黒/白どうたらとかありますが、私はやはりジャズはこのアルバムの良さが分かることが基本だと思います。そうです。ジャズはアドリブです。それが基本中の基本。それを忘れたらジャズを聴く意味がありません。

カッコいいアルバムです。ジャズファンは必聴!

アルバム名:『Gone,but not Forgotten』
メンバー:
Johnathan Blake(ds)
Chris Potter(ts, alto-fl)
Mark Turner(ts, ss)
Ben Street(b)

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エンリコ・ピエラヌンツィのトリオは完成形

明日はサッカワールドカップの日本×ギリシャ戦。今度こそ日本らしいサッカーを展開して気持ち良く勝ってほしいです。ガンバレ日本!

今日はジャズ新譜紹介です。

P97エンリコ・ピエラヌンツィ『ストーリーズ』(2011年rec. CAM JAZZ)です。メンバーは、エンリコ・ピエラヌンツィ(p)、スコット・コリー(b)、アントニオ・サンチェス(ds)です。このメンバーによる2作目で録音は3年前。このメンバーになってからのピエラヌンツィは溌剌とピアノを弾いていて、それが聴きどころになっています。ピエラヌンツィの曲が7曲、コリーの曲が1曲の全8曲が収録されています。

1曲目《ノー・インプロパー・ユーズ》は勇ましい感じの曲で、このトリオの勢いに溢れた演奏が楽しめます。途中リズムアウトしたり、フリーっぽい部分があったりして、ピエラヌンツィさん絶好調です! 続く2曲目《Detras Mas Alla》はピエラヌンツィらしいメロディーの抒情的な演奏。香しく匂う哀愁が心地良いです。こういう哀愁曲をコリーとサンチェスが逞しくサポート。こればかりで申し訳ないのですが「哀愁とガッツ」(笑)。

3曲目《ブルー・ワルツ》は哀愁+エキゾチックなメロディー。コリーのベース・ソロがアートですよね。哀愁&ワルツというベタな組み合わせにも俗っぽくならず、そこに気品を備えているのがこの人ならでは。1曲目でガツンとやった後、2曲続けての哀愁曲が良い流れだと思います。4曲目《ザ・スロー・ジーン》はコリーの曲で美メロバラード。こちらは絶妙に俗っぽさを含んでいるところが私は好き。優しい演奏になっています。

5曲目《ウィッチ・ウェイ・イズ・アップ》は一転して忙しく始まりフリーっぽく展開していきます。途中からテクニカルフュージョンっぽくもなったりして一筋縄ではいかないです。こういう演奏でもドッシリと構えて説得力あるピアノを演奏するピエラヌンツィに拍手。で、6曲目《ホエア・ストーリーズ・アー》ではまたピエラヌンツィ節哀愁バラード曲に戻ります。曲の並びが上手く考えられているので飽きません。

7曲目《フラワーリング・ストーンズ》は陰りのあるメロディーが気持ちを落ち着かせてくれます。何となくウェイン・ショーターの《ワイルド・フラワー》に似ているような? この手のメロディーは好きです。たまにはダウナーな気分にも浸りたい。8曲目《ザ・リアル・ユー》はコリーのベースとデュオで静かに優しくエンディング。

安心して聴いていられる良いトリオです。ジャズ・ピアノ・トリオのひとつの形における完成形ではないかと思います。メンバーが互いに理解し合い、ピエラヌンツィが目指すジャズを上手く表現しています。お薦め!

ところでCAM JAZZレーベルのCDは中にシールが入っているのですが、これがジャズファンに馴染むとは思えず不思議でしょうがありません。

アルバム名:『STORIES』
メンバー:
Enrico Pieranunzi(p)
Scott Colley(b)
Antonio Sanchez(ds)

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スティープルチェイスのレコード

真空管アンプ製作に嵌りまくっていた頃、当時茨城に住んでいた私は休日に常磐道を飛ばしてよく秋葉原へ行きました。真空管アンプのパーツを買いに行くのが主な目的なのですが、石丸電気で輸入盤CDとかも買いました。当時の輸入盤はかなり安かったですから。今から15年くらい前の事です。

その頃アナログが見直される気運があり、新品のレコードなども売っていました。私もアナログ熱が再燃していたので、石丸電気SOFT1(今はもうない)で何枚か新品のレコードを買ったのです。SOFT1の2階奥の右側にレコード売り場がありました。そこで主に売っていたのがブルーノート180g輸入盤。重量盤とかがもてはやされた時期で、私もそれに乗って何枚か買いました。

このブルーノート180g輸入盤は当時の親会社のキャピトルレコードが製作したものです。音は高音が耳に付くマスタリングで、私はどうもその音に馴染むことができず、ほとんど日本盤に買い換えてしまいました。バランスは日本盤の方が良かったりするのです。重量盤というと低音がよく出るイメージなのですが、マスタリング次第で高音がきつくなってしまったりするんですよね。

それから石丸電気SOFT1でたくさん売っているものにスティープルチェイスの輸入盤がありました。1980年前後くらいのアルバムばかりで、こちらは演奏が面白そうなので何枚か買いました。重量盤とかではなくごく普通の輸入盤です。デューク・ジョーダン(p)、ハル・ギャルパー(p)、ジョン・マクニール(tp)、クリフォード・ジョーダン(ts)、ダグ・レイニー(g)、ジョー・ロック(vib)、カーン・ジャマール(vib)などのリーダーアルバム。

スティープルチェイスのレコードの音も特徴があって、こちらは皆あっさりした音なのです。ヴィーナスレコードの演出過剰油ギッシュな音と正反対の音。確かその頃(15年くらい前)だと思うのですが、世間ではしょう油顔がもてはやされ、彫が深いソース顔な私は肩身が狭い思いをしたものです(笑)。

今日は当時買ったスティープルチェイスのレコードから1枚を紹介します。

P96ジョン・マクニール・クインテット『クリーン・スイープ』(1981年rec. SteepleChase)です。メンバーは、ジョン・マクニール(tp)、デイヴ・リーブマン(ss)、ジョアン・ブラッキーン(p)、ルーファス・リード(b)、ビリー・ハート(ds)です。実は私、これを買った時ジョン・マクニールというトランペッターを知りませんでした。なので他のメンバーを見て買いました。リーブマンにブラッキーン、私がジャズを聴き始めた頃に注目されていたこの2人を見て買ったのです。

リーブマンはあの頃聴いたフレーズが出まくり。あの頃聴いたというのは『クエスト』(このグループ名のファーストアルバム)とエルビンの『アース・ジョーンズ』。カッコいいフレージングです。好きなんですよね。この頃のリーブマンが。ブラッキーンはガッチリしたピアノを弾いています。当時男っぽいピアノを弾くと言われていました。甘口ではなく辛口なピアノはなかなかカッコいいと思います。

で、リーダーのマクニール。あんまり特徴がありません。ダメな演奏をしているわけではありませんが、あまり心に残らないといいますか・・・。スティープルチェイスの音と同じであっさり目の演奏なんですよね。アルバムとしては80年代らしいモダンな4ビートジャズを展開しています。フュージョンブーム末期、メインストリーム回帰路線が目立ってきた頃のしっかりしたジャズです。私としてはリーブマンとブラッキーンのカッコいい演奏が聴けるので◎。

リーダーは印象に残らないとか失礼なことを言いながら、実はこの人のアルバムは『アンバーケーション』(1978年録音)と『アイヴ・ゴット・ザ・ワールド・オン・ア・ストリング』(1983年録音、レコードジャケットには”トリオ/クインテット”とミスプリ)も買いました。まあメンバー買いなんですけどね。後藤雅洋さん著「ジャズ・レーベル完全入門」では『ファウン』(1979年録音)が紹介されていて、これは日本盤中古レコードを買いましたが良いアルバムです。

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TA-F222ESAの簡易メンテナンス

少し前にヤフオクで落札してほったらかしにしていたソニーのアンプTA-F222ESAを使えるようにしました。元々動作品なので使えるには使えたのですが、小音量にするとスピーカー保護リレーが接触不良を起こすので、夜に小音量で聴く必要があるため常用できなかったのです。

現行パワーリレーに同様形状のものはないようなので、パワーリレーを外して接点をクリーニングしました。リレーを外すにはそれなりに分解しなければならず、それが面倒だったからほったらかしにしていたというわけ。先日やっと重い腰を上げました。外すネジが多いから面倒なだけで、全てコネクタ接続のため分解作業はしやすいです。まあ分解する順序とかは気を付ける必要はありますが。

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ご覧のようにリヤパネルを外さないと、スピーカー保護リレーが搭載されている基板が外せません。ここまで分解すれば基板は簡単に取り外せます。

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このアンプはコネクタ接続でとても組み立て作業がしやすい設計がされています。これが80年代後半~90年代アンプの合理設計。70年代の職人技で組み立てるアンプとは別物です。パートのおばちゃんやおねーちゃんでもすぐに組み立てられます。人件費(組立工数)を削減するための徹底した設計が必要とされていた時代の産物。こういう簡単組立設計のノウハウがその後の中国生産とかに生かされるわけです。

取り外したリレー基板には大型電解コンデンサが取り付けられるスペースがあり、この基板が上位機種と共用の設計になっていることがわかります。上位機種ではここに電解コンデンサが実装されているはずです。スピーカー保護リレーはA系統とB系統にそれぞれ1個付いています。

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半田を吸取ってパワーリレーを外しました。このパワーリレーは接点がクリーニングしづらい構造です。紙に無水エタノールを染みこませて何度か接点をゴシゴシ。う~む、何ともクリーニングしづらいです。手持ちの未使用パワーリレーには、取付け穴ピッチが同じものがあった(ただし穴自体は少し広げる必要あり)のですが、まずは接点クリーニングで対処することに。上手くいかなければそのパワーリレーを取り付ければ良いでしょう。

再度組み立ててボンネットははずしたままチェックです。アレレッ、A系統にスピーカーをつなぐと左チャンネルから音が全く出ないではありませんか! アンプが壊れたのか?どこかのコネクタが接触不良なのか? 念のためB系統にスピーカーをつなぐと両チャンネルから音が出ます。どうやらA系統のパワーリレーをダメにしてしまったようです(涙)。もう一度分解するのが面倒なので、B系統にスピーカーをつないで使用することにします。B系統のスピーカー端子のほうがリレー基板には近いので音質的には有利のはずですしね。

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というわけでボンネットを取り付けてラックに収めました。シーリングパネル付のシンプルなデザインが良いです。ちなみに私はこのアンプをパワーアンプとして使用しますので、ダイレクトインプット端子(入力切替スイッチを通らない)に入れ、ソースダイレクトON(プリアンプ部を通さずリヤパネル付近のボリュームのみ経由してパワーアンプ部に入る)でボリュームマックスにしています。でもそれだとゲインが高過ぎるのでミューティングONにしました。ボリュームで落すよりは固定抵抗で落とすミューティングの方が音質上は有利なはず。

非常に明瞭で解像度が高い音に聴こえます。狭い部屋なので大パワーは不要。これくらいの規模のアンプが私にはお似合いだと思います。小音量にしても接触不良はなくなりました。当分これを常用機として楽しんでいきたいと思います。

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AT15Eaの音を再確認

以前所有していた(手放してしまった)オーディオテクニカのカートリッジAT15Eaを再度入手してその音を確認してみました。廉価MM型カートリッジ探究の中で音が分かってきた今、AT10シリーズでは最後の方まで販売されたこのカートリッジ(廉価品ではないが)の位置付けてをしておきたかったのです。

半年ほど前にヤフオクでできるだけ安いものをと思って入手したものは、片チャンネルの磁石が折れていてその後コイル断線という本当のジャンク品でした(涙)。で、今回は意外ときれいなものを安目にゲット!

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届いてみると汚れはほとんどなく良品と言える物でした。純正ヘッドシェル付なので型式はAT15Ea/Gということになるのでしょう。梱包がいい加減だったのにカンチレバーが曲がらずに届いたのは幸い。音も問題なく出ました。

しばらく慣らし運転した後でいつもの比較試聴しました。2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。比較の相手は私の新リファレンスAP-25D。

左 : A'pis AP-25D(針:A'pis現行楕円針ST-25DED)
右 : オーディオテクニカAT15Ea(針:純正楕円針ATN15Ea)

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出力レベルはほぼ同じかごく僅かにAT15Eaのほうが大きいです。高低音のバランスが違う場合は中音の鳴り方で出力レベルを判定しています。意外やAT15Eaの方が低音寄りのバランスです。それはAT15Eaの高音の出方が控えめだから。楕円針なので出ていないわけではないのですが、無垢針効果できめ細やかで押し出しが弱いです。こういう感じの高音は、やはり無垢楕円針のオーレックスC-550Ⅱに似ていると思います。低音は緩くならずしっかり出ます。松田聖子のサ行は優秀で、チェックレコードのトレースも問題ありませんでした。

低音寄りのバランスなので安定した鳴り方で安心して聴いていられます。それ故元気溌剌に鳴る感じではありません。ただ押し出し感はあるので大人しい音というのとは違います。廉価品とは異なる上位クラスの標準的な音を備えたカートリッジと言えるように思います。こういう真面目なカートリッジが製造中止になってしまったのはとても残念。今は純正交換針(代替針として現行販売のATN15dは接合型丸針なので音は別物。鳴れば良いというだけ)も販売していないので針が減ったらそれで終わりです。

良いカートリッジだと思いますが、今の私の好みからするともう少し高音が”シャキッ”と出てほしいところ。今のご時世でこういう真面目な音の中級MM型カートリッジが求められるかと言うとそうでもない気がします。ちょっと中途半端なので、もっとハイファイに振ったAT150MLXと、廉価品ならではの溌剌な音に振ったAT100Eに機種を絞ってしまったオーディオテクニカの判断は正解な気がします。とは言え交換針ATN15Eaだけは販売を続けてほしかったです。

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インドとカントリーの融合具合が心地良い

ジャズ新譜紹介です。新譜が出るとなぜか気になるギタリストのアルバムです。

P87ジョエル・ハリソン&アヌパム・ショバカー・マルチプリシティ『リーヴ・ザ・ドア・オープン』(2012年rec. WHIRLWIND RECORDINGS)です。メンバーは、ジョエル・ハリソン(el-g,national steel,ac-g,baritone-g)、アヌパム・ショバカー(sarode)、ゲイリー・ヴァセーシ(p,hammond B3 org,acc)、ハンス・グラヴィシュニク(ac-b,el-b)、ダン・ワイス(ds,tabla)、デヴィッド・ビニー(as)1,3、トッド・イスラエル(per)6,8、ボニー・チャクラボーティ(voice)6、チャンドラシーカー(voice)4です。コンテンポラリー系(フュージョンではない)ギタリストのハリソンと、インドの古楽器サロードを弾くショバカーとの共演アルバムです。

ちなみにサロードはこれです。いかにもインド楽器らしいですよね。

P88
ハリソンの3曲、ショバカーの2曲、ハリソンとショバカーの共作1曲、民謡などをハリソンが編曲したもの3曲の全9曲が収録されています。ハリソンのカントリー系演奏とショバカーのインド系エスニックが上手い具合に融合し、独特なコンテンポラリー・サウンドになっています。その中にジャズ的ソロを上手く配置。難解な曲はなく、芸術性を保ちながらポップな部分を忘れないのがハリソンの良さです。ショバカーのサロードは各楽曲に上手く溶け込んでいて、ことさら存在を強調するような感じではありません。左で弾いているのがショバカー、右で弾いているのがハリソン。

ハリソンの曲はカントリー系の曲になっています。毎度のことなのですが1曲ではギンギンなロック・ギター・ソロを聴かせてくれてるのがハリソン。ショバカーの曲は当然インド系。そんな曲にハリソンは色々なギターを操ってサロードと上手い具合に融合していくのが面白いです。ショバカーのテクニカルなサロード・ソロも聴けます。カントリー系の曲では逆にショバカーがスティール・ギターのようなソロをとるのが妙にマッチ。2曲にインド系メロディーのボイスが入っているのが良いアクセントです。

2曲にゲスト参加するビニーが良いソロを聴かせてくれます。自身のアルバムでは暗めのトーンの難解方向の曲があったりしてとっつき難かったりするのですが、こういうポップな曲想での力強いソロは素直に良いと感じさせてくれます。ヴァセーシがピアノ、オルガン、アコーディオンでそれぞれのサウンドを生かした良いアシストをしています。

ドラムのワイスはパワーと柔軟性のある8ビートでしっかり支えています。各ソロのバックでは上手く盛り上げているのも分かります。タブラ演奏も上手くて、インド人が叩いているのかと思いました。グラヴィシュニクはしっかりしたベースを弾いていますが、どうも私はこの人の良さがよく分かりません。ありきたりというか、”ハッ”とさせるようなベースを弾いてくれないのが物足りなさです。

このアルバムの聴きどころはインドとカントリーの融合サウンド。意外と良いマッチングです。このような独特のサウンドステージを用意した上で、楽曲として各人がしっかりしたアドリブを繰り広げます。演奏はしっかりしているので軽く流れるようなところはありません。色んな音楽と融合した上でジャズが成り立ってしまう面白さを聴いて下さい。そしてそれがここでは意外とポップな音楽として聴こえる良さがあります。

アルバム名:『LEAVE THE DOOR OPEN』
メンバー:
Joel Harrison(el-g, national steel, ac-g, baritone g)
Anupam Shobakar(sarode)
Gary Versace(p, hammoud B-3 org, acc)
Hans Glawiscnig(ac-b, el-b)
Dan Weiss(ds, tabla)
David Binney(as)1,3
Todd Isler(per)6,8
Bonnie Chakraborty(voice)6
Chandrashekar(voice)4

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上原ひろみの新譜は良い出来です。

昨年は上原ひろみの新譜が出なかったので寂しかったです。この度やっと出たので速攻チェック! タイトルが『アライブ』だったので、てっきり世界各地のライブツアーからベストトラックを録音したライブアルバムだと勘違いしていました。実はそうではなくてトリオ・プロジェクトのスタジオ録音3作目。私が買ったのは初回限定盤で、プラチナCDではない普通のSHM-CD。私にはこれで十分良い音。

P85上原ひろみ『アライブ』(2014年rec. TELARC)です。メンバーは、上原ひろみ(p)、アンソニー・ジャクソン(contrabass guitar)、サイモン・フィリップス(ds)です。最初にこのトリオ・プロジェクトのアルバムが出た時、このメンバーでライブツアーするのかとか、続いてもせいぜい1年だろうと思っていた人が多かったはず。私もそう思っていました。ところが世界規模のツアーでライブをたくさんこなし、3枚目のスタジオ録音アルバムがこうして発売され、プロジェクトの活動はとうとう4年目に突入。こんな日本人ジャズミュージシャンは他にいませんよね。

良く考えれば上原(Hiromi)はテラーク・レーベルの看板ジャズミューシャンなわけで、「今度米何とかレーベルからアルバムを出しました。」な人達とは格が違うわけです。米メジャーレーベルのプロモーションのやり方とか、お金のかけ方が違うのがよく分かります。上原に続くようなジャズミュージシャンがなかなか出てこないのがちょっと残念です。やっているジャズの形態に関してはフォロワーが現れていますが、それは単にフォロワーというだけ。

さて今回のアルバム、紛れもなくトリオ・プロジェクトのサウンドです。前述のとおりこのプロジェクトの活動は4年目に入って、そのサウンドはすっかり熟成の域。しかし、これまでとはちょっと違う部分もあったりしてなかなか興味深いです。安定した分スリルが少々後退したような気はしますが、新たに旨味が加味されているように思います。

トリオ・プロジェクトのサウンドというのは、冒頭のアルバムタイトル曲《アライブ》に象徴されるような、複雑な拍子とキメのプログレッシブ・ロック的テクニカルな演奏を全面に打ち出し、そこに上原の日本情緒(和風というのではなく日本歌謡)溢れるメロディー/ピアノ演奏を加えたものです。テクニカルな演奏は最早レジェンドなアンソニーとサイモンがスクラムを組んで上原をガッチリ支えています。この3人によるタッグチームは世界屈指のものであることは間違いありません。

今回は前回のアルバムより低音が良く出るように録音されているので、アンソニーのベースが良く聴こえます。これまでももちろん凄い演奏だったのでしょうけれど、ベースが良く聴こえることでアンソニーの凄さがより実感できるようになりました。ソロでピックを使っているのもよく分かります。上原に興味がなくてもアンソニーのベースのファンなら絶対聴いておくべき演奏でしょう。アンソニーをここまで本気にさせるピアニストってそれほどいないと思いますよ。

サイモンは相変わらず手数の多いパワフルドラミング。ただ手数が多いだけではなく細部にも気を配っているのは言うまでもありません。上原流ころころ変わるグルーヴをスムーズにつなげて気持ち良いうねりにしてしまうドラミングは大したものだと思います。最初は少しミスマッチを感じたサイモンのグルーヴも、今ではすっかりこのトリオのグルーヴに一体化しました。上原のピアノはこのパワフルなドラミングとがっぷり四つに組んで一歩も引けを取りません。

上原、アンソニー、サイモンが生み出すサウンドはとてもトリオとは思えないマッシブ感。なのでアルバムを通して聴くとかなり満腹になってしまいます。今回の録音は中低音多めの濃い音なのでそれに拍車をかける状態。ピアノの強打部分では少し音が歪むようなところもあり、きれいに録音するよりガッツを優先させたことが分かります。

次はこれまでと違うところについて説明しましょう。まずはキーボードを使った曲がなくなりました。上原はピアノだけに専念。ちょっとダサくてコテコテなキーボード演奏がなくなったのは寂しいかも。でもそれに代わるアトラクティブな部分が加味されているので良いとも思えます。そして4ビート演奏を含んだ曲がこれまでの1曲から2曲に増えました。

最後にこれが一番面白いのですが、ベタでコテコテな崩し演奏が多くでてきます。それは4ビートのジャジーな演出になっていたり、ブルージーな風味になっています。オーソドックスなジャズをユーモラスに体現しているとも言えます。皆さんご存知のように上原は静岡県出身ですが、このベタでコテコテな崩しは綾戸智恵的浪速のオバチャン(失礼)です(笑)。こんな演奏が出て来るのはアンソニー、サイモンと気心が知れた証しかもしれません。面白いです。

曲についても触れておきましょう。全曲上原が作曲。凝った曲構成の曲もあります。もちろん「ひろみ節」全開です。1曲目《アライブ》はいつものテクニカルな聴く者を圧倒する演奏。2曲目《ワンダー》における4ビートに乗っての軽快なピアノ・ソロは抜群のスイング感。聴いていて気持ちがウキウキします。3曲目《ドリーマー》はテーマ部で叩くサイモンのビートが独特で、幻想的で憂いを帯びた曲想が今までにない感じで良いです。ヨーロッパ斬新トリオ風?

4曲目《シーカー》は日本歌謡的というかデヴィッド・サンボーン的というか、日本人に馴染みのあるメロディーだと思います。ピアノ・ソロの崩しがコテコテで、途中にほんの一瞬入る唸り声は上原のもの?こういうの嫌いじゃないです。後半アンソニーとの掛け合いは自然体。5曲目《プレイヤー》の4ビートでのピアノ・ソロがアルバ中のハイライト。ガシンガシン弾く上原。ジャジーなフレーズが淀みなく飛び出てきます。途中からテンポアップして飛ばす飛ばす。アンソニーは大変でしょうけれどきっと笑いまくってると思います。アンソニーのウォーキングベース演奏の白眉がここに登場!

6曲目《ウォーリアー》は抒情的なバラード演奏から入っていつもの変拍子テクニカル演奏へ。プログレでひろみ節全開。ピアノ・ソロは抒情的から徐々に激しく。7曲目《ファイアーフライ》はピアノ独奏。優しい曲でメロディーを慈しみながら弾く様には心を打たれます。8曲目《スピリット》はちょっぴり《家路》に似たフォーキーな曲。学校放課後の郷愁感。ブルージーなコテコテ崩しからフリーキーな強打はこれまでにない味わい。終わり方がベタ。9曲目《ライフ・ゴーズ・オン》はデヴィッド・ベノワ風フュージョン。こういうベタなフュージョン曲、私は好きです。

最初に聴いた時、3枚目ともなるとちょっと飽きちゃったかなと思ったのですが、何度も聴くうちに色々細部が分かってきてやっぱり面白いというオチになりました。自分のジャズをきキッチリやっている上原のピアノにはもう特に言う事はないのですが、上原にピタリと寄り添って安定したグルーヴとアートな音を奏でるアンソニーのコントラバス・ギターは凄すぎ。アンソニーにこういう演奏をさせてしまう上原に拍手!

アルバム名:『ALIVE』
メンバー:
Hiromi(p)
Anthony Jaczon(contrabass guitar)
Simon Phillips(ds),/span>

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