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クリス・ポッターが聴きたくて。

昨年リリースされたアルバムのフォローです。Amazonでは値段が高かったので買いそびれていました。最近値段が下がっていたのでゲット。

P76 ベラ・サキ・ラカトシュ『ライブ・アット・ムパ』(2008年rec. BMC records)です。メンバーは、ベラ・サキ・ラカトシュ(p)、クリス・ポッター(ts)、レジナルド・ヴィール(b)、テリ・リン・キャリントン(ds)です。以前紹介したダニエル・サボとクリス・ポッターのアルバムやクリストフ・マルゲのアルバムと同用にハンガリー国際文化基金がサポートしています。2008年のライブ録音です。

リーダーのラカトシュがハンガリー国際文化基金のサポートを受けて、アメリカから他のメンバーを呼んでライブをした模様を収録したものと思われます。内容はオーソドックスなバップ演奏のワン・ホーン・カルテット。リーダーのラカトシュにエスニックなメロディーは感じられません。世界標準的バップとでも言いましょうか。こんな風にジャズは世界規模で広まったんですよね。なのでクリポタ以下アメリカメンバーとのマッチングは違和感なし。

ただそうなると、ダニエル・サボとクリポタのアルバムにあったようなサボのエスニック感とクリポタのメロディーセンスの絶妙な融合みたいなものはなく、そこがちょっと残念です。ラカトシュのピアノは逞しいの一言。タッチがしっかりしているしメロディーもガッチリしているし温さはないです。アメリカから招いたメンバーを前に張り切っている感じが分かります。

1曲目のラカトシュ作《ストレート・アヘッド》は、テーマのメロディーが何となく《フリーダム・ジャズ・ダンス》に似ています。ラカトシュは前述のとおり逞しくピアノを弾いていて、こういうちょっとメカニカルな曲に乗ってのクリポタのテナーソロは文句なくカッコいいです。ヴィールのベースソロも強靭ですし、全編に渡ってガッツ溢れるドラミングを繰り広げるキャリントンも良いです。ここでのキャリントンはジェフ・ワッツのような太っいグルーヴ。パワフルでとても女性が叩いているとは思えません。まああの見た目の貫禄そのものと言えばそのものなのですが(笑)。

2曲目ラカトシュ作《B・A・C・H》は繰り返されるベースのリフが印象的で、これもちょっとメカニカルな曲。モダンなテイストがあってこの曲もクリポタに合っています。ラカトシュはやはりクリポタとの共演を意識して自作曲を選んでいるのだろうと思います。テナーソロはクリポタ節全開。途中でほんの少し引用するクラシック曲(名前が分からない)は、ヨーロッパでのライブならではのご愛嬌か。

3曲目《ラウンド・ミッドナイト》。ここまでメカニカルな自作曲が続いたのでモンクのメロディアスな曲で気分転換。バラード演奏です。こういうベタなスタンダードでクリポタのテナーソロが聴けるのって貴重かもしれません。インプロバイザーとしてのクリポタの実力が如何なく発揮されています。男は「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格はない。」といった感じのソロ(笑)。ラカトシュのピアノソロも美しくて良いです。

4曲目ラカトシュ作《マジック・メイカーズ》は雄大さを漂わせた曲でクリポタが最初から全開!いいな~やっぱクリポタは!これなんですよね。続くピアノソロはゆっくり入って徐々にヒートアップ。ガッツリ演奏しています。バックではキャリントンがキレとパワーで強力プッシュ。ヴィールのベースソロも気合入ってます。

5曲目《レインボウ》はキース・ジャレットの曲。キースって何と愛らしい美メロの曲を作るんでしょうね。タイトルどおり虹を見た時の晴れやかな気持ちが曲になっています。ラカトシュのピアノはやっぱりキース風。美しいフレーズが随所に出てきます。こういう曲でのクリポタもまた良し。美しさに流されないところが◎。この曲だけ短いのが私としては残念。

ラスト、ラカトシュ作《STH・ディストリクト》はブルース?ちょっぴりユーモラスな曲でセロニアス・モンク風。少しフリーな演奏を交えて展開していきます。ラカトシュの打楽器的なピアノもモンク風です。この曲はキャリントンのドラムソロを長めにフィーチャ。パワフルなドラミングは快感です。貫禄十分。実はこのメンバーの中で一番貫禄がある演奏だったりして(笑)。まあキャリアも一番長いはずですし姉貴分としては当然か?続くクリポタのテナーソロ最高!

録音の音質にはいくつか問題がありますが、演奏が良いのであまり気になりません。良ジャズの見本/基本みたいなライブ。ジャズの良さが分かるっていうのはやはりこの辺りから入ってもらわないと困りますよね。クリポタが聴きたかった私は十分満足しました。

アルバム名:『LIVE AT MUPA』
メンバー:
Bela Szakcsi Lakatos(p)
Chris Potter(ts)
Reginald Veal(b)
Terri Lyne Carrington(ds)

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