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カートリッジMT-23の検証

気になっていたことがあったのでカートリッジを入手して検証してみました。気になっていたことというのは、Lo-DのカートリッジMT-23がGLANZのカートリッジMG-2Sと同じものなのかということです。両者は色こそ違うものの形状は同じ。MT-23はGLANZからOEM供給されていたのは事実。某サイトでは針先形状が違うだけで本体は同じ物というような扱いをしていました。本当にそうなのでしょうか?

なぜ疑問が湧いたかというと、以前入手したMG-2S(針:大東京宝石DSN-34)がかなり高出力で中高域寄りのメリハリのある音だったからです。私はそれを聴いてクラブDJ向きの音だと書きました。そしてそれが今はベスタクスのDJ用カートリッジVR-7S/7Eとして継承されていることを知りなるほどと納得したものです。MG-2Sの発売は80年代に入ってからです。そのようなMG-2Sが70年代前半のHiFi志向カートリッジMT-23と同じものなのかという疑問です。

P91

ちなみに大東京宝石の針DSN-34をLo-DのMT-24に挿して(下の写真のとおり問題なく取り付けられます)聴いてみると、出力レベルはMT-24の純正針と同じくらいで、MT-24と同傾向のこのクラスの普通の音でした。これからも分かるとおり、MG-2Sの個性は針ではなく本体部分に依っているのだということが理解できました。

P86

今回私が入手したLo-DのMT-23は純正ヘッドシェルに取付けられていて多分レコードプレーヤーに付属していたものです。届いてから分かったのですがこれはプラスチック製のヘッドシェルです。最廉価クラスのレコードプレーヤーに付属したカートリッジだということが分かりました。写真はクリーニング後のもの。

P78

針は純正ではなくサードパーティの物に交換されているようです。カンチレバーの腐食はありますが変形等はなく問題なく音が出ました。古くても意外とダンパーは劣化していないんですよ。このクラスのカートリッジの極普通の音です。やっぱりね。MG-2Sとは違うではありませんか!

ではいつもの比較試聴をしてみましょう。2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。比較の相手は新リファレンスAP-25D。

左 : A'pis AP-25D(針:A'pis現行楕円針ST-25DED)
右 : Lo-D MT-23(針:サードパーティ丸針)

P79

まずMT-23はAP-25Dより出力がかなり小さいです。この小ささは以前聴いたMD-1016と同程度。丸針のMT-23はやはり高音が控えめです。そして中音の張りが僅かに弱く低音も少し緩く感じます。中低音の芯というか密度不足はプラスチック製ヘッドシェルの強度不足によるものと推測。なお軽量プラスチックヘッドシェルではトーンアームの水平バランスが取れないので、写真のとおりヘッドシェルの上部に鉛シートを貼って水平バランスを取っています。松田聖子のサ行はまずまずで、チェックレコードのトレースは問題ありませんでした。

出力が小さいというのは重要なポイント。MG-2Sの高出力とは大きな違いです。この出力の違いというのは発電コイルの巻き数の違いに他なりません。出力が小さいMT-23はコイルの巻き数が少なく、出力が大きいMG-2Sはコイルの巻き数が多いのです。出力レベルの差がかなりあることから、巻き数もかなり違うと思います。コイルの巻き数が違えばインピーダンスも異なり、音質にもかなり影響があります。

つまりMT-23とMG-2Sは別物。試聴した結果からもそれは明らかです。例のサイトもいい加減なところがありますね。ヤフオクではMT-23(や当時の他メーカー同型)をMG-2Sと言って出品している常連の出品者もいます(きちんと音を聴いていないいい加減な出品者です)。MT-23をMG-2Sだと思って聴いているあなた、残念ながらそれは違いますよ! MG-2Sはむしろ現行ベスタクスVR7S/Eの音だろうと思います。まあ実際に聴いていないので断言はできませんが。なのでMG-2Sの音が知りたいならば、VR-7S/7Eの本体を買って昔の針を付けて聴くのが正解のように考えます。

これさえ分かればO.K.! ありきたりな音のMT-23に特に魅力はないのでサッサとリサイクルすることに決定(笑)。

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コメント

色々なカートリッジを調べているあのサイトですか。
グレースネタが乏しい(古い)のがちょっと寂しいですが…

2つの出力差ですが、私はマグネットの磁力も気になります。
実は、以前スタントンの互換針を調べたとき、手持ちの500V3の純正針と
借用した500B
(聞いたことの無い型番ですが、どうやら昔コスモテクノのプレーヤーに
 搭載されていた物らしく、愛知の真空管アンプ屋がカートリッジの単品
 販売をしたようで、どちらも丸針で針圧規格も同じ)
の純正針を500V3本体に取り付けると500Bの針の方が3dBほど出力が大き
くなる結果を得ました。

もちろん、通常はコイルの巻き数(抵抗値とインダクタンスの変化)が出力差や
音質の差となりますが、マグネットの磁力の違いも大きな差を生みます。
(前記はEQアンプを含めた負荷容量とインダクタンスによる共振Fo値の変動
 後記は聴感上の感覚も含めて)

流石に、カートリッジの磁力が測定できるのホールプローブは持っていな
いので、方位磁石の針の変動で確認すると、500V3の純正針に対し500Bの
純正針は約2倍の針の変動角が有りました。
又、互換針メーカー間の磁力差(出力差)もZ-1Sで経験しており、気になる
所です。
(しかしミチタ音響はどれだけOEMを受けていたのでしょうか?)

MG-2Sの記事は2013の9月に有りました。「たぶんこれが最後」とも書かれて
います。

投稿: jamjam | 2014年5月27日 (火) 00時29分

jamjamさん

おっしゃるとおりMT-23のマグネットが減磁している可能性もあります。
まあでも、たくさんのカートリッジを集中的に聴いてきた感触で、これは磁力云々の差ではないと考えます。
万が一私が入手した個体固有の結果だとしても、一人くらい異を唱える人がいた方が面白いではありませんか。
ネットの意見を鵜呑みにするのではなく、自分で色々思考してみることが大切だと思います。

投稿: いっき | 2014年5月27日 (火) 23時17分

どうも、当方の真意を誤解されておられるようで、一筆。

まず、私も2つのカートリッジは似て非なる物と考えています。

ネット上のデーターは非常に有用ですが残念ながらが全ては語って
はいません。

以前、品川無線の技術者と話した事を書きましたが、製造期間が
長くなると同じ型番でも仕様も変わる事が有るとの事。
一番解りやすいのは、コアが単層仕様か積層仕様の違いです。
グレースの場合、一般的には、カートリッジ側のピンの直径が1φmm
は単層、1.2φmmは積層と言われていますが、実際は当時複数の製造
工場があり、変更時期には混在している製品もあるとの事。
(メーカーに送れば教えれくれますが)
積層の方が高域特性が良くなりますが、経年劣化でコア剥がれが起き
やすくなります。

又、海外仕様(アメリカとヨーロッパでは求める音が異なるため同じ
外観でも巻き数や巻き線の太さを変えてている)など同じ型番に見え
ても、同時期の複数の仕様が生産されていたとの事。
さらに、特機部門では放送局やレコード会社向けの特注品の生産など、
外観では解らない仕様違いが多数有るとの事です。

ましてや、ミチタ音響の様に一時期OEMのかなりの部分を引き受けて
いた企業は、相手先の要求に柔軟に対応していたと考える方が正し
いと考えます。
(オーディオ全盛期に向かって生産数も増え、ましてやプレーヤに組み
 込まれで販売される商品も多いので、一社の一仕様の生産数も現在と
 は比べ物になりません)

スタントンの手元にある500系の差異(自社向けとOEM)は磁力の違い
程度であったという事です。
(その後、抵抗値の差も確認しましたが左右の差のほうが大きい
 結果となりました、アナログが斜陽な状況で本体内部の仕様を増やす
 だけの余力はもう無かったのでしょう)

メーカーも当時は外部に出すべき情報ではないので、雑誌記事やカタ
ログ、もちろん外観だけでは確信がもてない部分です。

投稿: jamjam | 2014年5月28日 (水) 02時22分

jamjamさん

真意を掴みきれずどうも申し訳ありませんでした。
具体例を示して下さったのでよく分かりました。
そしてこういう貴重な情報を聞けたことを嬉しく思います。
当時のメーカー事情が見えて来てとても興味深いです。
ありがとうございます。

投稿: いっき | 2014年5月28日 (水) 22時31分

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