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血塗れのクレイグ・テイボーン?

最近ココログの記事作成ページと私のパソコンのインターフェースの具合がかなり悪いです。文字色キーや強調キーなどからの入力が反映されませんし、記事作成画面の表示がHTML表示のままになってしまうこともあります。ココログは比較的頻繁に細かい仕様変更がありまして、これまでにも細かなトラブルや不便さが発生してきました。私が使うパソコンのOSが、XP、Vista、7と変遷したことにもよるでしょう。まあこの手のことは覚悟して付き合っていくのがパソコンの世界だと思っています。使う側は寛容で融通が効かないとやっていけません。

昨年出たアルバムの紹介です。ディスクユニオンのサイトで試聴して気になっていたアルバム。その後買いそびれていたのですが、「ジャズ批評」誌の「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム2013」の益子博之さんの推薦文を読んで買う気になりました。そこには前記事にも登場した多田雅範さんが、このアルバムを「血塗れのクレイグ・テイボーン」と評したと書いてあったからです。人を買う気にさせる一言ってありますよね。

P32 マット・ミッチェル『フィクション』(2012年rec. PI RECORDINGS)です。メンバーは、マット・ミッチェル(p)、チェス・スミス(ds,per,vib)です。ピアノとドラムのデュオでフリージャズ。「血塗れの」という言葉のとおり、ピアノを”ガシガシ”弾きまくるミッチェルがいます。益子さんは「底知れない過剰な何かに憑かれたように弾きまくる」と言っています。確かにそのとおりの内容です。

リズミックでダイナミックな演奏がほとんどなので楽しく聴けます。先程フリージャズと書きましたが、決して無秩序な演奏ではなく比較的秩序がある演奏になっています。どういう秩序なのかというと、ミッチェルが弾いているのは数小節のフレーズを基本としていて、それを繰り返して表情を付けていくというもの。ミニマルな要素があります。ドラムはそこに比較的自由に絡んでいきます。フレーズが短めなので曲が姿を現しそうで現さないようなもどかしさがありそれがまた快感。

こういう演奏形態で思い出すのはマイルスの《ネフェルティティ》。マイルスとウェインが同じフレーズを繰り返して表情をつけながら吹奏し、バックでピアノ・トリオが比較的自由に動いていくあれです。ただしこのアルバムでは《ネフェルティティ》のようなゆったりした演奏は少なく、「血塗れの」「憑かれたように弾きまくる」という状況なので、パッと聴いた感じではそれに気づかないです。それからフレーズを繰り返すのがピアノなので、ホーンのようなテクスチャー表現はできませんね。

全曲ミッチェルが作曲しています。4分前後の短めの曲が多くて全部で15曲。自由にやっているようで、実はかなり緻密な計算の基に演奏されているのではないかと思います。そういう部分に気付きながら変化していくフレーズを追いかけていくと面白いのではないでしょうか。そこにダイナミックに絡むドラミングには気分が高揚させられます。サウンド的には時々登場するヴァイブラフォンが良い気分転換になっています。ピアノとヴァイブが醸し出す幻想的な響きにも注目しましょう。

何かに憑かれているようで血塗れではありますが、実は頭脳明晰な凶暴犯といった感じか? こう書いてしまうと何やらとても怖い演奏をしているように感じさせてしまいますよね。そんなことはありません。意外と聴きやすい演奏とメロディーなのではないかと私は思います。多分?

アルバム名:『Fiction』
メンバー:
Matt Mitchell(p)
Ches Smith(ds, per, vib)

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