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たまにはこの手のアルバムも良いでしょう。

さて、そろそろジャズについて書きましょう。

現在私が最も注目しているジャズピアニストはヴィジェイ・アイヤです。この度ECMからアルバムを出すというので予備知識がないまま購入しました。う~む、こう来ましたか。私、この手の音楽はあまり好みではないです。それはそれとして、クリス・ポッター、アーロン・パークス、そしてヴィジェイ・アイヤと、私が注目している人達が次々とECMからリーダーアルバムを出してくるのは面白いです。

P31ヴィジェイ・アイヤ『ミューテイション』(2013年rec. ECM)です。メンバーは、ヴィジェイ・アイヤ(p,electronics)、ミランダ・クックソン(violin)、ミッチ・ヴィアンコ(violin) 、キール・アーンブラスト(viola)、キヴィ・カーン・リプマン(violoncello)です。弦楽四重奏との共演が10曲で、冒頭2曲とラスト曲だけがピアノソロになっています。 全13曲アイヤが作曲。 たぶん弦楽の部分もアイヤが作曲しているのだろうと思います。ジャズというよりは現代音楽でしょう。ECMらしい楽想です。こういう作品ですからプロデュースはもちろんマンフレート・アイヒャ。

アイヤの使用楽器にエレクトロニクスの記載があったので、ポップアート的なものが盛り込まれているかと期待したのですが、エレクトロニクスの使用はかなり限定的で、クラシックな楽想に繊細なニュアンスを付け加える程度に留めてありました。センスの良いエレクトロニクスの扱い振りはさすがアイヤと言ったところです。

1曲目のピアノソロを聴いていたらチック・コリアが浮かんできました。何となく音の選び方が似ているように思ったからです。ならばということで、チックの『ピアノ・インプロヴィゼーションVol.1』(前半5曲が好き)を久しぶりに聴いたところ、音の選択は何となく似ている感じでしたが、チックの方がダイナミックな演奏でした。こんなところからも分かるとおり、今回はインド系であることをほとんど出していません。これまでのアルバムでたぶんにインド系を演出していたのは、ジャズにおけるアイデンティティ表出の重要度を意識しての戦略なのかもしれませんね。

現代音楽的な楽曲であるのはそのとおりだと思うのですが、ここには(私が勝手に思い込んでいるだけかもしれませんが)クラシックの高尚なものはあまりないように思います。だからクラシックの高尚な部分が苦手な私には、返って聴きやすい音楽になっています。話はちょっと反れますが、クラシックの高尚さを感じているのが坂本龍一で、私としてはそこがいまいち坂本龍一を好きになれないところ。格調はあるのですが「ポップスやっててそっれって必要なの?」といつも疑問に思います。でもそれを取っちゃうと坂本龍一でなくなるのはまた然り。

クラシックの匂いが続いて私が飽きてきそうになると、エレクトロニクスを適度に使った曲が表れてくるのが面白いです。何か私の心を見透かされているようでニンマリしてしまいました。また譜面に書き込まれているはずなのに、弦楽四重奏とピアノのやりとりは意外と自然発生的に聴こえる曲もあります。そういう曲で実はピアノは即興演奏に近いのかもしれません。書かれた弦楽四重奏をバックにピアノのインプロみたいな感じ? 弦にサウンドエフェクトみたいなことをやらせる部分にはポップなセンスを感じます。ゴジラが登場しそうな曲もありますよ(笑)。

実は一度聴いてから2週間ほど聴かずにいたのですが、ブログを書くにあたって聴いてみると、意外に馴染める音楽でした。現代音楽ではあるのでしょうけれど、そこには大衆音楽としてのジャズが持っている部分が非常に上手くブレンドされているように感じました。メロディーが難解でないところも気に入りました。なるほど、なかなか面白いアルバムです。

実はこのアルバムを聴く前に、ネットマガジン「JAZZTOKYO」に掲載されている多田雅範さんのアルバム評を読んだのですが、その時は趣旨がよく分かりませんでした。でも今ブログを書いて改めて読んで「なるほどなあ。」と納得しているところです。今私がアルバム評を読んで面白いと思える数少ないジャズ評論家の一人が多田さんです。アルバム内容を独特な表現で的確に表現しているところが好きです。

アルバム名:『Mutation』
メンバー:
Vijay Iyer(p, electoronics)
Miranda Cuckson(violin)
Michi Wiancko(violin)
Kyle Armbrust(viola)
Kivie Cahn-Lipman(violoncello)

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コメント

いっきさん。こんにちは!
もう、春になっちゃいましたね。
久しぶりに突っ込みを入れます!!

>話はちょっと反れますが、クラシックの高尚さを感じているのが坂本龍一で、私としてはそこがいまいち坂本龍一を好きになれないところ。格調はあるのですが「ポップスやっててそっれって必要なの?」といつも疑問に思います。でもそれを取っちゃうと坂本龍一でなくなるのはまた然り。

まぁ、その意見には共感するところがありますが、教授に限らず「クラシックポップス」というジャンルもあるのではないでしょうか?ブランド・イメージだよね。
んで、ついでにキース・ジャレットはどうなんでしょうか?ご意見を!!

因に私、ここ数年チックが苦手です。何度もトライするのですが、30秒くらいで挫折してしまいます・・・あの音が生理的にダメなのかも?チャオ!!

投稿: tommy | 2014年4月 8日 (火) 07時40分

tommyさん

こんばんは。
春爛漫ですよね。
近所の桜がきれいに咲いています。

さて、ツッコミありがとうございます。
「クラシックポップス」ですか。なるほど。
需要があるのなら良いのではないでしょうか。
私、ブランドにあまり興味が湧かない人なので、それに対する意見はないです。

キースですか?
熱烈なファンが多いですし熱く語る人も多いですよね。
でも私はなぜかキースに対してそこまでの感情が湧かないです。
月並みな意見だとは思いますが湧き出る美メロが好き。
ライブでの態度とかについては天才ならではの気難しさなのだろうと納得しています。

逆に私はチックとは最初から馬が合っていました。
適当にお調子者なところが私と似ているのかも(笑)?
ただ去年のアルバム以前のマンネリなチックに興味はなかったです。

投稿: いっき | 2014年4月 8日 (火) 22時59分

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