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コンテンポラリー・バップ佳作

私が以前紹介したアルバム(リンダ・オー、レイナルド・コロン、ジェロム・サバーグ、デイヴ・ダクラス、ジム・スナイデロなど)に参加しているドラマーのルディ・ロイストン。リーダー作が出たので聴いてみました。

P7ルディ・ロイストン『303』(2013年rec. Greenleaf Music)です。メンバーは、ルディ・ロイストン(ds,per)、ジョン・イラバゴン(sax)、ナジャ・ノーディス?(tp)、ニル・フェルダー(g)、サム・ハリス(p)、ミミ・ジョーンズ(b)1,3,5,7,11、ヤスシ・ナカムラ(b)です。 内容は4ビートの曲が1曲だけのコンテンポラリー・バップ 。

最初の曲《ミミ・サンライズ》はほとんどアドリブなしでサウンドを聴かせるもの。曲名は異なるもののラスト曲《プレーヤー(フォー・ジ・アース)》もこれと同じテーマ(メロディー)で、 曲の途中が2分ほど無音になっているという凝りよう。ほとんどの曲がテーマ合奏後にアドリブを回すような単純なものではなく、きちんと編曲されています。レディオヘッドともう一人の2曲を除いて9曲をロイストンが作曲。ドラム・ソロも数曲でしかやっていませんし、ロイストンはコンポーザー型のドラマーです。ジャケット写真の銀縁メガネをかけたロイストンはなかなかのインテリに見えてそれらしいと思います。

ギターのフェルダーはメセニー、ジョンスコ、ベン・モンダーなどからの影響が感じられる現代ギタリスト。でもカート・ローゼンウィンケルのようなメロディー・センスとは異なるようなので、少し前の世代に属するタイプのようです。サックスのイラバゴンがこういうコンテンポラリーな演奏をするのを初めて聴いたのですが、フレージングやサウンドがクリス・ポッターなどと近い雰囲気で演奏していたので意外でした。やはりこの人もマイケル・ブレッカーから続く現代テナーの影響は受けているんですね。

ピアノのハリスにはハービー・ハンコックに似たハーモニー感覚を感じます。3曲目《プレーヤー》、4曲目《グッドナイト・キンヤ》、5曲目《ギャングズ・オブ・ニュー・ヨーク》でのピアノを聴いて思い出したのが、ハービーのアルバム『ザ・ニュー・スタンダード』だったからです。特に《ギャングズ・オブ・ニュー・ヨーク》はそのアルバムの雰囲気にかなり似ています。ロイストンの曲はそれくらいポップで良い曲です。他の曲も良い曲ばかり。

トランペッターのナジャは特に誰かと似ているというわけではないのですが、現代的なトランペッターです。《グッドナイト・キンヤ》はイスラエル人ベーシストのオマー・アヴィタルが作るようなユダヤ調哀愁曲で、そこでの哀感あるナジャのプレーはイスラエル人トランペッターのアヴィシャイ・コーエンに通じます。ロイストンは黒人ですが、今は黒人だからと言って特に黒いわけではなく、上記のようなユダヤ調メロディーも作れてしまうのです。

レディオヘッドの《ハイ・アンド・ドライ》がロイストンの曲の中に違和感なく溶け込んでいるのもそんな理由によるのではないでしょうか。レディオヘッドの曲は良い曲ですよね。レディオヘッドの曲は多くのジャズマンが取り上げるので、レディオヘッドのサウンドが現代ジャズに影響を与えているとか言われます。でも私は単にレディオヘッドの曲が良い曲なので取り上げられるに過ぎないのではないかと最近は思います。まあ私はレディオヘッドを聴くわけではないので断言できませんが。

ベースはジョーンズとナカムラが曲によって入れ替わります。どちらも落ち着いてしっかりしたベースを弾いています。ミミは名前から言って女性なのでしょう。ナカムラは日本人なのでしょうから、女性と日本人という組み合わせは興味深いところです。なお曲によって、トランペッターが抜けたり、サックスが抜けたり、ギターが抜けたりしますので、全曲6人でやっているわけではありません。最後になってしまいましたが、ロイストンのドラムは独り目立つようなところはなく、各演奏において必要にして十分なグルーヴを生み出しています。要所ではダイナミックなドラミングも披露します。

特筆する何かがあるわけではありませんが、メンバー全員がロイストンの意向をきちんと汲んでしっかり演奏をしたアルバムだと思います。安心して聴いていられる現代ジャズ。

アルバム名:『303』
メンバー:
Rudy Royston(ds, per)
Jon Irabagon(sax)
Nadja Noordhuis(tp)
Nir Felder(g)
Sam Harris(p)
Mimi Jones(b)
Yasushi Nakamura(b)

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