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これはフュージョンでしょうね。

パット・メセニー・ユニティ・バンド/グループに参加してアーティスティックなベースを弾くベン・ウィリアムスが気になっているので、今更なのですが彼のファースト・アルバムを聴いておくことにしました。

P181ベン・ウィリアムス『ステイト・オブ・アート』(2010年rec. CONCORD JAZZ)です。メンバーは、ベン・ウィリアムス(b,el-b)、ジャリール・ショウ(as,ss)、マーカス・ストリックランド(ts,ss)、マシュー・スティーヴンス(g)、ジェラルド・クレイトン(p,fender rhodes)、ジャミル・ウィリアムス(ds)、エシーネ・チャールズ(per)、スペシャル・ゲスト:ジョン・ロビンソン(mc,vo)、クリスチャン・スコット(tp)、ストリングス・カルテットです。これはやはりフュージョンと呼ぶべきでしょうね。私にとっては懐かしい80年代フュージョンの雰囲気。コンコード・レーベルがやっているスムース・ジャズ系のアルバムという位置づけになるのだろうと思います。

ベン・ウィリアムスのオリジナル5曲の他、色々な人の曲をやって全11曲。ベン・ウィリアムスの曲はとても聴きやすいメロディックな曲。80年代フュージョンの雰囲気と書きましたが、ラスト以外はアコースティック・ベースを弾いているので、クラブジャズやヒップホップのジャズ的グルーヴを経た今時の感覚が入っています。しかし曲調やアレンジは80年代フュージョンを継承しているように思われます。

80年代に入ってジャズを聴き始めた私は、この手のどちらかと言えば軟派フュージョンを好んで聴く一方で、硬派で難解なものとしてのジャズを聴いてこそ、ジャズが分かるということなのだという意識が強くありました。そうさせるような雰囲気が世間に色濃く残っていたということもあります。なのでこの手のフュージョンをジャズだというような今時の風潮には少なからず反感があります。それでその反感を失わないことが、私にとってジャズを守ることだと思っています(笑)。

今黒人音楽としてのジャズが、一部でフュージョン化しているというのは興味深いことです。ただ今や黒人音楽としてのジャズはジャズ全体からすれば範囲は限定的であり、これを持ってジャズ全体を語ることはできないはずです。せいぜい今のジャズにはそういう部分もあるということに過ぎないと思います。そして今後もしこれがジャズの主流(メイン・ストリーム)になるのなら、その時は本当にジャズが死ぬ時だと思います。私はそうならないことを祈っています。

このアルバムを聴き、《リトル・スージ》のストリングスを交えたアレンジにウィリアムスの音楽性を見て、メセニー・グループに招かれた理由が分かりました。この《リトル・スージー》はマイケル・ジャクソンの曲だったんですね。私はメロディーの一部が《サンライズ・サンセット》に似ていることが気になってしょうがありませんでした。ネット検索をするとそのあたりについて考察したものがありました。で、マイケルの《リトル・スージー》をYouTubeで見て、この人の中にあった異様な何かを感じました。常人にはない天才ならではの異様な何か。そしてやはり本家マイケルの歌のほうが音楽的強度があるのでした。

スティーヴィー・ワンダーの《パートタイム・ラヴァー》もやっています。この曲は日本でもヒット。TDKカセットのCMソング(CMには本人出演)でした。私はこの曲が好きでした。この曲が入ったアルバム(CDだったような?)は、友達の下宿に集まって実験レポートなどを作成する際に、B.G.M.としてよく聴いた記憶があります。当時流行っていたマドンナやシンディ・ローパーも同じようにB.G.M.としてよく聴きました。懐かしい思い出です。ウィリアムスがこの曲を取り上げているところに私は親近感を感じます。

《ザ・リー・モーガン・ストーリー》は、ジャズ喫茶「いーぐる」で数年前にやった中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会」でかけた曲(本家の方を)です。ヒップホップ側のジャズへの接近/憧れ/継承というような文脈の中でかけたと思います。そこでラップしているジョン・ロビンソンをゲストに招き、ここでもヒップホップ演奏になっているのですが、やはりというかフュージョンになってしまっているような気がします。エレピがね~っ、フュージョンしているのです。ロバート・グラスパーにも同じようなものを感じます。まあ元曲のヒップホップについても私はあまり魅力を感じません。もっとカッコいいヒップホップはいくらでもあります。

ショウ、ストリックランド、クレイトンのソロはなかなか聴かせてくれます。良いと思いますよ。でもやはりフュージョン。しつこい(笑)。ここはひとつ、メセニー・グループでウィリアムスには「ジャズとは何か?」をしっかり継承してほしいと願っています。

アルバム名:『STATE OF ART』
メンバー:
Ben Williams(b, el-b)
Jaleel Shaw(as, ss)
Marcus Strickland(ts, ss)
Gerald Clayton(p, fender rhodes)
Jamire Williams(ds)
Etene Charles(per)
Special guests:
John Robinson(emcee/vocals)
Christian Scott(tp)
String Quartet

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フュージョン・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

いっきさま、、

リリース当時、話題になっておりましたので、、
購入しました。ブログにあげそこなったのは、時間がなかっただけじゃないのかな。。わたしが歳をとりすぎたのかも。。

と、この度は大雪で大変でしたね。
新潟市は積雪はゼロに近いです。
便利な生活に慣れちゃうと忘れがちですが、、
やはり、自然の猛威って恐ろしいですね。
お見舞い申し上げます。お大事にどうぞ。

投稿: Suzuck | 2014年2月17日 (月) 09時54分

いっきさん。

雪被害は大丈夫??お見舞いついでに!!

オレはフュージョンをジャズとして聴くことはないので、「ロバート・グラスパーねぇ〜。ダセ!!」ってしか思わないけど、彼の音楽にジャズの未来があるとは思わないけどなぁ・・・(笑)。
それよりも、もっとパット・メセニーを研究すべきだと思うよ。まぁ、それ程好きではないけど、パット・メセニーはジャズの未来を考えていると感じるよ。それはジャズ聴きなら分かると思う。

投稿: tommy | 2014年2月17日 (月) 14時29分

Suzuckさま

>リリース当時、話題になっておりましたので、、
>購入しました。

購入されていたんですね。確かに話題になっていましたよね。

>ブログにあげそこなったのは、時間がなかっただけじゃないのかな。。

まあタイミングとか色々あるでしょうから。

>わたしが歳をとりすぎたのかも。。

歳は関係ないと言いたいところですが、やっぱり世代による違いは存在するようです。

>と、この度は大雪で大変でしたね。

朝起きて外へ出て笑うしかありませんでした。

>新潟市は積雪はゼロに近いです。

それは羨ましいです。

>便利な生活に慣れちゃうと忘れがちですが、、
>やはり、自然の猛威って恐ろしいですね。

はいそう思います。
昨年は他所で過去に例のない大雨がありましたよね。
ニュースで見て凄いなあと思いつつ結局は実感がなく。
でも今回過去に例のない大雪ということで猛威を痛感しました。
もうこれ以上雪が降らないことを祈ります。

>お見舞い申し上げます。お大事にどうぞ。

ご心配いただきありがとうございます。
不便はありますが無事過ごしています。

投稿: いっき | 2014年2月17日 (月) 21時02分

tommyさん

>雪被害は大丈夫??

ご心配いただきありがとうございます。
色々不便はありますが大丈夫です。
現状山梨県全体がほぼ孤立状態だそうです!

>、「ロバート・グラスパーねぇ〜。ダセ!!」ってしか思わないけど、彼の音楽にジャズの未来があるとは思わないけどなぁ・・・(笑)。

未来があると思っている人がそれなりの数いることは確かです。
結論が出るのは20年くらい経ってからでしょう。

>それよりも、もっとパット・メセニーを研究すべきだと思うよ。

私は研究するのでなくて楽しんでます。

>パット・メセニーはジャズの未来を考えていると感じるよ。それはジャズ聴きなら分かると思う。

ジャズ聴きなら分かると信じます。

投稿: いっき | 2014年2月17日 (月) 21時11分

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