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アフリカ~カリブ~アメリカに吹く心地良い風

新譜紹介です。面白そうなメンバーでの演奏なので買いました。

P179ジェフ・バラード・トリオ『タイムズ・テイルズ』(2013年、Okeh Records)です。メンバーは、ジェフ・バラード(ds,per)、リオーネル・ルエケ(g,voice)、ミゲル・セノーン(as)です。それぞれのジャズ歴において、これまであまり繋がりがなかったような3人が組んでいるところが興味深いですよね。ネットでさわりを試聴して良さそうなので聴くことにしました。

アフリカ出身のルエケ、プエルトリコ出身のセノーン、アメリカ出身のバラードが組んで奏でるジャズや如何に? アフリカ~カリブ~アメリカと言うと、黒人奴隷がアフリカからアメリカに連れて来られた道のり。そういう歴史的な経緯を経た後に、ジャズという音楽が出来上がっていることを考えれば、この3人の組み合わせの相性が意外と良いのは当然なのかもしれません。

やっている音楽は黒人奴隷にまつわるような暗い過去は全く引きずっていません。ジャケットの絵そのもののような心地良い音楽です。ちなみにこのジャケットの絵はバラード自身が描いたもの。バラードって優しい人柄なんでしょうかね?この絵にはそんな雰囲気が漂っています。タイトルにも書いたとおり、アフリカからカリブを通りアメリカに吹いてくる心地良い風のようなサウンドです。

P180
スリーブ内の写真を見ると、バラードが叩いているドラムセットはアフリカのパーカッションを組み合わせたユニークなもの。アルバム中唯一のジェフ・バラードの曲《ビート・ストリート》では、このドラムを生かしてニューオーリンズのセカンドラインのようなリズムを叩いています。ジャズのビートの起源はやはりアフリカなのかと思えて面白いです。

1曲目はルエケ作《ヴァージン・フォレスト》。ルエケのボイスを軽く交えてアフリカルーツの曲が展開します。相変わらずセノーンのアルト・サックスが抜けが良く爽やかな音で、私はこの音を聴いているだけで大満足。ルエケのギターには引きの美学のようなものを感じ、バラードの小気味良いグルーヴは気分を軽くさせてくれます。3人でやっていてもプアな感じはなく、音楽が溢れてくるのが良いです。

2曲目《ウエスタン・ウレン(ア・バード・コール)》は3人のフリー・インプロビゼーション。サブタイトルどおり鳥のさえずりといった感じになっています。音楽性ある3人の掛け合いが心地良いです。イントロ的な短い曲《フリー1》、ラストの《フリー3》も同様のフリー・インプロ。ビート・レスで演奏されるスタンダード《ザ・マン・アイ・ラブ》はセノーンとルエケのソロが秀逸。ゆったりしなやかに展開されて心に染みます。

6曲目《ハンギン・ツリー》はハードロック・グループのクイーンズ・オブ・ザ・サウンド・エージの曲。これはモロにハードロック演奏。ディストーションを聴かせたルエケの”ギンギン”ギターと、ハードに迫りつつもやっぱり爽やかなセノーンのアルト・サックスがカッコいい。一転して7曲目《ダル(ア・リズム・ソング)》はラテン系の寂しげなバラード曲。セノーンのアルト・サックスが切々と心に響きます。

他はラテン系の《El Reparador De Suenos》、ルエケの《Mivakpola》、共にしなやかな音楽性を聴かせてくれます。全10曲、色々なタイプの曲があり、それでも通して聴くと一貫性が感じられます。爽やかで優しい雰囲気の良いアルバムだと思いました。ジャケットの絵が気に入ったなら、買って損はないでしょう。

アルバム名:『Time's Tales』
メンバー:
Jeff Ballard(ds, per)
Lionel Loueke(g, voice)
Miguel Zenon(as)

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コメント

個性的なメンバーのトリオなのに、なかなか相性が良くて、しかも明るさが基調になっていて、けっこう楽しめました。あえて普通の編成でやらなかった方が良かったと思えます。リーダーのドラムスも露出度が多く、楽しめました。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2014年3月 2日 (日) 13時25分

910さん

こんにちは。
この3人はなかなか相性が良いですよね。
おっしゃるとおり明るさが基調で私もそこが気に入っています。
こういう編成もありなんだなと思いました。
ありきたりでない良さが出ていますよね。
確かにドラムの露出度が高くしっかり主張しています。
TBありがとうございました。

投稿: いっき | 2014年3月 2日 (日) 17時23分

こんばんは。 ジャケが素敵だったのと みなさんのレビューを読んでよさそうだったのと さらに試聴もして(笑)購入しました!
とても良かったです。似たような感想文を書いていますが、コピペではありません(笑)
わたしも、アフリカの雰囲気を感じました。地球の鼓動のようなアルバムですね。

投稿: Marlin | 2014年3月30日 (日) 23時28分

Marlinさん

こんばんは。
すっかり返事が遅くなってしまいすみません。
このジャケットいい感じですよね。
私は気に入ってます。
でも単にジャケ買いしていないところが素晴らしい。
内容も良いですよね。
あはは、”コピペ”例の論文騒ぎで最近人気の単語ですね。
う~ん、今を織り込むセンスが素晴らしい。
アフリカの雰囲気の素はルエケでしょう。
”地球の鼓動のようなアルバム”、なるほどそれは言い得て妙かもしれません。

投稿: いっき | 2014年3月31日 (月) 22時35分

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ジェフ・バラードがリーダー作を出したということで買ってみました。彼だったら、普通 [続きを読む]

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