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2014年2月

マイ・ベスト・ジャズ・アルバム 2013

今年も「ジャズ批評」「マイ・ベスト・ジャズ・アルバム 2013」に私のベスト5を掲載していただきました。どうもありがとうございます。

P200

私「いっき」の選択は以下のようになっています。
各アルバムのブログ記事へのリンクも貼っておきます。
選んだ理由については「ジャズ批評」をお読みください。

1.ヴィジェイ・アイヤ『ホールディング・イット・ダウン:ザ・ヴェテランズ・ドリーム・プロジェクト』
今年の私のベスト1はこれ!

2.クリス・ポッター『ザ・サイレンズ』
やっぱりクリポタはいいよね。

3.パット・メセニー『TAP:ジョン・ゾーンズ・ブック・オブ・エンジェルズVol.20』
Tzadicレーベルから出たメセニーの新譜

4.ザ・クローディア・クインテット『セプテンバー』
即興演奏にトライし続ける。

5.スガダイロートリオ『刃文』
スガダイロートリオのライブはとても楽しかった。 (ライブ記事)

元ブログウォーキング仲間のお2人、高野雲さんとSuzuckさまのベスト5も掲載されています。

毎度のことですが人それぞれのベスト5。
よくもまあここまで重ならないものだと思います。
それくらいジャズが広がっていて、需要の形態も様々ということなのでしょう。
そして今のジャズ界に”シーン”と呼べるようなものがないことの象徴だと思います。

冒頭の「【対談】高木信哉×杉田宏樹」を読んでも分かりますが、話題のアルバムについて2人で語っていてもそこからジャズ・シーンは見えてきません。色んなジャズ・ミュージシャンがそれぞれやっているという現状が分かるだけです。

「ジャズオーディオ・ディスク大賞」も継続中。
昨年は選考委員から外れた寺島靖国さんが復帰しています。寺島さんはレコード・プロデューサーだからということで身を引いたそうですが、多くのジャズオーディオ・ファンから選考委員継続を望む声があったそうで、自己のプロデュースアルバムを選考対象外とすれば問題ないだろうということで、復帰と相成ったようです。私もそれで良いのではないかと思います。

皆様是非お読み下さい!

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更にこんなものもゲットしてみました。

ヤフオクは一期一会なので出た時に落としておかないと後悔することになります。でついついやっちゃいました。今回もカートリッジほしさにレコードプレーヤーごと\1,200で落札。その後ヘッドシェルが\1,200で売れたので送料だけでこれがゲットできたことになります。ほしかったのはオーディオテクニカのAT-150Ea。でも届いてみるとAT150Tiでした! レコードプレーヤーは使えるシロモノではなくガレキ行き決定。

ヤフオクの商品説明と写真から針はダメそうだったのですがやっぱりダメ。オーディオテクニカの古いヘッドシェルに付いていました。この前入手したAT120Eaの針ATN120Eaを挿してカートリッジ本体に異常がないかを確認。

P197

この針でも結構良い感じで鳴ります。AT120Eaにくらべて本体がしっかりできています。ベース部分がアルミ合金製なので重量が重たいですし見た目も高級感があります。

P198

ネットで検索すると、AT150Tiはチタンテーパードカンチレバーを採用したスペシャルモデルとのことでした。今回入手したものは針がダメなのでこの機種のスペシャルな部分は体験できません。この機種の説明や仕様などを見ると、どうやら本体は現行品AT150MLXと同等品のようです。ネット上には針をATN150MLXにすればAT150MLXと同じ音になるという記述もありました。

これはラッキーです。今回入手したAT150Tiに新品の交換針ATN150MLXを付ければ、2万円台後半で実売されているAT150MLXの新品を入手したのと同じことになります。交換針は最安1万4千円くらいなのでだいぶ安くて済みます。

取り敢えずATN120Eaを付けた状態でいつもの比較試聴をしてみました。オルトフォンのヘッドシェルに真鍮ネジで取付けて、シェルリード線はPCOCCです。2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。比較の相手はこのところの私のリファレンスZ-1S。

左 : ビクターZ-1S(針:JICO現行丸針DT-Z1S)
右 : オーディオテクニカAT150Ti(針:ATN120Ea)

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Z-1Sに比べて出力はやはり低いです。ただAT120Eaにあったような中音の張り不足やソフトな感じはしません。中音もしっかり出て高音がきれいに良く伸びてバランスからすると低音が控えめです。低音が控えめなのでAT120Eaにあった低音の緩みはあまり感じられません。高音優勢のオーディオテクニカトーンだと思います。でも嫌味はなくてなかなか上質な音。ベース部分などの高剛性やPCOCCコイルが効いているように思います。

これは現行針ATN150MLXを付けて聴いてみたくなりました。オーディオテクニカ現行VM型の中では今や最上位機種。廉価カートリッジばかりではなく、上位機種を一つくらい持っていても悪くはないでしょう。

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映画のサウンドトラックのようなアルバム

昨年出たアルバムのフォローです。米国の公共ラジオ局NPRのNPR Musicが発表した「ジャズ評論家の投票による2013年のフェイバリット・アルバム TOP50」の9位にランクされていました。先月やっとAmazonにUPされたので早速入手。

P196ダーシー・ジェームズ・アーグ?ズ・シークレット・ソサイエティ『ブルックリン・バビロン』(2012年rec. NEW AMSTERDAM RECORDES)です。メンバーは、ダーシー・ジェームズ・アーグ(compaser,conductor,ringleader)他です。
メンバーの詳細は記事の下の方に記載しました。

ダーシー・ジェームズって以前耳にした名前であることに気付きました。昨年1月の 「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会」  が始まる前にかかっていたのがこの人のアルバムだったのです。益子さんはこの手の情報に詳しいですからね。とっくの昔にこの人に注目していました。さすが!

聴いてみて映画のサウンドトラックみたいなアルバムだと思いました。数分の曲が次々と現れては消え、シーンが移り変わって行くような雰囲気を持っていたからです。で、ジャケットの中を読んでみると、Danijel Zezeljのストーリー、アニメ、ライブペインティングに合わせて演奏する曲だと分かりました。

YouTubeにはそのパフォーマンスの予告編がUPされています。ダーシー・ジェームズは作曲、指揮、リングリーダーとなっていますが、この映像を見ると”リングリーダー”の意味が分かります。

緻密なオーケストレーションと表情豊かなサウンドは、現代的なビッグバンドジャズの典型でしょう。腕達者な人達が揃っているようですから、ソロもきちんと聴かせてくれます。ジャズ評論家が上位に挙げている理由も分かります。

YouTubeにライブ映像がいくつかUPされていますから是非見て下さい。

ビッグバンドをあまり聴かない私ですが、たまにはこういうのも良いでしょう。

アルバム名:『Brooklyn Babylon』
メンバー:
Darcy James Argue's Secret Society:
Erica von Kleist(piccolo, flute, alto flute, soprano sax, alto sax, electronics)
Rob Wilkerson(flute, clarinet, soprano sax, alto sax)
Sam Sadigursky(clarinet, tenor sax)
John Ellis clarinet(bass clarinet, tenor sax)
Josh Sinton clarinet(bass clarinet, contrabass clarinet, baritone sax)
Seneca Black(trumpet, fluegelhorn)
Tom Goehring(trumpet, fluegelhorn)
Matt Holman(trumpet, fluegelhorn)
Nadje Noordhuis(trumpet, fluegelhorn)
Ingrid Jensen(trumpet, fluegelhorn, electronics)
Mike Fahie(euphonium, trombone)
Ryan Keberle(trombone)
James Hirschfeld(trombone, tuba)
Jennifer Wharton(bass trombone, tuba)
Sebastian Noelle(acoustic & electric guitar)
Gordon Webster(acoustic & electric piano, melodica)
Matt Clohesy(contrabass & electric bass)
Jon Wikan(drum set, tapan, surdo, cajón, shaker, tambourine, misc. percussion)
Darcy James Argue(composer, conductor, ringleader)

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果てしなき廉価MM型カートリッジ探究

まだまだ続きます。廉価MM型カートリッジ探究。

まずはオーディオテクニカのAT-E50/M、前の記事のレコードプレーヤーPL-380に付いていました。以前登場したAT-E30の一つ上の機種です。かなり前に製造中止。現行品の交換針はないので針が消耗すればそれでおしまい。

P193

本体メッキ部やマグネシウムヘッドシェルには腐食が多く、掃除してもこれ以上きれいになりませんでした。これはオーディオテクニカ・トーンと言うのでしょうか。高音が勝った音です。表現力については他のこのクラスの廉価MM型カートリッジと大差なし。私はこういう音があまり好みではないでので、処分品リストへ直行(笑)! かなりモダンなデザインもどうやら好みではありません。

同じくオーディオテクニカのAT120Eaも入手してみました。このシリーズの音が聴いてみたかったのです。本当はAT150Eaが聴きたいんですがヤフオク相場が高いのでこれでお茶を濁してみました(笑)。比較的新しい機種ですが既に製造中止になっています。交換針も入手不可。

P194

AT-100シリーズの最下位機種です。交換針はそれほど高くないのに、無垢ダイアモンド角柱の楕円針です。カンチレバーはアルミストレートパイプ。AT15Ea用のマグネシウム製ヘッドシェルに取付けてみました。シェルリード線は恒例のPCOCC。

いつもの比較試聴に行ってみましょう。2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。比較の相手はこのところの私のリファレンスZ-1S。

左 : ビクターZ-1S(針:JICO現行丸針DT-Z1S)
右 : オーディオテクニカAT120Ea(針:純正品)

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出力レベルはAT120Eaの方がかなり小さいです。この2機種は質感が異なりますね。AT120EaにはZ-1Sのような中音の張りがありません。高音はきれいで良く出ています。低音も厚みがあるのですがちょっとブヨブヨの弾力系。以前使っていたMC型のAT33LTDも同傾向の低音で、この手の低音は私の好みではありません。高低音に比べて中音が引っ込み加減で全体的にはソフトな音だと思います。これも私にとってはマイナス要因。

これはクラシックに向いているような気がします。女性ボーカルにも良さそうです。松田聖子はサ行が耳触り良く、細かいニュアンスが出ます。でもジャズを聴く音ではありませんね。特に古いジャズには向かないです。なるほどね~。現代的な聴きやすい音で価格からしたら上質の音だと思いました。

とりあえず傾向が違う音なので持っていましょうか? でもこれは私のようなジャズ聴きにとっては中途半端な音ですね。結局処分リストか(笑)。

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サブのレコードプレーヤーを交換することにしました。

先日の雪は凄かったですね。甲府の積雪量は観測開始以来最大の114cm! 土曜の朝まだ雪が降る中、雪かきのために外に出た時には笑うしかありませんでした。先程やっと中央道が開通したとか。これで県内に物が入ってくるようになるでしょう。一安心。

さて、昨日は幹線道路の除雪のため車での外出は控えてほしいとの防災無線が入り、しょうがないので家にこもってレコードプレーヤーのメンテナンスをしていました。このプレーヤーはカートリッジなどを欲しさに落札したもの。いつものように捨てようと思ってしまってあったのですが、そこそこ動作しているので復活させることにしました。

パイオニアのフルオートプレーヤーPL-380です。お決まりのジャンク品で、「33/45とも回転動作しません。POWERスイッチが入ったままでOFFできません。他のボタンは反応しません。」というものでした。動作確認したところ、ターンテーブルの回転は正常でトーンアームが動かないだけでした。

要はトーンアームにリミットスイッチが付いているので、トーンアームを動かさなければターンテーブルが回転しないのです。トーンアームを手で動かせばターンテーブルは回転します。この機種はトーンアーム駆動用の専用モーターを搭載しているので、トーンアーム駆動ベルトが緩んでいるだけだろうと判断。で、メンテナンスすることに。

ターンテーブル下の蓋をあけるとこんな感じです。

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この機種は懸架式なので下部ボード(鉄板プレス成型で重量と強度あり)にモーターとトーンアームが取り付けられていて、このボードを4本足で懸架しています。このモーターとトーンアームを一体化した構造はメカニカルショートサーキットとも言えると思います。とにかくタバコのヤニと埃がひどくご覧のとおり。懸架用バネを覆うダンピング用のゴムカップはボロボロ。面倒なのでこのゴムカップは除去。

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上部パネル(アルミダイキャスト)には基板1枚とスイッチとトランスが取り付けられています。かなりIC化されているので部品数は少ないです。半田は問題なさそうなのでそのまま。スイッチメカ部の動きが悪く、押すと出て来なくなってしまうのでCRCで動きやすくしました。

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トーンアームはアルミダイキャストの堅牢なベースに取付けられています。ご覧のとおりのヤニ汚れ(涙)。マジックリンと水と無水エタノールで一生懸命掃除。全て金属製のかなりしっかりした作りのトーンアームで高さ調整もできます。トーンアームにはがたつきなし。このトーンアーム部を見て、このプレーヤーを使ってみる気にさせられました。

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裏返すとトーンアーム駆動メカがあります。ここにあるモータでトーンアームとアームリフターを駆動します。黒いゴムベルトが1本だけ、これが緩んでいたので交換します。

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トーンアームの位置検出は小型電球とcdsを組み合わせた光学式です。なので小型電球が切れてしまうと、トーンアームを動かすことでターンテーブルが回転するようになるリミット(制限)スイッチ機能が働かず、ターンテーブルが回転しないという故障になるはずです。ジャンク品入手時には注意したほうが良いと思います。小型電球の入手は難しいでしょうから。

手持ちの輪ゴムで代用。輪ゴムは応急処置に過ぎないので、いずれ千石電商で売っているゴムベルトに交換する予定。ギアの部分にミシン油を軽くさしておきました。ここもヤニ汚れがひどいのですが複雑な機構なので掃除はしませんでした。

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下部ボードを掃除。ここまできれいにするのに一苦労。

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モーターはパイオニア自慢のSHローター方式になる以前のもの。アルミダイキャストの堅牢なベースの上にモーターを組んであります。その後主流になるコアレスモーターのような華奢な構造ではないのがこの頃のモーターの良さです。ローターを抜き取ってホームセンターで売っているミシン油をさしておきました。安直なメンテナンス(笑)。

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でこの上に蓋(ダンプ材デッドニング鉄板)をします。蓋は上部プレートに固定するのでモーター軸だけが懸架されて浮いています。上部プレートも必死に掃除しましたのでまあまあ見られる状態になりました。

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出力コードのプラグもヤニ汚れでベトベトだったので掃除ではなく交換。アース線に圧着端子を付けました。

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ということでメンテナンスは終了。ほとんどが掃除に費やされました。このくらいきれいになれば良しとしましょう。フルオートなのでボタンひとつでトーンアームが移動して再生開始。演奏が終了すればトーンアームはアームレストに戻ってターンテーブルは回転停止。便利です。アームレストのアーム固定爪が折れているのが難点。なお脚の高さを調整して本体を水平にする機能がありませんので、脚の下にスペーサーを入れるなどして調整する必要があります。

P192
比較的コンパクトなサイズですが、キャビネットにプラスチックを使っていないので重量は実測10kgあります。同じ重量の木製キャビネットよりは剛性が高いでしょう。基本性能に関して手抜きをしていないと思います。今の私はこれで十分満足できる音です。

現在使用中のトーンアームのぐらつきが気になっていたPL-30に替えてこいつをサブのレコードプレーヤーにすることにしました。送料含めて3090円也。その後、付属していたカートリッジAT-E50/Mはこれより高く売れたので、実質0円というか儲けました(笑)!

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これはフュージョンでしょうね。

パット・メセニー・ユニティ・バンド/グループに参加してアーティスティックなベースを弾くベン・ウィリアムスが気になっているので、今更なのですが彼のファースト・アルバムを聴いておくことにしました。

P181ベン・ウィリアムス『ステイト・オブ・アート』(2010年rec. CONCORD JAZZ)です。メンバーは、ベン・ウィリアムス(b,el-b)、ジャリール・ショウ(as,ss)、マーカス・ストリックランド(ts,ss)、マシュー・スティーヴンス(g)、ジェラルド・クレイトン(p,fender rhodes)、ジャミル・ウィリアムス(ds)、エシーネ・チャールズ(per)、スペシャル・ゲスト:ジョン・ロビンソン(mc,vo)、クリスチャン・スコット(tp)、ストリングス・カルテットです。これはやはりフュージョンと呼ぶべきでしょうね。私にとっては懐かしい80年代フュージョンの雰囲気。コンコード・レーベルがやっているスムース・ジャズ系のアルバムという位置づけになるのだろうと思います。

ベン・ウィリアムスのオリジナル5曲の他、色々な人の曲をやって全11曲。ベン・ウィリアムスの曲はとても聴きやすいメロディックな曲。80年代フュージョンの雰囲気と書きましたが、ラスト以外はアコースティック・ベースを弾いているので、クラブジャズやヒップホップのジャズ的グルーヴを経た今時の感覚が入っています。しかし曲調やアレンジは80年代フュージョンを継承しているように思われます。

80年代に入ってジャズを聴き始めた私は、この手のどちらかと言えば軟派フュージョンを好んで聴く一方で、硬派で難解なものとしてのジャズを聴いてこそ、ジャズが分かるということなのだという意識が強くありました。そうさせるような雰囲気が世間に色濃く残っていたということもあります。なのでこの手のフュージョンをジャズだというような今時の風潮には少なからず反感があります。それでその反感を失わないことが、私にとってジャズを守ることだと思っています(笑)。

今黒人音楽としてのジャズが、一部でフュージョン化しているというのは興味深いことです。ただ今や黒人音楽としてのジャズはジャズ全体からすれば範囲は限定的であり、これを持ってジャズ全体を語ることはできないはずです。せいぜい今のジャズにはそういう部分もあるということに過ぎないと思います。そして今後もしこれがジャズの主流(メイン・ストリーム)になるのなら、その時は本当にジャズが死ぬ時だと思います。私はそうならないことを祈っています。

このアルバムを聴き、《リトル・スージ》のストリングスを交えたアレンジにウィリアムスの音楽性を見て、メセニー・グループに招かれた理由が分かりました。この《リトル・スージー》はマイケル・ジャクソンの曲だったんですね。私はメロディーの一部が《サンライズ・サンセット》に似ていることが気になってしょうがありませんでした。ネット検索をするとそのあたりについて考察したものがありました。で、マイケルの《リトル・スージー》をYouTubeで見て、この人の中にあった異様な何かを感じました。常人にはない天才ならではの異様な何か。そしてやはり本家マイケルの歌のほうが音楽的強度があるのでした。

スティーヴィー・ワンダーの《パートタイム・ラヴァー》もやっています。この曲は日本でもヒット。TDKカセットのCMソング(CMには本人出演)でした。私はこの曲が好きでした。この曲が入ったアルバム(CDだったような?)は、友達の下宿に集まって実験レポートなどを作成する際に、B.G.M.としてよく聴いた記憶があります。当時流行っていたマドンナやシンディ・ローパーも同じようにB.G.M.としてよく聴きました。懐かしい思い出です。ウィリアムスがこの曲を取り上げているところに私は親近感を感じます。

《ザ・リー・モーガン・ストーリー》は、ジャズ喫茶「いーぐる」で数年前にやった中山康樹さんの「ジャズ・ヒップホップ学習会」でかけた曲(本家の方を)です。ヒップホップ側のジャズへの接近/憧れ/継承というような文脈の中でかけたと思います。そこでラップしているジョン・ロビンソンをゲストに招き、ここでもヒップホップ演奏になっているのですが、やはりというかフュージョンになってしまっているような気がします。エレピがね~っ、フュージョンしているのです。ロバート・グラスパーにも同じようなものを感じます。まあ元曲のヒップホップについても私はあまり魅力を感じません。もっとカッコいいヒップホップはいくらでもあります。

ショウ、ストリックランド、クレイトンのソロはなかなか聴かせてくれます。良いと思いますよ。でもやはりフュージョン。しつこい(笑)。ここはひとつ、メセニー・グループでウィリアムスには「ジャズとは何か?」をしっかり継承してほしいと願っています。

アルバム名:『STATE OF ART』
メンバー:
Ben Williams(b, el-b)
Jaleel Shaw(as, ss)
Marcus Strickland(ts, ss)
Gerald Clayton(p, fender rhodes)
Jamire Williams(ds)
Etene Charles(per)
Special guests:
John Robinson(emcee/vocals)
Christian Scott(tp)
String Quartet

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アフリカ~カリブ~アメリカに吹く心地良い風

新譜紹介です。面白そうなメンバーでの演奏なので買いました。

P179ジェフ・バラード・トリオ『タイムズ・テイルズ』(2013年、Okeh Records)です。メンバーは、ジェフ・バラード(ds,per)、リオーネル・ルエケ(g,voice)、ミゲル・セノーン(as)です。それぞれのジャズ歴において、これまであまり繋がりがなかったような3人が組んでいるところが興味深いですよね。ネットでさわりを試聴して良さそうなので聴くことにしました。

アフリカ出身のルエケ、プエルトリコ出身のセノーン、アメリカ出身のバラードが組んで奏でるジャズや如何に? アフリカ~カリブ~アメリカと言うと、黒人奴隷がアフリカからアメリカに連れて来られた道のり。そういう歴史的な経緯を経た後に、ジャズという音楽が出来上がっていることを考えれば、この3人の組み合わせの相性が意外と良いのは当然なのかもしれません。

やっている音楽は黒人奴隷にまつわるような暗い過去は全く引きずっていません。ジャケットの絵そのもののような心地良い音楽です。ちなみにこのジャケットの絵はバラード自身が描いたもの。バラードって優しい人柄なんでしょうかね?この絵にはそんな雰囲気が漂っています。タイトルにも書いたとおり、アフリカからカリブを通りアメリカに吹いてくる心地良い風のようなサウンドです。

P180
スリーブ内の写真を見ると、バラードが叩いているドラムセットはアフリカのパーカッションを組み合わせたユニークなもの。アルバム中唯一のジェフ・バラードの曲《ビート・ストリート》では、このドラムを生かしてニューオーリンズのセカンドラインのようなリズムを叩いています。ジャズのビートの起源はやはりアフリカなのかと思えて面白いです。

1曲目はルエケ作《ヴァージン・フォレスト》。ルエケのボイスを軽く交えてアフリカルーツの曲が展開します。相変わらずセノーンのアルト・サックスが抜けが良く爽やかな音で、私はこの音を聴いているだけで大満足。ルエケのギターには引きの美学のようなものを感じ、バラードの小気味良いグルーヴは気分を軽くさせてくれます。3人でやっていてもプアな感じはなく、音楽が溢れてくるのが良いです。

2曲目《ウエスタン・ウレン(ア・バード・コール)》は3人のフリー・インプロビゼーション。サブタイトルどおり鳥のさえずりといった感じになっています。音楽性ある3人の掛け合いが心地良いです。イントロ的な短い曲《フリー1》、ラストの《フリー3》も同様のフリー・インプロ。ビート・レスで演奏されるスタンダード《ザ・マン・アイ・ラブ》はセノーンとルエケのソロが秀逸。ゆったりしなやかに展開されて心に染みます。

6曲目《ハンギン・ツリー》はハードロック・グループのクイーンズ・オブ・ザ・サウンド・エージの曲。これはモロにハードロック演奏。ディストーションを聴かせたルエケの”ギンギン”ギターと、ハードに迫りつつもやっぱり爽やかなセノーンのアルト・サックスがカッコいい。一転して7曲目《ダル(ア・リズム・ソング)》はラテン系の寂しげなバラード曲。セノーンのアルト・サックスが切々と心に響きます。

他はラテン系の《El Reparador De Suenos》、ルエケの《Mivakpola》、共にしなやかな音楽性を聴かせてくれます。全10曲、色々なタイプの曲があり、それでも通して聴くと一貫性が感じられます。爽やかで優しい雰囲気の良いアルバムだと思いました。ジャケットの絵が気に入ったなら、買って損はないでしょう。

アルバム名:『Time's Tales』
メンバー:
Jeff Ballard(ds, per)
Lionel Loueke(g, voice)
Miguel Zenon(as)

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久しぶりにP.M.G.が帰ってきました。

メンバーを一人増やしてユニティ・バンドからユニティ・グループに改名したパット・メセニーの新作。出来栄えや如何に?

P178パット・メセニー・ユニティ・グループ『KIN(←→)』(2014年、NONSUCH)です。メンバーは、パット・メセニー(el-g,ac-g,guitar synth,electronics,syn,orchestrionics)、クリス・ポッター(ts,bass-cl,ss,cl,alto-fl,bass-fl)、アントニオ・サンチェス(ds,cajon)、ベン・ウィリアムス(as-b,el-b)、ジュリオ・カルマッシ(p,tp,tb,french horn,cello,vibes,cl,fl,recorder,as,wurlizer,whistling,vo)です。アルバムタイトルに( )が付くのって、『スティル・ライフ(トーキング)』以来でしょうか?今回の(←→)矢印はどういう意味なのでしょうね(メセニー以前と以後を表しているらしい)。メセニーらしいです。

何でメンバーが一人増えただけで「バンド」から「グループ」に変えたのか謎でした。4人であろうが5人であろうがバンドはバンドなのですから。で、このアルバムを聴いて「グループ」にした理由がやっと分かったのです。私も鈍いですよね(笑)。サウンドはパット・メセニー・グループ(P.M.G.)のものと言って良いものになっていました。ライル・メイズとスティーブ・ロドビー(本作ではアソシエート・プロデューサーを務める)はいないけれど、新生P.M.G.のアルバムと言って良いのではないかと思います。

マルチ・インストゥルメンタリストのカルマッシが加入。もう四半世紀前の話になりますが、ライブ・アンダー・ザ・スカイの番組でP.M.G.を見た時、ペドロ・アズナールがボーカルだけでなくパーカッションやギターをやっていて、なるほどこうすればメンバーを増やさずにライブでスタジオ録音のクオリティを再現できるのかと納得したものです。今回もライブを見据えてのカルマッシの起用と推測。ライブツアー用にメンバーを人選するより、こうやってアルバム製作時から一緒にやっていれば、より高い理解度でグループサウンドをライブで実現できるのでしょう。

クリポタはバンドの時より役割が縮小したように聴こえます。でも決してクリポタは活躍していないわけではありません。やはりこの人でなければやれないソロやアンサンブルを披露していますし、メセニーもそれを生かすアレンジをしています。まあこれはP.M.U.G.のサウンドがバンドの時より広大になっているので、相対的にクリポタの役割が縮小して見えるということなのではないかと思います。

《オン・デイ・ワン》は正にP.M.G.サウンド。メセニー節に変拍子、ドラマチックな展開の長尺曲。こういうのを待っていたメセニー・ファンは多いはず。私がそうです。オーケストリオニクスも交えてP.M.G.サウンドの進化系を披露。最初からメセニーらしい直球勝負ですよね。カルマッシは基本的にはピアノを担当。P.M.G.サウンドにはピアノが必要かつ重要なのだと分かります。で、他の楽器は色んなところに入っていて、数回聴いたくらいではその仕掛けは明らかになりません。クリポタのテナー・サックス・ソロは良い! 最後に向けて盛り上がり、ボーカルが入るくだりで感極まりますよ(笑)。P.M.G.、帰ってきてくれてありがとう!

2曲目《ライズ・アップ》は手拍子も入ってアコースティック・ギターでフラメンコ調のテーマ。こういうのはこれまであまり聴いたことがなかったような気がしますが、メセニーですから何でも様になります。単にフラメンコ調ではなくメセニーならではのフォークの感じもきちんと織り込まれていますね。途中からクリポタのソプラノ・サックスが入って調子が変わり、テーマ部だけでもドラマチック。メセニーの憂いを帯びたギター音とメロディーのソロがいいな~。メセニー節全開。仕掛けに満ちたテーマを挟みクリポタのテナー・サックス・ソロはスケールが大きい。これも最後にボーカルが入って盛り上がりに盛り上って終了。満腹(笑)。

3曲目《アダージャ》は小休止。アコースティック・ギターのみからテナー・サックス他が入りスローでテーマのみを演奏して2分少々。

4曲目《サイン・オブ・ザ・シーズン》はほとんど曲間なく続きます。ミディアム・テンポでメセニーらしい美メロのテーマ。タイトルらしい曲想です。メセニーのギター・ソロ、クリポタのソプラノ・サックス・ソロ、ウィリアムスのベース・ソロ、全て美しいです。単に美しいだけでなく生命力があります。緩急自在でダイナミックなサンチェスのドラム、しっかり大地を踏みしめて奏でられるアートなウィリアムスのベース、この曲に限らず2人はグループのサウンドをしっかり構築しています。

ここまでで時間的に半分強、既にかなりお腹いっぱい状態(笑)。

5曲名はタイトル曲《KIN(←→)》。エレクトロニクスとの共演。打込みビートを大幅に取り入れているのは新機軸だと思います。これが単に打込みビートを垂れ流しにしているのではなく、打込みビートに強弱表情を持たせてあって、これによって非常に想像力が掻き立てられます。こういうところがメセニーの才能。その上でギター・シンセのソロが飛翔します。その後はクリポタのテナー・サックスとカルマッシのチェロの掛け合いが展開。テーマに戻って鯨の鳴き声のような音も入ります。ラストは打ち込みビートをバックにサンチェスのドラム・ソロがダイナミックに躍動して終了。この曲は途中から交響曲のようにも聴こえてくるから不思議です。

6曲目《ボーン》はストリングスシンセが薄く被さるフォーク調バラードのメセニー節のテーマ。メセニーのギター・ソロはいつも通り。クリポタのテナー・サックスが大らかに。これも打ち込みのさりげない使い方がセンス良いんです。

7曲目《ジーニオロジー》はテーマ演奏だけの短いフリー・ジャズ。メセニーってこういう部分も持っているんですよね。カルマッシがトランペットを吹いています。

8曲目《ウィー・ゴー・オン》はフュージョン! 打込みも軽く入って、これはアルバム『ウィー・リヴ・ヒア』でやっていたようなメセニー流R&B演奏。ウィリアムスはエレクトリック・ベースを弾いています。このアルバム中一番好きな曲(メロディー)かも。メローなアーバン・ミュージック。私はこういうのが凄く好きです(笑)。これはギター・ソロがなくて、クリポタのテナー・サックス・ソロのみ。このソロを聴くと、クリポタにも流れているマイケル・ブレッカーの血のようなものを感じますね。メセニーがクリポタに惚れた気持ちが分かる気がします。

ラスト《キュー》はフォーク調のバラード。テーマ部のメセニーとクリポタの合奏が非常に2人に合っていると感じます。マイケル・ブレッカー亡き後、メセニーはクリポタと出会うべくして出会ったのではないかという気がしてきます。こちらはメセニーのギター・ソロだけで、ここまでの熱気を冷ましつつゆったりエンド。

メセニーが持っているものを惜しみなく注ぎ込んだ新生P.M.G.のアルバム。私はかなり気に入りました。「やっぱメセニーは凄いな。」と思います。昨年はチック・コリアが新生エレクトリック・バンドと呼べるようなバンドでアルバムを出し、まだまだやってくれると感じさせてくれましたが、今度はメセニーがやってくれました。

このアルバムはハイレゾでもう配信されているんですね。
やっぱハイレゾを聴かなきゃまずいかな?
配信サイトe-onkyoミュージックのメセニーインタビュー記事は下記。
http://www.e-onkyo.com/news/59/

アルバム名:『KIN(←→)』
メンバー:
Pat Metheny(el-g, ac-g, guitar synth, electronics, syn, orchestrionics)
Chris Potter(ts, bass-cl, ss, cl, alto-fl, bass-fl)
Antonio Sanchez(ds, cajon)
Ben Williams(as-b, el-b)
Giulio Carmassi(p, tp, tb, french horn, cello, vibes, cl, fl, recorder, as, wurlizer, whistling, vo)

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やっぱり針がダメでした。がっかり。

デノンのカートリッジDL-108用の針DSN-40を、カートリッジDN-8に挿して聴けるようにしてみました。昨日書いたようにスリーブの角度が異なったため、カートリッジ本体を前傾させています。ヘッドシェルに隠れた部分にアルミ板片を挟んであります。

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前傾姿勢によりカートリッジの高さがかなり高くなるので、トーンアームの高さ調整が必要です。何も言わなければ元々こういうカートリッジのように見えます。

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やはり楕円針の効果で高音がきめ細やか。明るく爽やかな良い音ですね。大成功!といきたかったのですが・・・。しばらく聴いていると右チャンネルだけ音が歪だらけになってしまいます。一旦歪むとそのまま。これはもう針のせいだと断定せざるを得ません。前にこの針を他のカートリッジに無理して挿して少し試聴した時は、歪まなかったので本体の方がダメだと思ったのです。もう少し長く聴いてから判断すべきでした。

この針、ヤフオク出品業者を通してJICOの新品を買ったのです。少し安くなりますから。ちなみに以前この出品者から買った2個の針は問題ありませんでした。落札してから発注とのことで、届くまでに時間がかかりました。しかし届いた針はケースを囲むテープが固着しつつあり、在庫品であろうことが予想できました。(jamjamさんからコメントをいただき、製造年月日を確認したところ、針は新しく製造されたものでした。) ただ入手して間もなくは問題なく、LP数枚を聴いた時からおかしくなりました。途中でヘッドシェルを交換したりしているので、針を傷つけてしまったのかも? でもそのような記憶はないのです。

聴き始めてしばらくしてから音が歪むという現象が謎です。片チャンネルだけ歪むというのも腑に落ちません。でも結果は結果ですから針がN.G.なのでしょう。この針、結構高いのに(涙)。結局DL-108には振り回されっぱなしです。デノンのMM型カートリッジが嫌いになりました(笑)。デノンカートリッジをこれ以上深追いするのはやめたいと思います。ご縁が無かったということで。DL-8もそのうち処分でしょうね。そこそこ良いけれど特に魅力的な音がするわけではありませんので。

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カートリッジを入手できたのですが・・・。

デノンのカートリッジDL-108用針DSN-40を挿せるカートリッジを入手するために、ヤフオクでDL-8を落札しました。なぜこのカートリッジなのかと言えば、DL-108よりヤフオク相場が安いからです。DSN-40が挿せるはずでした。が、しかし・・・。

DL-8はこちらです。ヘッドシェルに実装されて針も付いていました。針は純正品ではなくて、どうやらJICO製のようです。元々あまり汚れていませんでしたが、一応掃除し直しました。

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早速DSN-40を挿してみました。ノブは大き過ぎたので少しカットしていあります。挿すことはできたのですが・・・、ご覧のような具合。

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DSN-40のスリーブの角度がDL-8とは異なっていたのです。結果針が後ろに傾く結果に。ヴァーチカルアングルが無茶無茶になります。ノブの部分はレコードに擦れるギリギリのところです。これでも音は出るのですが、この角度だと以前紹介したマリーンの『イッツ・マジック』、ボブ・ジェームス&アール・クルーの『ワン・オン・ワン』の例の部分がトレースできないと思います。

(注)逆にDL-8の針をDL-108に挿すのもダメでしょうね。ヴァーチカルアングルが狂いスタイラスチップが反対に傾いてしまいます。つまり、DL-108とDL-8(A)に針の互換性はないということです。ヤフオクで互換性ありとして出品している方もいますがいい加減なものです。まあ売る方は単に売れればそれでいいのでしょう。

対策はあります。カートリッジとヘッドシェルの間の前方に枕をかまして、カートリッジ本体を前傾させれば良いのです。このくらいの角度なら1mm厚アルミ板を切ったものを挟めば良さそうです。それは今後やるとして、まずはDL-8の音質を確認することにしました。いつもの比較試聴です。2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。

左 : ビクターZ-1S(針:JICO現行丸針DT-Z1S)
右 : DENON DL-8(針:JICO丸針DSN-37?)

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この2台は異母兄弟みたいなものです。GLANZ(グランツ)と各メーカーの共同開発品らいしいからです。Z-1Sは父がグランツで母がビクター、DL-8は父がグランツで母がデノンといった感じでしょうか。

音はかなり似ています。帯域バランスが良くて明るくて素直な音。針が両者JICOだということもあるのでしょうね。出力レベルはほんの少しDL-8の方が小さいです。音量を合わせての比較でZ-1Sの方がほんの少し華やか。DL-8が少し大人し目なのは、針が使い込まれているからか? カートリッジとヘッドシェルの間にゴムシートが挟まっているからか? シェルリード線が極普通のものだからか? まあ大した違いはありません。DL-8も良いカートリッジだと思います。

両者レコードプレーヤーに付属していた廉価カートリッジですが、オーディオが隆盛期に突入した頃の物はそこそこ良い音を聴かせてくれますね。まあでもこのクラス(接合ダイヤにアルミパイプカンチレバー)はどれでも大体同じ。なので特にZ-1Sが良いとか、DL-8が良いとかということにはなりません。

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時々黒いジャズが聴きたくなります。

私が聴く最近のジャズは基本的に白いので、そういうものばかり聴いていると時々無性に黒いジャズが聴きたくなってしまいます。そんな時は昔のジャズを聴けば良いのですが、たまには新譜も聴いてみたくなります。そんな理由でこれ。新譜紹介。

P172カヒル・エルザバーズ・リチュアル・トリオ『フォロー・ザ・サン』(2013年rec. Delmark Records)です。メンバーは、カヒル・エルザバー(ds,kalimba,earth drum,vo)、アリ・ブラウン(ts,p)、ジュニウス・ポール(b)、スペシャル・ゲスト:ドゥワイト・トリブル(vo)、デューク・ペイン(ts,bagpipes) です。シカゴAACMのメンバーであるエルザバーの黒くてスピリチュアルなジャズが詰まっています。黒さは黒さでもアフリカンな匂いが濃厚。

カヒル・エルザバー参加のアルバムでは、かなり前に紹介したこれらもかなり気に入っています。
これは黒いです。そしてシカゴは熱いのだ!
今日はアフロ・アメリカンな1枚。

9曲中6曲にボーカルが入って黒さを放っています。特に難しいことをやっているわけではないですし、新しいことをやっているわけでもありません。黒いグルーヴに乗って時にスピリチュアルな雰囲気を醸しながら、ひたすら熱いジャズを繰り広げています。アフリカの広大な大地を感じさせるような曲もあります。とにかく素朴でアーシーで力強いサウンドが魅力。同じ黒さでもロバート・グラスパーの洗練されて都会的なものとは対極にあるようなサウンドです。

全9曲中5曲がエルザバーの曲で他はスタンダードとジャズマン・オリジナル。《朝日のようにさわやかに》や《ボディ・アンド・ソウル》などがゆったり濃厚にスピリチュアル・ジャズと化しています。エルザバーの曲の中に入っていることで、これらの曲が意外と洗練された都会的なメロディーを持っていたのだと気付かされたりして面白いです。

私としては、カリンバを弾いているゆったりした曲や、アフリカン・ドラムがズンドコ・ズンドコとグルーヴしている曲が気に入っています。アフリカン・ドラムのビートって、自然に体を揺らしたくなるような気分にさせられます。でもそれがこのドラムの本来持っている機能なのでしょうね。低音を生かして大らかに咆哮するテナー・サックス・ソロに身を任せるもの心地良いです。

最後の曲だけはライブ録音で、手拍子も聴こえてくる会場の和やかで親密な雰囲気はとても良い感じです。シカゴという街に息づく黒人ジャズを垣間見ることができます。こういうジャズを紹介し続けるデルマーク・レーベル、良いレーベルだと思います。

アルバム名:『FOLLOWS THE SUN』
メンバー:
Kahil El'Zabal(ds, kalimba, earth drum, vo 3,5)
Ari Brown(ts, p)
Junius Paul(b)
スペシャル・ゲスト
Dwight Trible(vo 1,3,4,7,9)
Duke Payne(ts, bagpipes)

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