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フュージョンだな~と思いました。

去年出たアルバムのフォロー。やっぱり聴いておくことにしました。

P171_2ロバート・グラスパー・イクスペリメント『ブラック・レディオ2』(2013年、BLUE NOTE)です。メンバーは、ロバート・グラスパー(p,rhodes,syn)、ケイシー・ベンジャミン(vocoder,sax,fl,syn)、デリック・ホッジ(b)、マーク・コレンバーグ(ds,per)、ゲスト:ジャヒ・サンダンス(turntables)2曲、マイケル・エリック・ダイソン(vo)2曲、ジョン・P.キー(vo)1曲、ウェイン・ブラディ(vo)1曲、ビル・ウィザーズ(vo)1曲、他フィーチャリングボーカリスト多数です。前作『ブラック・レディオ』の2作目で同様の路線。豪華ボーカル(ラッパー)陣をフィーチャしてイクスペリメントが伴奏するというもの(笑)。

最初に聴いた時、これはフュージョンだと思いました。先週ジャズ喫茶「いーぐる」で後藤雅洋さん、中山康樹さん、村井康司さんが鼎談しました(私は行きませんでした)。その席でこのアルバムが話題になり、中山さんがフュージョンとおっしゃったそうで、私も同感だと思いました。これはジャズというジャンルの中で話をした場合。一般的なジャンル分けならば、前アルバム紹介の時にも書いたブラコン(ブラック・コンテンポラリー)だろうと思います。まあ今はそういうのも含めてR&B(リズム&ブルース)と言うそうなので、グラミー賞での受賞区分そのものだろうと思います。

音楽をジャンル分けすることに意味はないという意見があることは承知しています。でも私はジャンルが違えば楽しみ方が違うので、ジャンル分けすることに一定の意味があります。というわけで私はこれをフュージョンとして楽しんでます。このフュージョンとジャズの区分、最近の若い方は分からないようなので、分かりやすいだろうと思う言い方に変えれば、私はジャミロクワイ(好きなグループ)を聴くのと同感覚で楽しんでいます。ジャミロクワイはアシッド・ジャズですよね。アシッド・ジャズがジャズだと勘違いしている人にはやっぱり分からないか?(笑)

やって来た路線を更に洗練させて上質にした仕上がり。故にどうしてもつきまとう安定性ゆえの退屈さ。私なんかは基本的に刺激を求めて音楽を聴くようなところがあるので、この手の刺激の無さにはちょっぴり不満。私の場合、ジャズを聴いて何が楽しいのかと言えば、新しい刺激なのだろうと思っています。他には”分からなさ”かな、分からないからこそ「よし、もっと聴きこんでみよう。」となるのです。で、聴きこんで分かれば面白い。ところがこのアルバムは聴けば分かっちゃうでしょ(笑)。こっちから音楽に詰め寄らなくても、音楽からこっちに猫なで声ですり寄ってきます。そこがフュージョンなんですよね。フュージョンとジャズの違いの一つであり、私にとっては重要なポイント。

メローな楽曲が次から次へと流れていき、聴き進むうちに気分は温泉に浸かっているような心地良さへ。都会の夜が似合うアーバン・ミュージック。ヒップホップ系のラッパーとかをたくさんフィーチャしているので、ヒップホップとの融合と言われますが、私に言わせるとそれほどヒップホップでもないような気がします。ノラ・ジョーンズがフィーチャされるトラックだけドラムンベースになっているのが気になります。でもこれがアルバム中一番ジャズだったりして(笑)。まあそれはノラ・ジョーンズがジャスの人だからですね。他の曲は全てグラスパーが作っているのに、なぜラストはビル・ウィザーズ作のモロにフュージョンなのか?これも気になります。私はこの80年代フュージョン調のセツネ~メロディーにやられました。私の好きな胸キュンメロディーのドツボです(笑)。

ライナーノーツに「プログラミングは使っていなくて全てライブ演奏してます。」というただし書きがついています。私なんかは聴けばそのくらいのことは分かります。でもわざわざそんなことを書かなければならないくらい、プログラミング(打ち込み)に毒されてしまったリスナーに向けた音楽だということなのでしょう。この手のリスナーには「ライブ演奏(生演奏)しているからジャズだ。」というようにさえ受け取れるような意見があって、私はそれを聞いて頭がクラクラします(笑)。ジャズに対する誤解(だと私は思う)が、ここに来て極まっていると思える今日この頃。にしてもコレンバーグにほとんどの曲で単調なリズムを叩かせているので、コレンバーグの良さが出ていないように思うのは私だけ? まあボーカルの伴奏なので仕方ないか。

色々言いたくなるのですがこのくらいでやめておきます。このアルバム、ジャズとフュージョンの両刀使いな私は楽しく聴いています。フュージョンとして。しつこい!(笑)

最後に、このアルバムが気に入ったからと言って、ジャズファンになるとは思えませんし、ヒップホップファンになるとも思えません。せいぜいスムースジャズどまりでしょう。

アルバム名:『BLACK RADIO2』
メンバー:
Robert Glasper(p, rhodes, syn)
Casy Benjamin(vocoder, sax, fl, syn)
Derrick Hodge(b)
Mark Colenburg(ds, per)

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コメント

いーぐるの後藤です。ご無沙汰です。とりあえず、本年もよろしく。グラスパーについて、非常に的確なご意見だと思います。まったく同感です。しかし、この「ジョーシキ」が今の世代には伝わらないのですね。音楽の良し悪し、好き嫌いとはまったく別の次元で、一種の「伝承の断絶」が起きているのでしょう。

投稿: 後藤雅洋 | 2014年1月31日 (金) 07時16分

後藤さん

こちらこそご無沙汰です。
そして本年もよろしくお願いします。

こういった意見を言う人が意外といないように思うので、批判があることは覚悟で敢えて書きました。
ジャズファン歴が長い人にはある程度頷けていただけるような感覚なのではないかと思っています。
「ジョーシキ」が常識でなくなりつつある昨今、色々思うところがありますので、意見表明はできるだけやっていきたいと思います。

「伝承の断絶」が起きる理由について思い当る節はクラブジャズです。
クラブジャズというのは、それまでのジャズ観を継承することを拒否(否定)したことがその本質だと思うからです。
継承を拒否しているのですから、伝承の断絶が発生するのは自然なことなのではないかと思います。
なので今の世代の中でクラブジャズの流れを汲む人達には、私達が持っているジャズ観が伝わらなくても当然なのかなと思います。

投稿: いっき | 2014年1月31日 (金) 20時57分

<追伸>
ロバート・グラスパーというのはリトマス試験紙のようなもので、その評価を見ればどちらのジャズ観を持っているのか分かってしまうのではないかという気がします。

投稿: いっき | 2014年1月31日 (金) 21時09分

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