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2014年1月

フュージョンだな~と思いました。

去年出たアルバムのフォロー。やっぱり聴いておくことにしました。

P171_2ロバート・グラスパー・イクスペリメント『ブラック・レディオ2』(2013年、BLUE NOTE)です。メンバーは、ロバート・グラスパー(p,rhodes,syn)、ケイシー・ベンジャミン(vocoder,sax,fl,syn)、デリック・ホッジ(b)、マーク・コレンバーグ(ds,per)、ゲスト:ジャヒ・サンダンス(turntables)2曲、マイケル・エリック・ダイソン(vo)2曲、ジョン・P.キー(vo)1曲、ウェイン・ブラディ(vo)1曲、ビル・ウィザーズ(vo)1曲、他フィーチャリングボーカリスト多数です。前作『ブラック・レディオ』の2作目で同様の路線。豪華ボーカル(ラッパー)陣をフィーチャしてイクスペリメントが伴奏するというもの(笑)。

最初に聴いた時、これはフュージョンだと思いました。先週ジャズ喫茶「いーぐる」で後藤雅洋さん、中山康樹さん、村井康司さんが鼎談しました(私は行きませんでした)。その席でこのアルバムが話題になり、中山さんがフュージョンとおっしゃったそうで、私も同感だと思いました。これはジャズというジャンルの中で話をした場合。一般的なジャンル分けならば、前アルバム紹介の時にも書いたブラコン(ブラック・コンテンポラリー)だろうと思います。まあ今はそういうのも含めてR&B(リズム&ブルース)と言うそうなので、グラミー賞での受賞区分そのものだろうと思います。

音楽をジャンル分けすることに意味はないという意見があることは承知しています。でも私はジャンルが違えば楽しみ方が違うので、ジャンル分けすることに一定の意味があります。というわけで私はこれをフュージョンとして楽しんでます。このフュージョンとジャズの区分、最近の若い方は分からないようなので、分かりやすいだろうと思う言い方に変えれば、私はジャミロクワイ(好きなグループ)を聴くのと同感覚で楽しんでいます。ジャミロクワイはアシッド・ジャズですよね。アシッド・ジャズがジャズだと勘違いしている人にはやっぱり分からないか?(笑)

やって来た路線を更に洗練させて上質にした仕上がり。故にどうしてもつきまとう安定性ゆえの退屈さ。私なんかは基本的に刺激を求めて音楽を聴くようなところがあるので、この手の刺激の無さにはちょっぴり不満。私の場合、ジャズを聴いて何が楽しいのかと言えば、新しい刺激なのだろうと思っています。他には”分からなさ”かな、分からないからこそ「よし、もっと聴きこんでみよう。」となるのです。で、聴きこんで分かれば面白い。ところがこのアルバムは聴けば分かっちゃうでしょ(笑)。こっちから音楽に詰め寄らなくても、音楽からこっちに猫なで声ですり寄ってきます。そこがフュージョンなんですよね。フュージョンとジャズの違いの一つであり、私にとっては重要なポイント。

メローな楽曲が次から次へと流れていき、聴き進むうちに気分は温泉に浸かっているような心地良さへ。都会の夜が似合うアーバン・ミュージック。ヒップホップ系のラッパーとかをたくさんフィーチャしているので、ヒップホップとの融合と言われますが、私に言わせるとそれほどヒップホップでもないような気がします。ノラ・ジョーンズがフィーチャされるトラックだけドラムンベースになっているのが気になります。でもこれがアルバム中一番ジャズだったりして(笑)。まあそれはノラ・ジョーンズがジャスの人だからですね。他の曲は全てグラスパーが作っているのに、なぜラストはビル・ウィザーズ作のモロにフュージョンなのか?これも気になります。私はこの80年代フュージョン調のセツネ~メロディーにやられました。私の好きな胸キュンメロディーのドツボです(笑)。

ライナーノーツに「プログラミングは使っていなくて全てライブ演奏してます。」というただし書きがついています。私なんかは聴けばそのくらいのことは分かります。でもわざわざそんなことを書かなければならないくらい、プログラミング(打ち込み)に毒されてしまったリスナーに向けた音楽だということなのでしょう。この手のリスナーには「ライブ演奏(生演奏)しているからジャズだ。」というようにさえ受け取れるような意見があって、私はそれを聞いて頭がクラクラします(笑)。ジャズに対する誤解(だと私は思う)が、ここに来て極まっていると思える今日この頃。にしてもコレンバーグにほとんどの曲で単調なリズムを叩かせているので、コレンバーグの良さが出ていないように思うのは私だけ? まあボーカルの伴奏なので仕方ないか。

色々言いたくなるのですがこのくらいでやめておきます。このアルバム、ジャズとフュージョンの両刀使いな私は楽しく聴いています。フュージョンとして。しつこい!(笑)

最後に、このアルバムが気に入ったからと言って、ジャズファンになるとは思えませんし、ヒップホップファンになるとも思えません。せいぜいスムースジャズどまりでしょう。

アルバム名:『BLACK RADIO2』
メンバー:
Robert Glasper(p, rhodes, syn)
Casy Benjamin(vocoder, sax, fl, syn)
Derrick Hodge(b)
Mark Colenburg(ds, per)

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カートリッジJM-20の音が更に分かりました。

前の記事で、今回入手したカートリッジJM-20の音質について書きましたが、エージングが進んでもう少し音が分かってきたので追記しておきます。ちなみにこのコロムビアJM-20(針DSN-47)は、AIWAのカートリッジ(針AN-8745)、サンスイSV-44(針SN-44)などと同等品だということが分かりました。どこのメーカーからのOEMなんでしょうね?

針圧を変更したことも少し影響があるかもしれません。このカートリッジはとても軽いので私のトーンアームでは、針圧は最軽量の2gしかかけられなかったのです。なのでヘッドシェルに鉛シートを張り付けて重くし、最重量の2.5gまでかけれられるようにしました。こういうカートリッジは針圧をかけた方がしっかりした音が出ると思うからです。

針圧2.5gでもう1度比較試聴を実施。

左 : ソニーXL-25A(針:ナガオカ楕円針88-205)
右 : コロムビアJM-20(針:大東京宝石丸針DSN-47)

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JM-20の高音が少し控えめなために空間表現が苦手というのは前と変わりません。もう少し表現を変えると微妙なニュアンスが出てくれません。それで今回改めて分かったのはJM-20の中低音の量感が豊かということです。小型のスピーカーで低音が出ないような場合には良いでしょう。更にXL-25Aに比べてJM-20の中高音はザックリした感じです。絹ごし豆腐なXL-25Aに対して木綿豆腐なJM-20という感じです。

JM-20は古い録音のジャズを聴くとなかなか良いです。それは高音が優勢のオリジナル盤などを上手く補うように鳴ってくれることと、中高音のザックリした質感がジャズらしさを演出してくれるからです。一方80年代フュージョンを聴くにはちょっと繊細さを欠きます。エレクトリックギターの色艶感があまり出てくれません。まあそんな感じなのですが、JM-20の屈託なく明るい元気な鳴りっぷりは聴いていて楽しいです。

繊細でHiFi調になるのが高級カートリッジの良さだとすれば、神経質なところがなく大らかに鳴るのが廉価カートリッジの良さだ思います。JM-20はそんな廉価カートリッジの良さを持っています。シュアーのM44Gとかと同じ方向性でしょう。こういうカートリッジも持っていると面白いですよ。

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100円レコードプレーヤーを落札したけれど・・・。

世間ではノロウイルスが流行して大変ですが、私のオーディオ病も一向に治る気配なし(笑)。今度はヤフオクで100円レコードプレーヤーを落札してしまいました。目的はデノンのカートリッジDL-108用針DSN-40を挿せるカートリッジを入手するため。

DL-108については、せっかくJICOの新品現行針を買ったのに音が歪む現象が出て、どうやらそれが本体の不具合だと判明。しょうがないのでDL-108本体はさっさとリサイクルしました。手元には針DSN-40だけが残り、改めてDL-108の本体を入手すれば良いのですが、これがなかなか高値。ならばということで、本体部分は互換性がある格下のDL-8(A)を入手することにしました。ただし針のノブが大きいのでカットしないと挿せないはずです。

ヤフオクに手頃な価格のDL-8(A)はなかなか出て来ません。というわけでいつもの手法。レコードプレーヤーに付属しているものを確保することに。出品説明文には書いてなかったのですが、目的のカートリッジが付いていそうなレコードプレーヤーがありました。コロムビアのSL-51DFF、JICOホームページでDL-8A用の交換針が付いているレコードプレーヤーにSL-5DFFがあったので同じだろうと判断。

しかし、落札したレコードプレーヤーが届いてみると・・・、違うカートリッジが付いているではありませんか! ガッカリです。もう一度JICOのホームページを確認し直してみると、SL-5DFFにはDL-8Aが付いているのですが、SL-51DFF("5"ではなく"51")にはJM-20という安物のカートリッジが付いていたのでした。トホホ。レコードプレーヤー自体もプラスチック筐体で底板は厚紙のようなもの。あまりにちゃちな構造にビックリ!

よく見かけるDENONロゴのヘッドシェルも端子が金メッキではなくクロムメッキの廉価品。ヘッドシェルを売れば元が取れると算段したのは甘かったです。カートリッジは当然のことで針折れ。サビもかなり出ている代物。全然良いとこなしです。しかし私は簡単にはめげません。こんな安物カートリッジがどんな音なのか?聴いてやろうと思ったのです。

ヤフオクには交換針DSN-47がいくつか出ていました。その中で一番安いものをゲット。レコードプレーヤーと針と送料を合計しても2000円いかないので、このくらいで遊べるなら良いと思います。針は大東京宝石の新古未開封品。金属スリーブは無くてダンパーからマグネットが突き出ています。

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カートリッジは手持ちのベスタクスヘッドシェルに取付けて、シェルリード線はいつものPCOCC、このカートリッジにここまでする必要もないと思いますがまあ良いでしょう。

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いつものようにカートリッジ本体は金属磨きで研磨。なんとか見られるようにはなりました。デザイン云々ではない簡素な外観。こんな廉価なカートリッジでもMM型ならではの大らかさで鳴ります。出力レベルも大きく鳴りっぷりはなかなか。変な癖はなく聴きやすい音です。多くを求めなければ音楽は十分に楽しめます。

今回は早々と恒例の比較試聴をやってみました。2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。私にとってはこの方法が一番信頼できます。比較の相手はいつもとちょっと違ってソニーのXL-25A。

左 : ソニーXL-25A(針:ナガオカ楕円針88-205)
右 : コロムビアJM-20(針:大東京宝石丸針DSN-47)

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比較してすぐに分かるのは、JM-20の出力がかなり大きいこと。この大きさはシュアーM44G、グランツMG-2S並。安いカートリッジの場合接続されるフォノイコライザーアンプも廉価でSN比が悪い可能性大なので、出力が大きいのは有利に働きます。両者音質傾向は同じでバランス良好。JM-20は少し高音が控えめなので、XL-25Aに比較して空間表現は苦手。でも微妙な差であって、音楽を気楽に聴きたいならこれで十分な気がします。

チェックレコードのトレースは少し悪いです。でも松田聖子のサ行は意外とざらつかず、高音が少し控えめなところが幸いしているように思います。捨ててしまいたくなるような音ではないですね。まあ私の耳が最近どんどん廉価耳になってしまって、ハードルが低くなっているからかもしれませんが。これはこれで楽しく聴けるのでしばらく聴いてみます。

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80~90年代のJ-POPを懐かしんでみる。

AKB48の《恋するフォーチュンクッキー》は80年代というより70年代のサウンドなのではないかと、年末に書きました。では私がイメージする80年代の(歌謡/J-POP)サウンドはどういうものなのかということで、YouTubeから動画を貼っていきます。今回の映像は全てライブです。重くなりますがご容赦願います。

この曲は私のツボなのでここから行きましょう。谷村有美《2人はいきなり》。メロディー、グルーヴ、アレンジ、全て気に入ってます。

リクエストによる埋め込み無効とのことなので、下記からジャンプして見て下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=4QvFynl7r_Q

このライブ自体は90年代に入っていると思います。80年代になるとこういう野外ライブが盛んでした。バブル前夜~バブル期ならではのこと。よくもまあ人が集まっていますよね。当時は谷村有美くらいでも(失礼)野外にこれだけの人を集められる経済状態だったのです。

バックの演奏から分かるとおりサウンドはフュージョンです。80年代のJ-POPはもうフュージョン一色だったような気がします。80年代前半のテクノもありあますが、それを取り込んだ上でのフュージョン。この間奏に入るサックスソロなんかはモロにフュージョン。リズムが4ビートにチェンジしています。私はこういうチョッパー/スラッピングベースのグルーヴが好きです。

あと当時の音を象徴するのがシンセサイザーの音。そうですYAMAHA DX-7系FM音源シンセの音です。このシンセが出てからあっという間に、シンセはほとんどこれに変わってしまいました。プリセットされている効果音も多用されました。それまでの湿った音とは違う乾いた音が私には凄く新鮮に響いたことを覚えています。今ではこの音が嫌いだと言う人が結構いますが、私は相変わらず好きです。谷村有美の歌は下手ですね。

さて、こういうサウンドの頂点は誰かということになると、私はドリムズ・カム・トゥルーを挙げます。80年代終わりに登場しヒットを飛ばし続けていきます。これはもう90年代サウンドということになると思います。私はこの曲が大好きです。《うれしい!たのしい!大好き!》。91年のライブから。

派手な演出とか大きな舞台セットとかがバブル期のライブを象徴しています。サウンドはフュージョンで、前述の谷村有美と同質のものです。ただしこのサウンドは70年代のアメリカンポップスを参照していると思います。このあたりから洋モノポップスを聴く必要性が薄れてきてしまったのではないかという気がします。ファッションのモチーフはメリー・ポピンズかな? それにしても吉田美和は歌がメチャクチャ上手い。ライブだと歌唱力がモロに分かってしまいます。

次は93年のライブ。バブル崩壊後の縮小感が出ているように思います。平松愛理《素敵なルネッサンス》。この曲のせつねー感じが良いのです。この人は《部屋とYシャツと私》が大ヒットしました。

これもやっぱりフュージョンサウンド。ライブは90年代ですがサウンドは80年代です。ラテンが入っているあたりは80年代フュージョンらしいところか。メンバー紹介の曲は松田聖子の《秘密の花園》??ギター紹介では有名なあの曲のフレーズが。私は打ち込みでないこういうサウンドがやっぱり好きです。歌は上手いかな~。

少し戻ります。90年のライブから今井美樹《雨にキッスの花束を》。この曲も好きです。作曲はKAN。KANもこの時代を象徴する人で、91年には《愛は勝つ》でレコード大賞をとっています。

凄くカワイイですよね。今井美樹。女優ならではの小芝居が入っています。ショルダーキーボードやリリコン(EWI)という時代を象徴する楽器も出てきます。しつこいですがこういうフュージョンサウンドが私は好きなのです。歌は上手いほうです。

その後の90年代J-POPサウンドを象徴するものとしては、打ち込み/ユーロビートということで安室奈美恵。96年のライブです。

このライブは凄いスケールですよね。エイベックスがお金をかけまくったスタジアムライブ。バブル崩壊後にこれですから凄い。エイベックス独り勝ちみたいな1極化時代の幕開けです。私はユーロビート&4つ打ちビートが大嫌い!! こういうJ-POPには興味がなくなってしまいました。やっぱり安室は歌が上手い。

で、更に時代を飛んで、ヒップホップに傾倒する安室の2005年ライブ。これメチャクチャカッコイイです!!初めて見てビックリしました。

ヒップホップのトラックに歌を乗せるニュー・ジャック・スイング。これを聴いてしまうと最早アメリカのポップスをわざわざ聴かなくても良いと思います。あちらのパクリだと言う人が必ずいるでしょうけれど、パクリとして片づけてしまう次元ではないでしょう。安室奈美恵の歌唱力、ダンスパフォーマンス、超一流だと思います。今更思い知りました。J-POP、バカにできないですよね。

更に最近、テクノ歌謡の最先端と言えばこの人達Perfume。これは昨年のカンヌでのパフォーマンス。今流行りのプロジェクトマッピングを使った最新エレクトロニクス演出。

動く対象にプロジェクトマッピングするという、工学系の私にはとても興味深い技術なのです。昨年末にNHKでパフュームライブの最先端演出に関する番組をやったのですが、これも流れました。クリエイターの真鍋大度が技術サポートしているそうです。世の中には才能がある人がいるんですね~。パフュームのダンスパフォーマンスも凄いと思います。残念ながら中田ヤスタカの楽曲についてはあまり魅力を感じないです。パフュームってとても日本的。こういうグループは日本にしかできないと思います。

80~90年代のサウンドを懐かしむはずが、ここまで来てしまいました(笑)。

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私としては腑に落ちたアルバム

昨年末記事に書いた米国の公共ラジオ局NPRのNPR Musicの「ジャズ評論家の投票による2013年のフェイバリット・アルバム TOP50」。その10位にランクインしていたので買いました。この人のリーダー・アルバムは前から聴きたかったので良いきっかけでした。

P167メアリー・ハルヴァーソン・セプテット『イリュージョナリー・シー』(2012年rec. firehouse records)です。メンバーは、ジョナサン・フィンレイソン(tp)、ジョン・イラバゴン(as)、イングリッド・ラウブロック(ts)、ヤコブ・ガーチク?(tb)、メアリー・ハルヴァーソン(g)、ジョン・エイベア(b)、チェス・スミス(ds)です。ハルヴァーソンは女性ギタリストで、この人のリーダー・アルバムを買うのは今回が初めて。この人の演奏自体は、ここにも参加しているイングリッド・ラウブロックのアルバムで聴いています。

ハルヴァーソンは変態的なサウンドを奏でるマニアックなギタリストなので、このアルバムもかなり難解なのかと心配しつつ聴き始めました。ところが奇をてらうようなところは感じられず、ホーン群の柔らかいアンサンブルが心地良く響く聴きやすいものでした。あくまで主役はホーン陣。ハルヴァーソンの変な音も交えての伴奏は、存在感を示しつつも前に出たがるようなものではなく、リーダーとしてグループを見守っていくような感じに聴こえました。変態的なギター・ソロも楽曲の範疇を逸脱するようなものではありません。

全7曲中6曲をハルヴァーソンが作曲。この人の作る曲は時にユーモラスです。独自のメロディーセンス。後述しますが私にはあの人との共通性が感じられました。ラストの《Nairam》だけがフィリップ・カテリーンの曲で、最後に普通の曲が出てきて安心するという塩梅。ホーン陣で一番活躍しているのはトランペットのフィンレイソン。トロンボーンも暖かく厚みのある音で貢献しています。ソロは全員が回すわけではなく、曲によってソリストが使い分けられています。エイベアのベースとスミスのドラムは安定して力強く頼もしい限り。

さて、この記事のタイトル”私としては腑に落ちた”について説明します。どうして腑に落ちたかというと、このグループのサウンドのルーツとなるものが私には見えて来たからです。

ルーツ1 :変拍子と浮遊感ある抽象的なメロディーに計算された演奏ということで、やはりM-BASEでしょう。トランペットのフィンレイソンは先日紹介したスティーヴ・コールマンのアルバムで相方を務めています。ニューヨーク・ダウンタウンのジャズに脈々と流れているM-BASE、それを感ぜずにはいられません。

ルーツ2 :このユーモラスなメロディー感覚と言えば、オーネット・コールマンでしょう。ハルヴァーソンが弾くギターは、時にオーネットのプライム・タイム・バンドで鳴っていたギターのサウンドを思い起こさせます。

ルーツ3 :厚みのあるホーンアンサンブルを聴かせつつ、ソロが有機的に挟まれています。そして計算されているようでいてサウンドは意外と自由な開放感を持っています。この雰囲気は80年代のカーラ・ブレイ・バンドが持っていた雰囲気でしょう。

ルーツ4 :ホーンアンサンブルの淡い色彩感覚。これはギル・エバンス・オーケストラの色彩感覚でしょう。上記のバンドの自由な感じは、80年代のギルのオーケストラにも言えることです。オーケストラの緻密なサウンドの中に、しっかりしたソロが映えたんですよね。

このアルバムを何度か聴くうちに上記4つのルーツが見えて、私には腑に落ちたというわけです。まあ、あくまで私のジャズ体験においてなので、必ずしもこれが正解だと思いません。少々強引と言えば強引です。ただ私としてはこのアルバムが分かってしまったのです。ルーツに照らして、どこを聴いたら面白いのかが分かってしまったのです。それにしても上記4つのルーツって、ジャズを聴き始めて数年くらいの間に、私が面白いと思った当時のジャズなのですから、懐かしさがこみあげてきます。

同じ女性リーダーということで、80年代カーラ・バンドの現代版が、このハルヴァーソン・セプテットなのかもしれません。そして、現代性溢れるこのバンドがジャズの歴史に連なっているということで安堵しました。良いバンドだと思います。

アルバム名:『Illusionary Sea』
メンバー:
Jonathan Finlayson(tp)
Jon Irabagon(as)
Ingrid Laubrock(ts)
Jacob Garchik(tb)
John Hebert(b)
Ches Smith(ds)

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クリポタ買いです。

昨年発売されたジャズアルバムのフォローです。クリス・ポッターが参加しているということで買いました。

P166ジョン・エスクリート『サボタージュ・アンド・セレブレーション』(2012年rec. ESCREET MUSIC)です。メンバーは、ジョン・エスクリート(p, fender rhodes, harpsichord)、デヴィッド・ビニー(as,ss)、クリス・ポッター(ts)、マット・ブリューワー(b)、ジム・ブラック(ds)、付加メンバー:アダム・ロジャース(g)5,7、ストリングス・セクション5名、ブラス・セクション2名です。私の興味はクリポタとビニーとブラック。そう言えばこの人の初リーダー・アルバムを買ったのに、今持っていないということはディスクユニオンに売ってしまったのか? そんな気がしてきました(笑)。

色々な種類のジャズをやって多彩な才能を見せています。全7曲エスクリートが作曲。オープナーは美しいストリングス・アンサンブルだけの演奏で2分少々。曲間なく続けて、少し捻ったメロディーではあるもののフュージョンチックで聴きやすいコンテンポラリーな曲へ。ビニーのアルト、エスクリートのピアノ、クリポタのテナー・ソロが楽しめます。

3曲目はピアノ独奏から静かに入っていきなりホーン群のフリーな咆哮で集団即興。続くピアノ・ソロはベタなフリー・ジャズ。後半は一転して力強いアップテンポのビートに乗って、ピアノ・ソロ、テナー・ソロが展開。前半が曲名の”サポタージュ”で、後半が曲名の”セレブレーション”ということで、イメージ的にはそのままの捻りなし。

4曲目はピアノ・トリオ演奏。前半は静かに空間多めのフリー・ジャズ。後半は強力なビートに乗ってフリー・ジャズ。ブラックらしいドラミングが良いです。5曲目はテーマにロジャースのギターが入ったコンテンポラリーな8ビート曲、エレピ、テナー、アルトのソロが楽しめれば良し。

6曲目は複雑なビート・チェンジがあるコンテンポラリー曲。こういうビートはブラックに叩かせるとツボに嵌ります。ブラック起用の意味がここにあるのです。ピアノ・ソロのあと、アルト・ソロ、テナー・ソロが交互に2回ずつ。ボケッと聴いているとクリポタとビニーのチェンジを聴き逃します。似たような節回しなのです。

ラストはまたテーマだけにギターが入るコンテンポラリー曲。テーマだけにロジャースを起用するなんて贅沢な! 前半はバラード調できれいなピアノ・ソロ、中盤にコーラスが少々入りスペイシーな雰囲気、後半はストリングスが入ってアップ・テンポに。ちょっと手拍子も入ったりして面白いです。ビニーのソプラノ・サックス・ソロ(クリポタに吹かせていないのが捻りか?)で盛り上がります。

エスクリートらしいバラエティーに富んだ作編曲だとは思いますが、ちょっと散漫な感じは否めません。表現手法としても特に新しくはないです。私としてはクリポタのテナーが楽しく聴けて、ブラックのドラミングがカッコ良かったので○。

アルバム名:『SABOTAGE AND CELEBRATION』
メンバー:
John Escreet(p, fender rhodes, harpsichord)
David Binny(as, ss t7)
Chris Potter(ts)
Matt Brewer(b)
Jim Black(ds)
ADDITIONAL PERSONNEL:
Adam Rogers(g) t5,t7
Louis Cole(vo), Genevieve Artadl(vo), Nina Geiger(vo) t7
STRING SECTION:
Fung Chern Hwei(violin)
Annettn Homann(violin)
Hannah Levinson(viola)
Mariel Roberts(cello)
Garth Stevenon(double bass)
BRASS SECTION:
Shane Endsley(tp)
Josh Roseman(tb)

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余分な贅肉を落して原点に帰る?

まず最初にインフォメーション。
ブログタイトルから”日記”を削除しました。
今日からは「”いっき”のJAZZあれこれブログ」です。

昨年末記事に書いた米国の公共ラジオ局NPRのNPR Musicの「ジャズ評論家の投票による2013年のフェイバリット・アルバム TOP50」。その5位にランクインしていたので買いました。その前後にあるECMのクレイグ・テイボーンとティム・バーンは、気になっているのですがどうも今一つ購入意欲が湧きません。で、今日のアルバム紹介。

P165スティーヴ・コールマン&ファイブ・エレメンツ『ファンクショナル・アリズミアス』(2012年rec. PI RECORDES)です。メンバーは、スティーヴ・コールマン(as)、ジョナサン・フィンレイソン(tp)、アンソニー・ティッド(b)、シーン・リックマン(ds)、マイルス・オカザキ(g)2,6,8,10,11です。全14曲中オカザキは5曲のみに参加。ファイブ(5)・エレメンツを名乗りながら実のところほとんどはフォー(4)・エレメンツでの演奏。

タイトルにはコールマンらしく難しい単語が。”アリズミアス”って”不整脈”と訳すらしいです。なのでアルバムタイトルは”関数の不整脈”と訳せば良いのでしょう。不整脈を関数と捉えるところがいかにもこの人らしい(笑)。そういうビートをテーマにした曲を演奏をしているというようなことが、自身のライナーノーツの最初に書かれていました。私は英語が苦手で訳して読むのがめんどくさいので、まあそんなアルバムだということでご容赦願います。もちろん全14曲コールマン作。

ファイブ・エレメンツのアルバムを超久しぶりに買いました。この人達のことは気になっていてもこれまでアルバムを買うまでには至らなかったのです。でも今回は冒頭の理由で買うことに。久しぶりに最近のこの人達をじっくり聴いてみたかったのです。基本的に相変わらずのM-BASEサウンドだと思いました。変拍子ファンクに乗って浮遊感のある独特なメロディーを奏でています。

ここでちょっと2年前に書いたM-BASEに関する(自己満足ですが)面白い考察を引用しておきます。
ファンクという視線でジャズを見る。続き
今のこの人達はクラブ・ミュージックとは別世界に居ますね。

最初に聴いた印象はあまり面白くないと思いました。でも何度か聴くうちにこれはシンプルでさっぱりしたサウンドで、それが良さなのではないかと気付きました。サウンドはジャケットのデザインそのもの。今日の記事のタイトルにあるとおり、余分な贅肉を落したサウンドで、これがコールマンの原点なのではないかと思います。こういうサウンドを追及してもう四半世紀を超えているんですよね。スティーヴ・コールマン、一途な人です。

このアルバムを聴いてまず良いと思うのがコールマンとフィンレイソンの楽器の音色。素直でストレートな音色のコールマンのアルトサックス、憂いを帯びた色気ある音色のフィンレイソンのトランペット、共にじんわり心に染みてきます。衒いがないところが良いです。そんな2人が楽器で語り合うように演奏しているところが聴きどころの一つ。阿吽の呼吸で演奏を進めて行きます。

ベースとドラムは”関数の不整脈”を表現。強靭というのではなく、柔軟ではありますが力強いビートでフロント2人に付いて行きます。ドラムがウッドブロックを使う曲は、ファニーな感じのビートになり気分転換に良いです。オカザキのギターはあまり主張せず、あくまでサウンドにヴァリエーションを加える使われ方。ギターが加わることで、懐かしのジェームズ・ブラッド・ウルマー&ロナルド・シャノンジャクソン(オーネット・コールマン一派)を感じる瞬間もありました。

派手さがない分じっくり味わえるアルバムになっています。スティーヴ・コールマンのアルバムを聴いてこんな気分になったというのは意外です。

アルバム名:『FUNCTIONAL ARRHYTHMIAS』
メンバー:
Steve Colemann(as)
Jonathan Finlayson(tp)
Anthony Tidd(b)
Sean Rickman(ds)
Miles Okazaki(g) 2,6,8,10,11

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即興演奏にトライし続ける。

昨年発売されたジャズアルバムのフォローです。気になっていながら、アルバムを買うのがなぜか遅くなってしまうこのグループのアルバム。このグループをフォローしている人が日本にいったい何人いるのでしょうか?

P164ザ・クローディア・クインテット『セプテンバー』(2013年rec. CUNEIFORM RECORDS)です。メンバーは、ジョン・ホレンベック(ds, per)、レッド・ウィレンガ?(acc)、クリス・スピード(cl, ts)、マット・モラン(vib)、ドリュー・グレス(b)1,4,7-10、クリス・トルディーニ(b)2-3,5-6です。前アルバムはゲストが参加していましたが、今回はクインテットのみによる演奏。アコーディオン奏者が変更になり、ベースはレギュラーのグレスと新参加?のトルディーニで曲によって交代しています。

前アルバムについては以下のとおりです。この時も年を越してから紹介しています。
理知的なジャズ

サウンドの雰囲気は今回も同じで、アコーディオンとヴァイブラフォンを生かしたサウンドは郷愁感と近未来感の融合。ゲストが参加していないので、構成としては締まったものになっていると思います。ゲストが参加した前作の方が少しポップでした。ライナーノーツには曲ごとに現代アートが描かれていて芸術的。

1曲目はブレイクビーツ的なドラムのミニマルビートに乗って、アコーディオン、ヴァイブ、テナーが繰り返しフレーズを合奏。アドリブに頼らない演奏で独特な雰囲気を醸し出しています。ドラマーがリーダーならではのリズム処理ですね。2分半ほどの短い演奏。

2曲目のテーマのメロディーは、曲というよりはポエトリー・リーディング(詩の朗読)のイントネーションです。このやり方はこのグループの取り組みの一つなのだろうと思います。テーマの後はアコーディオン、ヴァイブ、テナーの強靭なアドリブ。アコーディオン奏者が変わった今回、アコーディオンはソロイストとしての活躍が目立ちます。この曲は従来型のアドリブを踏襲。

3曲目はアコーディオンとクラリネットがもの悲しいメロディーをゆっくり奏でる曲。ヴァイブがクールな音を加味します。ソロらしきものはなく淡々とメロディーが綴られていく中、後ろでドラムとベースが自由な動きをするのは、マイルスの《ネフェルティティ》同様の雰囲気。後半にアコーディオンのアドリブが少し登場。

4曲目は面白いです。誰かの演説を編集したものが流れ、それに合わせて演奏が繰り広げられます。演説を伴奏するのではなく、演説を伴奏にしてアドリブしているのが現代的逆転現象。2曲目のポエトリー・リーディングのようなテーマのメロディーといい、演説のイントネーションをテーマにしてアドリブするこの曲といい、人の話方とアドリブを融合させてしまう演奏は、このグループならではの即興演奏へのトライです。

5曲目はスローでアドリブに頼らない演奏。6曲目はアップテンポで同様の演奏。アコーディオン、ヴァイブ、テナー/クラリネットの音とメロディーの重なり具合を追いながら、徐々に場面が展開していく曲を追っていくと面白いです。エレクトリックなサウンドエフェクトが程良い香辛料になっています。アドリブも少しあります。

7曲目はまたポエトリー・リーディング的なイントネーション・メロディーのスロー曲で始まります。ヴァイブやアコーディオンが話しかけてくるように感じます。途中からテンポが上がり、バックのおもちゃチックなパーカッションが始まると、まるで童話の世界のようになります。「ブレーメンの音楽隊」か?

8曲目はベース・ソロから入る抽象的なメロディーの曲。変拍子であることもあって現代先端ニューヨーク・ジャズになっています。なのでアコーディオン、テナー、ヴァイブのアドリブが聴きどころ。ベースはグレス、存在感はトルディーニより1枚上手ですね。それはこのアルバム全体を通して言えます。

9曲目はアコーディオン、ヴァイブ、テナーが抽象的なメロディーをゆっくり奏でる上で、ホレンベックのドラム・ソロが繰り広げられます。3分弱の短い曲で、アルバム中唯一のドラム・ソロ。ホレンベックはあくまでグループ表現を主体にしているのです。ラストは物悲しく郷愁感を感じるテーマの曲で映画のサウンドトラック風。アコーディオンのみが短めのアドリブをとります。

全10曲ホレンベックが作曲。従来型のアドリブに頼らず、ジャズにおける即興演奏と真摯に向き合っている演奏だと思います。このグループならではのサウンドとアドリブ方法論に私は惹かれます。理知的ではありますが頭でっかちの音楽ではありません。情緒に訴えかけてくるところがあって魅力的です。

アルバム名:『SEPTEMBER』
メンバー:Claudia Quintet
John Hollenbeck(ds, per)
Red Wierenga(acc)
Chris Speed(cl, ts)
Mat Moran(vib)
Drew Gress(b)1,4,7-10
Chris Tordini(b)2-3,5-6

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比較試聴の結果を報告しておきます。

オーディオねたは程々にするつもりですが、昨年末入手したカートリッジAT10dのいつもの比較試聴の結果を、一応報告しておきたいと思います。

P185

2枚のリー・リトナー『オン・ザ・ライン』(ダイレクトカットディスク)を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。私にとってはこの方法が一番信頼できます。比較の相手はこのところの私のリファレンスZ-1S。

左 : ビクターZ-1S(針:JICO現行丸針DT-Z1S)
右 : オーディオテクニカAT10d(針:ナガオカ楕円針74-27)

P162
やっぱりね。音の表情は同傾向。出力レベルはAT10dの方が少し小さめで少し高音寄りのバランス。なのでAT10dの方が少しタイトな音に聴こえます。AT10dの高音が僅かにきめ細やかなのは、楕円針の効果かもしれません。前に所有していたオンキョーOC-27V(オーディオテクニカOEM)のように高音が控えめにならないのは、AT10dの方が新しい機種で本体のコイル部分の周波数特性が良いからでしょうか? 松田聖子のサ行のトレースも優秀でした。

AT10dは今所有しているMT-24、C-550、XL-25Aと同等の音だと思います。念のためXL-25Aと切替比較試聴したらほとんど差がありませんでした。私には下記のような具合に聴こえます。

MT-24C-550XL-25AAT10d (あくまでも私が入手した針での結果)
左右の違いは丸針と楕円針の違いか?

何度か書いていますが、こうなると気に入ったデザインのものを持っていれば良い感じです。AT10dは独特な形状のヘッドシェルも含めてデザインが気に入ったので手元に残すことにします。少しおもちゃっぽい感じもしますが、このポップなデザインは見ていて楽しい!

P163
このヘッドシェルがあって初めてこのカートリッジのデザインが生きるのだと思います。昨年生産中止になったAT10Gのように、黒い普通のヘッドシェルに付けると何ともミスマッチで、ただの安物カートリッジのように見えてしまいます。ノブに付いている透明のスタイラスガードも余計なものに見えます。私の場合、それだと持っていたいとは思えないです。

AT10dに付く現行のシバタ針(4CHレコード再生可能広帯域針)があるので、それも聴いてみたいと思っています。

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橋爪亮督グループの昨年アルバム

年明けしばらくは去年聴き逃した新譜をフォローしていく感じになります。今日のアルバムは昨年末ジャズ喫茶「いーぐる」で行われた「2013年末ベスト盤大会」で益子博之さんがかけたアルバムです。私もフォローしているグループのアルバム。新譜が出ていたことに気付いていませんでした。なので慌てて購入。

P161橋爪亮督グループ『ヴィジブル/インヴィジブル』(2012年rec. APOLLO SOUNDS)です。メンバーは、橋爪亮督(ts)、市野元彦(g)、佐藤浩一(p)、織原良次(fretless bass)、橋本学(ds, per)です。ライブ録音アルバムですが拍手は入っていません。スタジオでの演奏とライブでの演奏がどのように違うのか?興味が湧くところです。前のアルバムで9曲中3曲に加わっていたピアノの佐藤が全曲に参加。

前アルバムについては以下のように書きました。
音楽が持つ表情を聴かせるフュージョンです。

今回は前アルバムからの曲を前半3曲でやっていて、後半3曲は新曲になっています。全曲橋爪が作曲。

1曲目《ジャーニー》、ピアノが弾く冒頭のフレーズが《春の海》に似ていて、今の時期に聴くとピッタリ(笑)。この曲を聴くとキース・ジャレットのヨーロピアン・カルテットが浮かんできます。前アルバムの紹介では、この曲を聴いて「ECMレーベルの雰囲気にジャストフィット」と書いたのですが、それはキース・カルテットの印象だったのでしょう。サウンドのテクスチャーを大事にした演奏で、程良い緊張感が心地良いです。

2曲目《ザ・ラスト・デイ・オブ・サマー》は前アルバムではピアノ抜きでしたが、今回はピアノ入り。特に違和感なくピアノを取り込んでいます。スタジオ録音の時よりはダイナミックな仕上がり。メセニーのユニティ・バンド辺りに近いサウンドではありますが、ソロの取り方はスケールよりテクスチャー重視なので、雰囲気は少し異なっているように思います。ドラム・ソロを聴いて思ったのですが、橋本のドラミングはアントニオ・サンチェスに似ていますよね。本人は意識しているんでしょうかね~?

3曲目《十五夜》はスタジオ録音時より抽象度が増してフリーなものになっています。音量も抑え目で繊細さを聴かせるような演奏。

4曲目《サイクルズ》は7拍子のメセニー・グループ風演奏。このアルバム中最もダイナミックな演奏になっていて、テーマこそサウンド・テクスチャーを聴かせるものになっていますが、テナー、ギター、ピアノのソロは従来型アドリブの妙を聴かせてくれます。それ故分かりやすいジャズになっていますが、現代先端の雰囲気からは後退かも。

5曲目《パーク》はジャズと言うより、フォーク~ニューミュージック曲をインストでやっている感じで、橋爪がテナーで歌っています。ピアノのソロも心地良いメロディーです。日本の音楽をバカにして聴かない頭の硬直したジャズ・ファンには、ボブ・ディラン調の曲と言ったほうが分かりやすいかもですね(笑)。ジム・ブラックのALASNOAXISとかと発想は同じでしょう。後半に向かって徐々に盛り上がって気持ちが高まります。

6曲目《スケッチ#1》は、ドラムがブラシでミニマルなリズムを刻む上で、ゆっくり揺蕩うようなテナーとギターがユニゾンしベースも併走。ピアノは少し音を加えます(ピアノってテクスチャー表現に向かないところがあるんですよね)。途中からはフレットレス・ベースの優しいソロを中心にしつつ、テナーが後ろで付かず離れずのソロ。テナーのループが入った後、ここまで控えめだったピアノが主張を始めます。タイトルどおりの風景描写的な演奏が徐々に場面を変化させて継続。この曲が醸す独特の雰囲気はグループの新たなサウンド表現のように思います。

以上6曲、黙って聴かせたらライブ録音とは分からないような演奏だと思います。ライブならではのラフさを持ち込むのとは別の、緻密なライブなのでしょうね。過去との繋がりを感じさせつつ新しいサウンドを聴かせるこのグループのサウンドが、私は気に入っています。最近は東京へ出るのが億劫なのですが、このグループのライブは観たいです。

アルバム名:『VISIBLE/INVISIBLE』
メンバー:RYOSUKE HASIZUME GROUP上記

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明けましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

今年はジャズのことについて多く書けたら良いと思っています。

早速ですが、この2枚が気になっています。

メセニーとメルドー。

メセニーのはユニティ・バンドにもう一人加わり5人体制。

ユニティ・グループと名乗ってます。

更に進化したバンド・サウンドが聴けるのではないかと期待大!

メルドーのはドラマーのマーク・ジュリアナとのデュオ。

メルドーはフェンダーローズやシンセを弾いてエレクトリックに。

真の意味でのプログレッシヴ・ミュージックを繰り広げているそう。

これも楽しみ!

Amazonでは2枚とも2月発売になっています。待ち遠しいです。

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