10年前にこんなアルバムを作っていました。
先日ヴィジェイ・アイヤのアルバム『ホールディング・イット・ダウン:ザ・ヴェテランズ・ドリームズ・プロジェクト』が今年の私のベスト1だと書きました。ヴィジェイ・アイヤがやっている色々なタイプのジャズの中のヒップホップ系のアルバムです。このアルバムの前作は聴いているのですが、1作目をまだ聴いていませんでした。なのでこの機会に購入して聴いてみることにしました。
ヴィジェイ・アイヤ&マイク・ラッドの『イン・ホワット・ランゲージ?』(2003年rec. PI RECORDINGS)です。メンバーは、マイク・ラッド(voice, electronics, all lyrics)、ヴィジェイ・アイヤ(p, key, electronics, all composision)、ラターシャ・N・ネヴァダ・ディグズ(voice, electronics)、アリソン・イースター(voice)、アジェイ・ナイドゥ(voice)、アンブローズ・アキンムシーレ(tp)、ルドレシュ・マハンサッパ(as)、ダナ・レオン(cello, tb, flh)、リバティ・エルマン(g)、ステファン・クランプ(b)、トレヴァー・ホールダー(ds)です。ポエトリー・リーディング/ラップのラッド+3人が、ラッド作の歌詞をアイヤの作ったトラックの上で歌うという内容のアルバム。歌詞の内容は9・11以降の世界について。
ディスクユニオンのサイトの紹介文を見たら、ミュージックマガジン誌の「BEST ALBUM 2003ベストワン!」なのだそうです。この手の音楽はやはりジャズファンよりはロック/ポップス系で評価されているということなのでしょうね。今私に言わせれば、これは何の問題もなくジャズだと思います。ところで今年出たアルバムはミュージックマガジンでどのように扱われたのでしょうかね? 無視されている可能性が強いような気がします。
ディスクユニオンのサイトの紹介文には「ジャズ、ファンク、ヒップホップ、ラップ、ポエトリー・リーディング、変拍子プログレまで音楽、言語、国境などあらゆる境界を越境して突っ走るロード・ムーヴィーならぬロード・ミュージック。」と書かれています。そうなんですよね。ロード・ミュージック。ストリート性(路上性)を持っているんですよ。
全曲がヒップホップというわけではありません。ジャズ&ポエトリー・リーディングの方が多いです。でも数曲はヒップホップと言えます。打込みと生演奏が違和感なく同居しています。エレクトリック・ベースとアコースティック・ベースを使い分けているのも聴きどころ。アコースティック・ベースを使用する曲はクラブミュージックの匂いがします。10年前にこういうアルバムを作っていたんですから、ヴィジェイ・アイヤ恐るべしと言うしかありません。
ロバート・グラスパーがこれだけ話題になっている今の方が、ジャズファンにこのアルバムの音楽が理解されやすいと思います。今年のアルバムと言って聴かせても何の違和感もないでしょう。この後2作出るわけですが、私が聴いた印象では最初のこれが一番パワー/強度を持っているような気がします。9・11から2年しか経っていないことが、そのパワー/強度の要因なのではないでしょうか。そこから更に10年。最近はパワー/強度が減少して聴きやすい方向へとシフトしているように感じます。
まだ無名の頃のマハンサッパとアキンムシーレが、何曲かに参加してジャズやってます。マハンサッパは今年のアルバム『Gamak』が、先日の「ジャズ評論家の投票による2013年のフェイバリット・アルバム TOP50」にランクインしていましたね。アキンムシーレは2011年にブルーノートからアルバムを出したのに、今年はどうなったのでしょう。「君はセールスが見込めないからクビ」と、商売人ドン・ウォズに切られたか(笑)。と思ったら、来年ブルーノートからアルバムを出しますね。
面白いアルバムです。今からでも遅くないのでまだ聴いていない人は聴くべし!!
アルバム名:『in what language?』
メンバー:
Mike ladd(voice 1,2,3,9,12,16,17, electronics, all lyrics)
Vijay Iyer(p, key, electronics, all composision)
Latasha N. Nevada Diggs(voice 2,5,8,13, electronics 13)
Allison Easter(voice 2,6,11,13,15)
Ajay Naidu(voice 4,7,10,14)
Ambrose Akinmusire(tp)
Rudresh Mahanthappa(as)
Dana Leong(cello, tb, flh)
Liberty Ellman(g)
Stephan Crump(b)
Trevor Holder(ds)
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