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久しぶりにフュージョン新譜を買ってみた。

最近はフュージョンの新譜をほとんど買わななくなりました。特にテクニカル系のものは興味が湧きません。テクニカル系フュージョンは、最初のうちはそのテクニックに酔いしれて”スゲ~ッ!”となるのですが、すぐに飽きてその後はほとんど聴かなくなるのが私の常だからです。でも今回はフュージョン新譜を買ってみたくなりました。ネットでちょっと試聴したら良い感じだったのです。

P119トニー・グレイ『エレヴェーション』(2013年、ABSTRACTLOGIX)です。メンバーは、トニー・グレイ(b, keys 1,5)、ジョン・マクラフリン(g)、マイク・スターン(g)、布袋寅泰(g)、レブ・ビーチ(g)、デヴィッド・フュージンスキー(g)、ニル・フェルダー(g)、ファブリツィオ・ソッティ(g)、デヴィッド・ソロックモートン(ds)、ミノ・シネル(per 2)、ロマイン・コリン(keys 2)です。メンバーをみて分かるとおり、色々なギタリストをフィーチャしたアルバムです。しかも布袋さんがいます!

グレイは上原ひろみの前のバンドのベーシスト。上原ひろみファンの私としては気になる存在なのです。ここに参加しているフュージンスキーも上原ひろみのバンドで一緒にやっていましたよね。このアルバム、まずテクニック偏重ではないところが気に入っています。もちろんテクニカルな演奏は随所にあります。でもそれだけを聴かせる風ではなく、音楽を聴かせてくれているところが良いです。グレイはベースにしてもサウンドにしても結構しなやかでエレガント。そこが今の私の気分に嵌ります。

大御所マクラフリンは曲を提供していて、この曲だけシネルのパーカッションとキーボーディストが入った豪華版なのに、全体の中では意外と記憶に残らなかったです。布袋はディストーションを聴かせたロック・ギターで”ギュインギュイン”やっています。でも私はこれが意外とつまらない。で、今回気付きました。私はスケールを駆使したジャズ的なアドリブがないと面白くないんだと。そういう意味でやはり私はスターンをフィーチャした曲が一番好み。この人が弾く独特なスケール、それが鳴っただけでもう彼の世界に引き込まれてしまいます。

基本的には1曲ずつしかフィーチャされないのに、フュージンスキーだけが3曲にフィーチャされています。これは上原ひろみのバンドでのよしみもあるのでしょう。というか3曲中1曲だけがグレイのオリジナルで後の2曲はジャズマン・オリジナルなので、それら2曲はグレイなりのアレンジで聴かせるのに、一緒にバンドを組んで気心知れたフュージンスキーにご協力いただいたということなのだろうと思います。フュージンスキーはいつもの変態的ギターを控えめに披露。

ギタリストをフィーチャしているものの主役はグレイです。ほとんどの曲で自分が最初にベース・ソロを弾いてからギタリストのソロに渡します。ベース・ソロの最中もバックにベースが聴こえることから、ベースは多重録音していると思われます。バッキングのベースは4弦ベースで、高音を多用するベース・ソロはジャケット写真の6弦ベースを弾いているのでしょう。

8曲目《ソーラー》はベース・ソロのみ、フュージンスキーはバッキングです。曲自体も短くて”フ~ッ”と消えていくのが面白いです。ラスト《サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム》はギターとベースのソロがありますが、短めの演奏でやはりこれも”フ~ッ”と終了。余韻を残すアルバムの最後になっています。

私はこのアルバムが気に入りました。

アルバム名:『ELEVATION』
メンバー:
Tony Grey(b, keys 1,5)
John McLaughlin(g)
Mike Stern(g)
Tomoyasu Hotei(g)
Reb Beach(g)
David Fiuczynski(g)
Nir Felder(g)
Fabrizio Sotti(g)
David Throckmorton(ds)
Mino Cinelu(per 2)
Romain Collin(keys 2)

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