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2013年11月

安くてもなかなかの音です。

前回書いたカートリッジ400TCと一緒に落札したカートリッジAT-E30/Lもなかなか良い音でした。廉価カートリッジだからと言ってバカにしてはいけません。今回入手したものはほとんど使っていないんじゃないかと思います。早速いつもの比較試聴。リー・リトナー『オン・ザ・ライン』を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。相手はZ-1S。

左 : ビクターZ-1S(針:JICO現行丸針DT-Z1S)
右 : オーディオテクニカAT-E30/L(針:純正品ATN-E30)

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出力レベルはほとんど同じです。なのでボリューム調整が不要。入力セレクタを切り替えるだけで済み楽でした。音はAT-E30のほうが高域寄りのバランス。高域はきれいな音です。シルキーできめ細やか。これはコイルに使っている線材LC-OFCの効果だと思います。松田聖子の歌とかフュージョン・ギターが気持ち良く聴けます。でもちょっと大人しい音で元気がないです。私としてはZ-1Sの張り出す感じのほうが好み。AT-E30が高域寄りのバランスなのはマグネシウムヘッドシェルの響きが加味されている可能性もあります。

このカートリッジのオーディオテクニカの宣伝文句は以下のとおり。
「世界のオリジナル、VM型のベーシックです。フレッシュに輝くみずみずしいハイスピードサウンドが若い感性にぴったりフィット。」

”フレッシュに輝くみずみずしい”はそのとおりだと思います。”若い感性にぴったりフィット”については言えるような言えないような・・・。シュアーM44Gのようなあっけらかんと鳴る方が若い感性に合うのではないかと思ったりするからです。AT-E30は”品行方正”ですね。こういう鳴り方はいかにも日本製の音だと思います。

トレース能力も問題なし。前回書いたチェックレコードの針圧調整トラック70μmを余裕できれいにトレースします。いくら安くても基本性能はきっちり押さえるのが日本製。これまでの一連の廉価カートリッジ探究で入手した日本製新古針も、全てトラック70μmをきれいにトレースしました。これぞ日本品質なのだろうと思います。

AT-E30/Lはもう製造中止ですが、ヘッドシェル付\6,300(税込)でこの音というのはなかなかだと思います。音が安っぽくないですからね。今ならまだヨドバシの通販サイトに交換針(\1,970)があります(既に在庫なし:2014年)。ポップス、特に女性ボーカルを主体に聴く人にはかなりお薦めできるカートリッジなのではないかと思いました。

で、落札した主役のはずのレコードプレーヤーDP-30L(ジャンク)は、まずアームがガタガタ、スイッチ操作に対する挙動不審、回転数は正常で調整可能、汚れはそれなりにあり、下位機種でもあることから今回もガレキ行き決定。カートリッジほしさに落札したプレーヤーはもう6台目。すべてガレキ行き。オークションでリサイクルしているはずが、結局ゴミにしてしまうという所業。お許し下さい!

それから、新品の現行交換針を買ったばかりのDL-108Dの音が歪むようになりました。

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ヘッドシェルを純正品に交換し直したりしているうちに、何かをおかしくしてしまったのでしょうか? 針を傷つけるようなことはしていません。本体内部の配線が接触不良になりつつあるとか? う~む、針なのか本体なのか、切り分けしないといけないのに。今はこの組み合わせでしか音を出せないので何とも。一連の廉価カートリッジ探究で買ったカートリッジの中で、かけた費用(本体+針)はこいつが一番高いんですよ(涙)。

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またしても落としてしまいました。カートリッジ。

廉価MM型カートリッジ探究はもういい加減やめれるはずだったのに・・・
♪もうどうにもとまらない~♪ m(_ _)m

こんなやつらを落札しました。ジャンクプレーヤー込みで1500円也。競合者は現れずあっさり落札。この手のカートリッジに興味はないんでしょうね。プレーヤーの送料はそれなりにかかりますが、合計で3000円ちょっとでした。

入手できたのは、エンパイヤの400TC(写真上)とオーディオテクニカのAT-E30/L(写真下)です。どちらも純正ヘッドシェル付。ヤフオクの写真でO.K.だろうと判断したとおり使えるものでした。2個で3000円ちょっとはかなりのお買い得。

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400TCは掃除してシェルリード線をPCOCCに交換した後のものです。ほしかったのはこの400TCで、AT-E30/Lはオマケと考えていました。しかし、これがどうして安いのになかなかの音です。

今日は400TCのことを書きます。なぜこのカートリッジがほしかったのかというと、JICOから色々なタイプの現行交換針が出ていて、それで聴いてみたくなったからです。前はシュアーのV15typeⅢでこういうことをやろうと思っていたのですが、どうせ交換針の音になってしまうのなら、ありきたりのV15typeⅢではなくて別のカートリッジでトライしようというわけ。

今ヤフオクでは、V15typeⅢが異様な高騰ぶり。オリジナル針が付いていようものならやたら落札価格が跳ね上がります。これはロシアや中国で高値で売りさばけるからではないか?ということを前に書きましたよね。どう考えたって古くてそれなりに劣化してるとしか思えない針にここまで払うのは、”音”にお金を払っているのではなく、”ブランド”にお金を払っているのです。世の中、本当に音が分かるオーディオファンなんてほとんどいませんから。ほとんどの人が誰かが良いと言っているから良いと思うのです。

ならばということで、私が持っているV15typeⅢはさっさとヤフオクで売りさばいちゃおうという魂胆。これからボーナスシーズン、アホな人達が高値で落札してくれるはずです(笑)。それより誰も注目していないカートリッジで、音そのものを楽しむほうが賢くて面白いではありませんか? で、白羽の矢が立ったのが400TCってわけ。

400TCは有名な4000シリーズや2000シリーズの後継機種です。下から100、200、300、400、500、600と6機種のラインナップで発売されました。下がその特性比較表。

Empire
400TCは下から4番目。テーパードアルミパイプカンチレバーに、たぶん接合型特殊楕円針が付いた機種。今回入手したものはスタイラスチップの根元に接着剤がたくさん付着していて、判別が難しいので”たぶん”と書きました。それなりの価格で販売されていたはずで、廉価品ではないと思います。

ネット検索をしてもこのシリーズについて書かれた日本語サイトはほとんど引っかかりません。CD時代に突入する頃のカートリッジですし、この頃の日本のオーディオファンは日本製MC型カートリッジに向かっていたので、私も記憶にありません。そんなわけでこのシリーズに注目するような人は今やいないのでしょう。だから今回安く落札できたとも言えます。

そこそこ良い音です。いつもの比較試聴に行ってみよう! リー・リトナー『オン・ザ・ライン』を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴。比較の相手は私のリファレンスとなりつつあるZ-1Sです。

左 : ビクターZ-1S(針:JICO現行丸針DT-Z1S)
右 : エンパイヤ400TC(針:純正品S-400TC)

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400TCはメカニカルで武骨なデザイン。それまでの4000/2000シリーズのスマートさとは大違いです。私はこのデザインが結構気に入りました。出力レベルはZ-1Sより少し小さいです。音質は両者似ています。音は400TCのほうが少し落ち着いて濃いめ。低音は良く出て高音は艶があります。Z-1Sの開放的な鳴り方も良いですが、400TCのアダルトな感じも悪くないです。

数年前にブログに書いた寺下誠トリオ『イーハトーヴ』(1996年)を聴くと、強い高音が少し歪みます。

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このレコードはスリー・ブラインド・マイスの名録音コンビ、レコーディング・エンジニアの神成芳彦とカッティング・エンジニアの小鉄徹によって作られています。アナログ・レコーディングでダイレクト2トラック(テープ)録音された音は、ジャズならではのガッツに溢れたもの。オーソドックスな演奏も悪くないです。カッティングレベルが高いのでトレースチェックになります。最初は針圧1.5gで聴いていましたが、針圧最大値2gに増加すると少し改善されました。ちなみに松田聖子のサ行はそれほどざらつきませんでした。

ならばこちらでトレース能力をチェックしてみましょう。オーディオ・チェック専用レコード『月の光/アナログ・システム・チェック信号』。2枚組で、1枚目はクラシック演奏、2枚目はチェック信号だけが入っています。1枚目はほとんど聴いたことがありません。使うのは2枚目の「針圧調整」のトラック。時々「インサイドフォース・キャンセラー調整(フラットゾーン)」も使います。

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「針圧調整」トラックは、ここをカートリッジにトレースさせて、トレース可能な最軽量針圧にするように推奨しています。私の場合はカートリッジの針圧範囲の中間値でトレースできれば良いと思うので、目安程度に使っています。信号は2種類カッティングされていて、300Hz(サイン波)、50μmと70μm(振幅)です。余程劣化でもしていない限り50μmは問題なくトレースします。70μmはトレースできないものがあります。

先日トレース能力が低いと書いたシュアーM44Gは、70μmをやはりきれいにトレースできず左右からビビり音がしました。10年位前に聴いたシュアーV15typeⅢ用純正交換針VN35MR(新品購入)も70μmがきれいにトレース出来ず、メキシコ製VN35MRの品質を疑問視する当時の声に頷いたものです。”トラッカビリティ”という言葉まで作ってトレース能力を誇ったシュアーの体たらくぶりにも呆れましたね。今やこんなVN35MRもめちゃくちゃ高騰してます。ちなみに、70μmをきれいにトレースできなくても普通のレコードは聴けますし、トレースできるからと言って音が良いわけではありませんので、念のため。

で、400TCなのですが、針圧2gでも70μmはきれいにトレースできませんでした。ダンパーが劣化して硬化しているのではないかと思われます。今のところはこのまま聴いて、そのうちJICOの現行交換針にして聴いてみようと思います。(その後JICOの交換針を試すことなく400TCはリサイクルしてしまいました。特にこれという魅力はないと思いました。)

そう言えば、10年くらい前に持っていた4000D/Ⅰ、4000D/Ⅲ(旧ver.)、4000D/Ⅲ(新ver.)はいずれも70μmがきれいにトレースできず、エンパイアのトレース性能はシュアーほどではないと知ったのでした。トレース性能が全てというわけでないのですが、それ以来エンパイアのカートリッジには魅力を感じなくなったのを思い出しました。

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秋葉原でまたまた閉店のニュース

秋葉原で電気関係(オーディオ関係)のお店がまた閉店するという話を知りました。
ラジオストアーが閉店するんだそうです。

JR高架下の電子パーツ街「ラジオストアー」が11月末に閉店

秋葉原へ行くと、特に買う予定があるわけではなくても、ここは必ず流し見する場所です。コイズミ無線でスピーカーを買ったこともありますし、タカヒロ電子で真空管アンプのリップルフィルター用トランジスタやDP-3000に使われているICを買ったこともありますし、マルモパーツやパーツランドやシーアールとかでパワーリレーやスイッチやネオンランプやメタルコネクタとかを買ったこともあります。閉店してしまうんですね・・・・・。

私は全てがラジオセンターだと思っていたのですが、通りによって「ラジオストアー」「ラジオセンター」「秋葉原電波会館」という風に呼び名が分かれていました。横断歩道側から見ると入口の上にお店の名称の看板があったんですね。今まで気付きませんでした。最も南の1列が今週末11/30に閉店するということのようです。閉館後、各店舗は自社の本店や新店舗やWeb通販などで営業を継続するそうなので、完全になくなってしまうわけではありません。

今のところ閉店までに東京へ行く予定はないので、次に秋葉原へ行くともうシャッターが下りているということですよね・・・。変貌し続ける街秋葉原、電気街としての秋葉原がジワジワと消えていくのを見るのは寂しい限りです。

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スガダイロートリオのライブはとても楽しかった。

11月21日に 「桜座」 で「スガダイロートリオ」のライブを観て来ました。ダイローさんのトリオのライブは前から観たかったのでやっと念願がかないました。今回は志人(シビット)さんもゲスト参加するというのでこれも楽しみでした。

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実は「桜座」に来るのはかなり久しぶりです。3月の「甲府ジャズストリート」の時は他の会場で観たのでここでは観ていません。そうなると更にさかのぼって昨年12月の「だいだらぼっち」以来ということになります。すっかりご無沙汰していたことになりますね。

”NEWアルバム「刃文」発売記念・冬の西南ツアー”はここ「桜座」から始まるとのことでした。お客さんの入りはなかなか良く、私より少し上くらいの年齢をトップに若めの年齢層。女性も多め(ほとんどカップルだが)なのが、ダイローさんのファン層なのでしょう。

スガダイロートリオ:スガダイロー(p)、東保光(b)、服部マサツグ(ds)
ゲスト:志人(詩人)

1stセットが始まる前にチャップリン風衣装に扮したパントマイム&MC、場内は微妙な雰囲気だったように思います。「これって必要あるのかな~」と思った私。実はこれ、ノイズ中村さんのパフォーマンスでした。アンコールでノイズ中村さんと紹介されるまで私は気付かず、「桜座」の微妙な新パフォーマかと思っていたのです。失礼しました!

1stセットはトリオでの演奏。1曲目はモンクの《クレプスキュール・ウィズ・ネリー》に《男はつらいよ》のメロディーを混ぜた曲だと思ったのですが、家に帰ってからアルバム『刃文』を聴いてみると、《男はつらいよ》だという事が分かりました。でもライブの演奏は《クレプスキュール・ウィズ・ネリー》成分の方が多かったのではないかと思います。この2曲、とても上手くマッチしていて、山中千尋さんのアルバムで《やつらの足音のバラード》とジャコ・パストリアスの《スリー・ビューズ・オブ・ア・シークレット》のメドレーを聴いた時以来の、和洋折衷の好例だと思いました。《男はつらいよ》、途中に《ウエディングマーチ》のフレーズが入っていますよね。ライブでもやっていました。

2曲目はモンクの《エピストロフィー》。モンクの変なんメロディーとダイローさんの美しいメロディーセンスが実に良くマッチングしているのでした。そして3曲目がスタンダードの《ザ・マン・アイ・ラブ》。メロディアスで楽しい演奏。溢れ出るスイングに心がウキウキしました。以上3曲、オリジナル曲ではなくても間違いなくスガダイロートリオのサウンド。オリジナル曲を演奏するものだとばかり思っていたので意外な展開でした。

ここまで聴いて、これは王道ジャズピアノトリオだと思いました。「桜座」ならではのPAが効いたドッシリと安定感あるサウンドと相まって、実に揺るぎない堂々とした演奏になっていたからです。安易にオリジナルに走らないダイローさんのアプローチ、したたかかつ頼もしいではありませんか。ドップリとジャズに浸かって、個性を発揮しているところが素晴らしい! 「ジャズってこれだからいいんだよね。」と素直に思える演奏でした。

ちなみにここまで曲紹介はありませんでした。4曲目はオリジナルの《雨ニモマケズ》。宮澤賢治の「雨ニモマケズ・・・」にメロディーを付けた曲。《寿限無》と同様の発想ですね。ライブでは途中3人が詞を歌いながら演奏していました。独特な変拍子でグルーヴします。こういう難しいリズムの曲を一糸乱れず演奏するところは、さすがに長くやってきたトリオならではの一体感。これが実に良い曲で、私にはパット・メセニーの曲に通じる爽やかな風が吹いているように感じられました。

5曲目は《命の水》と、東保さんに言ったと思います。ワルツのリズムに乗ったメロディアスで心地良い演奏でした。6曲目は曲名紹介なし、たぶんオリジナル曲だと思うのですが私には曲名が分かりませんでした。4ビートで楽しくて迫力がある演奏。東保さんのパワフルで表情歌かなベース、服部さんのダイナミックでキレのあるドラム、トリオのサウンドをしっかり表現していました。

ダイローさんと言うと、フリージャズピアニストで壊れるくらいピアノを激しく弾く人というイメージがあるような気がします。でも実はとてもメロディーを大切にして、しなやかな面があります。もちろん曲によっては後半にピアノを激しく、肘打ちも交えて弾き、グシャグシャなフリーへと突入しますが、大半はメロディアスなピアノを弾いています。そのフリーにしても決してハチャメチャではなく、きちんと計算があると思います。トリオの演奏も同様にきちんと構成されています。

以上6曲で1stセットは終了。良いトリオですね~。3人が楽しそうに演奏してました。

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しばし休憩をはさんで2ndセット。またしても妙なパントマイムから。失礼! 志人さんが「スターウォーズ」のジェダイの騎士が被るような布を被って和風黒ずくめで登場。民話のような語りから始まりました。演劇の世界ですね。途中からスガダイロートリオの伴奏が入ります。ダイローさんも同じような黒布を被っていました(2曲目くらいで脱ぎました)。民話語りが終わると、ドラムだけをバックに怒涛の超高速ラップ! カッケー! スゲーッ!

次は明るくリズミックな曲でラップ。また民話語りがあって、その後リズミックな曲でラップ。テーマは男女の別れ? ラストは自然への賛歌を朗々とダイナミックにラップ、というような展開だったと思います。曲順とか曲数とか微妙に記憶がないので誤りがあったらごめんなさい。ピアノやベースのソロ中、志人さんが太極拳のような感じで踊っているも観ていて楽しいものでした。ラップのテーマは人間の機微や性と大自然への賛歌。志人さんの歌はとにかくパワフルで、聴く人をグイグイとその世界へ引きずり込んでしまいます。バックのトリオとも互角の勝負。

パフォーマンスはまるでミュージカルのようでした。ジャズと詩の朗読というと、昭和の世代がやるとどうしてもアングラな雰囲気と陰なイメージが漂います。ところがスガダイロートリオ+志人にはそういうアングラな雰囲気は希薄で陽な雰囲気があります。今時の言葉で言えば”エンタメ”か? それは”演劇”ではなく”ミュージカル”という言葉の持つ雰囲気が似合うように思いました。アンコールはノイズ中村さんも交えて楽しく演奏。

色々理屈をこねましたが、観ている時はそんなの抜きにとても楽しかったです。とにかくカッコいいと思いました。また「桜座」に来てほしいです。

ライブ後に買ったニューアルバム『刃文』にはスガダイロートリオの今が詰め込まれています。販売ルートは限られるようですが、是非入手して聴いていただきたい良いアルバム。今年のベストジャズアルバムに加えたいと思います。

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ジャケットの絵と皆さんからいただいたサインが合体して、素敵な雰囲気を醸し出しているではありませんか!

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スガダイロートリオ+志人ライブはカッコ良かった!

甲府 「桜座」スガダイロートリオ+志人を観てきました。

ダイローさんは何度も「桜座」に来ていますが、トリオで来るのは今回が初めてのはずです。荻窪ベルベットサンへ観に行けば良いのですがなかなか行けず、ユーストリームでしか観たことがなかったスガダイロートリオ。今夜とうとう生で観られました!

ファーストセットはスガダイロートリオの演奏、セカンドセットはスガダイロートリオに志人さんが加わってのパフォーマンス、どちらもそのカッコいいパフォーマンスに魅了されっぱなし。文句なく楽しかったです。

アルバム『刃文』をやっと買うことができました。もちろんサインもしていただきました。

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”NEWアルバム「刃文」発売記念・冬の西南ツアー”は今夜が初日。この後各地を回るのだそうです。スガダイロートリオが行く各地の皆様、観ないと損しますよ!!

ライブの模様は後日報告します。

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これで持っている全カートリッジの音が聴けました。

いよいよ明日から!甲府 「桜座」 にジャズマン・ジャズウーマンが4日連続、次々にやって来ます。私は21日のスガダイロートリオを観に行くつもりです。

話は今日の本題へ、オーディオですね。針折れカートリッジDL-108Rの交換針を入手しました。

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本来この機種に付いている丸針のDSN-41ではなく楕円針のDSN-40を購入。本体は共通なので問題なく付きます。この針を付ければDL-108D相当ということになります。オリジナル交換針ははるか昔に製造中止なのでJICOの現行交換針です。

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JICOサイトの写真では、この針の特徴であるサスペンションワイヤー1点支持が確認できず不安だったのですが、そこはきちんと継承されていました。左がオリジナルの針で右がJICOの針。ノブの形状が若干異なって縦溝があります。スタイラスチップ(針先)は接合型ダイヤでした。

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DENONのヘッドシェルをそのまま使えば良いのですが、強度他少々気になるところがあるので、ビクターのガッチリしたヘッドシェルに付けることにしました。カートリッジ形状とヘッドシェル形状が似た雰囲気を持っているのでマッチングは悪くないと思います。シェルリード線はいつものPCOCC。

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明るく鳴りっぷりが良い音です。今まで聴いてきた日本製MM型の音だと思います。では早速比較試聴してみましょう。リー・リトナー『オン・ザ・ライン』を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコラーザの入力セレクタで瞬時切替試聴。

左 : ビクターZ-1S(針:JICO現行丸針DT-Z1S)
右 : デンオンDL-108D(針:JICO現行楕円針DSN-40)

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出力はDL-108Dの方が大きいです。なかなかの鳴りっぷり。基本的には同傾向の音ですね。DL-108Dの方が高音が良く出ます。これは楕円針の効果でしょう。そして少し華やかな音です。この華やかな感じはビクターMD-1016にJICOの楕円針を付けた場合と同傾向かも? あまり華やかだと私の好みに合わないのですが、まだ鳴らし始めたばかりなのでエージングが進めば落ち着くかも? 様子見です。Z-1Sよりは繊細ですけれど、大人しくなっていないのは良いところ。

ここまで色々聴いてきましたが、やはり本体より針でほとんど音が決まってしまうようです。このクラス(アルミストレートパイプカンチレバー、接合ダイヤ)であれば、気に入ったデザインのカートリッジを入手して、JICOやA'pisの現行針を付ければまず問題なく聴けます。表現力は似たり寄ったりなので、何種類もカートリッジを持つ必要はないと思いました。

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高級な雰囲気がなかなか良いです。

シュアーM44Gと一緒に落札したアントレーのヘッドシェルES-10、M44Gにこのヘッドシェルは似合わないだろうということで、ナガオカのMP-150と組み合わせてみました。

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カートリッジもヘッドシェルも角ばったデザインなのでマッチしていると思います。なかなかの高級感を醸し出していていい感じです。オーバーハングの関係で、カートリッジを手前に出っ張らせて取り付けているのがちょっとカッコ悪いですよね。でも音質のためには仕方ありません。オーバーハングを厳密に調整しなくても音への悪影響はそれほどないのですが、こうせずにはいられないのが理科系の性か?

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このカートリッジはやはり良い音がします。そして今の私にはこれ以上の音は必要ないと思っています。これはこれとして持っていて時々聴くとして、他の廉価カートリッジを今は楽しんでいくつもりです。

今日は簡単ですがこれにて終了。

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日本のジャズを聴こう!

日本のジャズにも面白いものはたくさんあって、現在進行形で時代と共に流れているのです。来週は甲府 「桜座」 に高瀬アキさん、スガダイローさん、山下洋輔さん、フルデザインレコードの皆さんがやってきます。何なんでしょ!この怒涛の来県は。全部は観られないけれど、せめてスガダイロートリオだけは押さえておこうと思います。

今日紹介するのはそのフルデザインレコードから出た1枚です。これがフルデザインレコードのアルバムだとは知らずに買いました。

P120_3『トリオねじ×林栄一』(2012年rec. Fulldesign Records)です。メンバーは、トリオねじ:加藤崇之(el-g)、かわいしのぶ(el-b)、藤掛正隆(ds)、ゲスト:林栄一(as)です。ディスクユニオンJAZZ館のニューリリースを見て買いました。私が好きなジャズマンの林栄一さんと加藤崇之さんがいますからね。お2人のライブは「桜座」で何度か観ていますが最高でした。これはもう聴くしかないでしょ! もちろんAmazonで買いました。

浅草合羽橋における加藤さんの絵画個展週間でのトリオねじのライブに、林さんがゲストで加わった時の模様を中心に構成されているアルバムだそうです。林さんの奔放アルトサックスと加藤さんの異次元ギターが相まみえてガチンコ痛快フリージャズを展開。ロックリズムに乗ってエレクトリックでアバンギャルドな演奏を繰り広げます。林さんのアルトも加藤さんのギターも迫力十分。

ただ爆音で疾走するだけではなく、間には感性をくすぐるような音の交錯を交えながら緩急をつけて進んで行きます。曲の展開は70年代エレクトリック・マイルスのような感じなので私の大好きなパターン。フォーマット的にはもう古いのかもしれませんが、こういうのは新しいとか古いとかではなく、自由な空間でジャズマンが自分のサウンドをぶつけ合って絡んでいくのを楽しめば良いのです。ラスト曲《ズック》はどことなく80年代マイルスの曲に似ていたりする部分があって私的にはニンマリ。

いつもの抜けの良い音で自由気ままにアルトを咆哮させる林さん、エフェクターを駆使してギターから無限のサウンドを繰り出す加藤さん、アーティストであって職人気質を持っている方達だと思います。そんなお2人のぶつかり合いを小細工なしの太いグルーヴでグイグイ盛り上げるのがエレベのかわいさんとドラムの藤掛さん、パワフルです。バンドとしてのチームワークも良いですね。

できれば大きな音量で浴びるように聴きたいところです。私はこのアルバムがかなり気に入っています。

ちなみにこのアルバムに参加しているメンバー全員が来週「桜座」にやって来ます。

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久しぶりにフュージョン新譜を買ってみた。

最近はフュージョンの新譜をほとんど買わななくなりました。特にテクニカル系のものは興味が湧きません。テクニカル系フュージョンは、最初のうちはそのテクニックに酔いしれて”スゲ~ッ!”となるのですが、すぐに飽きてその後はほとんど聴かなくなるのが私の常だからです。でも今回はフュージョン新譜を買ってみたくなりました。ネットでちょっと試聴したら良い感じだったのです。

P119トニー・グレイ『エレヴェーション』(2013年、ABSTRACTLOGIX)です。メンバーは、トニー・グレイ(b, keys 1,5)、ジョン・マクラフリン(g)、マイク・スターン(g)、布袋寅泰(g)、レブ・ビーチ(g)、デヴィッド・フュージンスキー(g)、ニル・フェルダー(g)、ファブリツィオ・ソッティ(g)、デヴィッド・ソロックモートン(ds)、ミノ・シネル(per 2)、ロマイン・コリン(keys 2)です。メンバーをみて分かるとおり、色々なギタリストをフィーチャしたアルバムです。しかも布袋さんがいます!

グレイは上原ひろみの前のバンドのベーシスト。上原ひろみファンの私としては気になる存在なのです。ここに参加しているフュージンスキーも上原ひろみのバンドで一緒にやっていましたよね。このアルバム、まずテクニック偏重ではないところが気に入っています。もちろんテクニカルな演奏は随所にあります。でもそれだけを聴かせる風ではなく、音楽を聴かせてくれているところが良いです。グレイはベースにしてもサウンドにしても結構しなやかでエレガント。そこが今の私の気分に嵌ります。

大御所マクラフリンは曲を提供していて、この曲だけシネルのパーカッションとキーボーディストが入った豪華版なのに、全体の中では意外と記憶に残らなかったです。布袋はディストーションを聴かせたロック・ギターで”ギュインギュイン”やっています。でも私はこれが意外とつまらない。で、今回気付きました。私はスケールを駆使したジャズ的なアドリブがないと面白くないんだと。そういう意味でやはり私はスターンをフィーチャした曲が一番好み。この人が弾く独特なスケール、それが鳴っただけでもう彼の世界に引き込まれてしまいます。

基本的には1曲ずつしかフィーチャされないのに、フュージンスキーだけが3曲にフィーチャされています。これは上原ひろみのバンドでのよしみもあるのでしょう。というか3曲中1曲だけがグレイのオリジナルで後の2曲はジャズマン・オリジナルなので、それら2曲はグレイなりのアレンジで聴かせるのに、一緒にバンドを組んで気心知れたフュージンスキーにご協力いただいたということなのだろうと思います。フュージンスキーはいつもの変態的ギターを控えめに披露。

ギタリストをフィーチャしているものの主役はグレイです。ほとんどの曲で自分が最初にベース・ソロを弾いてからギタリストのソロに渡します。ベース・ソロの最中もバックにベースが聴こえることから、ベースは多重録音していると思われます。バッキングのベースは4弦ベースで、高音を多用するベース・ソロはジャケット写真の6弦ベースを弾いているのでしょう。

8曲目《ソーラー》はベース・ソロのみ、フュージンスキーはバッキングです。曲自体も短くて”フ~ッ”と消えていくのが面白いです。ラスト《サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム》はギターとベースのソロがありますが、短めの演奏でやはりこれも”フ~ッ”と終了。余韻を残すアルバムの最後になっています。

私はこのアルバムが気に入りました。

アルバム名:『ELEVATION』
メンバー:
Tony Grey(b, keys 1,5)
John McLaughlin(g)
Mike Stern(g)
Tomoyasu Hotei(g)
Reb Beach(g)
David Fiuczynski(g)
Nir Felder(g)
Fabrizio Sotti(g)
David Throckmorton(ds)
Mino Cinelu(per 2)
Romain Collin(keys 2)

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ストレート・アヘッドな快作

ジャズ新譜紹介です。トム・ハレルは追いかけているわけではありませんが気になる存在。今度の新譜もメンバーがちょっと変わって面白いと思ってAmazonを検索したら、な、な、何と、21円!? で売っているではありませんか。しかも送料無料! 最初は目を疑いました。MP3の1曲だけなのかと思ったのですがどう見てもCD1枚。ここは迷わず”ポチッ”でしょ。損してもたった21円ですから。2日後、何の問題もないCDが届きました。その後すぐに値段は通常価格に戻りました。あれは一体何だったのでしょう?何かのセールだったのでしょうか?それとも値段を間違えて登録したのでしょうか?理由はどうあれかなり得した気分。日頃善い行いをしている?私への神様からのプレゼントなのかも(笑)。

P118トム・ハレル『カラーズ・オブ・ドリーム』(2013年rec. HighNote)です。メンバーは、トム・ハレル(tp, flh)、ジャリール・ショウ(as10 除く)、ウェイン・エスコフリー(ts 10除く)、エスペランサ・スポルディング(b 2除く, voice 6,9,10除く)、ウゴナ・オケグォ(b)、ジョナサン・ブレイク(ds)です。前作までは、ハレル、エスコフリー、ダニー・グリセット、オケグォ、ブレイクのクインテットでアルバムを作ってきました。私は前々作『ロマン・ナイツ』を持っています。そう言えばこれもディスクユニオンのセールで1000円で買ったのでした。私にとってハレルはセール買いの人。
m(_ _)m

今回はピアノのグリセットが抜けてアルト・サックスのショウとベースのエスペランサが加わったセクステット。コードレスのツイン・ベースにボイスをフィーチャするというなかなか面白い構成になっています。全11曲をハレルが作曲。どの曲も分かりやすく佳い曲ばかりなのはいつものとおりですね。楽器編成はちょっと変わっていますが演奏そのものはストレート・アヘッドなジャズ。

1曲目《タンゴ》はタイトルどおりのエスニックな雰囲気で曲調はどちらかと言えば東欧風。テーマではエスペランサのスキャットが3管にからんで良い味付けになっています。ソロはエスコフリーとハレルが堅実に。途中からはツインベースのソロ、両側から息の合った掛け合いを見せつつ進行して低音の快感が味わえます。ショウとエスコフリーは曲によってはどちらかのソロがお休みだったり両者お休みだったり。

2曲目《VELEJAR(セイル・アウェイ)》はエスペランサのボーカル(歌詞あり)とスキャットを大きくフィーチャ。ベースは弾いていません。曲はラテン調。エスペランサの優しくふわりとした歌声が素敵です。ゆったりした曲の中でハレルのまろやかなフリューゲルホーン・ソロも心地良く響きます。ここでのショウとエスコフリーはアンサンブル要員。

3曲目《ファンタジー・イン・ラテン》はタイトルどおりのラテン調。エスペランサのスキャットがテーマ部やソロのバックに挟まります。ショウとハレルのストレートなソロが聴きどころ。ブレイクのドラム・ソロがあります。ブレイクはこのアルバムで、非常に弾力性のある溌剌としたビートを叩いてアルバムを盛り上げています。

4曲目《ステイト》は8ビートのノリの良いハレルらしい曲。拍子がコロコロ変わります。エスペランサのスキャットが入るとラテン風味に聴こえますね。ここではエスコフリーとハレルが気持ち良いソロを披露。5曲目《セブンティー》はワルツのスローバラード。ハレルのフリューゲルホーン・ソロのための曲で、美しいソロが聴けます。6曲目《ブルース2013》は4ビートのストレート・アヘッド・ジャズ。冒頭からツインベースの重厚な掛け合いソロが展開し、続いてショウ、ハレル、エスコフリーが勢い溢れるソロをとります。バックでブレイクのドラムが弾け、両側でツイン・ベースが唸って快感。

7曲目《ナイト・ライフ》はエスペランサのスキャットがユーモラスな雰囲気を出すポップな曲。8ビートのリズム感がオーネット・コールマンのプライム・タイム・バンドみたいで、先発のショウはオーネット的なソロを展開。まあオーネットほど素っ頓狂ではありませんが、私はこのソロがかなり気に入っています。ハレルのソロも弾けてノリノリ。この曲のベースのリフは気分を高揚させてくれますね。終り方もスッパリ気分爽快。

8曲目《イーヴン・イフ》もポップで楽しい曲。ちょっぴりラテン風味が良い感じです。先発するエスペランサのスキャットがかなりテクニカル&ノリノリで、これを聴くとサラ・ボーン『枯葉』の痛快テクニカルス・キャットを思い出します。こういうのかなり好きです。ハレルがソロで《イッツ・オンリー・ペーパー・ムーン》のようなフレーズを大胆に吹くあたりは、この曲の楽しさの表れか?

9曲目《ウォークウェイ》はダークでモーダルな曲。曲調に合わせたフリー・ジャズ的な展開があります。ハレルのソロもフリーに迫り。続くツイン・ベース・ソロはもう60年代フリー・ジャズ的匂いプンプン。10曲目《ファミリー》はフリューゲル・ホーンとツイン・ベースのトリオ。素朴で懐かしい感じの曲です。ベース・ソロ、フリューゲルホーン・ソロ共に落ち着いた味わい。ラスト《ゴーイン・アウト》はノリノリ8ビートの明るい曲で、聴いていると自然に体が動き出します。ハレル、エスコフリー、ショウが快調にソロを披露。

ちょっと変わった編成を生かし、色々な曲調と展開のバリエーションで飽きずに最後まで楽しく聴かせるアルバムです。各人の演奏技量は文句なく、良いアルバムだと思いました。これを21円で売るなんてハレルがかわいそう過ぎます。

アルバム名:『COLORS OF DREAM』
メンバー:
Tom Harrell(tp, flh)
Jaleel Shaw(as except10)
Wayne Escoffery(ts except10)
Esperanza Spalding(b except2, voice except6,9 &10)
Ugonna Okegwo(b)
Johnathan Blake(ds except10)

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とうとうシュアーのM44Gを入手。

もう廉価MM型カートリッジの探求は終わりにしようと思っていたのですが・・・。やっぱりこれを聴かずに終れないでしょうということで。シュアーのM44Gをヤフオクでゲットしてしまいました。

実はM44Gだけじゃなくてアントレーのヘッドシェルがほしいというのがありました。この組み合わせで3000円しませんでした。このヘッドシェルは人気があるので、ヤフオクで2000円くらいの価値はあります。ということはM44Gは実質1000円しません(笑)。送料は宅急便なので少々割高でしたが。ヘッドシェルの指かけ部分が逆向きに取付けられているのはご愛嬌。

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M44Gにこのヘッドシェルは似合わないでしょうということで、ベスタクスのヘッドシェルに付け替えました。シェルリード線はいつものPCOCC。針を外してみたら、この価格なのにカンチレバーをきちんとテンションワイヤーで引っぱっているんですね。関心しました。M44Gは使っていないみたいなきれいな状態のものでした。アントレーのシェルはナガオカのMP-150が似合うでしょう。

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ところでM44Gは1963年の発売だそうで、そうなると今年は発売から50周年ということになります。記念特別モデルでも出て良さそうなのに、そういう話が一切ないのが日本メーカーと違うところでしょうね。私と同い年だったとは。私の長いオーディオ歴の中で、実はM44Gを自分のオーディオで聴くのは今回が初めてです。このカートリッジの評判はこれまでたくさん聞いています。定番中の定番カートリッジの音や如何に。

明るくて鳴りっぷりが良く楽しく聴けます。これがアメリカン・サウンドと言われる音。荒っぽい音ではないと思います(その後色々なカートリッジと聴き比べた結果、やはり荒っぽい音だと思うようになりました)。基本的に万能型の音でしょう。この音、私は結構好きです。オーディオ的に突き詰めるのではなく、音楽を楽しく聴くにはこれで十分のように思います。

で、いつもの比較試聴。リー・リトナーの『オン・ザ・ライン』を2台のプレーヤーで同時にかけて、自作フォノイコライザーの入力セレクタで瞬時切替試聴します。

左 : ビクターZ-1S(針:JICO現行丸針DT-Z1S)
右 : シュアーM44G(針:純正丸針)現行品

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聴いて少々ビックリ。この2つ音の傾向は似ていたのです。出力はM44Gの方が大きいので鳴りっぷりの良さに繋がっているでしょうね。音量を揃えるとそれほど違いがありません。音の質感は近いです。ビクターのZ-1Sって日本的ナチュラルサウンドのカートリッジだったのでは? まあこうやって比較試聴しないと分からないんですよね。人は何事もイメージで思い込んでしまいがちなのです。

よく聴くとZ-1Sの方が少し高音が伸びてよく出ます。低音の量感はM44Gの方が少し豊かなように感じますが、それは高音が少なめの裏返しだと思います(M44Gはよく言われるように低音が良く出るのではなく、高音があまり出ないというのが私の見解)。高音の出方からZ-1Sの方が繊細な感じですね。これまで聴いてきてZ-1Sのストレートな鳴り方が気に入っていた私。M44Gという定番の音を聴かずして、”定番の音”の良さとはどういうことなのか既に掴んでいたことになります。廉価MM型を探究してきた成果が思わぬところに出ました。

で、レコードをいくつか聴いていくと、M44Gにちょっと気になる部分が出てきました。高音のトレースが若干悪いようなのです。それがはっきり分かったのが松田聖子の『ティンカー・ベル』マスターサウンド盤を聴いた時。サ行がざらつく部分が多々あります。最初針圧は1.25gで聴いてそうなるので、針圧を上限ギリギリの1.5gにしてみましたが改善されませんでした。多分個体差ではなくて、このトレース能力の割り切り方がこのカートリッジの特徴なのだろうと思います(針を選別すれば良い物があるそうです)。女性ボーカルの微妙なニュアンスは出せませんが、逆に古い録音のジャズではガッツがあるように作用するのです。

ちなみにZ-1Sは松田聖子のサ行がそれほどざらつきません。高音の繊細さも併せ持っているのです。ここが日本的なんでしょうね。さて、M44GとZ-1Sのどちらを取るかと聞かれたら、私はZ-1S(現行JICO針)をとりますね。M44GのようにMM型定番の良さを持ちつつ更に守備範囲が広いからです。私の定番(標準)MM型カートリッジはZ-1Sに決定!

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自作プリアンプを改悪?

自作プリアンプを改悪してしまいました。”改良”ではなく”改悪”(笑)。と言うか、使っているパーツを大幅にグレードダウンしたのです。最近の私はオーディオをどんどんグレードダウンしているのでその一環ですね。

私の自作プリアンプは「情熱の真空管」という知る人ぞ知るサイトの 「FET式差動ライン・プリ・アンプ」 です。アンプを自作した際には、サイト管理人のぺるけさんから部品を頒布してもらいました。これが自作プリアンプの中身。

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このプリアンプには超高級パーツが使われています。それは東京光音電波のアッテネータ(ボリューム)。注文生産品で、私が秋葉原の海神無線で注文してもらった時は¥35,000でした。あれから約15年。今では¥55,000くらいに値上がりしています。これを極普通のボリュームにしてしまおうというわけ。ついでに使用パーツのランクを合わせるという意味で、入力切替スイッチに使っているセイデンのロータリースイッチも普通のものに交換します。

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パーツを並べてみました。真ん中2個がこれまで使っていたアッテネータとロータリースイッチ。見るからに高級そうでしょ(笑)。ロータリースイッチは2接点を並列接続して使っていたという凝りよう。両側が今度使うボリュームとロータリースイッチ。

ボリュームはアルプス製でギャングエラーが少ないと言われているものです。通販で¥1,000以下で買えます。高級な東京光音電波のコンダクティブプラスチックのものにしようかとも考えたのですが、ここは中途半端なグレードダウンではなくて思い切り行こうと考えました(笑)。ロータリースイッチは以前作ったプリアンプから取り外して保管していたものです。

交換するにあたり、入力端子からロータリースイッチまでの配線をモガミのOFC単線からモガミのOFC同軸線に変更。これまでの単線でもノイズを拾っていたわけではありませんが、念のため精神衛生上の変更です。

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改悪の結果音はどうなったでしょうか? 最初聴いた時はかなり質感が違うように思いました。東京光音電波のアッテネータはシャープでタイトな高解像度の音だったのです。私にとってはとても良い音だったのです。それが変更によって普通の音になってしまった感じでした。緩い音というわけではありませんが緊張感がなくなってしまったように感じました。「なるほどな~。」と思いました。素材にまで拘った固定抵抗切り替え式アッテネーターの実力。値段が高いだけのことはあったのです。

実は夏にこの変更をやっていたのです。もう数か月が過ぎ、今はこの音で特に不満はなくなってしまいました。慣れって怖いですね。そして、前はステップの関係で夜聴く場合に上手く音量が絞れなかったのですが、今度のは連続可変なので必要な音量に微調整できる便利さがあります。小音量でもギャングエラーはないです。

アンプ部はFET差動一段増幅のシンプルなものなので、クリヤでストレートな音が出てきます。こういうのを聴いてしまうと複雑な回路の曇りがある音には戻れなくなってしまいます。軽いバスブーストもできるので私にはこれで十分。オーディオシステム全体のバランスを考えればこれで良いのだと思います。

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紅葉の昇仙峡を散歩してきました。

昨日は日頃の運動不足解消も兼ねて、近くにある(車で30分かからない)昇仙峡を散歩してきました。紅葉の昇仙峡へ行くのは何十年ぶりのことです。

今回もグリーンラインの途中にある県営駐車場(無料)へ車を停めることに。3連休初日ですがゴルデンウィークの時ほど混雑しておらず、10分ほど待ったら空きました。ここから仙娥滝までは徒歩で20分くらい。そこそこ勾配もあり適度な運動になります。大自然の中を遊歩するのは気分が良いものですよ。

昇仙峡と言えば覚円峰。風化水食でできた直立約180mの花崗岩です。

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今年は10月初旬まで暑かったからなのでしょうか、紅葉まっさかりというにはまだ少し早いように感じました。

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場所によってはご覧のとおりのきれいな紅葉。

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川原には大きな石がゴロゴロ。石を縫うように水が流れます。

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紅葉の昇仙峡は良い感じです。

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覚円峰を真下から見上げると凄い迫力なのですが写真では伝わりませんね。

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覚円峰の真下というのは石門の対岸辺りです。その石門は記念撮影ポイント。ほとんどの人がここで写真を撮っています。

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右の覆いかぶさる岩を左の岩が支えているように見えますが・・・、実は少し隙間があいているのです!

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渓谷にかかるこの橋を渡るともうすぐ仙娥滝。

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橋の上から下流を見ると深く浸食された渓谷だというのが分かります。

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橋を渡ってこの覆いかぶさる岩のところをくぐって左へ曲がれば仙娥滝が見えてきます。

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水しぶきが漂ってしっとり潤い、もちろんマイナスイオンもたっぷり浴びられます。

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ここから階段を上って滝の上へ。そこには「なんじゃこりゃ?」の恐竜の首が飾ってありました。この感じがいかにも地方の観光地(笑)。

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そしてここが滝の上、結構近くまで行けます。この先超危険!

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そこから少し歩いて缶コーヒーを飲んで、水晶研磨を見学できる店をサラッと見学して折り返すことに。今回は昇仙峡ロープウェイには乗りません。

帰りにもう一度滝を撮影。浸食によりどんどん奥へ。

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最後にもう一度きれいな紅葉。

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ということで、約2時間散歩を楽しんで運動不足も解消。

最後に昇仙峡の案内図。クリックして拡大して見て下さい。

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県内外からの観光客の皆様をお待ちしております。
大自然が皆様を「お・も・て・な・し、おもてなし!」。

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現代バップ好アルバム

ジャズの新譜紹介です。と言っても発売されてからだいぶ経っています。

P94アレックス・シピアギン『フロム・リアリティ・アンド・バック』(2013年rec. 5PASION)です。メンバーは、アレックス・シピアギン(tp)、シーマス・ブレイク(ts)、ゴンサロ・ルバルカバ(p, el-p)、デイヴ・ホランド(b)、アントニオ・サンチェス(ds, per)です。スモールズのライブアルバムを買ったので、何枚も買わなくていいかなと思ってこちらはチェックが遅れていました。メンバーを見たらこれですから買わずにいられなくなりました。

フロント2人は今や現代ニューヨークの中堅~ベテランのしっかり者。そこにこのリズム隊ですから凄い。重鎮ホランドがいます! 最早大物であるルバルカバに、私が好きなドラマーのサンチェスときたもんだ! これだけのメンバーですから悪いはずはなく安定感抜群。隙やほころびはありません。

特に説明不要の現代バップ。このメンバーの誰かを聴いたことがあるなら、そのサウンドは容易に想像がつくでしょう。曲はメセニーの1曲意外はシピアギンが作曲していて全8曲。バップ曲としてはなかなか佳い曲揃いです。1曲目なんかはホランドが作る曲の雰囲気に似ているように感じます。浮遊感と変拍子のダーク&クールネスは現代バップそのもの。

テーマの合奏、各人のソロ、そのバッキング、どこを取っても5人それぞれがきっちり存在感を示しています。サポートに徹しているというような風情は微塵もありません。この5人ですから当然と言えば当然ですね。2管クインテットというオーソドックスなフォーマットに、この手の現代的曲想も今や周知の事実となったので、現代バップのひとつの完成系だと言って良いのではないかと思います。

個々の曲についていちいち説明するまでもないでしょう。5人のジャズマンの演奏にそのまま浸れば良いだけです。好アルバム。

短いですが以上(笑)。

アルバム名:『From Reality And Back』
メンバー:
Alex Sipiagin(tp)
Seamus Blake(ts)
Gonzalo Rubalcaba(p)
Dave Holland(b)
Antonio Sanchez(ds, per)

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