アーロン・パークスのピアノ・ソロ。
新譜紹介。アーロン・パークスのピアノが好きなので買いました。
アーロン・パークスの『アルボレセンス』(2011年rec. ECM)です。メンバーはアーロン・パークス(p)です。パークス初のECMアルバムにしてピアノ・ソロ。でもプロデューサーがマンフレート・アイヒャーではないし、録音も2年前なので、パークスの録音をECMが買い取るような形でアルバム化したんでしょうかね?(ではなくて、プロデューサーのSun ChungはECMの後継者的役割を担っているとのことで、れっきとしたECM録音のようです。)
録音会場はメカニクス・ホール。響きの良いホールで残響音(エコー)もたっぷり入っています。ECM的な人工エコーではなく自然なエコー。録音だけで言えばこれはもうクラシックの世界。ピアノの音が澄んで美しく豊かに響きます。
ソロ演奏の雰囲気はキース・ジャレットの『ステアケース』に似た感じです。まあ私の場合、ピアノ・ソロがそれほど好きではなく、キースのピアノ・ソロ・アルバムは5枚しか持っていないので、その範囲での印象ですからあまりあてにしないで下さい。時折メロディーに合わせて軽く鼻歌を歌っているのが分かります。
曲は全曲パークスが作曲。インプロビゼーション重視というよりはメロディー重視に聴こえます。ライナーノーツに詩が書いてあるのですが、その詩の冒頭に「再び森に入り・・」とあります。曲の雰囲気はまさにそんな感じで、静かで深い森に入った時の情景を描写しているように受け取れます。中には3分くらいの短めの曲もあります。
美しくて瑞々しい情景描写が比較的淡々と進んでいきます。中には盛り上がる場面もありますが、キースのような感情起伏のダイナミクレンジの広さみたいなものは感じませんでした。コントロールされています。私からするとその辺りが少々物足りなくもありません。もちろんECMレベルは十分クリヤしているんでしょうけれど、何かこうもっと聴く者の心にグサリとくるものがほしい気がしました。期待し過ぎだったかも?
悪いとは言いませんが、凄いという程ではありませんでした。
アルバム名:『ARBORESCENCE』
メンバ:Aaron Parks(p)
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コメント
この方、本当に得体の知れない不思議な魅力の持ち主と思っております。
人の感じ方なので、
「心にグサリとくるものがほしい気がしました。期待し過ぎだったかも?
悪いとは言いませんが、凄いという程ではありませんでした。」
こういう見方もありだろうともおもうのですが、、
わたくしは、この全編静謐な空間、、仄暗く淡々とした夢のような世界。。とても、気に入りました。
ひんやりと内省的な感じが、心の中の深い森をさまよう感じでした。
トラバ、どうもありがとうございました。
投稿: Suzck | 2013年11月 6日 (水) 18時17分
Suzckさま
こんばんは。
確かに得体の知れないところはありますね。
掴みどころがないようなふうにも感じます。
これからも見守っていきたいです。
とてもお気に入りになられたとのことで、そうおっしゃる理由も分かります。
サウンドイメージに思いを寄せるような聴き方をすると良いのかもしれませんね。
ちょっとクラシックよりなところが私には魅力薄なのかもしれません。
こちらこそトラバありがとうございました。
投稿: いっき | 2013年11月 6日 (水) 20時26分
こんばんは。
やっと入手しました。
プロデューサーのSun Chungという人、どうやらECMの後継者的役割を担っているとネットでググって稲岡氏の文章で分かりました。彼はECMで韓国人ヴォーカリストのプロデュースもやってますが、確かにECMらしさは引き継いでいるものの、
>何かこうもっと聴く者の心にグサリとくるものがほしい気がしました。
という点では、確かに静かなんだけど音がえぐり取るような鋭さは、もう少しあってもいいのかな、と思います。ただ、アルバム自体の満足度としては個人的には高めではありました。こういうアーロン・パークスもあってもいいな、というところです。
TBさせていただきます。っと、すいません、なぜか今入らないので、後日改めてトライします。
投稿: 910 | 2013年12月11日 (水) 16時52分
910さん
こんばんは。
入手に手間取ったんですね。
プロデューサーのSun Chungはそういう人材なのですか。
後継者がアジア系の人というのは面白いですね。
>音がえぐり取るような鋭さは、もう少しあってもいいのかな
そうなんですよ。
私としてはたぶんにクラシック的なのがいまいちなのかもしれません。
もっとジャズ成分がほしいというのが私の勝手な思いです。
>こういうアーロン・パークスもあってもいいな、というところです。
確かにそうではあります。
TBありがとうございます。
投稿: いっき | 2013年12月11日 (水) 19時43分