チェック・レコードとしても使っています。
またまたオーディオですけれど、アルバムも紹介します。
デイヴ・グルーシンの『ディスカヴァード・アゲイン!』(1976年rec. Sheffield Lab)です。メンバーは、デイヴ・グルーシン(p,el-p)、ロン・カーター(b)、リー・リトナー(g)、ハーヴィー・メイソン(ds)、ラリー・バンカー(vib,per)です。
昔ちょっと流行ったダイレクト・カッティング・ディスク。ライブ演奏しているものをそのままミキシングして、レコード・プレス用の原盤にカッティングしてしまうという、演奏者や録音/カッティング・エンジニアは失敗が許されない怖い録音方法。それ故あまりこの方法で録音したレコードはないです。一旦テープに録音してから編集するという作業が一切ないため鮮度の高い音がレコードに刻まれます。
このアルバムを制作した会社シェフィールド・ラボはこのダイレクト・カッティングを売りにしていた会社で、70年代にオーディオに嵌った人はこの会社をしらないとモグリです(笑)。高音質レコードと言えば、当時はデジタル・レコーディングのテラークとダイレクト・カッティングのシェフィールド・ラボが双璧でした。当時は円安もあってこういう輸入盤は高価だったはず。1ドル≒300円の時代ですから。今輸入盤が¥1,500だとしたら、当時は¥4,500!!
私のレコードは90年代に秋葉原のヤマギワかサトームセン(だと思う)で買った輸入盤です。なぜ90年代になって輸入されたのか? 確か当時、”アナログ再評価”みたいな風潮があったので、それに乗っかったのかもしれません。メースという会社が輸入しています。”~再評価”、もともと評価して価値を認めている人にとっては何とも陳腐に写ります。なのでクラブ・ミュージックからの”マイルス再評価”は、私にとっては陳腐以外の何者でもありません。
このレコード、何とも優しく柔らかい音です。このアルバムはCDにもなっていますが、本当の良さはレコードでないと絶対に分からないと思います。カッティング・レベルが高く音溝が複雑なため、上手くトレースできない場合もあるとのこと。そういう注意書きが書いてあります。
音の輪郭は強調されておらずとても自然。なのに音に芯があり密度感があります。ピアノとヴァイブラフォンの音に特にそれが顕著です。高音まで高いレベルで入っているというのですが全くうるさくないです。一聴では高音が適度に減衰しているようにすら感じられるから不思議。でもそれこそがアナログの良さなのです。MP3の気に障る高音とは大違い。
それから高音系パーカッションの音の粒立ちがとても良いです。トライアングルや鈴などの振動が辺りの空気に浸透していくような感じは何とも言えない心地良さ。シンバルもしなやかに響きます。決してヴィーナス・レコードのような派手な金物音ではありません(それはそれで面白いのですが)。バスドラム(キックドラム)の沈み込み具合はとても自然。ベースの弦のうなり具合も良いです。ただしロン・カータのピッチが不安定なベースがダメな人はダメでしょうね(笑)。
演奏の方はメンバーからも分かるようにフュージョン。ただし80年代のチャラチャラしたフュージョンではありません。ちょっと翳りがありウエットで落ち着いた感じのもの。この頃ってフロントが白人でもリズムが黒人なので、独特の黒さがありますよね。こういう黒さ漂う70年代のフュージョンって、私にとってはとても魅力的です。
というわけで、カートリッジを変えてこんなレコードを聴いて独り悦に入っているのです。
アルバム名:『DISCOVERED AGAIN!』
メンバー:
Dave Grusin(p, el-p)
Ron Carter(b)
Lee Ritenour(g)
Harvey Mason(ds)
Larry Bunker(vib, per)
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