« これはアートなジャズ! | トップページ | com-postで「益子博之のニューヨーク放浪記」が始まった。 »

漂う柔らかい雰囲気が良い感じ。

新譜紹介です。前回に続いてこちらも 「綜合藝術茶房 喫茶茶会記」 で定期的に行われている「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会 vol. 09」(私は不参加)のリストを見て購入した1枚。今月末7月28日(日)にVol.10が開催されます。

P146 イングリッド・ラウブロック・アンティ・ハウス『ストロング・プレイス』(2012年rec. INTAKT RECORDS)です。メンバーは、イングリッド・ラウブロック(ts,ss)、メアリー・ハルヴァーソン(g)、クリス・デイヴィス(p)、ジョン・エイベア(b)、トム・レイニー(ds)です。ニューヨーク・ダウンタウンのジャズに詳しい人ならご承知の人達が集合したグループ。メンバー各々のグループでお互いに共演歴があります。ニューヨーク・ダウンタウンのライブハウスで、色々な編成で夜な夜なセッションを繰り広げているんでしょうね。

全曲リーダーのラウブロックが作曲。抽象的なメロディーと不定形なリズムはフリー・ジャズの範疇でしょう。全員が互いの音にレスポンスしながら演奏が進みます。全体の雰囲気はダウナーで暗い感じです。アップテンポのノリノリ演奏はありません。こう書くと「ニューヨークの暗いジャズか・・・。」なんて思われて、聴く人がいなくなってしまうかもしれませんね。でも何か人を惹き付けるものがありますよ。それは漂う優しく柔らか雰囲気なのかもしれません。テンションが低いというのとは違います。緊張感はあるけれど根が柔らかい。

なぜなのか考えて、少々強引に理由をこじつけると、リーダー以下3人が女性であるからなのではないかと思います。さて、そうなると3人がどういう女性なのか知りたくなってしまいました。ということでネット検索! 名前で検索すれば写真がたくさん出てきます。で、勝手に流用させていただきます。m(_ _)m

P147

左からラウブロック、デイヴィス、ハルヴァーソン。もう少し格好良く写っている写真もあるのですが、3人が揃っているのはこれくらいしかなかったので。真ん中のデイヴィスは女優シガニー・ウィーバーになんとなく似ているかも? 両脇の2人はかなりオタッキーな雰囲気。特にメガネ女子ハルヴァーソンにはコアなファンがいそうですよね(笑)。この3人の柔らかい笑顔がそのまま音楽になっているような気がします。

ラウブロックのサックスには、この界隈で多分リーダー的なトニー・マラビーの影響を感じます。似たようなフレーズや雰囲気を醸し出す場面が多々あります。ただしこのアルバムの性格にもよりますが、尖がった部分でのマラビー的爆発力というのはさすがにありません。この人の繊細で誠実な表現はなかなか良いと思います。

ハルヴァーソンは変なフレージングを織り交ぜて個性的でマニアックなギターを弾きます。容姿まんまのコアなギタリスト。デイヴィスはちょっぴり控えめで堅実なピアノを弾いて2人をサポート。娘2人を見守る母親みたいな(年齢ではなく雰囲気)存在かも?

男子2人は女子3人をきっちりサポート。ベースのエイベアはあまり目立たないのですがしっかり仕事しています。そしてベテランのレイニーのドラムが素晴らしい。パーカッション的なドラミングで、きっちり全体をまとめ上げています。リズミックな演奏はないのですが、男子2人が作り出すリズム空間があって初めて、女子3人が自由に表現できるのだろうと思います。

3人の女子の写真を見てどこかに惹かれるものを感じた人、このアルバムを絶対聴いてみるべきです。
今回は変は紹介の仕方でスミマセン。m(_ _)m

アルバム名:『STRONG PLACE』
メンバー:ANTI-HOUSE
Ingrid Laubrock: Tenor-, Soprano-Saxophone
Mary Halvorson: Guitar
Kris Davis: Piano
John Hébert: Bass
Tom Rainey: Drums

|

« これはアートなジャズ! | トップページ | com-postで「益子博之のニューヨーク放浪記」が始まった。 »

ジャズ・アルバム紹介」カテゴリの記事

コメント

いっきさん
いつもご紹介いただき、ありがとうございます。
この三人の女性、実物は写真よりずっと可愛いですよ。昨日からcom-postに今年の放浪記の掲載を始めました。ラウブロックとハルヴァーソンはいずれアップの写真が出てくるので、それをお待ちいただくとして、今回はデイヴィスのアップがないので、下記から去年の写真をご覧ください。

http://com-post.jp/index.php?imagepopup=11/20120710-265010_1692427121_107large.jpg&width=640&height=480&imagetext=

http://com-post.jp/index.php?imagepopup=11/20120710-265010_1692430934_34large.jpg&width=640&height=480&imagetext=

投稿: 益子博之 | 2013年7月 8日 (月) 11時20分

益子さん

こんばんは。

>いつもご紹介いただき、ありがとうございます。

いえいえ、こちらこそいつも興味深いアルバムを紹介していただき、ありがとうございます。

>この三人の女性、実物は写真よりずっと可愛いですよ。

すみません。写真がいまいちで。
実物はそうなんでしょうね。ライブを観たいです。

>昨日からcom-postに今年の放浪記の掲載を始めました。ラウブロックとハルヴァーソンはいずれアップの写真が出てくるので、それをお待ちいただくとして、

それは楽しみです。順次読まさせていただきます。
http://com-post.jp/index.php?itemid=784
ここから始まるので、皆さんも是非。

>今回はデイヴィスのアップがないので、下記から去年の写真をご覧ください。

リンクしていただいた写真。
昨年の放浪記は全部読み、とても参考になりました。
デイヴィスは優しい雰囲気を持っていますよね。
フリージャズをやるようには見えません。

投稿: いっき | 2013年7月 8日 (月) 20時50分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 漂う柔らかい雰囲気が良い感じ。:

« これはアートなジャズ! | トップページ | com-postで「益子博之のニューヨーク放浪記」が始まった。 »