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サウンド・タペストリー

今年の1月末に開催された 「益子博之=多田雅範 四谷音盤茶会」 で紹介されたアルバムを買うはずだったのですが、間違えて前アルバムを買ってしまいました。その時紹介されたアルバムは、Amazonで未だMP3しかないのでした(涙)。

P132 ジョバンニ・ディ・ドメニコ/アルヴェ・ヘンリクセン/山本達久『CLINAMEN』(2010年rec. Off & Rat Recordes)です。メンバーは、ジョバンニ・ディ・ドメニコ(p,fender rhodes,syn,electoronics,editing)、アルヴェ・ヘンリクセン(tp,voice,electoronics)、山本達久(ds,per)です。ドメニコはイタリア人でベルギー在住。ヘンリクセンはノルウェーの音響系トランペッター、山本はノイジーな演奏や歌もので叩く、即興系の凄腕ドラマー。

「四谷音盤茶会」で紹介されたアルバム同様、このアルバムもほとんど即興演奏だと思います。3人の意識は上手く共鳴して、深い表現になっているように感じます。こちらの方がリズミックな演奏ということで、確かにリズムがはっきりした演奏がいくつかありますが、一方でリズムが希薄で静かな音響系の曲もあります。

エレクトロニクス音、音響系の触覚的なトランペット、柔らかな歌声、散りばめられたパーカッションなどがタペストリーのように空間的に広がる中に、ピアノまたはエレピが短いイマジネイティブなフレーズを繰り返し静かに綴っていくようなサウンドになっています。リズミックな曲でも押しつけがましいようなところはなく、柔らかい雰囲気が漂って聴く者の心にじんわり染みこんでくるところが素敵です。

目の前に現れては消えていく様々な音群に身を任せていれば、ヒーリング効果もありそうなサウンド。だからと言って決して安っぽいフュージョンではありませんし、また難解なサウンドというものでもありません。柔らかい雰囲気の中に感じるアートな佇まいが、表現の深さに繋がっているように思います。

サウンドにじっくり浸ってほしいアルバム。おすすめ!

アルバム名:『CLINAMEN』
メンバー:
Giovanni Di Domenico(p, fender rhodes, syn, electoronics, editing)
Arve Henriksen(tp, voice, electoronics)
Tatsuhisa Yamamoto(ds, per)

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